甘くないのも

片加凪様     



好きな人が、出来た。
一緒にいたいと思うようになった。
手放したくないと思うようになった。

必死の思いで告白した。
おっけーだった。
──────それで、俺はこれ以上何を望むっていうのだろう。            
それで、いいはず、なのに。
どんどんと欲望が増えてくのは、なんでなんだろう。

目の前で、珍しく真剣に課題に取り組んでいるらしい恋人…
メイを見ながら、俺は思った。

うるさいヤツだと思ってたのに、
気が付けば俺の生活の中に入ってきていて、
あげく無視できなくなって、嫌でも自分の思いを自覚させられた
面倒な恋人。

人に触られるのは大嫌いだった筈なのに、
コイツにだけは触られても気にならない…どころか、
もっと触っていたいとか抱きしめたいとか思うのは、
まったくもって謎ってヤツだ。
恋の謎?とか。
──────止めよう。俺らしくもない。                      

「おい、メイ。そろそろ出来たか?」

思考を停止するために話しかけたって言うのに、返事がない。
そんな考え込むほど難しい問題だったか?

「…おい。」

もしや、と思って覗き込んでみると、思った通り。
メイは、寝ていた。

「無防備に寝るなよ、男の前で…。」

小さくつぶやいても、起きる様子はない。

…しょーが、ないよな…惚れた弱みっていうか…
離したくない、と思ったんだから。
好きなんだから。

だから、欲張りになっていく自分を嫌わないでおこう。
自分で自分が大嫌いな俺を、俺の好きなお前が好きだって言うんだから。
もうちょっと、自分を見つめてみよう。
お前の横で、ちょっとずつ笑っていけるように。

こつん、とひとつ愛情をメイの頭に落とす。
そっと、そっと。

「起きろよ。」
「うーーん??」
「寝ぼけてるな、まだ課題は終わってない。」

甘いばかりが愛情じゃない…たぶん、だけどな。

〜END〜


【御崎より】
私が一方的に押しつけた落描きのお礼に、と、こんな素敵な創作を
頂きました(*^^*)。凪さんのサイト 「夢幻堂」さんにおいてらっしゃる、
『うたたねシリーズ』の番外編、みたいな作品だそうです(^_^)。
メイに出会って、初めて自分自身や、世界と前向きに出会うキール
の呟きが、とっても微笑ましいです(*^^*)。
凪さん、ほんとうにありがとうございました!(^_^)