Message-Id: <199810251552.AA00074@lequio.altavista.net>
From: TAKAHASHI Toru <toru-tk@altavista.net>
Date: Mon, 26 Oct 1998 00:52:01 +0900
To: aml-stove@jca.ax.apc.org
Subject: [aml-stove 100] まとめてお答えします
In-Reply-To: <199810220235.LAA01363@mail.jca.ax.apc.org>

高橋亨です。

以下、[aml-stove 94]と[aml-stove 96]にまとめてお答えします。

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in [aml-stove 94] 木村さん wrote:
> 高橋さんの「質問」が、案の定、かなりの準備の上でなされたことが良く分かり
>ました。当面の雑事を整理した上で、ゆっくり拝見し、こちらも調べ直して回答し
>ます。

別に急ぎはしませんので、ごゆっくりどうぞ。私の方も仕事を抱えている身
なので、この議論にばかり時間をかけるわけにはいきません。返信が遅れる
場合もあると思いますが、ご容赦下さい。

ただし、一つだけ確認しておきますが、私が質問を提起した当初、木村さんは、

in [aml 9823] 木村さん wrote:
|  なお、高橋亨さんの質問は、拙著『アウシュヴィッツの争点』を読んで頂ければ
|、すべて解決する性質のものですが、それでは失礼なので、mailだけでも分かるよ
|うに努力します。

と自信満々におっしゃってましたよね。「調べ直して回答」するということは、
結局あなたの『アウシュヴィッツの争点』だけでは私の疑問に答えられないこ
とをお認めになった、ということですね。木村さんは『アウシュヴィッツの争
点』を裁判所に証拠として提出されたそうですが、これではその証拠能力にも
大きな疑問を抱かざるを得ません。

> とりあえず指摘しておくと、高橋さんが参考に挙げた唯一の日本語文献、『アウ
>シュヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』は、『マルコポーロ』廃刊事件のあとに出
>たもので、その時期以後、私は超多忙となったため、まだ見ていません。ですが、
>別途pmnMLで渡辺武達教授が送ってきたmailによると、その本では、『ロイヒター報
>告』を否認する根拠の一つとして、シアン化水素がそんなに長く残っているかなど
>という理屈をこねているようです。そうだとすれば、高橋さんは、そのへんの矛盾
>をどうお考えなのでしょうか。

またもや前回同様な指摘をしなければならないのですが、この本で、シアン化
水素に関してロイヒター報告に反論している内容は、「シアン化水素がそんな
に長く残っているか」などという単純なものではありません。この本が言って
いるのは:

(1) ナチはアウシュヴィッツのガス室に大勢の犠牲者を鮨詰めに押し込んだ。
    (犠牲者の体温で空気を暖め、ガスを気化しやすくするため)

(2) 泣き叫び、空気を得ようともみあう人々は呼吸により大量の青酸ガスを
    体内に取り込んでしまった。

(3) また、ナチは米国の刑務所における死刑の場合とは異なり、「人道的」
    配慮から致死量の11倍の青酸を投与する必要など認めていなかった。

(4) その結果、犠牲者たちの死後、壁面から採取されうるほどのガスは空気
    中に残留しなかっただろう。

(5) 従って、44年もの後にロイヒターが壁面から青酸残留物をほとんど検出
    できなかったとしても不思議はない。

ということです[1]。私はpmnには加入していないので、上記の「理屈」の不正
確さの原因までは分かりませんが、いずれにせよそのような曖昧な論拠で文献
を批判すべきではないと思います。

次に、上記の反論の内容ですが、資料上の制約を考慮すれば、極めて妥当なも
のであると思います。バスティアンによるこの本の原著は1994年に出版された
ものなので、執筆段階ではまだポーランド国立法医学研究所(IFRC)の報告書は
読んでいないでしょう。(IFRC報告は1994年5月30日に論文として受付けられ
ており、掲載誌の出版はもっと後。)IFRC報告によって、ガス室にもシラミ駆
除室同様確かにシアン化合物が残留していることが確認された訳ですが、この
データを入手していないバスティアンとしては、ロイヒター報告に記載されて
いるデータそのものは一応正しいものと仮定して書いているわけです。後に明
らかになった事実から見て訂正すべき点が含まれているからといって、「矛盾」
しているなどとは言えないでしょう。

> もうひとつ、私はアウシュヴィッツとマダネクしか見ていませんが、そのどちら
>にも戦後の細工の跡があり、私が見た当時にも、あちこちで工事中でした。今、何
>かがある、または見えるということだけでの判断は危険です。

アウシュヴィッツを始めとする収容所跡は、ナチの史上類を見ない残虐行為を
記憶に留め、未来に警告するための戦争遺跡として整備されているので、改修
のために手が加えられている部分があるのは確かですが、それをただちに「細
工」だなどと言うのは憶断が過ぎるというものです。

確かに、現在見えるものだけから判断すべきでない、というのはその通りです
が、そのような批判は私などよりもむしろロイヒター氏に対してこそ相応しい
と思います。例えば、ロイヒター報告には次のような一節があります[2]:

| The author personally inspected and photographed the burning pits at
| Birkenau. Most remarkable about those pits is a high water table --
| perhaps as high as 1.5 feet from the surface. The historical
| description of these pits is that they were 6 meters (19.55 feet)
| deep. It is not possible to burn corpses under water, even with the
| use of an artificial accelerant (gasoline). All pit locations
| officially designated on museum maps were inspected and as
| anticipated, since Birkenau was constructed on a swamp, all locations
| had water within 2 feet of the surface. It is the opinion of this
| author that no burning pits existed at Birkenau.

つまり、アウシュヴィッツ一帯は湿地帯で地下水位が高いので、穴を掘ってそ
こで死体を焼くことなどできるはずがない(従ってそのような死体焼却を示す
記録や写真は怪しい)と主張しているわけですが、実際には当時、敷地内の地
下水は囚人の強制労働によって張り巡らされた排水網を通じてヴィスワ河に放
流されていたので、死体焼却は十分可能だったのです[3]。

この排水設備は1945年以降放置されて来たため既に機能を失っており、その結
果現在では地下水位が上昇してしまっています[4]。これなどまさに、「今、
何かがある、または見えるということだけ」に頼って判断を誤った好例と言え
ますね。

> 私は、この問題を極右イスラエルの戦時宣伝として位置付けています。イスラエ
>ルの侵略に終止符が打たれるまでは、謀略、デッチ上げは継続され、ますます巧み
>になるでしょう。

ホロコーストがシオニストによるデッチ上げだと言いたいのなら、まずその謀
略の存在を示す明白な証拠を押え、次いで誰が、どのようにしてガス室「神話」
を作り上げていったのか、その過程を具体的に解明していくべきでしょう。残
念ながら木村さんの論理の立て方は完全に順序が逆だと思います。

> また、高橋さんは、いくつかのサイトを参考に挙げていますが、これも私にはま
>だ見る時間がありません。『マルコポーロ』廃刊事件の当事者、西岡さんが、いく
>つか見ているようですが、そのようなサイトの対極としての私のホームページの一
>部を、試しに「シオニスト『ガス室』謀略の城」として、ヤフー登録を申し込んだ
>ところ、拒否されています。言論の封殺者をこそ疑うのが、高橋さんの「対抗言論
>」なのではないでしょうか。

奇遇ですねぇ。私の「対抗言論のページ」も、立ち上げ当時さっそくYahoo!
Japanに登録を申し込んだのですが、何の応答もなく無視されてしまいました。
担当者の見る目のなさには苦笑せざるを得ませんが、少なくとも私のページが
登録されなかったのはシオニストの陰謀のせいじゃないと思いますよ。

> この問題で一番大事な観点は、犯罪操作の基本と同様、「ガス室」神話で一体誰
>が得をしているのか、なのです。  

その通りですね。ぜひホロコーストという歴史的事実をデッチ上げだと主張し、
「神話」化することで一番得をするのは誰なのか、木村さんにもじっくり考え
て欲しいと思います。

*参考文献*
[1] ティル・バスティアン著、石田勇治・星乃治彦・芝野由和編著『アウシュ
ヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』白水社 p.96-97
[2] THE LEUCHTER REPORT -- The End of a Myth
(http://www.webcom.com/~ezundel/english/leuchter/report1/forensic.html)
[3] バスティアン前掲書 p.98
[4] The Leuchter Report: A Layman's Guide Holocaust Denial & The Big Lie
(http://www.nizkor.org/faqs/leuchter/leuchter-faq-17.html)

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in [aml-stove 96] 木村さん wrote:
> マウタタウゼンはドイツではなくてオーストリアだったことについての高橋さん
>の率直な訂正を高く評価します。この姿勢は、非常に残念ながら、本多勝一や、目
>下、pmnに潜入中の渡辺武達教授などには見られないものです。
> お互いに争点をつぶし合って、事実を確認し合い、残った疑問点を詳しく検討す
>るのが、最も正しい論争のありかたと考えていますので、私は挙げ足取りはしませ
>ん。この問題は結構複雑なのです。詳しくはのちに論じます。

どうやら妙な勘違いをされているようなので念のため補足しますが、私がマウ
トハウゼンをリストから外したのは、譲歩でも何でもありません。また、この
件はそもそも争点ですらありません。まず、木村さんが「ドイツにはガス室は
なかった」説を持ち出した文脈をもう一度見て下さい:

in "http://www.jca.ax.apc.org/~altmedka/keisai.html" 木村さん wrote:
|  ところが、すでに1960年[昭35]には、「ドイツにはガス室はなかった」という
| 事実上の定説が成立していた。つまり、ニュルンベルグ裁判で採用された唯一の映
| 像は、完全に虚偽の物的証拠だったのである。原告の判断によれば、この「事実上
| の定説」を新聞発表したミュンヘン現代史研究所の所員(のち所長)、ブロシャッ
| トの真の意図は、それまでに多数提出されていた「ホロコースト」神話への疑問に
| 屈しながらも、その一方で、「ポーランドにはあった」という逃げ口上を流布し、
| 神話の一時的な延命を計ることにあった。当時の西側諸国の研究者は、ポーランド
| の「ガス室」を実地調査することができなかったからである。

in [aml-stove 92] 木村さん wrote:
| 「ドイツにはガス室はなかった」という表現を
| 含む文章は、その後にミュンヘン現代史研究所の所長に昇格したブロシャット博士
| の個人的な新聞投書です。私はこの投書を、論争を避け、当時はソ連圏にあって調
| 査不可能な東部への問題先送りの「移送」(ユダヤ人の東部移送と引っ掛けた皮肉
| )を狙った「隠微な官僚的策謀」であると主張しています。

上記の文章で木村さんがブローシャト博士の投書を根拠に主張しているのは、
「実はガス室などどこにもなかった」ことを隠し切れなくなった「定説」側学
者たちが、西側諸国についてははそれが存在しなかったことを認めつつ、共産
圏内にあって調査のできない「ポーランドには」あったと主張することによっ
て「神話」の延命を図った、ということです。前回私は、ブローシャト書簡の
内容そのもの、およびミュンヘン現代史研究所の現在の見解から、「定説」側
学者たちの言動に関するあなたの説が成立しないことを示しました。この点に
何ら答えることなく論点をそらされては困ります。

マウトハウゼンはオーストリアにあります。オーストリアは一度も共産圏に組
み入れられたことはありません。マウトハウゼンがドイツ本国にあろうがオー
ストリアにあろうが、それはあなたの言う「隠微な官僚的策謀」が事実かどう
かには何の関係もありません。

> しかし、「ガス室があった」との文章が今回の引用によって、二度流されたので
>、その問題点だけを簡単に指摘しておきます。
> 高橋さんの「あった」という根拠が定かではありませんが、ドイツにはなかった
>という趣旨の譲歩は、『マルコポーロ』廃刊事件の引き金を引いたセンターがその
>名を頂くサイモン・ウフィゼンタールですらが余儀無くされているのです。このこ

収容所跡に残る実物、生き残った被収容者による目撃証言、ガス殺を実行した
加害者自身の証言……ガス室の存在を示す証拠はいくらでもあります。「ガス
室はなかった」なる自説の根拠を示さなければならないのは、木村さん、あな
たの方です。

> 高橋さんが頼っている文献は、現在の厳しい国際論争の最前線の争点から見ると
>、非常に遅れたものだといわざるを得ません。文献を見る時には、そこに含まれて
>いる情報のすべてを一応疑って、特に、それとは反対の立場の文献と比較対照して
>、さらに調べ直す必要があります。先入観念に捕らわれて、細部の表現の揚げ足取
>りをするのは、本多勝一だけに任せておくべきです。

in [aml-stove 94] 木村さん wrote:
|  とりあえず指摘しておくと、高橋さんが参考に挙げた唯一の日本語文献、『アウ
| シュヴィッツとアウシュヴィッツの嘘』は、『マルコポーロ』廃刊事件のあとに出
| たもので、その時期以後、私は超多忙となったため、まだ見ていません。
..snip..
|  また、高橋さんは、いくつかのサイトを参考に挙げていますが、これも私にはま
| だ見る時間がありません。

私が示した文献を見てすらいない木村さんが、なぜそれを「非常に遅れたもの」
だなどと言えるのか、私にはまったく理解できません。少なくともそういうこ
とは私の指摘に対して一つでも反証を挙げてから言うべき事ではないでしょう
か。


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