解説
〈左利きへのエール〉
左手にペン持て箸持て自信持て
文字通り、ほかに言うことなし。左利きであることを明らかにしてゆこう。恥ずかしいことではないのだ、普通の事なのです。自然な姿です。自信を持って胸を張って生きて行こう!
〈右利き社会〉
わが子より 右利き社会に 愛の鞭
親心 あるなら 社会を 変えてくれ
子を思う気持ちから、右利き社会で生きていく上で不便なことも多いだろうから、何とか右手使いができるようにならないかと気をやむ親御さんがいます。しかし、ホントにその子がかわいいなら、左利きだから苦労するということのない世の中に変える方が本筋でしょう。
〈左利きの生活〉
鏡見てわが振り直す左利き
鏡の中の自分の姿は右利きに変わっているので、ふだん見慣れているほかの人の姿とイメージをダブらせて、自分の動きをチェックするわけです。左手の
時計を右に変えたぼく
高校生になったお祝いに父から腕時計をもらったのですが、時計は左手にするものと教えられたこともあり、また左利きであることをかくしたい気持ちもあり、ずっと左手にしていたのですが、筆記の際に邪魔になるので気になっていました。左利きであることを隠すのが嫌になったこともあり、あるときから右に変えました。それからはあまり邪魔になることもなく、以来腕時計をするときは必ず右にしています。
恵方より持つ手が気になる左利き
2月3日は節分。関西ではこの日に、その年の恵方に向かって巻き寿司を一本丸かぶりする慣わしがあります。が、これは比較的最近のことで、海苔業者が拡販のため、すし屋さんと組んで始めたことと言われています。
左利きの人は、自分のまわりで左手を使っている人がいると目ざとく察知します。ふだんからまわりの人の利き手が気になるものなのです。
現実をひも付きペンが突きつける
銀行や役所などの受付にボールペンが置いてありますが、たいていは何処かへ行かぬように紐がつけてあります。この紐が決まってテーブルの右端に固定されていて、右利きの人には問題はないのかも知れませんが、左手使いには非常に不便です。ある程度長さに余裕があればいいのですが、中には短すぎて困る場合があります。私はこの右固定式のひも付きのペンを目にするたびに、気が重くなり、何か嫌ーな感じがします。右利き偏重社会という現実が顔を突きつけてくる感じです。
「矯正」に負けずにアサガオ左巻き
わが家では子供の頃から毎年裏庭にアサガオを植えていました。種から育てていくのですが、蔓が出てくると決まってやる遊びがありました。前の晩にある程度伸びてきた蔓を逆回りに支柱や横紐に巻きつけるのです。そして翌朝見てみると、また元通りに左巻きに巻きついているわけです。
手洗いの蛇口は左栓は右 03.4.23
こういう蛇口と水栓レバーとが別々になっているタイプの水道の洗面所があります。これは右利きの人には感じられないかもしれませんが左利きの人ではちょっとだけ気になります。
痛い手をがまんしいしい裁ちばさみ 03.9.25
ボール紙を切るのに、こそっと母の裁ちばさみを借りたもののしばらく使っていると手や指が痛くなって来る。右手に沿うような形状になっている持ち手を、左手で使っているためなのだが、ホントに嫌になってしまいます。
〈自動改札〉
手ぶらでも半身で通る改札機
自動改札に関する苦情は多いようです。半身になって左手を右前方に突き出すようにして切符を入れてとおります。あるいはあらかじめ切符を出して、右手にも誓えて、注意深く通すとか。工夫しています。
〈左手筆記〉
丸を見て仲間と気付く左書き 03.7.1
カクカクと右肩下がりの左書き 03.7.2
突き刺さる紙は破れるペン習字 03.7.2
左手筆記の特徴は、丸を書くときは、右下から始まって左回り(時計回りの反対)に描く。横棒は右からなら引き動作になって書きよいのですが、左からだと紙の表面にペン先を押し付けるように書くので、先の固いペン(鉛筆でも同じ)では紙に突き刺さり、破いてしまいます。また手先の動きが左側から半円を描くように動かすのでどうしても右肩下がりの文字になってしまいがちです。
というわけで、丸を描くと左肩上がりになります。右手筆記ですと逆に右肩上がりになります。右手筆記ですと逆に右肩上がりになります。文字でも同じです。特に丸は一目でこれは左手書きだとわかります。
〈幼き日〉
「箸は右、茶碗は左」でまどわされ
子供に右左を教える時の一般的な言い回しですが、これが頭に入ってしまった左利きの子は、右と左を間違って覚えてしまうのです。
「利き手」イコール「右」というイメージです。
そこで左が「右」になる。頭ではちゃんと左が左と理解していても、とっさに右、あるいは左といわれると混乱してしまう。
たとえば、人に道を教えるとき、身体は左手で左を指していても、言葉では「右」といってしまう事が良くある。あとでしまったと気付くのだが、教えられた人はどちらを信じるのか、言葉なら間違いを教えたことになるし、仕草を信じた人はうまくいけるだろうが…。
サウスポー昔は「ぎっちょ」とはやしたて
子供の頃は左手で字を書いたり、箸を持ったりしているところを見た人から、必ずといっていいほどこういわれました。
最近では、サウスポーとかレフティーとか、当たり前に左利きとか呼ばれますが。「ぎっちょ」あるいは「ひだりぎっちょ」は死語になったのか、ひょっとして差別用語に指定されたのか(?)、まったくといっていいほど使われなくなりましたね。
ぼくはこのごろちょっと懐かしく思うようになりました。
「ギッチョマン」なんて名前のヒーローを作ろうかと思うほどです。「弱気を助け強きをくじく」っていうのか、「差別するやつを懲らしめ、平等の世の中に、世直しする」正義のヒーロー。
「お嫁に行かれへんよ」と諭す親
ぼくの知り合いの左利きの女性の人は、みな一度はこういわれた経験があるといいます。「でも、結婚できたよ」って。
左手のやいとの痕もうすくなり
以前話した気もしますが、ぼくの左手の人差し指の背の方の、付け根と第二関節?とのあいだに、五ミリ程度のやいとの痕がありましたが、よる年波でしわに隠れて見分けにくくなりました。
小さい頃に親がなんとか左手を使わせないようにと努力した証です。
切れへんね 挟むもんかな ハサミって
子供の頃、ハサミで紙を切ろうとするたびにくちゃっと紙を挟んでしまって、切れずに難儀した記憶があります。右手用のハサミを使っていたせいだったのですが、そんなことを知らない私は最初のうちはハサミのせいと思っていたものでした。でも人がそれでちゃんと切っているのを見ると、みんなうまいなぁ、と感心して、それに引き換え自分は不器用で情けないなぁ、と思い込んでいたものです。
でも左手用のハサミを使うようになって初めてこの事実に気付いたのです。自分が不器用なのではなく、道具に問題があったのだと。三十代半ばのことでした。やはりハサミのせいだったのです。でもあの頃思っていたのは安物のハサミだから、といった理由でした。しかし、そうではなく自分の手にあったものではなかったということでした。ふだん使っていたものは右手で使うように作られた品物だったのです。
悪い手と決め付けられてしっぺされ
左手を使うたびにその手は違うと手を叩かれたりした、という記憶のある人も少なくないのでは。あなたが悪いんじゃない、その手が悪いの、とか。
〈左箸〉
お弁当かくれて食べた左箸
昔は左手使いが恥ずかしくて、隠れて食べていたことがありました。ある年配の男性は字は右手使いになったけれど箸はできなくてそれを恥と思い、いつもひとり離れてかくれるように食べる癖がついたそうです。
さりげなく箸と茶碗を並べ替え
食事時いつでもまず始めにやるのがこれ。子供の頃、母はいつも「自分の食べやすいように並べ替えたらええねんで」といってくれたものです。「お母ちゃんにはわからへんから」
人様が食べやすいように並べるのが給仕の基本です。
左端指定席です左箸
指定席争う君も左利き
私だけでなく左利きの人に聞くとたいてい、食事の際には隣の人と肘がぶつからないように左端の席に着くように心がけているといいます。かなしい習性です。
〈お花見〉
桜(はな)の下きょうは貴方も左利き
花見会酒と団子で両手利き 03.3.22
酒飲みを左利きなどと呼びますが、私はお酒は苦手なので、もっぱら花より団子ならぬ、酒より団子でしょうか。酒も好きで、甘いものもイケる人を雨風(あめかぜ)とか両党使いと呼ぶのに掛けて、こんなふうに詠んでみました。
〈春・新人〉
初めての人に会うたび「左利き?」 03.3.22
初対面自己紹介は左利き 04.4.23
新しい環境で新しい人間関係が始まると、字を書くとき、食事のときなどにこういう会話になります。そこで初めから左利きですと自己紹介してしまうようになりました。見知らぬ人にいきなり趣味の話をするのも抵抗があるし、特技といえるものもない私には、いい話のネタでもあります。
左利き文具セットで御入学 03.8.21
昨今は左利きの子用に左利き文具セットというものがあるようです。いい世の中になってきました。
〈左利きの世界観〉
少数派? それでも世界がまちごてる!
文字通り、少数派の左利きだけれど、だからといって自分たちが間違っているわけではない、ということ。
多数派が正しくて、少数派が間違っているわけではない。しかし、英語で右をrightといい、正しいという意味を持っているというのは、多数派の驕りじゃないのか?
といったものです。どう感じましたか?
左利きの人の生活の実感が少しは伝わったでしょうか?
よろしければ、ご意見ご感想お待ちしています。
02・10・10〜04・4・27
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