◇ ジェントルメン日記 〜深海神社〜◇
4/8 べに危機一髪
今日は驚いた。
死ぬかと思ったよ。
今日ばっかしはさだまさしがびっくりとかいわねぇ。
ってかさだまさしって誰だ。
その上寿命が縮んだかと思った。
多分縮んだ。それほどあせった。
私をそこまで追い込んだ今日の出来事、
順を追ってお話していきたいと思います。
〜〜〜
「今日、夜ご飯用意しないから。」
朝、母親が言いました。
どうやら家族全員夜帰りが遅いとのこと。
私も決算なので、帰りは遅いんです。
まあ要するに、夜ご飯は食べてきてね、ってことなんですが。
この時点で、すでに何かが狂い始めてたんだと思います。
会社に行って、たんたんと仕事をこなします。
ってか今日は全然仕事しなかったんですが、
時間の方はあれよあれよと過ぎていき、時間はあっという間に21:00。
「今日はコムタンを食べるぞ!!」
と、心の中に決めてました。
コムタンというのは、会社の近くにある焼肉兼食堂屋さん「ひまわり」にあるメニューのことで、
コムタンスープと呼ばれるものの中に、ご飯と野菜、そしてトンコツが入っていると言う
まさしく究極のメニュー。
過去に友達とここでこれを食べたことがあり、あまりの美味さにミスター味っ子の味王みたく、
「う・ま・い・ぞーー!!」を頭の中で連呼してました。
ってか実際連呼してました。
しかし値段は900円と決して手ごろではなく、当時働き初めでお金がなかった私にはとても贅沢な代物でした。
で
す
が
今なら食える!堂々と、惜しげもなくコムタンを頼める。そしてうまいぞーと、連呼できる。
今日がその来たる日なのだ。
意気揚々と食堂「ひまわり」に行きました。
「ひまわり」の中には
座敷側のカップルや、女連れで飯を食べにきているラブリーハニーゾーンと
カウンターやテーブル側の野郎一人で飯を食べているロンリーナイトゾーンという、
明らかに人生の勝敗を分けたような派閥が出来てました。
今回、私は一人で来たので文句なしにロンリーナイトゾーンへ加わりました。
ラブリーハニーゾーンからはとても楽しそうな会話が聞こえてきます。
当然の如く、ロンリーナイトゾーンからは会話なんて微塵も聞こえてきません。
茶碗を置く音ぐれぇ。なんだこの差は。
・・・でもね、でもいいんです。
私は全然さびしくなんてありません。
今日はコムタンを食べに来たんです。
コムタンがあれば人のぬくもりなんていらない。
ラブリーハニーゾーンの楽しそうな会話だっていらない。
そう、コムタンだけあればいい。
だからオレはコムタンを頼む!!
誇らしく、且つ、ジェントルメンに頼む!!
そして私はメニューを開きました!!
いやね、コムタン、メニューにないの。
全然ねぇ。コムタンのコの字もねぇ。
明らかにメニューから抹消されてました。コムタン。
なんか、メニュー10分くらい見てた。
ずっとコムタン探してた。
うん、なかった。コムタンなかったよ、ママー。
・・・
な、なんの為にひまわりに来たんだ!
心の中で連呼した。もう泣きたい。
仕方ないから牛カルビ丼にした。
最後の”ん”しか合ってねぇ。何だこの妥協は。
なんか聞くところによると、コムタンは材料の関係で
販売中止になったそうです。
主人がしきりにしっぽがどうのこうの言ってましたが、全然聞き取れなかったです。
とりあえずしっぽのせいです。
で、牛カルビ丼きたんですが、何か丼の他にサラダ、味のない漬物、
そして極め付けにラーメンが出てきて、想像以上なボリュームでした。
・・・そうなんです、前置き長かったですが、この異常なまでのボリュームが、
私の寿命を縮めることになったのです。
〜〜〜
仲間からは大食いで知られるワタクシ。
ええ、全部食べましたよ。ラーメンなんて、汁も残さずにね。
すっかり満腹になったのオレは、颯爽とお勘定!
そして帰宅路へつくため、車に乗るのでした。
ところが全部食べたとは言え、結構なボリュームだった牛カルビ丼。
ズボンの締め付けのせいでお腹が苦しくなってきました。
夜で回り暗いし、人気のない道を通るからいいだろ、
ってことで、ベルトを外し、ズボンを半分脱ぎました。
うん、今のオレ下半身パンツ一丁。
でも全然お腹が楽になりました。このままゆったり気分で家に向かって走りました。
ブーンと、颯爽と車を走らすオレ。
夜も遅いので他の車は全然通らない、とても快適な帰宅路。
そしたら何か、道の先で赤いライトが付く棒を振り回す工事帽をかぶった人がいました。
その人は遠くから棒を振り回してオレに止まれと指示してきます。
オレ
「ちっ、片交(片側交互通行)かよ。」
と、思ってブレーキ踏んだら、驚愕の事実が発覚しました。
暗くてよくわかんなかったんですが、近づいたらわかった。
あれ、パトカーだよな
工事のおっちゃんかと思った人は、警察官でした。
警察官はなんかオレの車に近づいてきます。
こ、こまるよ!! だってオレ、今ズボン脱いでるもん!!
急いでハンドルに屈みこむようにして、上着で下半身の醜態を隠しました。
でも全然隠しきれてねぇ。かなりやばい。
ですが、夜遅かったのが幸いして、暗くてよく見えない感じでした。
これならしのげるな、セーフ。
警察官は、オレの車の横について、窓を開けるように指示しました。
仕方ないので窓を開けると、
警察官
「すみません、少々免許証を拝見させてください。」
オレ
「あ、はーい。」
検問かぁ、とか思いながら免許証を探ります。
免許証は確か上着のポケットに入っていたはず、
なので上着をごそごそしてました。
ここでオレは最大のピンチを迎えました。
いえ、免許証は確かに上着にありましたよ。
あったんですが、オレが免許証出すのに手間取ったせいか、
警察官、気を利かせてくれて、ライトセイバーのおもちゃみたいな棒で
車の中を照らしやがったんです。
照らすんじゃねーよ!!!
オレ、今下半身パンツ一丁なんだから!!!!
まずすぎる、このままじゃ免許証見せても変態の現行犯でそのまま逮捕されてしまう。
それだけは阻止しなくては。
光を上着でブロックしながら、巧みに下半身を隠しつつ、
なおかつ免許証を警察官に差し出しました。
そしたら、記念にもらった古い方の免許証を渡してしまったらしく、
警察官
「あれ、これは古いやつですねえ。新しいやつないんですか?」
って言って、また車内を照らしてくれるんです。
わかったからその灯りしまってくれ!
まだ人生終わりたくねー!!
で、なんとか最新の免許証を渡すことに成功し、オレは釈放されました。
これで翌日の朝刊の見出しで
「車の中でパンツ一丁、変態男逮捕」
を阻止することができた。よ、よかった。マジでよかった。
あやうく別の意味で死ぬところだった。
社会的に終わるところだった。
〜〜〜〜
何ていうか、釈放された後で気づいたんですが、
シートベルトしてなかった。
それでも何事もなく釈放されたのはホントに運がいい。
もしシートベルトに気が付かれたら、間違いなく下半身パンツも気付かれてた。
マジあせった。
ま、これも過ぎ去ったこと、気を取り直して家に帰りました。
家に着くと、丁度母親も帰ってきた頃らしく、
外で母親が立ってました。
車を停めると、なんと母親は車の中を覗き込んできたので
また上着で下半身隠しました。
うん、まだパンツ一丁だしね!
危うく親子の縁を切られるところだったぜ。
ホント、今日は油断のない一日でした。
コムタンがなかったひまわりが悪いのか、
それとももっと体脂肪を気にしなきゃいけないオレが悪いのか、
はたまたこんなときに検問やってた警察が悪いのかわかりませんが、
とりあえず、ズボンを脱ぐという選択をした自分が一番悪いんじゃないかと思います・・・。
(つД`)゚・。