BGM(フレーム表示)付で見たい方はこちら(既に表示されている方は関係ありません)。
女声歌手編

エディト・マティス
|
リリ・レーマン 19世紀最高といわれるドイツの伝説的ソプラノ。20世紀前半に活躍した名ソプラノ、ロッテ・レーマンとの関係は不明。マリア・カラス 20世紀最高のソプラノと言われるイタリアの歌手。エキゾチックな美貌とドラマチックな歌唱でカリスマ的人気を博した。映画にも出演する等カラヤン同様もはやクラシックというジャンルを超越したスターであった。キルステン・フラグスタート スウェーデン出身の20世紀前半を代表するワーグナー・ソプラノ。”女傑”ニルソンの様な圧倒的破壊力には欠ける代わりに気品の高さや甘美なロマンティシスムを湛える点が今尚伝説的存在として語られる理由であろう。エリザベート・シュヴァルツコップ ベームが戦前のウィーン国立歌劇場の総監督に就任した時、新進のこの歌手と契約を結んだ。以後、彼女はモーツァルトを中心に、マリア・カラスとは異なる意味での20世紀最高のソプラノと称される様に成った。知性の高さや感情表現は勿論だが、”ウィーン”を感じさせる点が特色であった。リーザ・デラ・カーザ 戦後のザルツブルグ音楽祭でベーム指揮のリヒャルト・シュトラウス「アラベラ」で衝撃的成功を収め、一躍トップクラスとして君臨する様になったスイスの美人ソプラノ。表現の幅はシュヴァルツコップに及ばないが、声の美しさや音程の正確性は流石で、しかも今の歌手からはあまり感じられない”ウィーンの香り”がある。そうした意味においても歴史的な名歌手の一人という事が出来よう。ビルギット・ニルソン 20世紀最高のワーグナー・ソプラノ。ワーグナーの様に大編成のオーケストラを用いて、しかも休憩なしで3時間以上もかかる様な作品の場合、大抵の歌手は最後迄声が持たない。その為、前半は抑え気味に歌う等のペース配分が必要に成って来るが、それでも疲れる事に変わりはない。しかしニルソンは大管弦楽を相手に一歩も引かぬ圧倒的な声量を誇るだけでなく、最後迄疲れる事なく歌い通す事が出来た。ベームが「私は彼女が疲れるのを見た事がない」と驚嘆した程である。正にワーグナーとリヒャルト・シュトラウスを歌う為に生まれて来た”女傑”といえよう。しかし、その破壊力がマイナスに成る場合もある。モーツァルトにおいては彼女の歌は聴き苦しい。透明な美や音程の正確性、コロラトゥーラの技巧には欠けるからだ。レオニー・リザネック ニルソンと共に大管弦楽のオペラがよく似合うソプラノ。ベームの指揮下、特にリヒャルト・シュトラウスのオペラで多くの名演を残した。レリ・グリスト 20世紀最高のスーブレット(小間使い)と言われるソプラノ。バーンスタインに見出され、以後ベームを中心にモーツァルトやリヒャルト・シュトラウスのオペラで独特の存在感を発揮した。その声は正にスーブレットの為のもので、逆にその他への融通性は感じない。キャスリーン・バトルがその後継とされているが、本家に比べると歌唱・演技共に落ちる。グンドゥラ・ヤノヴィッツ 1960年代後半から70年代、世界的ソプラノの一人として高い名声を誇っていたのがヤノヴィッツである。カラヤンがミレッラ・フレーニと共に数多く共演した事でも知られている。ベームとの共演も多く、間違いなくこの時期最高のソプラノの一人であったが、今一つ地味な印象を受けるのは彼女が決して美人とは言えないという事もあるが、それ以上に声は高レヴェルだが個性に乏しいからであろう。クリスタ・ルートヴィッヒ 20世紀最高のメゾ・ソプラノ。音域が広く、アルトからソプラノ迄こなす。独特の貫禄もあり、ベーム、カラヤン、クレンペラー、バーンスタインら名だたる巨匠達と多くの名盤を録音している。レパートリーも広く、正に最強のオールラウンダーである。エディタ・グルベローヴァ コロラトゥーラのスペシャリスト。ベーム指揮のリヒャルト・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」で衝撃のウィーン・デビューを飾り、あっという間に世界の頂点へ上り詰めた。声はやや細く、感情表現の幅も決して広くなないが、コロラトゥーラの技巧は正に無比の正確性と説得力を持つ。エディト・マティス 私が最も好きなスイスのソプラノ。ベーム初来日時に「フィガロの結婚」でケルビーノを演じてその愛らしい舞台姿が評判になり、以後世界的評価を確立した。顔が可愛い為、ヴィジュアル的人気が先行していた感があるが、私が魅了されたのは寧ろ彼女の声である。チェボターリ、シュヴァルツコップ、シュターダー、ゼーフリート、ユリナッチ、グリュンマーといった往年の名ソプラノ達の歌は現代にはない”古き佳き時代”の香りが感じられる。マティスにそうした要素はない。というより彼女の場合は人間的な魅力というものはあまり感じられない。私が魅かれるのは正にアルプスの高原を思わせるかの様な伸びやかで澄み切った声、正確性、音楽的純度の高さである。その為、オペラだと時に物足りなく感じる事もある。しかしリートや宗教曲においては彼女の長所が最大限に活かされている。ベーム、カラヤン、ヨッフム、クーベリック、バーンスタイン、カール・リヒター等巨匠達と多くの名盤を残している点も彼女の強味だろう。彼女の後輩ともいえるルチア・ポップはそうした意味では損をしている。レコード会社の契約上、ベームらと録音を行う事が出来なかったからだ。何れにせよ、マティスやポップは往年の名歌手(尤も今や彼女達もその域だが)にはない爽やかな空気を感じさせてくれる点が私にとっては有難い。 |