1971

March 5
- Belfast, Northern Ireland


参考音源 :BLACK VELVET(大爆笑編集版)
ソースの状態 :
音質はちょっと聴き辛い / 情けない編集箇所多数

アイルランド&UKクラブ・ツアー。
ライブ会場の手配が出来なかったり
「IV」のレコーディングが長引いたりで、結局
前回のツアーから半年近く間が開いてしまっている。
そんなことも有ったのか、クラブ時代の
オーディエンスとの至近距離を懐かしもう、ということで
「クラブ・ツアー」という珍企画となったようだ。
当ツアーから「IV」収録予定の新曲が多数加えられ
楽器群も強化されるなど、新たな時代の始まりとなっている。

この日はツアー初日。
北アイルランドにおける初ライブで
クラブではなくホールでのコンサートである。
この音源は、いろんな意味で有名なアイテムである。
わざわざ私が言うまでのことも無く、その内幕は、
広く知られているところであろう。

半年振りのツアーということもあってか、全体的に
プラントが元気いっぱいで、乗っけから飛ばしまくり。
大丈夫か?と心配してしまうほどだ。
前年に引き続き、オープニングは「移民の歌」。
続いて「Heartbreaker」直結も変わらず。

「貴方を愛しつづけて」では、ジョーンズ氏の
フェンダー・ローズ・エレクトリック・ピアノが初登場。
曲の場所によって、ハモンドと上手く使い分けている。
エンディングでは、ジミーのトリル奏法部分が消え、
スライディングで D/Cのようなコードに直結。
EPも交え、よりJAZZ風味が増した終了となっている。
このアレンジは以降、解散まで引き継がれた。

4曲目には未発売のニュー・アルバム「IV」から
新曲「Black Dog」が初登場。この日はライブ初演である。
イントロとして「Out On The Tiles」のリフを使用。
エンディングの 3コード終止も、ここで既に登場済み。
ライブ用アレンジが、ほぼ出来あがっている。
プラントはレコードどおりのハイトーン・メロディで
ほぼ全編歌い通しており、初演ならではの
大変貴重なテイクとなっている。
メイン・リフのハモリは最後の一回のみ。

同じく新曲「天国への階段」もライブ初演。
ジミーの有名なダブルネック・ギターも初登場。
リコーダー部分はジョーンズ氏がハモンドで代用。
残りのバッキングはレコード同様フェンダー・ローズ EP。
聖歌突入部分では誰かが違うコードを弾いている。
同曲のエンディングでも、プラントは
レコードどおりのメロディで歌い通している。

さて、この記念すべき「初演天国」音源であるが…。
製作者によって、ネタか?と思うような編集が加えられ
「大爆笑・転調バージョン」になってしまっているのは有名。
更に、同曲途中から走行不良に起因すると思われる
笛吹きケトルのようなノイズが大音量で発生。
しかも編集によってケトル・ノイズも消えたり現われたり。
欠落箇所を、ことごとく補填した為と思われるが
…なんなのだ、これは?

「Going To California」も初演だが、これも「天国」同様
編集による「転調バージョン」で、情けないありさま。
プラントは最高音部のメロディを既に下げて歌っている。
観客は大歓声で、曲の受けは良かったようだ。

「Moby Dick」は後半のみの収録。
前半部は翌日の演奏で、これも補填編集ということだ。
「胸いっぱい」は 5ヶ月ぶりのライブとは思えない熱演ぶり。
ブギー導入部ではプラントが、PAに掛けられている
ディレイ装置の誤操作(?)に絡んで遊んでいる。
メドレーは短めにスカッと快演。
終盤ではプラントに煽られ、オーディエンスも沸きまくり。

アンコール「Communication」の間奏終了後、
サビに戻る部分で全員バラバラになっているのは御愛嬌。
その後「Rock And Roll」を披露。
これも新曲で、この日がライブ初演である。
中盤でギターの音が出たり出なかったりしており、
ソロの進行がドサクサで妙な様子になっている。
会場の盛り上がりに応え、更に「Bring It On Home」も演奏。
エンディングは、ブルーズ・セクションに戻らず
「Black Dog」エンディングのような大団円風に盛り上がって終了。

編集に関しては、他にもコマゴマと補填箇所があるが
大きなものは、だいたい以上記述のとおり。
主な補填元ソースは同年イプスイッチ音源ということだ。
これらの編集は全てクロスフェードで行われており
綺麗に取り除くのは、ほぼ不可能である。
もう笑うしかない、とは、正にこのことだろう。

歴史的音源を爆笑編集で台無しにした
製作者の罪は、限りなく重い。







March 6
- Dublin, Ireland


参考音源 :BLACK VELVET (編集版)
ソースの状態 :
音質はまあまあ良質 / 補填編集若干有り

アイルランドでの初ライブ。

音質は悪くはないが、録音している場所の
近くにいる観客が、叫んだり、指笛を吹き鳴らしたり
ギターフレーズに合わせて歌ったりと、かなりやかましく
慣れないと、結構邪魔で気に触るかもしれない。

プラントは前日張り切りすぎたのか
ちょっと苦しそうで「移民」では終始フラット気味。
ジミーはリラックス風である。
「Heartbreaker」に於いてエコー装置の不備と思われる
低音ノイズが発生し、曲中ずっと鳴り続けている。

「貴方を愛しつづけて」は EP使用によって
どことなくクールな印象になっている。
同曲は、以降ライブを重ねるごとに
彼ら独自のブルーズ風味を加え進化していく。
「Black Dog」では、プラントも頑張っており
この日も大部分オリジナル・メロディで歌い通している。
メインリフのハモリは最後の2回と、何故か途中でも 1回登場。
この2曲には途中カット箇所あり。

「天国」聖歌セクションは、またもやジミーが戸惑い気味。
拍の取り方が難しい同セクションであるが
これ以降のライブでは、あまりミスが見られない。
代表曲なだけあってリハを重ねたのだろう。
ちなみに、この部分は、
変拍子風で実際はそうではない、というトリック。
「R&R」イントロや「Black Dog」もそうだが
「IV」には、この種のフック的トリックが多い。
これらの楽曲を、繰り返しライブで演奏することによって
新たなダイナミズムが生まれ、それが
中期以降の独特なグルーヴへと繋がってゆくのだ。

「Going To California」途中から「強き二人」後半まで
カットがあり、その部分の演奏は補填されている。

「Moby Dick」イントロでボンゾが、通常のスネアではなく
タムも絡めた妙な手順でプレイ、なかなか笑えるテイクとなっている。
同音源は、これ以降テープ走行が安定しなくなり
速度が変わったり、音がヨレたりと落ちつかなくなる。
「胸いっぱい」メドレーは大盤振る舞いで
ブルーズ・セクションが終ったあとに、再び
「That's Alright」 に突入するなど、お楽しみテイク。

アンコールは「Communication」。
後半にコミカルなオールディーズ風Bassソロ付き。
続いて、何か特別なものを演奏しようとしているフシがあるが
カットされてしまうので不明(C'mon Everybody風)。
フィル・カーソン氏が参加したという話もある(MCで話題に登場)。
「R&R」は中盤以降の収録。
この日はレコードどおりに進行するが、
エンディング寸前でジミーがコードを見失っている。

相変わらず、この音源にも細かい補填編集箇所がある。
前日ほどのヒドさではないものの、捏造であることには変わりがない。
ベルファストと違い、この日の音源は他にも出回っているので
そちらを入手した方が良いかもしれない。







April 1
- London, England


参考音源 :BBC IN CONCERT / 何種類もリリースされている
ソースの状態 :
オフィシャルは完全版ではないので注意

クラブ・ツアーの締めくくりとして
BBCでの放送用に、ライブのフル収録を行った。
会場は BBC所有の「パリス・シアター」で
400人ほど収容可能な小ホールだと言うことだ。

これは1980年代に日本でもオンエアされ
私も初めてそこで耳にした。
当時ライブ音源は、他に「永遠の詩」サントラしかなく
「移民の歌」など、そちらに未収録の曲の
ライブ・バージョンは、とても新鮮だった。
逆に、サントラに収録済みの曲は、
なんとなく物足りなさを感じた。
どことなくフレーズ的に未完成な印象があったのだ。
それほど Zepは常に進歩し続けたバンドであった。
その時は良いと思っても、またより新しいものが良くなっている。
永遠に拡張しつづけるバンド…。そんな幻想すら抱かせたものだ。

さて、このアイテムはオフィシャルではカットされていたMCや
細かい部分まで、余すところなくコンプリート収録した完全盤だ。
オフィシャルは、いかにも「スタジオライブ」といった、
硬い雰囲気だったが、こちらは通常のライブに近い気楽さが
多少感じ取れるものとなっている。
プラントは序盤では多少苦しそうだが、すぐに回復。
ジミーも、いつもに比べると奔放というほどではないが
フレーズをカッチリ弾こうとしており、好感が持てる。

「幻惑」中盤 G-A-E ブレイクでは、
ジミーが、しつこくシンコペーションをプレイ、
ジミヘン風パターンも、一瞬顔を覗かせている。
その後「クランジ」を思わせるようなリズムパターンも登場。
この辺は、変化の予兆を感じさせる興味深い部分だ。

同曲のあとに「天国への階段」が移動、
メイン扱いのような存在となっている。
アコースティックセットは、会場が静かなので、
落ち着いた雰囲気。少々気まずさも有っておもしろい。

プラントのキー間違い仕切り直し爆笑オープニングを含む
「強き二人の愛」は、オフィシャル未収録なので貴重。
「胸いっぱい」も、オフィシャルは
後半のメドレー部分にカット箇所がある。
アンコールは、オルガンソロ無しで
ギターから始まる、珍しい「Thank You」。
続いてオフィシャル未収録「Communication」で締め。

今こうして、他の数々のライブ音源を入手してみると
このライブは、当時の水準の「平均点」に過ぎないことが判る。
だが、その「平均点」が恐ろしく高得点なのだ。
そこが Zep というバンドの凄いところだ。
現在このライブを改めて聴き返すことは、あまりないが
こういう優良音源が現存していることには、感謝せねばなるまい。













May 3
- Copenhagen, Denmark


参考音源 :PREVIEWS & NOVELTIES
ソースの状態 :
良質オーディエンス

ヨーロッパ・ツアーということだが
英国に戻ったり、日程もかなり開いているなど、
かなり不規則気味で、詳細はよく判らない。
この日は、お馴染みのコペンハーゲン顔見せ興行で
一応、ツアー初日とされている。

この音源は新曲大盤振る舞いの
必携アイテムとして、昔から有名なもの。
まだプラントも元気いっぱいで
乗っけの「移民」から、ほぼ完璧に歌いこなす。
メンバーも全員リラックス気味で好調。

「移民」では、ジミーが「レイラ」風リフを連発、
ボンゾもシンバルのカップ奏法で遊ぶなど、ご機嫌な様子。
「Heartbreaker」でも、ボンゾは
変わったパターンでプレイしている。
「幻惑」中盤 G-A-E ブレイクは、シンコペーション風。

「That's The Way」のイントロには
魅力的なイントロ(明日に架ける橋のようだ)が付けられている。
「IV」の音造りが旬のようで「強き二人」の間奏でも
「Levee Break」のようなスライドのソロが聴ける。
続く問題作「Four Sticks」だが、UNLEDDEDで聴きなれた所為か
一般的に言われてるほど酷いという印象はない。
でも当時では、さすがに客もひいてしまうかもしれない。
時代(耳かも?)も変化したものだ。
そして「Gallows Pole」。これもそう悪くはないが、
エレクトリックの12弦では、ちょっとフラワー色が強く(笑)
あまり馴染めないような気がする。
これは UNLEDDEDバージョンに軍配が上がるだろう。
オリジナルの歌メロは捨て難いけどね。

「胸いっぱい」でジミーも爆発。弾きまくっている。
「Communication」は Bassソロの後、珍しく「祭典の日」へと展開する。
しばらくそれで遊んだあと「Communication」に戻り終了。
アンコールでも「IV」祭りは続く。
なんと「Misty Mountain Hop」を、ほぼオリジナル通り演奏。
一部展開を見失うものの、単体で独立している同テイクは貴重だ。
そして最後に「Rock And Roll」も披露。大団円となる。

賛否両論あるかも知れないが
「IV」以降の楽曲が、レコード通りのメロディで
歌われているのは、やはり、とてつもなく美しいことだ。
中期以降を主に聴いている方は、是非
この時期のライブに一度触れてみるのも良いと思う。







July 5
- Milan, Italy


参考音源 :オーディエンス録音テープ(コピー)
ソースの状態 :
音質はまあまあ

有名な暴動ライブである。
オーディエンスの騒ぐ様子を見て、警備隊が勝手にいきり立ち
催涙弾などを会場内に撒いたと言うことである。
行き場所を失った観客が、ステージに押し寄せるなど
会場内は大パニックになり、ライブも途中終了した。
メンバー達は、この事件に非常に心を傷め、
その憤りや落胆も、かなりなものだったと言われている。

出回っている音源は「貴方を愛しつづけて」
「Black Dog」「幻惑」の3曲のみ。
いずれもボーカルが大きめで、プラントの声が良く響いている。
聴いた感じでは、張り切っていると言えなくもないが、
ヤケ気味という見方もできる。結構苛立っていたのかもしれない。

暴動の様子は収録されていないが、
「幻惑」前半で一旦演奏が中断するなど、
その予兆のようなものは、窺うことが出来る。
同曲弓コーナー途中までの収録。

この暴動に加え、ニューアルバム「IV」に関する
ミックスやジャケットの問題などのトラブルもあって、
特にジミーは、かなり堪えていたようだ。
だが、こうしたトラブルが逆に彼らを成長させ
より大きくさせたとも言える。撒き返しの時は近い。













August 21
- Inglewood, California


参考音源 :
WILD WEEKEND
ソースの状態 :
要スピード修正。片チャンのみ聴くのも良し

ほぼ1年ぶりとなる第7回全米ツアー。

私にとって1971年音源といえば、長いこと
BBCと「Osaka」(後述)のみであった。
BBCは音は良かったが、どちらかといえば
スタジオ版アウトテイクに近く、お客も静かで
ライブとは言い難かったし、
「Osaka」は爆裂していたが完全版ではなかった。
果たして、実際の1971年ツアーというものの全貌はどうだったのか。
私にとっては、これを知るのが長年の夢となっていた。
そして、やっと入手できた1971年全米ツアー音源が、この伝説のLAだ。
しかも、この年のLAは「ツアー二日目」という、初めから
名演になることが約束されていたかのような好日程であったのだ。

時期的には「IV」発売直前。神話化前夜といったところだろう。
ミラノの暴動や「IV」のジャケット問題など、
トラブル続出の時期で、消沈していたようだが
それを吹き飛ばすような、素晴らしいライブが繰り広げられている。
「III」の不評も結構こたえていたようだし、ここが正念場だっただろう。

オープニングの「移民」からドライブ感が違う。
オーディエンス音源の臨場感は、やはり堪えられない。
「貴方を愛しつづけて」では、何故か
ハモンドとギターのチューニングがずれており、
少々クールダウンしてしまう。
「幻惑」中盤ではジミヘン・コーナーが登場。
G-A-E シンコペーションに直結するこのセクションは
また新たな場面転換的見せ場となった。

そして、いよいよ「Black Dog」。
LAの人々が初めて聴く「Black Dog」だ。反応は上々。
演奏後の大歓声に鳥肌が立つ。
それまで、文献でのみ知り得た情報が、
実際に音として聞こえて来る場面だ。
そして「天国への階段」LA初演。
多少危ない箇所があるものの、これも熱演。
ジミー自身、忘れられないという
伝説のスタンディング・オベーション…。
今や、これは歴史だろう。

アコースティックセットでも「Going To California」を、
ご当地 LAで初披露。好意的な歓声が沸く。
盛大な盛り上がりの「強き二人の愛」を経て、
ファンキーなイントロがついた「胸いっぱい」へ。
この辺の会場の熱狂振りも、BBCでは窺い知れなかった部分だ。
あまりの盛り上がりの所為か、ブレイクなどの境目が曖昧になっており
この機に乗じてジミーも弾きまくっている。
プラントは、ブギーメドレーの歌詞を
「マネージャーが言うことにゃ…」と替えて歌い、大受け。
それにしても、この全力演奏は凄い。
是非、生で見たかったと思わせる熱演ぶりだ。

アンコール「Weekend」に続き、「R&R」も LA初披露。
覚えやすい曲なので、徐々にオーディエンスが
「Lonely, lonely 〜」の部分で唱和するようになって行く。
まだ、往年のまったりした乗りは出ていない頃だが、
爆裂で気持ちの良いバージョンだ。
そして、大騒ぎの「Communication」。
ジミーのソロでは、聞き覚えの有る「俺の罪」フレーズが一瞬登場。
思わず、にやりとさせられる。

神話が作られていく過程を実際に確かめることができる。
奇跡的アイテムのひとつと言えるだろう。







August 22
- Inglewood, California


参考音源 :FREAK OUT
ソースの状態 :
要スピード修正。片チャンのみ聴くのも良し

初日がSold Outということで追加公演。
いきなり、ヴェンチャーズの「Walk Don't Run」で笑える。
オーディエンスも、どう反応して良いのかわからない感じ。
2コーラス程演奏された後、間髪入れず「移民」へ。
プラントは、さすがに前日よりは出し控えている。
このようにパワー全開ではない日も、それはそれで、また
芳醇な演奏が聴けるのが、この時期のZepの良いところだ。
余裕のある証拠だろう。
「貴方を」の前で少々間が空き、
ジミーが「ブギーチラン」のリフを弾いたりしている。
この日はハモンドとのチューニングも合っている。
「幻惑」の中盤、一瞬ファンキーな展開になり
「クランジ」っぽいボンゾのドラムも聴ける。

アコースティック・セットでは
「Bron-Y-Aur」風のパッセージが演奏されたあと、プラントによる、
自分自身の声についてのコメントがあり、
改めて「That's The Way」に入っている。

この日の「胸」メドレーは余計なものがなく
ストレートにグイグイ行く感じでよい。
「ユー・ショック・ミー」も挿入。
オーディエンスが盛り上がり、情熱的な演奏が繰り広げられる。
プラントのハーモニカ・ソロ付き。
「Thank You」も、この日の方が、より情感たっぷりで良い。
オルガンソロは、どことなくゴスペル風。

やはり彼等は、アメリカに憧れたイギリスの田舎の若者だったのだな。
そういう素直な部分がちゃんと窺えるのも、好感が持てる理由なんだ。
「Led Zeppelinは夢だった。いい夢を見させて貰ったよ。」という
解散時のロバート・プラントの発言の意味がよくわかる。
いい時代だ。







August 23
- Fort Worth, Texas


参考音源 :Hot August Night
ソースの状態 :
良質オーディエンス


「幻惑」弓コーナーからの収録。
始めのうちはちょっと音が遠いが、徐々にステージに近くなり
やがてギターの側に落ちついたと思われる音源。
ギターが大きめに収録されている。

この日は日程的に連続 3日目。
さすがに疲れているようで、いささか引っかかり気味である。
余談だが、データによるとライブは、以降も 6日間続いた模様。
なんと 9日間連続である。すごいスケジュールだ。

「Moby Dick」にカット箇所あり。
「胸いっぱい」では調子が戻り、なかなかの炸裂プレイを聴かせる。
この日も「You Shook Me」を挿入。鋭角な音がカッコイイ。
その後あっさりテーマに戻って終了。
録音した人物が、さっさと帰ろうとしてるのか
アンコール「Communication」は、ずいぶん遠い位置から
まるで「付け足し」のように録音されている。
同曲途中までの収録。







September 3
- New York, New York


参考音源 :HOW'VE YA BEEN ?
ソースの状態 :
まあまあ良質オーディエンスだが客が喧しい

Madison Square Garden。
独特の箱鳴りが良い感じだが、残念ながら周りの客が喧しく、
常に奇声を発したり唱和したりしており、慣れないと
ちょっとキツイ音源かもしれない。
コンサートの前後など、オーディエンス・ノイズは長めに収録されているので
貴重なドキュメント的アイテムとしてなら、楽しめるだろう。

「Heartbreaker」「貴方を」にカット箇所あり。
新曲の「Black Dog」では馴染みがない所為か、一旦奇声が収まっており
この時期特有の粘着グルーヴが、しっかり堪能できる。
ブレイクのヴォーカルのタイミングが、この時点では
まだ、はっきり決まっていないようだ。
「幻惑」弓コーナーではバッハのフレーズが弾かれている。
この日も、リズム・セクション2名によるクランジ風ファンクパターンが登場。
まだジミーは、これには乗って来ていない。同曲にも一瞬カット箇所あり。
「天国」は、だんだんかっちりしてきているという印象。
この音源はジョーンズ氏の Bassが良く聞こえ
「祭典の日」のネッチョリ連弾フレーズも、しっかり収録されている。

アコースティックセット2曲も、ところどころカットあり。
これは意外に静かに聴けるので、不完全なのは少々残念。
「胸いっぱい」でも、圧倒されているのか比較的静かで
ブギー&ブルーズ・メドレーが、たっぷり堪能できる。
「Communication」は、ジミーのギタープレイが歌うようだ。
ジョーンズ氏の Bassソロもあり。派手な歪みプレイが聴ける。
ジミーが一瞬「Train Kept A Rollin'」のイントロをプレイ、
その後、オルガンソロから「Thank You」へ突入。
オーディエンスの興奮は最高潮に達し、遂にトラブルが発生、
プラントは曲を中断、注意をしている(客がステージに上ってきたようだ)。
最後に「R&R」を演奏。これもネッチョリとしたプレイで燃える。

このような狂乱音源を聴くと、彼らの音楽が
いかに若者を熱くさせるものであったのか良く判る。
現場で実際に暴動に参加するのは、ちょっと考えてしまうが
この、説明できないような、ある種のエナジーが
音楽にとって極めて重要な要素の一つであることも事実である。
Zepという存在は「本質」そのものなのだ。







September 4
- Toronto, Canada


参考音源 :Live From The Midnight Sun
ソースの状態 :
良質のオーディエンスだが各曲の頭が切れている

出だしのプラントが少々苦しそうだが、その後は全員好調で
相変わらず、固まりのようなグルーヴ感が堪能できる。
全体的に Bassがよく聞こえるのも良い(プレベか?)。

「Black Dog」でのプラントは、冒頭からメロディを下げて歌っており
この頃は既に、声帯温存の為か、場所によって歌い方を変えていたことが判る。
まだ歌詞が一部異なっているのも興味深い。
「幻惑」弓コーナー後は早弾きコーナーへと直結。
勢いのあるバージョンだ。途中でファンク風展開も現れる。
「天国」のソロでも、ジミーが淀みなくフレーズを繰り出している。

アコースティック・セット。
「That's The Way」の新たなイントロには心が洗われる様だ。
新曲「Going To California」も
ジミー&ジョーンズ氏の、アンサンブルの妙が伝わってくる良い演奏。
「強き二人の愛」にもエンディング・フレーズ付き。
こうした初期のレパートリーが
徐々に変化してくるのが判るのも、興味深い部分だ。
「胸いっぱい」メドレー後半部は「You Shook Me」。
へヴィーでカッコイイ。
アンコール「Communication」には Bassソロ入り。
ジャック・ブルースばりの歪みソロが聴ける。
「Thank You」のエンディングにも
そよ風のようなギターパッセージが付け加えられている。
冒頭のオルガンソロは未収録。

全体的に何処となく落ち着いた雰囲気で、芳醇な演奏のライブだ。
このツアーの平均的演奏を聴くには良いだろう。
曲間MCや各曲冒頭部が欠けているのが、ちょっと残念。







September 9
- Hampton Beach, Virginia


参考音源 :DEAD BATTERY
ソースの状態 :
良質サウンドボード

FMラジオ放送のような SB音源で、バランスも良く
ねっちょりとした、この時期特有の
「かたまり感」を堪能できるアイテムである。
「貴方を愛しつづけて」のワンコーラス目における
ジョーンズ氏のローズの奏法や
「祭典の日」のエンディングでの面白いディレイなど
サウンドボードならではの詳しい聴き方も楽しめる。
放送用ライブ音源とかではなく
通常のツアーにおける演奏だというのが重要なところだろう。
とくに録音を意識している様子も感じさせない。

この日も「幻惑」弓コーナー後は早弾きコーナーへと直結。
ファンク風な展開をする部分など、構成が固まってきたようだ。
激しいリフ攻勢が、恐ろしくカッコイイ。
ジミーが「Over Under Sideways Down」のリフを
一瞬つま弾くと、プラントが受けて笑ったりしている。
「強き二人の愛」のエンディング・パッセージも、いい感じ。

1曲目「移民」はフェイド・イン、途中カットなし、
「Moby Dick」 エンディング直前までの収録。







September 13
- Berkeley, California


参考音源 :BACK ON THE WEST COAST / Going To Calofornia II (Low Gen版)
ソースの状態 :
Low Gen版は良音質 / スピード調整無しで聴くのはキビシイかも

多少、音が遠い部分もあるが、全体的に
「客が静かなLA」といった感じの録音で、まあまあ聴きやすく
このツアーにおけるステージの平均像を知るには良いだろう。
演奏の方も相変わらず好調である。

「移民」のプラントは、若干苦しそうな箇所もあり
翌日の状態の予兆が感じられる。
「Black Dog」も乗っけからオクターブ下げバージョン。
「幻惑」ミドルに進む部分で、ジミーの勘違いによる進行ミスがあり
歌メロ部分が、ワンコーラス余計に演奏されている。
ファンキー部分は、ギターのチューニングを兼ねた面白い展開。

アコースティックセットでは、プラントが
オーディエンスとやり取りしたりしており、なかなか良い雰囲気。
「That's The Way」のイントロも、相変わらず美しい。
この日のオーディエンスは
無闇に騒いだりはしないが、演奏に対する反応は良く
その辺が、メンバーのプレイにも反映されているのだろう。
「胸いっぱい」の前に、カッコイイ導入部が付けられている。
これはイントロとは呼べない、まるで独立した別の曲のようだ。
アンコール「Communication」もイントロ付き。
間奏のソロはカッコ良く、後半部も、クロスロード風のリフから
「Gallows Pole」へ(確かに両者は似ている)目まぐるしく展開して行く。
豊富なアイディアが次々と涌き出ていたようで、素晴らしい演奏だ。






September 14
- Berkeley, California


参考音源 :GOING TO CALIFORNIA
ソースの状態 :
良質のオーディエンスだが少々音が揺れる

アナログ時代からの有名な音源である。
CDとなった現在も、その大部分はアナログから落としたもののようだ。
とても音が良くバランスも素晴らしいが、所々カットがあるのが残念。
また、コンサート自体も全曲収録されているわけではない。

いきなり「移民」で、プラントの声がヘロヘロ。
後年の状態を思い起こさせる。
2曲目以降は、なんとか持ち直すようだ。
リズムセクション2名は相変わらずの爆裂ぶり。
ジミーは普通である。
「Heartbreaker」ソロで「Feelin' Groovy」登場。
バッハから繋げられている。
「胸いっぱい」は、ほぼ完全収録(CDのみ)。
この時代のことも考えると、これは貴重かもしれない。
およそ25分間に渡って、素晴らしい演奏をたっぷり堪能できる。













September 23
- Tokyo, Japan


参考音源 :Front Row
ソースの状態 :
少々低音が歪んでるが良質オーディエンス

伝説の Zep初来日公演。
初日の武道館、つまり日本での初演奏音源だ。
始まる前の日本人MC(イトイ氏?)の話が笑える。
演奏自体は、直前の全米ツアーの好調ぶりをそのまま維持し
異国の地での自由さも加わって、素晴らしい爆裂演奏が繰り広げられている。
プラントも乗っけから絶好調。
「移民」の最中にギターの弦が切れたため、同曲終了後
しばらくプラントのMCがあり、あらためて「ハートブレイカー」に入る。
「幻惑」の途中で、ほとんど「クランジ」ではないかと思われるパターンが登場する。
やはり、これを元に練っていったのだろうか?
非常に興味深い部分だ。

「That's The Way」の前で、ジミーが
「スノウドニアの小屋」のリフを弾き始め、プラントが乗ってきてしまうが
途中でジミーは演奏を中断(恐らくイントロのつもりだったのだろう)、
プラントは、そのままアカペラで4小節ほど歌い続け
切りの良いところで、本編「That's The Way」が始まる。
なんだか妙な瞬間で笑える。

「タバコロード」、ほぼ完全版の「Good Times Bad Times」、
「How Many More Times」「You Shook Me」 などが含まれた
「胸いっぱい」超ロング・バージョンも、全力演奏で素晴らしい。

アンコール前に、興奮した客の一人にプラントが注意をしている。
そして「Communication Breakdown」が炸裂するが
ギターソロの後、再び客が問題を起こし、プラントが演奏をクールダウンさせ、
即興で「You ! You !」とシャウトしながら彼の人物を注意、
ジミーがそれに呼応し、即興のリフを付け新たな展開となり
オーディエンスも一体となって盛りあがる。
実に秀逸な場面で、聴いているだけでもゾクゾクしてくる。
Zep初来日が伝説となって行く様子が実感できる、素晴らしいライブだ。

ただ、この音源は、ほぼ完全収録なのだが、極めて残念なことに
「胸いっぱい」と「Communication」の肝心な部分にカット箇所があるのだ。
音質も演奏もまったく申し分ないだけに、それが非常に惜しいアイテム。







September 29
- Osaka, Japan


参考音源 :現在は完全収録アイテムもリリースされている
ソースの状態 :
曲によって早さや内容がまちまちなので注意

これも有名音源。
BBCの爆裂バージョンといった感じだ。
BBCを聴きなれていた身で、初めてこれを聴いた時にはぶっ飛んだものだ。
これが通常状態だったのか、と目から鱗が落ちたような気分だった。
それほど凄いライブだ。
いちばんスタンダードとなっているブツは
恐らくステージ上で録音されたと思われるもので
ドラムが大きく、いちばん臨場感が堪能できるものだが、残念ながらカットが多い。
自分の好きな曲だけでの編集が必要だろう。
最近は、純粋なオーディエンス録音の完全版も入手できる。
このライブを聴いていちばん驚くのは
メンバーのぶっ飛び具合も然ることながら、客の切れ具合だろう。
日本人は元来、大人しいとされて来たし
増してや1971年のことであるから、驚いてしまった。
これは、その場にいたら楽しかっただろうね。
海外の客に比べれば
これでも大人しい方なんだろうけどネ(プラントがMCで言及している)。

「ハートブレイカー」は、バッハからフィーリン・グルーヴィまで、盛りだくさん。
「フレンズ」がライブで披露されたのは、この時のみで貴重だが
セッションのような出来だ。Bassは、フィルカーソン氏だと思われる。
「胸」のアドレナリン・エンディング、「サンキュー」の爆発バージョンなどなど…
避けて通れない、必聴アイテム間違いなしだ。













November 11
- Newcastle, England


参考音源 :TEDDY BEAR'S PICNIC
ソースの状態 :
良質オーディエンス

1971年の締めとして「IV」発売に伴う UKツアーが行われた。
この日が初日で、当地では発売日当日でもある。

乗っけから全員好調で、プラントも声が良く出ている。
「Black Dog」や「貴方を」で微妙に乱れが生じる箇所があるが
英国ツアーのお約束ということで、それもご愛嬌。
「R&R」が正式に、プログラム半ばに登場。
「IV」収録曲を紹介する度、オーディエンスが盛り上がり
同アルバムの人気の程が窺える。

アコースティック・セットの準備中、ハウリング騒音が発生している。
アコースティック曲は何れも、しみじみと演奏されており
その辺がまた英国らしく、おもしろい。
「Tangerine」は G#が当ツアーにおける正しいキーのようだ。
このアイテムは同曲までの収録。







November 16
- Ipswich, England


参考音源 :OVER THE TWELVE FOOT END
ソースの状態 :
まあまあ良質なオーディエンス / 要スピード調整

「移民」でのプラントが少々苦しそうだが
それを除くと、全員相変わらずである。
「Heartbreaker」ソロには、バッハと「Feelin' Groovy」入り。
「Black Dog」導入部でメンバー間に勘違いが生じている。
「Going To California」「That's The Way」に若干カットあり。
このツアーから「幻惑」は、メイン曲として後半に移動している。
同曲にも、ところどころカット箇所があるが、演奏自体は
変化に富んだ素晴らしいもので、次々にセクションが繰り出されている。
「強き二人の愛」はカット・イン。これも自由な演奏で楽しい。
「祭典の日」も後半に演奏されている。
次の「胸いっぱい」オープニング1分ほどでカット。
以降は未収録。

どの曲も熱くプレイされているのだが、それに相反して
オーディエンスが静かで、どことなくお披露目会のようであり
BBCライブのような、奇妙な感じを受ける。







November 20
- London, England


参考音源 :ELECTRIC MAGIC SHOW
ソースの状態 :
音質は並だが人工リバーブの疑いあり / 若干スピード調整が必要

ロンドンでの公演は「エレクトリック・マジック」と銘打った
ある種のイヴェントのような形で行われ
前座として、サーカスや曲芸が登場したということである。
会場となったウェンブリー・アリーナは、これをきっかけに
イギリスにおけるロックコンサートの、重要会場のひとつになった。

全員好調であるが「貴方を愛しつづけて」の後半に乱れが生じるなど
ロンドン公演特有の、緊張感から来ると思われる凡ミスも、時折見受けられる。
「Heartbreaker」ソロは、バッハと「Feelin' Groovy」入り。
「R&R」は、ドラムのイントロにジミーのリフが被る、大阪スタイル。
これは「IV」リリースに向けて、イントロの拍子を判りやすくするために
サービス的な意味合いもあって行っているプレイなのかもしれない。
「幻惑」は荒々しいバージョン。
早弾きコーナー後に「Gallows Pole」風展開となり
その後、かなりはっきりと「クランジ」が登場。
「祭典の日」のイントロにはサイケデリックな導入部が付けられている。
後半でもジミーは、様々な技を繰り出しまくっており
一瞬「The Rover」のようなフレーズも登場したりしている。

「Heartbreaker」からの収録。
「胸いっぱい」後半メドレー途中で、フェイドアウト。
途中に何箇所かテープトラブルなどが有り、音が切れたりするのも少々残念。

いかにも冬のロンドンといった感じの、寒々とした音響が渋い一品。







November 25
- Leicester, England


参考音源 :MYSTICAL MAJESTIES REQUEST
ソースの状態 :
音質は並 / 要スピード調整

相変わらず「移民」でのプラントがキツそうで
ちょっと無理をしているな、という様子が伝わってくる。
当ツアーに限らず全体的に言えることだが
ことプラントに関しては、どうも冬が苦手なような気がする。
調子が落ちて行くのは冬のツアー時期が多いからだ。
Vocalistだけに、もろに季節の影響を受けている気がする。
UKツアーが秋冬に集中していることも
無関係ではないかもしれない。

そういった気になる点を除くと概ね好調。
英国らしい、ほのぼのとした雰囲気が楽しめる。
「祭典」後半からボンゾが頭打ちパターン攻撃。
エンディングまで演りとおしている。
「タンジェリン」序盤でジミーがコードをミス(?)頭からやり直している。
「幻惑」の前では、オーディエンスと
コメディ風やり取りが行われるなどリラックス状態。
弓コーナー前でヘビーな展開になったり、なかなかアツいテイク。
後半には、この日も「黒いジャガー」が登場。
どうにかしてファンク・セクションを盛り込みたいようだ。
後の「クランジ」挿入の布石となる部分だろう。
「天国」も丁寧な演奏だが、ジミーのソロ入りが遅れたり
ギターのチューニングが狂ってくるなど多少クールダウンしている。
ところで曲順はここが正しいのだろうか。

「胸いっぱい」前半に一瞬カット箇所あり。
「ブギーチラン」の前では、いきなり「Going Down」を演奏。
ヘビーなリフが、えらくカッコイイ。
その後は「メリー・ルー」などお馴染みのスタイルに戻っている。
ボンゾがフザケ気味で笑える。
アンコールは「R&R」と「Communication」ロング・バージョン。
会場は大盛り上がり。

UKものはフル収録音源が少ないので重宝する一品。












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1970
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