in [aml-stove 92] 木村さん wrote:
>stove新参の木村愛二です。
こんばんは。ホロコースト問題新参者の高橋亨です。
#注)一部、引用順序を入れ替えた部分や重複引用した部分があります。
★ ドイツにガス室はなかったか ★
>「*質問1* あなたが上でダッハウのガス室について主張している内容は、正確に
>は次のどちらの意味ですか?
>
>(a) ダッハウにはガス室そのものが(物理的に)存在しなかった。」
>
>……存在しなかったのです。
いいえ、ダッハウに殺人用ガス室は存在しています。1943年に完成した新しい
死体焼却棟(通称「バラックX」)内に設置された五つのガス室のうちの一つ
がそれです。(他の四つは駆虫用のもの。)
>「(ニュルンベルク裁判に提出されたフィルムは捏造されたものである。)
」
>
>……フィルム自体は本物ですが、被写体は普通のシャワールームのシャワーの出口
>の水栓です。
なるほど。問題の部屋はその入口の上に掲げられた"Brausebad"という標識の
とおり、単なるシャワールームだった、とおっしゃるわけですね。それでは、
その「シャワールーム」がなぜ次のような奇妙な特徴を備えているのかを説明
して下さい。
(1) 天井のシャワーヘッドにはなぜ給水設備が接続されていないのか?(水の
出ないシャワーヘッドの下でどうやってシャワーを浴びるのか?)
(2) なぜ単なるシャワールームが強力な換気装置を備え、屋根には排気用煙突
まで付いているのか?
(3) なぜ単なるシャワールームに密閉型の金属製ドア(隣接する駆虫用ガス室
と同種のもの)が必要なのか?
(4) なぜ単なるシャワールームに過ぎない部屋の外壁に、内部に何かを投げ込
むための引き出し式投入口(金属の蓋付き)があるのか?
(5) なぜこの投入口の前面に木製の衝立て状構造物を置いて、投入口とその周
辺部が見えないように隠さなければならないのか?
>「*質問2* あなたが1960年には「すでに」定説になっていたという「ドイツには
>ガス室はなかった」という説は、現在でも定説であり続けているのですか?」
>
>……そうです。ただし、「定説」と言う表現は公式(もしくは御用)学者の表現で
>はなくて、「歴史見直し論者」の表現であって、私は詳しくは、それをさらに「事
>実上の定説」と言い換えています。「ドイツにはガス室はなかった」という表現を
>含む文章は、その後にミュンヘン現代史研究所の所長に昇格したブロシャット博士
>の個人的な新聞投書です。私はこの投書を、論争を避け、当時はソ連圏にあって調
>査不可能な東部への問題先送りの「移送」(ユダヤ人の東部移送と引っ掛けた皮肉
>)を狙った「隠微な官僚的策謀」であると主張しています。
まず第一に、あなたの訴状にある「ドイツにはガス室はなかった」という表現
自体が極めて不正確です。ブローシャト博士のDie Zeit紙への投書(1960年8
月19日号掲載)に書かれていたのは、「ダッハウでもベルゲン・ベルゼンでも
ブーヒェンヴァルトでも、ユダヤ人やその他の囚人の*ガス殺*は行われなかっ
た」ということであって、ガス室そのものがなかったなどということではあり
ません。ちなみに、ブローシャト博士は同じ投書中で、「ダッハウのガス室は
完全には仕上がらず、そのため“稼動”しなかったのだ」と述べています。[1]
>「この点に関するミュンヘン現代史研究所の現在の意見はどのようなものですか?
>」
>
>……以上のように「研究所の」公式の「意見」という形式を踏まないのが、「隠微
>な官僚的策謀」なのであって、私は拙著『アウシュヴィッツの争点』では、同研究
>所の「若手」フライ著『総統国家』を論評の材料にしました。この本では、ニュル
>ンベルグ裁判でドイツ国内のダッハウ収容所(これが唯一の映像「証拠」の場)を
>も「ガス室」のある「絶滅収容所」だったと判定した「誤審」の事実を、完全に抹
>殺しています。しかし、逆にいえば、歴史的事実の「抹殺」という形式で、上記の
>「事実上の定説」を引き継いでいることになります。
というわけで、「ドイツにはガス室はなかった」などというのは1960年当時も
現在も定説でもなければ「事実上の定説」でもありません。また、ザクセンハ
ウゼン、ノイエンガンメ、ラーフェンスブリュック、シュトゥットホーフ、マ
ウトハウゼンの各収容所ではガス室が実際に殺人に使われていたことが知られ
ています。要するに、ドイツ本国にもガス室は存在し、使われてもいたという
のが終戦直後から現在に至るまで変わっていない定説です。
更に付け加えれば、上記のとおり1960年当時の段階では、ダッハウのガス室は
使われることなく終わったと考えられていたのですが、その後の研究の結果、
これはもはや定説ではなくなっています。この点に関するミュンヘン現代史研
究所の現在の見解は、「ダッハウのガス室では小規模な実験的ガス殺が行われ
た」というものです。[2]
★ ガス室の法医学的研究 ★
>「*質問3b* あなたの上記の説明は、ポーランドにおける法医学鑑定の最高権威で
>ある同研究所による調査・鑑定によって、アウシュヴィッツにガス室はなかったこ
>とが『ほぼ決定的に』明らかにされた、と読める(それ以外に解釈のしようがない
>)のですが、それは本当ですか?」
>
>……高橋さんの「解釈」は不正確です。「ほぼ決定的に」という字句は、私自身の
>文章の一部ですが、私は、「以上のような法医学的研究によって、ほぼ決定的に」
>と記しています。
>
>「以上」とは何かといえば、その前には「すでに八つの報告がある」と記しており
>、「クラクフ」の報告はその最後の一部にしかすぎず、この報告の内容と結論の付
>け方には疑義があるので、その点を「ほぼ」という字句に含ませたのです。詳しく
>は訴状と同時に拙著『アウシュヴィッツの争点』を提出していますので、そこへ譲
>っているのです。
>
> この「ほぼ」に関しては、後日、いささか長い地の文章をmailで送ります。
>
>「同研究所の誰が、いつ、どのような調査を行い、その結果どのような結論に到達
>したのか教えてください。」
>
>……高橋さんの上記の質問への答えは、やはり長文になるので、これも後日、いさ
>さか長い地の文章をmailで送ります。簡単にいうと、シアン化水素(気体を日本語
>では青酸ガスと呼ぶ)の成分の残留テストの結果、アウシュヴィッツのメイン・キ
>ャンプの「ガス室」には「消毒室」(これは誰しもが本物と認定)よりも残留が少
>ないことを認めるが、それは「殺人に要した時間が短かったから」などと主張する
>矛盾に満ちた報告なのです。
いやあ、驚きました。すると、木村さんが訴状に書かれた:
| 「ガス室」と称されてきた建物の構造、人員収容面積、密閉性、排気能力、ガス投
| 入のための穴またはパイプの有無の調査、さらには壁面の素材と結合した「シアン
| 化水素」(気体を「青酸ガス」とも呼ぶ)の残留テストによって、現在では、歴史
| 学における考古学的な発掘調査と対比し得る科学的な研究が可能になっているので
| ある。原告が掌握しているだけでも、すでに八つの報告があるが、その中には、ク
| ラクフのポーランド国立法医学研究所の調査と鑑定結果が含まれている。同研究所
| は、日本ならば警視庁が鑑定を依頼するような最高権威であり、アウシュヴィッツ
| 博物館の依頼に基づいて実地調査を行い、同博物館に鑑定結果を伝達したものであ
| る。原告は、クラクフの同研究所を訪問するなどして、それらの調査と鑑定の報告
| 書を入手し、著書、『アウシュヴィッツの争点』の中で、法医学的調査と鑑定の意
| 義を詳しく紹介している。
|
| 以上のような法医学的研究によって、ほぼ決定的に、従来流布されたきた神話は
| 崩壊せざるを得ない状態にある。これらの研究を無視する議論は、たとえて言えば、
| 殺人事件の審理に当たって検察当局が、殺人に使用された凶器として自ら主張する
| 物的証拠の提出及び専門的な鑑定と、殺人現場として自ら主張する場所の現場検証
| とを、いずれも拒否ないしは無視しながら有罪の判決を求めようとするような、横
| 暴極まりない愚挙に他ならない。
という文章の中で「日本ならば警視庁が鑑定を依頼するような最高権威」とし
て紹介されているポーランド国立法医学研究所は、「アウシュヴィッツ博物館
の依頼に基づいて実地調査を行」った結果、確かにガス室の壁面にシアン化水
素が残留していることを確認して報告をまとめたのだが、それはあなたの該博
なる知識から見ると矛盾に満ちた取るに足りない代物であって、同研究所の鑑
定結果の存在にもかかわらず、「法医学的研究」の結果としては、アウシュヴィッ
ツにガス室などなかったことが「ほぼ決定的に」明らかになっているというわ
けですね。
私もずいぶんいろんな人と議論してきて大抵のレトリックには驚かなくなって
いるのですが、これほど理解困難な文章に出会ったのは初めてです。あなたの
訴状を特別な予備知識なしで読んで、今回あなたが示されたような「正しい」
解釈が出来る人など恐らくどこにもいないでしょう。
訴状のこの部分は至急訂正されることをお勧めします。万一裁判官があなたの
著書を細心の注意を払って隅々まで読む作業を怠った場合、「日本ならば警視
庁が鑑定を依頼するような最高権威」であるポーランド国立法医学研究所自身
がガス室は「神話」だという鑑定結果を出したと誤認して、とんでもない誤判
を招いてしまう恐れがあります。
また、あなたのホームページも至急訂正されることをお勧めします。訴状を理
解するための予備知識としてあなたの『アウシュヴィッツの争点』が必要だと
いうことであれば、少なくとも訴状に関連する部分はすべてホームページにも
引用掲載して注意を喚起しておく必要があるでしょう。そうでないと、あなた
のページを訪れた「純情なインターネットの若者」たちが皆とんでもない誤解
をしてしまう恐れがあります。そういう事態は決して木村さんの本意ではあり
ませんよね。
それにしても、これほど理解困難な文章を書かれる方から、
> まず、今後の議論の前提として、高橋さんの「私にはあなたの主張はまったく信
>用し難いものに思われます」というくだりと、「疑問点は多々ある」というくだり
>を冷静に比較してください。
>
>「難い」と言う字句は「まったく」とは矛盾します。「まったく信用できない」の
>なら、「疑問の余地なく」でなければなりませんし、そういうだけの資料調査が必
>要不可欠です。
>
> 私の現在の訴訟相手、本多勝一の評価については『噂の真相』(1998.10)に譲り
>ますが、高橋さんの文章が、本多勝一の矛盾だらけの文章と似ているのは感心でき
>ません。
などと文章指導を受けることになるとは、思ってもみませんでした。
> 同研究所から直接入手した13頁の抜き刷りの英語の論文は三人の連名になってい
>ます。こちらもポーランド文字で、いちいち説明を付けないとならないので、読ん
>でみたい方は送り先を記してmailで申し込んで下さい。コピーを無料でお送りしま
>す。もちろん、その入手の経過をも記した拙著『アウシュヴィッツの争点』の特価
>での注文と一緒であれば、なおのこと歓迎します。訳したい方の出現をも望んでい
>ます。
この報告書(A STUDY OF THE CYANIDE COMPOUNDS CONTENT IN THE WALLS OF
THE GAS CHAMBERS IN THE FORMER AUSCHWITZ AND BIRKENAU CONCENTRATION
CAMPS)は既にWeb上で公開されていますので、わざわざ木村さんの手を煩わせ
るまでもありません。HTML版が[3]、プレーンテキスト版が[4]にあります。
木村さんによる評価とは異なり、私は非常に優れた研究だと思います。平易な
英文ですので、興味のある方はぜひご自分で読んで判断してみてください。
また、この報告におけるシアン化水素の残留量に関する調査と検討が、果たし
て木村さんが:
>簡単にいうと、シアン化水素(気体を日本語
>では青酸ガスと呼ぶ)の成分の残留テストの結果、アウシュヴィッツのメイン・キ
>ャンプの「ガス室」には「消毒室」(これは誰しもが本物と認定)よりも残留が少
>ないことを認めるが、それは「殺人に要した時間が短かったから」などと主張する
>矛盾に満ちた報告なのです。
と評されているような粗雑なものかどうかも、報告書の内容をよく読んでみれば
明らかだと思います。簡単にポイントだけ指摘しておくと:
(1) この報告で調査されているガス室は、アウシュヴィッツ基幹収容所にある
もの(1941年に最初のガス殺が行われた第11ブロック内の一室および第一焼却
棟内のもの)だけではない。アウシュヴィッツ-ビルケナウにあるガス室(第
二、第三、第四、第五焼却棟内)も同様に調査の対象となっている。
(2) 基幹収容所第11ブロックのガス室は確かにシアン化水素残留量が他のガス
室やシラミ駆除室に比べて少ないが、これはこのガス室が初期のごく短期間し
か使われなかったことによって説明できる。
(3) 平均値で見ると第一〜第五焼却棟の残留量もシラミ駆除室に比べて少ない
が、それほど極端な差があるわけではない。残留量はサンプルごとに大きく異
なり、焼却棟の場合は0〜640ug/kg、シラミ駆除室では0〜900ug/kgの範囲に分
布している。
(4) 平均的に見てシラミ駆除室より焼却棟の残留量が少ないのは、使われたシ
アン化水素ガスの濃度が低く、1回当たりの処理時間も短かったこと(注:シ
アン化水素は昆虫に対してより人間に対してのほうが遥かに殺傷力が大きい)、
これらの焼却棟は解放前に爆破され、後に展示用に再建された一つを除き、廃
虚のまま風雨に曝されてきたこと、などから説明できる。
>「*質問4* 木村さんは『噂の真相』1994年9月号に『映画「シンドラーのリスト」
>が訴えた“ホロコースト神話”への大疑惑』なる記事を書いていますが、この記事
>に書いた内容は現在でも正しいとお考えですか?」
>
>……基本的には「現在でも正しい」と考えています。「基本的に」と断ったのは、
(以下略)
承知しました。木村さんが今回書かれた事項に留意した上で検討し、またいく
つか質問させて頂きたいと思います。
*参考文献*
[1] ティル・バスティアン著、石田勇治・星乃治彦・芝野由和編著『アウシュ
ヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』白水社 p.143
[2] http://www.nizkor.org/ftp.cgi/orgs/german/ifz/ifz.report
[3] http://www2.ca.nizkor.org/hweb/orgs/polish/institute-for-forensic-research/introduction.html
[4] http://www2.ca.nizkor.org/ftp.cgi/orgs/polish/institute-for-forensic-research/post-leuchter.report