(過去の絵)
last update 2.11.2009

Antonio López García : El balcón (1954)

アントニオ・ロペス・ガルシア
「バルコニー」

画家が18歳の時の作品。サン・フェルナンド高等美術学院で学んでいた頃、学校の課題とは別に個人的に家で描いた作品だといいます。端っこに並べられた静物のリアリズムとは対照的に、対面する空想的なビルと屋上の人々。若々しい作品だと思います。こんな感じの小さなベランダのある部屋に私も留学時代住んでいました。眼下には鶏の丸焼きの専門店と、ぼろっちい修理屋がありました。このベランダの隅っこに立って勉強の合間に一服。下の階のおばちゃんが歌うボレロにうっとりとしていたことを思い出します。

過去の絵

Bartolomé Esteban Murillo
(1617-82)
ムリーリョ
Two women at the window
(1670)

Diego Velázquez
(1559-1660)
ベラスケス
Las Meninas (1656)
Museo de Prado (Madrid)

Pablo Picasso
(1881-1973)
ピカソ
Las Meninas (1957)
Museo de Picasso (Barcelona)

Domenicos Theotokopoulos
"El Greco"
(1541-1614)
エル・グレコ

La adoración de los pastores
(1577-79)
Museo de Prado (Madrid)

Frida Kahlo
(1907-54)
フリーダ・カーロ

Self Portrait Dedicated to Leon Trotsky (1937)

National Museum of Women in the Arts (Washington)

Francisco de Goya y Lucientes
(1746-1828)
ゴヤ
El perro semihundido (1820-23)
Museo de Prado (Madrid)

Francisco de Goya y Lucientes
(1746-1828)
ゴヤ

El Coloso (1808-1812)
「巨人」

Juan Gris (1887-1927)
グリス

Harlequin with guitar (1919)
Galerie Louise Leiris (Paris)

Pablo Picasso
(1881-1973)
ピカソ

Guernica (1939) 「ゲルニカ」
Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía (Madrid)

Joaquín Sorolla y Bastida
(1863-1923)
ソローヤ

Niños a la orilla del mar
「海辺の子供たち」(1903)

Private collection

Joan Miró (1893-1983)
ミロー
La Masía
「農家」(1921-22)
National Gallery of Art
(Washington D.C.)


Eusebio Sempere (1923-1983)
センペレ
El Verano「夏」(1965)

Museo Universidad de Alicante
(Alicante)

Salvador Dalí (1904-1989)
ダリ
La muchacha en la ventana
「窓辺の人物」 (1925)

Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía
(Madrid)

Mariano Fortuny (1838 -1874)
フォルトゥニ

Los hijos del pintor en el salón japonés
「日本間にいる画家の子供達」
(1874)

Museo del Prado
(Madrid)

Juan Larramendi (1917 - )
ララメンディ

Hojas en Otoño
「秋の紅葉」


Galería Castelló 120
(Madrid)

Joan Miró (1893 - 1983)
ミロ
Naturaleza muerta con zapato viejo「古い靴のある静物画」 (1937)
Museum of Modern Arts (New York)

12月でミロの死から20年。「今月の絵」は、パリ万博のスペイン・パビリオンでの展示のために描かれた静物画。1937年の作品ということで、市民戦争中の残忍さや暗さがよく反映されています。例えば切断されていたりフォークで突き刺されたじゃがいもはおそらくスペイン市民の姿だし、まるで地中に埋められた一足の持ち主のわからない靴も死を象徴しています。ミロにはとても珍しい作風で、当時、画家が経験していた苦悩が伝わってきます。彼は二度とこのような色使いに戻ることはありませんでした。

Francisco de Zurbarán
スルバラン
(1598-1664)

Adoración de los pastores (1683)
「羊飼いたちの礼拝」
Musee de Grenoble (France)

12月に入りクリスマスを迎えるということで、この絵を選びました。昨年はエル・グレコの「羊飼いたちの礼拝」をとりあげましたが、今年は私もとても好きなスルバランが描いたものです。全体的に明暗が強調される画法(arte tenebrista)で、El niño Jesús (御子)を唯一の光の出所としています。エル・グレコにはないリアリズムが羊飼い達の描かれ方にも出ていますね。


Antonio López García
ロペス・ガルシア
(1936- )
Gran Vía 「グランビア」(1981)

1年半スペインに行っていないのでそろそろマドリッドの中心にあるグランビア(大通り)が恋しくなっています。この絵はビクトル・エリセ監督の「マルメロの陽光」でとりあげられた画家、アントニオ・ロペスの作品です。ダリの影響を多分に受けている彼はマドリッド・スクールの「スーパーリアリズムの父」と言われています。

Miquel Barceló バルセロ

Biblioteca 「図書室」(1983)

バルセロは国内外の現代アートシーンの第一線で活躍するマジョルカ出身の作家。抽象画からアフリカのマリの人々の生活を描いたものまで作品の幅は広い。Fundación Miguel Barceló のwebpageもあります。

La resurección
「キリストの復活」1600年前後(プラド美術館)

今年は遅いイースターですね。この春、また深い感銘を受けた絵です。キリストの「静」の圧倒的な存在感が下の兵士達の激しい動揺と対照的でした。エル・グレコの晩年の作品の一つだと思われますが、この絵が飾られたドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院は、19世紀初頭、ナポレオン戦争で破壊され、作品は散逸してしまったため、正確な日付はわからないそうです。


Antoni Tàpies タピエス

Pequeño Azul 「小さな青」(1962)
(Maeght Gallery, New York)

タピエスはモノトーンを中心とした比較的暗い色調の作品が多い中この作品は鮮やかな地中海の青で描かれています。バルセロナにあるタピエス美術館(Fundació Antonio Tàpies) 、とてもおもしろい所なので機会があったら是非。

La muchacha ante el espejo / Jeune fille devant un miroir
「鏡の前の女」(1932)
Museum of Modern Art , New York

愛人 Marie Thérèse Walter をモデルにしているとても有名な作品ですね。大胆かつ調和のとれた構図、そして色使いが印象的です。曲線のエロティシズムにマリー・テレーズの影響が出ているのでしょう。

Interior holandés I「オランダの部屋 I 」(1928)

東京でも「栄光のオランダ・フランドル絵画展」と「真珠の耳飾りの少女」のカップリングで注目された16世紀〜17世紀オランダ絵画。(映画よりも絵画展の方に大行列ができていて今の日本でどちらがポピュラー・カルチャーなのかということも考えさせられました。笑)ミロは1928年に初めてオランダを訪問し、「画家のアトリエ」でおなじみのフェルメールや庶民の風俗を教訓的な風刺で描くヤン・ステーンの絵画に大変感銘を受けます。この絵は特にヤン・ステーンの「猫にダンスを教える子供」からインスピレーションを得たもののようです。原画よりも人間や動物が誇張されて描かれているのが特徴です。

Francisco de Goya y Lucientes
ゴヤ

El Parasol (El Quitasol)
「パラソル 」(1777)
Museo del Prado, Madrid

ゴヤは宮廷の依頼を受けて、多くのカルトン(タピスリーの下絵)を描きましたがその中でも有名な一枚。色使いが美しい作品だと思いませんか?
この絵では服装から察するにパラソルを持っている男性が庶民、前方に座っているのが貴族女性のようです。優しい表情の二人ですが、身分の差や構図をみるとなんとなく前方の女性の虚栄心が強調されている印象をうけました。

Joaquim Mir ミール

Camino de la Cueva「洞窟の道 」(1908)Museo Abadía de Montserrat(モンセラー修道院)

ミールは、ピカソも常連だったパルセロナの前衛芸術家たちの溜まり場、「エルス・クワトレ・ガッツ(4匹の猫)」に通った画家の一人。でも当時の仲間たちの多くがパリなど海外で学んで様々な実験的スタイルやテーマに取り組んだのに対し、彼はあくまで土着の風景にこだわりながら、独自の色と筆の使い方を発展させていった画家のようです。
この作品はモンセラーを描いたものだと思いますが、彼のマジョルカの風景画もとても素敵です。


Darío de Regoyos y Valdés
レゴジョス・イ・バルデス

La viña 葡萄畑 (1900)国立ソフィア王妃芸術センター

今月も風景画。ダリオ・デ・レゴジョスはアストゥリアス出身ですが、マドリードの美術学校卒業後パリ、ベルギーに出て1883年ブリュッセルで19世紀末の重要な美術運動「二十人会」創立に参加しました。後年はスペイン北部に住んでバスク地方の風景をもっぱら描いたのですが、これもたぶんその一枚。構図がとても美しいと思いませんか?

Diego Velázquez ベラスケス

Cristo en casa de Marta y María
「マルタとマリヤの家にいるキリスト」 
(1618)ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

ナショナル・ギャラリーで見た絵の中でもかなり印象に残っている作品。この絵には、ルカの福音書10章38節〜42節のマルタとマリヤの家をイエス・キリストが訪ねたときの出来事が描かれていますね。客をもてなそうと奔走するマルタは、妹マリヤがただ座ってイエスの話しを聞いていることに不満。するとイエスは答える。「マルタ、マルタ、あなたはいろいろなことを心配して、気を使っています。しかし、どうしても必要なことはわずかです。いや一つだけです。マリヤはその良い方を選んだのです。それを取り上げてはいけません。」
マルタの表情とテーブルの上の静物が鏡の中のイメージと対照的で何ともリアル。絵を見る自分の頑固さまで映されている気さえします。ベラスケスの若い頃の作品ですが、鏡の使い方、構図などが既にベラスケスらしいと思うし、視線の遊びかたも映画的だな〜なんて思います。

Bartolomé Esteban Murillo
ムリーリョ
Adoración de los pastores「羊飼いたちの礼拝」 セビリア美術館(スペイン、セビリア)

今年も12月をむかえ、クリスマス・シリーズです。一昨年はエル・グレコ、昨年はスルバランときたので今年は大好きなムリーリョを選びました。

ルカ2章11節「きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。」
20節「羊飼いたちは、見聞きしたことが、全部御使いの話しのとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰っていった。」

地に平和が作られることを願い、祈りをこめて。
¡Feliz Navidad! 2004


Eusebio Sempere
センペーレ

Aparece un árbol「木が現る」(1978)
Colección Florencio Martín, Nantes

今年最初の絵はセンペーレ第二弾。 (第一弾は、「四季シリーズ」の「夏」でした)正月なのであれ、初日の出?と勘違いされると困るのですが(笑)画家が描いているのは「木」です。幾何学模様と色の差異による表現を特徴とするこの画家は明確にカンディンスキーやモンドリアンの影響を受けていますが、私はこの単純な図形を用いた繊細な色調と配置、そしてそこにダイナミックな動きが表現されているところが好きです。

Maruja Mallo マージョ
Ouro「オーロ 肖像画」(1951)
Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía

20世紀初頭、オルテガ・イ・ガセーが「西欧評論」の中で若きマルハ・マージョを世に紹介しました。マージョはガリシアの出身で20才のとき芸術学院で絵を学ぶためにマドリッドに移り、そこでダリと出会います。またパリでアンドレ・ブレトンやピカソと交流し、シュールレアリズムの影響を受けます。内戦中、アルゼンティンに亡命し、スペインに戻るのは60年代になってから。
あまり紹介していなかった女性の作品を今月はとりあげてみました。


Juan Manuel Díaz Caneja Botegón
ディアス・カネハ・ボテゴン

El Farol「街灯」(1925)

カネハは、パレンシアの出身ですがマドリッドで絵画を学び、後にパリではマティスとブラックの影響を多分に受けます。内戦後に開花した彼の絵画の特徴は、主にカスティーリャ地方の風景画を描いたもの。今回は初期の作品です。今年、生誕100年を迎えるということで国立ソフィア王妃芸術センターでは大々的な回顧展が開催されるようです。


Remedios Varo
レメディオス・バロ
(1908-1963)

Armonía「ハーモニー」(1956)

バルセロナ出身。2ヶ月前にとりあげたMalloやDalíなどと交友もあり、パリでシュルレアリスム運動に参加したのちメキシコに渡って才能を開花させた女性画家。Boschのような雰囲気もある幻想的な絵を描く人ですね。

Antonio López García
アントニオ・ロペス・ガルシア

Mujeres mirando los aviones「飛行機を見る女性たち」(1954)

アントニオ・ロペスの絵は2枚目です。1枚目は『グラン・ビア』(1981) で、その緻密なリアリズムに息をのむ感じの絵でしたが、今回は18歳の頃、ちょうどマドリッドの芸術学院で学んでいた頃の作品です。セザンヌに強い関心を寄せていたようで、さらにキュビズムの影響も見られますが、現在に至る彼の作品のテーマである「日常」というのはここでも見事に捉えられています。

Antonio Saura
アントニオ・サウラ

El jardín de las cinco lunas「5つの月の庭」(1950)

50年代の閉塞的なスペインの芸術環境でもいくつかの前衛的なグループが登場するが、その一つが「エル・パソ」。アントニオ ・サウラはこのグループの創設者。彼の作品ではCrucifixión 「キリストの磔刑」シリーズを初めとする白黒の作品が印象的だが、独学で絵を描き始めて間もない二十歳の時にはこのような作品も描いていた。


Juan Gris ホァン・グリス
El torero 「闘牛士」(1913)

7月7日より1週間にわたってスペインのパンプローナで開催される「サン・フェルミン祭」にちなんで選んだグリスの「闘牛士」。「サン・フェルミン祭」の存在を世界中に知らせたのは小説 The sun also rises『日はまた昇る』(1927) でこの祭の様子を描いたヘミングウェイ。彼は1923年から9年間で7回もこの祭りに参加したという。また闘牛愛好家の彼は1932年、パンプローナほかスペイン各地での闘牛観戦の経験と、 膨大な闘牛関係の資料をもとにDeath in the Afternoon『 午後の死 』も発表している。グリスの「闘牛士」はヘミングウェイが所有していた絵で、マドリッドのソフィア王妃芸術センターで6月末より開催されている「ホァン・グリス展」で他約250点の同画家の作品とともに展示されている。


Pablo Picassoパブロ・ピカソ
「Fille lisant à la table (テーブルで本を読む少女)」(1934)

読書の秋?
この女性はピカソがオルガ夫人のもとを離れて関係を持った若き愛人マリー・テレーズ・ウォルター。凝縮された空間に親密感を感じます。そして静かな夜のひとときを醸し出す背景の落ち着いた色調と対照的に、ランプに照らされたピンク色の女性の顔が印象的です。ピカソがそこに見たかったものを強烈に感じます。

Equipo Crónica 「エキーポ・クロニカ」
「Las estructuras cambian, las esencias permanecen ( 構造は変化し、本質は変わらない)」(1968)

「エキーポ・クロニカ」とは、1965年、画家のラファエル・ソルベスとマヌエル・バルデスが二人の共同制作作品を発表するために創設したユニット。スペインのポップアートにおいては欠かせない名前だが、例えば彼らは消費社会の中で流通する様々なイメージだけでなく、そうしたイメージとスペインのいわば「高尚文化」に属するイメージを一枚の絵の中に描いて対峙させ、政治的メッセージ性のある作品を次々と発表した。

Juan Bautista Maino (ファン・バウティスタ・マイノ)
1578 - 1649

「Adoración de los pastores (羊飼いたちの礼拝)」(1612)

11月最後の日曜日、教会ではアドベント(待降節)を迎えました。ここ数年、12月になると「羊飼いたちの礼拝」をテーマにしたスペインの様々な画家の作品をとりあげてきました。今回はドミニコ会の修道士でもあった16-7世紀の画家ファン・バウティスタ・マイノの作品。イタリアでカラバッジオの影響を強く受けた彼の作品のほとんどが宗教画で、この絵は「東方の三博士たちの礼拝」(Adoración de los magos)とともに、プラド美術館所蔵されています。天使たちがそこらの村の少年たちのように描かれていて、人々の表情がとても素朴な感じが好きです。

Bartolomé Esteban Murillo :Los niños de la concha (1670)

ムリーリョ「貝殻の子どもたち」

セビリアの貧困層の子どもたちをリアリズムを持っていきいきと描いたムリーリョだが、この宗教画では洗礼者ヨハネに貝殻で水を与えるイエス・キリストを、子どもながらに成熟した、そして威厳のある姿に描いている。「癒し系」及び「かわいい〜」だけじゃないのである。3角形の構図が美しい作品。

6月30日まで上野の東京都美術館で開催されているプラド美術館展で見ることができます。

Francisco de Goya y Lucientes :El entierro de la Sardina
(1812-1819)

ゴヤ「イワシの埋葬」

モチーフとなっている「イワシの埋葬」という祭りは四旬節の初日である「灰の水曜日」にマドリードで今も行われている。ゴヤの他にもララやメソネロ・ロマーノの文に、そしてグティエレス・ソラーナの絵画にも登場する。ゴヤの絵は、同時代的な民衆の仮面舞踏を現実的にというよりは、想像上の祝祭として描いているという。サンフェルナンド王立美術アカデミー美術館にある他の4つの小品「村の闘牛」「異端尋問」「精神病院」「聖金曜日の宗教行列」とともに連作を成し、それらの作品は並列されることで互いに共鳴しあう。詳しくは、ゴヤ研究家のジャニス・A・トムリンソンの著書「ゴヤとその時代:薄明のなかの宮廷画家」(2002年、昭和堂)を参考されたし。

José Gutiérrez Solana : La tertulia del café Pombo
(1920)
ホセ・グティエレス・ソラーナ
「カフェ・ポンボのテルトゥリア」

この絵の中心で起立しているのが最近邦訳も出版された「グレゲリーア抄」を書いたラモン・ゴメス・デ・ラ・セルナ。彼が主宰するマドリッドの "カフェ・ポンボ" で開催されていたテルトゥリア (時事問題、思想、哲学、芸術について議論する場)にはソラーナも顔をだしていた。マドリッドの風俗や社会の底辺の人びとに目を向けた作品が多かったソラーナであるが、私は彼の一連のカーニバルの作品の暗さがとても好きで、ときどき須磨コレクションの画集をながめるのである。また、このテルトゥリアには私が今調べている Edgar Neville 監督も出入りしており、やがてネビルは「ソラーナの絵画を映像化したかった」と言って『カーニバルの日曜日』(1945) を撮ることになる。