| 「生命の神秘」 |
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序章:子宮への誘い |
子宮頸管腺から分泌される粘液は月経周期に伴って性状に変化がみられる。排卵期周辺のエストロゲンの分泌が亢進しているときは、水様透明状となり牽糸性が増して糸を引くようになる。それを乾かして顕微鏡でみると羊歯状の結晶となってみえる。この変化は精子を子宮内に取り込みやすくするためである。ちょうどスポンジのような網の目が形成され、毛細管現象のように精子は吸い上げられていくのである。排卵期にのみ精子を迎え入れる生殖器というお城の城門が開かれるのだ。 |
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pHも7より若干上昇し、精子の環境に優しくなっている。精子は酸性側領域では頗る弱い。pHが下がると動きが悪くなり死滅してしまうのだ。しかも子宮の入り口となる頸管内に複雑に入り込んだ腺腔構造は格好の精子の貯蔵庫にもなっている。城門に入った溜まり場のようでもある。頸管腺より押し出され腟内にでた精子は、腟内の酸性の環境下でひとたまりもなく死滅してしまう。一刻も早く精子は腟から抜け出て子宮の中に入り込まなければならない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 子宮の入り口である頸管は巨大なお城の城門であり、なんびともたやすくは入れないような仕組みになっている。しかも城門が開いて入れるような時は一月のうちに幾日もない。お城の奥深くにいる姫の婿入れの準備が出来たときだけなのである。新たな輝ける生命体を生み出すべく、輝ける姫を求めて精子軍団は、子宮という巨大な城郭に入り壮絶な戦いを繰り広げなければならない。そこには白血球などの多くの貪食細胞が立ちはだかっていたりして幾多の試練が待ち受けている。その試練を耐え忍んで勝ち得るのは、数億という精子軍団のうち唯一、一つの精子なのである。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 馨しき姫に相応しい婿を向かい入れる準備が整って精子軍団を求めようとするとき、その動きは不思議な行動を取るのである。生物界の頂点に立つ人類のとる行動は、まさに最高の生命体を生み出すがためのものであり、他の生き物には見られない生殖行為という一つの行動の中での神秘的な計らいごとがある。ではその神秘性について垣間見てみることにしよう。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第1章:精子の闘い |
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精子軍団の作られる過程 ![]() |
精子は生殖年齢に達した思春期頃より精巣(睾丸)の中にある精細管という巨大なまでに長く細い管の中でおよそ74日間かけられて、作り始め、しかも生あるかぎり際限なく作り続ける。精細管の中に精子の元となる精粗細胞があり、それが有糸分裂を繰り返して少しずつ成長し第一次精母細胞へとなっていく。次に、男性ホルモンであるテストステロンの働きを受け減数分裂を起こして第二次精母細胞へとなる。このときに初めて、染色体は2分されて22個の常染色体とXという性染色体をもつ精子(女精子)と22常染色体とY性染色体の精子(男精子)に分けられる。このようにして2分された第二次精母細胞は、精細管の中にあるセルトリ細胞の影響を受けながら成熟し精子細胞へと進化していく。さらに精子細胞は、細胞質を少しずつ脱いで行きながら頭部と尻尾だけの精子となっていく。まさに頭部に遺伝子のDNAだけを持った核弾頭ミサイルともいえよう。精細管の奥深くから移動して精巣上体(副睾丸)へと運ばれていき、精子は精巣上体にプールされるのである。 |
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| 精子にも、それぞれ 役割を持っている |
作られた精子は精巣上体(副睾丸)へ運ばれる。精巣状態はおよそ5~6メートルの蛇行した管で、頭部、体部、尾部に別けられ、精管から尿道へと続いている。この精巣上体に蓄えられている間に、男性ホルモンの働きによって運動性がつけられていくのである。尾部に押し上げられてきた精子は作られてから時間が経っているので年老いた精子が多い。精細管で作られ精巣上体に入り込んできた出来立てのほやほやという粋のいい若いやんちゃな精子もいる。このように作られていく精子軍団は、これから繰り広げられようとする戦いの中でも、それぞれの役割を演じることになるようだ。イギリスの生物学者のロビン・ベーカーは、それぞれの精子に3つの役割を名づけている。ではベーカー著の「精子戦争」を引用しながらその役割を述べてみよう。 |
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| ブロッカー・スパーム (守り屋精子) |
彼らの多くは精巣上体に長く留まっている年老いた精子が中心で、奇形精子もこの任にあたる。精子軍団としての役割は、頸管内に多くが留まり、群れをつくって後続(他人)の精子の子宮頸管や子宮内への進入を防ぐ役割をもっている。いわばとうせんぼをする精子達といえよう。 |
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| キラー・スパーム (殺し屋精子) ![]() |
彼らは他の精子に出会うと、同じ軍団と異なる精子か否かを頭部表面の化学物質で確認し、自分の頭部と同じものかで判断するようだ。異なっていれば激しく戦い相手精子の動きを止めてしまう殺し屋家業という役割をもっている。精子の頭部アクロソームという帽子をかぶっている。その中にある、別名「死のカクテル」と呼ばれる化学物質、アクロシンとヒアルロニダーゼに代表される酵素なのだ。それで相手の動きを止めてしまう。この「死のカクテル」は、敵方精子の頭部側面の弱い個所を狙って、腐食性の毒素を注ぎ込み、相手を倒す。大量の敵精子を毒殺するのに十分な量を保有しているとベーカーは言っている。エネルギッシュで活発な動きを示す方が強く、若いやんちゃな精子ならではといえよう。 ここでなぜキラー・スパームの存在が必要かを考えなければならない。彼らの戦場となる子宮は、単に白血球などの障害物だけではなく、よそ者の精子軍団が既にそこに存在していたり、後を追って襲ってくる可能性があるからだ。その可能性については次に述べることとする。 |
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| エッグゲッター・スパーム (卵獲得者) |
キラー・スパームと形状は殆ど同じで、頭部がキラーのそれより幾分大きい。活発な動きを示し直線的に動いていくのが特徴である。キラー・スパームに囲まれながら卵子を求めて行動する。頭部の化学物質は、「魅惑のカクテル」と変貌し、卵子の殻を破って姫の中に入り、一つに結ばれて、新たな生命を誕生させることになる。真の勝利者となる精子の王子様なのである。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 精子軍団の構成 | 第1分画射精と第2分画射精により、先兵隊と後続隊に分かれる。先兵隊は、およそ100万程のエッグ・ゲッターが数千万ほどのキラーに囲まれ、その後方にブロッカーが追従するという部隊を構成して、頸管粘液を潜り抜け卵管へと直進的に進んでいく。先兵隊も、特に動きの速い少数先兵隊が作られ、受精の場となる卵管膨大部を目指して突進していくのである。これら先陣を組むのは選りすぐられた「カミカゼ隊」ともいえよう。後方部隊は、数億ほどで構成され、子宮頸管内の貯蔵庫と言われる場所で待機し、次の出番を待ち構えている。続く先兵第二大部隊は、「エッグ・ゲッター」も多くキラー・スパームに囲まれながら卵管膨大部めがけ移動する大部隊といえる編制である。その精子戦争を勝ち得るためには、第三部隊、第四部隊と隊列を変えていくこともありうる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
精子戦争![]() |
精子戦争とは、女性が自ら好み望む素適な男性の子孫を残そうと巧緻にたけた仕掛けで操る神秘ななせる技といえよう。御伽噺で出てくる竹取物語の「かぐや姫」の無理難題を仕掛けて男を選りすぐるやり方そのものに価しよう。女性はその子孫を残すために、1つの卵子に対し、数億個の精子を自らの城郭、生殖器内で戦わせるのである。新たな生命を誕生させるには、数億分の一という天文学的な戦いの場で勝ち得た一つの精子、しかも何万メートルにも匹敵する長距離ランナーで、子宮や卵管内で白血球などの貪食細胞が精子に立ちはだかる過酷な試練を待ち受けさせ、時にはよそ者の精子との激しい戦いも強いられ様々なハードルを乗り越えたものがその勝者となりうる。次の世代を担うにはまさに相応しい勝者といえよう。しかしそれだけではない、その女性の放たれた一つの卵子をゲットしたからとして、必ずしも生命を宿して世に出るものではない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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受精した卵が卵割して胞胚となりながら子宮に向かう間にも試練が待ち受けている。精子や卵子の染色体異常もある。また、漸く子宮に到着しても着床という環境準備が整っていなくては、子宮内での生命を宿し育んでいくことも出来ない。そして子宮から体外へと誕生に至るまでの過程に流産や死産となり摘まれていく命さえ決して少なくはない。排卵という時期に子宮の中で激しい精子戦争が展開されても生命の誕生という幕開けが出来るのは、ヒトにおいては3割にも満たないのである。マウスなどのねずみといった生命体では7-8割がかなえられるのに、人の場合には想像を絶するほどの戦いなのである。これほどまでの巧緻にかけた自然淘汰が待ち受けて、真の勇者となるのにはそれほどまでに尊く価値あるものといえよう。それは過酷な社会で戦い抜いて生きていける次世代を担う生命体を生み出す仕組みといえよう。 |
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| 精子が精子たるものになるには…! |
精子のそれぞれの役割について考えてみた。ブロッカーは精巣上体の中に長く留まり精巣上体尾部の精管近くまで押しやられている年老いた精子で、その運動性も鈍くなっている。キラーやエッグ・ゲッターは精巣で造られた精子が精巣上体に運ばれ、そこでアンドロゲンシャワーを浴びて運動性がつけられる。その新しい、比較的若い精子がそれにあたる。男たちが時として行っているマスターベーションがある。これは決して意味のないことではないとベーカーは次のように語っている。マスターベーションをすることによってブロッカーの比率を調整し、次に腟内に射出されることを無意識のうちに全体の割合を整え、隊列を改変することであると指摘している。また、腟内に射出されたばかりの精子は受精する能力は持っていない。女性の子宮や卵管を泳ぎ渡っていく段階で受精能力がつけられていく。これをキャパシテーションと呼んでいる。子宮内膜や卵管の上皮細胞にある繊毛で精子の頭をなでられ、そこで分泌される粘液によって一人前のエッグ・ゲッターになりえるのだ。 |
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キラーはエネルギーいっぱいで活発に動きまわり、エッグ・ゲッターと異なり頭部の成分は殺人化学物質に変り、他の男性の精子を識別してそれに襲いかかるという性格を持っている。子宮から卵管の入り口などにたむろし、エネルギッシュに動き回っている。彼らもまた卵管奥深く膨大部に入り込むと受精能が得られエッグ・ゲッターに代わりうることもできる。 |
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| 精子は女性の生殖器の中に入って初めて受精能が得られる | 精子が受精能を得るためには女性の生殖器、子宮頸部、子宮、そして卵管へと進んでいくうちに、capacitation(受精能獲得)、acrosome reaction(精子先体反応)、hyper-activationという段階を経ていわゆる受精能を獲得していくのである。この受精能獲得には、精巣上体に蓄えられている間に男性ホルモン (testosterone) の作用が関わっている。また、先体反応の誘起には女性体内での黄体ホルモン (progesterone) が大きく関与しているともいわれている。この先体反応は精子が卵子の透明帯を通過し卵細胞と融合するという受精過程に必須である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 精子戦争のリスクと受精するための精子数 |
精子は女性の生殖器の中ではおよそ5日間は生き続けるといわれている。一方、卵子の受精の可能な時間は排卵後、およそ24時間なのである。この違いは、なぜなのか?謎に包まれている。いずれにしても、一つの卵子に対して数億の精子の中から、唯一、一つだけ選ばれた精子を迎え入れる。女性にとっての生殖器の中は、過酷なまでに優れた精子を得るための精子の戦場といえよう。でもここには一つの大きな疑問が湧いてくる。なぜそのようにして天文学的数値の精子を競わせなければならないのかである。 |
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| 射精後にできる腟栓の謎 | 射出された精液は、直ちに凝集して一つの塊を作ろうとする。そして数分以内に液状化する。マウスなどのげっ歯類では腟内に射出した精液はその直後に凝固し、腟栓を形成して他の雄との交尾を阻止するとともに精液の漏出を防ぐものと考えられている。ヒトも同じなのか?ヒトの精液量はおよそ3〜4mlといわれている。そのうち精子は全容量の1%程度で、精嚢腺液が2.5〜3.0ml、前立腺液が0.5ml、尿道腺液が0.5mlほどで構成されている。精嚢腺液は黄色で中性から弱アルカリで、精子の運動エネルギー源としての果糖、プロスタグランディン、アスコルビン酸、各種凝固因子や多くのたんぱく質を含んでいる。前立腺液は乳白色で粘稠性に富み、クエン酸、アルカリフォスファターゼ、ポリアミン、亜鉛などで構成されている。このポリアミンは精液特有の臭いを醸し出し、亜鉛は抗菌作用を持ち精子の運動性を促進するといわれている。このようにして精液中の精子の占める割合はわずか1%にしか過ぎず、しかも数億の精子がうごめいているのである。無駄ともいえるおびただしい精子の数、そして凝集魂を形成する精液の働き、ここにはオスとしての叡智を極めた進化の後がみられる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ブロッカーが、 頸管内で腟栓の役割? |
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| メスの受動性 と オスの能動性 |
一方では、メスのとる行動にも不可解なところがある。メスの生殖に関するスタンスはあくまでも受動的である。オスは生殖年齢に達すると毎日新鮮な精子を止むことなく作り出していくが、メスは母胎内で700万個の卵子を作り、生まれたときにはすでに200万個に減少してしまっている。排卵の起きる思春期には40〜50万個と大きく減少し、新たに卵子を作ることはない。しかも、種の存続を求めて排卵という卵子を放出するのは生涯にかけて500個を超えることはない。基本的な生殖行動は能動的オスと受動的メスとで異なっている。メスは良い優れた種を残すには、オスを惹きつけ選ばなければならない。しかも生殖器内へ引き込んだ精子に対しても子宮という場で競わせ優秀な素晴らしい戦士の一つに生命体として授けることをしなければならない。種の存続としての本質をオスとメスとで考えるなら、オスは多くのメスの個体に自らの精子を放てば叶うこととなるし、メスでは多くのオスの中から最も優れたのを選択し、しかも、自らの体内においても精子を競わせる。もし、そこに二つのオスからの精子が紛れ込んできたなら壮絶な精子のバトルが繰り返されることになる。したがって、生殖という生き物の本質からいうなら、メスが主役といえよう。 |
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| 精子戦争の可能性 |
前述したイギリスの生物学者であるロビン・ベーカーらは、パーカーが唱える精子戦争の理論を踏まえ新たなる興味ある事実を見出したのである。それはイギリスの生殖年齢にある女性3,679名を対象とした大規模な性行動に関する調査である。先ず、今までの性交の数を、50回以下、51- 200、201-500、501-1,000、1,000回以上の5群に分けて、その経験度合いに応じたパートナーの数を聞いている。するとセックス回数の経験に応じて相手のパートナー数は増える。50回以下グループでは平均2人、51-200回群で4人、201-500回群5人、501-1,000回群7人、1,000回群8人とパートナーの数も多くなっている。しかもそこには1人以上の複数のパートナーとの経験者の割合も当然のことながら増えており、1,000回以上群では93.9%と高くなっている。そこで、セックスの間隔が5日以内に複数の相手と行った経験のある女性は、50回以下群では17.5%であるのに対し、1,000回以上群では71.8%とあり、4人に3人近くは精子が生きている間の5日以内に複数の男性とセックスを経験していることである。想像している以上に精子戦争を経験させている女性が多いのだ。 |
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今までの性交経験回数とその相手 |
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| パートナーとの 生活時間に関係が! |
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性生活の実態(セックスを行った過去5日間に過ごしたパートナーとの割合) |
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| 性生活の実態(避妊未実行におけるセックスを行った過去5日間に過ごしたパートナーとの割合) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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複数の相手:セックスを行った過去5日間におけるセックスパートナーの複数者の頻度、EX-Pair:最後に行ったセックスが主たるパートナー以外の頻度、Double:過去5日間での複数者の頻度 |
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| セックスの間隔 | そこで彼らは、カップルが行うセックスの間隔について検討を加えている。イギリスの家族計画調査ネットワークの調べでは約3日に1回(72時間)とあるが、今回の調査では、得られた2,835人の回答からでは、やや長く90時間(51-184時間)とあった。しかし彼らは、精子戦争の現実を確認すべく、34組のカップルを選びセックスの際に必ずコンドームを用いてもらいその中の精子の数を調べたのである。その対象となったカップルのセックスの間隔は平均62時間(43-119時間)であり、大規模調査より間隔は短い結果ではあったが、精子数についていえばセックスの間隔があけばあくほど精子の数が増えているという当然の数値が得られている。 彼らは、今回得られた精子数に前回のセックスからの時間とそのカップルが共に過ごした時間を重ねていったのである。先ず、精子数を前回からの時間差で除し、その男性の時間あたりに生産する精子数を割り出したのである。すると15組のカップルから得られた平均1時間あたり3.0±3.0百万(1.5-9.5)というかなりばらついた数値であった。 |
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| 時間当りの精子生産数 | これは単に男性が1時間におよそ3百万の精子を作り、しかもかなり個人差が大きいということしか考えられない。その得られた時間あたりの精子数に共に過ごした時間を重ねてみると意外な事実が浮かび上がってくるのである。横軸に共に過ごした時間、縦軸に時間あたりの精子数をプロットして図をみると、共に過ごす時間が少ないと精子の生産数は多く、時間が多くなるに連れ生産数は減少するという負の相関関係が得られたのである。彼らは、「共に過ごす時間が25%以下であると時間あたりの精子生産数は平均9.3(5.9-9.5)百万、25-75%では6.5(3.1-8.1)百万、75%以上では2.0(1.6-5.1)百万と大きく減少している」と指摘しているのだ。 |
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さらに一組のカップルから得られた19検体の精子を詳しく見ると1-20%ほどしか一緒に過ごさなかったときの精子数は296百万であった。これは1検体の精液からの結果である。21-40%のときでは6検体が得られ、その平均は196(147-319)百万で、41-60%のときで210(n=6;194-231) 百万とほぼ同じで、61-80%では143(n=2;128-159) 百万、そして81-100%では67(n=4;48-82)百万としだいに少なくなっているという数値が得られている。 |
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| <続く>第二章:「オーガスムの謎」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||