黒いエジプト人

投稿先: 田中荘一○一号室
タイトル投稿日
Re:黒い聖母のためのリタニア2003.07.10
Re:差蔑する側の無自覚について Re:黒い聖母のためのリタニア 2003.07.17
Re:黒い聖母のためのリタニア 2003.07.17
Re:黒い聖母のためのリタニア 2003.07.17
Re:黒い聖母のためのリタニア 2003.07.19



16017 返信 Re:黒い聖母のためのリタニア 高橋 亨 2003/07/10 23:10

tpknさん、こんばんは。

▼15976
>なるほど、黒いマリアにはそういう解釈があったのですか。マルコムXやネイション・オブ・イスラムなど、かつてアメリカでブラック・ナショナリズムを標榜した人々や、現在もその流れにある黒人社会研究者などに、黒いマリアはマリア、およびイエスがニグロだったことの証だと主張する人々がいます。これはやはり、トンデモ説のひとつでしょうか? それとも、学術的にまだ議論・研究の余地があるのでしょうか?

 黒い仏像があるからといって、だから仏陀は黒人だった、なんて言い出す
人はいないですよね。なんでマリアとかイエスのことになると、黒人だ白人
だなんてことにみんなこだわるんでしょう?

>我々は世界的にイエスの姿を通常白人(というか、コーカソイド)として認識していますが、それは疑いのないことなのでしょうか? また、古代エジプト人は絵に描かれた姿を見る限り黒人にみえますが、イエスの時代にはどうだったのでしょう? もしモーセの時代のユダヤ人が白人でエジプト人が黒人だったとしたら、現在にいたるまでのキリスト教世界での人種対立は、帝国主義などよりはるかに根深いものだったということになります。

 ある時期の壷絵に描かれた姿を見る限り、古代ギリシャ人は黒人に見えま
す。ついでに、男は常にフリチンで歩いてて、なぜか全員包茎だったことも
分かります。(笑)
 はるかな未来、かつて日本と呼ばれていた地域で考古学的調査をする人た
ちは、いくつかの断片的資料から、ある時期から急激に日本人の頭髪の色が
薄くなっていったという事実を発見して、この時期に大規模な人種的混交が
発生したのだという結論を出すかもしれません。




16191 返信 Re:差蔑する側の無自覚について Re:黒い聖母のためのリタニア 高橋 亨 2003/07/17 23:39

水原さん、こんばんは。遅レス失礼。

▼16021
> >  ある時期の壷絵に描かれた姿を見る限り、古代ギリシャ人は黒人に見えま
> > す。
>
> 今でもギリシャ人の身体的特徴は黒人、というかトルコ人に近いですね。彫刻には色がない、あるいは色が残ってないので、古代ギリシャ人がいわゆるヨーロッパの白人のような身体的特徴を持っていたという発想自体が、実は後代のヨーロッパの白人の創造・憶測・妄想の範疇でしかありません。


 そうなんですか?
 以前アテネで空港まで送ってもらったタクシーの運転手さん(気のいいお
っちゃんでした)のきれいな青い瞳が強く印象に残っているせいか、そうい
う感覚は私には全然なかったんですが。
 あと、「いわゆるヨーロッパの白人」と言っても北欧と南欧では相当違う
し、イタリア人とギリシャ人なんて大差ないのでは?

> >ついでに、男は常にフリチンで歩いてて、なぜか全員包茎だったことも
> > 分かります。(笑)
>
> 現代のトルコ人やアラブ人も、割礼という習慣がなければ、たぶん包茎が多いでしょう。


 古代ギリシャでは包茎は高貴で露茎は下品、とされていたので、実際にど
うだったかとは関係なく、ギリシャ人は常に包茎、外国人(バルバロイ=野
蛮人)は常に露茎として表現されております。つまり、そういうお約束だっ
たわけです。
 このあたりの事情についてはエヴァ・C・クールズ『ファロスの王国―古
代ギリシアの性の政治学』(岩波書店)に詳しいのでぜひご一読を。

> >  はるかな未来、かつて日本と呼ばれていた地域で考古学的調査をする人た
> > ちは、いくつかの断片的資料から、ある時期から急激に日本人の頭髪の色が
> > 薄くなっていったという事実を発見して、この時期に大規模な人種的混交が
> > 発生したのだという結論を出すかもしれません。
>
> いずれにせよ、イエスが白人であったはずがありません。


 これはもちろん合意です。

> 「『高貴な父』を仮構し、出自を書き替えたいという欲望は、世界中の被差別をめぐる問題圏に頻見されるものでが、幻想的慰安にしかならないでしょう」もヘッタクレもなく、イエスは白人だと思い込ませて来た白人主導のキリスト教の方の幻想的慰安の方が遥かに始末が悪いと思いますが。
>
> ・・・というわけで、この議論に関する15984番投稿へのレスを表板の方にも堕しておいたので、よろしければお読み頂ければ幸いです。


 読みました。
 で、感想ですが・・・水原さんの言っていることはほぼ全面的に正しい、
と思います。
 ただ、モノの言い方はもうちょっと工夫した方がいいかも。




16192 返信 Re:黒い聖母のためのリタニア 高橋 亨 2003/07/17 23:41

tpknさん、こんばんは。同じく遅レス失礼。

▼16027
>>  黒い仏像があるからといって、だから仏陀は黒人だった、なんて言い出す
>> 人はいないですよね。なんでマリアとかイエスのことになると、黒人だ白人
>> だなんてことにみんなこだわるんでしょう?
..snip..
>それから、ブッダに関しても、そうした研究は無効ではないと思いますね。ヒンドゥーで言えばクリシュナ神が常に青黒く描かれるのは、そのルーツがドラヴィダ系であったことを示すとも言われていますし(アーリア人侵入以前のドラヴィダ人はネグロイドです)。

 少なくとも、小なりといえども一国の王子であった、という仏伝が正しい
ならば、ブッダは当時の支配階級の一員であり当然アーリア系。ドラヴィダ
系というのはあり得ない話だと思います。
 考えてみると、アーリア系のブッダこそれっきとした「白人」(見た目の
肌の色がどの程度「白かった」かは別として)ですね。しかし、白人らしい
姿で仏像が作られることはほとんどない。

>>  はるかな未来、かつて日本と呼ばれていた地域で考古学的調査をする人た
>> ちは、いくつかの断片的資料から、ある時期から急激に日本人の頭髪の色が
>> 薄くなっていったという事実を発見して、この時期に大規模な人種的混交が
>> 発生したのだという結論を出すかもしれません。
>
>髪の色が本当に変わったのであれば、そういう結論が導き出されてもおかしくはないでしょう。しかし、染めたものかどうかは毛根を見りゃすぐわかることです。


 既に水原さんが指摘しておられますが、ここは「断片的資料」というとこ
ろがミソなのです。

>イエスの話に戻りますが、黒人説を唱えている人々(主にアフリカン・アメリカン)は、別にいいかげんな気持ちでそういうことを言ってるわけではないのです。これは、その多くが白人の手によって記述されてきた「歴史」を問い直そうという動きの一環で、その中で「劣った人種」とされてきた黒人の名誉を回復しようという切実な運動のひとつなのですね。彼らにとっては history とは his story にほかならないのです。それを our story にするために、彼らはギャングによる銃撃戦がひんぱんに起こるようなゲットー・ライフの中で、言語学、考古学、人類学、文学その他あらゆる学問を動員して、総合的な研究をしています(学問分野としてはいわゆるブラック・スタディですね)。当然、キリスト教世界に生きる白人にとっては歴史修正主義ということになるのでしょうが、そのどちらからも等距離でいられる日本人は、ことを冷静に見つめるべきでしょう。少なくとも、この平和な日本でぬるい運動をやっている市民運動家に、上記のようなくだらない揶揄・茶々入れをされる筋合いはないでしょうね。

 私が突っ込みを入れたのはイエス云々ではなく、「古代エジプト人は絵に
描かれた姿を見る限り黒人にみえます」といった説(私にはそうは見えませ
ん)に対してですので念のため。
 ちなみに、古代エジプト人の身体的特徴が、「人種」というはるか後代に
なって発明された差別的線引きに当てはめるとどうなるか、というある意味
ではまったく無意味だがしばしば回答を要求されてきた問題に関する考察、
および当時のエジプト人自身は自分たちの身体的特徴をどう認識していたか
という、それに比べたらずっと意味のある考察については、ここ↓あたりを
参照してください。

 http://www.egyptianmyths.net/faq.htm#race




16193 返信 Re:黒い聖母のためのリタニア 高橋 亨 2003/07/17 23:44

ついでに。

▼tpknさん(16033)
>> 日本は遺体を火葬にしちゃうし、土葬でも日本のような酸性土壌ぢゃ、毛根は残りませんよ。
>
>フムフム。「いくつかの断片的資料」ってのは、別に死体を見てってことじゃないわけね。文脈的に考えれば、本とか写真とかかマネキンとかか。こりゃ失礼しました>高橋さん
>頭部に髪の毛が数本のこったコギャルの白骨・ミイラが大量に出土、とかそんなの想像してたよ〜。


 「コギャル」が(「昔コギャルしてた人」ではなく)「コギャルのまま」
の状態で大量に死体となって埋まっている、なんてことが起こったら、人種
的混交どころではないエラい事態であります。(笑)




16207 返信 Re:黒い聖母のためのリタニア 高橋 亨 2003/07/19 10:25

tpknさん、こんにちは。

▼16199
>>  少なくとも、小なりといえども一国の王子であった、という仏伝が正しい
>> ならば、ブッダは当時の支配階級の一員であり当然アーリア系。ドラヴィダ
>> 系というのはあり得ない話だと思います。
>
>えっと、クリシュナは一例として出しただけで、ゴータマ・シッダールタがドラヴィダの可能性があるという話はしておりませんが。


 え、そうなの?
 だって、イエス黒人説の話に続けて、「それから、ブッダに関しても、そ
うした研究は無効ではないと思いますね。」(#16027)なんて書いてたじゃ
ないですか。
 可能性がないと思っているなら、なんでわざわざそんなこと書くわけ?

>>  考えてみると、アーリア系のブッダこそれっきとした「白人」(見た目の
>> 肌の色がどの程度「白かった」かは別として)ですね。しかし、白人らしい
>> 姿で仏像が作られることはほとんどない。
>
>ゴータマは今でいうとネパール人で、お母さんも東のほうの国の人ですから、現在の東南アジア系の顔つきだったかもしれないですね。それ以前に、アーリア系をもってして「白人」とおっしゃるのなら(まあ「逆説」なんでしょうが)、そりゃ北アフリカからインドまで皆白人です。極論ですね。


 系統から言えばアーリア人は白人としか言いようがないのでは?
 それに、彼らが白人ではないとしたら、いったいナニ人になるんですか?
ブルーメンバッハが発明した以下の人種概念(「1.コーカサス人=白人」
を除く)から選んでみてください。

 2.モンゴル人
 3.エチオピア人
 4.アメリカ人
 5.マレー人

 まあ、「白くない白人」アーリア人のような存在を見ただけで、もともと
線など引きようのないところに無理矢理恣意的な線引きをした「人種」とい
う概念のインチキさが明らかになるわけです。
 もともと白人のことを「コーカソイド」と呼ぶのも、ブルーメンバッハが
旧約聖書の「ノアの箱船」がたどり着いたとされるアララット山に近いコー
カサス地方の人々こそ最も美しい人類の原型だと考えたから、というまった
くの恣意の結果に過ぎません。
 ちなみに、他の4人種はその原型からの「退化」によって生じたのだそう
です。

  http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/conference/nhk.html



[ HOME ] [ UP]