バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳
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2月1日


青色LED訴訟、発明の対価は600億円

 世界中から注目を集めていた青色LED訴訟は、発明者の中村さんの圧倒的勝利という判決H16.1.30 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件になりました。今回の事件については、まあ、これくらいの額は当然かなという感じがします。
 今回の訴訟がどのようにして起きたのかを簡単に……。

 まず、基本的に特許権というものは発明者に帰属します。けれど会社の従業員、特に研究者として雇っている人が発明を行った場合、その人の発明っていうのはたいていが会社の資金を元に行われたものになりますし、研究期間中、研究者にはきちんと給料が支払われていることになります。そういう環境を用意しているのにも関わらず、特許は発明者である従業員に与えられるだけというのでは、会社としては困りますよね。特許を得たとたん、従業員がヘッドハンティングでもされたら会社としては丸損になりますし。
 そこで今回問題になっている、職務発明という制度があります。
 簡単に言うと、従業員が職務の範囲内でした発明については、会社が従業員に「相当の対価」を払うことを条件に、特許を取得することができるというものです。会社ではだいたいの場合これを利用して、会社が特許を取得しています。

 さて今回の事件については、そもそも職務発明の範囲内にはいるかということから問題になっていました。中村さんは社命に背いて発明を行っていたらしいですから。これについては平成14年9月19日に職務発明に当たるとして、会社(日亜化学)側に特許が帰属するという判決H14.9.19 東京地裁 平成13(ワ)17772 特許権 民事訴訟事件が出ています。
 そして、その上で「相当の対価」というのはいくらになるのか、ということが問題になったわけです。
 今回の件については、発明で得られた利益がとても大きいことから注目を浴びていたのですけど、対価としては604億3006万円と認定されました。今回判決で額が200億円とされているのは、単に中村さんが請求した額が200億円だったからです。(残り400億円については追加請求するそうです)

 今までの最高額は、前日に出た1億2800万円H16.1.29 東京高裁 平成14(ネ)6451 特許権 民事訴訟事件。ただ、これで高額化が進むかというとわかりませんけどね。結構特殊なケースですし。
 各誌でとりあげられてますけど、あんまりこの相当の対価が高くなると、今度は会社側の負担が大きくなりすぎるという意見があります。一括して払えばそうなるのは当然だと思うんですけどね。制度を変えるのなら、最初から発明については対価を利益の1%なりと定めて、それを毎年支給すればいいのではないでしょうか。そして、特許移転の際には、それによって得た利益の何パーセントかを発明者に払うとか。
 発明者を保護するというのであれば、それくらいは当然じゃないかなぁ……って思うわけです。実際には儲かる一部の特許によって会社を維持していることが多いわけですし、特許をどのように運用するかとか、営業の腕とかそういうのが大きな役割を果たしていますから、単純に技術者に報酬を与えればいいというわけではないというのもわかります。それでも、知財を重視するのであれば、まず発明者にきちんとした報酬をというのは間違ってないと思います。

 この特許法35条は、現在改正するという話があがっていますけど、今回の事件がかなり影響してくるかもしれませんね……。


CCCDから音楽データを吸い出してMP3にして使用すること

 PC Japan 2004年2月号小倉弁護士がこの行為が著作権法の違反であるかどうかについて書かれています。現在CCCDに使われている技術からみて以下のような結論になるそうです。

あくまで自分1人が聞くためにCCCDからリッピングしたデータでMP3ファイルを作成する行為は、違法性が低いと考えてよいでしょう。

 ……カジュアルコピーを防げるだけましな手段ということなんでしょうか、CDSって(苦笑)
 真紀奈はこの技術をまだ理解しきれていないため、何とも言えないです……。


ニュースクリップ

『フラッシュメモリー』開発 『ぼくなら2兆円』 (東京新聞)
近鉄バファローズ、「球団名を売却」意向 (読売新聞)
Kazaa裁判、独占禁止法違反却下せず〜ファイル交換ソフト側が有利に (INTERNET Watch)
P2P業界団体、「違法ファイルの選り分けは不可能」と議員に訴え (ITmedia)
制作者に著作権帰属=国発注物で自民党検討−コンテンツ振興法原案の全容 (時事通信)
権利者が不明の著作物を活用する秘策--ACCS・久保田専務理事が提言 (MYCOM PCWEB)
オランダでもLindowsに差し止め命令 (ITmedia)

ネットカフェまでほぼ完全検閲体制を敷く中国 - アムネスティ調べ (MYCOM PCWEB)


2月6日


クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの現状

 今年の1月15日に正式発表予定だったクリエイティブ・コモンズ・ジャパンですけど、公式サイトとMLで延期を表明してから、沈黙状態が続いています。
 これは別に作業が止まっているとかそういうわけではないです
 参加している人間の一人として、真紀奈の知っていることを少し報告しておこうと思います〜。

 CCjpでは去年の12月の発表のあと、パブリックコメントの募集をしつつ、問題点等について調整を行っていました。その中で、今年の1月頭に法律系のチームの方から多くのコメントをいただいています。
 この時に今までになかった問題点が多く列挙されることになったんですね。そして、それに対応するためには1月15日までというのでは絶対に無理ということになりまして、延期の連絡を行うことになったわけです。
 問題点というのは主に法律に関する部分なんですけど、著作権法がどうとかということではなくて一般的な契約関係のものです。それの解決のためには、CCjpが負うリスクとかその辺を調整しないといけないし、 FAQも一緒に出さないと絶対にまずいということにもなりまして、公開のために必要な作業が膨大になっちゃったわけです(苦笑)
(解決のためにそういうことがなぜ必要なのかということについては……解説すると長くなるので省きます。ごめんなさい。機会と時間があったら書くこともあると思いますけど……)
 さらに、先月末に発表されたCCのVer.2.0への対応も行っていますし、アメリカ側との調整作業も一緒に行われています。

 現在は、ライセンス本体がある程度できあがり、アメリカとの調整や、FAQの制作・翻訳をやっている段階で、ライセンスの正式公開は3月1日に予定されています(さすがにこれ以上はのびないと思います……)

 真紀奈は内部者なのか外部者なのか結構わかんないボジションにいるわけですけど(苦笑)、一応真紀奈のわかっていることについてある程度報告までに。
 真紀奈も自分の分の作業やらなくちゃ……(苦笑)

 CCjpの状況については、これからも時々サイトで取り上げていこうと思います。今日は現状報告のみということで。


波状言論にコラム書かせていただきました

 東浩紀さんが発行しているメールマガジン「波状言論」のリレーコラムに記事を書かせていただきました。
 えっと真紀奈が書いているのは2月のA号ですね。今月15日配信分です。バックナンバーの発行はされないそうなので、読みたい方は2月10日までに申し込みをしてくださいとのことです。
 真紀奈的には宮台真司×鈴木謙介×東浩紀の鼎談が気になって仕方ないです(笑)
 波状言論のはてなサイトと、宮台さんのblogに一部の抜粋が出ていますので、読んでみて気になった方は是非購読してみてはどうでしょうか。


ニュースクリップ

音楽CD逆輸入 対応へ著作権法改正作業大詰め   規制求める音楽業界に消費者団体が反発 (毎日新聞)
コンテンツ産業に競争政策をきちんと位置づけよう (IT@RIETI)
 この方の輸入権に対する意見についてはこちら。再販制と輸入権については謎工さんのblogも参考になります。

2月5日付日本経済新聞の記事について (パテントサロン経由)
 日経新聞のこの記事に対する日本弁理士会の声明です。さて、日経新聞は訂正記事を出すのでしょうか?

企業の「知的財産力」、客観的に比較 経産省が指針考案 (朝日新聞)
 知的財産情報開示指針(PDF)のことでしょうか。これは1月27日に経産省サイトで公開されていますね。

アナログコピーさえ防止できる、画期的なCD複製防止技術  (CNET)
P2P企業vsコンテンツ業界、第2ラウンド始まる (ITmedia)
P2P企業vsコンテンツ業界、ベータマックス訴訟が争点に (ITmedia)
【Net&Com 2004】講演レポート「オープンソースの知的財産権問題」〜SCOには結局勝ち目はない?  (INTERNET Watch)
【Net&Com 2004】講演レポート「個人情報保護法と情報漏えい対策」 (INTERNET Watch)


2月12日


Winnyで映画ソフト公開、被告側は無罪主張

 別記事としてこちらも。
 無罪を主張しているそうなので、裁判の結果色々と情報が出てきそうですね。
 この事件、この方が担当しているのでしょうか。ちょっと前までWinnyの構造・動作についての情報を集めていらっしゃったようでしたけど……。(掲示板より)

井上被告側はパソコンに映画のデータを入れた状態でウィニーを起動したことは認めたが、「ウィニーの構造は分かっておらず、(同被告が情報を送信可能な状態にしたか不明なので)著作権侵害について争う」と無罪を主張した。

とのことですけど、これ、どうでしょう? Winnyの共有フォルダにデータが入れてあったら送信可能な状態にはなっていると思うんですけど。単にPCにデータを入れていただけで、共有フォルダに入れていたわけではないという主張ならわかりますね。それなら送信可能化状態にはないでしょうから。(一度キャッシュに入れた後、外に出していたのなら別ですけど)
 あ、もしかしてWinnyが自動公衆送信ではないということの主張なんでしょうか。前にWinMXの事例でUL0パッチを使用したら自動公衆送信には当たらないのではないかという話がありましたけど、それと同じ? Winnyにそういう機能があるという話は聞いたこと有りませんけど。
 あとは、中継しただけ、もしくは、キャッシュフォルダに入っていただけで自分でアップロードしたわけではないという話かな……。この辺が論点になると、すごく揉めそうな気がします。
 そういえばWinnyって、共有フォルダにあるファイルを最初に暗号化してキャッシュフォルダに移動するという動作をしていたような。そうだとしたら余計にややこしくなりそうな気も……。

 Winnyは真紀奈が前に書いたこと以上に論点があるのだと思います。Winny Ver.2についても調べた上で書き直そうと考えてはいるんですけど、なかなかできずに時間ばかりが過ぎ去っています……(苦笑)
 ところで、日本で最近メインになっているP2Pソフトって何なのでしょうか? Winnyでの逮捕後にいくつか暗号化P2Pソフトが作られるという話を聞きましたけど、その後の話が全然聞こえてこないので。結局今でもWinnyとWinMXということなんでしょうか……?


いろいろ

 最近、全然更新してなくてすみません。なんとなく、どのニュースを取り上げようかなって考えている内に一日が過ぎ去っています(苦笑)
 お兄ちゃんが色々と忙しくて全然手伝ってくれないというのもあるんですけどね。

 ちょっとだけご報告。
 白田秀彰先生のページに少し出ていますけど、真紀奈も前に原稿を手伝ってもらったロージナ茶会さんが、近いうちにオープン茶会を開始するそうです。お茶会を開催する時に日時をサイト等でお知らせするので、面白そうだと思う方は参加or見に来て欲しいというものなんだそうです。
 この日時の告知を真紀奈のサイトでも頼まれましたので、サイトトップのどこかで真紀奈もお知らせを行うことになると思います。ちなみに真紀奈は頼まれただけですので、参加しているとかそういうことはないと思います。現在計画されている茶会はないそうです。

 あと、全然話は違うのですけど……。
 真紀奈が知らない内に抱き枕制作計画が着々と進んでいるそうです(汗)


ニュースクリップ

iTunes日本参入で「音楽生産サイクル」は壊れるのか。 (benli)
著作権の未来はどこにある? (ITmedia)
Novell、SCOの主張に反論の証拠提示 (ITmedia)
Kazaa対レコード会社、オーストラリアの法廷でもバトル (ITmedia)
P2P裁判第2ラウンド、1割の合法利用にもフェアユース!? (MYCOM PCWEB)
狙いは和解金か? 日本PCメーカーに対するPentium特許訴訟 (ITmedia)

eBayに「中傷投稿削除の義務なし」 (ITmedia)
VeriSign、子供の安全なネット利用へ認証プログラム披露 (ITmedia)
スーパーボウルで波紋の事件捜査は進むも、ネット規制強化にはつながらず (MYCOM PCWEB)
裁判所、アダルト・サイト遮断による被害「賠償不要」 (JOINS)
「ネット殺人」協議した大学生を逮捕 (JOINS)


2月13日
(2/14 12:30 修正)

馬名にパブリシティー権は無いという最高裁判決 (朝日新聞)

 各所で報道されていますけど、競馬のゲームに関する訴訟で「馬名にパブリシティー権は無い」という判決が最高裁で下りました。これは結構大きな影響がある判決かと思われます。(毎日新聞産経新聞日経新聞ITmedia
 まずパブリシティー権とは何かということですけど、これはだいたい下のような感じの権利であるとされています。

固有の名声、社会的評価、知名度等を獲得した著名人の氏名、肖像等を商品に付した場合には、当該商品の販売促進に有益な効果がもたらすことがあることは、一般によく知られているところである。そして、著名人の氏名、肖像等が持つ顧客吸引力について、これを当該著名人の獲得した名声、社会的評価、知名度等から生ずる独立した経済的利益ないし価値として把握し、当該著名人は、かかる顧客吸引力の持つ経済的価値を排他的に支配する財産的権利(いわゆる「パブリシティ権」)を有する……

 簡単に言えば、勝手に有名人の名前を使って商売をしないでくださいということでしょうか。そういう場合は許可を取って(=使用料を払って)くださいというわけですね。有名人の名前には使用することによって顧客を増やすなどの経済的な価値があり、それはその名前を保持している人の権利であるということです。
 この権利はアメリカで最初に主張されるようになったもので、日本でも結構主張されています。とくに芸能人の名前については「肖像パブリシティ権擁護監視機構」という団体等が活動しているみたいですね。

 さてこの権利ですけど、これまで下級審判決ばかりで最高裁判決はありませんでした。そして、だいたい著名人にはパブリシティ権はあるという判決が続いていましたけど、物に対しては判断がぶれていました。
 今回の事件も、高裁レベルで判断がわかれていた事件です。
 名古屋高裁(平成13年3月8日)ではG1レースに出走して優勝した競走馬については顧客誘因力があるのでパブリシティ権があるとしていましたが、東京高裁(平成14年9月12日)ではパブリシティ権は人格権に基づくものであり人に限定される、つまり馬名には認められないとしていたんですね。ちなみに、今回の判決は、名古屋高裁の事件の上告審になります。(東京高裁の事件については現在係争中の模様です上告棄却になったそうです

 それでは今回の判決(平成16年2月13日最高裁第二小法廷)はどうだったのでしょうか。
 以下の3点から、馬の名前にはパブリシティ権が認められないとされています。(判決をもとにして一部改変しています)

(1) 原告は馬の所有権を保持しているが、所有権という権利はその物の名称等の無体物としての面を直接排他的に支配する権能に及ぶものではない
(2) 現行法上,物の名称の使用など,物の無体物としての面の利用に関しては,商標法,著作権法,不正競争防止法等の知的財産権関係の各法律が,一定の範囲の者に対し,一定の要件の下に排他的な使用権を付与し,その権利の保護を図っているが,その反面として,その使用権の付与が国民の経済活動や文化的活動の自由を過度に制約することのないようにするため,各法律は,それぞれの知的財産権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を定め,その排他的な使用権の及ぶ範囲,限界を明確にしている。
 上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。
(3) 競走馬の名称等の使用料の支払を内容とする契約が締結された実例があるとしても,それらの契約締結は,紛争をあらかじめ回避して円滑に事業を遂行するためなど,様々な目的で行われることがあり得るのであり,上記のような契約締結の実例があることを理由として,競走馬の所有者が競走馬の名称等が有する経済的価値を独占的に利用することができることを承認する社会的慣習又は慣習法が存在するとまでいうことはできない。

 所有権からパブリシティ権を導き出すことはできないし、また法律で定められていない権利を認めることはできないということですね。物の名称について権利を主張するのであれば、商標等を取得して行うべきであり、それでカバーできない範囲についてはそもそも独占権は認められないのだということになるでしょうか。

 実際のところ、パブリシティ権を主張するということの背景には、商標等は取得したり維持したりするのにお金がかかるのでそんなことしたくないというのもあるんでしょうね。商標等を取得するだけの価値があるのかという問題が生じるでしょうし。
(商標の検索をしたら、オグリキャップもトウカイテイオーもゲーム等についてはテクモが取得しています)
 その点、自動的に発生する著作権とかというのはとっても便利なわけです。なにもしなくても権利が手に入りますからね。後でこれには価値があったのか、と権利を主張することもできます。
 まあパブリシティ権の場合には、一応積極的に自分の名前とか肖像とかが顧客吸引力を持つように手を打っていることが必要であるという話もありますけど、それくらいは普通やっているでしょうから……。

 今後、パブリシティ権の法制化についての議論が巻き起こりそうな気もしますね……。


2月17日
(13:45 追記)

クリエイティブ・コモンズのパブリックコメント

 クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのサイトでパブリックコメントに対する返答が公開されました。
 CCjpのMLで流れた質問・意見に対する返答が主です。

 ライセンス本体の公開については……現在FAQ作成中で、多分月末までにはできあがるのではないかと思われます。


音楽CDの逆輸入、5年間禁止 (日経新聞)

 各紙で報じられていますけど、輸入権を導入する方向で文化庁の方針が決まったらしいです。 (朝日新聞読売新聞共同通信
 また、輸入権だけではなくて書籍に関する貸与権の導入も一緒に決まっているみたいです。

 まず輸入権について。
 これについては、邦楽CDの海外製作盤について、販売目的で日本に輸入することを5年間禁止することができるようにすると報道されています。けれどちょっと前の記事でも書いたとおり、現在の法制化の議論では洋楽の海外盤も規制可能な形の立法化が考えられているように見えていました。朝日新聞にはこのことについて少し触れられていますが、他のメディアでももうちょっと洋盤の規制可能性について書いておいて欲しかったなと思います。(朝日新聞に取り上げられているレコード業界の方の意見はちょっとひどいですけど……この件については小倉弁護士が述べられています
 ただ共同通信の方をみると、先の記事とは違う形で法制化が行われるかもしれないという部分もあります。

 一定期間の年数については「5年」を軸に調整中で、政令で規定する方針だ。
 施行後に逆輸入先の韓国、台湾などの物価上昇や日本の音楽CDの値下げなどで、逆輸入しても国内販売に影響を与えないとみられる場合は、その国や地域を除外できるよう条文化する。

 これを見ると、著作権法とは別に政令で5年間というのを規定するそうです。政令を変えてしまえば延長とか短縮とかができるようになるということですね。また、地域ごとに適用除外をすることができるということについても、同様に政令になるのではないかと思われます。条文上「適用期間・適用地域については別に定める」とか書いて、その部分を政令で定めるのではないか、とこれを見ると思えるんですね。(条文上細かに書いたら改正等が大変になりますし、かといって価格差が無い場合はOKと書くというわけにもいかないと思うためです。条文に、価格差がほとんど無い場合には適用しないと書くことも無いとは言えないでしょうけど……)
 ただそうだとしたら、こう、露骨にある国で生産されたCDのみを排除するということをしてもいいのかという点が気になります。今までの議論では、まだレコード会社が契約で「日本に販売してはいけない」としたCDのみを規制するという形をとっていましたけど、これは……。WTOとかその辺に引っかからずにできるのかかなり疑わしいなと。(どちらの方法でも問題はあると思うんですけど)

 なんか各紙の報道に微妙に違いがあって、どういう法案になるのか真紀奈にはわかりにくいです……。そういえば朝日新聞では5年間のみに限定するということについても書かれていないわけですけど、実はソースが違ったりするのでしょうか?(苦笑) 詳しいことについては法案が出てくるのを待つしかないのかも知れませんけど、法案が出てくるとほぼ決定状態になってしまいかねないので、それも問題です……。

 次に貸与権の導入について。
 共同通信の方でだけ書かれていますけど、これも導入決定のようです。

(2)書籍・雑誌が無断でレンタルされないよう映画ビデオなどと同様、レンタル業者に著作権料を請求できる貸与権を著作権者に与える

 えーっと、この記述はちょっとおかしいです。貸与権を与えるのだとすれば、著作権料の徴収だけではなくてレンタルそのものの禁止を求めることが可能になります
 確か今までの議論では附則4条の2の削除をするだけという話だったので、著作権料の徴収だけではなく、レンタル禁止を求めることも可能になるのではないかと思われます……。


 今回の件について言及している記事をいくつかあげておきます。反対派の人ばかりですけど……ネットで賛成している人見つける方が難しいです(苦笑)
 著作権法改定へ、CD逆輸入を禁止 by Slashdot
 異例ずくめのレコード輸入権騒動 by benli
 CD逆輸入禁止 / 貸与権は報酬請求権ではない by Copy & Copyright Diary
 逆輸入権とか by りとる・ろまんす
 音楽CDの逆輸入、5年間禁止 by 音楽配信メモ
 海外生産の邦楽CD、国内への還流禁止 著作権法改正へ by White's Free Talk
 輸入権 : 安価な CD の逆輸入は 5年間禁止に by いかんともしがたい
 輸入権 by K's Diary @ cocolog


2月28日


著作権法改正に関する論点

 IT@RIETIで書かせていただいたのですけど一点ミスというか言葉足らずの部分がありました。
 次回分で訂正記事を入れる予定ですけど、今回の書籍の貸与権に関する改正が対象とするものについての話です。
 附則4条の2があることによって、現在は書籍に関しては営利目的であれ非営利目的であれ、また有料であれ無料であれ、貸与は許諾もなにも必要なく可能になっています。
 けれど、この附則4条の2を廃止するという形の改正を行うと、貸与については著作権法38条4項にあてはまる貸与のみが許諾無しで可能になるだけになります。

4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

 この38条4項にあてはまるためには、「非営利」と「無料」の両方を満たす必要があります。公立の図書館なんかはこれに含まれるでしょうから今まで通りでOKだと思います。(記事中で真紀奈が今回は関係ないとした図書館はこれを念頭に置いていました)

 この点に関して、営利目的かつ無料の貸与または非営利目的かつ有料の貸与はどうなるのかということを掲示板でご指摘頂きました。末廣さんからご指摘頂いたのは「会員制の専門図書館とか、大手スーパーが行っている子ども図書館の活動」はどうなるのかということで、小倉さんからは「私立大学の図書館」について意見をいただいています。
 また、営利目的の無料貸与ということでしたら、企業内の図書館とかも、現在の解釈からいけば営利目的にあたりかねませんよね……。
 会員制の専門図書館についてはそこで会員費用等なんらかの対価を徴収していれば対象になりそうです。子ども図書館については、どのように運営されているのかいまいち真紀奈にはわからないので何ともいえません。
 私立大学の図書館は……営利目的ってどの程度で認定されるかによるように思います。謎工さんより、私立の音大であれば楽譜や音楽CDの貸与が行われているのではないかという指摘がありましたし、私立大学で現在音楽CD等がどのように扱われているかを調べてみればわかるかもしれませんね。今度確認してみます……。
 もし私立大学での貸与が対象になるとしたら、すごく大きな影響があることになりますけど……そういう指摘って掲示板での小倉さんの発言以外で見たこと無いですね……。

 あ、マンガ喫茶とか、床屋等に雑誌等を用意しておいて読むことを可能にするというような行為は今回の対象にはなりません。1月の日経新聞の記事でも出ていましたけど、マンガ喫茶のように貸出をせずにその場で使用するのみという場合(つまり占有が移転しない場合)は、貸与権の範囲内に入らないんです。

施設内で備え付けの出版物を閲覧させる図書館やマンガ喫茶には「貸与権」は発生せず、今回の著作権料徴収の対象にはならない。

 このような行為について「展示権」の拡大、もしくは「閲覧権」の創設によって、これらの行為からも著作権料の徴収を可能にしよう(or そのような行為自体を禁止しよう)という動きがあります。 これについては、マンガ喫茶の団体である日本複合カフェ協会が著作者側と協力していくことについて暫定合意(PDF)をしていますし、今後色々と議論が出てくるのではないかと思います。 (去年末までに実務協定ができると書いてあるのですけど見あたりませんね)


いろいろ

 私信っていうか伝言です。
 えーっと抱き枕についてなんですけど、お兄ちゃんよりメッセージを預かっています。

作って頂くのはとても嬉しいのですが、そのデザインだと私は購入しないと思います。
あー個人的には贈呈用、身代わり用等のために普通の服を着たデザインのものであれば欲しいかもしれません(笑)

 ……誰に贈呈するつもりなんでしょう。それに身代わりって何……?(汗)

 うーん、真紀奈としてはどう反応すればいいのやらという感じです(苦笑) 欲しい人がいるともあまり思えないんですよね。真紀奈は特に欲しいとは思わないですし……。
 ところで素朴な疑問なんですけど、抱き枕っていくらくらいするものなんですか? あと、ネット上では時々見かけますけど、結構普通に買う人がいるようなものなんでしょうか?
 たくさんの人が欲しがるようなものでしたら、いくつか購入してプレゼントする企画をやってみても面白いかな、とか思ったりもしますけど……。そろそろ666,666hitですし。


ニュースクリップ

邦楽CD逆輸入 禁止期間5年に 文化庁方針 (産経新聞)
音楽CDの逆輸入を規制する法改正案 自民部会が了承 (毎日新聞)
実は判事もiPodユーザー--「アップル対アップル」裁判、英国で始まる (CNET)
「データベースの保護にDMCAは適用できず」と裁判所判断 (ITmedia)
次々と浮上する“サブマリン”特許ビジネス (ITmedia)
「Winnyが解読できるのは分かっていた」 〜ネットエージェント社長 (ITmedia)
米州控訴裁、DeCSS配布禁止の命令を破棄 (ITmedia)
盗用:日経新聞の小説挿絵に 掲載中止 (毎日新聞)
米グーグルvs「ブーブル」、商標権侵害かパロディかで対決 (毎日新聞)
EminemがAppleを曲の無断使用で訴える (Slashdot)
ウィルス作成罪やメールログ90日保存を含む刑法・刑事訴訟法等改正案 (Slashdot)
午後9時から12時間 スパムメール発送禁止へ (朝鮮日報)


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