「こ、これを着るんですか……?」
体操着を汚してしまった私に、新井さんは替えのウェアとしてレオタードを私に差し出したの……。
「そう」
とそっけなく言う新井さん。
う、うっそー!
「これで外で練習するんですかあ?」
「そうよ」
とこれまた、そっけない返事が返ってきた。
ま、まじでー!!
そんなあ……
すっーごく恥ずかしそう……
青と白の黒の生地が斜めにストライプを構成したレオタード。ナイロン地の生地は、部室の電灯の明かりを浴びて、うっすらと反射し光沢を発していた……。
「学園祭とか体育祭での発表会で使うやつなのよ」
「はい……」
「あと下には、コレ着ていいから!」
と新井さんはレオタードの下に着るワンピース状になったアンダーウェアを渡してくれた。
「はい」
私はジャージを脱いで裸になった。新井さんにそのジャージを返した。
「どうもありがとうございました!」
と裸のままで言う私。
ブルマ姿だった新井さんは、そのジャージを上から着る。
「じゃあ、私は土手の方にいってるからね!」
「はい、どうもありがとうございます!」
新井さんは部室を出ていった。
親切な人だと思ったのにぃ、こんなの着せるなんてぇ!
私はレオタードなんて着たことないの。だって体操なんてはじめてだし。
体操ではレオタードを着るのは承知で体操部に入ったわ。
レオタードなんて恥ずかしい恰好だけど、でもその恥ずかしい衣装を着てみてみたい……なんても思ってた。
しかしこんなに早く着る時が来るとは……、心の準備が必要だよう!
ドキドキしてきた……
心臓の鼓動がとまらなかった。
ドキッドキッ……
生まれたままの姿だったので、まずとりあえず下に着るワンピース状の下着をつけることにした。ちょうど水着のような形で生地が薄く、肩紐がもっと細いもの。
下着を足からはいていき、少しずつ腰まで上げていく。
あーん、まだシャワー上がったばかりで体が乾ききってないから、なかなか着れないよう……
やっと腰まではまったら、今度は下着を胸の方へと上げていきます。
最後に肩紐を両腕から通して完成。
これで生まれたままの姿から、なんとかマシな恰好なったわね。
はあ……
さて、これからなのよね。
ドキドキドキ。
今から生まれて初めて、レオタードを着るのよ……
あの恥ずかしい、でも憧れていたレオタード……
ドキンドキンドキン。
心臓の鼓動はもっと早く強くなった。
そして私はうっすらと光沢を放っているレオタードを手にした。
ドキドキドキ、手にしたときの心臓の鼓動は最高潮。
レオタードや水着特有のこのナイロン地の手触り。
うわ、どうしよっ! ついにこの瞬間がきたわ……
よし、着るよ!
私は両手でレオタードの丸首の部分を持ち、右足を少しずつあげた。
右足を少しずつ降ろしていき……
少しずつ少しずつ、右足をレオタードの中へと通していく。
それから右足をレオタードの右足口に通した。
次に左足。同じように左足を上げてから、レオタードの中へと少しずつ少しずつ左足を下ろしていく。
左足もレオタードの首口から通していき、左足口から足を通す。
ああ、緊張するよ……!
ついにここまできたわ。
ふぅ……両足をレオタードに通し終えてから一呼吸。
ああん、もう……ドキドキする!
レオタードを少しずつ上へ上へとあげていき、腰の部分をフィットさせた。
私のウェストにピタッとフィットしたレオタードは淡い光沢を放つ。
そしたら次に、さらにさらにレオタードを上へとあげていき、胸の部分までフィットさせた。まるで第二の皮膚になったように身体に密着するレオタード……。
あ、ここまで来たよ! もうちょっと!
ドキドキドキドキ……。
さてと、次はいよいよ腕を通すよ。
なんかムズカシそうだなあ。
右手をレオタードの右袖の方に入れようとする。だけど私シャワーから出たばかりで、まだちょっと肌が湿っぽいから大変!
よいしょ、よいしょ。ちょっとずつレオタードの右袖の中に腕をはめていきます。私の腕にもレオタードが密着していき、私の第二の肌が光沢を放っています。
なんだか少しずつ、別の肌に侵食されているような気分……
もう少しでレオタードの袖口から手が出せるところまできたんだけど……私の肩がなかなかレオタードの中へはまってくれない……
先に袖口から手だけを出してしまって、そこからエイッ! がんばって肩をレオタードの袖の中へとピタリとはめました!
片腕完了!! あともうちょっとで、私もいよいよレオタード姿よ!
左腕もはじめ! 少しずつ腕を袖へと通していきます。
そして手を出してから肩をエイッとはめて!
つ、ついに……
あの、恥ずかしくて、そしてあこがれていた……
レ、レオタードを……
レオタードを着ちゃった……!
す、すごいハズカシイ!
そして気持ちいい!!
私はアゴを引いて、レオタード姿になった私の身体を眺めた。
ちょっと腕の部分がまだ、きちんとフィットしてなくてダブついてるとこがあったので、ひっぱってフィットさせた。
私の身体は光沢を放っている。手にとって見たときよりも、着た後の肩が繊維が伸びるからもっと光沢が美しいの! このブルーの美しさ……
青・白・黒の繊維がストライプになったレオタード。そしてそれを着ている私……
これ私なんだわ……なんとキレイなんだろう……
部室においてある大きな姿見の鏡に、自分の身体を写してみたわ。
うわぁ、本当に……本当に……間違いなくレオタード着てるよ!
これが私なんだ!
レオタード着てるんだよ!
すっごい恥ずかしくて気持ちいい!
もうどうしよう……!
それから私は、両手で私の第二の皮膚となったレオタードを触りまくった。
なんて心地よい肌触りなのかしら……
そしてこのフィット感がたまらない!
ブルマとは比較にならないほど、身体のラインが思いっきり出ちゃう! 腰から上の身体のラインの全てが! 薄い布一枚で仕切られたほとんど裸と同じかっこだよ。
身体にピタッと密着していて、私のボディラインをくっきりと出してしまう……
だいたい何で上下がつながったワンピースなのかしら? なんか上下つなぎの服ってすごい恥ずかしい感じがする……なんか身体が包まれているって感じなの……
それから何で袖があるのかしら? 袖があるからまた恥ずかしいよね。袖がなければ水着と同じだからちょっと慣れてるんだけど。袖がある分、余計に身体が包まれているって感じがするのね……
はじめてレオタード見たときに、これどうやって着るのかしら?って思ったもの。身体が光沢のある生地で全身を覆われてしまうレオタードっていう衣装。着てみたら何てことない、ただ単に下から履いていけばいいんだけどね。でも子供心には、なんだか包まれてしまうみたいで不思議な感じがしたものだわ。
この光沢……これがまた恥ずかしさを膨らませるよ。
誰なんだろ……こんな恥ずかしさ衣装を考えたの! エライ!
そしてこんな恥ずかしさ衣装を着ている私って、いったいなんなんだろ?
こんな恰好してるのって、本当に私なんだよね?
こんな恥ずかしいレオタードを着なくちゃいけない体操部って……最高です。
なんで体操だけこんなカッコウしなきゃいけないんだろうね。
ああ、もう着るだけで、なんか感じてきたわ……変な感じ……
どうしよう、この衝動が抑えられないよ!
ずっとレオタードを着ていたい!
私はしばらくの間、私は初めて着たレオタードの恥ずかしさに堪能していた。
でも練習に戻らなきゃ……
そう! このかっこで練習に戻んなきゃいけないのよ!!
すっごい恥ずかしい!!
ど……どうしよ! あまりの恥ずかしさで緊張して、私の心が破裂しそうなの!
レオタード着るだけでも、こんなに恥ずかしくてドキドキしてるのに!
でも、行かなきゃ……
そして私は部室のドアを開けた。