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著者:安達 知子
菅 睦雄
発行:1999年11月1日第1版第1刷
発行者:株式会社 医学書院
代表取締役 金原 優
東京都文京区本郷5-24-3
電話:03-3817-5600(社内案内)
定価(本体2,000円+税)
本書の主な内容
第1章 わが国の避妊法の現況ピル
1.出生数と人工妊娠中絶件数からみた問題点
2.避妊法の実態からみた問題点
3.望まない妊娠の帰結としての人工妊娠中絶
4.性行動の実態からみた問題点
1)望まない妊娠と性感染症
2)活発化する若者の性行動
5.まとめ第2章 低用量ピルとは何か
1.低用量ピルの特徴
1)規則正しい周期の確保と経血量の減少
2)世界で使われているピルの種類
2.低用量ピルの種類
1)低用量ピルと中・高用量ピルとの違い
2)ピルの分類
3)まとめ
3.低用量ピルの避妊機序
1)月経周期について
2)月経周期に伴う卵巣の変化
3)月経周期のホルモン調節機序
4)妊娠の成立
5)ピルの避妊機序
6)低用量ピルの避妊機序第3章 低用量ピル服用の実際
1.わが国における避妊法の推移とピル
Q&A低用量ピルとは
2.低用量ピルの入手方法
Q&A低用量ピルの入手方法
3.低用量ピル服用前の健康チェック
Q&A低用量ピル服用前の健康チェツク
4.低用量ピルの服用方法
Q&A低用量ピルの服用方法
5.低用量ピルの避妊効果
Q&A低用量ピルの避妊効果第4章 低用量ピルの副作用と副効用
1.低用量ピルの副作用
1)ピルに対する副作用神話
2)ピルの副作用はホルモン依存性
3)ピルと血栓・塞栓症
4)ピルと心筋梗塞などの循環器系疾患
5)ピルと発癌性
Q&A低用量ピルの副作用
2.低用量ピル服用による副効用と様々な影響
Q&A低用量ピル服用による副効用と様々な影響第5章 低用量ビルの心理・社会的影響
1.パートナーとの関係
1)女性の存在を無視したピル論争
2)日本人女性のピルに対する意識
Q&Aパートナーとの関係
2.社会的影響
1)リプロダクティブ・へルス/ライツ
2)HlV感染とクラミジア感染の増加
Q&A社会的影響コラム:低用量ピルの歩み
1.ピルの夜明けまえ
2.第一時恐慌「血栓症などの副作用との戦い」
3.第二次恐慌「心筋梗塞などの副作用との戦い」
4.第三次恐慌「第三世代ピルの副作用との戦い」
5.これからの避妊法「21世紀への課題」はじめに
1999年6月16日に「低用量ピル(低用量経口避妊薬)」が承認された。低用量ピルの臨床試験は1987年に開始され,およそ5,000人のポランティア女性の協力を得て,70,000周期以上に及ぶ臨床成績をまとめ,1990年に9社より16製品の承認申請が提出された。いずれの製品も海外の成績と比べて劣ることはなく,有効性,安全性について優れた成績を示すものであった。足掛け9年の歳月をかけて低用量ピルの審議が続けられたことになり,新薬の審議がこれほど長く続いたのは他に類をみないほどである。
その理由はいくつか考えられる。その1つとして,実際に服用する一般女性からの言葉がなかったことが挙げられる。毎日新聞社の「第23回全国家族計画世論調査」(1996年)によると,低用量ピルをある程度理解している一般女性は約6割前後であり,それを使用したいと考えている女性は2割にも満たなかった。しかも,「使用したくない」と答えている者は5割近くに上り,その理由は「低用量でも副作用が心配」というものが7割前後を占めていた。この現実があったからこそ,低用量ピルの有効性,安全性,そしてエイズなどを含めた性感染症(STD)に関連した内容について,十分にそして慎重なまでに審議が繰り返されてきたのである。
このようなピルに対する「副作用神話」はどこからきたのであろうか。わが国ではピルが認可されていなかったにもかかわらず,毎日新聞社の調査報告によると,約1%の女性がこれまでピルで避妊をしてきた。月経困難症などの月経障害に対する治療薬(中・高用量ピル),これをピルとして代用してきたからである。この治療薬は低用量ピルと違ってホルモン量が多く,世界では1960年代後半にピルとして使用された過去のものである。この古いタイプのものをピルとして服用を続けてきた女性が,つい最近まで20〜30万人もいたといわれている。
この数値の裏には何が隠されているのであろうか。確実に避妊をしたいと希望した女性は,産婦人科医の十分な管理のもとで中・高用量ピルの処方を受け,しっかりとした情報や知識を得て飲み続けられてきたということである。そこには,看護婦や助産婦などのメディカルスタッフが,同性として果たしてきた役割はきわめて大きかったと考えられる。一方では,途中でピル服用を止めた女性も多かった。彼女たちは服用初期にしばしばみられるちょっとした副作用などの心配事で,医療従事者からの十分な情報や知識を得ずして中途半端な判断で中止していたと思われる。そして他の女性へと伝播していき,「ピル副作用神話」が生まれたのではないだろうか。
このようなピル副作用神話を抱く女性が,確実に避妊をしたいためにピルを選択し,医療機関を訪れるには,かなり勇気のいることであろう。しかも,健康な女性が服用するものだけになおさらである。「低用量ピル」といえどもホルモン剤でできた薬である。その正しい情報と知識を提供することが大切である。処方する医師のみならず,看護職や助産職などのメディカルスタッフが率先して暖かく彼女たちを迎え入れ,わかりやすく説明することが最も大切なことではないだろか。
そのことを意識して本書では,低用量ピルに関する種々の解説に加え,一般女性が抱く疑問を「Q&A」形式でまとめてみた。十分な回答にまで至っていないかもしれないが,現場での医療経験を加え,本書をうまく利用していただき,真の意味でのリプロダクティブ・ヘルスに貢献していただければ幸いである。
1999年10月
安達 知子
菅 睦雄以上
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