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雑学の間
塩素系の漂白剤に酸を混ぜると
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  漂白剤の容器に買いてある注意書き
 塩素系の漂白剤を酸性にすると何が起きるか
 【補足】弱酸性次亜塩素酸水利用の背景と微生物の知識
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January 04, 2005
佐田 守弘

本ページ記載の内容を追試される場合には、充分な化学的な知識の元に自己責任において実施して下さい。


サブタイトルを見ただけで、多分大多数の読者の方は、「酸を混ぜるのは危険だと言いたいのだろう」と思うことであろう。
確かに塩素系の漂白剤の注意書きには、酸を混ぜるのは危険と書いてあるし、一般的に言えば絶対に行うべきではない。だがもし本当に酸を加えたら何が起きるのか、もし加える酸の量が充分に少なかったらどうであろうか。
その様な事を一般の方々にして良いとは決して言わない。だが参考までの知識として知っておいても損にはならないであろう。

漂白剤の容器に書いてある注意書き

塩素系の漂白剤にはその製品は塩素系のものであり、「酸性タイプの製品と一緒に使う(まぜる)と有害な塩素ガスが出て危険である」との注意書きが大きく明示されている。
更にラベル背面の[使用上の注意]には、「●他の洗剤等と併用しない ●酸性タイプの製品や塩素系の排水口ヌメリ取り剤・生ごみ・食酢・アルコールと混ざらないようにする。有害なガスが発生して危険」と、塩素系の漂白剤には酸性の物質を混ぜる事は危険であると明示されている。
右の図は、その表示の一例である。
(メーカーの掲載許可を貰っていないため、メーカー名を類推する部分にはFLマスク、CPマスク等の処理により、判読できないようにしてあります。)

ではなぜ塩素系の漂白剤に酸を混入することが危険なのか。それは塩素系漂白剤に酸を混ぜると、毒性がある塩素ガスを発生するためである。より正確に言えば、塩素系漂白剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、酸性にすると分解して、塩素ガスを発生するからである。
家庭用の塩素系漂白剤を初め、工業用の同種の薬剤も、次亜塩素酸ナトリウムの分解を抑えるために、弱アルカリ性の状態で保存され、この状態で商品としても流通している。そして試用時においても、酸性にする事なく使用することを、メーカーは注意書きとして明示しているのである。

メーカーが製品にこの様な注意書きを書いている背景には、以前、塩素系の漂白剤に酸性の洗剤(トイレの洗浄に使う酸性洗剤など)を多量に混ぜ、風呂場やトイレの様な狭く通風が不完全な場所で使用したために、喉や花が痛くなるなどのトラブルがあったからではないかと思う。実際、その様な事をすれば、かなりの濃度の塩素ガスが一気に発生し、大変に危険である。

メーカーが推奨する塩素系漂白剤の正しい使い方

塩素系漂白剤のラベルに記載されている内容をまとめてみると、メーカーは次の様な使い方を適正な使い方として推奨しているものと考えられる。
・塩素系漂白剤には、酸性の物質および他の洗剤を混入してはならない。
・塩素系漂白剤は熱湯に入れてはならない。(それはせいぜい微温湯程度までと言う意味と解釈)
すなわち、塩素ガスが発生するおそれのある様な使い方をしてはならない、という事に尽きると言える。

家庭用の塩素系漂白剤の使用濃度

上記に示した塩素系漂白剤の容器ラベルには、適正な使用量が記載されている。この商品の次亜塩素酸濃度が記載してないので、仮に次亜塩素酸ナトリウムが30%濃度と仮定して、推奨されている使用濃度での次亜塩素酸イオンの濃度計算してみた。
前提としている商品の次亜塩素酸ナトリウムの濃度を高く見積もり過ぎているのかも知れないが、この値だけを見れば、家庭用に推奨されている次亜塩素酸濃度は、かなり高い。これはおそらく殺菌と共に漂白および脱臭効果を求めるために、この程度が必要なのかもしれない。
用途
推奨使用量
濃度(推定値)
ふきん、台ふきん、おしぼり
30mL/5L水
1,250 ppm 
まな板、食器、きゅうす
50mL/5L水
2,090 ppm 
食器用スポンジ
 6mL/5L水
250 ppm 
冷蔵庫、食器棚
10mL/5L水
417 ppm 
次亜塩素酸イオン(HClO)の分子量は52.5、次亜塩素酸ナトリウム(NaHClO)は75.5として計算

塩素ガスの毒性

では、次亜塩素酸ナトリウムを酸性にした時に発生する塩素ガスは、どの程度危険なのであるか。それを端的にいえば、「大量殺戮兵器に使われたこともある毒ガスである」と言える。実際、第二次大戦の際にナチスドイツによって毒ガス兵器として使われたそうである。

もちろんそれは、高濃度の塩素ガスの場合である。水道水の殺菌用に使われている濃度の塩素まで危険だと言っている訳ではない。
(一部には塩素は全て危険だからと主張する向きもある様だが、水の未殺菌による微生物事故は、はるかに危険な結果を招く)
参考までに塩素の安全性データを以下に示す。
管理濃度 : 0.5ppm (昭和63年労働省告示第79号 作業環境評価基準 別表(管理濃度))
許容濃度 : 0.5ppm : 1.5mg/m3(最大許容濃度)日本産業衛生学会(産業衛生学雑誌 Vol.44 (2002) )
急性毒性 : ヒト :LCLo=500ppm/5M
慢性毒性・長期毒性 : 慢性症状として気管支炎、鼻粘膜の炎症を起こす。
           歯に影響を与え、腐食させることがある。(歯牙酸触)
変異原性 : ヒト :リンパ器官摂取 20ppm で変異に対する影響あり。

塩素系の漂白剤に酸を混ぜることの危険性

塩素系漂白剤に酸を混ぜることは、どの程度危険であるかを、比喩的に言い表してみよう。
  ・サーキットでレースをする ・火薬を調合する ・銃砲を所持し使用する。 ・原子炉を運転する
但し次に述べる事ほど危険なものではない。
  ・高速道路でスピード違反をする  ・爆弾を密造する  ・町中で銃を乱射する  ・バケツでウランを扱う
この比喩で、何が言いたいかをおよそ分って頂けたかと思う。要するにいい加減な方法で塩素系漂白剤に酸を混ぜるのは大変に危険である。ただし、酸を混ぜること自体が全ての場合で危険と言うわけではない。

塩素系の漂白剤を酸性にすると何が起きるか

塩素系の漂白剤、つまりその主成分である次亜塩素酸ナトリウムに、多量の酸を加えて強酸性にすると塩素ガスを発生する事は、今までの説明で充分にお分り頂けたと思う。では多量の酸でなく、微量の酸を加えた場合、つまりpHを少しずつ下げて行った場合にはどの様な現象が生じるのであろうか。
次亜塩素酸イオンとpH
その前提資料として、まず右の図を見て頂きたい。
この図は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを変化させた時の溶存しているイオンの状態を表したものである(参考文献1より引用)。

次亜塩素酸ナトリウムは、通常、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を添加して、弱アルカリ性の状態にしたものが販売されている。
市販の家庭用の塩素系漂白剤もこの状態である。

この次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈しただけの状態では、pHは8〜9の範囲である。このpHの範囲では、次亜塩素酸イオン(ClO)として存在している。

次亜塩素酸ナトリウムに少量ずつ酸を加えて、酸性に持って行くと、pH5をピークとして、次亜塩素酸イオンは次亜塩素酸(HClO)として存在するようになる。この次亜塩素酸として存在す範囲(pH3強〜7.5弱まで)の範囲を、食品衛生などの分野では、次亜塩素酸ナトリウム活性水と呼んでいる。

更に酸を加えて、pH3以下まで下げると、塩素ガスが発生し始める。塩素系漂白剤に酸を加えると、塩素が発生してた異変に危険であると言われているのは、この範囲である。

〔参考文献〕
1) 「次亜塩素酸ナトリウム活性化装置の開発」(M&E 2002-2)
2) 堀田国元「電解水の基礎と衛生管理への応用」(学友会シンポジウム参考資料)
3) 小暮実「食品業界の現状と次亜塩素酸水(酸性電解水)の導入に向けて」

次亜塩素酸ナトリウムのpHと殺菌効果

次亜塩素酸ナトリウムを使用する目的は、1つに殺菌効果、もう1つに漂白効果がある。このうちの殺菌効果について言えば、上記に紹介した文献などにも記載されている内容であるが、弱アルカリ性の状態で次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果を得るには、200ppmの濃度が必要と言われている。
しかしながら、次亜塩素酸ナトリウム溶液を弱酸性にした「次亜塩素酸ナトリウム活性水」、「活性次亜塩素酸水」と呼ばれる領域では、20ppmで強い殺菌効果を現すと言われている。この濃度は、弱アルカリ性で使う場合の10分の1の濃度である。

一般向けには、「決して酸を加えてはならない」とされている次亜塩素酸ナトリウムであるが、酸を加えてpH5付近に調整すると、元の弱アルカリ性の状態に比べて、殺菌力は10倍になり、同じ殺菌力を得るのであれば、使用する次亜塩素酸ナトリウムの量は10分の1で済む事になる。

弱酸性の次亜塩素酸ナトリウを作る方法

これは家庭用の機材の話ではないので、一般の方は参考までに知っておくだけに留めて欲しいが、産業用途では「次亜塩素酸ナトリウム活性水」、「活性次亜塩素酸水」などと呼ばれる弱酸性次亜塩素酸ナトリウム液を作る装置が売られている。
その方法には大きく分けて2通りの方法がある。
(1) pHを調整する方法
通常の弱アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムを原料とし、これを希釈して目的濃度の溶液を作る。次にこの溶液に塩酸などの酸を加えてpHを所定の合わせ、弱酸性の次亜塩素酸ナトリウム液を作る。
(2) 電解法で作る方法
水に塩酸を混ぜて酸性電解液とし、これに電流を通じて電気分解をすると、次亜塩素酸が作られる。
ではこれらの装置を使わずに、手作業で次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に酸を混ぜて、弱酸性次亜塩素酸水を作ることはできるか。
答えを先に言えば、可能である。ただし、それなりの道具立てが必要であるから、家庭の台所で行えるものではない。

筆者自身も実験のために酸性次亜塩素酸水を作ったことはある。参考までに述べれば、次の様な道具立てで行った。
まず次亜塩素酸ナトリウムの原液を正確に計量して、所定の20ppm濃度に希釈する。
次にこの希釈液を、マグネットスターラで強く撹拌しながら、正確に較正されたpH電極を使ってpHを測定しながら塩酸を滴下し、pH5.00に合わせる方法である。
設備と技術があれば、それ程難しい方法ではないが、家庭の台所で行える方法ではない事は御理解頂けると思う。


以下は補足的な内容です。

【補足】弱酸性次亜塩素酸水利用の背景と微生物の知識

最後に補足として、食品産業分野で「次亜塩素酸ナトリウム活性水」、「活性次亜塩素酸水」などと呼ばれている弱酸性次亜塩素酸水が使われる様になった背景について述べておく。

ここ数年、BSE問題、牛肉偽装問題など食品の安全性を脅かす様々な事件が多発した。食品の事故について言えば、様々な食中毒事件は今始まったものではない。だが、大腸菌O157中毒事件以来、食品衛生に関する関心が高まって来ていた。その様ななかで発生したBSE問題や雪印問題などは、食品の安全性に対して消費者に大きな疑念を抱かせるものであり、更に各種の偽装事件は、この不信感に対して火に油を注ぐ結果となったことは周知の通りである。

いま、それらに関係した企業は襟を正して出直しを決意しているところも少なくなく、また幸にしてその様な事故を起こしていない企業においても、万一の事故を起こすことがない様に、日夜努力をしていると考える。
この様な中で、比較的規模が小さい弁当・惣菜などの製造メーカーでは、なま野菜の様な火を通さずに直接口にする食材を扱ったり、あるいは加熱調理後の食材を包丁で切り、弁当箱に盛り付けるといった製造工程がある。なま野菜そのものや、調理や盛り付け煮使う機材が汚れていると、集団食中毒を起こしかねない危険性がある。

この様な事故を未然に防ぐために、食材や器具の殺菌用途に低濃度で強い殺菌力を有する弱酸性次亜塩素酸水が使われ始めて来ている様である。
なお、前述の参考文献2)「電解水の基礎と衛生管理への応用」によると、弱酸性次亜塩素酸水は元々食品用とではなくて、医療用と煮考え出された技術であった様だ。

大腸菌について

さて、O157の話が出た序でに、大腸菌に関する基礎知識を述べておくことにする。
大腸菌(学名:Eschericha coli)は、その名の通り腸内細菌であり、人間を初めとする多くの動物の腸の中に生息している。動物など(人間も含む)の排泄によって土中や水中に撒かれ、めぐりめぐって再び動物の体内に入って生息する微生物である。

O157事件によって、大腸菌は大変に有害な微生物であるかのごとく思われてしまった感がある。しかしこれは間違いである。大腸菌の大部分は人体に対しては全く無害である。いや無害であると言うよりも、腸内で他の有害な微生物を抑える働きもしている点を考えれば、むしろ有益な微生物と行った方が正しいのかも知れない。

ただし数多くある大腸菌の亜種の中には、稀に毒性を有するものがある。これは昔から病原性大腸菌と呼ばれていた。その様な大腸菌がなぜいるのか、昔からいたものか、あるいは突然変異によって発生したものか、筆者は知らない。
これは人間社会に喩えてみると分りやすい。自分自身がいる家庭、お隣近所、勤務している会社、あるいは通勤途上の電車の中にいる人のほとんどは、おそらく、善良なる人間であると考えてよいであろう。
しかしながら、その中には犯罪を犯そうと虎視眈々と狙っている者もいる。病原性大腸菌とは、その様な人間社会の中での犯罪者の様なものなのである。

O157型の大腸菌も、大腸菌の一種であり、通常の微生物の培養試験では、他の大腸菌との区別が付かない。以前は血清反応による同定で、また最近はDNA鑑定によって、大腸菌の中の細かい分類がされている。「O157」という名称は、血清反応で分類された名称である。

衛生指標となっている大腸菌

食品衛生法の上では、大腸菌は食品衛生の指標菌として位置付けられている。東京都が出している「弁当惣菜規範」では、「加工食品は大腸菌群が陰性であること」と規定されていて、多くの食品メーカーでは、出荷する製品に大腸菌と大腸菌に類似した菌が含まれていないことを検査している。

この衛生基準の元となっているのは、戦前から戦後間もない頃の、衛生状態が悪かった時代の飲料水の管理基準にあった様だ。その当そ時、便所は汲み取り式の便所であり、飲料水は井戸水であった。そして現在では発生頻度は少なくなった様であるが、当時は赤痢が最も警戒された伝染病であった。またその後も、サルモネラ菌による食中毒が多発した時代があった。

赤痢菌もサルモネラ菌も大腸菌と同じ腸内細菌である。患者の便に混じり、便が直接混じったり触れたりすることによって感染が広がる。そして当時、その最も警戒された感染ルートが飲料水である。
すなわち、どこかに便壷などが壊れている汲み取り式便所があると、そこから糞便が地中に漏れ出す。これが回り回って、井戸水に混入する事があり得た。実際近年起きた埼玉県の幼稚園で発生したO157集団感染事故も、全くこの感染ルートだった様だ。

赤痢菌は仮に汚染していたとしても、その濃度は必ずしも高くはない。と言うよりも低濃度の汚染で赤痢の感染を引き起こす。また赤痢菌を同定するのは、大腸菌を調べるよりも手間がかかる。赤痢菌も大腸菌も同じ腸内細菌であるから、万一赤痢菌に汚染しているとすれば、大腸菌にも汚染しているはずである。その対隅命題として大腸菌の汚染がない事が言えれば、赤痢菌にも汚染していないと保証できる。この様にして、大腸菌に汚染していないことを証明することで、赤痢菌非汚染を保証しようとしている訳である。

なお付け加えれば、何かの間違いで、あるいは誰かが故意に井戸水に大腸菌を混入したとしても、大腸菌は井戸水の中では増殖できないから、生存し続けることはできない。井戸水を検査して大腸菌が検出されるとしたら、それはどこからか糞便に由来する水が混入し続けている事でもあるのだ。

生鮮品の微生物の微生物状態

精肉について言えば、精肉となる動物の筋肉部分にはもともと大腸菌は生息していない。つまり、正しく処理された精肉は、大腸菌が陰性であって当たり前である。精肉から大腸菌が検出されるとしたら、食肉を処理する工程で処理に不適切な扱いが行われて、糞便汚染したことを意味すると言っても過言ではない。

一方野菜の場合には、清浄栽培されたものは別として、もともと大腸菌に汚染されている可能性が高いといよりも、汚染されていて当たり前である。その理由は言わなくても分るであろう。実際、農産物は収穫から出荷までの段階で、微生物検査を行わない。検査を行っても陽性である事はほぼ確かだし、使用に際して皮を剥いて洗ったり、煮炊きするからであろう。
これに対して、カット野菜は加工品扱いになり、微生物管理の対象になる。つまり畑で取れたままのキャベツは大腸菌が付着していても構わないが、これをカットしたサラダ用の野菜は大腸菌が付着していることは許されない。そのため、次亜塩素酸などを使って殺菌を行わない限り、商品として販売することができないのである。

スーパーで買い物をする際に、野菜も肉も一緒に扱う人が多い。筆者は鮮魚・精肉と野菜を同じ買い物カゴに入れる事さえ躊躇する。
理由はもう分るであろう。「腸内細菌非汚染の食材と汚染食材を一緒にするな。」である。

大腸菌群とは

先程述べた弁当・惣菜規範でも「大腸菌陰性」でなく、「大腸菌群陰性」であると述べた。実際、原料メーカーに納入原料が大腸菌群に対して陰性であることを保証させる食品メーカーがほとんどである。

この「大腸菌群」の意味について述べておく。
大腸菌群(coli form)とは、大腸菌に類似する菌という意味である。より正確に言えば、ラクトース(乳糖)を資化(栄養とするの意味)して、炭酸ガスを発生する微生物を言う。
具体的には試験官にLB(乳糖ブイヨン)培地を入れ、ダラーム管(細いガラス管の一旦を閉じたもの)を入れて、試料を接種して培養する。炭酸ガスが発生してダラーム管が浮き上がったら、陽性である。なお、食品関係ではLB培地の代りにBGLB(ブリリアントグリーン乳糖ブイヨン)培地を使用するのが通常である。

大腸菌で判定するのではなく、大腸菌群で判定する理由は筆者も良く分らない。考えられる理由の1つとしては、BGLB培地だけで簡単に判定できるからではないかとも思われる。
確かに、大腸菌群が陰性であれば、大腸菌も陰性であることは確かであり、赤痢菌やサルモネラ菌の汚染もない事を証明できる。
しかし大腸菌群に含まれる菌の中には、大腸菌と必ずしも生態系を一緒にしない微生物も含まれている様に思える。野菜類などは、仮に大腸菌に汚染していなくても、大腸菌群にグループ分けされる微生物が、土壌由来で付着する可能性が高い。
赤痢菌の指標菌として大腸菌を検査するまでは分るが、更にその指標として大腸菌群までを陰性とするのは、やや行き過ぎた基準の様に思うのは筆者だけだろうか。