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真紀奈はこの件について全然知らなかったのですが、メールで質問&情報提供を受けたのでちょっと調べてみました。ところでこのゲーム、真紀奈の年齢的にやってはいけないゲームなのですが(苦笑)教えていただいたメーカーの見解以外覗いていませんので、どんなゲームだったかとか、どんなキャラクターのグッズなのかということはさっぱりわかりません。
それと、解釈について情報提供していただいた藤八さんからも色々と意見をいただいているのですが、ここではそれも参考にしつつ、真紀奈の意見を述べることにしようと思います。藤八さんの解釈も出ていますので、興味のある方はそれも見てみてください。
とりあえず状況の説明から。これらの情報はこちらの11月23日分、メーカーの見解から得ています。
| @ | あるメーカーがファンの強い要望によりキャラクターグッズ(湯のみ)を作成、販売することにした。 |
| A | 予想以上に希望人数が多かったため、身分証明書で本名を確認し、一人一人に転売禁止と言うことと転売をした場合は個人情報を晒すということを伝え、それに同意した人間にのみ販売ということになった。 |
| B | 購入者のうちの1人がYahooオークションに出品。 |
| C | メーカーがそれを察知し、自社のWebサイトでオークションURLを晒して「出したからにはわかってるだろうな?」と記述。 |
| D | オークションが取り下げられる。反響が大きかったためか、メーカー側はこの件に関する見解を出した。 |
こんな感じの事例です。問題になるのは次の2点でしょうか。
1.転売禁止なんていう条件が認められるのか?
2.違反時の個人情報の晒しあげという条件は有効か?
まず契約というものについて考えてみると、近代私法の原則の1つに契約自由の原則というものがあります。これは契約をするもしないも自由だし、契約の内容をどう定めようと自由と言う原則です。ただし、法律に違反するような契約はできませんし、また、理不尽な条項に関しては無効を主張できます。法律違反に関しては各法律の違反に、理不尽な条項(社会的妥当性を欠く条項)の場合は民法90条の公序良俗違反となるでしょうか※1。
では1について見てみます。Aをみると、今回の売買は、一人一人に転売禁止ということを確認し、同意を得た上で販売しています。またあくまで転売禁止であって処分禁止というわけではありません。つまり人にあげたりということは別に禁止されていないのではないでしょうか。いっさいの処分を禁止しているというわけではありませんし、契約に同意した上で購入しているわけですから、この転売禁止特約は有効であると思います※2。
ただし、この契約は当事者間でしか有効にはなりませんから、購入者が誰かに転売した場合、転売で購入した人間は保護されます。メーカーは転売購入者に商品を返せとは言えません。
次に2について。個人情報の晒しあげということについて考えてみると、一般的な個人情報保護法制というものが今の日本には存在しません。個人情報保護法案も廃案になるようですし。(次の国会で新法案を出すそうですが)そのため直接に規制する法律がありません(苦笑)
じゃあ漏洩しても許されるのか、というとそうはならないと思います。貸金業規制法で、金を借りて返さない人に対してであっても生活に迷惑をかけるような取り立てをしてはならない(近所の人に事情をばらしたりということも禁止されます)と定めてあるのに、こういう言い方はちょっとまずいかもしれませんが、転売禁止契約を破った程度で個人情報を晒すことが許されると言うのはちょっとおかしく思われます。
また、個人情報をネットで晒すと言うことは、晒された人間に対して予想できない損害を与える可能性があります※3。そしてこの損害が社会通念上許されるレベルの損害※4を超える可能性がある限り、民法90条の公序良俗違反で無効になると考えていいのではないかと思います。
現状では違反者が過剰な制裁を受ける可能性がありますので、この個人情報晒しあげ条項は無効になると真紀奈は思います。
そもそもこの個人情報を晒すと言うこととグッズの売買契約とは直接的な関連性がありません。この契約の場合、転売をされた時は転売禁止特約違反ということで契約を解除し、損害賠償請求をすればいいのであって、それ以上の事をするのは過剰な対応でしょう。むしろこの場合、個人情報を晒したらメーカー側が訴えられる可能性も出てくると思います……。公開した時点でプライバシーの侵害も問われるのではないでしょうか。
つまり、メーカーは購入者にグッズの転売を禁止することができるけれど、購入者から転売購入した人間にまで文句を言えない。購入者が転売を行った場合は、メーカーは契約の解除・損害賠償請求あたりで契約違反の責任を問うことができるけれど、個人情報の晒しあげなどということはできない。ということになるのではないかなと思われます。
実際には転売契約が途中だったらどうなるのか、とか転売禁止規定も公序良俗違反になるのではないか、などと色々と論点がありますが、複雑になりそうなのと、真紀奈の能力を超えそうなのとで割愛させていただきます……。一応真紀奈としては上のように考えていますということで許してください(汗)
また、あくまで真紀奈の考えであって、実際にこういう判決が出るかどうかは不明です。その辺は考慮して置いてください(苦笑)
この件について2人の民法学者の方に意見を伺ってみました。そしたら、お一方は真紀奈の説でいいのではないかというお話だったのですが、もうお一方は違う意見でした。
その方の意見は下のようになります。
| 1. | 転売禁止の特約は契約自由の原則により有効になります。ただし第三者である転売購入者に対して文句を言うことはできません。 |
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| 2. | 個人情報をさらす方の特約については、売買契約における承諾がどのような形で行われたかがポイントになります。
その際には、メーカーと購入者の立場の強弱(購入者が是非欲しいと頼んだのか、それともメーカーが最初から高圧的な対応をとったというだけなのか)等を考えることになります。今回の情報だけでは微妙ですが、どちらかといえばこの特約も有効に近いのではないかと思われます。(契約時に購入者が承諾している以上、契約自由の原則が優先される) |
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| 3. | 個人情報を晒された場合に、プライバシー権侵害ということで損害賠償請求(不法行為)を行う場合、個人情報の公開は「自己の情報をコントロールする権利」としてプライバシー権の内容に含まれます。
また、会社が個人情報をさらすことは、表現の自由の侵害の対象になります。しかし、違法性阻却事由(一応違法であってもそれを正当化できる理由。正当防衛など)である「被害者の承諾がある場合」に当たるため、損害賠償は認められない可能性が高くなるでしょう。 |
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| 4. | 民法上の契約としては上記の通りとなるでしょうが、独占禁止法の不公正な取引方法の「拘束条件付取引」に当たったりする可能性も考えられます。これに当たった場合、契約は違法なものとなります。 |
学者の間でも意見が分かれるような話と言うことですね……。
ごちゃごちゃと書きましたが、結局、転売禁止といわれてそれでも欲しくて買ったのでしょうから、転売なんてしないでおきましょうよ、といいたいところです……。
| ※1: | 契約は完全に自由というわけではなく、制限もあります。たとえばガス・電気などの公共料金の契約や雇用契約などの場合は、消費者・労働者側が圧倒的に不利になってしまうため、各種の法律によって制限がかけられています。また実現可能かどうか、社会的に見て妥当かどうかなども問題になります。 |
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| ※2: | 転売禁止規定ですが、これが中古ゲーム問題の時のように、大量に頒布される商品のパッケージに「転売禁止」と書いてあるだけという程度であれば、その規定は無効となる可能性が高いと思われます。(今回の件は普通の品物で中古ゲームは著作物ですから、同じ結論にはなりませんし、判決も一部しか参考にすることはできませんけど)
これに関連して、贈与した財産の処分を永久に禁止することは公序良俗に反するとしたような決定(東京高裁決定昭和56年11月2日)がありますが、これは譲渡の永久禁止条項について正面から述べた判例ではありません。この決定をもって譲渡禁止特約を無効と判断できるかは不明です。それに今回の事例は譲渡禁止ではなくて転売禁止ですし……。 |
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| ※3: | 現状では、被害が大きくなることがそれなりにあると思われます。個人情報を晒されて、その後そこから個人が特定され、嫌がらせを受ける、ということは普通にある話のようですから。悲しいことですけど。ネコ虐待公開事件の判決のように、個人情報の晒しあげによって社会的制裁を受けているとされて執行猶予がつくくらいには、被害が出る可能性があります。 |
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| ※4: | この損害というのはケースバイケースですので、具体的にどの程度までとは言えないです……。ただ今度の件のような場合、数千円のグッズのために自分の個人情報を晒され、個人を特定されて、いやがらせの電話を受けたり、ピザを頼まれたり(笑)する可能性があるというのは被害としては大きすぎるととられるのではないかと思います。 |
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