高橋亨です。
in [aml 15024], 木村愛二さんwrote:
>『マルコポーロ』廃刊事件の経過
..snip..
> 一応の経過を整理しておくと、問題の記事を掲載した同誌の一九九五年二月号が
>発売されたのは、一月一七日。同月二〇日には駐日イスラエル大使館が抗議し、続
>いて二四日、花田紀凱編集長の下に、アメリカから電話情報が入った。本書で詳し
>く紹介される「シオニスト・ロビー」の中でも最悪の部類、サイモン・ウィゼンタ
>ール・センターが、ワシントンの日本大使館に抗議文を送ったというのである。
>
> 早くも翌日の一月二五日には、一般向けに報道され、テレビ朝日の『モーニング
>ショー』の話題にもなり、いわゆる総ジャーナリズム状況の大騒ぎが始まった。翌
>二六日には、同誌の二月号に広告(実は空きが出て無料広告)を載せていたフォル
>クスワーゲンが、以後の広告出稿を停止(実は以後一年、出稿予定なし)を発表し
>た。二七日、金曜日、文芸春秋の役員会で廃刊が決定された。
サイモン・ヴィーゼンタール・センター(以下SWC)が「言論弾圧」で雑
誌を潰した、と木村さんたちが口を極めて非難する「マルコポーロ」事件で
すが、真相はだいぶ違っているようです。ディヴィッド・グッドマン、宮沢
正典共著『ユダヤ人陰謀説』(講談社1999年)に内幕が書かれているので、
かいつまんで紹介します:
・SWCをはじめ、ユダヤ人団体が廃刊を要求したことは一度もなかった。
廃刊の理由はむしろ文芸春秋社内の政治的状況にあった。
・田中健五、花田和凱コンビのスキャンダル路線は、それ以前にも何度も失
態(例えば皇室批判で宮内庁に「謝罪」を強いられるなど)を演じており、
会社に莫大な犠牲を払わせるものとして非難を浴びていた。
・そして「マルコポーロ」の広告ボイコットが現実になると、もはや田中は
責任を逃れられなくなった。
・田中は社長を辞任しても影響力を行使し続けるつもりだったが、安藤満が
新社長になると80人以上の大規模な人事異動を実行し、社内における田
中の基盤は一掃された。
結局、SWCの抗議などきっかけにすぎず、「マルコポーロ」廃刊や田中の
辞任は文芸春秋社内のお家騒動の結果だったことになります。
大騒ぎになった割には、文芸春秋は結局「マルコポーロ」を回収・廃刊した
だけで西岡論文の検証に正面から取り組むことはついになかったうえ、田中
健五はSWCとの共同記者会見の席でさえホロコーストの史実に疑問を匂わ
せる発言をしていたわけですから、SWCから見たら極めて不満の残る結末
だったことでしょう。