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避妊法の推移 |
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無防備な性行動による二つの悲劇があります。一つは、性感染症であり、もう一つは望まない妊娠があります。前者は男性も共にそのリスクはありますが、望まない妊娠は女性にしか起こり得ないことです。そして、それは女性が産み育てるか否かの選択を自ら迫られます。女性にとって、「産む、産まないの決定」は女性の自己決定権ともいえます。確実に、女性自ら行える避妊法の選択肢のあることが絶対条件ともいえましょう。「低用量ピル」と「銅付子宮内避妊具(IUD)」が承認されたことは大きなことです。 |
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承認までの状況を振り返ってみましょう。わが国における避妊法は、コンドームが主体の男性主導型となっていました。下段の表は毎日新聞社の「第25回全国家族計画世論調査」による既婚女性の各種避妊法の年次推移を表しております。背景が水色は、男性主導型避妊法、ピンクが女性主導型の避妊法として色分けをしています。これによりますと男性主導型の避妊法の形態を取っています。 |
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今回の特徴は、今まで「性交中絶法」としての問いかけを「腟外射精法」に改めたところ、7.4%から26.6%と3.5倍ほどの急増を示しています。これは避妊法の選択肢が2種類までとなっており、単独の選択では「腟外射精法」は10.8%であるのに比べ、組み合わせ避妊法としてあげるのが60.9%となっており、そのための増加と考えられております。用語の用い方によって大きく反応が異なるという実例を表していると思われます。また、オギノ式や基礎体温による定期禁欲法も、男性の協力の度合いによって、避妊の確実性が大きく異なってきます。 |
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女性主導型の避妊法といわれる「子宮内避妊具(IUD)」は、銅付加IUDが承認され使用されるようになっても3.1%から2.7%と減少してきています。1999年9月より使用されるようになった「低用量経口避妊薬(ピル)」は1.1%からわずかに上昇し1.5%なっています。女性主導となれる近代的避妊法の実行者は意外と少ないという結果が表れています。このことは、避妊の決定権は、男性に委ねられていたと思われます。常に、避妊は男性がするもの、考えるものという意識下のもとで性の営みが行われていたともいえます。 |
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上の図は、日本の出生数と人工妊娠中絶件数の推移を示したものです。1955年と1960年頃は、中絶件数が出生数の4分の3ほどとかなり高い値です。1965年には5割を下回り、1970年以降、3割台にまで大幅に減少してきております。しかし、それ以降の減少率は緩徐となり、大きな変化はみられておりません。いいかえるなら、妊娠すると、およそ4分の1の女性は中絶を選択していることになり、大きな変化は示していないことになります。このことは、過去30年の間に、行われてきた避妊法に限界があったようにも思われます。 |
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中絶件数と出生数を足し合わせ全妊娠数と仮定して、5歳階級別中絶の占める割合を1975年と1998年とで比較をしてみますと、下段の表のようになります。全平均でみますと、75年で26%、98年22%とわずか23年の間に4.4ポイントの減少にしか過ぎません。20歳代前半以下の女性における中絶の割合の上昇、25歳後半以降の女性は、減少していることが指摘されます。これは、結婚年齢の遅延化傾向からの未婚女性の中絶の上昇、高齢出産化傾向が窺われます。いずれにしましても、40歳以上の女性が妊娠すると、3人に2人は中絶を選択していることにはなにか寂しさを感じさせられます。 |
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既婚女性が始めて妊娠したときの思い・考えについての調査報告があります。妊娠したというときの既婚女性の考えから、ここでいう人工妊娠中絶という問題について触れてみたいと思います。 |
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1997年6月に国立社会保障・人口問題研究所によって行われました「第11回出生動向基本調査」(副題:結婚と出産に関する全国調査)の結果について述べてみましょう。調査対象は年齢50歳未満の有配偶者女性で、有効調査票数は8,148(有効回収率 86.5%)票で、ここでは夫婦が初婚同士の夫婦7,354票について解析したものです。 |
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| 初婚時の平均年齢は夫28.4歳、妻26.1歳、出会いから結婚までの平均交際期間は3.4年で、10年前の調査時2.5年より結婚までの交際期間がやや延長しております。また、男女間の年齢格差も1987年2.9歳から1997年2.3歳と少なくなってきております。しかも見合いでの結婚は23.3%から9.6%と大きく減少し、学歴からの組み合わせでは、同じ学歴の相手を選ぶ傾向が強くでてきているようです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このグラフは、結婚して始めて妊娠したときの年齢で、15歳から44歳までの5歳階級層別にそのときの出産の意向、つまり予定について問い掛けております。妊娠時の年齢は25-29歳が最も多く44.6%で、ついで20歳前半が42.4%と続いています。「なるべく早く子どもが欲しい」と考えていたのが、全体では49.5%とほぼ半数の女性で占めており、次に「考えていなかった」が34.7%とあります。子どもはもう少し後でと考える「間隔をあけたかった」が14.5%で、「産むつもりはなかった」はわずか1.2%でした。年齢別にみましても子どもを早く欲しいと強く考えるのが、年齢が高くなるにつれ増えております。子どもは未だと考える女性は20歳後半が高く、ついで30歳前半、20歳前半と続いています。 このように結婚、そして子どもという考えは多くの女性の真の表れともいえましょう。 |
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次に、2人の子どもを持ち3回目以降の妊娠についてみますと、「なるべく早く」と思う女性は全体で21.3%と減少し、特に年齢が高くなるとその値は著しく少なくなっています。反面、「産むつもりはなかった」が全体で25.7%、40歳以上では50%、30歳後半で40%と高年齢で高く、「出産間隔」は20歳後半が最も高く20歳前半、30歳前半と続いています。 |
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その第1子妊娠と第3子以上の妊娠での出産の帰結をみますと、第1子妊娠では88.3%と殆どが出産をしており、人工妊娠中絶を選択したのが10歳代で9.7%であり、全体ではわずか2.2%なのです。また、「死産・流産」の帰結は全体で9.5%で、30歳後半では27.4%と年齢が高くなるにつれ上昇しております。40歳代妊娠は6例全例が出産しております。 一方、3子以上の妊娠となりますと「出産」に至ったのが69.9%、「死流産」10.9%、「中絶」が19.2%で年齢が高くなるにつれ上昇し、10歳代妊娠でも33%と高い割合を占めております。 |
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妊娠 |
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さらに、その出産意向の中で「早く子どもが欲しかった」を除いて、第1子妊娠と3子以上の妊娠についてみますと、出産意向があれば3子以降でも8割以上が産んでいますが、産み終えと考えている女性でも38.6%が出産しており、中絶という選択は58.6%という値を示しております。この数値をどのように考え捉えるかは、個々人において大きく異なるところと考えますが、自らに宿した新しい生命は尊く愛しいものという表れであり、社会的・経済的環境が許されるなら、中絶の割合はもっと少なくなるのではと素朴に思われてなりません。 |
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これは毎日新聞社の「第25回全国家族計画世論調査」によるものですが、避妊に失敗して妊娠したらどうしますかという問い掛け対しての結果です。未婚女性では「産むと思う」という回答が57.0%と6割近くを占めています。一方、既婚女性では38.5%の4割を下回り中絶の選択が3割となっております。この既婚女性の結果は、先の出生動向基本調査にも合い通じるところがあるようです。 |
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さらに既婚女性の中絶の既往回数についてみますと、2000年の調査で経験者は少なくなってきているものの25%とあり、2回以上の複数回の経験者は33%と3人に1人となります。 そして、中絶の容認をするのも年次増えてきています。これは社会的環境の変化によるところも大きいと考えられます。 |
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| 都内S病院における13年3ヶ月間にわたる人工妊娠中絶を行なう際のアンケート調査結果によりますと、過去に中絶の既往のある女性は、未婚で20歳、30歳代で15.1、16.2%もあり、既婚女性では、さらにその数値は高く、30歳代で35.6%、40歳以上になると52.7%と半数を上回っているのです。ここに示される数値は、繰り返される中絶という図式を感じさせられます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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中絶を選択した際の理由ですが、未婚女性の場合、「結婚前の妊娠」であり、「産みたくない妊娠」とあり、「経済的理由」、「職業上の理由」と続いています。既婚女性の理由として「産みたくない妊娠」で「健康上の理由」とあり、未婚女性の場合「結婚前の妊娠」という日本の社会的規範というような制約が感じられます。 |
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これは出生数に占める婚外子の割合をヨーロッパ諸国と日本を比較したものです。目覚しい女性の社会進出などの多様化する社会に対応するかのようにヨーロッパ諸国では婚外子が増えているようにも見受けられます。日本では殆ど変化がありません。日本での婚外子の多い年代は10歳代の出生に対してなのです。 このことは、日本で話題となる少子化社会の一つの理由にもあげられるような思いがあります。 |
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しかも、その望まない妊娠をした時の相手は、「避妊に協力的であったか」との問いかけに対し、未・既婚ともにおよそ60%が「協力的」と答えているにもかかわらず避妊に失敗しています。一方、「いいえ」と答える女性が、未婚で20%強、既婚でさえ10%を超えております。想像以上に高い数値に思いませんか。やはり、性の営みの中において、避妊法の主導権は女性の手に自らが委ねなければならないことがいえますね。 |
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避妊法の中で多くの女性で取られていますオギノ式の理解度について7項目の設問を設け、問い掛けております。正しい項目に理解を示す女性は既婚者のほうに多いのですが、誤った項目にも正しいと思って理解している女性も同じようにして既婚者に多いのです。しかも年齢が高くなるにつれ、誤解答者上昇するという非常にあいまいな考えとなってきているのがわかります。オギノ式の避妊効果の不確実さを如実に表わしているようです。 |
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ときの避妊法 |
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望まない妊娠をし、中絶を選択した女性は、避妊未実行と答えるのが、わずか5%にも満たないのです。その避妊法は、既婚女性で2人に1人がコンドームで避妊をしていたつもりであり、未婚女性では、3人に1人が腟外射精で避妊をしていたつもりで失敗していたのです。さらに、オギノ式での失敗例が年齢が高くなるにつれ多いことにも注目されます。避妊に対する認識とオギノ式の不確かさを物語っているのではないでしょうか? |
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このように、中絶の実態をみますと、避妊はしているものの、その方法が男性に委ねられいたためといえるのではないでしょうか。これからは避妊効果の高い、安全性がより向上してきた「低用量ピル」や「銅付子宮内避妊具」が女性の選択できる避妊法として使えるようになってきました。このような中絶の実態の様変わりは大きくみられてくるのでしょうか? |
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