7MHz帯用 ヘンテナの実験

Hentenna for 40m band

2004/Oct/11 JR1LZK Yutaka Tasaki
いきさつ:

今回、6mのスタックを老朽化の為に解体したのと、サイクルのボトムであることをきっかけに、HFへのシフトを計画していましたが、なかなかいい市販のアンテナが見当たらずにいました。
以前から一度やってみたかった40mのヘンテナの実験!その大きさに躊躇していましたがこのさい思い切ってやってみる事にしました。

ヘンテナとのお付き合い:
6mの移動用に最初のヘンテナを作ったのはもう20年以上前のこと。それがきっかけで6m、10m用と実験をしてきました。特に移動運用ではその手軽さとパフォーマンスの高さにすっかりハマッテしまいました。

その後、日本では有名なヘンテナがあまり海外に知られていないのを知り、開発元の相模クラブのメンバーであるJE1DEUさんJH1FCZさんにもご協力を頂いて、このホームページでも主に海外向けにヘンテナの紹介をしてきました。
これがきっかけで、海外にもそのファンが増え、「実験してそのパフォーマンスに驚いた」、「こんなのを作ったぞ!」等といったメールをやり取りをするうちに海外にもヘンテナネットワークが広がってきました。

N4UJW-HAM Universe:
うちの怪しげな英語ヘンテナページをネイティブの英語に翻訳

WA0ITPーTerry
2mのヘンテナを熱心に実験しローカルに普及している

IK2KWC:
うちのページベースのイタリア語翻訳と追加実験

LZ5UV:
うちのページのロシア語(?だよね)翻訳

TA2FU:
トルコ語でのヘンテナ紹介と2mのデータ紹介

さらに自分でもサイパン(KH0)USバージニア州(W4)からの海外運用にも利用してそのたび新しい発見があったり、いろいろと恩恵を受けています。


さて、左の写真が今回製作した7MHz(40m)用のヘンテナの全景です。
縦のエレメントはデジカメに殆ど写っていなかったのですが、どこがヘンテナか判らないので画像ソフトで描いています。
実際にも見た感じ威圧感を与えるようなアンテナではいのでご近所の目を気にすることは有りませんでした。

なにより回転半径が3.5mで済むので隣家に近い所にタワーを建ててしまった身には有りがたいゲインのある40mのアンテナです。
以下に実験の内容を説明します。


でかすぎて1枚の写真に収まらずデジカメの2枚の写真を合成。
設計:

愛用させて頂いているJE3HHT森さんのMMANAでのシュミレーションから始めました。
シュミレーションソフトはどんなにでかいアンテナでも簡単に扱えて重宝します。
さらに今回もその再現性の高さを裏付ける事が出来たのないかと思います。
基本構造は左のようになります。
幅:7.0m X 高さ:21.0m の巨大アンテナです。

構造的なポイントとしては..
1)最上部の剛性
2)縦エレメントの軽量化
3)給電部はタワーに接触する可能性があるので絶縁可能な構造にする事

電気的な設計上のポイントは..
1)バンドの中心(7.050MHz)に同調させる
  DX(CW/SSB)、国内双方に使えるように
2)500Wの出力に耐える
  当局にライセンスされているパワーで運用可能
3)給電部にはバランを使用
  50オームの同軸ケーブルにより給電
  多少高めのインピーダンスはバランでの吸収を期待

ヘンテナはその特性上、外側のループはある程度ルーズに作っても調整で吸収できる守備半の広さが売り物のひとつ。と、いうことで、外側のエレメントは切のいい数字で作成する事にし、給電エレメントを縦エレメントのどこに繋ぐかを最大のパラメータとしてシュミレーションを行いました。

今回はMMANAの接続点連動の機能を利用し、給電エレメントの位置を設定しては計算するといった方法で追い込んでった。
その結果左の寸法のように下から4.1mのところで最も良い結果が得られた。
下がそのパターンと各種特性データです。

部品集め:

手持ちの適当な部品で作れるのもヘンテナの良いところ。身近にある使えそうな部品を集める事にしました。
 1)上部横エレメント:ナガラの6mの7エレ八木(SS76)のブーム(32φ)をリサイクル。接続部を少し伸ばして7mを確保
 2)給電部横エレメント:中央部は絶縁のため水道管塩ビパイプの中に2mmのホルマル線を入れ、アルミパイプで延長
 3)下部横エレメント:2m定尺のアルミパイプを4本繋ぎで7mを確保
 4)縦エレメント:サガ電子工業鰍フ長軽量アンテナワイヤー(AW-2.8:1.7mm)42mを使用
 5)バラン:手持ちのクリエイト製CB-2Fを使用(耐パワーが少々心配)
以上、ほぼ手持ち材料で賄えました。

加工:
上記の部品を設計上の寸法に合うように加工する。
各エレメントの接続は圧着端子で行った。


裏庭に各部品が揃った。7mのパイプは写真に収まりきらない..

給電部
塩ビパイプに斜めに穴をあけ2mmのホルマル線に圧着端子を付け、バラン(CB-2F)と接続。このあとビニールテープでぐるぐる巻きに。

給電部から塩ビパイプを通ってきたホルマル線はスエージングパイプ(CL6-DXZのエレメントをリサイクル)に穴をあけ、ここから少し折り返してタッピングネジで圧着端子を固定する。これで抜け止めも兼ねて1石2鳥。
この先のさらに6mmx2mのアルミパイプで延長した為ココはかなり腰のないエレメントとなってしまい、ステーロープで補助する事でOKとしました。
この給電部の横エレメントは重要で、「真っ直ぐピンとしている事」が良いヘンテナの数少ない前提条件になっています。
また、この部分の電線径が同調周波数などにかなり影響するためシュミレーション時は何mmの設定にするかは要注意です。

エレベータを下ろしてヘンテナの最上部エレメントをマストに取り付け中

ヘンテナ全景:1枚に収める為に魚眼広角レンズで撮影
アンテナ調整:
MFJのアンテナアナライザーを使っての測定:
ドキドキの最初の測定結果...6.89MHzに同調
当然PCのシュミレーションと実際の環境は違うのでこの程度の誤差は折込済み。当たらずしも遠からずの結果で初回測定としては合格。
今回は被服線を使った為、6mのヘンテナのように裸線を鰐口クリップでスライドというわけには行かない。それでも差分を出す為に、エイヤーで決めた18cm分だけ接続部を上に移動する事にしました。
18cm移動後の結果....6.92MHzに同調
ここで移動に対する周波数の変化量が判った。ということで、7.05に合わせる為に
更に65cm上に移動後の結果....7.09MHzに同調
やはりリニアに変化しているわけではないと言う事が裏付けられた。
それでもバンド内に何とか入った。
ここでこの日の実験は終了。一週間後に更に追い込みをかける事にした。
ところが翌週は台風騒ぎで一日棒に振ってしまった。
この日はJARLの全市全軍コンテスト。このコンテストで出来を試してみたくなり、早朝から調整しようと現状を確認したら....7.15MHzに同調
原因不明の周波数の上昇!やった事はアンテナを降ろして上げただけ..
そこで、予定より大目の33cmを戻す事にした。
その結果....7.02MHzに同調
少し下げすぎたがバンド内はチューナで整合取れる範囲ということでこれで電波が出せる。

バンド内同調記念のショット
使用感:
既存のダイポールと比べてノイズの感じが違う。
S/Nもかなり改善されており、信号の無いところは意外に静かで弱い局も混信がなければ結構コピーできる。
DX向けはほぼ100%ヘンテナのほうが良く聞える。
うむ..このアンテナは受信にこそメリットが有るのかも知れない....

バンド内の信号が全体的に立ち上がる!(ATT:12dB)
同調周波数が下がる!
全市全郡コンテストに約12時間参加(QSO数:300+)して20時頃VK9LWがSSBでCQを出していたのでチューニングを取ろうと思ったらうまくいかない。
アナライザーで再チェックしてみたら....6.91MHzに同調
ワイヤーの縦部が伸びたのだろうか?
約300kHzの低下。確かに上下にそれなりのテンションで引張っている。アルミ製の圧着端子もいつまで持つかちょっと心配。

翌日再度接続部を15cmほど高くして
今度こそ.....7.05MHzに同調
まとめ:

今回は主に実験目的なので機械的強度をあまり追求していません。
この状況だと3ヶ月持てば良い方かも..。
でも最初に期待していた状況よりかなり良いので回転機構や補強の問題を検討しても面白そうな気になってきた。

多分あと20m、せめてあと10m地上高をあげてやると本来数値に近い性能が出るのでは?

現状の環境でも技術面、運用面での課題を検討できそうなので暫く遊べそうです。
お空の方ででも聞こえてましたらよろしくお願いします。

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