| 藤ひかる様 |
真剣な顔をして課題に取り組んでいた少女は、ふと顔を上げて目の前の青年に声を掛けた。 「ねえ。キール・・・?」 「なんだ?」 青年は魔道書から顔を上げずに答えた。 「あのさー。あたしのこと好き?」 どかっ!いきなりの質問に青年は大事な商売道具の頭を机にぶつけてしまった。 「ちょっと、何よ・・・。そんなに変なこと聞いたわけ?」 「お前・・・いきなりそんなこと聞く奴あるかっ!?課題をやれっ!」 「えーだってー。キールってばあんまり・・・ううん、全然言ってくれないじゃないのー。そんなんで、いーと思ってるわけ?」 「な、な、何言い出すんだ?」 少女は茶色の瞳を目一杯見開いて、頬を膨らませて青年を問い詰める。 「だーってー。そりゃ、キールって、そういうセリフあんまり言うタイプじゃないのは知ってるつもりだけどさ」 「なら・・・」 「だけどっ!Hの時は散々言うくせに普段は言わないってどーゆーわけっ!?」 「お、お、お、お前っ!そんな大声で言うなっ!」 「あたしの身体だけが目当てなんじゃないでしょうねっ!?」 「だから、そーゆーことを大声で言うなっ!恥ずかしいだろうっ!」 滅多なことでは動揺しない青年は、慣れない質問に気の毒なほどうろたえてしまう。慣れた男なら、上手にあやすのだろうが、生まれてこの方女には全くと言って良いほど興味がなかっただけに、対処方法がまったくわからない。大体どうしていきなりそんな質問をされるのかさえも理解できない。元々、突拍子のない言動をする少女ではあったが、ひどく困らせるようなことはしないのを知っていた。好きだの、愛してるだのを口にするのが苦手なのは知ってるはずなのに。 青年は口元を手で覆いながら少女を見つめる。顔を真っ赤にして困り切ってる様子に少女は溜め息をついて椅子に腰掛けた。 「・・・ごめん・・・変なこと言って・・・・。たださー、たまにはなんでもない時にでも『好きだ』とか、『愛してる』とか、言って欲しかったんだ・・・・。キールがそーゆーの苦手なのは知ってるけど・・・。あたしはキールの事好きだし、愛してるから・・・」 しゅんとうな垂れた少女の様子はあまりにも痛々しくて、青年は激しい胸の痛みを感じずにはいられなかった。 確かに少女が屈託なく自分に愛情表現してくる事に甘えてその言葉を返したことはなかった。 抱き合う時以外は・・・。 青年は暫し考えて、心を決める。 「あ、その・・・メイ・・・」 「ん?」 少女は力なく返事をして顔を上げた。 「あ、あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 青年は口をぱくぱくとさせたまま中々次の言葉を声に出せない。 「な、なんなの??」 エサを求める金魚のような青年の様子に、少女は目をぱちくりとさせたままじっと見つめる。 「・・・・・・・・・・・愛・・・してる・・・・・・・・・・・・」 言った途端身体中が熱くなった。何もしないでただ言うといことがこれほどまでに恥ずかしいとは思わなかった。 青年は少女から視線を逸らしてしまった、そこへ。 「キールっ!!!」 机を飛び越えて少女が抱き付いてきた。 「うわぁっ!!!!!!!」 派手な音をさせて二人は椅子ごと後へ転げ落ちた。少女は無傷であったが、青年は激しく後頭部を打ち付けてしまった。 「危ないだろっ!」 「あははは、ま、いーじゃん。あたしが治癒魔法かけてあげるからっ!」 青年の胸の中に抱き付いて少女は嬉しそうに言った。 「まったく・・・」 ぶつぶつと言いながらも青年は少女の背中に腕を回して抱き寄せる。そして、 「愛してる、メイ・・・」 今度はどもらずに囁いた。少女は青年の胸の中で嬉しそうに笑い声を立てて顔を上げると、唇を重ねた。 「すっごく愛してるよ、キール・・・」 【あとがき】 はああああっ!?こ、これわ・・・・・。 なんか、もー御崎さんから受けた恩義の半分も返せないでいるわ・・・。 【御崎より】 えーへーへーへー幸せっ!(*^^*) もお、私からの恩義なんて、そんなもんありましたっけ?な、霧か霞のようなシロモノの お返しに、こんな素敵なお話を頂けるなんて、なんて私って幸せ者(*^^*)。 メイのあの一言にぶっ飛びそうになりました…素敵だわ、メイ…(笑)←さあ、どの 台詞でしょう(笑) ひかるさん、ほんとうにありがとうございました!(^_^) |
