1975

January 12
- Brussels, Belgium


参考音源 :It's Time To Travel Again
ソースの状態 :
レベル変動が激しいが音質はまあまあ / L-ch再生もまた良し

1年半のライブ休止期間を経て ZEPの軌跡・第2楽章の始まりである。
個人的には 73年US〜本年5月のUK終了までが
Zepライブ、第二の全盛期だと捉えている。
この年を境に、音楽性や活動パターンなどが一新され
それが所謂「後期」という形で解散時まで続いているのも確かだが
ライブ・クリエイターとしては、まだこの時点では
73年からの流れを汲んでいると考えているからである。
つまり簡単に言うと、この年までは(Live的に)前向きだったということである。

さて例によって、全米ツアーに向けての
ウォーミングアップ・コンサートが欧州にて行われ、
この日は前日のアムステルダムに続く二日目である。
さすがに 1年半のライブ活動休止は演奏にも響いており
過去のレパートリーは、思い出しつつ
どうにか、こなしている程度の出来具合だが
風邪をひく前の 75年プラントを聴けるのは
この日のみなので、ある意味貴重かもしれない。
ジミーは指を怪我しているということもあって
比較的押さえたプレイに徹しているようだ。

「R&R」ドラムソロから新曲の「Sick Again」に直接繋げられている。
この後プラントの MCが入るが、ボンゾが曲を勘違いしたのか
いきなり、威勢良く「Levee Breaks」のイントロを開始。
それは違うだろ、ということでストップ。改めて「丘の向こうに」に入っている。
オーディエンスもボンゾのプレイで一瞬沸いてしまったりするなど、
なかなか気まずい瞬間だ。
「丘の向こうに」終了後、いよいよ本当の「Levee Breaks」。
先ほどと違い、ボンゾの出だしが地味になっている。
この曲は、本ツアーにて初登場なのだが
ブルーズ色を強める意味合いで加えられることとなったのだろうか。
確かに、このツアーからの Zepライブサウンドは
ボンゾを中心とした重厚スタイルに変化しており
ニューアルバム「フィジカル」のカラーにも合っている。
プラントの声の本来の調子も、ここである程度判る。
彼は前年に喉の手術を受けたと言われており、
アルバム「フィジカル」におけるヴォーカルも、その影響なのか
いささか擦れ声となっているが、ここでは割と普通の声で歌われている。
ただ、本来のメロディラインには音域が届いておらず
ちょっとパワー不足でもある。
フェイクで逃げられるような曲でもなく、これで 6分余りの
演奏時間を持たせるのは、なかなか難しいといったところだろう。
久々のハープ演奏はイイ感じで、ボンゾのリズムパターンも面白いが
全体としては、ツアー開始早々(10日後!)に
レパートリーから消えてしまうのも理解できるようなテイクだ。

「永遠の詩」では久々に、シンコペーション・ボンゾが炸裂。
新曲「Kashmir」は、一瞬展開を見失う箇所もあるが何とか終了。
Bassペダルの音が余り出ていないのは残念だ。
続いても新曲の「Wanton Song」。
これは、なかなかカッチリ決められている。
ある程度まともなプラントのヴォーカルが聴けるのも嬉しい。
腕馴らし的な「No Q」を経て、新曲「Trampled Underfoot」。
これも気楽にこなせたようだ。
続いて新曲「死にかけて」だが、これはボンゾが例の箇所で
さっそく間違いを披露し、とっ散らかっている。
それを除くと、初演二日目にしてはなかなか頑張っているプレイだ。

このツアーからトリが、聖歌「天国への階段」となり、これが解散時まで続く。
ある意味 Zep神聖化の始まりであろうか。
それを考えると、なかなか興味深い。
アンコール前ではオーディエンスが激しく盛り上がり。
ボンゾも、サッカー風リズムで応えている。
アンコールは「胸いっぱい」リフから「Out On The Tiles」リフ〜「Black Dog」。
これも当ツアー独自のアレンジで、この時点では
まだ「胸いっぱい」は単なる導入部扱いだが
へヴィーなリフは恐ろしくカッコよく、かなり聴き堪えがある。
本体の「Black Dog」後半部で、プラントが歌詞をド忘れ
何度も歌い直した結果 Band を演奏停止寸前状態に陥れるという場面がある。
何とか乗りきるのだが、なかなか笑えるコーナーである。
追加アンコールは「Communication」。
イントロ前には、なんと「Walter's Walk」エンディング・リフが付加されている。
このような初期の楽曲におけるジミーは、
まだタイム感が健在で、体力に余裕があるのが判る。
過酷なツアー(と、ツアーフィーバー)こそが
彼らを蝕んでいった主な原因なのだろうと思わせる。
若くて元気なら、ツアー後半の方が熟成して来るのだろうが…。
その辺の兼ね合いも、また 75年全米ツアーの醍醐味である。







January 21
- Chicago, Illinois


参考音源 :LIVE ON THE LEVEE (Communication 未収録版)
ソースの状態 :
片チャンのみで聴いてみるのも良し

ジミーは指を捻挫、プラントはインフルエンザで
一般的に、散々な出来だと思われてるようだが
実際に聴いてみると、意外に好演で驚かされるだろう。
ツアー序盤で、新曲などかっちり演奏されているし
なにより、体調にもめげず
一生懸命やろうとしている様子が感じられて、好感が持てる。
プラントの声は、確かにまったく出ていないが
オーディエンスと良い関係を持つべく頑張っているようだし
ジミーも、指の不調がところどころ窺われるものの
フレーズそのものは生き生きしており、ツアー終盤とは全然違う。
バンドの状態が、この時点に於いては
まだ 73年側に属しているのが判る。
「Wanton Song」や、この日が最後の演奏となる
「Levee Breaks」など、珍しい曲も披露されているし
ジミーの怪我の為「幻惑」の替わりに演奏された
「How Many More Times」が聴けるなど
75年の中では、それなりに重要な意味合いを持つライブではないだろうか。
今やヴィンテージとなった
「カシミール」や「死にかけて」などの「フィジカル」収録曲が
どのように変化していったのか、歴史の貴重な資料としても楽しめる。
「フィジカル・グラフィティ」は、この時点で未発売であり
これだけ大量の新曲を携えての全米ツアーは、1971年以来のことである。
これらの曲を新曲として、初めて
ライブで耳にした人達の気分になってみたいものだ。

アンコールの「胸いっぱい」メドレーにおける
「Out On The Tiles」リフから「Black Dog」が始まる部分で
オーディエンスが段階的に盛り上がってゆくのが、なんともいえず感動する。

この音源には収録されていないが、この日は
追加アンコールで「Communication Breakdown」も演奏されている。
なかなか爽快なテイクで、間奏におけるギターブレイクなど
スリリングでカッコいい。ツアー序盤ならでは、の好演。






January 24
- Cleveland, Ohio


参考音源 :ULTRAVIOLENCE
ソースの状態 :
低音ブーストで多少音質向上 / 要スピード調整

新曲やツアー自体にも慣れて来たようで
全体的に、しっかりした演奏が繰り広げられている。
プラントの声はまだまだだが、それさえ気にしなければ
ツアーの中の「単なる一日」という感じで、普通に楽しめるライブだ。

「Sick Again」エンディングにはヴォーカルとギターの
ユニゾン・フレーズ「Ah〜Ah〜 Ah Ah」が登場。
「死にかけて」や「Kashmir」など、新曲は揃って好演。
「Wanton Song」も、スカッと快演。
後半部では新たなキメ・フレーズが登場するなど
なかなかカッコいいテイクだ。
「How Many More Times」の展開も、流れが良くなってきた。
プラントも、声は出ないが頑張っている。
テープに細かいドロップアウトがあるのが残念。
エンディングもカットされている。

アンコールは「胸いっぱい」から「Black Dog」へ。
相変わらずの盛り上がりだ。
続いて「Communication」が演奏されているが
ここでのジミーは少々様子が変で、ところどころキーを外している。







January 25
- Indianapolis, Indiana


参考音源 :CONDITION BREAKDOWN
ソースの状態 :
まあまあな音質のオーディエンス / 要スピード調整

相変わらずかっちり演奏されており、好感が持てるが
プラントの風邪は、再び悪化。
まったく声が出ていない上、ゲホゲホ咳などをしている。
既発表曲はフェイクで何とかこなしているものの
新曲はメロディ・ラインがよく判らず、ちょっと苦しい。
ジミーは、そこそこ弾けるようになっており
やはりツアー終盤に比べると、元気は有るようだ。

「Sick Again」は何とか聴ける新曲のひとつ。
「Wanton Song」も演奏の締りが良く、そこそこ聴ける。
この日を最後にツアーのメニューから外されたので
貴重な最終バージョンだ。
「死にかけて」は音源に収録されていないので、演奏されたのかは不明。
「永遠の詩〜Rain Song」はギター(6弦側)のチューニングが狂っている。
同メドレーにカット箇所あり。
「No Q」にも細かいカットがあるが、演奏はしっかり行われている。
「Moby Dick」も中間カット有り。
MCで 「古い曲だ」と紹介され、オーディエンスが沸き「How Many」へ。
同曲中間部もカットされているが、 これも多少聴きやすいものとなっている。
「天国」はギターソロに入る部分でジミーがタイミングを失い
導入部のボンゾのティンパニフレーズが、仕切り直しで 2度繰り返されている。
ソロの構成も前後入り乱れており、ジミーの動揺が窺える。

ボンゾ&ジョーンズ氏の堅実プレイに支えられ、なんとか終了。







January 29
- Greensboro, North Carolina


参考音源 :A QUICK GET AWAY
ソースの状態 :
まあまあな音質 / 激しく遅いので注意

プラントの風邪が酷くなり 26日のセントルイス公演が中止。
この日は休み明けとなったわけだが、休みボケなのか
既発表曲は何とか聴けるものの、新曲は殆どボロボロ。
ジミーも下手ではないがヤケクソ気味で
構成など無視して突っ走り、かなり殺伐としている。
忘れているというより、ちゃんと演奏しようという
その気持ち自体、無いようだ。
だが、その破天荒さが逆に往年の彼らを思い起こさせ
ある意味、興味深いライブともなっている。

プラントの声も、擦れは軽減しているが余り出てはいない。
「永遠〜Rain」は、なかなか健闘。
ただし、残念ながらラスト寸前で F.O.してしまう。
「Trampled Underfoot」でのジミーも、そこそこ熱演。
「How Many」はカットも少なく、展開が良く判る聴きやすいテイク。
弓コーナーの前に「幻惑」のセクションが一部付け加えられている。
この辺から、プラント以外のメンバーは徐々に回復。
過去、何度も演り慣れた曲なので、調子が出てきたのだろうか。

アンコールは「胸〜Black Dog」と「Communication」。
「Communication」後半部で「Rover」のリフが一瞬プレイされている。

この日のライブ終了後、Zep御一行様が会場脱出に失敗、
大トラブルに巻き込まれるのは有名なエピソード。
この音源にも、アンコール終了直後に
「ちょっとゴメン」と言うような客の声が入っている。
メンバーを追っかける為に急いで会場の外に出ようとしている
フーリガンの一味なのかもしれない、などと想像すると妙に笑える。
当アイテムのタイトルも、この事件に因んだものだろう。







January 31
- Detroit, Michigan


参考音源 :TUNE UP
ソースの状態 :
パンニングが鬱陶しい箇所あり / 音質は並

プラントはそこそこ回復しており、多少聴きやすくなっている。
ジミーの演奏も丁寧さが復活しており
通常状態に近くなってきているのが判る。

「7年間の良いところを…」というお馴染みのMCの後
「丘の向こうに」のイントロが開始されると会場が大きく盛り上がる。
曲の人気の高さを窺わせる部分だ。
「死にかけて」も後半プラントが苦しそうだが
全体としては、なかなかの快演。
「永遠の詩」イントロで一瞬とっ散らかりそうになり
ヒヤっとするが、無事曲に突入。気力が戻っているようだ。
「Kashmir」は、ボンゾの一発フィル付き。
後半乱れそうになるが、そこまではカッチリとした演奏で好感が持てる。

「No Q」では、ジミーが炸裂。
既発表曲は暖機の役割を担ってもいるようで
気分よくプレイしている様子が伝わってくる。
「Tramled Underfoot」も、スッキリとしたテイク。
「How Many」でのジミーも元気で、荒々しく弾きまくり。
この日も「幻惑」のセクションが付け加えられており
同曲のセットリスト復活を期待させるものとなっている。
弓コーナー後の後半部は未収録。
「天国」でもジミーは弾きまくり。
まるで指の調子を確認しているかのようだ。
アンコール「Black Dog」では音を外してる部分があったりもするが
なんとかテンションを維持したまま無事終了。







February 3
- New York, New York


参考音源 :HEAVY METAL HULLABALOO
ソースの状態 :
スピード調整が必要 / 話し声が喧しいがそれ以外は良好

いよいよ待望のNY公演。
75年は変則日程となっており、この日が NY初日だが
この後一旦 NYを離れ、また7日、12日に戻って来るスケジュールとなっている。
プラントの風邪やジミーの指は、気にならない程度に回復しており
MSGということで、全体的に気合の入った演奏が聴ける。
ボンゾも大張り切りで、少々突っ走る部分もあるものの概ね素晴らしい演奏だ。

「死にかけて」は若干、構成を把握していない部分も見受けられる。
「永遠の詩」ではゴングが登場。ボンゾの憎い演出だ。
「カシミール」も、新曲 NY初披露ということもあってか、全員熱い演奏だ。
「No Q」も引き続き好演。

「モビーディック」が終わり、
プラントがジミーの指の怪我の回復について触れると、
観客が大いに盛りあがる。
待ちに待った「幻惑」の復活だ。
1973年7月29日 同会場以来のライブ披露となった「幻惑」は
進行に少々難が有るものの、箇所箇所では勢いのあるアツイ演奏が聴ける。

アンコールではプラントも全開。
ブギー風のジャムから「Communication」へ。
カッコイイ演奏でばっちり決まっている。
「Death Wish II」でお馴染みのスローファンク風ジャムへと続きエンディング。
このような変幻自在の展開ぶりを耳にすると
この頃の彼等が、どれだけパワーに余裕があったかよく判る。
彼等にとっても、素晴らしい夜となったことだろう。







February 6
- Montreal, Canada


参考音源 :
アナログ / When The Levee Breaks
ソースの状態 :
Highをカット、LRミックス mono で普通に聴ける

この日の音源は、個人的に思い出深いものである。
ブートが「海賊盤」と呼ばれアナログ・レコードだった頃
大枚はたいて購入したのが、この音源だったのだ。
ギーガのジャケットに惹かれ、つい手を伸ばしてしまったのだが
あまりの音質にグッタリ、以降 CD時代が訪れるまで
一切、この類のアイテムに手を出すことは無かった。
それくらいダメージは大きかった(リイシュー盤は音質修正された)。
ただ、ギンギンのディストーション・ギターで演奏された
「死にかけて」のイントロを聴き、こんなにカッコイイ曲だったのか…と感動、
この曲の素晴らしさが理解できた、という記念のレコードでもある。
結局、このレコードは数年後に売ってしまったのだが
今思うと惜しいことをした。若気の至りだった(15年前のことです)。

さて、この音源は独特の Stereo効果が施されていることでも有名である。
元々このマスターは、リアル・ステレオ・オーディエンスであるが
音源所有者によって激しいパンニング処理が加えられている。
これは大変聞き苦しいが、幸いなことに
この音源は、経年劣化による音質低下が殆ど無く
オリジナルの状態が保たれたものとなっており (関連項目)、
モノラル(LR Mix)でも、ほぼ同等の音質で聴くことが可能となっている。
加工前のオリジナルマスターが入手できない現段階に於いては
モノラル化して聴くのが、考え得る最良の策だろう。

全体的に乱れる箇所も多い日だが、ツアー後半と違って元気なので、
逆に、そんな部分さえも Zepらしい感じがして、ご愛嬌として聴けてしまう。
プラントの声の状態は多少後退しているが、これも容認範囲内。
「丘の向こうに」のギター・ソロ直前で弦が切れたのか、
通常とは異なったフレージングとなり、ソロに入るとギターの音が消え
しばらくプラントのヴォーカルアドリブで繋いだ後、復活。
自棄になったのか、その後ジミーは怒涛のように弾きまくっている。
「死にかけて」でも一瞬ギターの音が途切れる箇所がある。
「永遠の詩」開始直前に間が開き、ボンゾが遊んだりしている。
このメドレーや「No Q」など、過去のレパートリーは
73年 USの水準に、かなり近づいてきたようだ。

「Kashmir」のイントロ前には、ボンゾのスネア一発フィル付き。
「Trampled Underfoot」は、なかなかの好演。
ジミーの「ヒャラリラ節(笑)」が炸裂している。
これは、このツアーで目立ってきた独特のフレーズなのだが
妙にコミカルな味があり、個人的には割と気に入っている。
「Moby Dick」にカット箇所あり。

復活 3日目となる「幻惑」は、
73年の全米ツアーを彷彿とさせる荒々しいバージョン。
アナログ盤時代、私はこれを聴いて
「あまりサントラと変わらんじゃないか」と感じ
それがレコード売却を決断させた理由のひとつでもあったのだが、
実は、案外珍しいことだったのだ。知らないというのは怖いことだ(笑)。

「天国」も熱演。ジミーも元気だ。
アンコール「胸いっぱい」は、ジミーが一瞬リフを爪弾いただけで
オーディエンスが大いに盛り上がり、なんとも言えず感動する。
続くメドレーの段階的歓声も相変わらずで、グッと来る。
「Black Dog」終了後、終演の合図と思われる不気味なサイレンが鳴り響くが
オーディエンスの熱狂はまったく衰えず、それに応えるかのように
「Heartbreaker」が、追加アンコールとして演奏された。
ここでのジミーも元気で、短めだがスカッと快演。
エンディングでは、みんなパシッと終わっているのに
ジョーンズ氏が終わり損ね、Bassのみ 2フレーズほど残ってしまう。
なかなか気まずそ〜で、笑える瞬間である。






February 8
- Philadelphia, Pennsylvania


参考音源 :Philadelphia Special
ソースの状態 :
若干の要スピード調整 / 音質はまあまあ

三日連続日程の最終日ということで
実にまっとうな(笑)好ライブである。
残念ながらカットが多く
また、周りの客が喋っていたり、と
あまり落ちついて聴ける音源ではないが
資料としては、なかなか楽しめるものだろう。

1曲目「R&R」から早速 2〜3箇所のカット。
「Sick Again」エンディングでは
ボンゾが一発、はみ出していて笑える。
「丘の向こうに」も出だし付近でカット箇所あり。
「死にかけて」から、しばらくはノーカット。
この辺も進行はバッチリで、プラントも好調だ。
客が騒いでいたようで「永遠の詩」後半で
プラントがしきりに「Take It Easy!」と言っており
「Rain Song」終了後も、注意をしたりしている。

「Kashmir」のイントロ前に、ボンゾのスネア一発フィル付き。
これもスカッと快演。
音だけで聴く場合、この曲を一番しっかり演奏しているのは
実は、この辺の時期のような気がする。
曲自体、発展させようのないアレンジだということもあって
力んだ結果、とっ散らかる場合も往々にしてあるからだ。
しっかりしていれば良い、というわけでもないのだが。
なかなか難しいものである。

「No Q」でのジミーも 73年ツアーを彷彿とさせるような好演。
後半に一瞬カット箇所がある。
「Trampled Underfoot」も一瞬カット有り。
ここでのジミーも弾きまくっている。
延々と同じフレーズを繰り返すなど、ノリノリのご様子。
「幻惑」はノーカット。これも爽快な演奏だ。
サンフランシスコ前にスパニッシュ風フレーズが一瞬登場。
何故か、弓コーナーの前で少し間が開いている。

プラントの感動的なMCのあと「天国」へ。
これも一瞬カットがあるのが残念だが
なかなか情感的なテイクで、特に前半はグッと来る。
アンコール「胸いっぱい」は焦らし作戦で大盛り上がり。
この日も「Heartbreaker」が演奏されている。
オーディエンスが喧しいが、その熱狂ぶりには感動。
中間部も、縦横無尽の展開がカッコイイ。

これを聴くと、つくづく75年はターニング・ポイントだなぁと感じる。
ツアー後半の崩れた演奏に慣れた耳で、前半日程の
この日のようなライブを聴くと、あまりの違いに驚いてしまう。
このツアーのすべての音源を、順に聴き進むと
Zepがどのように崩れて行くのか、手に取るように判るだろう。

この音源が完全収録であったなら、少なくとも
Baton Rougeくらいのアイテムにはなったのではないだろうか。
そんな夢を見させてくれる一品。






February 12
- New York, New York


参考音源 :Can't Take Your Evil Ways (オーディエンス版)
ソースの状態 :
良質オーディエンス(stereo) / 片チャンのみ再生も良し

再び NYに戻って MSG 3度目の公演。
独特のハコ鳴りが、サントラの
「73年 USツアー」を思い起こさせ期待にワクワクしてくる。
ツアー前半ということで、まだ緊張感もあり
崩れ切らず、割ときっちりしつつも気合の入った演奏、
という、バランスの取れた好ライブだ。
MSGにおける最終日ということを意識したのか
ジミーには固さが感じられる部分も若干あるものの
全体としては、なかなか健闘している。
プラントの声も再び一進一退という感じだが
それでも、しっかり歌おうとしている。

「No Q」の中間インプロ後半部では
ジョーンズ氏が変わったコード進行をプレイ(仏映画サントラ風)
バリエーション・バージョンへの移行の予兆が窺える展開となっている。
「幻惑」は、ちょっと苦しい部分もあるが、物凄い気迫で
メンバー間の技の応酬も多彩で激しく、なかなかスリリングなバージョン。
ジョーンズ氏も弾きまくり。
「Walter's Walk」風の展開になるが、これは少々無理があるようだ。

アンコールの「ハートブレイカー」でボンゾが切れていてオモシロイ。
ジミーのソロコーナーで、いきなりロカビリー風展開になり
それに合わせてプラントが「That's Alright」を歌っているが
声が出ず、ヘロヘロ(酩酊風 by Concert File 〜 正に!)。






February 13
- Uniondale, New York


参考音源 :Trampled Underwood(完全版) / The New Faces
ソースの状態 :
曲によってテープスピードが異なる。完全版に追加の3曲は悪い。

NY近郊連続二日目で
この日はナッソー・コロシアムで行われている。
この後のヴァンクーヴァーなどにも言えることだが
連続した日程の二日目くらいに調子が出てくるようで
プラントも、この日の前後が嘘のように声が出ているし
ジミーも指の怪我がまったく気にならないほどの復活ぶりだ。
「幻惑」など 73年バージョンに匹敵する出来で、40分間飽きさせない好演。
「Walter's Walk」も一瞬登場。次々と繰り出されるフレーズにゾクゾクさせられる。
アンコールの「胸いっぱい」でテルミン・コーナー初登場。
この時点では未だ通常のファンクスタイルだが、それがまた良い。
ツアー後半での「クランジ」導入は不要だったのではないか、とさえ思わせる。

この日のアンコールは、ロンウッドが登場したことでよく知られている。
プラントが勿体ぶって曲目紹介をした後
ツインギターで「Communication Breakdown」を演奏。
間奏、後半のスロウファンク部分など、随所でギターバトルを展開。
お互いを邪魔しない渋いフレーズの応酬は、一聴の価値有り。

全般的に、ヘロヘロ部分など殆どなく
緊張感の有る快演が繰り広げられている好ライブだ。

ひとつ気になる点は、ところどころボンゾが変であることだろう。
リズムがずれたり、いつもの彼らしくないようなプレイがある。
それほど目立たないので、気に障るほどではないのだが。
ひょっとすると San Diego 77状態だったのかもしれない(あれほど酷くはない)。







February 14
- Uniondale, New York


参考音源 :ST. TANGERINE'S DAY
ソースの状態 :
所々肝心な部分でのカットがある / Highが若干キツい

不定期日程だった75年のNY公演も、この 3 Days を以って終了。
この日はその最終日で、気合の入った演奏が聴ける。
前日同様、ジミーの指の怪我もプラントの風邪もまったく意識させない。
集中力が切れる部分も一瞬あるものの、全員すこぶる快調で
このツアーは、一旦ここでピークを迎えたことが判る。
プラントの MCも感動的で、この日を
特別な 1日にしたいという気持ちが強く伝わってくる。
この日がツアー全体の最終日でもあったら、さぞかし素晴らしかったことだろう。

この数日の、ジミー&プラントの復調によって
「死にかけて」や「カシミール」等の新曲もより磨きが掛かり
フェイクも秀逸なものとなってきている(この2曲にカット箇所あり)。
この日は特別に「貴方を愛しつづけて」が披露された。
恐らくプラントの意向だろうが、突然演奏することになったようで
ファンには嬉しいプレゼントだ。ざっくばらんな演奏で楽しめる。
「永遠の詩」もハイテンションで、ジミーは乗っけから弾きまくり
続く「Rain Song」もアツイ演奏。「No Q」も素晴らしく、
「Trampled Underfoot」も、各人の技が冴えた秀逸なバージョン。

「幻惑」は、ギターのチューニングに気を取られたジミーが
少々投げやり気味になっており、全体的にややコンパクトになっているが
それでも、同じような状況のLA初日とは全くテンションが違う。
この頃の「幻惑」は、ジミーのフレーズに
レゲエのカッティングなどが登場するのも特徴で、毎日ホテルの部屋で
ボブマーリーを掛けっぱなしにしていたというエピソードが窺い知れる部分だ。

「天国」の前にプラントが「Tangerine」を口ずさみ、受けている。
これは、後のアールズコートでの同曲の復活を示唆しているのだろうか?
続く「天国」自体も感動的で、ジミーも弾きまくり。
ソロ冒頭部分にカットがあり、完全収録ではないのが惜しいテイクだ。
アンコールでも惜しみなく全力演奏で、プラントもジミーも絶好調。
体力的にも余裕がある証拠だ。
「ハートブレイカー」の前に即興演奏が付けられており
中間ソロ部分でも、懐かしい「Mess O' Blues」を披露。
プラントは初日のような「酩酊風」ではなく、溌剌として実にカッコイイが
何故かこの日はボンゾが「酩酊風」で、特にエンディングは爆笑ものだ。
こうして、スペシャルNYナイトは笑いのうちに幕を閉じる。







February 28
- Baton Rouge, Louisiana


参考音源 :HANG ON TO YOUR HEADS
ソースの状態 :
曲によってスピードが異なるので注意。片チャンのみ聴くのも良し

2週間の休暇を挟み、ツアーも中・後半戦へ突入。
この間に、アルバム「フィジカル・グラフィティ」が発売された。

プラントの声の回復は、また一歩後退といったところだが
それを除くと、全体的に情熱的で実に良いライブである。
75年全米ツアーの雰囲気といったものが伝わってくる。
会場の鳴りも良く、へヴィー&スパーブな音圧は聴いていてゾクゾクしてくる。
新曲にも慣れてきたようで、なかなか余裕を感じさせる演奏となっている。
「Bon Soir!」と仏語でオーディエンスに話しかけるなど
プラントも、機嫌は良いようだ。

「Sick Again」で一瞬ギターの音が途切れるが、すぐ回復。
「No Quarter」中間インプロに、ジョーンズ氏のグランド・ピアノが登場。
まだ、オリジナルのリズムのままで展開されているが、なかなか好バージョン。
インプロの終わりでの、ジミーとボンゾの掛け合いが面白い。
「Trampled Under Foot」も元気いっぱいで
ツアー後半で爆裂バージョンに発展して行く、その過程を垣間見る思いだ。

「幻惑」も、いよいよ本調子になってきた。
「サンフランシスコ」セクションに「Wood Stock」登場。
その前には、エキゾティック風ギターフレーズが少し付けられている。
これも発展の過程が窺われる部分だ。
ライブアレンジの定番フレーズが出来上がって行く過程を
確認することができるのは、ライブ音源を聴く際の醍醐味のひとつだろう。
進化しなくなった時点でライブバンドとしてのZepは死んでしまう。
この頃は、まだまだ生きているという証だ。

「天国」も、マンドリン奏法とボンゾの掛け合いなど、アツイ演奏。
プラント復活を待つばかりの状態である。
アンコールの「胸」メドレーのテルミン・コーナーも変化してきている。
「ブラック・ドッグ」への繋がりも実にスムーズ。素晴らしい。
ジミーのエンディング・ソロに多少疲れが見えるのは、ご愛嬌。

壊れてない Zep。
正に「いい仕事」である。







March 4
- Dallas, Texas


参考音源 :Live in DALLAS 各種
ソースの状態 :
極めて良質なサウンドボード。Moby Dickまでの収録。

75年全米ツアーの数少ない定番サウンドボード音源である。
絶好調というほどではないが
プラントの調子は上向きでフェイクも冴え、ジミーもところどころ光っている。
だが、なんと言っても素晴らしいのはボンゾだろう。
「デストロイヤー」と共に、全ボンゾファン必携のアイテムである。
この様なサウンドボード音源では
ホントにボンゾがどれだけ優秀なドラマーであったか良く判る。
適材適所に音が埋め込まれ、決して他の楽器の邪魔にならず
全てのストロークや、生み出すグルーヴは転がるようである。
楽器の鳴りの良さも含め、全ドラマーのお手本となるべきであろう
素晴らしい、プロフェッショナル・プレイヤーだ。

オープニング4曲は、どれも必聴だが
特に「死にかけて」は、プラントもカッコよく
75年のなかでもベストバージョンのひとつだろう。
「No Q」ではジョーンズ氏の幻想的なプレイが聴ける。

75年決定版というわけではないが、揃えておいても損はないアイテム。







March 5
- Dallas, Texas


参考音源 :LIVE IN DALLAS
ソースの状態 :
要スピード調整 / Highの歪みノイズが耳障り

ダラス 2日目。
例によって、連続日程 2日目ということで概ね好調である。
プラントも含め、ほぼ通常状態に戻ったと言えるだろう。

この日の「死にかけて」エンディングも、なかなかの熱演。
「Rain Song」はメロトロンが大きく、ワンコーラス目の
音だしを兼ねた(?)密かなフレージングまで良く聞こえる。
カット箇所があるのが残念だが、面白いテイクだ。

「No Q」のソロコーナーは拡張してきており
ジョーンズ氏は、かなり長い時間ピアノで遊んでいる。
この頃のインプロはソロ部分に限ったものであり
その前後は通常スタイルのままであるが
それがまた、程よい緊張感を醸し出している。
これも一瞬カットがあるのが残念だが、
バトンルージュと並び、貴重なグランドピアノ初期型テイクだ。
「Trampled Underfoot」も快演。
「Moby Dick」は、ほぼ完全収録でありながら
肝心な箇所にネタか?と思うようなカットがあり、激しく笑える。

「幻惑」は「Wood Stock」入り。
ますます安定度が増し、中盤の激しい展開も燃える。
ボンゾの激しい応酬も聴き所のひとつ。
Zep的以心伝心の基本形が聴ける、なかなかの好テイクだ。
「天国」も好演。

アンコール「胸いっぱい」メドレーに「クランジ」が、当ツアー初登場。
プラントの「Love〜」の後、間が開き
いきなり「クランジ」のリフに入っている。
多少とっ散らかる部分もあるが、なかなか頑張っている。
テルミンコーナー終盤の、ボンゾの連打が面白い。







March 10
- San Diego, California


参考音源 :SYMPHONY IN A THOUSAND PARTS
ソースの状態 :
要スピード調整 / Panning が少々鬱陶しい


ツアーも、いよいよ西海岸に到着。
メンバーも好調になってきている。
客が騒いでいるようで、プラントが何度も注意しているが
お気に入りの土地柄ということもあって、演奏には影響ないようである。

プラントも好調で、声が良く出ている。
特に「死にかけて」でのジミーとの掛け合いは秀逸。
曲全体としても素晴らしい演奏である。
「Rain Song」も、雄大なメロトロンが聴かせる
なかなかのアツいテイク。
「No Q」でのインプロは、少々まとまりがない部分もあるが
ジョーンズ氏のソロは情感的で良い感じだ。
「Trampled Underfoot」ではプラントが入りのタイミングを逸し
その所為か、その後全員の進行がメロメロになっている。

「幻惑」は、なかなかの好演。
特に中盤以降の、縦横無尽な展開ぶりは爽快だ。
「天国」もプラント、ジミー、共に熱演。
エンディングでのプラントは、キーを下げずに歌いきっている。
アンコール「胸いっぱい」では、通常のファンク・ジャムの後
プラントのフェイクから、ボンゾが「クランジ」パターンへと突入。
これに全員が参加、しばらく演奏が続き
その後、改めてテルミン・コーナーへと入っている。

広い会場のようで少々音が遠く、またテープの状態が悪いのか
細かいカット箇所も多く、若干聴きづらいアイテムである。
調整すれば、なんとか普通に楽しめるが、やはり
どちらかというと資料的意味合いの強い音源かもしれない。







March 11
- Long Beach, California


参考音源 :LONG BEACH 1975 PART ONE, TWO, THREE
ソースの状態 :
リアルステレオ・オーディエンス / スピード調整が必要。

序盤少々落ち着かない部分も有るが、すぐ回復する。
プラントの声の調子も、ますます良くなっているようで
しっかり歌うようになってきているのが判る。

「永遠の詩」で12弦ギターのチューニングが狂っており
「レインソング」終了後、プラントがMCで
ブートレガーに対するメッセージを述べているのは有名エピソード。
「No Quarter」中間インプロは、まだオリジナル通りのテンポだが
バリエーション風な片鱗も覗え、この後の展開を予想させるものとなっている。
ジョーンズ氏は、機材周りのノイズ対策に苦慮しているようだ。
「幻惑」は、「Wood Stock」の日。
後半、ジミーが「Walter's Walk」に一瞬行きかけて止めている。
全体的にリラックスした様子で、そこそこ好演。
一箇所、カットがあるのが残念だ。
「天国」ではジミーのソロ展開が面白く、全員、演奏も熱が入っていて楽しめる。
アンコールも笑える箇所が結構あり、楽しんで演奏している様子が覗え面白い。
テルミン・コーナの前に「クランジ」も登場。
「75年クランジ」は成功バージョンがないが、この日のテイクは
余裕があるような感じで、まだまともな方だと思われる。

ところで、この日に限らず、このツアーの「Black Dog」は
エンディングでのボンゾの、ラストの決めの一発(BD + Cymでジャン!)が
幾つかのライブでは付けられておらず、なんとなく締まらないような、
尻切れとんぼのようなエンディングとなっている。
彼独特のユーモアだったのかもしれないが、ひょっとすると
Earl's Courtのように、立ち上がってスティックを回したりしているのかもしれない。

全体的に 「超お勧め」というほどではないが、そこそこ調子が良いし
なんと言っても、オフィシャル並みの高音質でバランスも良いので
幾つか揃えた後ならば、入手しても損はないアイテムかもしれない。
ステージ上の様子も良く判って楽しめる。







March 12
- Long Beach, California


参考音源 :Standing in the Shadow
ソースの状態 :
若干テープスピードが速い / 全体的に低音が割れている

いろんな意味で、75年全米ツアーの節目となった日である。
いきなり、すごい勢いで演奏が開始され、その状態はほぼ最後まで続く。
少々丁寧さには欠けるが、このハイテンションさは特筆すべきものだ。
この後、シアトルまで続く快進撃を予感させる。
ボンゾの爆裂ぶりもすごい。
「75年・連続日程最終日は名演」の法則が、ここでも生きている。

前日に引き続き「永遠の詩」でトラブル発生。
イントロが開始されたところでギターの弦が切れ
Drumsが入ってすぐ、演奏は中止されてしまう。
プラントの MCの妙もあって、思わぬトラブルに観客も大喜び(?)。
その後、再び演奏開始。「レインソング」までアツイ演奏が続く。
残念ながら、両曲とも途中にカット箇所があるのが残念。

ライブ中盤からは余裕が出てきたのか、雑さも取れてくる。
「カシミール」では、イントロにフィルを入れたり
随所にリズムバリエーションを加えるなど、気合の入ったボンゾが聴ける。
「No Q」も特筆すべきバージョン。
イントロ前で、ジョーンズ氏の
ローズによる、幻想的なインプロヴィゼイションが披露され
中間部もゆったりした 16ビートでインプロ展開。
「No Q」バリエーション・バージョンの始まりである。
中間部のインプロは、その後何度も登場するが
イントロ部分にもそれが付加されているのは
他所では、ネブワースくらいではないだろうか?
残念ながら後半部分が欠落しているが、
それでも貴重なバージョンだろう。

「Trampled」も完璧だ。
激しい演奏で、聴いていても燃えてくる。
「モビーディック」は途中にカット箇所あり。
「幻惑」も勢いのある演奏。
「天国」では、メロトロンの調子が悪かったのか
途中から、フルート部分をローズで代用。
器用にボリューム奏法で雰囲気を出しているジョーンズ氏は流石だ。

関係者の誰かが誕生日だったらしく
アンコール前で「ハッピー・バースディ」が歌われ「胸」へ突入。
クランジ&テルミンコーナーも乱れが少なく、激しい演奏でカッコイイ。
「ハートブレイカー」でも、さまざまな技を繰り出し全力演奏。
中間部ソロ部分から、そのままブギー風セッションへと続く。
体力に余裕があるのか、往年のような演奏が繰り広げられる。
しばらく様々なリズムバリエーションで激しい応酬が繰り返されたのち
曲に戻って終了。
全く危なげのない、素晴らしいバージョンだ。

このようなライブを聴くと、
いよいよ完全復活の日も近いか?という気にさせられ
なんだかワクワクしてくる。
これで、しばらくは夢を見れそうだ。







March 17
- Seattle, Washington


参考音源 :SEATTLE WON'T YOU LISTEN
ソースの状態 :要スピード調整 / エフェクトが鬱陶しいので片チャン MONOにしてしまおう


明らかに調子が上向きだと感じられるライブ。
その所為か、ソロ部分も多い。
プラントも、はしゃいでいる。
「丘の向こうに」は、エンディングに変わった趣向が凝らしてある。
「Sick Again」のラスト、
ギターとボーカルユニゾンの「Ah〜Ah〜、Ah ah」部分が何故か無い。
忘れたのだろうか?
「死にかけて」で、一瞬ボンゾが混乱する場面がある。
ヴォーカルブレイクの、プラントのフェイクが素晴らしい。
「No Quarter」の中間インプロ・ヴァリエーション・バージョンが、
いよいよ、大々的に登場。
この日は、少し早めの16ビートで展開。なかなかカッコイイ。
ジミーのニキニキ節が炸裂。
続く「Trampled Underfoot」では、
ギターにフランジャー(?)が掛けられているのが判る。
全く危なげのない、素晴らしい爆裂バージョンだ。
「天国」もアツイ演奏。
アンコール、「胸」のクランジ部分にも少し慣れてきたようだ。

「幻惑」の後半に一部カット個所有り。

ホントに調子が上がってきているのが判って、
聴いていても嬉しくなってくる良品アイテム。
この日からの4日間が、75年全米ツアーのピークだ。
Zepフリークを自負するならば、この4日間の音源は是非とも入手すべきだろう。






March 19
- Vancouver, Canada


参考音源 :PRISONERS OF ROCK AND ROLL
PHYSICAL VANCOUVER FAREWELL/ Pleeease ! (ジミー・バージョン)

ソースの状態 :
ジミー・バージョンは片チャン再生で多少音質向上 / 要スピード調整

この「ヴァンクーヴァー 2 Days」 ライブには、少なくとも2種類の音源が存在する。
ひとつは、ごく普通のオーディエンスで
若干カットの箇所も多いが、全体の雰囲気を捉えるならこちらが聴きやすい。
切れてるジミーをメインで聴くなら、もうひとつの
ギターに近い位置で録音されたバージョンも、お勧めだ。
75年当時、どのような状態でギターが演奏されていたか、手に取るように判る。
調子も上向きなので、ジミーと共にトリップするような気分が味わえるだろう。
(ジミー・バージョンは、この日から NoQ、Trampled の2曲、残りが翌日という
二日間の「良いとこ獲り編集」になっているので注意)

「丘のむこうに」のエンディングには魅力的なパッセージが付け加えられている。
「Rain Song」はドラマチックな展開で萌える。
この路線は、後のLA初日のバージョンに引き継がれてゆく。

「No Quarter」と「Trampled Under Foot」は、どちらも好演奏。
特に「Foot」は、ジミーの爆裂具合が結構来ている。
「No Q」のジョーンズ氏のピアノも良い。インプロ部分は、ゆったり16ビートで展開。

「幻惑」も、趣向を凝らした展開が次々と現われる、飽きさせないバージョン。
「Wood Stock」前にエキゾチック風ギターが付け加えられたり、
レゲエ風カッティングも登場。
エキゾチック風パッセージは、弓コーナー後にも再び現われ
プラントの「Ah〜」と共に、幻想的な雰囲気を醸し出している。
往年の勢いを取り戻しつつある、素晴らしい演奏だ。

残念ながら、これら3曲のオーディエンス・バージョンの方は、
数箇所のカット部分が有る。
「Moby Dick」も、ボンゾのソロ部分は殆ど収録されていないので注意。

73年全米ツアー終盤の頃の水準に、いちばん近付いて来るのが
ちょうど、この辺の時期だろう。
プラントも、 時々声が擦れるものの、概ね元気でフェイクも冴えているし
ジミーのフレーズも、それまでとはキレが違う。
17日のシアトルから引き続き、どんどん良くなって来つつあるので
聴いていても、期待でわくわくしてくる。







March 20
- Vancouver, Canada

参考音源 :PHYSICAL VANCOUVER FAREWELL / Pleeease ! (ジミー・バージョン)
PRISONERS OF ROCK AND ROLL (カットが多いバージョン)

ソースの状態 :
Pleeease ! は片チャンネル再生で多少向上 / 要スピード調整

二日目。
この日のオーディエンス・バージョンには
カット箇所が多い(プレスミス?)ものと、少ないものがある。
どちらのアイテムも、間近で客が常に喋っており、ちょっと邪魔である。
演奏の素晴らしさが損なわれる程の障害ではないので、充分楽しめるが
ここは是非とも、この日のステージがメインで構成されている
前述の「ジミー・バージョン」をお試し頂きたい(ただしキー調整必須)。

ライブ自体は、前日に引き続き
更に好パフォーマンスが繰り広げられている。
「R&R」のヴォーカルブレイク、
「丘のむこうに」のジミーのソロなど、乗っけから好調を覗わせる演奏。
「死にかけて」のフェイクやソロも絶品。
「カシミール」も、このツアー随一かと思うほどの素晴らしさだ。
途中で、メロトロンのベンディング操作が行なわれているのが、はっきり確認できる。
荒涼な雰囲気をよりいっそう高めており、効果的なアレンジだ。
「No Q」の中間インプロ部分は、少し早めの16ビートでの展開。
そして悪魔的な雰囲気へと変化してゆく。
「Trampled Under Foot」は今日も爆裂。
ソロ後のブレイクが多少危ないが、難なく切り抜ける。
「Gallows Pole」のヴォーカルアドリブ登場。
「Moby Dick」のエンディングでは、ボンゾを称えるファンファーレが演奏される。
「幻惑」も、前日の延長上にあり素晴らしい。
スパニッシュ・コーナーで一瞬
「Wanton Song」のBメロが登場、思わずにやりとさせられる。
この日は、弓コーナーの後「ブレイク〜早弾きコーナー」に直結。勢いのあるテイクだ。
次々と繰り出される技に圧倒させられる。
「天国」のイントロやキーボードは、何時になく情感たっぷり。ソロも幻想的だ。

そしてアンコール。
「コンサートファイル」の序章でも取り上げられた
かの有名な「胸いっぱい」オゾン・ベイビー・バージョンだ。
クランジ〜移民〜JB風〜移民〜オゾン〜テルミン…と、目まぐるしく展開する。
メドレーは、そのまま、ブラックドッグではなく「ハートブレイカー」に突入。
粗い演奏だがパワーは維持されている。
ジミーは、ここでも様々なフレーズを繰り出しまくる。

というわけで、全体的に、全員すこぶる快調。
次々に繰り出される、キレの有るフレーズやフェイクなどは
体調などのトラブルが解決し、演奏に集中できるようになった証だろう。
なんとなく、束の間の夢を見たような気にさせられる。
少なくとも毎回、この程度の演奏が行なわれていたなら
77年以降のライブの体たらくも無かったかも。
アーティストにとって、慢心こそ最大の不幸なのかも知れない。







March 21
- Seattle, Washington


参考音源 :No Quarter (完全収録版)
ソースの状態 :要スピード調整 / 妙なエフェクト処理が鬱陶しく聴きづらい


そしてシアトルに戻る。
日程的にも、3日連続ライブの3日目なのだが、好調さは維持されている。

全員ご機嫌そうで、ジミーは曲間でも色々なフレーズを遊びで弾いているし
プラントもよく喋る。
「死にかけて」で後半、一部乱れている箇所がある。
ジミーが構成を端折ってしまった様だ。
「カシミール」ではメロトロンのベンディングが行なわれている。
「No Q」でのジョーンズ氏のソロはクラシカル風、ジャズ風となかなか楽しめる。
中間インプロヴィゼイションは、ゆったり16ビートでの展開。
珍しく、切れているジョーンズ氏を堪能できる。
この後、急にプラントが、予定にない曲の披露を提案。
「貴方を愛しつづけて」が演奏される。これは、このツアー2度目のことである。
アドリブ豊富で、リラックスした演奏が聴ける。
「Trampled Under Foot」は元気一杯なのだが、
前半、構成を間違いまくっていて少々残念。「ギャロウズ・ポール」のアドリブ付き。
この日も「モビーディック」後に、ボンゾ用ファンファーレが演奏された。
「幻惑」のクラシカル・スパニッシュ風ギター部分は、より幻想的になっている。
そしてサンフランシスココーナーでは「For What It's Worth」が歌われ
そこから「Wood Stock」へ。
ジミーがレゲエ風カッティングをプレイし始めると、プラントも呼応し
「I Shot The Sheriff」と歌っている。
ジミヘン・コーナーでは一瞬ジミーの音が途切れ
その後、いつもとは違う代理コード進行となる。面白い展開だ。
後半ジミーが切れて来ており、往年の激しいバージョンを思い起こされる。

「天国」の前でジミーは、何故かルイルイのリフを弾いて受けている。
ギターソロ前、聖歌部分でジョーンズ氏痛恨の進行ミスがあるものの
全体的にはアツイ演奏で、ジミーのソロも炸裂。
ボンゾと共に、マンドリン奏法爆裂である。

アンコール、ファンキー・テルミンコーナーが長目に演奏されている。
ステージ上の様子が目に浮かぶようだ。
この日は「Black Dog」の後、更に「Communication Breakdown」と
続けて「Heartbreaker」が演奏されている。
ここでのジミーも炸裂。シアトル・スペシャルナイトを締めくくる。

この音源は、ほぼ完全収録であり内容も素晴らしいとあって
75年全米ツアーの決定盤のひとつとされている。
個人的にも、それには全く異論がない。必携アイテムだろう。

ただ、ひとつ難を言えば、音源のコンプがキツ過ぎることだろうか。
盛り上がると、すーっとレベルが引っ込んでいくので
慣れないと気になるかもしれない。
また、名演とされているが、実際は多少疲れを感じる部分も有る。
この日だけ聴けば気にならないが、日程通りに聴き進んでくると明白になる。

ちょっと厳しい意見かもしれないが
デビューから、少なくともこのツアーの途中までのZepには
ケアレスミスによるテンションの低下など、
ほとんど無いに等しかった(体調不良を除く)。
集中力の欠如というのはミュージシャン・シップとは
もっとも相反する要素ではないだろうか?
それとも「フィジカル」以降のレパートリーが
彼らにとって手に余るものだったのだろうか?
いずれにせよ、このツアーで熟してしまうのは確かなようだ。

この日のライブは、最後の輝きなのかもしれない。







March 24
- Inglewood, California


参考音源 :A GRAM IS A GRAM IS A GRAM
ソースの状態 :
録音確認でマイクに息を吹き掛ける音が鬱陶しい

いよいよ待望のLA 3 Days。
初めに書いてしまうが、1975年全米ツアーの絶頂期は
実質的に、この日の「Moby Dick」までである。
そこまでは、前回までの好調が維持されており
LAということもあって、そこそこ名演であるが、ジミーには疲れも見え
「Sick Again」のエンディングや「死にかけて」で展開を見失ったりしている。

「フィジカル」収録曲の LA初披露となったわけであるが、
いずれも反応は良く、熱狂的歓迎となっている。
これにはメンバーも、ホッと胸を撫で下ろしたことだろう。
「レインソング」は、メロトロンが大きめで
なかなか雄大な演奏となっている。
「No Q」の中間インプロは、早めの16ビート展開。
「Trampled」は「Gallows Pole」のアドリブ付き。
この後「幻惑」でギターのチューニングがおかしく、調整に手間取っており
そうこうしているうちに、フッと緊張感の糸が切れてしまう。
これ以降は全体的にめろめろとなってしまい、聴くべき部分は無い。

「天国」は 3度ほどカット箇所のある不完全テイク。
アンコール「胸」の前で、一瞬ジミーが「The Rover」のリフを弾いている。
クランジも空中分解寸前である。プラントがJB風フェイクを加えている。
「ハートブレイカー」では何とか持ち直し、ジミーのソロも長く
往年のスタイルの片鱗を覗わせる演奏となっている。

この日のライブは、コマ切れの映像も出回っており
そこでは、ナルシスティックなジミーの勇姿を堪能できる。
映像付きだと、また随分印象も違う。
良いミックスを施した、このツアーのダイジェストヴィデオでも
是非リリースしてもらいたいものだ。ジェイムス・パトリック先生。







March 25
- Inglewood, California


参考音源 :COSMIC CRAZY / THE SEX MACHINE & THE BUTTERQUEEN
ソースの状態 :
スピード調整が必要

二日目。
「R&R」途中からの収録。

前日の後半よりは少し持ち直しており、元気を取り戻している。
「死にかけて」は、後半とっ散らかっている。
「幻惑」は、前日が惨憺たる出来だったので
この日が「本当の初日」みたいなものであり
そこそこ気合の入った、ツアー平均値のような演奏が聴ける。
「天国」も前日よりは熱い演奏で、ソロも良い。
アンコール「胸〜ファンク〜テルミン」も、JB風アドリブが冴えており
変わったコード進行も登場するなど、なかなかの好演。
「クランジ」部分が殆ど無く、すっきりと聴きやすいテイクだ。

「Black Dog」では 1月ブリュッセル以来となる
「プラント・歌詞ド忘れ事件」が勃発。
再び Band を、演奏停止寸前状態に陥れている。

この年の LAは何かあったのだろうか?
例年の彼ららしさが、あまり見られないのだ。
LA到着前に、燃え尽きてしまったのだろうか?
謎である。







March 27
- Inglewood, California


参考音源 :TOUR DE FORCE
ソースの状態 :
要スピード調整

プラントは最終日ということもあって全力で歌っている。
「幻惑」で全員がバラバラになったりするなど疲れも見える。
ジミーは特に来ているようで
それは主に集中力の欠如として現れ
展開が冗漫になったりミスピッキングも多い。
ボンゾは相変わらず元気一杯だ。
「幻惑」では無理やりエンディングに持ちこもうとして、
新たな展開を生んだりしている。
「死にかけて」のエンディングでプラントの声が裏返り
同じフレーズを律義に歌い直していて笑える。
そのまま You Shook Meのフェイクへ。
「No Quarter」のインプロは、早い16ビートの展開。
ピアノソロ部分でJ.P.が一瞬、場所を見失っている。
「レインソング」ではギターのディレイタイムがおかしく
途中でディレイをオフにしている。
「Trampled Under Foot」は爆裂バージョン。
ギャロウズのアドリブフレーズも冴え渡る。
「天国」も熱いプレイ。
さすがに最終日だなと思わせるもの。
アンコール、「胸」の出だしでジミーが
Out On The Tiles風のリフを弾き始めるが、誰も乗ってこない。
JB風アドリブから「Black Dog」へ。さすがにここでのジミーはへろへろ。
お客としてはアンコールは嬉しいが、この選曲では、さすがにキツイのでは。

最後のプラントのMC、Early 1975、Good Night ! には、さすがにグッと来る。
例の事故で、夏以降の後半ツアーは中止になってしまったからね。
ツアーが進むにしたがって感覚が戻り、
中盤付近までは素晴らしいライブを繰り広げていただけに
返す返すも残念だ。













May 17
- London, England


参考音源 :NICE OPENING NIGHT
ソースの状態 :
まあまあ良質オーディエンス / 曲によってスピードが異なる

2年半ぶりの凱旋帰国アールズコートでのライブ。
全米ツアーの機材をすべて空輸し、一大イベントとなった。
当初このイベントは、翌週23日から3日間のブッキングだったが
需要をさばき切れず、17、18の両日に追加され
結果的に 5日間公演となった。この日は、その第1日目である。

初日ということで、勢いよく開始されるが
シールドの接触が悪いのか、ギターの音が出たり出なかったりしており
ジミーのいらついている様子が窺える。
「Sick Again」からは回復し、その後は激しい演奏となっている。
プラントも、声が嗄れたりしている箇所はあるものの
はりきって歌おうと、心掛けてはいるようだ。
ボンゾは概ね好調で「永遠の詩」では久々に
シンコペーション・パターンが炸裂している。
「Kashmir」も気合が入った演奏だが
後半部で一部進行を見失いかける箇所がある。

この日の「No Q」中間インプロは一風変わっており
ピアノ・ソロでアランフェス協奏曲の一部が挿入されたり
ギターソロ部分も、本来のコード進行とは異なる
Dm - Em/A で展開されるなど、興味深いバージョンとなっている。
新鮮な進行に刺激されたのか、ジミーのソロも炸裂。

「タンジェリン」エレクトリック・バージョンは、この日が初演。
12弦のチューニングが狂っているのが惜しいが
なかなか上手く切り抜けており、4人のハモリも新鮮だ。
この5日間公演では、アコースティック・セットも復活。
ここでもギターとマンドリンとのチューニングがズレている。
「Going To California」は、まだ練習中といった感じで
プラントの声が出ずに、誤魔化す箇所など
聴いているこちらの方が、気まずくなってしまう。
他のアコースティック曲は、なんとか
ほのぼのとした雰囲気へ持っていくのに成功している。

「Trampled Underfoot」は、なかなか熱い演奏。
相変わらずのプラントによる「Gallows」フレーズが冴えている。
「幻惑」は、ざっと通してみました、といった感じだが
元気なので、ところどころ激しい展開も見せる。
メンバー同士、お互いに相手の出方を窺っているのが面白い。
スパニッシュ・セクション〜「Wood Stock」も挿入。
エンディングはジミーがスクラッチを決める。これはカッコイイ。
「天国」も、リハーサルっぽいテイクで
ジョーンズ氏のリラックスしたアドリブが聞ける。
アンコール「胸〜Black Dog」は、比較的アツイ演奏。
ジミーは「Black Dog」の最終メインリフでハモリを弾くなど余裕を見せ
プラントも出し惜しみなく、張り切ってシャウトしている。
ファンク〜テルミン・コーナーでは一瞬「オゾンベイビー」風リフが登場。

2年半ぶりの祖国 UKでのライブであり
「フィジカル」収録曲、英国ライブ初披露ということも加わって
気合は十分伝わってくるが、やはりリハ不足な感は否めない。
それでも全体的に、なんとか勢いで押し通せているのは
体力に余裕のある初日ならでは、だろう。
ほぼ完全収録。







May 18
- London, England


参考音源 :RED DEVIL
ソースの状態 :
良質オーディエンス / 若干スピード調整が必要

2日目。
ソツなくこなせる程度に感覚が戻っている。
「死にかけて」の後半や「永遠の詩」の途中で
ギターの音が一部聞こえなくなったり
「Kashmir」で低音フィードバック・ノイズが発生するなど、
機材関連のトラブルは、まだ多少残っている。

「No Q」は、前日の流れを汲むなかなかの好演。
特にピアノ・ソロは、ジョーンズ氏には珍しく、大変整ったものとなっており
この部分だけ抜き出しても、十分成立するほどの出来である。
「Tangerine」も、慣れてきているようだ。
続くアコースティック・セットも、かなり良い感じで、
まだ固まり切っていないジミーのフレージングが新鮮である。
これは腕慣らし的位置付けの 2日目ならでは、だろう。

「幻惑」での意思疎通も回復しており
なかなかの熱演となっている。
「天国」も好演で、サックリこなしている。
アンコール「胸〜テルミン」は、この日もオゾン風リフが登場。

アツさは翌週ほどではないにしろ、
トータルな安定性では、この日の演奏も捨て難い。
英国らしいライブが楽しめる逸品。







May 23
- London, England


参考音源 :WELCOME TO THE SHOW !
ソースの状態 :
良質オーディエンス / 曲によってスピードが異なる

アールズコート・コンサートは
当初、この日から3日間の予定であったが
需要をさばき切れず、前週に2日間追加された。
したがって、この日は、実際は3日目なのだが
本来は「初日」だった筈の公演ということになる。
プラントはそのことを意識しており、MCでも
今日はホントの初日だから、この日のチケットを買ってくれた皆の為に頑張る、
というようなことを述べている。
ということで、この日は大イベントに有りがちな緊張感と気合が
程よいバランスでミックスした好ライブとなった。
プラントの声は、まだ出し惜しみしているし
全体のタイミングも、ところどころ怪しい箇所があるが、
それでも、翌 24日よりは熱い演奏が聴ける。

「死にかけて」のエンディングに「You Shook Me」が付けられている。
この日も「Kashmir」が始まったあたりから
キーボード周りでトラブル発生、曲中も
周期的に低音のフィードバック・ノイズが鳴っており
その障害は「No Q」のイントロまで続いている。
「タンジェリン」エレクトリックバージョンは、ばっちり決まっている。
英国ということでリラックスしているのか
アコースティックセットでのプラントは、実によく喋る。
この辺はホントにイベントっぽい感じがして良い雰囲気だ。
「スノウドニアの小屋」でのジミーのプレイも楽しい。
「Trampled」の後半は未収録。

それにしても「フィジカル」収録曲は、ことごとく全滅。
特にボンゾだと思われるが、すっかりド忘れ(?)しており
母国での大舞台に弱い彼らの体質が、ここでも垣間見られる。
凡ミスを除けば申し分ないプレイなだけに、これは極めて残念。

「幻惑」は、さすがに堂々とした演奏。
今までの集大成のような感じで、じっくりと楽しめる。
ジミーは多少乱れる箇所もあるが、気迫で引っ張っている。
プラントはここぞとばかり、オープニングとエンディングで
ハイトーン・シャウトを決める。
「天国」もなかなか聴かせる演奏で、特にジミーのソロは
フレーズも熱く、ひょっとすると 5日間で最良バージョンかもしれない。
アンコール。
ファンク〜テルミン・コーナーは切れが良くカッコイイ。

いい時代だった。
この一連のアールズ・コートライブを聴くと、
本当にいい時代だったなあ、と懐かしい気分になる。
アールズ・コート・アイテムが熱烈な支持を集めているのも
その辺に理由があるのだろう。







May 24
- London, England


参考音源 :アナログ AUD / FOURTHCOMING (AUD) /
Your Mother Wouldn't Like It ! (SB) / VTR映像

ソースの状態 :
各音源とも良質だが、SBはバランスが悪い

一般的には「アールズ・コートと言えば、この日!」みたいな
決定版にされているようだが、何故そのような評価なのか
プレイを聴く限りでは、あまり理解できない。
ただ単に、比較的トラブルが少なく聴きやすいから、とか
昔からこの日の音源が有名で良く耳にしたから、とか
そんな程度の理由なのかもしれない。
実際この日の演奏は、アナログ時代から
過去何度も、様々な形でリリースされている。
サウンドボードは、この日収録されていた映像の音声トラックのようだが
楽器間のバランスがあまり良くなく、非常に聴きづらい。
また「Tangerine」などの各種ハモリパートも省かれている。
映像付きなら、話はまた別だろうが
他の日の音源も多数出回っている今となっては
そこまで最重要扱いされるほどのものでもないだろう。

プラントの声は相変わらず出し惜しみ風で裏返りまくり
ボンゾを筆頭に、特に「フィジカル」収録曲の構成など
間違いまくっているのも、前日と同じ。
映像や音で確認する限りでは、元気そうではあるので
単にリハ不足か、または「キレ過ぎ」によるものだろう(後述)。
また、撮影ということで気負いがあるのか
肝心のジミーのギターフレーズにも、どこか熱さが感じられず
音が涌き出てくるというよりは、捻り出そうとして
もがき苦しんでいるような印象を受ける。

アコースティック・セットでのジミーは、さすがに本領発揮。
映像でも見られるとおり、実に楽しそうで
水を得た魚の如く弾きまくっており、本来の姿を垣間見られる。
またアコースティックセット全体のパフォーマンスも、
なかなかリラックスしたものとなっており、その辺の雰囲気の良さが
この日のライブを、名演と言わしめる理由ともなっているようだ。
残念ながら、サウンドボード音源は「Going To California」が未収録。

「Moby Dick」でのボンゾもキレまくりで
ソロ自体も長大だが、途中でドラムマーチを披露したり
歌いながらプレイしたりと、内容もやりたい放題。
この二日間で聴かれる、普段のボンゾらしからぬ数々の凡ミスは
実は「キレ過ぎ」によるコントロール不能状態なのでは?と
そんなことまで想像させるような大パフォーマンスである。
なお、同曲もサウンドボード音源には未収録で
オーディエンス音源にのみ収録(後半一部カット箇所あり)。
「幻惑」は前日の延長上にある演奏で、なかなか聴き応えがある。
後半戦、ジミーが激しいフレーズを紡ぎ出している、その真っ最中に
何故かボンゾが無理矢理エンディングに持ち込んでしまう。
疲れてしまったのかもしれないが、これは残念。

映像は映像なりの楽しみ方もある。
音自体はサウンドボード音源と変わらないものの
オーディエンスと一体になったり、楽しんでもらおうとする努力、
サービス精神のようなものは、プラントのMCや
彼らのパフォーマンス全体から強く感じられ、そうした姿を
実際、動く画で見るとグッと来るのも確かである。

オーディエンス音源は、まだ楽しめるものだが
この日の映像及び、それに付随する音源に関しては
Zepの本当の凄さを十分伝えている、とは言い難いのも事実。
あくまで 75年型 Zep(全盛-後期)のメモリアル・アイテムとして
意味があるのだろう、と思われる。
ハーフ・オフィシャル記録として出回っている 75年アイテムが
この日のもの中心、という現状は極めて残念である。







May 25
- London, England


参考音源 :GREAT TASTE LAST NIGHT
ソースの状態 :
楽曲部分はまあまあ。曲間は聴き辛い / L-chのみ聴くと安定

歴史的イベントも遂に最終日である。
吹っ切れたのか、パワー全開でプレイしている様子が伝わってくる。
全体的に溌剌とした演奏だ。

母国イギリス・ロンドンでのライブは
1972年暮れのアレクサンドラ・パレス以来のことであり
73年、75年の全米でのツアー成功、新譜「フィジカル・グラフィティ」の成功を受け
凱旋帰国となった、この「アールズコート」ライブが盛り上がったのは理解できる。
実際、バンド側も大盤振る舞いで
セットリストや機材面でも独自のものとなっている。
だが、音のみに関していえば、前日までのZepは、
3月頃の全米ツアーのレベルを取り戻そうとしているだけの状態であり
必ずしも、手放しで絶賛できるほどではないのも確かである。
最終日となったこの日は、そういう意味では
やっと本来の奔放さを取り戻したといえるだろう。
USツアー・ラストの地、LAでの出来が散々であったこともあり
この年のライブ集大成という見方もできるかもしれない。

「死にかけて」の「You Shook Me」が引き伸ばされていたり
「スノウドニアの小屋」の前でブルーズ風セッションが聴かれるなど
プラントも楽しんでいる様子で、余裕が窺える。
「幻惑」は、ところどころ意思の疎通が不足している部分もあるが
要所要所ではジミーも激しいプレイを聴かせ、なんとか気迫で
最後まで引っ張っており、 エンディングもパシッと決められている。
同曲がライブ演奏されるのは、これが最後となった。
アンコールは「胸〜Black Dog」に加え、最終日スペシャルで
「Heartbreaker」と「Communication Breakdown」が演奏されている。
いずれも、ジミーがイントロでじらすなど
イヴェントに有りがちな趣向たっぷりで楽しめるテイク。
「Communication」後半部では、お馴染みの
「Death Wish II 風スロウファンク」に乗せて自由な展開となり
プラントも「D'yer Mak'er」の歌詞を口ずさむなど、遊んでいる。

この音源は、何故か追加アンコールの
「Heartbreaker」以降、キーが半音下がっている。
「Rain Song」の後半がカットされているが
それ以外は、ほぼ完全収録。

人は良いことのみ記憶してゆくものである。
また、最後の印象が強く残ってゆくものでもある。
メンバー、オーディエンス双方ともに
素晴らしかった、という意見で一致していることは
まったく否定しないし、また、それは事実だろう。
だが、過去の自分達を踏襲しているだけの様な演奏は
どこか「Farewell コンサート」のようでもあり
寂しい気持ちになってくるのも確かなのである。
あくまで、英国のファンに対するお披露目、
お礼のコンサートと捉えるべきもののような気がする。
一連の Earl's Court 音源の中に皆が見ているのは
もし自動車事故による中止が無ければ、この年後半のツアーや
この後の活動はどうなっていただろう?というような夢なのかもしれない。
この最終日の演奏では、次を期待させる要素も
いくつか垣間見られるだけに、ツアー中止は本当に残念に思う。
結果的に Zepにとって、また70年代 Rockを愛する人々にとっても
このイヴェントは最後の輝きとなってしまった。

事実上、この「Earl's Court 5 Days」を以って
Zepライブ第二の全盛期も終了ということになる。












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