夜行車窓■しゃとるおおいた乗船記-2006(1)


2006年1月3日22時過ぎ。
大分駅から大在駅に着くと、タクシーを飛ばし10分ほどで大在港フェリーターミナルに着いた。
営業所で乗船名簿に名前を書き、窓口で代金を支払う。入口に待つマイクロバスに乗るとふたたびフェリーの待つ岸壁へむかった。

船の横隔壁に開いた乗船口から乗り込む。長距離トラックや乗用車が並ぶひろい駐車スペースの先に階段があり、 何回折り返したが忘れるほど上ると、やがて「いらっしゃいませ」の声の先にフロントがあった。

それは本当に、海の上のホテルだった。
てっきり無骨な男性たちに迎えられ、無愛想に応対されて要点のみの案内で客室に行き、 水夫のごとく眠るなんて思っていたから、笑顔の女性スタッフと、 蝶ネクタイを締めたかっぷくの良い男性スタッフにあいさつをされて面食らう。 いったいフェリーをなんだと思っているのかという話だが、そんなイメージだったのだ。
フロントの隣の売店には、乗客が気軽に買っても足りるだけのパンやお菓子があった。 その横にはフェリーグッズまで売られている。
これも勝手な想像だが、売店の食料は最低限しかなく、すぐに売り切れるものとおもい、 大分駅でドーナツを10個とお茶を買い、駄菓子やパンも残しておいて長時間しのげるよう準備していたのだった。

今日の寝床へ渡されたキーの番号と案内板をたよりにむかう。
一等寝台だが料金は18000円と、往路で乗車した寝台列車〈富士〉の横浜〜大分間より5000円近く安い。
部屋を開けると広さは8畳ほどで、クローゼット、洗面台、ベッド2台、テーブル、テレビが備えられている。 コップに歯ブラシ、ポット、ゆかた、お茶セットもついて長時間過ごすに申し分ない。
部屋には窓もあって、のぞけば直下に海のうねりが見える。足のすくむ眺めだが、外からの光でおおよその時刻がしれるし、 何より景色がみえることで息がつまらずにすむ。
天井の空調がややうるさい。中心の栓をひねると、音は止んだ。

一旦部屋をでて、階段をあがり扉を押し開けてデッキにでた。
合図が鳴り、折りしも船はぐるりと向きを変え白濁する波をひきながら出港するところだった。
港にたつ、長い3、4本のポールが順に点灯する。 夜と海との境をなくした豊後水道に、どのような目印を見出し船はいくのか。むしろ、あとにできる白波にたしかな道をかんじる。
潮気をたっぷりと含んだ風が身にまとわりついて、陸から切り離された体は船を頼りにすすむ。 無事に陸を踏みしめられるかは、航海士たちの腕にかかっている。これほどまでに乗務員をたのみにおもったこともなかった。

部屋にもどると時刻は1時になっていた。
阿蘇から下山し九州横断特急にゆられて大分につき、その足で大在港からこのフェリーに乗り込んだ。この間休みなく移動しつづけている。
さすがにくたびれて、布団に横になる。

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