バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳
(過去ログ)


現在の日記へ  過去ログフレーム復活
12月14日 / 著作権分科会の報告書案について / 裁判員制度について / 12月19日 / CeM(仮称)について / 12月20日 / KaZaA合法の判決
12月14日


輸入権創設&書籍への貸与権の付与&アクセス権etc……

 更新が予定より遅れましたけど文化審議会著作権分科会の案(PDF)についての意見です。
 今回の案の大きなものは、書籍への貸与権の付与と、輸入権の創設のあたりでしょうか。

 まず書籍への貸与権の付与の話です
 今まで著作権法では附則4条の2というもので、書籍に関しては貸与権が働かないとされていました。これがどういうことかというと、購入した本を営利目的で人に貸すことがOKだったということです。例えば貸本屋さんなんかがこれによって恩恵を受けていました。これは、貸本屋さんが著作権法に貸与権を創設する以前から普通に存在していた職種だったということと、売り上げにそんなに影響を与えないだろうということがあったため、暫定措置として行われていたものです。
 しかし、最近はマンガを中心とするレンタルブック店が多く出てきている/計画されていることから、収益に影響を与える可能性が強いとして、書籍にも貸与権を与えるようにという話になっているわけです。
 ちなみに、ここで著作者に与えられるのはあくまでも営利目的での貸与に関する権利です。非営利目的の場合の貸与は含まれませんので、図書館等での貸与禁止等には結びつきません。
 この案では、レンタルコミックを一律に禁止するのではなく、貸出禁止期間を設けることと、貸出に際して一定の補償金を課すということが考えられているようです。

 貸本がどれだけ売り上げに影響を与えるかと言うことが問題ですけど、真紀奈は結局欲しいマンガ/いいマンガというのは売り上げはそう変わらないのではないかと思います。貸本業があった方が、すそ野は広がるという意見には一理あるように思います。逆に言えば、補償金を安くしたり権利処理を一括でやりやすくするなどしてレンタル店を運営しやすくするのであれば、それはそれで問題ないということになりますけど。
 この辺はバランスの問題かな、と思います。真紀奈としてはここで著作者に貸出を一切禁止するような強い権利を与えるというのであれば反対ですけど、ある程度の利益を還元して欲しいという要求にはそれが適正な値であればいのではないかと思うものですから。問題は、下手にこれを権利で定めると、拡大の傾向があると言うことですか……。貸与権を与えるのではなくて、補償金請求権みたいな形で構成してはどうだろうかと思っています。

 ……これ、再販制度とのバーターにするという案もありなのかもしれません。これが問題にされる点として、再販制度によって定価販売をするようにされているのに、さらにレンタルまで禁止するのかという点があります。ですので、コミック業界とか書籍業界にこう言うんです。「再販制度と貸与権のどっちがいい?」って。
 書籍の中でも再販制度によって守られるタイプの書籍と守られないタイプの書籍に分けてしまうわけです。そして、再販制度によって守られないタイプの書籍については、レンタルからもお金を還流して貰えると。どうでしょうか?


 さて次は輸入権についてのお話
 これについては13日の朝日新聞や、Slashdotなどにもとりあげられていますね。
 輸入権というのは、海外でライセンス生産されたCDが国内に還流することを防止する権利です。(海外で違法に生産されたCDについては著作権法の113条1項1号ですでに輸入が禁止されています)
 なぜ合法に作られたCDについても規制するのかということについては以下のような事情から求められています。
 日本のレコード会社が海外でライセンス生産してCDを販売する際、レコード会社はその国にあわせた値段を設定します。そして、その値段はアジア諸国の場合、1000〜1500円と言うところです。ということは、そのCDがそのまま日本に逆輸入されると、日本のCDよりも安い値段で販売可能になってしまいます。そうすると日本のCDの売り上げが下がってしまいますから、レコード業界としてはそれを禁止したいというわけです。
 ここでレコード業界のみが対象にされるのは、音楽は翻訳がいらないからです。ジャケットが別の国の言葉に替わっていようが、曲の内容は同じですからね。他の著作物だとそうはいきません。最近では映画がDVDになって色々な字幕選択が可能になっていますけどこちらはリージョンコードなどでも防いでいますし、映画の場合は権利内容が違って(音楽は譲渡権、映画は頒布権)並行輸入は既に禁止出来るというように解釈されています。

 これの問題点も再販制度との絡みがあります。この報告書で重要なのは12ページの脚注12です。

還流防止制度を導入している国で、音楽レコードなどの再販売価格維持制度を法制度として導入している国はないとの指摘がある。

 ここはこんな小さくではなく、もっと大きく書いておいて欲しいところです。15ページにも書いてありますけど、再販制度を維持したままで輸入権を導入するというのでは、一切の価格競争を無くしてしまいます。これは問題だと思うんですよね。これもどちらかを選べって思ってしまいます。(どっちの権利もないのが消費者としては一番いいですけど)
 あとは、現在普通に売られている海外盤の洋楽はどうなるかということも心配です。下手をするとこのあたりまで禁止に引っかかるように思うのですけど。それは、国内盤に関すること以上に、消費者にとっては不利益が出るように思います。
 真紀奈はこの権利の導入にあまり賛成出来ません……。


 さて、その他に書いてあることも少し書いておきます。
 まず著作権法の単純化ということがあげられています。これについての懸念は前に書きましたけど、今回は契約の面について少し変更点が示されています。具体的には、61条2項の廃止などですけど、現在の時点の変更案ではあまり影響はないように思えます。

 次にアクセス権というものの創設について少し書かれています
 今回の報告書では検討をする必要があるという表現で終わっています。ただ、これの創設については、暗号化解読についての情報の規制が関わっている(p18)ようですから、注意が必要です。真紀奈はこれについて意見を出しておこうと思っています。

 また保護期間についても意見が出ています(p19)。今回の報告書では検討を要するという表現ですが、映画の保護期間を発行後ではなくて死後に改めるべきだとか、全体的に死後70年に統一するべきだという意見が書かれています。なぜ長くあわせようとするんでしょうね。短くあわせようという風に動くことはできないものなのでしょうか……。

 あと、64ページ以降に賠償制度についての話が出ています。
 なんか侵害額を定めるのが困難であると言うことから、1著作物あたり10万円と定めようという案が出ているのですけど……。1000の著作物を共有していた場合、賠償額は1億円ですか。要検討課題になっているのですけど、本当にこうなったら、すごいものです……。
 とりあえず一律で10万円というのはどうかと思いますね。音楽の場合はアルバム換算で1曲あたり200円くらいとして、500回コピーされないとこの額に達しないのに対して、ソフトウェアの場合は1回でこの額ということもあり得るわけで。それぞれの値段かける何回というのが望ましいのではないでしょうか。……それを計算するのが面倒なのかな?
 懲罰的賠償制度については否定的に書かれているようです。


 とても長い報告書ですけど、実際のところすぐに関係しそうなのは最初の20ページくらいではないでしょうか。意見がある方は送っておく方がいいと思います。業界団体の意見書で埋め尽くされたら、権利強化への道を歩むことになりますしね。もちろん、権利強化に反対しない方は別に送る必要はないのですけど(笑)、真紀奈は強力すぎる著作権には反対ですから、反対の意見書をこれから書くことにします……。


色々お知らせ

 本来なら一昨日くらいに更新する予定だったのにのびてしまってごめんなさい。予定が入ったりして守れませんでした……。これからはすでに公開する記事ができている場合を除いて予告を止めることにします。(後ろ向きな宣言ですね^^;)

 12月5日の更新について一点訂正です。クリエイティブ・コモンズのドラフトについての意見募集が12月10日までと書いていましたけど、実際は12月20日まででした(渡辺さん、ご指摘ありがとうございます)。まだ意見の提出には間に合いますので、意見のある方はMLもしくはメールにお願いしますとのことでした。

 また、クリエイティブ・コモンズの関係で一つ記事を書かせていただきました。とてもインパクトのある記事になっているのではないかなと真紀奈的には思っています。初のオフライン商業媒体への記事掲載になります。(商業誌というとこのあいだHOTWIREDに書いたばかりなので……。オンラインマガジンってどういう位置づけなんでしょう)
 掲載は12月28日発売のインターネットマガジン2004年2月号です。見て貰えると嬉しいです♪

 CeMについての更新は次の時に。取り上げてくださった方、意見をくださった方、本当にありがとうございます♪


裁判員制度

 裁判員制度について色々と記事が出そろってきました。自民党案各党の比較記事などがでてますね。
 真紀奈が今までに書いたこれに関する記事は、こんな感じです。
 第1回:裁判員制度試案についての意見。
 第2回:陪審制と参審制の違い。
 第3回:諸外国の法制について。
 第3回の2:実施例から見る問題点について。
 第4回:裁判員制度についての真紀奈の意見。
 裁判員制度:今年の3月時点での真紀奈の意見。
 真紀奈×師匠対談:アメリカの陪審制についての豆知識。

 反対ではないけれど、性急すぎませんか?というのが真紀奈の意見です。このまま実行しても、欠席者が続出して制度そのものが機能しないような気がしています。

 掲示板でいただいた裁判員の票に重みを持たせるという案ですけど、確かに見た覚えはありませんね。面白いとは思いますけど、裁判官が全員一致すればそれでいいというのにはきっと反対がたくさん出るのではないかと思います。それだと裁判員の意味がないと言うことで。
 人数調整じゃなくて、制度そのものを見直した方がいいと思うんですけどね……。なんで登録者から選ぶとかそういう案が出ないんでしょう。そもそも最初この制度は、裁判員という意見を言うだけで議決権を持たない人が一人入るという制度だったはずなのですけど、それがいつの間に変わったのかもわかりませんし。裁判に市民の意見を反映させるというのであれば、それでも問題ないはずなんですけど……。


ニュースクリップ

ネット音楽とアナルコ・キャピタリズム (本間忠良氏)
 もう一度読んでおくことをおすすめします。著作権審議会に意見を書くのであれば、かなり役に立つと思います。

いかがわしいグッズに公取委が排除命令 (Slashdot)
カナダ、P2Pの「ダウンロードは合法」 (ZDNET)
DVDコピーツール訴訟、第二ラウンドの判定は? (ZDNET)
青少年大綱:少年事件への刑事対応強化求める (毎日新聞)
スウェーデンでLindowsに差し止め命令 (ZDNET)

脳への携帯電波の影響ない〜総務省 (ZDNET)
「他人の好み」に頼らない新世代の楽曲推薦サービス (ZDNET)
偽装スパム・詐欺メールを防ぐ「メール身元確認」システム (ZDNET)
『世界情報社会サミット』ではインターネットが議題の中心に (HOTWIRED)
「米国によるネット支配」を論じる世界情報社会サミット (HOTWIRED)


12月19日


CeM(仮称)に対する意見

 色々な方からCeM(仮称)についての意見をいただきました。
 結構考え直す面も多くて、参考になりました。ありがとうございます。まだまだ意見は募集中です。ドラフトの方は、早ければ来週中にでも出したいと思っています。

 一番多かったのは、クレジットの表記についてのコメントでした。派生後に誰のクレジットを残していくのかという話と、オリジナルと派生者の差の問題とかです……。
 ここでオリジナルを独立させることのメリットは、オリジナルとして出してくれる人が多くなる可能性があるという点です。デメリットとしては色々と条項が面倒になること、オリジナルとは全く似ていない形にまで変形した場合にそれでもオリジナルというのかということ、オリジナルのみが優遇されて、素晴らしい派生を行った人は他の派生者と立場は同じなのかということなどがあります。
 また、派生元について常に全部表示するということについては、メリットとしてはとにかく書いておけばいいのでわかりやすいと言うこと(元の作品に書いたものをそのままコピーして、プラスで派生元の作品を書けばいい)。デメリットとしては、派生が続けば続くほど膨大な量の著作者表示をしなくてはならなくなること、そもそもそんなに書くスペースがあるのかということがあります。

 それで、色々と考えてみたのですけど、現在作成中のドラフト案では、オリジナル著作者の差別化をはずしてみようかと思っています。つまり、クレジットは基本的に全部書いてくださいという話にするわけです。デジタルメディアの場合にはそのくらいの容量は割けるでしょうし、書籍の場合もそんなに困りませんよね、と思いましたので。そして、スペースがない場合などについては、荒川さんの考えを採用してみたいと思っています。

 この場合、確かにどこに著作者のクレジットを保管しておくのかという問題は確かに発生するのですけど……。当面は自分のWebサイト等で行ってもらうとして、将来的には、CeMのWebサイトを立ち上げて、そこに保管出来るようにしておくというのもいいかもしれないと思っています。そうしておくと、Web以外で発行されたCeM作品についても検索可能になる道を開きますので。(そのためにはCeMをまともに運用出来る体制が必要ですけど……)
 このような形に変えることについての意見もいただけると助かります。

 次に二次的著作物の定義についての問題です。
 CCにも参加している渡辺さんからは、以下のような質問をいただいています。

Aさんの作品の全てを包括し、かつ、それ以外の何かを含んだものを、「サンプリング」として認めるべきでしょうか?

 ここで問題になってくるのが、複製を禁止して二次的著作物のみOKにするというのが法律的にどういう効果を持つかと言うことです。このような場合だと、基本的には、元の作品に創作性が加わっていさえすればOKになるように思われます。(ただし相当程度の創作性がないと、複製物であるという風に言われかねません。)
 ということは、渡辺さんのいうような形の利用についてもOKということになります。
 でもこういう利用法は同人などでの利用規定には反します。同人とかでは、ゲームの画像などをそのまま使用する形での改変は認められていなくて、自分で絵を描くなり音楽を演奏するなりして作れ、と言われていますよね。
 ということで、同人作品への対応ということで、二次的著作物を以下のようにしてみました(もうちょっと文案を練る必要があります……これではおかしいという意見もありましたらよろしくお願いします)

あなたは、以下の条件に従う限り、本作品について、本作品の全部又は一部をそのまま複製したものを含む方法(例えばサンプリングやコラージュ、CDから曲をそのまま抜き出して使用してFlashムービーを作るなど)を除いて、二次的著作物を作成することができます。

 この方法だと、マッドムービーとか、CD音源をベースにしたFlashとかはこれに含まれなくなります。通常の同人用途についてはこれでカバー出来るはずですけど……。あくまでもそのままの形で複製してなければいいので、自分で音楽を演奏してそれを音源としてFlashムービーを作ったというのはOKになるでしょう。

 これとは別に、同人用途以上に自由に使える作品についての派生利用ライセンスも用意するかどうか意見を募集中です。同人用途があるとそちらの方が使われやすいとは思うのですけど、別に派生に2種類あるのは問題ないと思っています。同じ派生では検索出来ないようにしないといけませんけど。

 また、営利/非営利については、頒布コストの徴収は営利目的には含まれないものとすることで調整しようかと考えています。

 提案として、この際、メインターゲットをデジタルデータに絞り込むというのはどうか、という意見もいただきました。紙やアナログテープや、デジタルデータに向かない媒体に落とす場合はその作品のコピーと二次著作を不可能にするということだそうです。
 この件については検討が必要かなと思っているところです。


 まだドラフトもまともにできていない段階ですので、まだまだ色々と意見をいただきたいと思っています♪
 また近いうちにMLを用意してそちらで議論ができるようにもしたいと考えています。


ニュースクリップ

社内発明の報酬に説明責任 研究者保護へ特許法改正 (岐阜新聞)
インターネット上で米映画を無断公開 著作権法違反で男を起訴−−京都地検 (毎日新聞)
「ファイルローグ」を運営していた日本MMOに6,689万円の損害賠償命令 (INTERNET Watch)
 判決文はJASRAC用(H15.12.17 東京地裁 平成14(ワ)4237 著作権 民事訴訟事件)レコード会社用(H15.12.17 東京地裁 平成14(ワ)4249 著作権 民事訴訟事件)があります。損害額がメディアによって違ったりしているわけですけど、さすがにこれは計算する気があまり起きないです……。

輸入盤を「非合法化」する著作権法改正 (it@RIETI)
カナダのPtoP--ダウンロードは合法でも、訴訟はあり得ると音楽業界団体 (CNET)
P2P の誤解:匿名性と違法行為 (japan.internet.com)
RIAA訴訟の成果か――ファイル共有の「本土」は欧州に (ZDNET)
DRMも「独自」から「オープン」へ――Philips・ソニーの新システム (ZDNET)



12月20日


オランダ最高裁でKaZaA合法の判決

 オランダの上訴裁判所で合法判決を勝ち取っていたKaZaAですけど、昨日、とうとう最高裁判所でも合法判決を勝ち取ったそうです(下の方に英訳があります)
 あ、ちなみにP2Pサービスを提供することが合法なのであって、それを使用して著作権侵害行為をすることが合法になったわけではありませんので。オランダに行けばファイル交換やり放題だ、ということにはなりませんので気をつけてくださいね。
 このタイプのファイル交換ソフトについては、前にアメリカでも合法判決が出たりしていますし、サービスとしては認められる方向にあるようです。
 著作権業界では、このような状況を前提としてサービスを提供する必要性がますます増してきそうですね。

 今後はP2Pソフトの開発者達はオランダで開発/運営をすると、捕まらなくていいかも……。 Honest ThiefはApril Foolネタでしたけど、今度こそ本当にこういうタイプのサービスを提供する会社も現れるかもしれません。

 関連記事:The Register:"Dutch Supreme Court rules Kazaa legal"



12月下旬の日記へ


Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons License.