(浜松国際ピアノコンクールレポートその1〜1次予選) 久島です。 ちょっと遅くなってしまいましたが、さる11/13〜24にかけて第3回浜松国際ピア ノコンクールを聴いてきました。その感想です。今回はそのうちの1次予選の感 想です(例によって長文です)。 浜松国際ピアノコンクール(以下、浜松コンと略)は3年に1回行われるコンク ールで、1991年に始まり、今年が第3回。日本で行われる国際ピアノコンクール は日本国際音楽コンクール(以下、日本国際コンと略)とこれの2つだけ(だと 思うっけど違うかな?)。私も過去2回(全部ではないが)聴いている。 今回の日程は  11/11,12,13,14,15: 1次 16,17,18: 2次    19,20: 3次    23,24: ファイナル となっている。私が聴いたのは1次の3日目(11/13)の4人目からである。 出場者は全部で92名。国別に見ると、日本21名、ロシア8名(旧ソ連を含めると 12名)、フランス5名、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ各4名、中国(含 台湾)5名、韓国2名などとなっている。 今回の浜松コンの(私にとっての)興味の中心はなんと言ってもあのタラソフが 出ること。'89日本国際コンで2位、'95ブゾーニコンクール2位など浜松コンよ り有名なコンクールで上位入賞しており、なんで今さら浜松コンか、と正直思っ たが(コンクール荒らしか?)、いずれにしても彼の演奏が聴けるのはうれしい。 (きっと審査員か関係者の強力なコネ(誘い)でもあったに違いない。)実は前 回も出ることになっていたのに直前にキャンセルしたので、今回もそれがないか と心配していたが、出場者リストに名前を見つけてホッとした。(が、残念なが ら彼は1日目だったので1次予選は聴けなかった。) あと有名人としては同じくロシアのレム・ウラシンがいる。彼も確かCDを出して おり、前回のショパンコンクールでも4位。今回はこの2人が軸になりそうであ る。 *** 1次の課題曲は以下の3曲(を20分以内で)。  (1) J.S.Bach 平均律クラヴィーア曲集から1曲 (2) Haydn, Mozart, Beethovenのソナタより第1楽章、または第1楽章を含む    複数楽章  (3) ロマン派の作曲家の作品から1曲 今回の1次課題曲は前回までと比べて少し変わった。まず(2)は以前はBeethoven のみだったのが、Haydn, MozartもOKになった。そして(3)は以前はChopinのバラ ード、幻想曲、舟歌だけだったのに、一気にロマン派なら全く自由になった。い ずれもヴァラエティが増えて、聴く方にはうれしい(審査員もそうだろう)。 場所は浜松アクトシティの中ホール。3、4年前にできたホールでいわゆるシュ ーボックス型である。2階席もあるがそこは審査員専用になっている。ちなみに 審査員長は中村紘子。 1次で私が聴いたのは92人中の51名だったが全員の感想を書くのはしんどい(悪 口ばっかりになってしまう人もいる^^;)ので、1次はまずまず良いと思った人に ついてのみ感想を書くことにする。 以下、演奏順に感想を(敬称略)。なお名前の前の番号は出場者番号。 24. ティン・イーリン(中国、18歳、男性) プログラムでは1972生まれ、パンフレットには18歳となっているが、風貌からい って多分18歳が正しいのだろう。高校生くらいに見える。 最初のBach(第II巻9番ホ長調。以下II-9と略)は悪くない。表情をあまりつけ ずにストレートな感じ。しかし前回も思ったのだが、このホールの残響は何とか ならないか(風呂場で聴いているようだ)。1次予選で人の入りが少ないことも 関係してると思うが。Bachを明晰に弾こうと思ってもみんなリヒテルみたいな平 均律になってしまう…。)エコーでモヤモヤしたような演奏だと思っていても、 家に帰って演奏のテープを聴いてみると(このコンクールでは各演奏のテープを 売っている)非常にクッキリしていることが多く、演奏者がちょっとかわいそう である。Beethovenは熱情ソナタ(の第1楽章)。これはよかった。スピード感 があり、かつダイナミック。あまり陰影をつけずにインテンポで押しまくる感じ があるが、そういうのも嫌いでない。最後のChopinのバラード第1番もまずまず。 やや素っ気ないというか機械的だが、メカニックがしっかりしており明晰で、こ れも悪くない。いわゆるコクよりキレのタイプである。 25. アレシャンドレ・ドシン(ブラジル、27歳、男性) 最初のMozartはソナタ第10番(K.330)。軽い音で、手慣れているという感じ。 でもうまい。BachはII-19。優しい音で弱音の使い方がうまい。左手があまり聞 こえないのがやや不満。最後はLisztの「ダンテを読んで」。中間部(メロディ アスな部分)の表現はうまいが、その他の部分で不自然なルバートなど、小細工 のしすぎというか、表現が熟れすぎている感がある。全体に(特にMozartなど) 熟練を感じさせる演奏である。 27. フセヴォロド・ドヴォルキン(ロシア、25歳、男性) BachのI-23は優しい演奏だが、微温的かもしれない。Beethovenのソナタ第7番 は無難であるがもう少し鋭さというかメリハリが欲しい気もする。最後はChopin の幻想ポロネーズ。詩的で、やや感傷的過ぎるかもしれない。あまりテクニック を前面に出さないタイプで、一言で言うと「大人の演奏」という感じ。テクニッ クがどの程度あるのかよくわからなかったが、2次に行けばはっきりするだろう。 30. フォン・イン(中国、21歳、女性) Bach(II-16)はよかった。プレリュードはテンポが遅くなり過ぎず、フーガは 主題がよく出ている。Haydn(23番)もよい。キレがありかつ音楽性を感じる。 ただ気になったのは繰り返しをすべて行ったこと。次の曲の長さを考えるとそん なことをやっていて大丈夫かとちょっと心配だったのだが…。最後はLisztのス ペイン狂詩曲。これも非常によい。完成度が高く特に重音がうまい。しかしさっ きの不安が現実のものになってきた。途中で打ち切られませんように、とハラハ ラしながら聴いていたが、一番盛り上がるところ(鍵盤中央部を両手で交互に激 しく連打するところ)の少し後で無情にも打ち切りを知らせる鈴が(思わず「ア チャ〜」)。中村紘子も無粋なことをするなぁ(って仕方ないか)。この打ち切 りがなければテープを買おうかと思ったのに…。(まあ、時間切れ打ち切りにな っても別に大幅減点ということはないが。) (ここで予選のテープ販売についてちょっと説明。) 浜松コンでは予選の全演奏をテープに録音して、それを各演奏後にロビーで売っ ている(1000円)。ただし録音機の関係で限定8本である。当然人気のある人に は購入希望者が殺到するわけで、以前は早い者勝ちだったが、今回は公平を期し て、8人以上の希望者がいる場合は抽選となっている。(抽選となるものもあれ ば1本も売れないものもあり、テープの売れ具合を見れば各人の人気がだいたい わかるのは面白い。) *** 36. アレクサンダー・カーニング(ベルギー、23歳、男性) Bach(II-11)のプレリュードはくぐもった音で、モヤの中で聴いているみたい。 フーガは一転、ノンレガートの速いテンポでなかなかよい。Haydn(52番)もよ い。力任せに弾かず、右手の16分音符の走句もまずまず。ただもう少しダイナミ クスの幅があってもよいかも。最後はLisztのハンガリー狂詩曲6番。これもまず まず。実は少し前の人も同じ曲を弾いていたが、それよりは後半のオクターヴ同 音連打など、技術がしっかりしている。ただしそれでも技術に少し脆弱性を感じ させないこともない。全体としてはスッキリ系の演奏である。 37. クリストファー・ハーディング(アメリカ、26歳、男性) 最初のBeethoven(32番)はなかなかよい。テンポが速めで、指がよく回ってい る。音楽的でもある。Bachは前のカーニングと同じくII-11。プレリュードは彼 より納得できる。フーガは普通。ただ途中でテンポをぐっと落としたのは疑問。 最後はChopinのプレリュードから16番(のみ)。おもしろいけど、アッという 間に終わってしまった。いくらなんでも1曲だけというのは少なすぎるのではな いかな。時間が足りないとは思えないし、多少オーバーしても数曲は弾いてもら わないと、審査員も困るだろう。 40. ジュ・チン(中国、21歳、女性) Bach(II-18)のプレリュードは、モヤモヤしている(弱い)と感じられるとこ ろもあるが、全体的にはスッキリしている。フーガもまずまず感じが出ている。 Beethoven「熱情」もよかった。同じ中国のティン・イーリンと同系統のストレ ートな演奏(最後は少し突進気味だったが)。ChopinのエチュードOp.25-6は まずまず。出だしの右手が最初ノンレガートになってしまったが、その後は持 ち直した。クリアでないと思えるところもあったが気のせいかな。 41. 川島 基(日本、24歳、男性) 去年の日本音楽コンクール(以降、音コンと略)3位の川島君である。最初の Beethovenは音コンと同じく24番「テレーゼ」。流れるようなロマンチックな演 奏で、音コンのときよりさらにその傾向が増したような感じがする。悪くない。 Bach(II-19)も音コンで弾いたのと同じ曲。コンセプトはそのときと変わって ない(と思う)が、まずまず。フーガではもう少し軽くスピード感がある方が 好きだが、好みの問題だろう。Chopinの舟歌はよく歌っている。全体的に、以 前のような直球勝負だけではなくなったような気がする(大人になった?)。 42. フレデリック・ケンプ(イギリス、20歳、男性) Bach(I-4)は速めのテンポで、すっきりしていて、かつ音楽性を感じる。Bee thoven(32番)も悪くない。そして最後のBalakirev イスラメイが圧巻。ド迫 力という感じではないが、メリハリがあり、終盤かなりのテンポの中でもほと んとミスがない。特に右手のオクターヴがすごい。中間部(メロディアスな部 分)もよく歌っており、今日(11/13)聴いた中ではベストパフォーマンスだと 思った。終わった後、早速テープを買いに行った(希望者はちょうど8人でな んとかget!)。 (その後、家でテープを聴いてみると、悪くはないが、それほど凄い演奏とい うほどでもなかった。やっぱり生だと感動するのかな。) 43. オリヴァー・カーン(ドイツ、27歳、男性) 最初はBrahmsのバラードニ短調。音が大きく深みがある。よく響いてまさに Brahms向きである。前のケンプの演奏がウケていたのでやりにくいかと思った が、そんなことはなく自分の音楽をやっているという感じだ。次のBach(I-4) のプレリュードは明晰かつ安定している。フーガは声部の弾き分けがうまい。 Haydn(52番)はよく歌い、ロマン派の曲のようだ。しかもよく考えていて、 いろいろな声部を強調しているし、16分音符も速い走句もしっかりしている。 知的かつロマン的な、教授タイプという感じである(風貌も相まってA.シフを 彷彿とさせる)。 (ここから11/14) 44. クレイグ・ケッター(アメリカ、27歳、男性) 最初のHaydn(32番)は豊かな響きで悪くない。Bach(I-22)も適度なテンポ で安定感がある。フーガはよくコントロールされており、うまい。最後のLiszt オーベルマンの谷がよかった。完成度が高いし、音もきれい。音楽の盛り上げ方 もうまく、実は私はこの曲は今までいまひとつピンと来なかったが、その良さが 少しわかったような気がする演奏だった。2次行きは間違いないだろう。 45. キム・ソンフン(韓国、19歳、男性) Bachは前のケッターと同じI-22。これも悪くない。ケッターと違ってストレート というか明るく健康的な音だ。次はBrahmsの4つの小品Op.119。きれな音だが響 きが豊かすぎると思わないでもない。ただもう少し技巧的な曲が聴きたい気がし た。最後のMozart(14番 K.457)も悪くない。指がよく回っている。が、残念な がら時間が切れで提示部が終わったところで打ち切られてしまった。彼はずんぐ りむっくりした体型で見た目はパッとしないが(失礼!)、音楽はしっかりして いる。 46. 岸本 雅美(日本、25歳、女性) 今年の音コン本選「審査辞退」の岸本さんである。最初のBach(II-3)プレリュ ードはくぐもった音を使い、割りと表情づけが多い演奏だが悪くない。フーガも 完成度が高い。Beethoven(ワルトシュタイン)はまずまずだが、やや(デュナ ーミク等の)小細工が多いか。最後は音コン3次でも弾いたBrahmsのパガニーニ 変奏曲第2巻。これも完成度が高い。ただ、しなやかではあるが剛性には欠ける 感もある。全体的には悪くない。 しかしここまで聴いて、音コンでは本選で一番いいと思った彼女も、浜松コンで は平均的というかそれほど目立たないレベルにいるわけで、改めて全体のレベル の違いを感じる。 47. ローランド・クルーガー(ドイツ、24歳、男性) Bach(I-15)はくぐもった音だが(この曲は明るくキレのある演奏の方が好きで ある)、安定している。フーガはトリルがうまいし、スピード感もある。Beetho ven(1番)は直前に弾いたコバーチより納得がいく。様式感というか、ツボを押 さえているという感じだ。最後はLisztのマゼッパ。これは完成度が高く、うま い。最初にテーマを両手交互に弾くところがもっとクリアならばもっとよいと思 ったが(ちょっとモヤモヤしている)。 48. オラフ=ジョン・ラネリ(イタリア、26歳、男性) 前回の日本国際コンでは5位、前回の浜松コンにも出ており、日本ではすっかり おなじみのラネリである(今回も出るとは日本が気に入ったのかな?)。いつの 間にかミドルネーム(ジョン)がつくようになった。Bach(II-9)は豊かな響き でゆったりしているが、悪くない。Beethoven(3番)も日本国際コンで秀演を聴 かせた曲。今回もぬかりはない。ただ音の輪郭をはっきりというか、音ギレをも っとよくした方がよいと思った(残響のせい?)。最後のLiszt ハンガリー狂詩 曲はさすがという出来。安定感があり、終盤での右手の32分音符もあざやか!。 ただその後の終わり方はやや素っ気なく、もう少し間をとった方が好きである。 いずれにしろ今回も実力通りの冴えを見せているという感じだ。 57. デニス・マツーエフ(ロシア、22歳、男性) Bach(I-3)のプレリュードはピアニスティックというか自由な感じ。フーガは 最初、テンポが一定しない。うまいのかそうでないのかよくわからない感じだ。 Haydn(52番)もテンポをよく揺らし、ロマン派のようだ。指はよく回るが、様 式感に疑問がないでもない。審査員によって評価が分かれそうだ。最後のLiszt メフィストワルツはよかった。スケールが大きく技巧も冴え、彼の十八番といっ た感じだ。途中で1箇所あやうく止まりかけたのが残念。彼にはロマン派の曲が ピッタリという感じで、Bachや古典派を弾かせるのが間違いという気がした。 59. ホセ=ラモン・メンデス(スペイン、27歳、男性) Bach(II-4)は、プレリュードの冒頭の左手に出てくる上行音型をスタカートに するなどアーティキュレーションに工夫があり、各声部の弾き分けがうまい。最 後の和音もアルペジオにして最初の上行音型でしめくくるところも憎い。装飾音 もセンスよく決まっている。フーガはテーマがノンレガートでスピード感があり、 ときどきバスを思いきり強調するなど、グールドのCDを思い出させる。フーガで はちょっと危ないところもあったが、これまでに聞いたBachの中では一番印象に 残った。次はSymanovskiのピアノの変奏曲Op.3。聴き慣れない曲なので(今年の 音コンで岸本さんが弾いた)よくわからないが、悪くないと思う。最後はBeetho venの30番。弱音がきれいで完成度が高い。ただし第2楽章は(途中で打ち切り になったが)ちょっと技巧的に弱い気がする。全体的によく練られた、完成され た演奏をするという印象を受けた。 60. ミロシュ・ミハイロヴィッチ(ユーゴスラヴィア、19歳、男性) Bach(II-1)のプレリュードは普通だが、フーガは左手が生き生きとしてとても よい。スッキリ系の演奏だ。Beethoven(16番)はかなりダイナミクスの幅があ りメリハリもあって悪くない。最後のChopin、アンダンテスピアナートと華麗な 大ポロネーズは残念ながら途中打ち切りだったが、技術がしっかりしており、テ クニシャンという印象を受けた。ただポロネーズのリズムにもう少し溜めが欲し いというか、あっさり流れすぎる気もする。 64. ドミトリー・モロゾフ(ベラルーシ、23歳、男性) Bach(I-22)はかなりのリリシストという印象。1音1音にすごい神経を使って いるという感じだ。Haydn(40番)も同様。小細工(といっても、ここに限らず 私の言う「小細工」は必ずしも悪い意味ではなく、アーティキューレション、強 弱、アゴーギグ、音色などの変化をつけたり、特定の音を強調して思わぬメロデ ィー浮き立たせたり、そういった工夫のこと)がすごい。途中、一瞬止まったよ うな気もするが気のせいかも。最後のLiszt ハンガリー狂詩曲11番も表情づけが すごい。でも何か演奏に華がある。ひょっとしたらすごい才能かも知れないと思 った。 65. 村田 理夏子(日本、24歳、女性) Bach(II-14)はすっきりしていてよい。Beethoven(11番)も完成度が高い。装 飾音がクリアなら完璧だが。Lisztのリゴレットパラフレーズもまずまず。終盤 で右手のオクタープ同音連打のところをインテンポでいくのが面白い(ゆっくり 始めて始めてアチェレランドするのが普通じゃないかな)。ただ最後のダブルオ クターブで一気に駆け降りないでルバートしたのはブレーキをかけたみたいで残 念。 (ここから11/15) 72. 大西 結真(日本、16歳、女性) 水色の膝上丈のワンピースという、いかにも高校1年という衣装で登場。Bach (I-4)は音楽がまだ自分のものになってないという感じ(若さから来る先入観 かな?)。Beethoven(3番)はまあまあ。昨日のラネリに比べると少し劣るか。 最後はLisztの鬼火。これはまずまずで、16歳でこれだけ弾ければ立派という感 じ(16歳の時点で技術的に弾けない曲があるようではダメという話もあるが)。 全体的には、高1でこのコンクールに出てくるだけあって(音楽性は?だが)テ クニックはしっかりしているという印象。 79. ダニエル・プロッパー(スウェーデン、28歳、男性) Bach(II-3)はフーガがかなり速めのテンポ。最後の32分音符のところが大丈 夫かと思ったが何とかうまくいった。それ以外のところも音楽性が感じられて よい。Mozart(9番 K.311)も悪くない。Mozartのツボを押さえている。最後の Chopinのバラード1番は詩的な感じ。が、それほどテクニシャンではないかも しれない。全体としてはどことなくドヴォルキンと同じ様な印象(テクニック を表に出さない大人の演奏)を受けた。 *** 以上が1次(の3日目以降)を聴いてまずまずと思った人である。この中で特に 印象に残った人(是非また聴きたいと思った人)は以下の8人。  ティン・イーリン        ローランド・クルーガー  フォン・イン          オラフ・ジョン・ラネリ  フレデリック・ケンプ      デニス・マツーエフ  クレイグ・ケッター       ドミトリー・モロゾフ で、実際の審査では2次に進んだのは37人であるが、そのうち私の聴いた中で 2次に進出したのは以下の20人。  アレシャンドレ・ドシン     クリスタ・コバーチ  ジャン・デュベ         オラフ・ジョン・ラネリ  フセヴォロド・ドヴォルキン   デニス・マツーエフ  フォン・イン          ホセ・ラモン・メンデス  マイアナ・グメツカ       三浦 友理枝  ジュ・チン           ドモトリー・モロゾフ  川島 基            西本=ノイベルト 未来  フレデリック・ケンプ      大崎 結真  オリヴァー・カーン       ダリア・ペトロワ  クレイグ・ケッター       ダニエル・プロッパー この他ではタラソフ、ウラシンの2人も当然通っている。自分が聴いたところで 一番意外に思ったのは岸本雅美さんが落ちたこと。今回私が聴いた日本女性の中 では一番いいと思ったのだが…(音コンに続いて不運である)。あとティン・イ ーリンは落ちてしまったが、素朴でストレート過ぎる表現が嫌われたか。ローラ ンド・クルーガーも客観的に見るとそんなに良くなかったのかな(マゼッパを聴 くとついつい甘くなってしまう私)。代わりに意外な名前もあったがそれはまあ いつものこと。ひょっとしたらすごい才能かも知れないと思ったモロゾフが通っ たのはよかった。 1次を聴いて全体の感想は、白人というか非アジア系の女性が概して低調だった こと。逆に中国系は(男性を含めて)技術というかメカニックがしっかりしてい るという印象を受けた(これは今回の偶然なのかも知れないが)。日本人は技術 的にも音楽的にも強い印象を残す人はなく、やっぱり外国人の方が面白い。結局 2次に進んだ日本人は21人中たったの5人だったが、日本人を14人聴いた限りで はこの結果(というか比率)は妥当だと思った。