メモ的なものですが,臨床評価やバイオマーカーを用いた臨床診断などの絡みで大事そうなので挙げておきます.
病気の検査を例にとると,
| 疾病 | |||
| あり | なし | ||
| 検査 | 陽性 | a | b |
| 陰性 | c | d | |
sensitivity(敏感度)・・・病気を発見する能力で,a/(a+c)
specificity(特異度)・・・非病人を病気だと誤診しない能力で,d/(b+d)
なのだそうです.
何だかわかったようなわからないような感じですが,この概念を疾病のバイオマーカーを定量分析するケースに投影してみましょう.
すなわち,診断という行為をバイオマーカーの定量と診断基準とするカットオフ値の設定というプロセスにブレークダウンしてみます.
例1

図に健康者と羅患者のバイオマーカーの定量値の分布を示します.一般的かつ仮想的な例として,両者にオーバーラップがある場合を示します(通常,バイオマーカーというのはこのような正規分布はしませんが・・・).この例ではバイオマーカー高値が疾病指標となりますので,敏感度を高めるには診断指標値を低めにすれば良い(A)のですが,それでは特異度が低くなります(false positiveが増える).両者はある程度trade-offなので,診断目的に合致するところを見つけることになるかと思います.通常は正常値の95%信頼区間を外れたときに異常変動とするかと思います.
例2

図には,同じく健康者と羅患者のバイオマーカーの定量値の分布を示しますが,極端な例として両者にオーバーラップがない場合を示します.この例では理論上まったく確実な診断ができることになります.
実際
分析化学者が新たなバイオマーカーを発見したとして,そのマーカーが診断に使えるかどうかにつきましては,上述したような実際上の問題をクリアする必要があります.いわばマーカーとしてのバリデーションです.この作業を早期に行うことで,マーカーを臨床診断に使えるのか,あるいは(上述したオーバーラップが大きくて)臨床診断よりも基礎研究を指向した方が良いのか(オーバーラップがあっても,処理群と対照群での平均値の差が推定できれば良いような試験系においては有用)を見極めることができるのではないかと思います.この点は現在あまり議論されていないので述べさせていただきました.
Oct.2002, Makoto Niwa