◇ ジェントルメン日記 〜深海神社〜◇
4/23 泣時
部長
「べにや、お前行ってくれや。」
仕事が期限までに間に合わず、もう一秒も惜しい状況なのに、
ウチの部長から容赦なく出動命令が下りました。
頼むからオレに話しかけないでください。
でもまあ、私も会社内ではただの一社員にすぎません。
上司の命令は絶対です。仕方ないので部長のところにいきました。
部長
「オレのお客が事故起こしてしまってやぁ、わーりぃけどもお前行ってくれや。」
あのですね、自分のお客でしたら自分で行ってください。
こちとら一分一秒の戦いなのです、期限に間に合わなかったら怒られるんですよ!?
しかもあなたに・・・。
部長
「何か事故車引き上げなきゃだから、お前積載車乗って積んでこいや。」
オレ
「ああ、じゃあ部長も一緒に行くんですね。」
部長
「違うよ。あんた一人だよ。」
ふざけんな!!
なんとも身勝手な上司なんですか。
オレのような若造に何が出来る!ゆうてみい!!
積載車は運転できますが、積むとなるとウィンチやレールをセットしなきゃじゃないですか。
ええ、どうせオレは温室育ちですよ!できるかっちゅーねん。
〜〜〜
まあ、いきなり一人で行って来いと言うのも流石に理不尽に思ったのか、
部長はサービス部工場長に話を持っていきました。
で、まあ結局オレと工場長二人で行くことに。
仕事、期限に間に合わなくて怒られたら身を投げてやるからな。
で、二人で事故現場に行ったわけですが
幸いケガ人はなく、加害者、被害者とも無事でした。
警察が現場検証してたんですが、
それも終わりに差し掛かったところにオレ達が到着しました。
車は2台。
ダイハツ ムーブと
ホンダ ライフ。
ムーブはフロント、バンパーが軽く凹んだくらいで
「あ、電柱かどこかにぶつけちゃったんだな。」くらいな損傷に対し、
ライフはもう明らかにスクラップ5秒前。
運転席側のドアは無惨にもエドモンド本田のドスコイ!をくらったような痕があるし、
窓ガラスなんてそれこそ木っ端微塵だったもんな。
コレはもはや人間の乗り物ではない。
でもね、世の中って世知辛いもんで、もう泣きそうだった。
工場長はこの製造の過程を誤まって作られたとしか思えないライフに指をさし、
工場長
「お前コレ乗って帰れ。」
いやいやいやいや、アンタは鬼ですか。キチガイですか。
どう見ても自走不可能じゃん、もうこれ車じゃないじゃん。
だってこれだよ?
↓
(撮影:自社にて)
なんでお前、バンパー取り替えたら新品同然なムーブを積載車に載せて、
「緊急警察24時」の交通事故編で
飲酒運転の男がハンドル操作を誤まった車って出そうなライフを
わざわざ会社まで運転せなあかんねや。
道行く人みんなに笑われてしまうわ。何気に運転席側ドアあかねーし。
警察がいるというのに免許証持ってくるの忘れたので
何気にヤケになりかけた頃、
女性の声
「あ、あのっ、ごめんなさい!私の車なんです!」
振り向けばそこに事故現場に咲いた一輪の花の如く、
キューティーハニーなOLがそこに立っていました。
いやね、もうね、
オレ
「いえ、全然大丈夫ですよ。それよりあなたにおケガがなくて何よりです!」
多分、このときのオレは違ったね。今までにない輝きを見せていたと思う。
そう、まさしくこの時こそ「ジェントルメンモード」!!
もうね、意気揚々と鼻息高々に廃車寸前のライフを乗りましたよ、ええ。
何ていうか、運転席は木っ端微塵粉砕粉々になったガラスが飛び散っていて、
そのまま座ろうものなら間違いなくケツが真っ赤になってしまう。
気休めに紙袋が敷いてありましたが、これはかなり危ないよな・・・。
キューティーOL
「すみません、ではお願いします。」
オレ
「はい、ではお預かりいたします。では失礼いたします。」
こうして瞬間的にジェントルメンモードになったオレは、
元、車に乗って会社へ向かうのでした。
〜〜〜〜
でも考えてみればいくら仕事とは言え、
これは耐え難い生き恥じゃないですか。
オレが事故ったわけじゃないのに、
オレがその車を運転するわけですから、
あたかもオレが事故ったみたいじゃないですか。
もうね、すれ違う人々みんなこっちを見るわ見るわ。
すっごい恥ずかしい。一生分の恥をさらした。
キューティーハニーOLのためとは言え、
この仕打ちはないよなーとか、
帰ったら部長になんかおごってもらおうとか、
キューティーOLに巫女服着てもらおうとか思いながら、
右折待ちで停まってました。
そしたら、横断歩道のところで人だかりが出来ています。
時間的に15時くらいだったんで、帰宅途中の高校生でしょうかね、それも一年生。
彼らが横断歩道で群がって、何かを投げたかと思ったら
一斉に人だかりが散りました。
そして高校生の一人がそれを泣きながら拾い上げて
ゆっくりと歩いていきます。
いじめじゃん!!
そう、オレが目撃したのは正真正銘、高校生のいじめです。
8人が1人に対していじめ。なんとも痛々しい場面でした。
あいつ可哀想だな・・・。
折角高校に入ってまだ一ヶ月経ってないのにさ。
大体ああゆうのって学校側は「知りませんでした。」とか言うんだよなー。
まあ、要するに他人事のようにその場面を見ていたわけなんですが、
もう破滅的に悲しい事件が起こったんですよ。
一通りいじめ通したのか、約8人くらいの高校生は一斉に散って行きました。
その時丁度、彼らの1人がオレの乗ってる車を見たんです。
スクラップ5秒前、廃車寸前、エドモンド本田にやられ、ガラスは木っ端微塵、
明らかに乗ってる人間がキチガイとしか思われない車を見られたんです。
そしたらあんた、
高校生ども
「ぎゃははははははははは!!!!!!!!!」
「なんだアレ!!!」
「ぶはははははは!!!!!!」
うっるせーーんだクソガキどもがあああぁぁぁ!!!!!!!!
おめぇら一匹ずつすりおろしてやるからこっちきやがれ!!!!!!!!
もう久々にブチギレ金剛さんでした。
最近のガキは礼儀を知らんわな、ほんにさ。
仕事中だったんで一匹ずつすりおろすなんて到底できず、
オレもいじめられた高校生のようにただただ泣くしかできませんでした。
泣きたい、泣きじゃくりたい。
一生分どころか、末代までの恥を今この瞬間にかいた気がしました。
〜〜〜〜
なんとか会社に着き、車を事故車置き場において部屋に戻りました。
涙を拭い、途中だった仕事にとりかかります。
そしたらまた部長に呼ばれました。
なんだよ!!とか思ったら、そこにキューティーOLの姿が!!
部長
「わーりぃけどやあ、この子、職場まで送ってってくんねーか?」
あ゙〜〜?
オレは仕事がおわんねーんだよ、
あんたから授かったお仕事が終わらないんですよ!
ってか自分で行けばいいじゃねーかよ、大体な・・・
キューティーOL
「すみません、いいですか?」
オレ(ジェントルメンモード)
「いやもう、全然いいですよ。わかりました、いってきます!」
キューティーOLをオレの穢れた車に乗せるわけにはいかないので、
店頭からノアの試乗車の鍵を借りてきました。
彼女を助手席に乗せ、さあランデブー出発だあ!
道中には
事故のこと、
キューティーOLの職場のこと、
オレの職場のこと、
会社に戻るときに高校生に笑われたこと、
そして部長とどういう関係かとかを話して、
あっという間についてしまいました。
なかなかいい子でしたよ、はきはき喋るし。
まあ、こんな心温まる出来事があっても
笑われたことは一生のキズになりますがね!
( ゚∇゚)ノシ