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妖怪おばばの怖い話
No.405 2009-09-10

第117回 ぎゃくたいされた猫

 夏休みのことでした。お父さん、お母さんが親せきのお通夜(おつや)に行き、その晩は「帰りが遅くなるけど、みちやは
あまり遅くまで遊んでいたらダメよ。早く帰って来て夏休みの宿題をしていなさい」と出かけてしまいました。

 友達の中には、小学生のくせにゲームセンターに行って、夜おそくまで遊んでいる子もいます。日ごろからみちや君は、
その子たちをうらやましい、と思っていたので、(しめしめ、今夜は貯金箱からお金を出して、僕もゲームセンターに行こう)
と決心しました。

友達は、近くでは、大人に見つかってしまうから、と遠いところのゲームセンターにみちや君を連れて行きました。
ゲームセンターは楽しくて、気がついたら、たくさん持って来たはずのお金はすっからかんになり、外も真っ暗でした。

友達は「まだまだ遊べるぞ」なんて言っていましたが、みちや君は、お金も無くなったし、お腹もすいてきたので、もう、
帰りたい、と思いました。。

「みちや君、帰り方がわかるか?」友達は少ししんぱいしてくれたけど、「いっしょに帰る」、とは言ってくれません。
「うん、だいたいわかるよ。だいじょうぶだよ、、」

歩き出したみちや君は、けんとうをつけて近道を行くことにしました。けれど、道は外れて、どんどん民家の無い方に
入って行ったのです。でも、みちや君は、(これが近道に違いない、よその家が建っているから遠回りになるんだろう)
と思い、ずんずん歩いて行きました。

いつしか家も無い道を歩いていることに気がつきました。暗い野道です。迷子になってしまったのです。

 みちや君は、泣きたくなりました。でも、周囲には何もありません。助けに来てくれる人もいないでしょう。
(神様、仏様。死んでしまったおじいちゃん、おばあちゃん。僕を助けて、、、)

その時「みゃっー」という猫の鳴き声が聞こえました。暗闇に目をこらすと、なんと子猫がいたのです。
そして、子猫は、みちや君を見上げると、(こっちにおいで)とでも言うように手招きしました。

「地獄で仏」という言葉があります。困っている時に誰かに助けられると、その人が地獄から救い出してくれる
仏様に見えることです。
寂しかったみちや君は、ほっ、とし、うれしくて、思わず猫を抱き上げました。子猫は、いやいや、をするように
飛び降りてしまいました。でも、その時になって、みちや君は、はっ、と気がつきました。

その子猫は傷だらけで、あちこちから血を出していたのです。誰かに、いじめられた、ぎゃくたいされたのでしょう。


みちや君は、またしても、(はっ!)としました。ゲームセンターに行く途中、友達たちはよろよろ歩いていた子猫に
石をぶつけたり、け飛ばしたりした事を思い出したのです。(あの猫かな、、、!?)

子猫は、黙って歩いて行きます。みちや君も黙ってついて行きました。(あの猫だったら、、、)声を掛けたり、
抱いたりするのが怖かったのです。

けれど、間もなく、みちや君は、街頭のある町中に到着しました。そこからみちや君の家は近くです。助かりました。

みちや君は、子猫にお礼を言いたくて、ふと、足元を見ると、子猫は姿を消していました。

翌日、友達の所に遊びに行く途中、みちや君は、近所のお姉さんが泣いているのに出会いました。お姉さんは
言いました。「チビの野良猫をかわいがっていたんだけど、昨日、誰かにぎゃくたいされたらしくて、傷だらけに
なって今朝、死んでいたのよ。区役所の人が子猫を持って行ったわ」


みちや君は、ぎゃくたいされて身動きが出来なかった子猫が歩けたはずないのだけど、(夕べ、僕を助けてくれた
のはあの子猫だったんじゃないかな)と思ったのでした。

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