「弟が病気なの。大きな手術をすればもう少し生きられるかも知れないって」 Fちゃんはポツリと言った。 「お金がたくさんかかるって聞いたからOL辞めてAVに出たの」 「・・・・・」 「でもすぐに事務所が潰れた。知らないうちに借金だけ背負わされた。 えっ、借金付きで売られたってことよ、わかる? わたしも若かったしバカだったわ、本当に」 「・・・・・」 「今のギャラじゃ、毎年利息を返しているだけ。 元金なんてほとんど減らない。 この仕事好きだけど本当に自由にやれたら好きだけど、わたしは他の子と違うの。 衣装だって買えないしね」 「・・・・・」 「弟? ・・・・、どうなっちゃたか知らない。連絡とれないもの。 わたしが連絡とったら家族にも迷惑かけちゃうから。 どうせ自分のことだけで精一杯だし、もうどうすることもできないしね。 こんなんになっちゃったけど、本当は本当はわたしの力で何とかしてあげたかったの。 気持ちはあったのよ。世間知らずのバカだっただけ」 「・・・・・」 「人と親しくなるとその人にも迷惑かけてしまうからひとりでいるしかない。 わたしはいつも監視されているの。人を好きになる自由すらないの」 「僕がお金持ちだったらなんとかできるんだけど・・・、ごめんね。 宝くじ、宝くじ当たったらさぁ、まずFちゃんの借金返してあげる。 約束するよ。だからそれまで頑張って、ね」 Fちゃんはまっすぐ僕を見た。 「それまで? そうね、だったら良いね。ありがとさん」 Fちゃんは寂しげに本当に寂しげに笑った。
[舞太郎](1997.11.18)