国がお見合いに補助金を出す方針だそうだ。
日曜日の朝日新聞のトップ記事である。
独身男女の出会いの場を提供する市町村事業が補助対象となり、市町村では保育園や託児室などの整備と併行して独身男女の出会い・交流支援事業も行う方向であるという。
少子化対策の一環である。
「少子高齢化対策」が話題になっている。
これまでに主張されてきたことは年金をはじめとする社会保険料負担者の減少による社会保障財政の逼迫である。
対策としては労働力確保と安心して出産や子育てのできる環境の整備がまず思い浮かぶ。
晩婚化やいわゆるパラサイトシングルの増加、核家族化やDINKSという価値観の変化と、寿命の伸長に比して60歳定年制の是非も問われる。
しかし私の発想はまだまだ貧困であったか。
お見合い事業補助とは!
都市部と農村では状況は違うだろう。
たしかに私は旅行に行ったときぐらいしか農村を見たことがない。私の見た数少ない印象では、農家といえども今やわりあい法人化している。
若い男女の従業員を雇っているところは多く、また田舎というのはとかく観光地が近くにあるが、そういった観光地では東京と同様若い従業員が大勢働いている。
本当に物理的な出会いの場の問題だろうか。
私が学生の頃、女性では23〜24歳くらいが結婚適齢期と言われていた。
大学を出て2〜3年働いてその後は家庭に入る。
早い人では大学在学中からお見合いの話が来たりしていた。
まだまだ遊びたい盛りである。
しかし25歳を過ぎると「売れ残り」になってしまう。
オールドミスなどという言葉があった時代だ。
すぐ下の世代は30過ぎても親と同居しているパラサイトシングル世代である。
随分じゃないか。
オールドミスだぞ。
この響きの違い。
私の恐怖はオールドミスになることだった。
大体そういう人は怖そうな雰囲気で経理などを担当している。
今だって「お局」という言葉をOLが平気で使うがこの言葉、オールドミスに匹敵するくらい女性差別の言葉なんだぞ。
結婚をしたらどうなるかということよりも結婚をしなかったらどうなるかということの方が怖かった。
オールドミスと呼ばれOLの制服も似合わなくなり怖いおばさんになるのだろうか。
なんとなく自分にはオールドミスの方が似合うような気もするのが不安に拍車をかけた。
さらにうちには見合いの話が来なかった。
絶対に親の段階で断ってでもいるんだろうと思い自分はけしてお見合いを嫌っていない旨親に話してみたが、そんなもん来るわけないんだから自分で探せと親は答えた。
しかも公務員になれだとか学校の先生になれだとか、なぜか親は将来一人で生きていくことを前提にしたような命令をする。
これには堪えた。
その時の私にとってオールドミスは人生の敗者だった。
結婚の意味をきちんと考えもせず、ただ結婚できないのは恥だと思っていた。
うちの親は本当に私を結婚させたくなかったのだろうか。
自分で探せと言っておきながら男の子から電話がかかってきてもつないでくれなかったりしたことだってある。
恨めしかった。
お見合いをさせてくれないくせに自力で見つけた恋愛の邪魔をする。
こんなことではますますオールドミスへの道を歩んでしまい、世間から後ろ指を指されるかもしれない。
未婚の女性が男性とつきあうなんて、というニュアンスのことを繰り返し聞くにつれ、じゃあ結婚すれば文句ないわけねという気分になっていとも簡単に結婚してしまった。
これは親の作戦だったんだろうか。
今でも謎である。
社会通念の影響がなによりも大きかった。
友人の結婚が決まるとなんとも複雑な気分になった。
一歩差をつけられたような。
実際24歳くらいの年齢はまだまだ子供だ。
人生の大きな決断をこの年代でしなければならないというのがよくわからない。
ここのところそういった古い価値観は急速に薄れている。
オールドミスという言葉は死語になったし、女性が結婚を焦っているようには少なくともはたからは見えない。
シングルという言葉の響きはオールドミスとは正反対に自分の生き方に正直な自由な人種という印象を与える。
社会通念が独身を受け入れ始めた。
焦って結婚した私も、結婚後はこの世の中の風潮を甘受することにぎりぎり間に合った。
DINKS・地味婚という言葉の流行である。
結婚はしたいけど結婚式のことを考えるとぞっとしていた私は結婚式の話題が出ないように注意した。
なにしろ白いドレスを着こなせる自信がなかったし、小さい頃の引っ込み思案が作用して「主役」になるのが嫌だったのだ。
そうしたら地味婚がちょうど流行り始めた。
そして小さい子が苦手という子供の頃からの習慣を引きずっていて「子供が欲しい」と思ったことも一度もなかった。
そうしたらDINKSという言葉も使われ始めた。
自分のこの感覚だって世の中の価値観とともに育ってきたと思う。
そして今の若い者だってきっとそういうところがあるに違いない。
みんな待ってたのかもしれない。
世の中は一気に少子化の時代となった。
そこにこの政策である。
新聞によると、日本は欧州と比べてシングルマザーがきわめて少ないらしい。
未婚のまま出産する女性は年間で2%程度ということだ。
だから子供を増やすためには結婚をさせなければならない、というのがこの事業の考え方だ。
本当に突拍子もない政策だと思う。
一度変わった(進歩した)社会通念をまた元通りに退行させようというのか。
これで子供が増えたら笑止千万である。
思いのほか子供が増えすぎたら、今度は一人っ子政策をとるんだろうか。
そこまで国民というのは行政に翻弄されなければならないのか。
一律の社会通念を押し付けるところに無理があることに早く気づいて欲しい。
今だってDINKSを選ぶ夫婦がいる一方で夫はいらないけど子供が欲しいという独身女性もいる。
それぞれの価値観を尊重する政策であってほしい。
DINKSや子供が手の離れた女性の働きたい意志をもっと尊重するべきだ。
女性は男性に比べ人生の選択範囲が広いような気がする。
DINKSの女性やシングルで仕事に打ち込む女性と子供のいる女性では生活スタイルも仕事への要望もまったく違うはずだ。
それを性別でひとくくりにするからうまくいかないのではないかと思う。
現状の世の中、けして職場は女性にとって優しいものではない。
仕事優先でいきたい女性の足を引っ張って他の女性と横並びにさせる。
これは昇進の難しさや給料の違い、職場での役割分担のことだ。
仕事優先の女性にとっては求められる役割も収入も物足りないものであると思う。
しかし子供を育てながら働いている女性にとって働きやすいかと言えばそんなこともないだろう。
一部の理想的な企業では改善されているのかもしれないが、やはり子供優先にせざるを得ない女性にたいしての風当たりはきつい。
法に触れない部分では採用を拒否したり昇進を拒否したりするからだ。
帯に短したすきに長しが現状だ。
シャンプーとリンス両方の機能を持ったシャンプーは別々に売るよりも安く売るしか仕方がない。
ユニバーサルデザインの洋服を喜んで買う人はいるだろうか。
4色ボールペンを最後まで使い切った人はいるだろうか。
多くのニーズに一度に応えようとすれば必ず限界がくる。
商品やサービスだってオーダーメイドが売れる時代だ。
もっと柔軟な政策を考えなければ政府だって民営化されかねないぞ。

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