Web日記

2009年11月16日(月)
どちらも高齢

 築40年以上の老朽マンションは10年後にはに比べ4.5倍の28万戸になると都が公表した。
 マンションの法的耐久年数は
47年だが、実際、建替えになると、費用や一時転居の負担などから、居住者の合意に18年もかかった例もあるという。築12年の我がマンションは、今夏、大規模修繕を終えたばかりであるものの、他人事ではない。
 千葉県柏市では、豊四季団地(築 
45年、4666戸)を舞台に、今秋、 東大、都市再生機構と市による「団地再生プロジェト」が始まった。高齢化をテーマに、分野は医療、福祉、建築に及ぶ。
 それにしても、パリ市街地の集合住宅の半数が
100年以上前の建築.。それでも、不動産価値があろうとは。そこで、一首。
 「迫り来る 高齢社会を 無視できず 象牙の塔に 斬新ジャンル」

2009年11月9日(月)
老いも若きも

 落葉の舞う季節が到来。昨年、品切れで買い損ねたグレーの「ヒートテック・ボトルネック」(1500)をユニクロ西新宿店で買い求めた。バングラシッシュ製で、首周りは細いが着てしまえば暖かく楽だ。
 「ユニクロ」は、保温性のある「ヒートテック」や肌着「ブラトップ」などがヒットし、
20098月期、8年ぶりに最高益を更新、営業利益はイオンに迫る。好調の理由は、低価格、高機能にファッション性。
 ユニクロの独走を許さじと、小売業界でも、一円を争うプライベイトブランド(PB)の価格競争が激化している。
 それにしても、西友のPBジーンズ(
850円)に対抗して、ドンキホーテもPBジーンズ(690円)を売り出したとは。そこで、一首。
 「秋風が 一吹きすれば ヒートテック レジ待つ列の 急速に伸び」

2009年11月1日(日)
溶岩の力

 映画「スラムドッグ$ミリオネア」を見た。監督は英国人のダニー・ボイル。
 インドの人気クイズ番組で、あと一問正解すれば最高の4千万円獲得という時、ムンバイのスラム育ちで無学な回答者の若者に不正の嫌疑がかかり尋問を受ける。
 しかし、主人公の経験した過酷な人生の中に、答えがあり、参加した目的も少女への一途の愛だったことが明らかにされる。
 四択のクイズ番組「クイズ$ミリオネア」の発祥地は英国。日本でも、フジテレビ系列で放送されている人気番組だ。
 それにしても、海賊で有名なソマリアでは、イスラム教の知識を競うクイズ大会の商品がなんと武器と弾薬だったとは。そこで、一首。
 「地獄より 吹き上げられし スラムの子 身内の熱で ミリオネアへ」

2009年10月26日(月)
相思 相愛

 外人客誘致に力を注ぐ韓国観光公社の社長に、今夏、ドイツ生まれの李参(イ・チャム)氏が抜擢されていたのに驚いた。氏は、ビジネスマンで俳優。30年前に訪韓して魅力にとりつかれ韓国籍が与えられた。
 韓国の観光発展について、東洋哲学の
5行を引用し、木(興奮)・火(魅力)・土(調和)・金(感動)・水(行動)を掲げ、東洋医学のあれこれで日本人客を誘っている。いかにも、外国人らしい視点だ。
 日本も、前原国交相は、観光を成長戦略の柱に据え、観光庁目標を
4年前倒しし、2016年に外人客を2,000万人とする構えだ。
 それにしても、同質性の高い社会の日本は、異質なものをも抱え込むダイナミックな韓国との競争に勝てるのだろうか。そこで、一首。
 「愛恩義 ドイツ韓国 結びつき 東洋医学で 日本を狙う」

 

2009年10月19日(月)
え? まさか

 今月、ロンドンの高級夕刊紙「イブニング・スタンダード」(一部70円)が無料化に移行したのには驚いた。
 理由は、無料紙との競争の激化と景気低迷による広告市場の縮小。これにともない、発行部数を現在の
25万部から60万部に引き上げ多数の広告を取る狙い。
 一方、米国では、昨年末、マードック氏が買収した経済紙「ウオール・ストリート・ジャーナル」は、ニューヨーク・タイムズ紙に追随し、サイト購読料
(年間99ドル)を無料化し、今では、本紙の社説やコラム、論説まで無料でアクセスできる。
 それにしても、若者の新聞ばなれと世界のこういう流れのなかで、日本で、新聞を買わせる良い方法を見つけ出せるのだろうか。そこで、一首。
 「英国の 高級新聞 無料化に 業界日本 早くも談合」

2009年10月12日(月)
善は急げ

 新型インフルエンザの感染拡大が懸念されるなかで、久光製薬と血液・化学療法研究所が、痛みのない「張るワクチン」を開発した。
 約1cm角のシールには千本の超微細な突起が出ており、神経には達しないので痛みはないという。この開発は、未だ、臨床実験の段階で、おまけに日本の審査は厳しく長期間を要し実用化は数年も先の話となる。
 一方、海外では、仏サノフィ・アベンティス社は、微細な針による皮膚内へのインフルエンザ・ワクチン接種について、すでに、EUから承認を獲得した。
 それにしても、学校では跳び箱にウレタン使用など「痛くないモノ」ばやりだが、子どもが多少の痛みを経験せずに成長してよいのだろうか。そこで、一首、
 「外国の 無痛注射の 出現に 痛みいや増す 日本の審査」

2009年10月5日(月)
宅配ビジネス

 若田光一飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在するなど宇宙開発が注目されるなかで、先月、日本が開発した新ロケット(H2B)と無人宇宙輸送船(HTV)が初船出した。
 宇宙基地と物資輸送船は、ともに秒速
8kmの速度で航行しており、遠隔操作によるドッキングは神業に近い。
 この輸送船は、宇宙航空研究開発機構や三菱重工など国内
100社の技術の粋が結集し、680億円をかけて開発・製造されたという。今回のスケジュールどうりの打ち上げに関係者は号泣。
 それにしても、日本の技術力の高さは十分に実証されたものの、今後の海外勢との受注競争や、とりわけ資金面での備えは充分なのだろうか。そこで、一首。
 「世界でも 正確きわまる 日本の 宅配便が 宇宙を駆ける」

NASAテレビ・AP
2009年9月28日(月)
久里浜の群


 初秋の日曜日、急に思い立って、横須賀にある「くりはま花の国」を訪れた。花の国は、春はポピー、秋はコスモスと首都圏の花の名所として定着している。
 元日本海軍の広大な倉庫跡に、市が誘致した先端技術の研究所群(久里浜テクノパーク)があり、その間を通り抜けると谷戸の地形に花畑が広がる。お目当てのコスモスは残念ながら5部咲き。
 起伏のある散策路を「パークトレイン」で巡る。家族連れで賑わう園内は意外に広く、
3万株のハーブ園、ゴジラのいる冒険ランドなどもあり、展望台からは対岸の房総半島まで見わたせた。とても、入場料無料とは思われない充実ぶりだ。
 それにしても、エリートの集まり、自然科学の総本山、理化学研究所で金にまつわる不祥事が発生したとは。そこで、一首。
 「コスモス園 色を競うて 咲く花に 倣って欲しい 研究所群」

2009年9月21日(月)

 文豪・夏目漱石の生地(新宿・喜久井町)と終焉の地、漱石山房(早稲田南町)が我が家の近くにあるので、1000円札から外されても、漱石に親近感があり関心も深い。
 9
16日、日経新聞の「春秋」は、漱石が、95年前、芸術論「素人と黒人(くろうと)」のなかで玄人をこてんぱんにしたことを引用し、鳩山内閣の旗印「脱官僚主導」にエールを送った。
 一方、驚いたことに、同日、朝日の「天声人語」は、「それから」の一節を引用し、麻生元首相は、鍍金(めっき)を金に通用させようとする「切ない工面」とは無縁の正直な人であったと惜別の意を表した。
 それにしても、政権交代という大きな節目に今の小説家の中から、このような思想が引用される人がいるのだろうか。そこで一首。
 「時経ても 二大新聞 借用す 至高の教養 漱石に見る」

2009年9月14日(月)
逆手に取って

 ドラッグストアで、洗剤、飲料、ペイパー類を山ほど買ってもせいぜい2千円程度だが、風邪薬の小さな瓶の高いことに驚いたことがある。
 この度、「第一三共」は、傘下のインド製薬最大手ランバクシー社を通じてルーマニアで骨粗しょう症治療薬の販売を開始した。インドでは、すでに、高血圧症薬を販売している。
 国内製薬各社は、主力薬の「特許切れ」が本格化し、新しい収入確保が必要になったことが原因で、こぞって、海外企業の買収に活路を見出そうと必死だ。
 それにしても、大日本住友製薬が米セブラコアを買収するのに、年商に匹敵する
2500億も支払うとは。そこで、一首。
 「高齢も 先進国なら 知恵もつき 小粒輸出し くすり九層倍」

2009年9月7日(月)
勝負何れに


 国営ベトナム鉄道は、ベトナムを縦断する「南北高速鉄道」に日本の「新幹線方式」を導入すると発表した。
 2020
年、中部地区の部分開業を目指し、北部の首都ハノイと南部の商都間1600キロを結ぶ。この国家プロジェトの総工費はなんと560億ドル(邦貨5・3兆円)
 景気浮揚や地球温暖化防止をにらみ、鉄道建設は、世界的に拡大の兆しを見せ、オバマが音頭をとる米国、ブラジル、インド、中国など、計画は目白押し。 日本とフランス(TGV)の売り込み合戦が続いている。
 それにしも、TGVに遅れを取っている日本は安全性を武器に米国で競り勝つことができるのだろうか。そこで一首。
 「異国の地 高速列車で 見る夢は 富士の勇姿か エッフェル塔か」

2009年8月31日(月)
優先順位

 「政権選択」にかかる総選挙は大方の予想どうり、308議席を獲得し民主党が圧勝した。
 民主党が明らかにした「5つの約束」では、子育て・教育など、「やるやる」項目が中心で、「外交・安全保障」については選挙公報では触れずじまい、マニフェスト(公約)では、国家存続の基軸である米国との「対等な同盟関係」の構築を掲げ従来の関係を見直す構えを見せている。
 北朝鮮は核実験に成功、ミサイル能力も向上し、関連技術をシリア、ミヤンマー、イラク、イランに売り渡したと見られている。
 それにしても、インド洋、イラク本土、ソマリア沖への自衛隊の海外派遣にことごとく反対してきた民主党は今後どう豹変するのだろうか。そこで、一首。
 「喉元に 刃迫れば テーブルの どんな馳走も 無意味な結果」

2009年8月24日(月)
違う道

 映画「チェンジリング」(意:取り換えられた子供)を最近、名画座で観た。
 舞台は1928年、ロサンジェルス。主人公
(クリスティン)の息子が突然姿を消す。五ヵ月後、イリノイ州で発見され警察が連れて来た子はなんと別人。母親は歪んだ組織に立ち向かうものの、恐るべき少年連続失踪事件が絡む。息子を取り戻そうとする壮絶な日々を描いた実話だ。
 子供の生存を祈り、どこまでも戦うヒロインは、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母親早紀江さんに重なり胸が痛む。
 それにしても、男性映画の巨匠、
79歳のクリント・イーストウッドが、これほど見事に、力強い女性像を描ききるとは。
 そこで、一首。 「人生の ふとした罠に 落ちぬれば もがけど見えぬ 我が子の姿」

 
2009年8月3日(月)
次なる一手

 ベトナムは、北部の観光地で世界遺産に登録されているハロン湾が有名だが、今度、政府は南部のリゾート地、「フーコック島」に国内初の本格的なカジノ施設を建設する。
 外貨獲得の拠点として
2030年までに700万人を目指す遠大な計画だ。政府の自由経済政策により、最近、外資のベトナム進出も目立つ。勤勉で教育熱心、労働への意欲と低廉な労働力がベトナム経済の追い風。
 今年のGDP成長率・予想は昨年並みの6.5%。アジアでは、中国に次いで、高成長率を保ち元気がいい。
 それにしても、これこそ、社会主義国家。当初、島を金融センターとして開発計画していたものを、一転してカジノに変えるとは。そこで、一首。
 「ハロン湾 浮かぶ奇岩に 南島は 集客賭けて 丁半博打」

2009年7月26日(日)
64年にして

 戦後初めて、国の来年度の予算は、国債の大量発行で、「借金」が「税収」を上回ると報じられた。昨年末で、国民一人当たりの「借金」はすでに、663万円にも上っている。
 国の借金を減らすには、GDP3%成長を前提に、消費税の12%への引き上げなどが掲げられているものの、与野党とも消費増税の先送りを強めている。
 一方、外国でも、財政の悪化は、 GDPで、一州にしてカナダやブラジルを上回るカルフォルニア州は「非常事態」を宣言し、小切手や現金ではなく、IOU(借用書)を支払い手段に使うというところまで至った。
 それにしても、政府が破綻しても、国は破綻しないという定説を日本の投資家がどこまで維持できるのであろうか。そこで、一首。
 「戦後初 国の借金 最大と 知らば指折り 確かむ年数」

2009年7月19日(日)
誰が付けたか

 ロッテリアは、「味に不満なら全額返金」を謳った新商品「絶妙ハンバーガー」(360円)を売りだした。 31日までの期間限定だが、外食産業では珍しい取り組みだ。
 このハンバーガーは、肉の種類や部位を厳選し、野菜も新鮮な食感を味わえるように工夫したという。
 ロッテグループ傘下のロッテリアは
1972年に創業した老舗。業績低迷を打破するため、2006年、ユニクロOBが設立した企業再生会社リヴァンプと資本提携し、「ライバルのマクドナルドより顧客を意識」をモットーに、業績は現在、回復基調にある。
 それにしても、なんでもありのご時世とはいえ、新商品は賢い消費者の心を捉えるのだろうか。そこで、一首。
 「半分を 超えれば返金 叶わぬと 客も思案の 絶妙バーガー
]

2009年7月12日(日)
危険

 理研とトヨタなどの共同チームは、左、右と頭の中で考えるだけで、電動車椅子を進みたい方向に瞬時に旋回できる技術を開発した。
 人の意図を脳波から読み取り,手足を使わずに95%以上の精度で、障害物を縫いながら移動できるという。脊髄を損傷した四肢麻痺の残った人に活用できる優れた技術だ。
 一方では、若者が公園などにたむろする近所迷惑行為を防止するために、聴覚が衰えるまえの
10代の若者にしか聞こえない高周波音(モスキート音)発信機が開発され使われている。
 それにしても、技術の進歩は、人間の尊厳を脅かす危険をはらみながら、どこまでニュービジネスを生み出していくのだろうか。そこで一首。
 「恐ろしや 恨みある人 その筋の ロボット操り 殺人成就」

2009年7月6日(月)
これから、増えるか

 大妻女子大のほか、昭和女子大、東京家政大、日本女子大、実践女子大の都内5大学が、来年から、共同で教職大学院を開設する。
 カリキュラムを共同で編成、教官や学生は講義内容によりそれぞれのキャンパスを行き来するという。
 「大学全入時代」を迎え、私立大の4割超が定員割れするなかで、各大学は特色ある学部や大学院をつくるのに懸命だ。学位は当然、
5大学の連名となる。
 それにしても、月謝や、かなり離れたキャンパス間の移動にかかる交通費は、どのように処理されるのだろうか。そこで、一首。
 「学校も 級友恩師も 共有し どこが母校か 新たな悩み」

2009年6月29日(月)
さすが、俊敏

 スポーツ用品メーカー「ナイキ」が、渋谷区立宮下公園の命名権を取得する。渋谷駅に隣接、一等地にあるここには、現在、多数のホームレスが生活し、あまり明るいイメージはない。
 ナイキは、10年契約で年額1700万円を区に支払い、さらに、5億円かけて、スケートボードやロッククライミングなどの施設も設け、スポーツ公園に変身させるという。
 渋谷区は、以前から、「命名権ビジネス」に熱心だ。2006年、渋谷公会堂の命名権を飲料メーカー・サントリーに売り、「渋谷C.C.Lemonホール」が誕生した。
 それにしてもここにきて、公衆トイレの命名権まで売り出そうとは。そこで、一首。
 「後世に 名を残す程 入れ込まず 区と折り合いし ナイキ公園」

2009年6月21日(日)
夢の競演

 上野の東京都美術館で、「日本の美術館名品展」を観た。今年の上野公園は、「阿修羅ブーム」などで大賑わいだが、こちらは、日曜なのに、ほどほどの混雑振り。
 全国の公立・美術館連盟協議会に加盟する124館のうち100館による自慢の作品が、220点も並ぶ。
 ミレー(山梨県立美術館)、藤田嗣治(新潟県立近代美術館)、下山寒山(茨城県近代美術館)など地方の「顔」が勢揃い。「夢の競演」は贅沢だ。美術作品は、会場によって、その味わいも変わる。
 それにしても、4月から7月までの長期間、お宝を上野に集められてしまった地方美術館の反応はどうだったのだろうか。そこで、一首。
 「集めたる 古今東西 名品群 列島飾る 日本の見識」

2009年6月15日(月)
天地人

 この4月、福祉に使って欲しいと現金一億円を橋下府知事に寄付した 80歳の女性の気前の良さに世間はビックリ。
 昭和初期、「バロン・サツマ」と呼ばれた富豪、薩摩治郎八は、一代で600億円使い尽くす。世界恐慌の年(1929年)、パリで、当時28歳の治郎八は日本館(留学生会館)を建設し、ホテル・リッツで現在の金額で1億円の晩餐会を開き欧州社交界の度肝を抜いた。
 08年世界富豪第三位、マイクロソフト元会長ビル・ゲイツ(52)の総資産は6.2兆円。昨年、ロータリーが主導するポリオ撲滅運動に350億円を寄付した。
 それにしても、治郎八は戦後破産の憂き目に遭遇。自分の人生をどのように、かえり見たのだろうか。そこで、一首。
 「天と地を その生涯に 見たものは 落ちゆく狭間に 人間を見む」

2009年6月8日(月)
難問解決

 最近、メトロで数字パズル「ナンバープレイス(略ナンプレ)」に熱中する人を見かける。
 早速、「初級ナンプレ」を買って自分も試みた。9X9のマスに、1から9までの数字を入れていく簡単なパズルだが、解法は結構難しく、小一時間すぐ経ってしまい約束につい遅れそうになる。
 ゲームはアメリカ人の考案。日本では、1984年、「数独(すうどく)」と名付けられパズル専門誌に紹介された。たまたま日本の書店で「数独」の本を手にとったニュージーランド人の努力で、 2005年、英国で「Sudoku」として大ブームになり、一年で55カ国へ広がったという。
 それにしても、「数独」で世界が「数毒」されようとは。そこで一首。
 「一日が 長き輩は 茶を飲みつ 数独二題で 今日も日が暮れ」

2009年6月1日(月)
蛍の光 窓の雪

 経産省は、2008年の外国語会話教室の受講生数は、451万人で、前年に比べて、なんと4割も減ったと発表。
 最多だった06年から2年で半減。その原因を、英会話学校最大手NOVAが経営破綻したことや景気後退などによるものとしている。
 しかし、ベルリッツ・ジャパンでは、4年前の開講時に比べ、シニア受講者数は20倍近くの伸びだという。
 この4月から小学校で英会話の授業も始まった。2011年の「原則導入」を年頭に、ベネッセ、栄光など教育各社の動きも活発だ。
 それにしても、教える側の小学校教員は今更あたふた子供と同じ英会話教室に通うことになるのだろうか。そこで、一首。
 「英会話 未だ間に合うは 一抜けて 瀬戸際族が 大席巻」

2009年5月25日(月)
舎人もびっくり

 五月雨の日曜日、早稲田から都電荒川線・熊野前駅でモノレール「日暮里・舎人ライナー」に乗り、終点まで足を伸ばした。
 開業して早や一年、この都営「新交通システム」は日暮里(荒川)と見沼親水公園(足立)間の10キロを 20分で結ぶ。途中駅は、なんと、11駅もある生活路線だ。
 沿線の目玉は、水と緑の広大な都立「舎人公園」。陸上競技場、キャンプ場からバードサンクチャリーまである。 ライナーは、車両基地から遠隔操作される自動運転システムだ。
 それにしても、運転手は、むろん、車掌もいなければ、駅員すらいない。おかげで、遅延証明書まで自分で発行することになろうとは。そこで、一首。
 「五月雨に 煙る舎人の 森林を 中空揺れつつ モノレール行く」

2009年5月18日(月)
生き残れる血液型は

 ウイルス性胃腸炎をおこす「ノロウイルス」に感染しにくい・しやすい血液型を解析した研究がある。
 北海道で発生した集団感染事例をもとに研究したのは道立衛生研究所。最も高い発症率を示したのはA型(71%)で、最も低いのはAB型 (55%)。二次感染や潜伏時間も同様の結果だったという。
 ところが、世界的にはO型物質に融和性をもつノロウイルスが多く、A型の人が4割いる日本と異なっており、ウイルスの戦略はしたたかだ。 血液型性格診断は日本では大流行だが、国外では、血液型は輸血用にしか役立たないとする国が多い。
 それにしても、メキシコ人は8割強がO型だが、グアテマラ人は、なんと、95%がO型だったとは。そこで、一首。
 「もしかして 太古の御世より 知恵あるは 人にはあらず ウイルス達か」

2009年5月11日(月)
至難の千

 月刊誌「JTB時刻表」がめでたくも通巻1千号を迎えた。 創刊は1925年で、84年かけての偉業となる。記念号の売れ足は早く、何軒か捜し求めて、やっと手に入れることができた。
 ピークの1985年には、200万部を記録。最近は、インターネットの普及などで、15万部に減っているという。
 千号達成の偉業も当然第一号からの積み上げ。比叡山の山中をひたすら歩き地球の一周にあたる4万キロを歩き終える荒行、千日回峰行にも似ている。
 それにしても、上には上がいるもので、「放浪記」を演じる森光子が89歳で、通算2千回・単独主演を達成したとは。そこで、一首。
 「さわやかな 千の響きの 深奥に 触れえる生者の 何と少なき」

2009年5月4日(月)
風格

 お祝い事で名古屋に出かけた序でに、名古屋市東区にある「徳川園」に立ち寄った。
 ここは、徳川政権の時代、尾張徳川家の別宅として造られ、その後、名古屋市に寄贈された武家屋敷の庭園で、高低差があり男性的だ。 
 折から、牡丹が満開。園内には、1千株、55種もあるという。 長唄「連獅子」の冒頭も、牡丹は百花の王にしてとあるように、花言葉は「王者の風格」、まさに、徳川家の庭園の花にピッタリだ。
 最近、大河ドラマの影響で、伊達政宗など武将にちなんだ五月人形やコンピューターゲームが若い女性に売れているという。
 それにしても、風格ある武将が若い女性を虜にしようとは。そこで、一首。
 「徳川の 池面を渡る 春風に 藤は揺るるも 牡丹動ぜず」

名古屋市・徳川園
2009年4月27日(月)
最高峰

 最近、東大がチリの砂漠で世界最大級の太陽光線発電を設置し、超伝導材料でできた電線で送るという計画を発表した。
 この計画は、2014年をめどに、観測を開始する天文台の赤外線望遠鏡の電力をまかなうほか、余りを近くにある人口3千人の市にも供給する。太陽電池の建設費は100億円。
 チリ北部に位置するアタカマ砂漠の高山(標高5.6千m)は「宇宙に一番近い観測地」として世界の天文台が集中しており、東大も惑星や宇宙ができた頃の銀河を観測するという。
 それにしても、この「宇宙に一番近い場所が皮肉にも日本から一番遠い場所だったとは。そこで、一首。
 「さすがなり 東大チリで 発電所 宇宙観測 至近で助け」

2009年4月20日(月)
向学心

 文具大手「ぺんてる」がインドでボールペン生産を2年以内に3倍の2・1億本に拡大すると発表。インド国内での需要増に対応するだけではなく、割安な生産コストを生かして欧米向け輸出拡大を狙うという。
 この記事を読んで、2年前に南部インドを旅行した際、多くの子らがボールペンだけをねだるのを思い出した。10億人の人口を抱えるインドの識字率は、65%。南部は91%、北部は 48%と地域差が大きい。
 一方、日本市場は、少子化などの影響で伸び悩みだが、文具メーカー各社は、「消えるボールペン」など商品開発を競っている。
 それにしても、優れた頭脳を持つインド人が新しいボールペンを手に、どこまで伸びていくのだろか。そこで、一首。
 「はにかみつ ボールペンをと 言う子等の 肩にかかれる インドの未来」

2009年4月13日(月)
異国に求めて

 総務省の推計によると、1950年以来日本に住む女性人口が始めて減少に転じた。原因は海外流出の増加。
 海外旅行者の女性比率は一時急拡大したが1999年を境に再度低下。一方、留学生や永住者など事情はまちまちだが海外在留邦人の女性比率は1999年から女性が男性を上回った。
 地域別にみると、北米に次いでアジア。アジアの経済発展と日本企業の進出に伴って、女性の活躍が目立つ。男性に比べて、女性は積極的で外向き志向だ。
 それにしても、佐渡で放鳥した「トキ」のメスのほとんどが本州に渡り、佐渡にオスを置き去りにしようとは。そこで、一首。
 「近未来 隣の中国 男子のみ 頼みの母国は 女性が見捨て」

2009年4月6日(月)
人間らしい時代

 最近、「宮廷画家ゴヤは見た」という映画を見た。
 ゴヤは、裕福な商人の娘イネスとカソリック神父ロレンソの肖像画を描く。肖像画の少女に神父が心を奪われる。当の神父が主導する異端審問によって運命をくるわされたイネス、彼女とかかわり波乱の人生を歩むロレンソ。時代に翻弄された男女の運命がゴヤの目を通して描かれる。
 ドラマの舞台は19世紀初頭のスペイン。フランス革命、ナポレオン軍のスペイン侵略、異端審問の禁止。そして、フランス軍に対する市民蜂起。普遍だと思われていた価値観が一夜にして変わる状況は現代に似ている。
 それにしても、川に半身浸かって後姿で立つ力強い「巨人」の絵が弟子の作であったとは。そこで、一首。
 「時代には 主義宗教も 打ち勝てず 流されながらも 絵筆取るゴヤ」

2009年3月30日(月)
雑居房

 新築マンションに入居して12年目。いよいよ、「大規模修繕工事」が始まった。
 14階だてマンションを仮設足場がぐるりと囲み、激しい音の末、白いレース・カーテン状のシートが張り巡りされた。まるで、「繭」のなかに閉じ込められた感じだ。
 壁の洗浄、床の防水などバルコニー内での作業のため、植木なとは全て一時撤去となる。干し物は表に出せない。 工事のお代は1.8億円。月々の積立金が一挙に使われる。 
 マンション販売不況の中、激しい競合の結果、施行はマンション本体を建設した大手ゼネコンに決まった。
 それにしても、「繭」から抜け出した5ヵ月後には、日本経済の景色は明るい兆しが見えるのだろうか。そこで、一首。
 「霞み網 大きなマンション 搦め取り 中では住人 雑居生活」

2009年3月22日(日)
危機迫る日本の上空

 北朝鮮が予告した「衛星打ち上げ」が2週間後に迫った。ミサイルが制御失敗や故障などで、日本の領土や領海を直撃する恐れがあるのに、政府やマスコミは意外に静かだ。
 1998年、北朝鮮が発射したミサイルは日本海と三陸沖に着弾、次いで、2006年に発射した「テポドン2号」は上昇中に落下飛散した。今回のミサイルの最大射程は米本土にも到達するとされる。
 政府は輸出禁止拡大など事後制裁について検討に入ったが、「迎撃」を含めた危機管理対応について政治判断を明らかにしていない。
 それにしても、このような一大事をマスコミの取扱いが政治・経済に比べて、著しく少ないのは、同胞を不安にさせない親心によるのだろうか。そこで、一首。 
 「この度は 長足進歩を 祈るだけ 北朝鮮の ロケット技術」

2009年3月16日(月)
文字どうり独逸

 未曾有の自動車不況のなかで、何と独逸のフォルクスワーゲン(VW)だけは元気が良い。
 調べてみると、今月開催されたジュネーブ自動車ショ-で、VWは小型車「ポロ」を発表した。車体は軽量、燃費も良く、走行1キロあたりのCO2排出量はトヨタの「プリウス」に勝る。しかも、政府の「買い替え補助金制度(30万円)」の対象車だ。
 VWは大衆という意味なので、中国での知名度は抜群。中国の業界で1,2位を争う上海汽車、第一汽車と生産・販売協定を結んでいる。
 それにしても、世界が大不況の中、新興市場で販売が伸び、前期、過去最高益を確保するとは。そこで、一首。
 「軒並みに 沈みゆかん 大店の 屋根を走路に フォルクスワーゲン」

2009年3月8日(日)
牛も様々

 この度の沖縄旅行中、石垣島に近い、竹富島を訪れた。高速フェリーで10分、周囲9キロの島に、300人が住む。
 石垣に囲まれたハイビスカスが咲く昔ながらの町並み。歩行者に追い抜かれながら、狭い路地を水牛車にゆられてのんびり巡る。道中、用を足す水牛、ガイドの即妙な説明が観光客の笑いを誘う。
 八重山諸島では、牛の畜産が盛ん。沖縄サミット(2000年)の晩餐会で供されて一躍有名になった「石垣牛」は、今やブランド牛だ。
 一方、仔牛(黒毛和牛)は出荷されてその地のブランド名(神戸、松坂など)に育てられる。
 それにしても、水牛は家族同様の扱いなのに何という違いなのだろうか。そこで、一首。
 「内角と 外角考慮し 車ひく 水牛ヒロちゃん 力量高かし」

沖縄・竹富島
2009年3月2日(月)
訪問者

 厳寒の東京を離れて、沖縄・石垣島へ直行。先ず、太古サンゴ礁の鍾乳洞を見る。入って、ビックリ。歩いても歩いても、終わらない。 最近話題の「ミシュラン・ガイド」三ツ星、川平(かびら)湾にも行く。生憎、悪天候だったが、湾内グラスボートからサンゴ礁を愛でる。
 そして、国・登録有形文化財、「石垣やいやま村」へ。村内には、100年前の旧家や復元した家屋が点在する。
 一般民家は実際に使われ、地元の人々が琉球芸能を演じ、入園者は踊りに加わる。その曲が園内に流れている。 
 それにしても、台湾まで270キロと近いのに県庁のある那覇市から410キロも離れているとは。そこで、一首。
 「移築せし 古民家点在 やいま村 各戸吹き分け 風巡り行く」

石垣島鍾乳洞、沖縄
2009年2月23日(月)
眠れるものが蘇えり

 実話の映画化「イントゥ・ザ・ワイルド」を見た。アラスカの捨てられたバスの中で、謎の死を遂げた若者の足跡を追ったベストセラー・ノンフィクション「荒野へ」の映画化。
 主人公クリスは優秀な成績で大学を出た直後、家族を捨てて家を出てしまう。サウスダコタの小麦畑、コロラド川の激流、ソルトン湖の平原を巡る旅の映像は雄大だ。
 人々と出会い、人生の真実を学ぶが、「孤高」を求めた流浪の旅の果てに辿りついたのはアラスカの荒野。自然と対峙して何かを得たかったクリスは、残酷にも、毒草を食べ、自然の掟に屈服する。
 それにしても、真摯な生き方が人々の心を揺さぶるのは現代人には極限を見極める勇気がないせいなのだろうか。そこで、一首。
 「秀才は 先祖返りか 未来へか 導かれるまま 荒野を目指す」

2009年2月9日(月)
刺激も今風

 久し振りに、昨年リニューアルされたタカラトミーの6代目「人生ゲーム」を楽しんだ。 世相を反映し、内容はなかなか凝っている。
 このゲームは盤上にあるルーレットを回してマス目を進み、就職や結婚など人生のイベントをへて億万長者を目指す。リニューアル版では、小さい子供用に「誕生から就職まで」のストーリーが加わった。
 タカラトミーは、40年間で累計1200万個を販売。現代を映し、就職難やストレスで人生が変わる激辛「格差社会版」を今春売り出すという。
 それにしても、ゲーム機の任天堂が、「ゲームの底力」を発揮して今年度、営業利益・過去最高を見込んでいるとは。そこで、一首。
 「ルーレット 回せばついて 大富豪 宇宙旅行で 一転地獄」

2009年2月2日(月)
大陸向いて 

 先日、春咲き用の球根を求めて、近所の花屋に行ったが3軒とも取り扱わず、4軒目の大きな園芸専門店で、やっと、球根から芽が出た水仙の苗を手に入れた。
 輸出産業がドシャ降りのなかで、盆栽、鉢物、切花などの観賞用植物(花き)の輸出が数年で急成長している。主な輸出先は、中国や香港。
 中国旧正月(春節)では、高価なまき(槙)などの植木類が縁起物として、洋ランのシンビジウムは、ギフト用として富裕層に人気が高いという。
 それにしても、日本の6−7割の世帯が切花や園芸品をこの一年一度も買っていなかったとは。そこで、一首。
 「球根が 手に入らぬも 当たり前 花はよそ見て 咲き始めたり」

2009年1月26日(月)
頭上に舞いし鷺娘

 久し振りに、歌舞伎座へ行く。さよなら公演の幕開けは、「祝い初春式三番叟」。次いで、幸四郎の「俊寛」、菊五郎の「十六夜(いざよい)清心」へと続く。平日の客席は年配者で満席。
 お目当ては、坂東玉三郎の舞踊「鷺娘」。光と雪が織りなす幻想的な舞台に、長唄・囃子が調和し、優美な鷺娘が舞い、「引き抜き」のたびに、観客はどよめく。
 四代目「歌舞伎座」(1950年竣工)は、老朽化のため、建物正面や一部の独特なデザインは引き継がれるものの、来年4月公演を最後に建て替えられる。 それにしても、サヨナラがつけば大衆が熱狂するとはいえ、さよなら公演が16ヶ月も続くとは。そこで、一首。
 「十二本 天井張りつく 長き指 お気に入りのみ 救って宙へ」

2009年1月19日(月)
今どきの争い

 新春、数ある広告のなかで、缶コーヒー「ワンダ」(アサヒ飲料)の「あけまして、おはようございます」のコピーが際立った。
 積み上げた缶を屏風に見立て、CMキャラクター高田順次と国分太一が居住まいを正す図柄。アサヒは、昨年、糖類ゼロ「ワンダ ゼロマックス」をヒットさせ、男性の利用者が9割を占めるという朝専用コーヒーにも力を入れだした。
 ビール系飲料では、発泡酒に続く第三のビールが安さで人気を博している。
 それにしても、ウイスキーのサントリーが、ビール部門で黒字を達成するのに、参入後、46年もかかったとは。そこで、一首。
 「ボトルに缶 種類豊富な 飲み物は 税金うまみに コーヒー界へ」

2009年1月12日(月)
お隣さん

 昨年末、中国が初の国産空母建造に本格的に着手するという恐ろしいニュースが報じられた。
 2015年に完成を目指して今年から、上海で建造される空母は5−6万トン級の中型鑑2隻。近年、一貫して軍事力を大幅に増強し、20年連続二桁の伸びだという。
 米連邦議会で、米軍高官は、「ハワイを基点としてアメリカは東の太平洋を中国は西の太平洋を分割管理したい」という提案を中国軍首脳から受けたと証言した。
 これらの動きから、先ず、台湾を併呑し、次にアジアでの覇権を確立し日本を従属させ、最後に、米国と対決する世界の覇権国へという中国の国家戦略が透けて見えてくる。
 それにしても、中国の空母建造に対して日本政府はなぜ重大な懸念を表明しないのだろうか。そこで、一首。
 「中国産 食材問題 幕下で 控えで四股踏む 恐い横綱」

2009年1月5日(月)
未だかくしゃく

 年明けて、地元、牛込神楽坂「善国寺」の毘沙門天に初詣。賑わいは年中変わらないが華やかさは格別だ。
 ここは、江戸時代の「御符内(市内)七福神」のひとつで、界隈には、「牛込」とつく場所が多い。大昔、大宝律令(701年)により、この近辺に国営の牧場が設けられ、牛が多くいたことによるという。 戦後、「牛込区」から「新宿区」に変わったが、住民の牛込への愛着は捨てがたく、この地区のみは「天神町」「箪笥町」「納戸町」など古い町名が残され、その数は、なんと、65にのぼる。
 それにしても、大江戸線開通の際に、駅名でもめたが、地域の歴史にこだわり、「牛込神楽坂」で決着したとは。そこで、一首。
 「古の 牛は今でも 健在で 天神乗せむと 通りに駅に」

2008年12月29日(月)
修復済みとはいえ

 散歩の途中、新宿・早稲田南町の「漱石公園」に立ち寄った。
 ここは、「漱石山房」と呼ばれ、漱石が晩年の9年間を過ごした旧居跡で、「三四郎」「こころ」などの代表作を書き、弟子と交流した所だ。今年、リニューアルされたものの、漱石の胸像、猫塚(供養塔)があるだけで、敷地は狭く設備は極めて簡素。
 一方、隣接する文京区は、「文の京(ふみのみやこ)」の命名に相応しい名所や旧跡が多い。「本郷図書館・鴎外記念室」は広い敷地で都により「森鴎外宅址」に指定され、遺品・原稿など2000点も所蔵している。
 それにしても。日本一の歓楽街・歌舞伎町を抱えているとはいえ、どうして新宿の行政や住民は過去の遺産に冷淡なのだろうか。そこで、一首。
 「新宿の 叡智の看板 漱石の 山房守る 危うい猫塚」

2008年12月22日(月)
どうせ将来

 10年以上使用してきたテレビから、地上デジタル対応の液晶テレビに買い換えた。
 古い家電製品を買い換えて省エネ効果を測定する運動に協力したのが動機だ。  エネルギー消費は、石油ショックの1974年に比べると、産業部門は、横ばいだが家庭やオフィスでは、逆に2.6倍に増えているという。
 1週間の測定結果は、電気消費量25%減と出た。おまけに、旅番組などを見ると、画質はきめ細かく臨場感がある。
 2011年から、現在のアナログテレビは、国策により、「ただの箱」になる。
 それにしても、移行間際になって、「後期高齢者問題」と同じようにお上批判が噴出するのだろうか。そこで、一首。
 「ハイビジョン 世界の秘境 目の当り 動ける今を 終日イスで」

2008年12月14日(日)
配慮があれば

 景気後退の逆風のなかで、世界最大のパン屋、山崎製パンが健闘している。
 客離れを最小限にとどめる術は、値上げしながら巾の広い価格帯で品揃えするフルライン化を実現したことによる。
 その手法は、以前、主力の「超芳醇」(170円)を値上げするまえに、「芳醇」(140円)を投入、新たに、一番安い「サンブレッド」(120円)も用意した。客が同じ商品を継続するよりも、同じ価格を求めることを先読みした結果だ。
 それにしても、コンビニに並ぶヤマザキの「串団子」や「豆大福」が不二家を凌ぎ、来期、「ペコちゃん」を養女にしようとは。そこで、一首。
 「定番の 朝のトースト 微妙にも 歯ごたえ変われど 価格は同じ」

2008年12月8日(月)
お久し振り

 両国の江戸東京博物館で「ボストン美術館・浮世絵名画展」を見た。 混雑ぶりは予想通りだったが、意外にも、男性の入館者の多さが目立つ。
 日本美術の宝庫、ボストン美術館が秘蔵する膨大な浮世絵版画群のなかから、ビゲロー・コレクションを中心に版画や肉筆画など優品137点を展示。
 ほとんど未公開のためか、100年たっても保存状態は抜群。多色摺りでは、褪せやすい朱や紫の色目が鮮やかに残り、役者絵の背景に雲母がキラリと光る。
 それにしても、高温多湿で震災や戦災を被った国情とはいえ、外国から借りないと日本文化の神髄を味わえないとは。そこで、一首。
 「里帰り  熱烈歓迎  度が過ぎて  顔色失せそな  浮世絵美人」

2008年12月1日(月)
空から見れば

 種苗大手「サカタのタネ」は、異業種の凸版印刷と屋上緑化事業を強化する。  
 凸版は、建装材を印刷する工程で発生するフィルムの端材を再利用して製品を提供する。  ビルやマンションの屋上緑化事業は、昨年、200億円以上の市場に成長しているという。
 先日行った 凸版本社(飯田橋)にある印刷博物館は、大規模で本格的。工房では、実際に、印刷を体験した。 10月まで、特設ギャラリーでは、「ポップアップ絵本のできるまで」をテーマに、手作業による組み立てを来館者にもさせ好評だった。
 それにしても、タネと印刷の結びつきは意外性に富み、今後もこのような異業種間の提携が増えるのだろうか。そこで、一首。
 「あちこちの ビル屋上に 苗が伸び 凸版特製 ホップアップが」

2008年11月24日(月)
女王はだれ

 先週の日曜日、「東京国際女子マラソン」を水道橋駅前で見た。
 最後の大会を制したのは、伏兵、尾崎好美。本命の渋谷陽子は、東京コースの名物、四谷への「最後の坂」で失速し、尾崎の逆転劇が生まれた。大会は、来年から横浜開催となり、今回で見納めになる。
 京都では、この日、競馬「エリザベス女王杯」が開催され牝馬18頭が出走し、4番人気のリトルアマポーラ(ルメール騎手)
が優勝。スタート直後に、馬がつまずき、名騎手 ・武豊がまさかの落馬。場内外は一時騒然となった。
 それにしても、人気者が思わぬところでこけるのは、人生そのものなのだろうか。そこで、一首。
 「雨も止み 水道橋に 女子マラソン 馬券手にした シニア声援」

2008年11月17日(月)
エル フラメンコ

 久し振りに、新宿のライブハウス「エル フラメンコ」に出かけた。スペイン料理とフラメンコが売り。
 ショーは、カンテ(歌)、トケ(ギター)、それに男女各2人のバイレ(踊り)の8人編成。踊りの手拍子と靴音が高まるにつれて、汗が飛び散り。その力強い踊りに固唾を呑んで見守る。
 リーダーのドミンゴ・オルテガ(バイレ)は39歳、スペインのヘレス出身。8歳からフラメンコを始め、日本でも教室を開いている。
 それにしても、本場のスペインでも味わえなかった、かくも高度なフラメンコを、この新宿で、かぶりつきで見られようとは。そこで、一首。
 「泥中に 閉じ込められし マグマさえ かくも激しき 噴火はすまじ」

2008年11月10日(月)
鳴門で見た夢

 徳島の鳴門海峡・渦潮に近い「大塚国際美術館」(1998年設立)を訪れた。大塚製薬創立75周年記念事業。
 地下3階から地上2階までの広大なスペースに西洋名画約千点が陶板画として再現されている。鳴門の白砂で作られた陶板に、特殊技術によって原寸大に再現された名画は、なんと、2千年を経ても色あせないという。
 「モネの大睡蓮」の野外展示コーナーの池には、色とりどりの本物の睡蓮が顔を出し心を和ませてくれる。 入場料は、一般3150円と高価だが、小中高生は520円と割安。
 それにしても、徳島で世界の名画を脳裏に刻み込んだ子供たちは、いつ、原画を見る夢を実現するのだろうか。そこで、一首。
 「現れし モネの世界の 徳島で 睡蓮愛でつつ 美術館褒む」

2008年11月3日(月)
一人っ子に生まれて

 修学旅行で日本のアニメと高い技術にひかれて、中国から来る児童・生徒は急増し、今夏で始めて1万人を突破した。 
 政府は、04年以降、修学旅行のビザ取得を免除して後押し。多くが、広東省や北京、上海など沿岸部の富裕層の子弟、日程には秋葉原の人気アニメショップや三鷹のジブリ美術館(宮崎駿監督)などが組み込まれているという。
 旅を通じて、未知との出会いで知見を広げるのは素晴らしい。
 それにしても、日本でも、全国の公立小学生が農山漁村に泊まり、体験活動を行う本格的な「旅育」が発進しようとは。そこで、一首。
 「若い芽が 瑞穂の国へ 靡くのも 技術とアニメ 生んだればこそ」

2008年10月27日(月)
木祭り

 市ヶ谷にある家具屋併設のステイキハウス「五番町・祭り屋」に出かけた。 名物は牧草で育てた阿蘇のあか牛。脂肪が少なく、柔らかな牛肉は熊本の自慢。休日のせいか、家族連れが多い。
  オーナーは、天然木材を使った一点もののオーダー家具屋さん。木に宿る魂を祭り,自然に対する畏敬をこめて商号を祭り屋としたという。 テーブルには値札がついている。
 日本では、地域特産は大消費地へ出荷する志向が強いが、欧州では、地域振興のため、特産品は地域外には出さずそこを訪れないと味わえない仕組みを作っているという。
 それにしても、240万円もするテーブルや高価なイスでステイキを食べさせるオーナーのなんと大らかなことか。そこで、一首。
 「売り物の 一枚板に 囲まれて 肥後を味わう 祭り屋の昼」

2008年10月20日(月)
ハロウイーン間近か

 ロングセラー小説(梨木香歩)の映画化、「西の魔女が死んだ」を見た。 
 学校が苦痛になった少女が、山奥に暮らす英国人の祖母のもとで、ひと夏、幸せになるために「魔女修行」を受ける。祖母と孫の心の交流の物語。
 西の魔女を演じる主演は凛としたサチ・パーカー。母は、アカデミー賞女優シャーリー・マクレーン。 
 山には野いちごがあってジャムを作り、花や野菜を育てるのが毎日の仕事。自然の中で時間はゆったりと流れる。
 この映画を見て、数年前、英国の湖水地方の山々を歩き、農家でクッキーを焼いたことを思い出した。
 それにしても、自然の中で生活することによって現代社社会で見失っている多くのことが見えてこようとは。そこで、一首。
 「火あぶりの 魔女も孫には まっとうで 人生行路に パンプキンの灯を」

2008年10月13日(月)
マグマで育て

 ここ数年、エネルギー・資源価格が異常に急騰し、これまで開発が進んでいなかった日本の海底に眠る熱水鉱床の、金、銀、亜鉛などの資源に注目が集まっている。
 火山大国日本の埋蔵量は世界で有数だという。特に、静岡、和歌山沖でメタンガスが氷状になった「メタンハイドレート」は、水深が千メートルの海底下にあり、採取には技術的なハードルが高いが、政府は十年後の商業化を目標に堀削試験に着手する。
 一方、都会では、「都市鉱山」から不要携帯電話の回収で、様々なレアメタルを再利用できる。
 それにしても、資源がないと自他共に思い込んでいた日本にかかる宝があったとは。そこで、一首。
 「次世代は 資源国へと 我が日本 夢抱きつつ 人材育て」

2008年10月6日(月)
青空の下

 今回のウズベキスタン旅行では、聖なるブハラでミナレットにも登り、古都サマルカンドを経てタシケントへ700キロをバスで移動。
 サマルカンドに近づくにつれて、車窓風景も変わり、オリーブの白い花が風にたなびき、広大な綿花畑では刈入れに忙しい。大河、アムダリア川とシルダリヤ川の恵みか、ブドウ、スイカ「幻のメロン」ハミウリなど果物が豊富。
 雲ひとつない青空の下、遺跡の町で出会った子供たちは、整った顔立ちで目が澄んでいる。笑顔で答えるフレンドリーさは日本では考えられない。
 それにしても、独立して17年、1990年以来政権を担うカリモフ大統領の手腕のお蔭か、今まで行ったどこの国より治安が良かったとは。そこで、一首。
 「収穫の 綿花畑に 転々と 野良着姿の 赤青黄色」

ミナレット(光塔)、ブハラ
2008年9月29日(月)
砂漠の木陰

 ユーラシア大陸の中心、ウズベキスタンを訪れた。関空から直行便で8時間。首都タシケントへ。さらに、国内線で「博物館都市ヒヴァ」へ飛ぶ。
 ウズベキスタンの面積は日本の1.2倍。人口は2700万人。イスラム教スンニ派が多く、折から、信者はラマダンの苦行中。ヒヴァから、バスで480キロ、キジルクム砂漠を経て「聖なるブハラ」へ。
 砂漠のど真ん中、唐突に結婚式場の宮殿風建物が聳え立つ。現地では、二日続く披露宴は大イベントだという。
 それにしても、誰もいない宮殿前で何時来るかわからない客のためにベビーサークルで子育てしながら受付係りが待っていようとは。そこで、一首。 
「大平原 僅かな木陰に 牛たちが 草食み憩うを 車窓に拾い」

ヒヴァの少女
2008年9月22日(月)
夢か現か

 高齢化のせいか、宝くじの売れ行きが悪化している。昨年度の全国売上高は、前年比4.5%減の1兆円余りで、二年連続前年割れ。売上の配分は、賞金5、人件費1、自治体へ4.売上減は自治体財政にとって痛手だという。
 JRA(日本中央競馬会)の昨年の年間売上は2.7兆円だがこれも10年連続前年割れで下降傾向に歯止めがかからない。
 財政難にあえぐ沖縄などの自治体は地域活性化の起爆剤として「カジノ導入」活動に
余念がない。
 それにしても、あの超お堅いシンガポールが経済波及効果を期待して2010年に2軒のカジノ場を開業するとは。そこで、一首。
 「夢を見る 年頃も過ぎ ジャンボくじ 横目で見るも 紐締め直す」

2008年9月8日(月)
アイディア勝負

 世田谷・桜新町駅から「サザエさん通り」を徒歩5分。作者が住み続け、蒐集品を展示する長谷川町子美術館を訪れた。お目当ては、夏休み恒例の「アニメ サザエさん展」。
 人気は、「波平の説教部屋」や「花沢不動産のあさひが丘分譲」企画など。子供だけでなく大人も楽しめる。
 フジテレビでアニメ「サザエさん」第一話が放送されたのは1969年、今年で40年目。この間、視聴率も5年目から常に25%台を維持している。日曜の夜6時半からのサザエさんは不景気の時は外食を避け、家族で楽しむので視聴率が上がるらしい。
 それにしても、この視聴率は東証株価指数に連動性があるとは。そこで、一首。
 「卓袱台の おはぎ持ち上げ パパ叱られ 模型の家建て 子には権利証」

2008年9月1日(月)
効きめ

 処暑が過ぎたが残暑。食欲不振と寝不足の夏ばて解消には「お酢」パワーだと気付き、料理教室で学んだ「ホタテ・きゅうりの和え物」を試作した。
 酢はそもそも酒からできているもの。フランスではワインビネガー、ドイツではモルトビネガー、日本では日本酒から米酢となる。
 一人当たりの酢消費量は、意外にも、ドイツ、アルゼンチン、フランスの順でいずれもサッカー大国。日本がW杯で最後の5分間互角に闘うには、酢パワーを借りよと酢メーカー・ミツカンは我田引水。
 それにしても、酢が健康や美容に効能があるとはいえ、「食べる酢」や「ス(酢)イーツ」まで最近売れているとは。そこで、一首。
 「良く冷えし この酢の物の 喉越しが 夏枯れ脳に じんわり効果」

2008年8月25日(月)
いち早く

 「号外です,号外」の叫び声と一緒に、「北島連覇 世界新」の大見出しと雄叫びをあげている写真が踊る朝日の号外を受け取った。場所は立川駅構内。 
 ネットから情報はすぐに伝わる時代とはいえ、事件の鼓動を伝えるには,新聞の大文字が相応しい。
 最近見た映画「クライマーズ・ハイ」では日航機事故を取材する地方新聞の責任者が主人公。自ら登山家の悠木(堤真一)は事故原因を巡る一分一秒を争う最終出稿の段階で、極限まで達していた緊張状態が解けて恐怖で動けなくなり、大手新聞に抜かれてしまう。
 それにしても、今回、広告まで準備済みのこの号外は北島連覇の瞬間、朝日の記者たちが誰よりもクライマーズ・ハイではなかっただろうか。そこで、一首。
 「世界新 達成したる 北島に マスコミ界の 金賞号外」

2008年8月18日(月)
四六時中

 北京オリンピックは厳重な警備のもとに開催中。
 今期、役員を仰せつかったわがマンションでは、防犯効果と費用について甲論乙駁の末、24時間365日有人警備が正式に決まった。
 統計的には、警察が認知した刑法犯の件数は意外にも前年比5%減で87万件、6年連続の減少という。しかし、昨今の残忍・変質性の高い犯罪発生やマスコミの過剰報道のせいか、肌で感じる「体感治安」は悪化している。
 それにしても、防犯グッズへの関心が高まるなかで、廃ガラスが原料で、砂利の上を歩くと防犯ブザーに匹敵する音がする「防犯砂利」が売れているとは。そこで、一首。
 「エレベーター 防犯カメラの 目が光り 威儀を正して ゴミ袋持つ」

2008年8月11日(月)
執着

 終戦記念日を間近にし、最近見たドキュメンタリー映画「ミリキタニの猫」を思い出した。
 NYソーホーで路上アーチストをテーマにカメラを回していたリンダ(監督)は、9・11事件時でも、平然と画を描く路上画家ジミー・ミリキタニ(三力谷)80歳に思いを新たにする。
 第二次世界大戦中、収容所送りになった日系人は12万人。彼は、アメリカ国籍を持ちながら、日系人強制収容所に入れられ、生涯それが心の傷となり、反抗して自ら市民権を捨てた波乱の人生を送っている。
 1988年、米政府が正式に謝罪するまで尊厳の回復に40年以上の歳月を要した。
 それにしても、画家としての才能は素晴らしく反抗心を燃やしながら,.かくも愛嬌のある猫を描くとは。そこで、一首。
 「忠誠心 期待できない 猫なれど 飼い主見捨てりゃ 化けても恨む」

2008年8月4日(月)
でも剣は御免

 近所の花屋で買い求めた「琉球朝顔」は、朝は濃いブルーで咲き出し、紫色そして夕方にかけてピンク色へと変化して一日中楽しめる。
 先月、入谷・鬼子母神(台東区)の朝顔市に出かけた。ところが、ホコ天開始前で、タイミング悪く、鬼子母神はおろか商店街沿いの露店にさえ近づけない超混雑ぶり。誰かころべばと、身の危険を感じて早々と退散。
 一方、地元、神楽坂で、先月24日の夕刻、毘沙門天を中心に催された恒例の「ほうずき市」を覗く。浴衣姿でほうずきを買う人も多い。平日でホコ天はなく、神楽坂通りの出店の間を車がすり抜ける。
 それにしても、秋葉原事件以来、警察がホコ天を目の敵とするあまり人同士や車が凶器とならないのだろうか。そこで、一首。
 「朝顔と 熟れたほうずき 飲みこんで 八岐のおろちの 人波うねる」

2008年7月28日(月)
仲間入り

 都内で最後の地下鉄、副都心線が開通して一月半。新宿三丁目から乗車、「雑司が谷」に立ち寄った。先ずは、参道・ケヤキ並木を通って安産・子育(こやす)の神様として名高い鬼子母神堂にお参り。
 境内には樹齢600年の大イチョウ、「すすきみみずく」を売る駄菓子屋「上川口屋」(元禄年間創業)は今も健在だ。帰途、明治通りにぬける西参道商店街を通る。商店と住宅が混在する町並みは昔のままで新線開通とは無縁の趣き。
 方向を変えて都営雑司が谷霊園に歩を踏み入れると、夏目漱石、小泉八雲など著名人が眠っている。
 それにしても、都は1962年以来凍結している霊園の空き墓地の募集をこの新線開通を機に解禁するのだろうか。そこで、一首。
 「地下組織 兄貴姉御の お膝元 丸にF字の 新入り屋号」

2008年7月21日(月)
いずれも対決

 久し振りに上野の山へ。東京国立博物館で「対決 巨匠たちの日本美術」を観た。
 岡倉天心らによって創刊された美術研究誌「国華」の創刊120周年記念企画。今までもこれらの作品はバラバラに見てきたが中世から近代までの巨匠を対決させた企画は初めてだ。
 雪舟と雪村、狩野永徳には長谷川等伯など12組24人。国宝10点、重要文化財40点など名品100点が一堂に会し壮観だ。作品を拡大鏡で見据える人や大使夫人風の外国人もチラホラ。
 それにしても、開催期間はこれから北京五輪と重複する。巨匠の対決は北京での対決に勝てるのだろうか。そこで、一首。
 「古に ライバル見つけし 賢者には 応挙・芦雪の 猛虎タジタジ」

2008年7月14日(月)
やがて人も

 先週、終幕した洞爺湖サミットの最重要テーマは、「環境・気候問題」。
 折から、最近見た英BBCのノンフィクション映画「アース」では、北極から南極へ向かう旅のなかで、ホッキョクグマ、象、ザトウクジラ親子などが登場。自然界の生存競争や地球環境の変化が浮き彫りにされる。 制作に5年、世界中で撮影した日数は4500日にのぼるという。
 この映画を見て、身辺整理のため、約40年間購読してきた米「ナショナルグラッフィク」誌(1883年創刊)を解約しようと思っていたが、思い留まった。
 それにしても、日本のマスコミは、サミットの熱が冷めてもBBCやナショナルグラフィックのように環境へのこだわりを持ち続けられるのだろうか。そこで、一首。
 「泳げども 体重支える 氷溶け 北極熊待つ 無残な最期」

2008年7月7日(月)
羨望の的

 北朝鮮への「テロ指定」解除のニュースが踊るなかで、韓国の現地新聞が報じた「シンデレラは41歳男」の記事は捨てがたい。
 100億円の資産を持つ不動産業者の父が30代後半の娘の夫を公募する広告を出した。条件は、「次男」、「学歴と職業が娘と同等」、「父親の金銭的な支援を期待せず本当の息子のように妻の両親に尽くすこと
」など。
 韓国人には、族譜という膨大な系譜があり、同一系譜のなか同士では結婚できない。30代前半の未婚率は3割に達し、女性の晩婚化は社会通念となっている。

 それにしても、100億円。結局、医師が選ばれたが、6日で打ち切った公募に270人も殺到したとは。そこで、一首。
 「次男は運 キャリヤ人格 努力積み  韓国産の スーパー逆玉」

2008年6月30日(月)
今でも尚

 小田急・鶴川駅から徒歩15分。鄙びた木立に佇む旧白州邸・「武相荘」(町田市)を訪ねた。 1942年、古農家を改造した屋敷で武蔵と相模の境にあることに因み、不愛想をかけて名付けられたという。
 白州次郎(1985年没)は、ケンブリッジに学び、戦後、吉田茂に請われてGHQとの折衝に辣腕をふるい、その後、生涯在野を貫いた。男前でスポーツ万能。
 一方、妻の正子(1998年没)は、元華族。お能、骨董、工芸に造詣が深く随筆家としても名をなした。
 それにしても、死んで尚、もてはやされ続けるのは、出自、財力、ライフスタイルそして容貌と非の打ち所のないカップルへの憧れからなのだろうか。そこで、一首。
 「梅雨晴間 緑色増す 竹林の 前方歩める 次郎と正子」

町田市・旧白州邸「武相荘」
2008年6月23日(月)
天も格差

 名画座でスイス映画「僕のピアノコンチェルト」を観た。主人公の少年ヴィトスはモーツアルトのようにピアノを弾き、アインシュタインのような数学の才能を持った天才。だが、特異ゆえに、苦悩とも奮闘する夢物語だ。
 しかし、日本には、日銀の5千円札の肖像や名著「武士道」(原文は英語)で知られる新渡戸稲造(1933年没)という農学者で教育者、国際連盟事務次長を務めた超マルチ人間が実在した。
 私の知人には、13世紀から続く神社の宮司をしていながら、精神科医で趣味は落語。カナダの大学で客員教授として先住民に関する学問を教えている者もいる。
 それにしても、そのカナダで原点に戻り先住民に宮司の儀式を司ってきたとは。そこで、一首。
 「色香り 種類異なる 花々を 随時咲かせる その根はひとつ」

2008年6月16日(月)
語り部

 梅雨の合間の晴天。駒場の日本民藝館で「琉球の織物」展を観た。
 閑静な住宅街にある大名屋敷風の民藝館は、生活工芸品の美の認識と普及をめざす運動の拠点として柳宗悦(やなぎむねよし)らにより1936年に開館。今回展示されている織物は、戦前に蒐集されたもの。
 木綿や芭蕉などの生地に縞や絣(かすり)などの織りや紅型(びんがた)などの染めの手作業が施され、模様は大胆でモダンだ。見学者はやはり和服の年配者が多い。
 それにしても、現地では戦禍でほとんど失われてしまった日用工芸品の数々をこの屋敷街で今日見られようとは。そこで、一首。
 「手と頭 働かざれば 一日(ひとひ)をも 終わらなんだと 品々語り」

2008年6月9日(月)
知らなきゃそれまで

 東京もいよいよ梅雨入り,外出には折りたたみ傘は欠かせない。この傘も最近は軽量化が進み、携帯電話より軽いものもある。
 日本には「下駄がひっくり返ると雨が降る」など、雨にまつわる迷信も多い。朝日のNY特派員によると、欧米では「室内で傘を干すと不幸が起こる」という迷信があり傘の贈り物も不吉だという。 
 ホテルには13階がないし、飛行機も「D」が不吉のせいかD席がないことが多い。10年も米国で暮らしていたのに、不覚にも傘の迷信を始めて知った。

 それにしても、独身女性が傘を落とすと結婚できないという迷信まであったとは。そこで一首。
 「他の国の 変なジンクス 知ってから 傘干すまでに 時間がかかり」

2008年6月2日(月)
有り難 過ぎて

 「再会の街で」(監督マイク・バインダー)を名画座で見た。
 9・11で愛する家族を失った大学時代のルーム・メートのチャーリー(アダム・サンドラー)と成功したが職場・家庭に悩みを抱える歯科医アラン(ドン・チードル)がNYで偶然再会。
 計り知れない喪失感を抱き、ぎりぎりの精神状態で現世と虚構の間を行き来するチャーリー。自室でゲーム、ジャズ演奏、立ち乗りスクーターに興じる友に手を貸すうちに、アランも次第に歯科医から解放され人生の幸せに気付いていく。
 それにしても、妻、3人の娘、愛犬を一時に失う夫を演じる役者がコメディアンだったとは。そこで、一首。

 「地震テロ 何の被害も 無き日々に 個々の支柱は 静かに腐り」

2008年5月26日(月)
何でも多けりゃ

 少年少女むけ「古事記」を探すため神保町の古本街にある子供本専門店を訪れた。
 お目当ての本は見つからず、取り寄せを頼んだ。ところが、数日後入手した本は難解すぎて、結局、手馴れた「アマゾン」で注文し直すはめに。
 神田古書店街は170店、世界最大級。しかし、出版不況に加え、ネット書店の普及、都心の大型店、ブックオフの古本などに押されがちだ。

 それにしても、日本の古書店街に本格的な中華料理店が多いのは、その昔、孫文、魯迅、周恩来がここで青春をすごした街の名残なのだろうか。そこで、一首。
 「本楽器 スポーツ店の 神田街 御縁なさそが 連れ立ち行き来」

2008年5月19日(月)
今ホット

 日曜日,六本木の国立新美術館で「モディリアーニ展」を観て、赤坂に3月誕生した新しい街「赤坂サカス」に立ち寄った。
 一ツ木通り界隈は一変。高さ180m、39階のランドマーク「赤坂Bizタワー」は、どうやら以前TBS会館があったところらしい。
 銀座マキシム・ド・パリなど今風の店が多いなかに、会館の地下にあった日本料理「ざくろ」、ケーキショップ「TOP’s」やイタリヤ料理「グラナータ」を見つけ懐かしい。12時少し前だというのに、どの店も長蛇の列。
 それにしても、さすが新名所。今年の両生類保護に取り組む「国際カエル年」をこれほど上手に取り入れていようとは。そこで、一首。
 「赤坂の サカスタワーの あちこちに 赤坂かえるの 赤かえる飛び」

2008年5月12日(月)
根津の濁流

 薫風の五月晴。久し振りに、文京・根津神社を訪れた。 折から、「つつじまつり」開催中。雑踏の駅を出て、かって知ったる裏道を経て境内へ。 
 神社は、五代将軍・徳川綱吉の創建。つつじもその時代から 300年の歴史があるという。
 境内の2千坪のなだらかな斜面にある「つつじ苑」には50種 3千株のつつじが植えられている。日当たりや種類の違いからか、満開には、ちょっと早い感じだ。
 整備を理由に,6年前から有料化。そのせいか、入場者は減り、下の境内からちらちら見上げる人が多い。本殿裏の露店も前より増えた。

 それにしても、根津権現までこれほど世知辛くなっていたとは。そこで、一首。
 「入場料 払いし人は 山の露 あとは麓を 蛇行す川か」

2008年5月5日(月)
浮かべ鯛焼

 今日はこどもの日。鯉の滝登りならぬ物価の滝登りが目白押しだ。
 しょう油、ビール、牛乳などの食品に加えて、行きつけの天ぷら屋からスポーツセンターまで。理由は原油高と原料コスト増。まるで、ダムの決壊状況だ。
 潮目が変わったのは、昨秋、カップめんの17年ぶりの値上げが堰を切ったとされている。値上げの余波は、100円ショップにまで及び、製品の内容量を変更して、実質的な値上げをしている。そうゆう商品が四分の一までになっているというから驚きだ。

 それにしても、尾びれにまであんこが入っているのが売りだった老舗の鯛焼にまで及ぶとは。そこで、一首。
 「物価高 メタボブームも 後押しし 近所の鯛焼 少々窶れ」

2008年4月28日(月)
今でも大物

 かねてから気になっていた新宿・中井の「林芙美子記念館」を小雨のなか訪れた。
 この建物は、「放浪記」、「浮雲」、「めし」などの代表作で知られる林芙美子が1941年から10年間住んだ終の住処。設計は、和風建築の名手、山口文象(ぶんぞう)。
 敷地は300坪の小さな山をうまく利用し、庭も見事なら、建物は京風の数寄屋造りと民家風のおおらかさとが調和した落ち着いた佇まいだ。

 森光子の舞台「放浪記」は、1961年以来1931回公演を重ね、来年で2000回を迎えるという。
 それにしても、芙美子の貧困と流浪のイメージとこの瀟洒な家とがなんとかけ離れていたことか。そこで、一首。
 「中井駅 商店街抜ければ もうそこに 芙美子の息吹 雨中に聞こえ」

2008年4月21日(月)
1・5倍

 二千円札が2000年沖縄サミットの記念として発行されて8年。夏にG8サミットを迎える北海道で、「2千円札で3千円のお買い物」という地域通貨のような使い方を宣伝する商店街が現れた。
 時たま、お釣に混じっているものの、お札のデザイン(首里城・紫式部)は、すぐには思い出せない。これまで、8億8千万枚が印刷されたが、不人気のせいか、04年度から新札印刷は中止。流通量は1億6千万枚、8割余りが日銀の金庫に眠っているという。
 それにしても、8年保存しておいて、1.5倍ならもう少しとっておけばという人が増えはしないのだろうか。そこで、一首。

 「仕舞いたる 二千円札 広げれば 紫式部も 御簾から覗く」

2008年4月14日(月)
高山病で観客は

 世界のメディアは、南米・ボリビアで左派政権を率いるモラレス大統領(48歳)がラパス(標高3600m)にあるセミプロチーム「リトラル」とサッカー選手契約を締結したと報じた。
 先住民族出身で初の大統領となった氏は大のサッカー好き。高地(2500m以上)で国際試合を禁止しようとする国際サッカー連盟に抗議し、同国最高峰のサハマ山(標高6542m)の雪に覆われた山頂にヘリコプターで降り立ちプレイしたという。

 それにしても、アルパカ・セーターを身につけ、大統領就任式に出席した氏が、ボリビアでは合法とはいえ、コカ栽培農家からのしあがったとは。そこで、一首。
 「ボリビアの 親分肌の 大統領 身を堵し守る 高地サッカー」

2008年4月7日(月)
これも、エコ

 今年は、京都議定書の約束期がはじまる「環境元年」。
 最近、地球温暖化・気候変動についての報道が多いなかで、牛の「げっぷ」から出るメタンの量を9割抑える天然素材を出光興産・北大が発見したニュースは出色だ。
 飼料に混ぜる天然素材はカシューナッツと酵母菌。メタンは、地球温暖化をもたらす温室効果が二酸化炭素の20倍もあり、酪農国、ニュージーランドでは、大きな環境問題になっているという。
 それにしても、牛など反すう動物のゲップが人為的に発生するメタンの原因の20%を占めていたとは。そこで、一首。
 「欧米の 次に品良き 牛たちが 厳に慎む 食後のゲップ」 

2008年3月31日(月)
磁器はチャイナで

 誕生日のお祝いに福井・越前漆器をいただいた。しっとりと手に馴染む感じ、穏やかな輝きが心地よい。
 6年前、能登・「輪島本店」で買い、しまいこんで忘れていた漆器のコーヒーカッブを久し振りに取り出してみた。輪島屋が保存する明治の建築、輪島町屋「塗師(ぬし)の家」の独特な佇まいも思い出した。
 輪島塗の知名度は抜群。しかし、ゼイタク品の注文が減りバブル期180億円あった年間生産額は70億円まで落ち、従事者も6割に減ったという。

 それにしても、磁器の「チャイナ」に対し、漆器は「ジャパン」といわれる日本の代表的工芸品。その原料の漆の99%が中国産だったとは。そこで、一首。
 「手にしたる 赤褐色の 小鉢には ジャパンの神髄 程よく盛られ」

2008年3月24日(月)
日本人はうるさい

 高品質や価格の安さを強調する広告が多いなかで、全面広告「日本人はうるさい」のコピーにチョットどっきり。
 紙面の片隅にネスカフェ香味焙煎とあり小さい瓶の青ラベルに見覚えがある。最近、料理教室で試供品として頂いたものだ。
 早速、ブラックで試してみる。コクはあるが、酸味がやや強い。
 五月蝿い(うるさい)は、否定的な場面で使われるが、新商品は、これを逆手にとって、日本人の質へのこだわり、味覚の鋭さをつき日本限定販売にしたところが目新しい。
 それにしても、ギョウザ問題で中国から「ウサイ」と言われる中、「ウルサイ」で勝負しようとは。そこで、一首。
 「立ち昇る 香味焙煎 奥深く 日本文化に 溶け込むコーヒー」

2008年3月17日(月)
春まだ寒し

 散策の途中、ふと思いついて文京・音羽の丘にある鳩山会館を再訪した。 一郎(元首相)が洋館を建てたのは、関東大震災の翌年の1924年。95年、大修復がおこなわれ、往年の姿が甦った。
 一階の客間から二階に登る階段にはステンドグラスが嵌められ、柔らかい光が降り注ぎ、ハトが浮かび上がる。作者は小川 三知(さんち)。
 東京美術学校で日本画を学んだ氏は、米国でステンドグラスの技術を習得、帰国後、和風ステンドグラスを作り出した。氏の偉業は、昨日、NHK「新日曜美術館」でも紹介された。

 それにしても、昨今、何にかにつけ話題多き鳩山家四代目、由紀夫・邦夫兄弟は、この豪邸からどんな感性を身につけたのだろうか。そこで、一首。
 「霜枯れし 庭の芝生を 見下ろしつ 鳩乱舞する 音羽の御殿」

文京区・鳩山会館
2008年3月10日(月)
純国産

 家畜の飼料であったトウモロコシがエタノール原料として高騰。今まで高値の花 だった米が薬用、美容界で注目されている。生産者団体の全農は、休耕地で栽培された飼料米や稲を丸ごと与える「飼料イネ」の利用促進を始めた。
 中国製冷凍ギョウザの中毒騒動は、日本の食卓を震撼させ、食の安全を求めて消費者は多少高くても国産品に目を向けている。
 ところが、和牛、地鶏など国産肉とてエサは必ずしも国産ではなく、米国産トウモロコシなど年間2千4百万トンの飼料穀物を輸入しているという。
 それにしても、中国市場では安全な日本のブランド米を富裕層があっという間に買ってしまうとは。そこで、一首。
 「薬用に 飼料に領域 拡大し 技術と米が 日本を救う」

2008年3月3日(月)
アカデミーで大トリに

 名画座で「エディット・ピアフー愛の賛歌」を見た。恵まれない環境のも
とで、16歳で自立。47年間愛を歌うために生き抜いたシャンソン歌手の伝記ドラマ。
 ピアフ(意:スズメ)は、幼い頃母に見捨てられ、大道芸人の父について歩き、街角で歌って日銭を稼ぐ。ついに、パリの一流クラブ・オーナーに街でスカウトされる。
 天性の才能をもちながら、音楽的師事はなく、晩年は,病魔と闘いながら、聴衆を虜にした。
 主演マリオン・コティヤールは迫真の演技で、アカデミー・主演女優賞を獲得。48年ぶりの快挙にフランスは沸いている。
 それにしても、国民的歌手がフランスはスズメ、日本ではひばりとは。そこで、一首。

 「人生の どん底歩みし 歌姫に 翼が生えて 気儘にパリを」

2008年2月25日(月)
砂上の楼閣

 この度のドバイ旅行では、7つ星ホテルの異名をとる「バージ・アル・アラブ」(アラブの塔)で昼食をとった。
 このホテルは青空に白帆を掲げるダウ船をイメージしている。高さは321mで世界最高。ペルシャ湾沖合い280mの人口島に建ち、本土とは長い橋で繋がっている。
 目を見張るような吹き抜け、ロビーの壁面に配した水槽には熱帯魚が泳いでいる。外来者の入場はレストラン利用者に限定され、完全予約制。アジアンテイストのランチビッフェで1万5千円以上もする。

 それにしても、石油も数年で底をつくドバイが金融、観光に方向転換したからといって、いつまでこのフィーバーが続くのだろうか。そこで、一首。
 「真青なる 海とオイルの バック得て ホテルの星も 7つにふえる」

「バージ・アル・アラブ」、ドバイ
2008年2月18日(月)
ドバイのトヨタ

 厳寒の東京を離れて、ドバイを訪れた。ドバイは、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国の一つ。埼玉県ほどの広さに、人口140万人、なんと8割は外国人という。
 高速道路が張り巡らされ、ピカピカのトヨタや日産が目立つ。高層ビルが林立しているものの未だに普請中も多い。

 ところが、内陸に入ると砂漠が果てしなく広がる。生まれて初めて、4WDで夕日を見に行くデザートサファリを体験。壁のような砂丘を登り、崩れかける尾根伝いを疾駆し、斜面を急降下するさまはジェットコースター以上だ。おまけに、それが30分以上も続く。
 それにしても、65歳以上の参加はご法度だったとは。そこで、一首。
 「砂サファリ 山谷スピード 声も出ず 運転手より トヨタを信じ」

砂漠の夕日、ドバイ
2008年2月11日(月)
物事すべてタイミング

 外は寒いが、ゆったりとした休日。久し振りに、家族の集いで麻雀卓を囲んだ。年に数度のせいか、昔取った杵柄とはゆかず、よい配牌でも、間がわるく、チャンスを生かしきれない。
 昼食は、和食、洋食、中華の中からまよった末、チェーン店の出前寿司を取る。味は期待以上で美味しいし、返却物はなく、おしぼり、サービス評価のアンケートまでついている。
 それにしても、こんな宅配チェーンが活躍すると、都心の蕎麦屋の出前は昔話になってしまうのだろうか。そこで、一首。
 「ドラつもり 半チャン終われば 折も良く 宅配寿司の 正午に来たる」

2008年1月28日(月)
持ちつ持たれつ

 若い人が身近の物から環境問題に目を向けだした。エコ活動のキーワードは、リデュース(減らす)、リサイクル、リユース(再利用)の三つ。 日本の傘消費量は世界一で年間1.2億本、そのうちビニール傘は6千万本という。
 起業を通じて社会貢献を目指す都内の学生グループ(SOL)が傘のポイ捨てをなくすべく、渋谷で始めた無料レンタル傘「シブカサ」は、一ひねりしている。
 渋谷の書店やカフェなどの協力店に「シブカサ」を置き、傘を返却すると地域通貨「アースデイマネー」50r  (50円)がもらえ、協力店で割引サービスに利用できる仕組み。
 それにしても、良く考えたもので、自分たちの日頃の体験から「シブカサ」が生まれようとは。そこで、一首。
 「
シブカサを 握るその手が 輪を広げ エコ美化目指す 企業応援」

2008年1月21日(月)
長寿への道

 飯田橋のグルメストア・三浦屋で買う有明海産・海苔が食卓の名脇役になってから2・3年になる。
 有明海周辺は、干満の差を利用した海苔の養殖が盛んで、なかでも佐賀県は生産量日本一を誇る。
 一方、川海苔では、高知・四万十川の河口付近の清流で採れる天日干し「すじ青海苔」が有名で、海産を凌いで、老化を防ぎ、コレステロールを下げる効果があると謳う。

 それにしても、海の苔(こけ)とまで書かれて海岸近くの食材だと思いきや、中国の山の中、雲南省やラオスでもメコンの川海苔を食べていようとは。そこで、一首。
 「道塞ぐ 扉の鍵に 七色の 食材良しと 海苔も一役」

2008年1月14日(月)
今昔の感

 寒気は強いが快晴。いつもの散策路を変えて、早稲田・馬場下から若松町まで夏目坂を登る。この坂は、江戸時代には名主、維新後は区長を務めていた漱石の父・直克が名付け親だ。
 随筆集「硝子戸の中」を読み直す。少年時代の回想に登場する小倉屋(酒屋)、誓閑寺、喜久井町は現存し、達意の文章は、当時の鄙びた風景と時代の空気を鮮明に伝える。
 昨秋、生誕140年を記念して、地元の新宿区は特別展を開催し、夏目家寄贈の千円札まで展示。
 それにしても、お札の顔になっているにも拘わらず、謝礼は発券2番の千円札一枚だけだったのだろうか。そこで、一首。
 「快晴に ふと足伸ばし 夏目坂 見上げる空に 飛行j船行く」

新宿区・夏目坂
2008年1月7日(月)
笑う門には

 急に思い出して、久し振りに新宿・末廣亭に出かけた。正月を除いて、昼夜入れ替え制がなく、通しで見られるのがこの落語定席の売りだ。
 落語が主だが、漫才や奇術などの色物芸に反応して、平日なのに満席の客がドットわく。ベテラン漫才ホームランの巧みなやりとりや川柳、柳亭市馬(いちば)の美声や脂の乗り切った芸に酔う。
 年配の夫婦も多いが、若い女性の姿もチラホラ。客層が多彩なのは、NHK朝の連続テレビ小説で噺家を志すヒロイン「ちりとてちん」の影響か。

 それにしても、この落語人気は、ストレス解消、薬より効果的という昨今の健康ブームにもあやかっているのだろうか。そこで、一首。
 「観客に 話芸の美酒が 行き渡り 笑いの花が 末広に咲く」

2007年12月31日(月)
お墨付き

 通りすがりに、新宿・紀伊国屋の店頭に平積みされた「ミシュランガイド東京」(第2刷)を買い求めた。初版12万部は11月発売直後に完売したという。
 掲載150店の中から、地元神楽坂では贔屓の「ラ・トゥエール」(一つ星)を見つけて思わず、ニンマリ。「星インフレ」とか料理の偏りとか店の顔ぶれに批判がでているのは、ミシュランのレストラン評価が抜群の故であろう。
 今秋、カルティエ、ブルガリなど海外の大型高級ブランドが銀座大通りに開店。
 それにしても、ヨーロッパ人はブランドやランク付けが好きな我が同胞の嗜好をなぜこれほど知り尽くしているのだろうか。そこで、一首。

 「目も舌も 自分自身で 決めかねる そんな日本に ブランド・三ツ星」

2007年12月24日(月)
次元を越えて

 神田川沿いの遊歩道を経て胸突坂を登る。森の中にある永青文庫で「細川護立(もりたつ)の閃き」展を観た。
 細川家16代・護立のコレクションを中心としたこの美術展は、昭和初期の洋館で、収蔵美術品は7500点。
 今回公開された60点の中国美術のうち、展示の目玉は、細川ミラーとして世界に知られる国宝「金銀錯狩猟文鏡」(紀元前3世紀)だ。小型だが、時を越えてデザインは新しい。

 元首相・細川護煕さんが祖父の創立した文庫の理事長に就任し、てこ入れをするという。
 それにしても、見張り役もいず、あまたの国宝、重要文化財がこの文庫で事件に会わなかったのは、世間ずれしていなかったお蔭なのだろうか。そこで、一首。
 「神田川 行き交う人の 声遠く 永青文庫に 秘宝は眠る」

2007年12月17日(月)
お陰様で

 空港のある厦門(アモイ)島の北端から中国大陸にむけ橋を渡り始めると,風変わりな中華宮殿風の建物が遠方に聳える。
 百年前、ここに貧しく生まれた華僑・陳嘉庚が広大な敷地に創設した「集美学村」のシンボル、集美中学だ。 西洋(躯体)のうえに中国(屋根)が乗るという中華思想は、いかにも中国らしい。

 彼は、シンガポールでゴム王となり、郷土に幼稚園から大学、水産・航空専門学校などの教育機関を建設した。
 我が国では、これから75兆円の大相続時代をむかえ、相続が争族となると警鐘を鳴らす人が多い。
 それにしても、陳さんは子供には一切相続せずに全財産を教育施設に捧げたとは。そこで、一首。
 「百年に 一人の偉人 生まれいで 光を得たる 厦門の真砂」

アモイの街角
2007年12月10日(月)
帳おりれば

 かねてから関心があった福建省・廈門(アモイ)を訪ねた。昔から「海の花園」として知られ亜熱帯気候で温暖、台湾の対岸に位置。
 80年に経済特区となり、華僑の故郷で、ウーロン茶、石材などの輸出港でもある。高速・環状道路が整備され、市内ではバイクや自転車は規制されて車だけが静かに走る。
 ノッポビルが既に軒を並べる市内に次々と超高層ビルが建築中で、シンガポールを凌ぐ超近代化が進む。

 夜ともなれば、一年中、独特の緑や虹色の電飾がホテル・レストラン、オフィスビルに学校、工場までも照らし上げる。
 それにしても、エネルギーの無駄遣いが問われている中、市当局が、全ての費用を負担しているとは。そこで、一首。
 「夜な夜なに 千変万化の 徒花が 廈門の街を 妖しく飾る」

2007年11月26日(月)
蕎麦処

 神代植物園のバラ園から深大寺山門を抜け、門前の竹やぶの中にある「雀のお宿」でそばを食べた。江戸時代、寺の周辺の土が米よりもそばの栽培に向いていたため、農家が寺に米の代わりにそばを納めていたことが、「深大寺そば」の始まりという。
 山形、信州、出雲など各地の風土から生まれたそばがあり、それぞれで味を競っている。
 我が家の近くの「神楽座・酒蕎庵 まろうど」では、山ゴボウの葉の繊維をつなぎに使った信州の富倉(とみくら)そばが東京でも味わえると通の間では評判だ。
 今や、そば手打ちは、全国に多くの教室や道場がある。
 それにしても、どうして男だけが麺類も多いなか、そばだけにのめりこむのだろうか。そこで、一首。
 「秋晴れに 夜来の雨を 拭い去り 緋毛氈敷く 雀のお宿」

2007年11月19日(月)
花はあれど

 名優ロバート・デニーロ監督の「グッド・シェパード」を見た。タイトルは「良き羊飼いは羊に命を捨てる」という新約聖書の引用で羊飼いをCIAに例えている。
 舞台はCIA発足当時のエピソードと61年キューバのカストロ政権の転覆を狙ったピッグス湾侵攻。侵攻の失敗の責任を担ったCIA諜報員(マット・デイモン)の数奇な半生を描く。 上映時間は3時間近いが、重厚で飽きない。
 主人公と息子は、ブッシュ大統領親子と同様に、イエール大学の学生秘密結社「スカル&ボーンズ」の出身で、社会に出ても硬い絆で結ばれている。
 それにしても、これほど排他的な絆がアメリカ社会の底流にあったとは。そこで、一首。
 「各国の 根っこ引きずる アメリカは 結束つぼみが クラブの花に」

2007年11月12日(月)
メロン大

 愛知県の知人から幸田(こうた)町で採れた新高梨を頂いた。直径20センチのサイズにびっくり。幸田の筆柿の方は有名だが、晩成の赤梨も甘くて絶品である。
 熊本の温室梨「シンデレラ太秋」は、テレビで取り上げられ、路地物とは一味ちがうと知名度が上昇中。
 酒屋で買った新潟産「自然(じねん)米」は、農家が自然農法栽培で一粒・一粒精米したと袋ごとにメッセージを添える念の入れようだ。 農家の懸命な努力に拘わらず、日本の食料自給率は4割で残りの6割は輸入品頼み。
 それにしても、世界で食料をとりまく環境が悪化するなかで、日本人が生き延びるために不可欠な農業後継者問題をどう解決するのだろうか。そこで、一首。

 「天と地と 人知もここに 集まれる 新高梨の 両手に重し」

2007年11月5日(月)
カラン コロン

 歌舞伎座で「怪談牡丹燈籠」を先月見た。満席の観客から熱気が伝わる。落語の怪談噺から取ったもので作者の三遊亭円朝(三津五郎)が狂言回しを勤める仕立て。
 伴蔵(仁左衛門)・お峰(玉三郎)夫婦が幽霊・お露からせしめた100両を、「ちゅうちゅうたこかいな」と数えるシーンに観客がどっと笑う。今や、死語に近いが懐かしい。
 調べてみると、これは江戸時代の双六用語、じゅうに(重二)が変化して「ちゅう」になり,2回で8、ここからたこの足(腕)を連想して「たこかいな」になったという。

 それにしても、怪談噺を三人の女性(お露・お国・お峰)を軸に笑いを伴う因縁噺に仕上げるとは。そこで、一首。
 「江戸の世も 色金地位に 目が眩み 女手引きの 牡丹燈籠」

2007年10月29日(月)
遠く見据えて

 知人にぜひと勧められ、井の頭自然文化園・彫刻館を訪れた。 馬上の武士像などが点在する雑木林を抜けると、長崎出身の北村西望が「平和祈念像」を完成させたアトリエと2棟の彫刻館が現れた。
 実物大の祈念像をゆっくり見上げる。男性の筋肉美は逞しく、右手は原爆を、左手は平和を、戦争犠牲者の冥福を祈る顔はどこまでも穏やかだ。
 あの大作、平和祈念像を完成させたのは西望が71歳の時。その後も大活躍し天寿を全うしたのは104歳だという。
 それにしても、芸術家・西望の精神と肉体は何と逞しいことか。そこで、一首。
 「自画像を 悪鬼のごとく 創りなし 西なお望む 古老の胸中」

2007年10月22日(月)
隙あらば

 すでに、収穫の終わった馬鈴薯畠でなお小芋を拾うように、すきま産業の動きが目立つ。
 駅のスペースの有効利用を始め、クリーニング店を運営する喜久屋(東京・足立)が最近始めた「ムーンライトデリバリー23」は、携帯やPCで受注したクリーニング品の集荷・お届けは「17時から23時」に限定と謳う。
 又、東京駅で午後10時半まで営業する回転すし店は「ソトアサ族」のために朝7時から店を開け、 「朝定食5百円」を出す定食屋に変身する。いずれも、割高だが、手軽に消費者の不満を解消し、心のゆとりを与える。
 それにしても、現代人の心の隙間をショッピングで埋めようとする宣伝のなんと多いことか。そこで、一首。 
 「テレビ局 放送大学 吹き飛ばし 健康美容の 
商品並べ」

2007年10月15日(月)
数多かれど

 秋晴れの朝、急に思い立って昔住んでいた三浦半島・久里浜のコスモスを見に出かけた。
 「くりはま花の園」は、米軍が使用していた跡地が整備され、山裾の広大な園地では、春にはポピー、秋にはコスモスを愛でる来場者で賑わう。
 ところが、今年は関東地方に猛威を振るった台風9号の影響でほとんど倒れ、その後関係者の尽力でやっと三分咲きまで回復したという。
 帰途立ち寄った駅前商店街は,駅ビルや駅前スーパーの攻勢のせいか、大半がシャッターを下ろし、営業中のレストランも少なく、昔の面影はない。
 それにしても、花も商いも強いものだけが生き残るのが世の常なのだろうか。そこで、一首。
 「久里浜の 百万本の コスモスも 一夜の風に はかなく消えぬ」 

2007年10月8日(月)
かく あらまほし

 久し振りに、東京タワーにのぼり 展望台から高層ビルが四方に聳え立つ東京の最新風景を眺めた。小説や映画で再認識されたせいか、家族連れで、かなりの混雑ぶりだ。
 最近、名画座でみた「東京タワー オカンとボク、時々、オトン」(原作:リリー・フランキー)は、無私のオカン、マザゴンのボク、そして東京に弾き飛ばされて故郷に戻ったオトンの物語。
 夜景に浮かぶ東京タワーを窓越しにジット見る姿が彼らの想いや憧れを浮き彫りにする。 2011年には、墨田区に「新東京タワー」が計画されているという。
 それにしても、現タワーは昭和の記念碑として残されるのだろうか。そこで、一首。
 「誰からも 仰ぎ見られる 東京タワー 老いて いよいよ 風格の増す」

2007年10月2日(火)
今やはるかなアカネ空

 浜離宮でキバナコスモスを見た後、隅田川ラインに乗って、浅草へ。お目当ては、13年間住んだ深川のマンション群と永代橋だ。
 最近、名画座で見た「あかね空」(作:山本一力)では、永代橋で子供とはぐれた豆腐屋夫婦.。18年後、京から下った豆腐職人と深川育ちの娘が店を構える。そこに、はぐれた子供が大親分となって登場。親子二代にわたる話だ。
 それにしても、セットではなく自分で永代橋を歩き、空の茜色を見ているようなシーンを再現しようとは。そこで、一首。
 「日々修羅を 潜りしやくざの 腕の痣 親を思えば あかね色へと」

2007年9月24日(月)
いよいよ来週

 郵政公社は10月1日の民営化を説明する冊子を、全国の一般家庭すべてに配布した。
 同時に、我が地域では、常勤ならびに年末アルバイトを大募集するチラシも早々とポストに投げこまれ少々驚いた。

 民営化後は、日本郵政株式会社と四つの事業会社(郵政事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、郵便局)に分かれ、郵便貯金の政府保証はなくなり、他の金融機関なみの扱いになるなど、利用者は「官から民」を実感するようになる。
 それにしても、ここまで来ると,その内、消防庁たあたりも民営化されるのだろうか。そこで、一首。
 「民営化 迫る郵政 民不足 スタッフ募集を 民家に配り」

2007年9月17日(月)
守護者

 リトアニアから、バルト海に沿ってバスで北上。エストニアの首都、タリンへ。国土は九州とほぼ同じ。
 フィンランド湾に臨む港町は、13世紀にハンザ同盟の都市として繁栄した。街の中心には、超近代的なショッピングモールがあり、8頭身いや10頭身美女がゾロゾロ歩いている。
 一方、独立に寄与した郊外にある「歌の原」の野外ステージは静まりかえり、前回、国民的行事「歌と踊りの祭典」では、2万人の合唱団が、10万人以上の観客と一緒に「我が祖国、我が愛」を歌った熱気は想像しがたい。
 それにしても、石油価格の高騰に助けられ、未曾有の経済発展をしているロシアが国際政治の舞台で、又米国との対抗姿勢を強めようとは。そこで、一首。
 「雲低き 歌の原の 彫像は 無人の舞台を 今日も見守る」

2007年9月10日(月)
懐ふかし

 日本の酷暑を離れて、ヘルシンキ経由で、バルト三国の一つリトアニアの首都ヴィリニュスへ。初冬並みの寒さと冷雨が出迎えた。
 国土は北海道の8割。それでも三国の中では、面積、人口とも最大。街の中心部を少し離れると、森と湖が次々と広がる。街を歩くと、パステルカラーのカトリック教会が点在し、戦争でポーランドやソ連に占領された歴史を持つにも拘わらず、雰囲気は穏やか。
 旧式原子力発電所の閉鎖を条件に、04年、賛否激論の末、国民投票で念願のEU加盟を果たした。

 それにしても、三国それぞれ、言語も違えば、通貨も違い、ドルはもとよりユーロもほとんど使えないとは。そこで、一首。
 「急速な 車社会を 飲み込んで 森静かなる ヴィリニュスの街」

トラカイ城、リストニア
2007年8月27日(月)
何処も大変

 この夏休み、電車の中で、大学名が入ったバッグを持った親子連れをよく見かけた。
 数のうえでは全入時代を迎え、大学の質や特性を訴えるオープン・キャンパスが真っ盛り。かってない程、大学の広告をアチコチで目にする。

 英語圏に遅れをとる東京大学も、欧米一流校と同様、海外の優秀な教授や学生をとりにゆく作戦だ。最近、北京大学と連携し、相互に、学位認定に乗り出した。私立大学も生き残りをかけて、一段と拍車がかかる。
 それにしても、総合大学の法政大学が、パイロット養成に乗り出し、操縦訓練を、始めて、福島で行うとは。そこで、一首。
 「
教育か はたまた経営 計りかね 天秤跳ねて パイロット飛ぶ」

2007年8月20日(月)
日本を担いし人々

 終戦記念日、都心は閑散。日差しが首筋を焦がす中、上野の芸大美術館で開催中の「金比羅宮・書院の美」展に出かけた。 
 江戸時代から信仰の社にして文化の社であった讃岐の金比羅山の文化が江戸の上野山で異例の出開帳。
 応挙の有名な「水呑みの虎」の図は、写実的でのびやか。若冲の植物尽しはまるで図鑑だ。初めて見た岸岱(がんたい)の「群蝶図」は現代風。会場は、年配夫婦を中心にかなりの混雑。

 それにしても、灼熱にめげず出てくるご同輩のこのしたたかさが戦後日本を発展させたのだろうか。そこで、一首。
 「金比羅の お宝霞む 上野山 ひたすら昇る シニアの陽炎」

2007年8月13日(月)
これさえ持てば

 環境意識が高まるにつれて、「エコロジー」を切り口にした企業広告が目立つ。
 不動産買取専門会社・光林建物(本社・新宿)が打った派手な両面広告は、既存物件の再生・供給のビジネスはもうひとつの「エコロジー」であると謳いあげた。紙面の三分の二は森と小川と水鳥のデザインを配し、よく読まないと、不動産の買取広告とは判じえない。

 日本人は、江戸時代から、打ち水や梁を再利用するなど、「もったいない」文化を踏襲してきた。
 それにしても、広告主が創立5年、社員30名足らずの若い会社だったとは。そこで、一首。
 「エコは今 水戸黄門の 印籠か どこの企業も 鼻先掲げ」

2007年8月6日(月)
駅は選ばれ

 昔、ヘビースモーカーだったのに、タクシーのタバコの臭いが気になることがある。
 7月末、都内で初めて、新橋駅前に禁煙タクシーの専用乗り場が登場した。 神奈川県では、先月から県全域で全車禁煙となったのに、東京の禁煙車はわずか3%しかない。今月に入り、東京でもやっと全面禁煙化の動きが加速してきた。
 欧米諸国、アジアでも中国、韓国、台湾では、タクシーは禁煙。その点、日本か喫煙者にあまい。
 一方、全日空と日本航空は、8年前に国内線・国際線とも禁煙化を完了した。
 それにしても、今春就航かと言われたドイツ人企画の喫煙者専用のエアラインの第一号が日本との間だったとは。
そこで、一首。
 「昔汽車 今禁煙車 第一号 新橋駅を そろそろ発車」

2007年7月30日(月)
今来て見れば

 街の活性化に駅前商店街は必死だ。昔、住んでいた世田谷の祖師ヶ谷大蔵が、「ウルトラマンの街」に変身したと知り、30年ぶりに、出かけてみた。
 駅構内はウルトラ兄弟のポスターがアチコチに張られ、駅前広場では銀色と赤のシンボル像(4m)が出迎えた。
 円谷プロダクションが地元にあった縁で、「ウルトラマンまちづくりの会」が生まれ地域ぐるみの取り組みだという。 そういえば、特撮の神様、円谷英二さんがご近所だったことを思い出した。

 帰途、昔からある茶やで地元限定品のウルトラマンシャツを買う。駅への目抜き通りは相変わらず繁雑。
 それにしても、わずか2年余りで、日本各地やアジアの人々が訪問する街に変身していようとは。そこで、一首。 
 「歩行天(ほこてん)が 常時必要 祖師谷の 商店街を ウルトラマン飛ぶ」

世田谷区祖師ヶ谷大蔵
2007年7月23日(月)
共通点

 先日、市ヶ谷にある紫山会館で吉住流長唄の発表会にでかけた。長唄は歌舞伎のBGMとして馴染みがあるが、演者間近に三味線歌曲として聞くことはまれだ。
 江戸町人文化の象徴らしく、派手で賑やかで楽しい。今や長唄・三味線は、古典芸能として見直され、小中高でも実技指導がされているという。
 最近見た映画「しゃべれども しゃべれども」は、二つ目の落語家(国分太一)が会話教室の講師をする物語だ。生徒になる口下手の若い女性や転校してきた関西弁の小学生の悩みは深刻。
 それにしても、間の取り方や笑いの話術を伝統芸能から学ぶようになろうとは。そこで、一首。
 「張り上げし 直後に続く サビの部に 巧拙
覗く 落語長唄」

2007年7月15日(日)
ビジネスシート

 テレビを見る際、愛用していたイスで最近首を痛め、ノルウェー製のチェア・オットマンを買い、痛みは解消した。値は少々張るが座り心地は満点。背に腹は替えられない。
 イスに関心を持っていたところ、この度、西新宿のリビング・デザインセンター「OZONE」の一階に「チェア・カフェ」が開業。個性的な33種類のイスから好きなものが選べる。目玉は、北欧を代表するラウンジ・チェア「スワン」 (32万円)。優雅だが、座り心地は見た目よりおちる。
 それにしても、定年後の団塊の世代は長時間我が家でどんなマイチェアで寛ぐのだろうか。
 そこで、一首。「筋肉の 望み通りに フィットする 北欧寝椅子で 宵から熟睡」

西新宿、「チェア・カフェ」
2007年7月9日(月)
何でそこまで

 趣味を広げるために料理教室に通いだしてから、ブロッコリや椎茸など食材についての関心が広まった。
 
この度、かずさDNA研究所で、トマトをレモンのにおいにすることに成功した。
 遺伝子の組み換えは、食料問題を救う手立てとして世界中で注目されているが、日本では、作物や食品は安全性の疑いから消費者から敬遠されており、納豆パックにしても、「遺伝子組替え大豆は使用していない」と表示されている。
 それにしても、今回の「牛偽装ミンチ事件」を契機に、将来は、香りについても表示が義務化されるのだろうか。そこで、一首。
 「色形 匂いまでもが 他に転換 シニアクラスは スーパーで悩む」

2007年7月2日(月)
代役効かず

 ヘレン・ミレンの迫真の演技で話題になった「クイーン」を新宿で見た。
 ダイアナ元皇太子妃が事故死してから10年。事故直後のロイヤル・ファミリーの混乱、首相の役割、とりわけ、女王の苦悩や人間性を事実にもとづき描く。

 事故死後の一週間、新聞は一斉にスコットランドから動かない王室の冷たい態度を批判した。マスコミは、権力者を叩き、時の流れに乗じて矛先を他人に向ける術に長けている。
 それにしても、何があっても引退できない女王に比べ、同名の船、QEUはドバイに売られてしまうとは。そこで、一首。
 「悪役を クイーンに振った パパラッチ 鳴りを潜めつ 今日も街行く」

2007年6月25日(月)
本当は値上げ

 子供の成長後は、すっかりご無沙汰していたマクドナルドに、散歩の途中、新メニュー「メガテリヤキ」の宣伝や美味しくなったコーヒーにつられて時々立ち寄ることがある。
 この度、マックは外食大手で始めて、全国一律価格を見直し、大都市部では値上げをする一方、地方では値下げをした。理由は、家賃と人件費の高騰。

 それにしても、日本市場から一度は撤退したバーガーキングも、日本の食文化に迎合するような「テリヤキ・ワッパー」で再上陸するとは。そこで、一首。
 「何もかも 同じを好む この国で 敢えてマックが 差別に挑む」

2007年6月18日(月)
成長過程

 先月末、ワシントンで米中戦略経済対話が開かれた。
 米国側は、ニセ商品の横行は企業の成長力の源泉にかかわるとして知的財産権の保護を徹底するよう強く求めた。中国側は取締りに全力を尽くすが何と13億なのでと防戦。
 北京市郊外の国営「石景山遊楽園
」でディズニー・キャラクターの無断使用や健康に危害を及ぼす薬品・ペットフード等の輸出を禁じだした。
 それにしても、北京オリンピック開催を控え、11日を行列の日と定め、市民を教育しなければならないとは。そこで、一首。
 「出る杭の 中国あちこち 打たれだし 右手(めて)で庇うも 左手(ゆんで)は拳」

2007年6月11日(月)
岡目八目

 この度、帝国石油が30年ぶりに茨城沖で天然ガスの試掘を始める。世界のエネルギー資源争奪戦の折り、朗報だがまだ物足りない。
 日本在住のカール・ベッカー京大教授は、ソーラー、地熱利用、海水から真水への地球の環境にやさしいエネルギー資源開発の特許をいち早く国際社会で取らなければ、日本の将来はないと述べており、説得性が極めて高い。
 それにしても、数年前、話題になったソーラーがコスト高ということで見送ってよいのだろうか。そこで、一首。
 「井の蛙 格差ニートに ポイント集め 外を見ぬ内 池ぞ干上がる」 

2007年6月4日(月)
ご近所廻り

 甘利経産相は次世代の移動手段として期待される「アイユニット」に省内で試乗した。  愛知万博にトヨタが出品した一人乗りの近距離移動車でリチウムイオン電池を使い、ガソリン車に比べて、CO2の 排出量は十分の一だという。
 池袋の「アムラックス東京」で運転体験イベントがあると知り早速試乗してきた。 
 ブレーキ、、アクセルにも足は一切使わず片手のみの操作で自在に動く。価格さえ折り合えば、高齢化社会に最適だ。

 それにしても、体の不自由な人が僅かな動きで足代わりにして好きなところに行けるようになろうとは。そこで、一首。
 「エコに良く 自立も支援 アイユニット 井戸端会議で 交通渋滞」

「アイユニット」、アムラックス東京
2007年5月28日(月)
嫌でも成人

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案が今国会で成立。投票年齢は「十八歳以上」になった。関連法が改正されると、3年後の施行時には、選挙権や成人年齢も18歳に下がる。
 欧米では、18歳が主流だが、ブラジルやキューバではすでに16歳まで拡大されている。なんと、EUの中でも、オーストリアが18歳から16歳に引き下げる法案を閣議決定した。
 日本では、05年の郵政解散で、自民党大勝の陰には、20歳投票率の大幅アップがあったという。
 それにしても、18歳成人についてのテレビインタビューで答える町の若者の頼りなさをどう捉えたらよいのだろうか。そこで、一首。
 「どこよりも 成長遅き 雛鳥に 参政権付け 巣立ちを 迫る」

2007年5月21日(月)
実は名木

 新緑がまぶしい昼下がり。播磨坂で食事をして東大小石川植物園まで足を伸ばした。
 散策中、雪の結晶のような真っ白な花をつけた高さ10mもある木が目に付いた。 名札は「ヒトツバタゴ(モクセイ科)」とある。年配の婦人達が「なんじゃもんじゃ」ではと言い出した。

 調べてみると、幕末から青山練兵場(現・神宮外苑)の道路沿いにあったこの木を人々が「何の木じゃ」と呼んでいるうちに通称として定着し、24年、国の天然記念物に指定された。
 それにしても、なんじゃもんじゃは水戸黄門の「この木は何じゃ」説もあり各地で木が違っていたとは。そこで、一首。
 「五月晴 植物園の 片隅の 地味な木囲み なんじゃもんじゃと」

小石川植物園
2007年5月14日(月)
やはり大店

 今春、都心部で、大型商業施設が次々と開業。初めてのGWを迎え芸術面でも集客を競った。
 三井不動産系の「東京ミッドタウン」の敷地内にサントリー美術館がオープン。周辺には、既存の森美術館に新設・新国立美術館も加わった。
 一方、「新丸ビル」を開業した三菱地所は、JR東京駅からつながる100mの地下通路ギャラリーで「アートアワード東京2007」を開催。全国の美術大生が若々しい才能を世界に発信した。2009年完成予定の「丸の内パークビル三菱1号館」には、美術館が新設されるという。
 それにしても、未だに、三井、三菱がハコものはもとより、感性面でも競い合うとは。そこで、一首。
 「新城下 丸の内対 六本木 人心集めに 美術の館」

2007年5月7日(月)
急成長

 不況知らずのコンビニも最近、成長が鈍化し、活路を見出すべくテコ入れに知恵を絞っている。
 その中で、節分に大阪で食されていた縁起物の巻きずし「恵方巻」が全国で人気を呼び、従来にない中華風のえび巻きずしも登場。
 
寿司ロボットメーカー大手「鈴茂器工」もチャンスとばかり製造機(約1千万円)を開発した。 従来品に比べて長さ18.5センチの巻きずしを1時間あたり7割多い2千本製造できる。
 それにしても、効率優先とはいえ、巻きずしを作るベルトコンベアの長さが、なんと50mプールよりまだ長い 60mとは。そこで、一首。
 「ヘルシーで 味も見た目も 程よいが 息切れ懸念の 巻きずしブーム」

2007年4月30日(月)
トークのキング

 テレビ放送が日本で開始されて半世紀。今月、NHKの「きょうの料理」が、丁度、放送50年を迎えた。
 一方、アメリカで長寿番組はCNNの「ラリー・キング・ライブ」。この番組のホストを22年間務めているラリー・キングさん(73歳)は、ラジオ時代も入れて、今年、放送界50周年を迎えた。こなしたインタビューは4万回、対座した大統領は7人。彼が心がけていることは、事前に調べすぎないことという。
 大きめの縁メガネをかけ、いかり肩、袖を捲り上げてゲストに体当たりする姿は今でも記憶に新しい。

 それにしても、結婚6回、70歳を過ぎても時代の先端を走るエネルギーに脱帽。そこで、一首。
 「人心を 五感で 捉える 帝王は 磨き続けて 早や半世紀」

2007年4月23日(月)
半端じゃなく

 新宿区に深川から転居して早や10年。学生時代に通った新宿・武蔵野館で「ドリームガールズ」を見た。
 80年代初頭、トニー賞6部門で受賞した伝説のブロードウェイ・ミュージカルの映画化。コーラスガールのプロとしての誇りと人間としての誇りのせめぎ合いを歌で描いている。

 近くの新宿三丁目には、来夏、「副都心線」が通る。そこで、大型シネコン「バルト9」(9スクリーン、1842席)も既に開業。ほかにも、伊勢丹近辺には、新規出店や建て替える映画館が相次でいる。
 それにしても、新駅開業を機に、郊外シネコンから観客を呼び戻すことができたとしても、武蔵野館は大丈夫なのであろうか。そこで、一首。

 「大音響 ドリームガールの 歌声に 揺さぶられたる やわな日常」

2007年4月16日(月)
名前もぴったり

 13年後には、温暖化により水不足、森林火災、感染症による死亡増加等々、地球の変化が取りざたされている。
 千葉大学はかねてから熱心であったが、柏の葉地区(千葉県・柏市)で新たなエコキャンパスづくりを始める。省エネと植林によりCO2吸収量が排出量を上回るのが目標。
 つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」前のゴルフ場跡地には、大型商業施設「ららぽーと」が昨秋開業。タワー3棟、18階2棟からなるマンション群も建設中。
 それにしても、インフラ整備が進むこの地区で、産官学と住民はこれから自然との関わりにどう折り合いをつけるのだろか。そこで、一首。
 「世俗だと 無視もできない 象牙の塔 エコ対策に 柏が名乗り」

2007年4月9日(月)
以外

 喪失の悲しみをいやす死者からの詩「千の風になって」(訳詩・作曲:新井満)がNHK「紅白」で歌われて平和な日本で大ブレイク。CDを久し振りに買って何度も聞いた。 
 一方、イラクでは気の毒なことに毎日テロ事件の報道が絶えない。 そんな中、英国の冒険旅行専門会社、ヒンターランド・トラベルが、内戦状況に陥っているイラクへ一般観光ツアーを4年ぶりに再開する。
 ツアーは、トルコから陸路イラク北部に入りイランに抜ける。北部のクルド人自治区が安定していたためだという。

 それにしても、一に安全、二に安全の日本の外務省もイラク北部だけとはいえ、渡航危険情報を引き下げたとは。そこで、一首。
 「昔日は 日本サリンで 恐がられ ニュースの外は イラクも平和」

2007年4月2日(月)
時期到来

 30年前の基準を見直し、紙の缶詰が年内にも登場する。保存食品の容器は、食品衛生法により強度試験にパスしなければならないが、厚労省は、紙容器にゴーサインを出しそうだ。
 最近、金属泥棒は世界各地で頻発している。茨城県の半鐘盗難事件には驚かされたが、フランスでは教会の亜鉛板の屋根が剥ぎ取られ、英国ではアルミニューム製のビール樽の盗難が急増しているという。
 金属の枯渇は燃料より深刻であると指摘する学者もいる。
 それにしても、缶詰のネーミングは何に変わるのだろうか。そこで、一首。
 「金物が 値上がり続く ご時勢に 紙缶詰の 颯爽デビュー」

2007年3月26日(月)
年季物

 通し狂言「義経千本桜」を歌舞伎座で見た。主役は佐藤忠信(尾上菊五郎)と平知盛(松本幸四郎)。
 源平合戦後、漂泊する義経と平家の残党を巡り、ゆかりの人々が狐や幽霊など二面性に生きる話は見所一杯だ。今回もイアホンガイドのお世話になり、歌舞伎の面白さを耳でも堪能した。

 3年後には、観客と役者がほどよい一体感に包まれているこの建物が、バリアーフリー対応と耐震性のあるものに建て替えられるという。
 それにしても、擂鉢型の幕見席(天上桟敷)でみる醍醐味は残されるのであろうか。そこで、一首。
 「満員の 三階席に 錆色の 掛け声飛び交う 千本桜」

2007年3月19日(月)
進化で痛感

 NECがパソコンの画面に話しかけるだけで、ブログができる創作ソフトを開発した。
 愛知万博で話題になった対話式 ロボット「パペロ」の対話技術., 話を文章化する技術, キーワードを抽出しイラストや音楽を表示する技術の三つの組み合わせだ。

 パソコンで利用する場合は、マイクを取り付ける手間がかかるが、初心者には朗報だろう。
 それにしても、老若男女ブログを立ち上げ、そして己の根気の無さを痛感するのだろうか。そこで、一首。
 「発声を しながら臨む パソコンに 音声で動く パペロウロウロ」

2007年3月12日(月)
著名権

 東洋ゴムが、箱根ターンパイクの命名権を取得し、3月から「トーヨータイヤ・ターンパイク」に名称変更した。道路のネーミングライトは日本で始めて。
 このビジネスの発祥地はアメリカ。 1980年代、国からの補助金が減った公共施設が安定した収益を求めたのが始まりという。
 日本の先駆は2003年、味の素が東京スタジアム(調布市)を5年契約、12億円で命名権を買い、「味の素スタジアム」と名を変えた。
 それにしても、公共性の強い施設名をコロコロと変えるこの錬金術は、利用者や地図出版社の迷惑を顧みず増え続けるのだろうか。そこで、一首。
 「我が名前 自費出版より 効果的 美田のこさず 道路につける」

2007年3月5日(月)
てっとり早いが

 センター試験も終わり、大学入試もたけなわの折り、一橋大学が新年度から優秀学生に96万円のボーナスを支給するという報道は耳目を集めた。
 大学入試競争は年々緩和され、今年から、計算上は「全入時代」が始まり、定員割れも続出しているという。

 そのなかで、大学は良い学生を育て、就職で定評を得て、その結果志願者を増やすために、チエを絞ることになる。
 それにしても、新しい日本をリードする人材がこのやり方で、高邁な精神、長期を見据えるビジョン等が育つのだろうか。そこで、一首。
 「優等で 出ても分からぬ 就職後 もらえる内に ボーナスゲット」

2007年2月26日(月)
フラット 下高

 昨年9月に公開されたが見損なっていた話題作「フラガール」(李相日監督)を雨のなか、下高井戸まで見に行った。
 1965年、エネルギー源が石炭から石油に代わる時代、企業再生のため福島県の炭鉱町に誕生した常磐ハワイアンセンターにまつわる実話をもとに、フラダンスショウを「一山一家」の精神で成功させる人々の姿を描く。
 折も折、この題材を取り上げて日本中にヒットさせた監督の手腕はたいしたものだ。

 それにしても、目下、日本中の知恵を借りて模索中の夕張も地元住民の協力の下、近い将来、再生するのだろうか。そこで、一首。
 「フラガール 人情機微突き 堰切れし 人より順に 鼻すすりだす」

2007年2月19日(月)
辺鄙なハンピ

 南インド旅行では、沿岸部からデカン高原内部へガタガタ道をバスで12時間移動し、バーダーミを経て、インド最大の遺跡、「ハンピ」を訪れた。
 この世界遺産は、14世紀から三百年の間、ヒンドゥー教徒によるヴィジャヤナガル王国の首都として栄華を誇り,最盛期には50万人もの人々が住んだという。
 5キロ四方の範囲に20の寺院群や王宮跡が点在し、白眉は56本の石柱があるヴィッタラ寺院。「音楽を奏でる柱」で知られる本堂は、遺跡保全のために、一週間まえに立入禁止となってしまった。
 それにしても、これだけの世界遺産、今はほどんど見られない外国人観光客もこれから激増するのだろうか。そこで、一首。  
古の 気宇壮大と 信心が 奇岩難所に 寺社殿堂を」

ハンピ、南インド
2007年2月12日(月)
人間を超え

 10年ぶりにインドを再訪した。空港のあるIT産業の集積地、バンガロールへの道は、小麦、ひまわり、サトウキビ畑が延々と広がる。
 国道沿いに点在する村のバス・ターミナルには、野菜や家庭用品を売る青空市場が店を開き、客待ちのオート・リキシャが立ち並ぶ。そこでは、放し飼いの牛、犬、猿、猫、鶏、それにヒトがのんびりと共生している。
 国民の8割がヒンドゥー教を信仰し、結婚もすべて占い師による見合いで決まるという。

 それにしても、神聖な牛に限らず家畜や猿までが人を全く恐れないのは、信仰のお蔭でいじめられたことがないせいだろうか。そこで、一首。
 「崇められ 神の風格 備わりし インド白牛 村市場行く」

ハンピ、南インド
2007年2月5日(月)
DNA

 中国で現実の生活に支障をきたす「ネット中毒」が広がっている。
 中毒率は、中学生が最も多く23%に達し,北京では、オンラインゲームやチャットに溺れた少年たちを軍事訓練で矯正する治療施設があるという。

 日本でも、昨年、少女がブログ用に自作自演した連続放火事件が発生。ネット中毒といじめ、不登校、ひきこもりとの因果関係もとりざたされている。他人事ではすまされない。
 それにしても、軍事訓練で集団生活の規律は学べるだろうが、心の傷害を取り除くことができるのだろうか。そこで、一首。
 「先代は 麻雀に暮れ 今は又 ネットに嵌まる 中国ヤング」

2007年1月22日(月)
国際化の前には

 1月から10万円を超える現金の払込には本人確認が必要になるという大手銀行の全面広告が目を引いた。金融機関のテロ資金供与やマネー・ロンダリング防止が法改正の理由とされている。
 資金洗浄となると、徹底した秘匿性ゆえに、スイスの銀行がいつも話題になる。フランス革命の際に、王侯貴族がフランスとスイス国境に近いジュネーブに資産を避難したことに始まるという。
 日本では、指定暴力団「五菱会」が4年前に、スイスの銀行で資金洗浄したかどで摘発された例がある。

 それにしても、世界的な資金洗浄の防止策が庶民の日常生活まで及ぶとは。そこで、一首。
 「テロリズム こんな人まで ご迷惑 振り込め詐欺も やむなく小口」

2007年1月15日(月)
一寸の虫にも

 時代劇「武士の一分(いちぶん)」(山田洋次監督)を見た。原作は藤沢周平。武士の一分とは、侍が命をかけて守らなければならない名誉や面目を意味する。
 木村拓哉が演じる主人公は東北小藩の毒見役を務める下級武士。美しい妻と先代から仕える忠実な中間とつましくも平和な生活が踏みにじられた時、一人の男として毅然と立ち上がる姿を描く。

 この映画は、これといった名作のない二枚目キムタクにとっては金字塔だ。
 それにしても、仲間うちはおろか会社まで内部のチクリの多い昨今、この中間のような忠誠心は無くなってしまったのだろうか。そこで、一首。
 「侍に 一分しかと あるとても 老いし下僕に 五分の魂」

2007年1月8日(月)
老公おひろい

 都心の正月は商店街も静まり、ゆったりと時が流れる。 正月二日、蝋梅を見に新宿御苑に出かけた。生憎、年末年始は休園と知り、小石川後楽園に転じる。
 ここでは、「大名庭園でお正月」というイベントを開催中。桜や紅葉の季節には混雑する名園も、さすがに、入園者はまばら。マツに施されたこもまきや、雪吊を眺めながら、黄門様になった気持ちで、のんびりと庭園を廻る。
 松原では、いなせな格好の植木職人が竹馬づくりに忙しい。羽根つきに興じる老夫婦の姿を見る。
 浜離宮、六義園などの都立8庭園は正月二日から開園。
 それにしても、新宿御苑の正月休園はいただけない。環境省が管理するせいなのだろうか。そこで、一首。
 「樽酒に 羽子板・独楽ある 後楽園 正月二日の 穏やかな顔」

2007年1月1日(月)
カイピリーニャ・デ・サケ

 いよいよ2007年。正月は一年間の邪気を払い長寿を願ってお屠蘇で祝いたい。屠蘇はもともと薬酒。「蘇」という悪鬼を屠(ほふ)るという意味だという。
 フランスの祝い酒はシャンパンだ。クリスマス商戦でも、神楽坂のグルメショップの目玉商品として、ドン・ペリニョン(ロゼ)が38000円の特価で店頭を飾っていた。
 ブラジルでは,日本酒がブーム。ここ5年で販売は2倍になったという。トップブランドは、キリン系の「東(あずま)麒麟」。現地の度数の高いリキュールに比べて、日本酒は軽くて健康的と受けているらしい。
 それにしても、断酒の身では、嗅煙草ならぬ嗅酒で福がくるのだろうか。そこで、一首。
 「日本酒も リキュール相手じゃ 女性用 パイナップル入れ 洒落たカクテル」

2006年12月25日(月)
新市場

 国は、今までの楽観的な推計を覆し、50年後には、65歳以上が5人に2人以上という数値を発表した。このままでは、現役が高齢者を支えられないのは当然だ。
 中国でも、1979年に始まった一人っ子政策の影響が出始めている。社会保障は未整備の上、親の高齢化が進み、親の老後の面倒を見るのは厳しい。
 一方、一人っ子自身も様々な問題を抱えている。上海では、富裕層目当てに我が子の行動を監視するビジネスが流行っているという。

 それにしても、日本も少子化・教育問題では頭を痛めている現在、中国のこのようなことを真似る親が出てくろのだろうか。そこで、一首。
 「放課後の 我が子の動き 気にかかり 探偵雇って 相互で不信」

2006年12月20日(水)
共存

 久し振りに日本橋三越に寄り、その周りの変貌に目を見張った。
 中でも、三越正面のローソンは子育て女性向けの「ハッピーローソン」を先週オープンしたばかり。2階建て店舗 では、玩具や離乳食なども販売し、一時的に幼児を預かるサービスを実施するという。

 90年代に急成長を誇ったコンビニは、ここ数年、成長神話に翳りが見え、各社は女性や高齢者など新しいお客の開拓を急いでいる。セブンイレブンは、高齢者向けに御用聞きや食事の宅配まで手がけている。
 それにしても、老舗ホテル・ホテルニューオータニの館内にまでエイエム・ピーエムがすでに出店していたとは。そこで、一首。
 「巨大なる 獅子身中に 移殖せし ドナーのコンビニ 元気に動く」

2006年12月15日(金)
星条旗

 話題の「父親からの星条旗」(クリント・イーストウッド監督)を見た。 テーマは太平洋戦史に残る硫黄島の激戦。 
 米国では、厭戦気分が濃厚だった時期に、擂鉢山に星条旗を掲げた6人の兵士の姿が写真に収められ,世界中に配信され、再び戦意が盛り上がった。
 戦闘で生き残った3人の兵士が本国に呼び戻され、戦時国債を売るための広告塔として利用された。 これは、イラク戦争が泥沼化するアメリカでは今日的な問題である。

 それにしても、監督はすでに76歳。頂点を究めているのに戦争という大問題に挑戦する意欲はどこから生まれるのだろうか。そこで、一首。
 「アメリカの 想い集めし 星々が 硫黄島上 風に瞬く」

2006年12月10日(日)
冬の陣

 早や今年も師走。寒気が強まり、思い立ってコートを買いに、新宿の伊勢丹メンズ館に出かけた。
 紳士服の百貨店離れが深刻化するなかで、2003年にリニューワルされたこの店はオシャレにこだわる男性の人気を博し、最近、テレビでも特集された。
 内装はブラウンを貴重にしてシック。各ブランドを分ける間仕切りもなく、表示すら壁や柱に溶け込んで目立たない。ファッションは我が社がリードする位の各社を自ずと競わせている。
 それにしても、「ニューヨーカー」はどこですかと聞けば、丁寧に案内してくれるのは、宗主伊勢丹家のご威光のせいだろうか。そこで、一首。
 「群雄が 割拠し勢力 競う中 獲物の客が 粛々進む」

2006年12月5日(火)
内なる道へ

 紅葉美しい砧公園の中にある世田谷美術館で「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」を見た。
 ルソーは日本の美術館か所蔵する17点だけ。展示のほとんどが、彼に魅せられ影響を受けた日本人画家の作品が中心。同時期にパリに住んだ藤田嗣治や岡鹿之助から現代作家、横尾忠則のパロディまで。
 ルソーは、もともと税官吏だったが、絵を志したのは40歳を過ぎてからという。没後100年が経つ。

 それにしても、画風は素朴で奔放。しかも、一度見ると頭から離れないのは、なまじ、師がいなかったせいであろうか。そこで、一首。

 「明確な ラインに孤独 漂わせ 濃き色彩は 静謐の内

2006年12月1日(金)
金頼み

 誕生日のプレゼントに、招福を祈念してか、お札にちなんだ珍しいグッズをもらった。
その名も、「紙幣せんべい」,「お札タオル」、「招福キャッシュ ボールペン」。財務省や日本銀行の売店での限定販売という。
 せんべいも瓦せんべい風でおいしいが、中でも一風変わっているのは、ボールペン。ペン軸には、お札一枚の半分の量の裁断片が入っている。注意書には、ご丁寧にも、「裁断片を復元してもお札としては効力はなく、通貨偽造の罪に問われる」とある。
 それにしても、資源リサイクルのアイディアが進化し、お札の裁断片が招福グッズの部材に化けるとは。そこで、一首。
 「万札の タオルで先ずは 手を清め 古札封じし ペン執る晩秋」

2006年11月25日(土)
希少価値

 年代を超えて広く愛されている店頭人形に不二家のペコちゃんがある。
 生まれたのは1950年。すでに56歳だが、年齢は永遠に6歳。身長は 1メートル。 ペコは子牛の愛称べこを西洋風にアレンジしたという。
 先日は、七五三にちなんで、振袖姿であった。
 全国に多くある不二家の中で、飯田橋・神楽坂店でしか手に入らないのが大判焼き、「ペコちゃん焼」だ。そう言えば、週に何度も通るたび、店頭に行列する人々を見かける。

 それにしても、店頭人形は日本独自の文化で、ケンタッキーフライドでお馴染みの白ひげ「カーネル・サンダース」も本場アメリカでは看板でしか見られないとは。そこで、一首。
 「世界中 この店だけと 知った後 無視して
通れぬ ペコちゃん焼を」

2006年11月20日(月)
一時代

 名画座で「ヨコハマメリー」(監督:中村高寛)を見た。 1995年冬、白塗りのメイクに貴族のようなドレスを着た伝説の老娼婦、ハマのメリーさん、が忽然と姿を消した。
 戦後半世紀の間、街角に立ち、娼婦でありながら孤高の誇りを持ち続けたひとりの女。
 関係のあった人々を克明に取材しながら横浜とメリーさんを浮き彫りにする。
 
 末期癌に侵されているのに、メリーさんの身を案ずるゲイのシャンソン歌手、元娼婦、元愚連隊等など。
 それにしても、5年もかけて、戦後横浜の風俗に踏み込み、人間ドラマを映し出したドキュメンタリー監督が横浜出身の弱冠30歳だったとは。そこで、一首。
 「偶像を 偶像囲みし 伊勢崎町 川のネオンも 時代に流れ」

2006年11月15日(水)
履歴書は顔に

 英国のスーパー大手「アズダ」は、国内308店での社員採用の履歴書から生年月日の欄を廃止した。
 15万人の社員のうち50歳以上がすでに2割を超えており、過去には、80歳超の社員を雇ったこともあるという。その理由は、採用に年齢は無関係、豊富な経験を持つ人材を重視という考え。損得をハカリにかけ、年齢制限をはずす英国経営のしたたかさに脱帽。
 日本も、今年4月から、平成25年にかけて段階的に65歳まで定年を引き上げる法律が施行された。
 それにしても、なんの取柄もない人々は、アンチエイジングに励むのだろうか。そこで、一首。 
 「世で唯一 平等に取る 年なのに 心身みてくれ 格差歴然」

2006年11月10日(金)
残るものには

 文化の日、四谷にある新宿歴史博物館で「尾張家への誘い」特別展を見た。 題して、徳川御三家・江戸屋敷の発掘物語。
 紀伊家上屋敷があった千代田区、水戸黄門邸があった文京区も企画に参加している。ちなみに、3ヵ所廻ると景品がもらえる。

 ところで、尾張家の上屋敷は、現在市ヶ谷の防衛庁がある場所にあった。10年以上かけた調査で、御殿や長屋、庭園や花壇などが発掘され、徳利などの陶器から傘の部品にいたるまで展示されていた。
 それにしても、さすが尾張上屋敷跡地の防衛庁。日頃のお役目が認められ、近々、省に昇格するのだろうか。そこで、一首。
 「誰が履きし この高下駄を 江戸の世に 木目光らせ 傾き立てる」

2006年11月5日(日)
ハンカチへの追憶

 新聞のオリコミで、「来場者の方にもれなく青いハンカチ・プレゼント」と謳った風変わりな広告に気付いた。物件は早稲田の新築マンション。
 甲子園で優勝した早稲田実業は、国分寺市に移転したものの、早実を応援する地元の人々は多い。
 
 早慶戦を見に神宮へ出かけた。早稲田内野席の熱気に驚く。信濃町駅前で買った「早稲田スポーツ」紙も、早実バッテリーの独占インタビューを組み観客の関心を煽っている。今秋は、早慶戦を待たずに、早稲田の優勝が決まっているのに。

 それにしても、低迷気味の東京六大学野球は、斉藤人気で、出かけた人々がもれなく入れる今年とは違ってくるのだろうか。そこで、一首。
 「景品で 汗拭くたびに 思い出す 買い損ないし 早稲田のマンション」

2006年10月30日(月)
乾きを癒す

 南部アフリカを旅行中、世界三大瀑布のひとつ「ビクトリア滝」を訪れた。
 滝は、ジンバブエ、ザンビア国境を形成し、雨季には白い滝の壁が1キロも続く。滝つぼの最大落差は100mを超え、現地語では、「雷鳴のとどろく水煙」。
 ところが、。乾季のため水煙の飛沫も少なく、迫力不足であった。しかし、虹の懸かった滝をカメラに収めたり、濡れることもなく散策を楽しんだ。
 宿泊したホテルや街の人々は、皆、笑顔をたやさず、やさしく、素朴で居心地満点。

 それにしても、事前に読んだ外務省の安全情報は、窃盗、路上強盗、人々の銃の保持などを繰り返し書いている。南アに出て行かれると困るのだろうか。そこで、一首。
 「屯する ザンビア人は 振り返り 過ぎ行くバスに 無邪気な笑顔」

2006年10月25日(水)
桜も負けそう

 「ジャカランダ」を見に南アフリカの首都・ブレトリアを訪れた。10月は春の始まり。 ヨハネスブルグの北50キロにあるプレトリアは100ヶ所の公園を有するガーデンシティ。
 5万本を超えるジャカランダの街路樹は、10月に一斉に薄紫の花を開く。幸い、満開時にあたり、街は藤色に染まっていた。

 移民として南米に渡った日本人がキリの花に似ていることから「桐もどき」と呼んでこの花を愛したという。
 それにしても、気温や水はけの相性が良かったとは言え、ブラジルから移植されてわずか 100年。本場ブラジルでもチラホラしか見られないジャカランダが、これほど市民や観光客に愛される樹木に育とうとは。そこで、一首。
 「紫の 霞棚引く プレトリア そよ風が敷く 花のじゅうたん」

南ア共和国・プレトリア
2006年10月20日(金)
五感を鍛えて

 ドイツで開催されたカメラ・映像機器見本市「フォトキナ」で、富士写真フィルムは、デジタル一色のなかで、フィルム新製品を発表。「フイルムカメラ専用のコーナー」を設け異彩を放った。
 主力の写真フイルム事業は、急激なデジタル化で世界ブランドも次々に撤退。10月から富士も社名を変更した。
 しかし、銀塩フイルムを写真の原点とし、最後の一社になるまで、 写真文化を守り育てることを使命とする富士の志に脱帽。

 それにしても、本格的な従来の重い望遠カメラが売れ始めたのは、日本人のバランス感覚のお蔭であろうか。
そこで、一首。
 「簡便な 機械の破片 胸に刺す 群集操る 雪の女王」

2006年10月5日(木)
後手

 安倍晋三内閣がいよいよ門出。新首相が重要課題と位置づける「教育再生」について、学校や父兄が新政権の具体案に注目している。
 折りしも、品川区立八塩南中で、入学者がゼロという記事には驚かされた。
それは、人口1.4万人も住みながら、学校選択制の結果である。
 公立中学の荒廃、駄目教師、授業の遅れなどが原因で、地元公立中学への進学が減少。都内の平均では 17%、都心では、4割もの生徒が私立校に進むという。
 
 それにしても、私立中学受験激化のなかで、子どもを負け組みにしたくない熱血パパの出番がさらに増えるのだろうか。そこで、一首。
 「酸欠に 水槽もがきし 金魚らは ついに飛び出し 気付かれて死ぬ」

2006年9月30日(土)
群れが群れ呼ぶ

 台風一過。秋晴れの日曜日、池袋から特急で一路,高麗へ。日高市にある曼珠沙華(彼岸花)公園を訪れた。通称、「巾着田」。市内を流れる高麗川の蛇行で形作られ、昔から、この名が付けられている。
 河原を通り抜けると川沿いの林の中に彼岸花の群生地が帯状に広がる。その数、なんと、100万株。
 休日とあって大勢の人が遊歩道をぞろぞろ行く。昨年は38万人もの人が訪れたという。
 それにしても、帰路の指示もなく、客は巾着田でうろうろ状態。秩父の芝桜イベントに比べて、不親切さが目立つのは、地元住民が「村起し」に冷淡なのだろうか。そこで一首。
 「曼珠沙華 人の流れに 目を覚まし 樹下巾着の 朱ぞ勝りたる」

日高市・曼珠沙華公園
2006年9月25日(月)
金か銀か

 皇位継承の改正ををめぐって意見が対立している中、折も折、皇室にとって41年ぶりに男子誕生。それを祝して、親王殿下ご誕生記念コインの発売がなされる。
 100ドル(NZ)金貨と25ドル銀貨の2種類。裏面は、菊のご紋、秋篠宮さまと紀子さまのお印(栂と菖蒲)、それに、早くも君子の象徴「鳳凰」がデザイン化されているという。
発行元は、なんと、英連邦ニュージーランド領クック諸島政府。
 日本で記念貨幣が発行されたのは、東京オリンピック以来48種。2006年は、国連加盟50周年記念銀貨が発行されるのみである。
 それにしても、国際親善の証とはいえ、悠仁親王誕生記念コインの表面が英連邦元首エリザベスU世とは。そこで、一首。
 「伝統と 親と他国の 思惑を 知らず緑子 無心に眠る」

2006年9月20日(水)
不寝番

 収穫の秋も間近。最近、山形のサクランボなど、高級果物の盗難事件が増えている。そこで、セコムは泥棒の侵入を防ぐために果樹園向けのシステムを開発した。 不審者を音声で威嚇したり、電話に通報したりもする。
 防犯意識の高まりを背景にコンピューターを使った機械警備は事業の主流となり、今や導入は170万箇所に及ぶ。

 子どもや学校を狙った犯罪、健康不安、機密・個人情報の漏洩など、警備サービス業のネタは尽きない。
 それにしても、セコム創業者・飯田亮さんの先見性がかくまで優れていたとは。そこで、一首。
 「去年(こぞ)までは たやすく入りし 盗品も 番犬セコムの 威嚇にびびる」

2006年9月15日(金)
タワー倒壊

 散歩の途中、よく立ち寄っていた 神楽坂下のCD専門店が、店仕舞いした。この店は、大人向けのジャズボーカルからクラシック、歌謡曲まで品ぞろいが豊富だったのに。
 先月、米国では、1960年創業の大手タワーレコードがCD不振で2度目の破産法申請をした。 ネット販売の普及や大手スーパーの安売りがその理由とされている。
 国内でも、確かに,歩行中や電車の中では、イヤホーン耳に音楽を楽しんでいる人が目立つ。
 それにしても、折角の空白時間、物思う秋をお手軽ミュージックに邪魔されて人類は大丈夫なのだろうか。そこで、一首。
 「打ち建てし 米国タワーは CDの 重みに耐えず はや倒壊」

2006年9月10日(日)
効果的

 郊外から都心に転居して、ライフスタイルも変わり、この20年間、車のハンドルは握っていない。関心は薄れていたが、金曜日、車のオリコミ広告の多さに驚いた。
 新聞本紙を読み進むと、車の週末キャンペーン広告が次々に現れた。スズキ、ダイハツの軽自動車からメルセデス・ベンツ、BMWの高級車まで申し合わせたように、9月9日開始の告知である。

 国内では、燃費志向で軽自動車の伸びは著しいが、欧州メーカーは、景気回復で所得水準が上向いていることに加え、団塊世代の大量退職を目当てに攻勢をかけているらしい。
 それにしても、散歩途中,池袋で見かけたBMWとベンツの巨大ビルがお隣同士とは。そこで、一首。
 「車には 興味なき目も 引き付ける 渋滞しそうな 新車合戦」

2006年9月5日(火)
好機到来

 朝夕は暑さが遠のいた八月末、殺虫剤メーカー、アース製薬と「キンチョウ」の大日本除虫菊が電池式蚊取り器の特許をめぐって訴訟合戦を繰り広げていると報じられた。
 日本では、網戸が普及、蚊取り線香をたく家もめっきり減ったが、メーカー各社は、競って、アジア・アフリカに「蚊取りビジネス」の活躍の場を広げている。
 常夏のインドネシアでは、一年中がシーズンで渦巻き型の蚊取り線香の販売が好調という。
 それにしても、日本は 殺虫剤だけでなく、ナイル熱のウイルスを媒介する「ヤブ蚊」(アジアの虎)まで世界に輸出し、病気持ちの蚊の逆輸入を極端に警戒していたとは。そこで、一首。
 「日本産 猛蚊世界に 飛び立ちて アース・キンチョウ 真剣勝負」

2006年8月30日(水)
共生

 日経の「街イメージ」調査によると、新宿は東京の顔だが、最も住みたくない街の一位という区民には不名誉な結果が出た。
 ところが、新宿区の調査で、区内のみどりの状況を示す「緑被率」は、17.4%と23区内で9番目に高く樹木・樹林の面積は4番目という意外な数値が発表された。 
 牛込近辺の路地裏を歩くと、生け垣には季節の花々を配し、夕方の水まきなど通行人を楽しませる工夫をしている。

 それにしても、係員が一本一本樹木を数えて緑被率を出したとは。そこで、一首。
 「新宿の イメージアップに 草や樹が 路地の隅々 活かし活かされ」

2006年8月25日(金)
人気の輪

 昭和記念公園のひまわり畑を見に行く途中、一年ぶりに、立川駅に途中下車した。都心並みの混雑ぶりだ。午前 11時半、昼食に早いと思ったがレストランはすでに客が半分入っている。
 この駅の一日平均乗降客数は、49万人。中央線では、東京、新宿についで、第三位。来年には、「エキュート・立川」も開業するという。

 立川市は、地図の上では、東京都の中心に位置し、周辺は小平、国分寺など8市に接し、まさに、多摩地区のへそだ。
 それにしても、旧国鉄はたいしたもので、東京からほぼ同一円上に、何と、立川、大宮、柏、千葉、横浜、町田を配していたとは。そこで、一首。
 「遠のきし 基地の面影 なき駅は はや鈴なりの エスカレーター」

2006年8月20日(日)
方針変更

 新聞に混じり立派な返信封筒つきのアンケートがパラリと落ちた。これは、何と、日本共産党新宿区議団が発信したものだ。
 開いてみると、税金・社会保障、若者の雇用、暮らし向きなどについての設問があり、中でも「世の中に格差が広がっていますか」の項目も入っている。
 最近の労働経済白書は、20代で年収150万未満が2割を占める反面、正社員では500万以上も増加していることを例に挙げ、格差を固定させない対策の必要性を訴えている。
 それにしても、他の国と異なりほとんど人種、言語、宗教で差別されない我が国だから、人との僅かな格差にこれほど敏感になるのだろうか。そこで、一首。
 「流行の 日本の格差 見つけむと 足より金で 草の根作戦」

2006年8月15日(火)
主役休演

 新宿の喧騒を離れ、特急で大月を経て富士・河口湖へ。 折りしも、台風上陸の影響で小雨が降る中、ロープウェイで天上山に登る。山頂からお目当ての富士山を見るものの方向さえ定かでない。
 展望台付近でも猿回し小屋でも中国系観光客の多さには驚かされた
 循環バスの中では、中国系外国人が運転手に下車箇所を確認するたびに、運転手(5年無事故の張り紙あり)が、何度も、丁寧に受け応えをしているのに好感を覚えた。
 それにしても、フジヤマ目当てに来たであろう外国人に、チラリとも見えない日は、若いドライバーの申し訳ない意が自然に態度に表れるのであろうか。そこで、一首。
 「右左 台風交わし 河口湖 ここら辺りに 富士があるはず」

河口湖・猿まわし劇場
2006年8月10日(木)
実験台

 日曜日の昼下がり、落語を生で聴きたくなり,寄席の定席に10数年ぶりに出かけた。
 新宿・末廣亭は初めて。木戸銭は、2500円で昼夜入れ替えはなく、手弁当を開く客もチラホラいる。ほとんど満席に驚く。土地柄のせいか、客層の幅は広く、若いカップルや女性グループも多い。

 落語の合間の色物も、漫才、手品から若い芸人のバイオリン漫談まで様々で、客を飽きさせない。
 重篤な病から復帰した桂米丸師匠の噺は、自らの経験に基づく新作で、緩急をつけた話しぶりは絶妙であった。
 それにしても、健康志向の昨今、免疫力の効果で寄席ブームは続きそうだが、ストレス多き演じる側は長持ちするのだろうか。そこで、一首。

 「冷房の 直撃に耐え 末廣亭 腹から笑って 風邪寄せつけず」

2006年8月5日(土)
弱・中・強

 世界的に権威をもち、これに載ると将来ノーベル賞も可能という英科学誌ネイチャー最新号に、秋田大学などの日英グループの研究が発表された。
 それは、以前から傷口に微弱な電流が流れていることは知られていたが、今回、研究グループは、ある種の酵素が電流によって働き、傷をふさぐ仕組みを突き止めた。

 それにしても、筋肉が変化してできた発電盤をもつ電気うなぎは自在に電流を調節し、もしかすると、わが身の傷をも治していたのだろうか。そこで、一首。
 「傷治し 心臓蘇生の 電流は 電圧次第で 電気イスにも」

2006年7月30日(日)
頭脳ゲーム

 新聞の映画評に惹かれ、渋谷の新ユーロスペースで「レイヤー・ケーキ」を見た。題名は、層を積み重ねて作るケーキに喩え、犯罪組織の複雑さを描く。
 舞台は、ロンドン。不動産賃貸業を表の顔に持つ麻薬ディーラーの主人公は、なかなか魅力的だ。目立たず、欲張らず、焦らずを信条としている。引退を決意するが、殺し屋に狙われる羽目に陥ってしまう。
 様々な登場人物の思惑がからみ、ストーリーは二転三転しながらテンポよく進み、一筋縄ではいかない。お蔭で、見終わった後に、プログラムを購入したほどだ。
 それにしても、なまじ知能が高いと,どうして悪の道に走る人が多いのだろうか。そこで、一首。
 「幾層も 人・金・麻薬 絡み合い 終は食われる レイヤー・ケーキ」

2006年7月25日(火)
是か非か

 週末、繁華街を歩いていて,ティッシュ配りがめっきり減ったと感じた。
 これは、今月末から、ティッシュやトイレットペーパーの卸売価格の値上げを原油高を理由に、一斉に、打ち出したのが一因。値上げまえに、買いだめが活発化し、一部では品切れも発生したらしい。
 値上げの本当の理由は、安売り競争で下がりきった価格を元に戻したいという思惑によるのだという。
 何と、ティッシュ5箱パックの値段は、200−250円。米国に比べると、二分の一か三分の一である。
 それにしても、ポケットティッシュが、タダで簡便に手に入る慣習は廃れてしまうのだろうか。そこで、一首。
 「紙高値 闇金自粛で 池袋 ティッシュ配りも 探して二人」

2006年7月20日(木)
江戸に学べ

 高気圧の影響で今年最高の猛暑。上野・東京国立博物館で、プライスコレクション「若冲(じゃくちゅう)と江戸絵画展」を見た。メモをとる熱心な観客もチラホラいる。
 プライス氏が、50年前、ニューヨークの古美術店で一枚のブドウの水墨画を大学卒業記念として買い求めたのが始まりで、それからは、熱狂的な若冲愛好家となった。 
 全面碁盤の目のモザイクに、花や鳥獣の群れをデジタル方式で描いた巨大屏風などは、いかにも現代風。

 それにしても、見るだけでどこの国の人も楽しくさせてくれる虎の絵や鳥の数々など趣の異なる絵を次々に表す才能はどのようにして育まれたのだろうか。そこで、一首。
 「平和なる 江戸背景に 若冲の天凛の諧 百花繚乱」

2006年7月15日(土)
心構え

 7月5日未明、北朝鮮ミサイル発射の第一報は、W杯の実況放映中にもたらされ、眠気が一編に覚めてしまった。
 半日遅れの米国は、花火で祝う独立記念日。北朝鮮は、発射を軍事訓練で国内問題と強弁。しかし、日本は、米英仏と共に国連安保理に制裁決議案を提出。
 911事件直後、テロ対策として、駅のゴミ箱が封印されたが、今は、かなり復活している。竹橋周辺を散歩途中、喉の渇きに、自動販売機を探すが、この5年間、見つかったことがない。
 それにしても、皇居周辺だけは常時気をつけていたのだろうか。そこで、一首。

「安寧を 慮りて お膝下 余計な物は 自社ビル内へ」

2006年7月10日(月)
ボケ防止

 価格の安さや社名を強調する新聞広告が多い中で、米国のアクセサリー・ブランド「クロム・ハーツ」のように、判定しにくい広告が最近目立つ。
 これは、ブランドのロゴが英語の花文字のみ。商品を知らない人には意味をなさない。明らかに、ヤング女性にターゲットを絞っている。

 フリーペーパー「R25」(リクリート刊)は男性25歳がターゲット。時事から芸能まで、内容のレベルは高く、広告ページもそれとは気づかず読み進むように構成されている。
 それにしても、分からないものを追求する輩もいるのも事実で、広告業も裏の裏をかくようになるのだろうか。そこで、一首。 
 「広告も 流行り取り入れ 脳サプリ 幾たび見ても 何のことやら」

2006年7月5日(水)
もしや40代

 世界で最も生活費が高い都市は、東京が4年ぶりに汚名を返上し、モスクワ首位と報じられた。その理由は不動産ブームで住宅賃貸料が上昇したため。
 調査は、海外駐在員が生活する上で必要な衣食住から交通・娯楽まで 200以上の品目やサービスを比較したもの。
 新興経済国BRIC’sの一角、ロシアは、日本以上に人口減少問題が深刻化している。原因は、アルコール中毒、出産控え、高い自殺率の三つ。離婚率も世界一高い。

 それにしても、ストレスのせいか、ロシア男性の平均寿命が58.4歳と、日本男性に比べて20歳も短いとは。そこで、一首。
 「モスクワの 物価高が 足を引き 又も縮みし 平均寿命」

2006年6月30日(金)
健在

 目白駅を中心に点在する教会や名建築で開かれる「目白バ・ロック音楽祭」は今年で二年目。
 梅雨晴れ、ソプラノ独唱とブラジル出身、フィゲイレドによる18世紀ピアノの演奏を自由学園明日館(みょうにちかん)講堂で聴いた。
 開演まで時間があったので、前の建物、「明日館」に入場し、隅まで見学した。これは、羽仁もと子と夫・吉一が創立した自由学園誕生の校舎で、巨匠フランク・ロイド・ライトの設計。
 それにしても、関東大震災や太平洋戦争の戦禍を奇跡的に免れた重要文化財の校舎や講堂を、今でも、生徒や一般の人が使っていたとは。そこで、一首。
 「埋もれし 記憶の底の 学園が
 ポッカリ出現 池袋裏」

2006年6月25日(日)
仲間外れ

 カジノ合法化は、石原都知事が,構想を発表したのをきっかけに地方自治体にも賛同の動きが広がった。
 この度、自民党は、合法化に向けた基本方針をまとめ、4年後の実現を目指す。狙いは三つ。外国人観光客誘致、税収増、地域振興だ。
 「犯罪の温床になる」などの反対論に配慮し、ATMの設置を禁じたり、日本人客には、利用時間の制限をするという。

 それにしても、世界の大半の国が カジノをエンジョイしている中で、神仏その他なんでもありの自由を謳っている日本が、禁止していたとは。そこで、一首。
 「チャリンコに 馬にボートに くじ数多 カジノだけは 何故か悪役」

2006年6月20日(火)
ブラジル快走

 2009年、エコ対策に、世界で自動車の排気ガス規制が厳しくなる。
 ハイブリット車で先行しているものの、エタノール車では、欧米勢に遅れをとっていたトヨタが、いよいよ、来春、ブラジル市場に参入する。
 燃料は、何と、サトウキビを原料とした「バイオエタノール」。ブラジルでは、経済面でもガソリンより安く入手できる。 昨年の新車販売170万台のうち、5割以上が、すでに、エタノール対応車という。

 それにしても、W杯優勝候補の最右翼のブラジルが、環境車でも世界に先行しているとは。そこで、一首。
 「砂糖黍 車窓に見つつ トヨタ車はブラジル疾駆 両エコのため」

2006年6月15日(木)
光明

 グラフィックデザイナー粟津潔氏の「デザイン曼荼羅展」をトッパンの印刷博物館で見た。 氏は、地図や指紋を用いたデザインでよく知られ、見学者に若者が多い。
 氏自身が昨年まで館長をしていた博物館は、トッパン独自の企業博物館。 印刷の歴史を社会、技術、表現の視点から網羅する展示物は本格的で、専門の学芸員もいる。おまけに、シニアは無料である。

 それにしても、拝金主義の不祥事が続くなかで、トッパンの社会還元への識見の高さと底力に脱帽。そこで、一首。
 「時を超え 世超え伝うる 印刷の 文化なくむば 我が外は闇」

2006年6月10日(土)
習慣病

 先日の夕刻、品川駅の雑踏を通り抜け、駅ナカ「エキュート」の繁盛ぶりに目を見張った。 
 都は、この度、駅構内で急成長する施設に、周辺商店街なみの課税を強化する方針を決めた。
 
駅前と駅構内の固定資産税を比べると、駅前が圧倒的に高いためだ。「駅ナカ」ビジネスは、民業圧迫と地元の商店街は、都の動きを後押ししている。
 都は勢いづいて、今度は、東大が構内ではじめた「学ナカ」ビジネスへの課税を打ち出し、都と大学jの対立が表面化している。

 それにしても、税収難とはいえ、東大構内まで触手を伸ばすとは。そこで、一首。
 「商店街 気張って日曜 開店も 客はぞろぞろ 「駅ナカ」目指す」

2006年6月5日(月)
大丈夫?

 燃料電池が、新しいエネルギーとして注目されている。 JR東日本は、世界で始めて、大気中の酸素に水素を化合して動力にする「燃料電池車両」を開発し、来年4月から試験走行を始めると発表した。
 現在のものに比べると、環境にやさしく、架線なしで走行できると良いことずくめを謳っているが、地球規模でみると、原料の酸素でさえ無尽蔵ではない。
 このまま環境破壊が続くと,広大なアマゾン熱帯雨林は、2050年までには、4割が消滅し、100種の哺乳類の生存が危機に晒されるという。
 それにしても、子々孫々の時代には、酸素ボンベを背負って暮らすことになるのだろうか。そこで、一首。
 「近未来 酸素不足を 懸案中 電池で走る 電車出現」

2006年5月30日(火)
ひやっ

 人通りの多い商店街で、疾風のように走り抜ける自転車に身の危険を感じたことが幾度もある。
 暴走自転車に頭を痛めた警察も、違反者には罰金という刑事処分のある「赤切符」を、先月から、積極的に切ることに決めた。つい最近、第一号の切符が女子高校生に切られた。
 一方、外国では、ウイーンの環状道路のように、並木と人と自転車が互いに邪魔されことなく併存している所もある。
 それにしても、日本では、これから二人乗りや傘差し運転で軽犯罪者が続出するのだろうか。
 そこで、一首。「騒音や 排気ガスより 恐ろしい 脇腹かすめる 無言の凶器」

2006年5月25日(木)
百獣の王も形なし

 サッカー・ドイツ大会の開幕が近づく中、公式マスコット「ゴレオ」の縫いぐるみなどの製造・販売会社「ニキ社」(独)が倒産したと報じられた。
 マスコットのライオンが可愛くないと不人気。売り上げが期待を大きく下回り、数百万ユーロにのぼる権利金への融資が返済不能となったのが原因であるという。
 ドイツW杯のテレビ視聴者の予想は、300億人。肥大化がとまらず、莫大なおカネが動くため、きな臭い事件や今回のような不祥事が発生する。
 それにしても、「パンツをはかず、みっともない」が原因で企業が倒産してしまうとは。そこで、一首。
 「W杯 前哨戦で ゴレオ君 露出度問われ はや完敗」

2006年5月20日(土)
仰ぎ見る玉龍雪山

 今年一月に封切されたが、見損なった日中合作映画「単騎、千里を走る」をやっと名画座でみた。
 漁師の高田(高倉健)は、長年仲たがいをした民族学者の息子が余命いくばくもないと知り、息子の念願だった素人芝居を撮影するため中国に赴く。そして、そこでの心の交流を描く。
 ロケ地は、かって訪れ今でも記憶に新しい雲南省麗江。明時代から残る民家や石畳、聳え立つ玉龍雪山などに銀幕で再訪できたのは予期せぬ喜びであった。
 それにしても、人情主体のストーリーに、意思疎通のためとはいえ、携帯電話やデジカメを駆使するチャン・イーモウ監督の手法はいかにも現代中国らしい。そこで、一首。
 「断ち切れし 親子の絆 繋がむと 老いたる父の 痛恨の旅」

2006年5月15日(月)
巡る季節

 小ぬか雨が梅雨の前ぶれのように降り、傘が放せない日が続いている。 ところが、冬の間、すっかり枯れてしまっていたマンションのベランダの花々が一斉に咲き始めた。
 南米原産の「ペラルゴニューム」もそのひとつ。 語源はギリシャ語で、実の形がコウノトリのくちばしに似ていることから命名されたという。
 昨年散歩の途中で買った時は、こじんまりしていたのが思うように伸び、その先に花をつけている。
 それにしても、冬の間、水遣りしただけなのに、その生命力は素晴らしい。そこで、一首。

 「八方に ピンクの提灯 ぶらさがり ベランダの春 初夏へと移る」

2006年5月10日(水)
意気軒昂

 子どもの数が25年連続して減少したと発表された「こどもの日」に、ニューヨーク電は、「グランドゼロ」再開発の設計者に建築家の槙文彦さん(77歳)が指名されたと報じた。
 ランドマークとなるフリーダムタワーの周りに建つ4棟の商業用高層ビルの1棟の設計を担当するという。
 氏は、かって東大教授でもあり、建築界のノーベル賞と称されるブリツカー賞を98年に受賞した。主な作品は「代官山ヒルサイドテラス」「幕張メッセ」など。ニューヨークの国連本部新館の設計も担当するという。

 それにしても、80歳目前の建築家の知力、体力そしてチャレンジ精神に脱帽。そこで、一首。
 「ゼロ歳児 減少続く こどもの日 老雄産まむ グランド0(ゼロ)を

2006年5月5日(金)
武士は食わねど

 先月、若者の新雇用政策のデモがやっと鎮静化したフランス。 東洋アルミニウムが、他の地区に工場を移転する計画に、ラサール下院議員が、ハンガーストライキで中止を迫っていたという記事がひっそり出た。
 日本企業は計画を断念し、議員は5週間にわたるハンストをようやく終了した。彼の選挙区は、過疎に苦しむアルプス渓谷にある小村で、工場移転は渓谷の村にとって死活問題。
 体重21キロ減、緊急入院はまさに命がけ。議員の必死の行動は、当初は冷ややかだった選挙民をこぞって熱くさせた。
 それにしても、今の日本に命をかけて村を守る議員がいるのだろうか。
そこで、一首。
 「フランスの 数と武力の デモよりも 一熟年の ハンスト強し」

2006年4月30日(日)
風向きも変わり

 昨年、景観法が制定され、自治体や住人の景観への意識が高まってきた。タイミングよく、関西ペイントは、落書きされても、シンナーで拭き取れる染料「ケセルクリーン」を開発した。
 特殊な樹脂を配合し、水性や油性のフェルトペンやスプレーもはじくことができる。
 都市部を中心に高架下や地下道、そして過疎化が進む地方の店舗シャッターなどにスプレーの落書きが目立ち、自治体はその対策に頭を悩ませているという。

 それにしても、景観法が出るやいなや、塗って儲ける方から消して儲ける方に切り替える塗料業界のなんと俊敏なことか。そこで、一首。
 「美しき 街に一役 シンナーも 落書き落とし 汚名返上」

2006年4月25日(火)
残る五感は

 九州大学などの研究チームは、手のひらサイズで持ち運びできる味覚センサーを開発し、機器メーカーと協力し実用化する。
 新センサーの感度は人間の舌の10倍。塩味や、酸味、甘み、うまみ、苦味の濃淡まで見分け、半導体技術で作るので、価格は大幅に安くなるという。 おまけに、鉛筆サイズの家庭用も売り出すとか。
 電脳時代が到来。自分の頭や五感を使わず、外付けの脳を駆使するのが時の流儀になりつつある。

 それにしても、料理の鉄人やお袋の味もなくなってしまうのだろうか。そこで、一首。
 「エアコンに 眼鏡補聴器 依存済み センサー出現 味覚も滅ぶ」

2006年4月20日(木)
異国の空で

 高田馬場駅の大型ポスターに惹かれて、秩父・羊山公園の「芝桜」を見にでかけた。 池袋から秩父までレッドアローで1・5時間。道中、車窓から見る山桜や民家の八重桜に開放感を感じる。
 武甲山の麓に広がる色鮮やかな芝桜の丘は、1.6万平方キロ。その種類は11種、35万株。
 地元の人の話では、絵柄を秩父太鼓に決め、8年前に米国産・芝桜の植栽を開始。夏・冬のオフシーズンの手入れには、地元住民の支援が欠かせないという。 そう言われてみれば、多数の道案内役、駅員、警官は、皆、丁寧で親切だった。

 それにしても、地元の努力で、わずかの間に、セメントのイメージから芝桜の里に変身しようとは。そこで、一首。
 「山あいに 突然五色の 大太鼓 秩父音頭を 命の限り」

秩父・羊山公園
2006年4月15日(土)
夢よ再び

 1964年の東京五輪から40年。都は、2016年五輪の開催都市に名乗りを上げた。 この4月より、早々と、五輪招致本部を旗揚げし、機運を盛り上げるため、東京都宝くじを活用する方針を決定。 
 閉塞感から脱出し世界に存在感を示すことを大義としている。 40年前には、高速道路を廻らせて、東京の川に蓋をしたこともあって、今回は、環境にも配慮するという。
 日本は、1988年名古屋、2008年大阪が立候補したがいずれも失敗した。
 それにしても、招致に成功するには、財力、政治力、知名度、それに運が必要なのだろうか。そこで、一首。
 「二年毎 都の出すくじで 一輪が 10年後には 立派な五輪」

2006年4月10日(月)
ドラゴンスーク

 朝日は、「チャイナパワー」特集で、中東のドバイを中継点として、地の果てまで赴く中国企業の姿を浮き彫りにした。
 ドバイ郊外に広がる砂漠に、出だしは1,2軒が店を出し、わずかの間に「ドラゴンスーク」と呼ばれる三千軒を超える中国人経営の問屋が出現した。商品は、プラズマテレビから健康食品まで。
 目立つのは中国のユダヤ人といわれる温州商人で、その得意技は、産地直売。故郷の工場を成り立たせるためにも旧ソ連、アフリカまで押しかけて売りまくる。

 それにしても、英語はできなくても電卓のキーをたたいて商談を進め、新市場を求めて奥へと進む温州商人の根性は恐ろしいほどである。そこで、一首。
 「祭礼の 玉追う竜の 目覚めしか ドバイを越えて うねうね進む」

2006年4月5日(水)
乳白色より

 桜花爛漫。竹橋の東京国立近代美術館で「生誕120年・藤田嗣治展」を見た。彼の生涯を網羅した作品が一同に会するのは内外で初めてという。
 「乳白色の肌」を持つ裸婦像、藤田が好きだった猫や小動物、第二次大戦中に描いた戦争記録画など等。

 50年以上昔、練馬に住んでいたころ、近所の小竹町にアトリエを構えていた奇抜な服装の藤田を何度も見かけた。
 戦後、戦争画制作の責任を問われた藤田は、フランスに戻り、帰化し、再び日本の土を踏むことはなかった。
 それにしても、戦争中、多くの画家が軍に駆り出されたなかで、彼だけが責任を負うことになったのは、戦前にパリでえた名声への嫉妬のせいだろうか。そこで、一首。
 「花見後に ふと立ち寄りし 藤田展 パリの香霞む 戦禍地獄図」

2006年3月30日(木)
成長の暁に

 消費者金融のアコムが業績予想を大幅に下方修正した。利子制限法の上限(年15−20%)を超える「グレーゾーン金利」の過払い返還請求が増えているのがその理由。
 なんと、今までは,一定の条件が整っていれば、出資法の上限金利(年29.2%)を少し下回る金利で貸し付ける業者が多かったという。
 ところが、最高裁が、今年に入り、「灰色金利」の適用を厳しく制限した判決を出し、他の消費者金融大手もアコムと同様に返還の流れが加速しだした。
 それにしても、このとばっちりを受けるのは、CM減の民放とポケットティッシュ業界ではなかろうか。
 そこで、一首。「大店に 消費者金融 成り上がり もはや通れぬ 裏街道」 

2006年3月25日(土)
禁断の果実

 NHKが国際放送にCMを導入するという案に、民放の社長から一斉に反発の声が上がった。
 小泉首相がNHK改革のテーマとして国際放送の強化を指示して以来、受信料不払いで財政難に悩むNHKが窮余の策としてコマーシャルの一部解禁論が浮上している。

 一連の不祥事が発生してから、日本人のモラルの高さに支えられてきた受信料制度の雲行きが怪しくなってきた。
 しかも、日本の放送法には、英国の公共放送、BBCとは違って、不払いに対する罰則規定もない。インターネットで番組が見られる時代も到来。
 それにしても、コマーシャルが入らないのが売りのNHKがタダ乗り組にどんなチエを出すのだろうか。そこで、一首。
 「不払いが アッパーカットの NHK 民放各社も ボディーブローに」

2006年3月20日(月)
失い易きもの

 池袋西口が「まちかど回遊美術館」に変身という記事を読み、立ち寄ってみた。昔、この地区にアトリエ村があったことから、「池袋モンパルナス」と呼ばれたという。
 今回の企画の主軸は、豊島区、東武百貨店、地元NPO,立教大学で、展示場は、地下鉄コンコースなど41箇所。2500人の小中学生も参加し、10年は続けるという。

 当地ゆかりの画家、熊谷守一の美術館では、97歳で死去するまで意欲的に創作した斬新な作品や息女・館主の熊谷榧(カヤ)の「山と祭り」をテーマにした力作にも触れることができた。  
 それにしても、主催者の思惑通り、
将来、池袋は芸術家輩出の街となるのだろうか。そこで、一首。
 「地下道は 子等の絵放つ エネルギー 稚気でも負けぬ 熊谷画伯」

2006年3月15日(水)
秘めしもの

 資源の乏しい日本では、自然界のリサイクルに力を入れている。日本では、牛のふんが年間40万トン以上発生し、肥料むけだけでは処分しきれず、畜産農家を悩ませてきた。
 この度、日本の研究者は、牛ふんからガソリンとバニラの芳香成分(バニリン)の抽出に成功した。
 
積水化学などが抽出したバニリンは、なんと、バニラの花からより、製造コストは半分だという。このニュースは、早速、AP電で世界中に配信された。
 それにしても、2−3年後には、シャンプーやアロマ・キャンドルに入れる芳香財として利用されようとは。そこで、一首。
 「馬ふんより さげすまれ来し 牛のふん 秘匿しバニラ  今香り立つ」

2006年3月10日(金)
発車メロディ
 山手線で恵比寿駅を通過した時、発車メロディがキャロル・リード監督の名作「第三の男」のテーマ音楽であることに気づいた。
 たまたま、数十年ぶりに、NHK映画劇場でこの映画を見たばかり。アントン・カラスが奏でる哀切なチターの音が耳に残っていたせいだろう。

 昔、当地に出荷場があったヱビス・ビールが、CMソングに「第三の男」を採用。その縁で、商店街が音楽を街に流したところ、好評のため、駅でも流すことにしたという。
 それにしても、「第三の男」というタイトル、哀切な音楽、そしてビール。かくも絶妙な組み合わせは他にないのではなかろうか。そこで、一首。
 「第三の 男も泡も ふいと消え 駅に流れる ビールの香り」
2006年3月5日(日)
メリットは

 カシオ計算機は日米欧で正確な時刻jを修正する「デジタル電波腕時計」(価格:2.5万円)を発売する。
 この腕時計は、日本と米、英、独の5つの標準電波に対応している。時刻と同時に、月日と曜日も正確に表示するので便利だが、その他の国では、使用不可。おまけに、建物の中で電波の入りにくいところでは、修正がきかないこともある。

 先月、ブルネイ旅行に、置時計の「電波トラベルウォッチ」を早速買い、目覚まし用にと持参したが、時差設定に手間取り、結局、ホテル備え付けの時計のお世話になった。
 それにしても、従来の時刻訂正の便利さに気づかず,買ってしまったのは残念。そこで、1首。
 「新技術 肩で風切り 商品化 ユーザー忘れ 高価で不便」

2006年2月25日(土)
別格

 週末に、どさりと来たマンションのオリコミ広告を見て、わが庭のように、月に何度も気軽に訪れている「小石川後楽園」が、国の特別史跡と特別名勝のダブル指定を受けていることを知った。
 これらの名勝は全国でたった7箇所。他の6つは、浜離宮、金閣寺、銀閣寺、醍醐寺、平城京、厳島、いずれも、錚々たる名勝ばかりである。
 後楽園は、光圀公ゆかりの庭園で、早春の見所は、梅林の紅梅・白梅だが、今年は、寒さのせいもあり、昨年より一月も開花が遅れているという。
 それにしても、日ごろ愛でる木々の枝ぶり一つ一つに一段の風格を感じたのは、以上のことを知ったからであろうか。そこで、1首。
 「一流は 品よく様よく 奥深く 幾度出逢って 飽きさせぬもの」

小石川後楽園
2006年2月20日(月)
高価な自然

 ブルネイ滞在中、熱帯雨林のテンブロン国立公園を訪ねた。水上ボート、バス、ロングボートに乗り換え、ジャングルを流れる川をさかのぼり、やっと到着。
 1200段以上の階段を大汗と共に、一気に登る。そこに、キャノピー・ウオーク(スチール足場・つり橋)もあり、健脚組は更に挑戦。
 国土の8割は、熱帯雨林。森林破壊が問題視される東南アジア諸国とは、大分事情が違い、政府の方針で森林伐採は行われない。虎の子の石油、天然ガス施設は、世界的に強兵で有名なネパール軍に守らせている。
 それにしても、鬱蒼たるジャングルを保つのに、莫大な資金が必要とは。そこで、1首。
 「傭兵は 石油を守り ジャングルは 冬から来たる 旅人 溶かす」

ブルネイ・熱帯雨林
2006年2月15日(水)
ああ産油国

 知人に勧められ、ボルネオ島の北西部、ブルネイ王国を訪れた。気温30度の王国は、三重県と同じ広さだが、天然ガスや石油に恵まれ、国民(35万人)の生活水準は、東南アジア随一。
 所得税もなく、医療費と教育費は無料という。
国富の象徴は、5千人収容のモスク、1700室の王宮、通称7つ星ホテル、電化製品完備の水上生活者などなど。
 飛び地にある熱帯雨林国立公園でさえも、手入れが行き届いているのには驚いた。
 それにしても、ホテルはよいとしても、街の商店はサービス精神に欠けている。これは、サルタン中心の王国のせいだろうか。そこで、1首。
 「ブルネイの 金のモスクと ジャングルは 他にへつらわず ひたすら豊か」

ブルネイ・オールドモスク
2006年2月10日(金)
薄氷

 映画「ホテル・ルワンダ」を渋谷で見た。有志が5千人もの署名を集め、日本の映画館での上映をやっと実現させたという。
 94年、アフリカの中部のルワンダ、フツ族(多数派)とツチ族(少数派)の敵対関係で、百日間、百万ともいわれる大虐殺事件が起こった。

 映画は、ホテル支配人(フツ族)が、千人以上の難民を救った実話を生々しく描いている。
 立見もでる客入りと新聞でみて、平日の第一回10時半からの上映を狙って出かけた。寒さのなか、長蛇の列がすでにできているのには驚かされた。客層は様々。
 それにしても、実話があぶりだす人間同士の狂気と不条理さが圧倒的に胸に迫った。そこで、一首。
 「握りたる 命の護符の IDも フツが負ければ 死の招待状」

2006年1月30日(月)
小物が奮闘

 新入社員の頃、憧れていた在外勤務帰りの先輩に感化され、肌着の薄着を夏冬とも変えないまま40年以上、今でも、防寒肌着を敬遠するのが習慣となった。
 ところが、例年になく寒いこの冬、外出時には、使い捨てカイロのお世話になることが多い。
 ホカロンは、30年前に、「ロッテ」がお菓子用の乾燥剤を研究する過程で発熱効果を偶然に発見し、その後、貼るタイプの登場で市場が一挙に拡大したという。

 それにしても、昨年の猛暑といい、寝ていても寒かった子供時代の冬を思い出させる今年の寒さは、長年続けていた生活習慣も変えてしまうのだろうか。そこで、一首。

 「自前では 酷暑大寒 凌ぎえず 手に保冷剤 背にはホカロン」

小石川後楽園 
2006年1月25日(水)
早あがり

 ポーラ美術館の「印象派コレクション展」を渋谷で見た。コレクションは、ルノアール、モネなど多数。モネのお馴染みの「睡蓮の池」では、緑色がかく多様に存在するかに今更ながら驚いた。
 美術館は4年前に箱根にオープン。所蔵品は、オーナーの故鈴木常司氏が長年かけて収集したもので、西洋絵画をはじめ、日本画、化粧道具から東洋陶器など9500点にもおよび、特に、収集にあたっては、教育的な配慮がなされたという。

 それにしても、ポーラの鈴木氏とは異なり、ライブドアのようなカネ至上主義の経営者が今後増え続け、どんどん消えてゆくのであろうか。そこで、一首。
 「ドラエモン どこでもドアで カネ築き 早や消えむとす 空中楼閣」

2006年1月20日(金)
やっと正式名称に

 寒さが緩んだ日曜日、昨年9月に開店した複合ビル「ヨドバシカメラAKIBA」に行くのを思い立った。レストラン階の下町風洋食屋で昼食。
 お客様は、子連れ、年配、若いカップルが目立つ。「電車男」にでてくるオタクは見当たらない。従業員も、かっこうよく元気がよい。

 秋葉原の語源は、明治初年、原っぱに秋葉(アキバ)権現が祀られ、アキバガハラと当時言われていた。
 午後は、ピカピカで広々とした「つくばエクスプレス」に2駅乗り浅草へ。観音様への道中は参拝客で賑わい、一時は、地盤沈下と噂のあった浅草も勢いを取り戻したように感じた。
 それにしても、違うルートで見る浅草はなんと新鮮なことか。そこで、一首。
 「火よけの野 アキバガハラに ビル林立 野原無き今 アキバは正し」

2006年1月15日(日)
みんな塵から

 1999年に打ち上げられた米航空宇宙局の探査機「スターダスト」が往復 7年の旅を終え、本日、本体は宇宙に残したまま、カブセルだけ米ユタ州に着地させる。
 探査機は、5年かけて彗星に近づき2年前に、ちりの採取に成功。世界で始めて、彗星のちりを地球に持ち帰る。
 46億年前の太陽系成立や生命誕生の謎を解く手がかりになると期待されている。 命の起源がこんなところにあったのかと驚かされた。

 それにしても、遠大にして究極の研究を成し遂げようとする一方、経済優先で、地球温暖化に冷淡なアメリカ政府はかなり矛盾している。そこで、一首。
 「生命の 起源求めて 丸7年 スターダストが 星屑回収」

2006年1月10日(火)
良薬は辛し

 段ボール大手のレンゴーは、大学などとの共同研究で、ワサビ成分にインフルエンザやSARSの感染力をなくす画期的な効果があることを確認。現在の弁当保存フィルムなどの製品からさらに商品開発を進める。
 ワサビは、防腐、殺菌作用にすぐれ、便秘や肌荒れにも効果があるという。
 欧米では、寿しや刺身の人気と相まって、添え物としても知名度があがり、今や、「wasabi」は、フランス映画のタイトルにもなった。
 それにしても、段ボール・メーカーとワサビの組み合わせは誠に意外であった。そこで、一首。
 「さび抜きと 親が配慮の 子供寿し 冬は一転 涙で激辛」

2006年1月5日(木)
犬の時代

 明けて、戌年。子供服の大手「ミキハウス」が飼い犬用商品に参入する。春夏の洋服、価格は4,5千円。おもちゃや首輪、引き紐などの小物もある。
 すでに、池袋など犬ご用達の店が目立ち始めている。少子高齢化や単身者の増加にともない、ペットと一緒に泊まれるホテルやペットを世話する代行サービスも広がっている。

 このところ、ペットは愛玩用から伴侶としての地位向上がみられる。入居当時、飼い犬禁制であった我がマンションも、熱心な議論のすえ、可能になった。
 それにしても、これからは散歩の犬のファッションに飼い主のセンスが光るのであろうか。そこで、一首。
 「お子様が 減少しはじめ デザイナー お犬様へと 心が動く」

2005年12月30日(金)
オープンが得

 キッコーマンがマンズワイン、1万8千本を回収すると発表した。設備の不具合で、ガラス片が容器に混入した可能性があるという。
 ナショナル石油温風器の一酸化炭素中毒事件では、リスク判断が現場頼みであると非難を浴び、テレビのコマーシャルでも繰り返し返品を促した。

 新聞をよく読むと、いろいろの企業が、小さな活字で、事故の可能性があるので、自主的に商品を回収するという「お詫びとお知らせ」を載せる告知が目立つ。
 それにしても、マスコミは、三菱自動車など大企業の不祥事が一旦発覚すると、なぜ、執拗に怒りや不安を煽るのだろうか。そこで、一首。
 「隠されし 悪事暴くが 記者根性 オープンばやりに 昔が恋し」

2005年12月25日(日)
共に洗脳

 渋谷で、客席が百余というミニシアターが相次いで開業と報じられた。 この2ヶ月で3施設がオープンする。
 今月に入り、日版がミニシアターの老舗「ユーロスペース」を買取り、「シアターN渋谷」をリニューアル・オープン。ユーロスペースは新たに渋谷で開業するという。
 この人気を不思議に思い実際に行ってみた。
ゆったりとした座席で香港映画「大事件」を見る。 ジャンル・国籍にとらわれない新しい何かを模索するオシャレな感覚が少し伝わってきた。
 それにしても、活字離れを嘆く出版業界が映画館経営とは。そこで、一首。
 「繁華街 暗い巣穴に 約2時間 異次元引きずり それぞれ外へ」

2005年12月20日(火)
改心して福に

 寒波襲来。鍋物が恋しくなり、神楽坂の「玄品ふぐ」で「てっちり」をつつき、新鮮な美味を楽しんだ。明治時代に文豪が利用した洋食の「田原屋」だったが廃業し、数年前、関西風のふぐ料理チェーン店に代わった。
 ふぐが美味しいのは、秋の彼岸から春の彼岸まで、寒中が旬と言われていたが、最近では、養殖や海外からの輸入ものが主流になり、一年中食べられ、値段も手頃になった。
 その毒性から、難関なふぐ処理師免許をもつ料理人が認証施設で調理したものだけが販売されている。
 それにしても、数少ない中毒事件のうち、八代目・坂東三津五郎の死は記憶に新しい。そこで、一首。
 「毒吐いて シロとなりたる 鍋のふぐ 野菜雑居で 模範食材」

2005年12月15日(木)
注意喚起

 子供を狙った犯罪が相ついでいる。東京都は、学校への不審者侵入を監視するため、来年度中に都内の全公立小学校の校門などに防犯カメラを設置する予定であると報じた。
 一校あたり4,5台の防犯カメラとモニターを設置し、侵入者を職員室などで監視するという。
 しかし、過疎地では、防犯カメラ、防犯ブザー、不審者情報伝達だけでは、子供の登下校時の安全対策としては、不十分であることも浮き彫りになった。

 米国では、厳しい道交法に裏付けされたスクールバスが社会に根づいている。
 それにしても、完全に、子供を守るには、安全神話であった日本も、今や、米国方式を導入する方がよいのだろうか。そこで、一首。
 「校内の 防犯カメラに ギクッとし 悪相浮かべる 父母来賓」

2005年12月10日(土)
ゆとり

 寒気で冷え込む昼下がり、渋谷で「スコットランド国立美術展」を見た。 フランス印象派と19世紀スコットランド絵画が中心。 この国は、フランス文化の影響を受け、自らの文化を磨いたという。 
 森の中の一筋の小道、ピクニックで自然と戯れる三人の女の子、仕事を終えて家族と寛ぐ農夫などの絵画は、自然との一体感や、ゆっくり進む時の流れを感じさせ、今夏訪れた自然溢れるかの地への旅を思い出させた。

 日本では、学力の低下から「ゆとり教育」が早くも見直されるという。
 それにしても、同じ島国なのに、日本人のせっかちな気質はどこから来たのだろうか。そこで、一首。
 「ぬかるみを 西日に戻る 主・牛 迎える黒の 犬の背踊る」

2005年12月5日(月)
想定内だったか

 10月初旬、東京都は、親切にも新築マンションの販売元に「物件の管理心得」をまとめたと発表した。
 指針には、長期修繕計画を5年ごとに見直すことや買い主が自主的に管理に取り込む必要性も強調されている。 心得まで踏み込む指針は全国でも初と報じられ、心配し過ぎと思った。

 ところが、日本中がびっくりさせらた耐震強度偽装問題が発覚。建築士や建設会社、販売会社、検査会社が責任をなすり合い、それに行政をも巻き込み、建設業界の体質が露呈した。
 それにしても、東京都の親心は、偽装問題の本質にどこまで気づいていたのだろうか。そこで、一首。
 「マンションの 不祥多発に 親の都は 上げしバルーンを 早や下げ始め」

2005年11月30日(水)
皮肉なり

 酉年も早や終わりに近い。知人から東松山産の地卵「鹿鳴館」を頂いた。
 味をよくするため、原料に天然の魚介、牧草、昆布などを配し臭みをとるためパプリカなどの香辛料が加えられているという。
 「幻の卵」は、黄身に光沢があり、味もやはり違う。各種マスコミにも取り上げられ、テレビの料理ショウーにも度々登場した。
 鶏卵価格はこの半世紀安定しており、、まさに物価の優等生である。以前、卵に含まれるコレストロールが成人病に影響するという誤解があったが、最近では、その良質のたんぱく質が長生きの秘訣と見直されている。
 それにしても、他に例を見ない年間無休産卵は、いつごろ誕生したのだろうか。そこで、一首。
 「人命を 幾万救いし 滋養源 鶏も産まずば 食われまいもの」

2005年11月25日(金)
努力 才能 そして何かが

 青空の下、高橋尚子選手が東京女子マラソンに勝った瞬間を国立競技場で2万人の観客と見、感動を共にした。
 終盤の35キロを超えたところでスパートし、ライバルの二人、バルシュナイテとアルムを抜き去る姿が大型スクリーンに映し 出されると、観衆はドヨメキ一斉に拍手がこだました。
 後は、レース直前の怪我に耐え、スタジアムに先頭を切って戻るのを祈り、固唾を飲んでスクリーンを見守った。
 それにしても、試練や限界に挑むトップ・アスリートは多いのに、何が明暗を分けるのだろうか。そこで、一首。
 「ひたすらに、精進せし者雨雲に 数人白雲 尚子青雲」

2005年11月20日(日)
性悪説

 横河電機は、人間の動きを1メートル単位で把握できる行動管理システムを来春までに商品化する。 
 従来のセキュリティ管理手法は、どの社員が入ったかをICカードでチェックしていた。 しかし、新しい手法は、社員の靴底にセンサーを埋め込み、位置を割り出すという画期的なものだ。

 企業や自治体では、パソコンの盗難やメディアの紛失、顧客データを名簿業者に売るなど情報の漏洩事件が後を絶たない。
 宇治市の住民データ漏洩事件では、原告一人に対し1.5万円の支払が命ぜられた。

 それにしても、ほんの一部の不心得者のために、全員をグレイゾーンに置いてしまうとは。そこで、一首。
 「足かせの 鉄の玉より 軽けれど 心に重い 靴底チップ」
 

2005年11月15日(火)
茗荷谷の変・不変

 小春日和。茗荷谷・播磨坂のレストラン「タベルネッタ・アグレスト」に出かけた。 ここは、カジュアルな雰囲気で、手作りのパスタを売りにしている。
 予約すると、お仕着せのセットメニューのみ。ふらっと入ったお客様には、自由なチョイスがある変な商いをしている。

 食後、紅葉まじかの東大付属・小石川植物園に立ち寄る。入場券を、受付に人がいるのに、正門前のタバコ屋で買わせる仕組みも変だ。
 鈴懸の巨木並木を通り抜け、大正天皇が皇太子の頃、植物園を訪れ命名したとされる日本最古の「ユリの木」を再見した。
 それにしても、いまや赤門のそばで、大学グッズを売る東大が何で券ぐらい売らないのだろうか。そこで、一首。
 「幾度も 植物園を 訪ないて 歩を止むる木の 常に変らず」

2005年11月10日(木)
神秘に生きる

 日経で「一角獣」を追って旅する企画を興味深く読んだ。
 訪問地は、中国甘粛省蘭州、シルクロードによる東西交流の要路。博物館の秘蔵は木彫像(紀元前200年)で、悪を裁く聖獣の一種であった。

 欧米では、一角獣は、神秘な架空の動物でユニコーンの名で知られており、純潔・清純の象徴である。
 パリのクリュニュー美術館にある6枚連作のタペストリー「一角獣をつれた貴婦人」が世界でもっとも有名であり、今夏、パリに潜む行者の異名をもつギュスターヴ・モロー展で見た一角獣絵画の優美さも忘れがたい。
 それにしても、異文化を取り入れるのに熱心な日本が、なぜ一角獣にあまり興味を示さなかったのだろうか。そこで、一首。
 「謎多き 画家モローの 人生の 僅かがのぞく ユニコーンの目」

2005年11月5日(土)
本物

 秋晴れの午後、新宿歴史博物館で「濟松(さいしょう)寺の至宝展」を見た。臨済宗濟松寺は三代将軍家光が、乳母春日の局の姪、祖心尼(そしんに)のために建てた寺院。
 早稲田通り、榎木町に位置する寺で、深い木立に囲まれ昔の威容を偲ばせている。今回の展示で、我がマンションもかっては寺領内と知った。

 多くの秘蔵のうち、白眉といえる江戸末期の文人画家・谷文晁の仏画13点など。これらは、文晁が仕えた松平定信との交わりを通じて遺されたものらしい。
 それにしても、当時話題の、これほど斬新な仏画が身近に遺されていたとは。そこで、一首。
 「鮮烈な 赤と緑の 文晁画 江戸から今へ 一気に迫る」

2005年10月30日(日)
日米の球宴

 しばらく遠ざかっていたプロ野球中継を、思わず見た。日本シリーズは、ロッテが阪神に4連勝し、31年ぶりに三度目の日本一を達成した。
 翌日、大リーグでは、ホワイトソックスもアストロズに4連勝し、88年ぶりに三度目のワールドシリーズを制覇した。因みに、昨年はレッドソックスである。
 優勝チームの愛称は、創立当時、シンシナティー・レッドストッキングスに対抗する形でホワイトストッキングスと名づけられた。

 古来、日本では、源氏の旗は白、平家は赤であり、運動会まで続いているように、赤・白は戦いの印であった。
 それにしても、国が変っても赤・白は、戦いの象徴なのだろうか。そこで、一首。
 「軍配は メジャー源氏で ガム弾け 猫騙し手で 猛虎敗れる」

2005年10月25日(火)
「プロジェクトX」の先

 九段下に威風堂々と聳えていた旧日本債券銀行本店ビルは、完成後わずか36年で取り壊され、代わってオフィス・住宅複合ビルが来春には完工する。
 最近、都心では、ビルを取り壊すための囲いが目立つ。建替えの理由は、窓などが小さく、エネルギー消費量が多いこと、空調や通信インフラの設備、新・耐震基準に合わせると、改築より新築が安いことなどにあるらしい。
 昔、台風や火事で家を失っても、木で家を建て直せばよいと考えた国民性が現代でも変わらないのだろうか。

 それにしても、建築に携わった人も多いのに、まさか自分の寿命より早く巨大なビルが壊されようとは。そこで一首。
 「目鼻立ち 小振りのくせに 大喰らい お役御免の 古モニュメント」

2005年10月20日(木)
大き過ぎ

 新聞オリコミで、星の数ほど描かれているコージーコーナーの地図を見て思い出し、クレセント牛込柳町店を再訪した。ここは、地元では、銀座コージーコーナーの発祥地として知られている。
 静かな住宅地に溶け込んで建っていて、昔風の洋食屋の佇まいもあり、料理とサービスは水準を超えていた。

 今や、創業57年の老舗、本店を銀座に構え、首都圏を中心に300もの店舗を展開している。 文字通り、あらゆる客層の「憩いの場所」を目指し、商品はジャンボシュークリームをはじめとして、ケーキは大きく安い。
 それにしても、行き過ぎとも思える健康志向のなか、敬遠されずに、なぜこれほど繁栄するのだろうか。そこで、一首。
 「発祥の コージーコーナー レストラン デザート近づき 不安と期待」

2005年10月15日(土)
奢れる者は

 トヨタ自動車はGMが放出する富士重工業株を取得し、筆頭株主になると報道された。
 経営が悪化したGMの事業整理やリストラ資金獲得のための間接支援とする見方が強い。
 バブル最盛期、日本企業は米国の著名な不動産を買いあさり、映画会社まで手を伸ばした。
 マーブ・グリフィン(エンターテーナー)がハリウッドのビバリー・ヒルトンを買収した際、「マーブがアメリカの誇りを守った」と喝采を受けた。

 それにしても、ウイルソン氏(元GM社長)の奢り「国益と自社の利益は一致する」から「地球と自社の利益」の方へ、今後の企業は切り替えなければならないのだろうか。そこで、一首。
 「コロンビア 買いしソニーは 平手打ち 今やGM トヨタに拍手」

2005年10月10日(月)
刺身とツマと

 紅葉シーズン間際の支笏湖、積丹半島を廻り、のんびりと小樽で寛いだ。そこから、新日本海フェリーに乗船し、新潟まで船旅を楽しんだ。
 3年前に就航した豪華フェリーは、小樽・新潟間670キロを19時間で結ぶ。
宿泊設備は、スイートもありホテル並。カフェテリアからグリル、展望大浴場まである。
 大荒れの真冬でも運航は安定しており、欠航は年3・4回という。
 140台ものトラックを積載し、積荷は海産物など様々。
 それにしても、トラックの運転手と観光客を上手に仕分け、新潟を首都圏経済圏とし、フェリーを就航した船会社の着眼に脱帽。そこで、一首。
 「乗客と 更なる上客 魚貝類 豪華フェリーで 小樽・新潟」

北海道・積丹半島
2005年10月5日(水)
やがては つけが

 衆議院選挙に大勝した小泉首相は、これから、郵政民営化法案や財政再建(歳出削減や税負担増)に取り組むことになる。
 昨年末、国の借金は751兆円、過去最大を更新した。その額は、国内総生産500兆円をはるかに超える。
 
政府は、高速道路や新幹線は一切つくらず、公務員の給与水準を切り下げ、職員の解雇など「小さい政府」に取り組む覚悟が必要である。
 それにしても、国民は、一人当り  600万円もの借金を無くすため、消費税率の切り上げや大幅年金カットなと痛みをともなうことに我慢できるのだろうか。そこで、一首。
 「借財の七百余兆 藩主負い 見て見ぬ振りの 一族郎党」

2005年9月25日(日)
今は昔

 残暑の午後、街角の自動販売機で買った緑茶がコカコーラ製であるのに気づいた。銭湯の真ん前という立地のせいか、キリンから伊藤園まで、 13台もの各社販売機が勢ぞろいしている。
 煙草屋さんは販売機に稼がせ、自分は開店休業である。販売機の設置合戦は激しく、商品の入れ替えもコンビニのように売れ行き次第で変るらしい。
 コカコーラが日本でフランチャイズ販売を始めた50年前、初めて飲んだコカコーラの味は、薬のように苦かった。それがいつのまにか慣れ、アメリカ文化の真髄に触れたと感じ、よく飲んでいた。
 それにしても、コカコーラが日本茶を売るようになるとは。そこで一首。
 「渡来せし 黒船いつしか 名のみにて 上喜撰に 取って代わらる」

2005年9月20日(火)
インサイド

 ドイツ映画の問題作「ヒトラー」を見た。敗戦目前のナチス・ドイツ。ヒトラーの晩年常にそばにいた女性秘書ユンゲの視点で、総統最期の12日間、ナチスの崩壊、、ベルリン陥落までを描いている。ユンゲは実在し、数年前まで生き残った。
 死と狂気の影にとりつかれる一方、愛人(最後は妻)、秘書、料理人、愛犬に人間らしさを見せるヒトラー。
 ヒトラー以上にナチを信奉していたゲッベルス(宣伝大臣)夫人に圧倒された。彼女は自分の子6人を殺して夫と自決する。
 それにしても、戦後60年、ドイツ人はこの映画をみて何を感じとったのだろうか。そこで、一首。
 「内側より 透かしてみれば 稀代なる ヒトラーさえも 可憐に見える」

2005年9月15日(木)
負け惜しみ

 9月2日は「宝(くじ)の日」。告知に気づいて、300円の当りくじ券をもって売り場に立ち寄った。
 今回の特別記念くじの賞金は、1等前後賞合わせて、1.5億円。宝くじ発売60周年にちなみ、記念賞60万円1000本もある。

 終戦直後に産声をあげた宝くじも、今や、年末ジャンボは、国民一人当り6枚(1800円)も買う人気ぶりという。
 白書によれば、一千万円以上の高額当選者のモデル像は、男女とも60歳以上、購入暦は10年以上の水瓶座、男性のイニシャルはT.Kさん、女性はM.Kさんという。残念ながら、年齢以外、モデルとはかけ離れている。
 それにしても、一攫千金を夢見るヒトはなんと気長なことか。そこで、一首。
 「世の中は 当たらぬ方が 無難なり 弾は元より 他人(ひと)にも腹も」 

2005年9月10日(土)
侮れば

 超大型ハリケーン「カトリーナ」がルイジアナ州を直撃した。温暖化が原因と言われている。最も被害の大きいニューオーリンズでは、湖の堤防決壊で市内の8割が冠水した。
 昔、フレンチクオターの名門ホテル・ロイヤル・ソネスタに泊まったことを思い出し、ホームページを開けてみた。 
 一企業としても、早くも、自社による同額拠出を前提に義捐金を募っていた。この気力に感心する一方、政府の無策ぶりをいぶかる。

 米国では、ハリケーンの名前は、事前に、男女の名前が交互に決まっている。
 それにしても、(カトリーナ)さんが、今後、 ゆえなく苛められなければよいのだが。 
そこで、一首。 
 「生まれても 小物で終われと 名づけ親 祈り届くか 弟リーに」

2005年9月5日(月)
船出

 近所のあちこちに貼ってあったポスターに惹かれ、地元出身の新進ハープ奏者・岩城晶子のソロ・リサイタルを区民ホールで聞いた。
 演奏者は、ハープ音楽の本場フランスから帰国したばかりで、現在東京芸大に在学中である。
 演目は、バッハやラヴェルなど。共演者は、芸大の有志だという。
 挨拶のなかで、留学中、スマトラ沖地震災害に心を動かされ、チャリティー演奏会を思い立ったと述べた。
 開演前の観客席は近所の八百屋などもみえ、互いに挨拶が飛び交い、自分の子がでる学芸会の雰囲気であった。
 それにしても、自分の思いを実行する熱意と行動力、それを支える人々に感心。そこで、一首。
 「夏の宵 ハープのさざ波 寄せ返し 小暗きホール いつしか船に」

2005年8月30日(火)
二号じゃないが

 久しぶりに、迷路のような地下を通り抜けて渋谷駅東口に出た。真夏の日差しが照り返す路面に辟易しながら左を見ると、東急文化会館は解体され、工事現場がやけに目立つ。
 調べてみると、2012年には、東横線の渋谷・代官山間が地下化され、13号線は横浜まで直通運転されるという。
 13号線は、2007年に池袋・新宿・渋谷間が開通し、首都圏の新しい動脈が完成する。東池袋にあるトラベランド本社勤務時代、日頃、近辺で進行していた開発工事が13号線計画に深く関わっていたことを最近知った。
 それにしても、将来、三大ターミナル駅は、単なる通過駅に転落してしまうのだろうか。そこで、一首。
 「池袋 渋谷・新宿 面子賭け ドンの争う 新13号」

2005年8月25日(木)
何でこの日に

 8月17日で小泉首相の在任期間が1575日になり、戦後歴代4位の池田元首相と並んだ。諸外国に比べると、日本首相の平均在位期間は2年と短い。
 それがあまり問題視されないのは、首相が猫の目のように変っても大勢は変らないと国民は思っていたのかもしれない。

 首相の選挙区である横須賀市に住んでいたこともあり、若い純ちゃんを知っていた分、危なさと親近感を感じていた。「変人」といわれながら、首相にまで登りつめ、これほど長期政権になるとは思わなかった。
 それにしても、一方の亀井静香氏は大泉高校の1年先輩にあたるが、このまま(静か)になってしまうのだろうか。そこで、一首。

 「摩天楼 自爆恐れて 9・11 党が放てる 新テロリスト」

2005年8月20日(土)
先人のつとめ

 東京国立博物館で「模写・模造と日本美術展」を見た。サブテーマは、「うつす、まなぶ、つたえる」である。 横山大観が模写した雪舟の「四季山水図」などが展示されている。 
上野に開館した帝国博物館に岡倉天心が美術部長となり、自身校長であった東京美術学校に古典美術の模写・模造を依頼した。
 天心は、廃仏毀釈で打ち捨てられた仏像を日本が世界に誇る美術であると説いた。

 それにしても、「遣唐使と唐の美術」展では、話題の井真成・墓誌の本物が展示されているのに、よりによってその隣で同時に模写・模造展を開くとは。そこで、一首。
 「後世に 模写で伝えて 何故わるい DNAなど そのものずばり」

2005年8月15日(月)
父は強し

 韓国映画「大統領の理髪師」を見た。韓国の激動時代に、たまたま大統領官邸の側に住んでいた床屋家族の姿を庶民の視点から描いている。
 フィクションと断りながらも、韓国現代史の史実をふまえ、実存する大統領をを揶揄するなど、表現の自由や民主主義が定着しているのを感じた。
 暗黒時代、政府は、侵入した北朝鮮ゲリラが下痢をしていたため、同じ症状の国民をマルクス病と称してスパイ容疑で逮捕し、理髪師の息子も犠牲になる。雇い主の大統領は暗殺され、息子は拷問ショックで足がなえてしまった。
 それにしても、その子を背に、治療者を求めて凍てつく川をわたる父親の姿は貴い。そこで、一首。
 「権力を 掌握してさえ 守れぬを 親ゆえ守る  命・幸せ 」

2005年8月10日(水)
いつの間に

 大阪に住む知人が、帰阪するまえに、東京でしか手にはいらない「木久蔵ラーメン」を買うよう家族から頼まれたので、東京駅八重洲地下街に寄りたいという。久しぶりに覗いて驚いた。
 その名が、東京一番街に変っただけではない。「キャラキャラッパ」(意:
キャラクターグッズ専門店」、東京おべと倶楽部、ラーメン激戦区・東京編など、こだわりの命名のもとに小分けされ、遊びの空間に変っている。
 駅の再開発にともない、今春、管理会社が変ったらしい。
 それにしても、「ここだけ、いまだけ」をキーワードに、変哲も無い地下街をこんなに変身させる知恵者がいるとは・・・・。そこで一首。
 「覗き見し 八重洲地下街 大盛況 限定品に 群がる蟻・蟻」

2005年8月5日(金)
ついにお前も

 突然、人民元の2%切り上げが発表された。この報道を聞いて、駐在員時代の体験を思い出した。
 1971年、ニクソン・ショックの際には、対ドル円は一気に17%も切り上がり、固定相場から変動相場制に移行した。当時、日本行き旅行の販売担当者として、晴天の霹靂とパニックに陥ったことを覚えている。
 85年プラザ合意の際には、対ドルは150円を突破し、市場は狼狽した。この時は、海外駐在から帰任時に持ち帰った米ドルを売り損なうという苦い経験も味わった。
 2050年には、中国が米国を抜いて、経済大国首位に座るという予測がある。
 それにしても、そんな大国が2%で世間の風をかわそうなんて・・・。そこで、一首。
 「校則を 破りかねない (元)気もの 言われぬ内に 髪少し切り」

2005年7月30日(土)
愛あらば

 カルフォルニアのディズニーランドで開園50周年式典が開かれたことが大きく報じられた。
9月には、海外で三番目の香港ディズニーランドが開業されるという。

 ウオルト・ディズニーは、夢、過去へのノスタルジー、未来への憧れ、冒険心など、人間が本質的に求めているものを見せ、また、体験もさせてくれる。
 33年前、フロリダのディズニーワールドを初めて訪れた。 真っ青な巨大人造湖と白砂、モノレールが静々と、レストランを通り抜ける奇抜さには驚いた。
 それにしても、東京ディズニーランドのリピート率が98%とは。そこで、一首。
 「目を懸けし ネズミもたまに 恩返し 不朽の名得る 雪舟・ディズニー」

東京ディズニーランド
2005年7月25日(月)
時には俯瞰

 元衆議院議員・野中広務氏の講演を聞いた。氏は、57歳で衆議院議員に初当選。元・郵政のドンとして知られている。
 自衛隊のイラク復興支援活動にふれ、日本のマスコミが防衛庁の報道規制に同意したことは自殺行為であるという話は大変興味深かった。
 それ以来、記者は離れたクエートからの取材となり、現地報道はもっぱら外国メディアに頼っているという。
 米国では、国家機密の漏洩事件を審理している大陪審で、取材源に関する証言を拒んだミラー記者が収監されたと報じられた。

 それにしても、日本のマスコミはこの記者の戦いから何を学んだのだろうか。そこで、一首。
 「進むべき 道失いし (野中)では 野鳥頼みで 視界を(広む)」

2005年7月20日(水)
商機を失す

 紳士洋品店・銀座田屋からサマーセールの案内状が届いたので店を覗いた。
 気にいたシャツを店頭で見つけたが、合うサイズがない。結局、シャツは諦めてネクタイを買った。ネクタイは今夏売れないせいか、逆に、品揃えは豊富である。

 政府や経済団体が音頭をとるクールビズ(意:クールビジネス)運動にビジネスマンは戸惑いながらも、お洒落にボタンダウンを着る人々も増えてきた。
 パーティーでも、招待状に「カジュアルな服装で」と一言添える親切な主催者もいる。

 それにしても、情報が早い仕掛屋のアパレル業界も温暖化対策がこんなに早く迫ってくるとは・・・。そこで、一首。
 「タイ不要 シャツは不足の アパレル界 今夏まさしく クールビジネス」

2005年7月15日(金)
お膝元

 梅雨の晴れ間に皇居近辺を散策。竹橋から毎日新聞本社裏手へ出た。
 江戸時代、守りが厳重だったという雉子(きじ)橋を通り抜けた時、日本橋川が放つ悪臭に気がついた。川辺にはヘドロが堆積している。

 二日後、写真をとりに立ち寄ったところ、悪臭や汚濁が一掃され鯉までいるのには驚いた。ロンドン・テロのせいか近隣のビルでは警護も物々しい。
 川は神田橋や日本橋をへて
隅田川に注ぐ。 昔、水運業の要路。江戸城防衛で外堀としての役割も果たしたという。
 それにしても、由緒ある川への想いが、理由は何であれ、こんなに早く関係者に届くとは。そこで、一首。

 「雉子橋も テロ厳戒で ヘドロ取り 放ちし鯉が 川パトロール」

2005年7月10日(日)
チェ!世間を見なけりゃ

 映画「モーターサイクル・ダイヤリー」を見た。これは、カリスマ革命家・チェ・ゲバラの若き姿を描いたものである。
 アルゼンチン生まれの医学生ゲバラは友人とバイクで、母国からチリ、ペルー、コロンビアを経て、ベネズエラに至る1万キロの南米大陸縦断の旅に出る。
 ペルーでは、インディオの悲惨な生活に心を痛め、ハンセン病施設では、患者達への接触を怖れず、治療活動を通じて人々から信頼を得た。
 ボリビアで戦死(39歳)する最期まで綴った「ゲバラ日記」(1969年初版)も35年ぶりに再読してみた。
 それにしても、持病の喘息に苛まれながら前進し続ける精神力はどこから生まれたのであろうか。そこで一首。
 「南米の 風全身に 若人は オンボロバイクで 自分探しに」

2005年7月5日(火)
梅雨に思う

 ここ数日、梅雨寒。活発な梅雨前線の影響で、愛媛では局地的な大雨が降り、渇水から一転した。
 日本は、山水に恵まれた瑞穂の国である。イザヤ・ベンダサンは「日本人とユダヤ人」のなかで、「日本では水と空気と安全はただ」と思われていると述べた。
 35年前、米国生活を始めたニュージャージーの町に水源があり、水を売る商売があることに驚かされた。
 確かに、外国旅行をするとレストランでは、水はビールと同じ額に近い。 
 それにしても、日本では,水はどこでも安全でただなのに、健康・美容志向といえ、なぜこれほどまでに水やお茶を買うようになったのであろうか。そこで、一首。

 「保湿性 豊かな表皮 あればこそ なんとか地球も 美観保てる」

2005年6月30日(木)
進んでいたのに

 英国の世界文化遺産・バースを再訪した。 四方を丘陵地で囲まれた街には、バス(風呂)の語源となった古代ローマ浴場跡がある.。
 それに、18世紀に社交場として、大いに栄えた時代を象徴する三日月型の建物群、ロイヤル・クレセントもある。

 風呂の入り方は、国や時代によって異なるが、当時の上流階級の人々はバースの地でどのように寛いだのであろうか。
 それにしても、数年前、米国からの賓客ご一行を伊豆の温泉に案内した時、大浴場の湯船で、全員、手拭を頭に乗せているのには驚いた。そこで、一首。
 「温泉に ガスまで噴出す バースの地 語源変更 ジェットバスへと」

2005年6月25日(土)
うさぎの足跡

 6月のベストシーズンに英国を10日間旅し、詩人ワーズワースや「ピーターラビット」の作者ポターがたたえた湖水地方で 3日間ゆっくり過ごした。
 この地方は、50キロ四方の国立公園で、全面積の四分の一はナショナル・トラストの所有である。ポターは所有していた土地・建物すべてをここに遺贈した。

 どこまでも続くなだらかな緑の丘陵、ゆったりと牧草を食む羊や牛、点在する湖などを見て、都会の喧騒や緊張からすっかり開放され、おだやかで豊かな気分を味わった。
  それにしても、才女の英知のおかげで、百年前と変らない姿の自然を愛でる我々現代人はなんと幸せか。そこで一首。
 「想像の 世界に生きた ピーターが 遺産に残せし 湖水地方」

英国・湖水地方
2005年6月20日(月)
妥協せず

 書斎の目覚まし時計を毎朝7時にセットして起床することにしてから7年経ち、退任した今でも続けている。 それは、たまたま書斎に置いてあったアラームがセットされていて定着したリズムである。これは、一生大切にしたいものである。
 夜、本を読むとすぐ眠くなるが、午前中は読むページもはるかにはかどる。 医学的には、朝の1時間は夜の3時間に相当するらしい。
 夜11時、窓のカーテン越しに外を見れば、近隣のビルには働いている人影が見られる。
 それにしても、現代人の生活は、自然のリズムから遊離することが何と多いことか。
そこで、一首。
 「明け方に 又まどろめば 書斎より 行くまで止まぬ 目覚ましの君」 

2005年6月8日(水)
いずれは開花

 ホテルオークラの集古館で「インド家庭の神像と画像展ー山内コレクション」を見た。故・山内利男氏(元大倉商事)がインドに25年間駐在中に現地で集めたヒンズ−の神像や細密画など300点。
 仏教の弁財天、帝釈天、毘沙門天の起源が、ヒンズーの神々であるのを始めて知った。

 1996年、観光促進使節団の一員として訪印した際、道中、貿易では、半世紀以上インドに携わった氏から的確な助言を頂いた。
 その後、末期癌宣告を受け、時を惜しんで、インド経済と家庭信仰に関する本を著した。氏のインドに人生をかけた生き方は壮烈である。

 それにしても、これから、日印の展望が大きく開かれのに。惜しい。そこで、一首。
 「集古館 また訪なえば インドへの 深き河なる 故人の想い」

2005年6月5日(日)
我が名もやはり

 NHK大河ドラマ「義経」に触発されて、司馬遼太郎の「義経」(1977年刊)を読み直した。「嵯峨の海」の章で、おや!と思うことが書かれていた。
 それは、渡辺(今の大阪)党の人々について触れ、初代の源融(みなもとのとおる)以降、この族党は必ず一字名前であり、その後、日本人の一字名前の元祖になったという所である。
 渡辺党四代目綱(つな)は大江山の鬼退治で高名になった人物で、今でも、歌舞伎や長唄に登場する。

 父を始め、私も兄弟も一字名前であり、その由来が、800年以上まえの摂津源氏渡部党から始まったとは。
 それにしても、長い名前の多かった当時、何故、一字にしたのだろうか。そこで一首。
 「切り取りし 鬼の腕(かいな)を 又盗られ 大分縮んだ 武勇の名前」

2005年5月30日(月)
路傍の石ころ達

 スペイン映画「靴に恋して」を見た。原題「Piedras」の意は、石ころ。店員、キャバレーのママ、知的障害者、官僚の妻、タクシー・ドライバー。靴にこだわる5人の女性が、困難に直面し、新しい人生を模索する。
 始めはバラバラにストーリーが拡がり、次第に関連づけられて、最後に登場人物が結びつき話がまとまる。
 この展開に、昔、スペイン語を学んだ時に知ったスペイン人特有の発想を感じた。日本では、山本有三が書くように、一人の中心人物を掘り下げることが多い。

 それにしても、原題の「石ころ」は、人生の困難な状況を比喩しているのに、日本語タイトルが、「靴に恋して」とは・・・そこで、一首。
 「散らばれる 小石達の 人生を 靴ひも紡ぐ スペイン映画」

2005年5月25日(水)
飄々たらむ

 国際ジャーナリストでニュースキャスターの蟹瀬誠一氏の講演を聞いた。氏は、人物を重・軽の切り口で、重重・重軽・軽重・軽軽の四つに分ける。
 視聴率至上主義に翻弄されるテレビ・キャスターは、自虐的に、軽いものを重く見せる軽・重型。
 しかし、理想とする人物像は重軽型であり、例として、人間国宝の狂言師・六代目野村萬蔵を挙げた。
 萬蔵は還暦を迎えてから飄々とした人物に変貌したと語る。私自身はどの型に属するのであろうか。

 それにしても、当日の蟹瀬氏の講演は有名人の裏話などを随所に入れて、肩からだいぶ力が抜けていた。そこで、一首。
 「甲羅をば 出でし大蟹 潮に舞い 飽きれば戻らむ 磐石の殻」

2005年5月20日(金)
遠交近攻

 5月初旬、小泉首相はインドを訪問し、シン首相と経済や科学技術の連携について話し合った、
 中国のデモや不買運動、北朝鮮の核実験準備が報じられるなかで、訪印は時宜をえていたが、日本のメディア報道は低調であった。

 日本人の深層心理には、古来より、インドを唐よりはるか遠い西の国「天竺」と思っていたが、欧米諸国は、俯瞰的に捉え、東洋と西洋の中央に位置する要として認めていた。
 それにしても、日本人は、インドといえば、カレー、ガンジー、ヨガ、神秘の国という連想からそろそろ脱する時期にきているのかもしれない。そこで、一首。
 「擦り傷と 喉の核骨 傷みだし 慌ててインドに 舵切る船長」

2005年5月15日(日)
犬もお花見

 サクラも終わり、花水木(ハナミズキ)も早や終わろうとしている。花水木の原産地は北米。東京市長の尾崎行雄がアメリカに桜の苗木を贈り、1915年に、その返礼として花水木が東京市に送られた経緯がある。英語名は、ドッグウッド。
 米国生活中、新緑の5月、駐在員仲間達と郊外に行き、咲き誇るドッグウッドを見て、暗くて長い厳冬から開放されたと感じたものである。
 日本では、花水木と風情ある名前がついている。
 それにしても、英語では、犬のノミ退治に使うという説があるものの、ドッグウッドと名づけるとは。そこで、一首。

 「春告げる ドッグウッドに ニューヨーカー 飼犬連れて どっと郊外」 

2005年5月10日(火)
時節がら

 今日からバードウィーク。海外旅行中に現地の人から日本の国鳥は何かと問われ、その時は、鶴かトキかと思い、即答に戸惑ったことがある。帰国後調べてみると、一万円札の裏面の図柄である雌雄のキジが日本の国鳥であることがわかった。
 実は、国が正式に制定したものではなく、終戦直後に、愛鳥の日を定めたときに、日本鳥学会が、日本特産であり、童話や文学などで親しまれている点からキジに決めたという。
 つい最近、図柄を確かめるために、旧一万円札を探したが全く見つからない。それにしても、偽札事件の故か、旧札の逃げ足の早かったこと。そこで、一首。
 「急増す 非婚離婚を 勘案し 新札に消ゆ 国鳥夫婦」

2005年5月5日(木)
B級サーファー

 上野の東京国立博物館で「世界遺産・博物館島・ベルリンの至宝展」を見た。一島に5つの国立博物館を集め、今後10年かけて世界一のものにしようとドイツは意気込んでいる。
 今回の展示は、先史時代の黄金帽から19世紀の絵画まで、人類の歴史を代表する160点。

 バビロンの「ライオンの装飾煉瓦壁」を見つけて、15年前に、ぺルガモン博物館で同じライオンを見たことを思い出した。
 当時、東西ドイツ統合を目前にして、東独の人々は西からの観光客の扱いにまごついていたのを鮮明に覚えている。

 それにしても、戦後60年、美術の面でも法王でも世界に認められて力をつけてきたドイツに比べて・・・。そこで一首。
 「遅れじと 来日展には 軽く乗り 丈越す波は 茶の間で呆然」

2005年4月30日(土)
400万も高くない

  春のうららの隅田川、久しぶりに、日の出桟橋で水上バスに乗船し、浅草まで40分。両岸に立ち並ぶビルを眺めながら、大川にかかる12の橋をくぐりぬけた。
 昔、川縁の門前仲町に10年以上住んでいたせいか、散歩でしばしば渡った佃大橋や永代橋は特に懐かしい。行き交う水上バスはいずれも鈴なりである。
 浅草寺にお参りし、裏手にある骨董屋に立ち寄ったところ、店に奥に黒光りする甲冑を見つけた。価格は400万円に近い。
 それにしても、かつて、これを着て戦場に赴いた少年もいたろうに。平和が武具を美術品に高めてくれようとは。そこで、一首。

 「鯉のぼり 浅草寺に 高く舞い 光残れる 小ぶりの甲冑」

2005年4月25日(月)
追い越され

 エスカレーターの乗り方にも「しきたり」の違う場所がある。久しぶりに大阪に行って、駅では、右側に立ち左側に急ぐヒトのために空けることを昔もそうだったと思い出した。
 名古屋も福岡も東京と同じ左立ちである。特に誘導したわけでなく、自然発生的であるらしい。大阪の右立ちは、1970年に大阪万博が開催された時に、国際基準を徹底すべく啓蒙し定着させたという。
  それにしても、それから35年、いまだに、大阪のみ逆立ちが根づいていようとは。愛知万博では、どんな「しきたり」が誕生し後世に引き継がれるのであろうか。そこで、一首。
 「駆け上がる 名古屋左手(ゆんで)に 見送りつ 大阪憮然の エスカレーター」

2005年4月20日(水)
立ち尽くし

 過激な反日デモが中国各地に広がり、日本のメディアはその原因を様々に分析し、政府に対応を求めている。反日運動の原点は、二つ。靖国と教科書とする見方が強い。
 中国には日本は戦前のことを反省していないという認識があり、一方、日本人としては、何度、謝れば済むのかという苛立ちがある。その象徴が、靖国神社参拝問題である。
 米国生活で経験したことだが、英語的な発想に転換できない場合は、相手の思考回路に入れず、もどかしい思いをしたことがある。相手の思考回路に入れば、単語をつなげるだけで通じるのに。
 それにしても、戦後60年、中国とは経済面で競争の時代を経、やっと緊密になったこの時期 、事ある毎に原点に戻るのはどうゆう思考回路か。そこで、一首。
 「靖国に 年経て立つる 銅像の 足下迫り来る 日中の波」

靖国神社
2005年4月15日(金)
奇跡の定刻運行

 都心に転居して20年。移動はもっぱら地下鉄とJRに頼っている。ホームでも車中でも、わずか数分の遅れに繰り返しお詫びの放送が行われているのに気がついた。
 日本では列車あたりの遅れは1分。1分以上遅れた列車はすべて遅れとして数えられるが、諸外国では15分の遅れは遅れとみなされていないという。
 ニューヨーク駐在員時代、住んでいた郊外の町からマンハッタン中心部へ通じる鉄道は、遅れは当たり前、車両故障などの理由で突然キャンセルもしばしばであった。
 
それにしても、説明のない待ちには耐えられずパニックになるのは、常日頃、日本人は恵まれ過ぎているからであろう。そこで、一首。
 「時刻表 宇宙に在りて 大過なし 思えば地球も 奇跡の運行」

2005年4月10日(日)
さすがJT

 和歌山は両親が眠る第二の故郷である。毎年4月墓参をしているが、県のあれこれについて関心が向かう。先日、和歌山県が県内の森林を企業などに整備してもらう「企業の森」を始めたという記事を読んだ。
 CO2削減目標の達成を後押しするには、企業による取組に対して吸収量に見合う排出権〔クレジット)の付与を認めよと県は主張している。
 地球環境は人類の共有財産であるのに、企業も個人も、目先の利害に捕らわれて自分だけがよければという行動に走る傾向が強い。JTはいち早く参加し始めた。
 それにしても、紀(木)の国のチエは森林復活と温暖化政策に一石を投じるのであろうか。そこで、一首。
 「憂慮せし CO2に 和歌山の 吐くには 吸うの 森林政策」

2005年4月5日(火)
美人長命

 桜開花が、日本各地で報じられるなかで、「日本名桜候補写真展」(写真家・望月芳雄)を上野松坂屋で見た。
 国の天然記念物・三春の滝桜(福島)や根尾の淡墨桜(岐阜)など87本。氏は、還暦を機に名木・古木の撮影を思い立ち17年間に250本を撮り集めたという。
 古来より、日本人は、桜の花に一喜一憂し、花吹雪に酔ってきた。
 それにしても、桜の育ちは早い。7年前、若木であった裏公園の桜は4階を越し、居ながらして花見ができる。花の儚さゆえに、我々は騙されているが、千年も生きるつわものもいる。そこで一首。

 「千年の 桜は白く 咲きぬれど 幹黒々と 妖気漂う」

「伏姫桜」市川・弘法寺(ぐほうじ)
2005年3月30日(水)
端役ながらも

 21世紀初の愛知万博が25日に開幕した。参加国は121カ国。テーマは「自然と共生」と地味だが、式典のセレモニーでは、先端技術を代表するロボットがオーケストラと競演し彩りをそえた。式典をテレビでみて、思い出したことがある。
 今から8年前、開催地を決定する直前まで、票集めに奔走する愛知県幹部におされて、、馴染みがない太平洋諸島やアフリカの国々の観光大臣に送客を約束する空手形を連発したことである。
 それにしても、名古屋五輪の招致失敗後、地域振興の切り札と汚名返上に、愛知県は必死だった。そこで、一首。
 「ファッションも 地価も文化も 急騰し グルメの嗜好も 味噌へとシフト」

2005年3月25日(金)
隗より始めよ

 新聞を取り行ったが朝日、日経とも休み、月曜の朝からがっかりする。今月は、休日でもないのに、14日がその日にあたった。産経はと思いつき、コンビに立ち寄ったがスポーツ新聞しか置いていない。一般紙は一斉に休刊だ。
 新聞休刊日は休みのない新聞配達員への配慮から始まったらしい。いまでは新聞を発行しなくてもよい日になってしまった。しかも、偶然に、各社が自発的な判断により休刊日を決めたことになっているという。価格も全紙横並びである。
 それにしても、一糸(紙)乱れぬ見事な談合ぶりである。そこで、一首。

 「談合を 親の敵と 糾弾し 頭の蝿は 追わない新聞」

2005年3月20日(日)
白い花

 最近、街を歩くとマスクをした人を随分多く見かける。その形体は、昔ながらのガーゼ型から流行の立体型までさまざま。時には、ビックリするようなマスクもある。さながら、風邪、インフルエンザ、花粉症に対峙する白色の防衛軍団の出現である。
 トックリセーターを過去一度も着たことがない知人に着用をすすめたところ、その暖かさに開眼し、喜ばれたことを思い出した。わが身を振り返ってみると、ここ数十年マスクをかけたことがない。
 それにしても、花粉症やインフルエンザの蔓延ぶりからみて、伊達の何とかを返上して、マスクの効用を試す目からウロコの年になるかもしれない。そこで、一首。
 「春寒に 草木の目覚め 遅れしを マスクの花が 街を彩る」

小石川後楽園
2005年3月15日(火)
お馴染み

 政治家にはご指名の理髪師がいるという話を聞いたことがある。私の場合も、20年間同じ理容師にお世話になっている。
 数年前に転居してから、近所の理髪店をいくつか試してみたが、理容師好みの髪型にされたり、交わす会話がかみ合わないことに懲りて、今は、元の理髪店に時間とカネをかけて通っている。             
 30数年前、アメリカで生活していた時、町の理髪店主が第二次世界大戦中、フィリピンで日本兵と戦っていたと聞いて慌てて顔をあたるのを断ったことがある。それ以来、日本でも顔をあたるのは止めてしまった。 
 それにしても、世の中が、相性の良し悪しで動いていることが多いと思った。そこで、一首。
 「手間暇を 掛けて通うも 伊達でなし 黙って座れば ピタリとカット」

2005年3月10日(木)
虎は死して

 映画「ピエロの赤い鼻」(監督:ジャン・ベッケル)を見た。偶然にも、それは、主演俳優ジャック・ヴィユレ(53歳)の訃報を読んだ翌日であった。
 舞台は1960年代のフランス。小学校教師の父親(ヴィユレ)が週末ピエロを演じるのを嫌がる息子に、父の親友がその真相を話す。
 ドイツ占領中のフランス。レジスタンス運動に係わった父と友は捕らわれて穴に閉じ込められる。元ピエロの ドイツ兵は赤い鼻をつけて極限状態の父達を慰めて笑いを誘う。上官に背いたドイツ兵は、命を落としてしまうが、父達は命拾いをする。
 それにしても、人生にとって本当に大切なものは何だろうか。名優の死と相まって、今更ながら考えさせられた。そこで、一首。
 「人質に 捕られ悟りし 人生の 軽重胸に ピエロを演ず」

2005年3月5日(土)
平成の相場師

 沢木耕太郎の「人の砂漠」(初版1976年)を最近読み直した。そのなかに、「鼠たちの祭り」という一遍がある。小豆や毛糸などの商品相場で今から30数年前50億円もうけたが、戦いにやぶれて全財産を失ってしまう相場にとりつかれた男たちが描かれている。
 取られるのはせいぜい自分の財産、取るのは日本中の銭とうそぶく。戦いに敗れた相場師に対する作者の眼は優しい。相場師が戦いに勝つには、運・鈍・根に勘(見切り)が不可欠であるという。
 それにしても、ニッポン放送株の争奪戦に挑む青年社長・堀江氏に鈍の要素が在るのだろうか。そこで、一首。
 「虎視眈々 獲物を狙う 相場師は 流れる時代に わが身を晒す」

2005年2月25日(金)
風任せ

 ミヤンマーのバガン遺跡群を熱気球のゴンドラから見た。パゴダ(仏塔)は、11−13世紀に建造され、今でも、約40平方キロの平野に  2000を超える大小の遺跡が点在している。
 早朝、トラックの迎えで出発点に着いて驚いた。既に、欧米人が22人集まっている。9人乗りの熱気球は、一挙に、3機が上昇し、上空で日の出を迎えた。
 遠くには、仏塔の黄金の屋根がキラリと光り、目前に拡がる荒野から寺院のシルエットが次々に浮かび上がった。
空中散歩は風任せの一時間。 
 それにしても、風任せで定点には着陸しないのに、過去一度も事故がないのは信心のお陰であろうか。そこで、一首。

 「幾星霜 バガンの野に染む 信心が 埋火となり 気球を飛ばす」

熱気球・飛行前の準備
2005年2月20日(日)
裸足が主役

 信心深い仏教国「ミヤンマーを訪れた。軍事政権で危険というイメージとは程遠く、街は安全で穏やかであり、人々は素朴で優しかった。人口の85%は敬虔な仏教徒で国民皆僧制度だという。
 老いも若きも、寺院に日参し、仏様に花を手向けひたすらに拝む。早朝から町に出て箒で清掃する人、列をなす托鉢僧へ大きな鍋を抱えて寄進する人の姿を見て、功徳を積むことが生活の一部となっていることを実感した。
 寺院では、一旦境内に入ると、屋外の大理石や石の床でも素足が大原則。靴下をはくことも許されない。
 それにしても、子供は既に熱いと泣いていたが、これからのシーズンどうなるのだろうか。そこで、一首。

 「ミヤンマーは 涅槃を信じて 徳を積み あの世の沙汰に 金積む日本」

ミヤンマー・マンダレイの僧院
2005年2月15日(火)
鵜の目 鳩の目

 「ドバトにえさをやらないで」というキャンペインを都が始めた。そう言えば、最近、大群のハトが池袋駅前の広場で、一斉に舞い上がるのを見た。その数は下をぞろぞろ歩くヒトも負けそうであった。
 ハトのフンは美観を損ねるばかりでなくアレルギー性のぜん息など健康被害を発生させる怖れがあるという。増加の原因はヒトが与えるえさ。
 昨夏、8日の海外旅行から戻った翌朝、ばさばさという異様な羽音に驚かされて目覚めた。ベランダに出たところ、ハトが巣を作ろうとしているのを発見。早速追っ払った。
 それにしても、ハトは家主の留守をどうして察知したのだろか。そこで、一首。
 「ベランダの 小枝捨てれば 向かいの木 凝視している 鳩の目四つ」

2005年2月11日(金)
西郷さんも目を細め

 月刊タウン誌「うえの」(上野のれん会発行)を頂いて毎月読み出してから5年になる。創刊は1959年。銀座百点と並びタウン誌の老舗である。内容は美術館などの近辺情報やエッセイが中心。
 北の玄関口として集団就職した若者の郷愁を誘った上野も、今や桜の季節と話題の展覧会で賑わう街へと変った。もう43年前のことになるが、松坂屋内旅行店ではじめてカウンターに立ち、殺到するお客様に圧倒されたことを思い出す。
 それにしても、タウン誌に、昔は、小島政二郎(20年)、武者小路実篤(8年)、今は、田原総一郎(21年)、篠田桃紅(12年)などなど・・・上野に縁がある錚々たる人々が永年にわたり寄稿しているとは。そこで一首。
 「上野発 タウン誌 550号 街を燻らす 文化の煙」

2005年2月4日(金)
そっと野に置け

 散歩の途中によく立ち寄っていた 
花屋が最近新装開店した。薄暗くて奥が見通せなかったお店がシースルーとなりすっかり明るくなった。ところが、足元に咲く季節の花々をつい買っていた頃と違い、足が遠のいてしまった。

 いままでは、お店の外のレンガに 
無造作に置いてあったパンジーやデージーなどの苗ものが心ほのぼのとさせていたのに。そういえば、店主も高齢であったから、暑さ寒さに勝てなかったのだろう。いまや店のなかに鎮座する高そうな胡蝶ランの鉢植えを遠くから眺めるだけである。
 それにしても、高齢化社会で老人が元気に働き通すには、カネと無駄も多い。そこで、一首。

 「改装せし フラワーショップに 店主まで 温室入りし 客足途絶え」

2005年1月30日(日)
至宝は気づかず

 アカデミー候補作品「堕天使のパスポート」を見た。舞台はロンドン。ナイジェリア出身で訳あって昼はタクシー・ドライバー、夜はホテルの夜勤係をしている不法滞在者の男。同じホテルで不法就労している難民申請中の  トルコ移民の女。二人は事件に巻き込まれるが、ついには偽造パスポートを手に入れて新天地に旅立つ。
 ニューヨークの駐在員時代、韓国人の八百屋、チェコ人の修理工など米国籍取得を夢見て懸命に働く姿を目の当たりにした。今は、国籍取得のため志願兵となりイラクで多くの命を落としている。
 それにしても、日本人は平和、水、空気そして国籍をも苦労なしに得ていたとは。そこで、一首。
 「国籍は 表皮となりて 身を包み 剥がれし人の 骨まで寒し」

2005年1月25日(火)
早くも代行

 年末、六本木ヒルズの52階にある大展望台「東京シティビュー」を訪れた。眼下に家並みが四方に拡がり、はるか遠くに高層ビル群が点在する。
 テラスルームで、ホンダの走るロボット・アシモを見て、なんだか得をした気がした。次世代アシモは看護・警備の代行者として期待されている。館内はどこに行っても監視員の異常な多さが目立った。

 新年に入り、森ビルなどの関係者が回転ドア事故で書類送検されるという記事を読み、ヒルズでは、開業してから死亡事故までの一年間に32の小さな回転ドア事故があったことを知った。
 それにしても、52階で最新ロボットを見せながら、足元の回転ドアで転んでしまって・・・そこで一首。
 「大勢の 中より子だけに 顔を向け 社長に代わり 手を挙げアシモ」

2005年1月20日(木)
白痴に拍車

 ゴールデンタイムに民間のテレビ局を見ると、タレントがひな壇に並んで、断片的なコメントを加えて笑いを誘う低俗な番組が多い。60年初頭、大宅壮一氏がテレビを一億総白痴化と警鐘を鳴らしたことを思い出した。
 以前、NHKのトークショウ番組で、藤山直美がホステスとなり堺正明などのタレントと対談したのは話術も巧みで実に面白かった。要は、作り方である。そのNHKも、最近は不祥事が相次いている。
 それにしても、日本人の子どもの学力低下が問題視されるなかで、各新聞が沈黙を守り、もし多民族国家なら陰謀とも疑われることを自分でやっているのは・・・残念! そこで、一首。

 「白痴化の 子は成長し 制作す 巡る因果の 低俗番組」

2005年1月15日(土)
埋蔵金

 それまで農婦一筋できたのに、  70才で初めて絵筆をとり101才まで描きつづけたアンナ・モーゼスの「グランマ・モーゼス展」を Bunkamuraで見た。1860年にアメリカ北東部に生まれ生涯を農村で過ごしたモーゼスが描く作品は素朴で郷愁感を覚えた。
 日本でも数年前50歳を過ぎてから偉業を成した伊能忠敬がブームになったことを思い出す。人生は自分捜しの旅といわれるが、可能性は無限であり、年齢を超越していることを我々に教えている。
 それにしても、一念発起し、10年前にチャレンジしたフルートは難しすぎた。そこで、一首。
 「あらかたは 掘り尽くされし 鉱山も 残りてあるらむ 金の粒なら」

2005年1月10日(月)
影の一人歩き

 正月早々、東京デズニーランドの年間パスポート購入者の顧客情報が社外に流出したという報道を聞いて、そう言えば同窓会会員名簿の発行を一時保留するという知らせを受けたことを思い出した。今春から個人情報の取扱が法的に厳しく制約される。
 現役時代、初対面のお客様に会う前に、紳士録を活用し、ご本人やご家族の情報を事前に知りえた牧歌的な時代は過去のものとなってしまった。今では、自分ですべてを公表するなど到底考えられない。
 それにしても、海外旅行中、留守を各新聞販売店に通知するのは如何なものであろうか。そこで、一首。
 「盗まれし 個人情報 己より 器用に世間を 渡って歩く」

2005年1月5日(水)
救世主

 新年を迎え、今年の誓いなどが取りざたされている。あまり自慢することが少ないなかで、禁酒・禁煙だけは 25年続いていることに気が付いた。二度目の海外駐在員が決まる前に、健康診断を受けた際、医師から、肝脂肪のため断酒の命を受けたのがキッカケである。一日4箱の煙草も同時に止めることにした。
 煙草はニオイに嫌悪を感じはじめた10日後、禁断症状から脱することとができたが、禁酒はビジネスの潤滑油を失うことになり、本当につらかった。幸いにも、当時ニューヨークで流行のペリエ・ウオーター(炭酸水)が危機を救うことになった。
 それにしても、禁酒しているひとに一杯いかがと軽く誘う手合いがいかに多いことか。そこで、一首。

 「四半世紀 以前の過去は 泥酔中 紫煙のなかを  ベリエが救う」

2004年12月30日(木)
地図に迷う

 今年、世界遺産になって注目された紀伊山地の霊場と参詣道「吉野・熊野・高野名宝展」を世田谷美術館で見た。金字と銀字で写経された経巻から4.5mを超える木造の巨像まで。展示品は霊山から門外不出も多く、芸術性も高く神秘的であった。
 今回指定を受けた熊野三山への巡礼の道は、三経路あり、奈良、和歌山、三重各県にまたがっている。
 館内で手に入れた観光パンフレットは県別に三種類。いずれも自分の県の地図は色刷りであるが、他県のそれは白紙である。
 それにしても、あまりの狭量ぶりに世界遺産も泣いてしまう。関係者は、お客様の立場から見た統一パンフレットをはじめから何故造ろうとしないのであろか。そこで、一首。
 「仏像の 背後は暗き 熊野古道 燭台の火を 覇権が揺らす」
 

2004年12月25日(土)
捨てても 拾えば

  新潟県中越地震が発生してから二ヶ月という報道を聞きながら、その日自宅のタンスの上にすぐ目をやり、家具転倒防止以外何もないのを改めて確かめたことを思い出した。
 不慮の災害時に命拾いをするには、手まわし携帯充電器、簡易トイレなど様々な防災グッズを整える前に、日頃から整理・整頓に心を砕いた方が手っ取り早いと信じている。
 40年前に社会に出た時から公私ともに徹底していることは、「ともかく捨てる」「モノを置かない」「壁に貼らない」の三つである。
 それにしても、訪れてきた友人に「モデルルームみたいだね」といわれたのは誉められたのであろうか。そこで、一首。

 「エイやと 捨てても未練は 残りしが それをも流す 地震速報」

2004年12月20日(月)
担い手・有りや無しや

 Bunkamuraで「流行するポップ・アート」展を見た。ポルトガルのベラルド・コレクションからのもの。ポップ・アートは、コーラの缶やモンローの顔が有名で、60年代に世界を席巻して、20世紀芸術の潮流になったという。
 会場の観客は、アンディ・ウオホールの世界を共生した年配者ではなく、意外にも、ファッションセンスのよい若者が多いことに気がついた。
 それにしても、度々出かけるN響定期演奏会には、高齢の観客が圧倒的に多い。デジタル携帯オーディオを手軽に楽しんでいる若者たちが、将来年配者に替わってコンサートホールに出かけてクラシック音楽を担うファンになるのであろうか。そこで、一首。
 「イケメンは ポップ・アートに 馳せ参じ 老いのしわぶく クラッシク会場」

2004年12月15日(水)
これはしたり

 深川・清澄庭園に久しぶりに足を運んだ。意外なことに、入園料は他の都営公園の半額に気づく。前夜の大雨に濡れた落ち葉を踏みしめながら、ハトが水浴びする姿を眺める。 
 この庭園は江戸の豪商・紀伊国屋文左衛門の屋敷跡といわれている。
 都心には、江戸初期、水戸光圀の代に完成した小石川後楽園や柳沢吉保が自ら設計した六義園など手入れの行き届いた個性的な公園が多い。これらの庭園には、年に何度も訪れ、わが庭のごとく季節の変化を楽しむことができるのは素晴らしい。
古人の権力と美意識との偉業があったればこそである。
 それにしても、入園料の差はどこから来るのであろうか。そこで、一首。

 「吉保と 水戸老公に 文左衛門 引けを取りしか 入園料で」

深川・清澄庭園
2004年12月10日(金)
時には寡黙で

 9月末、ただ「平松礼二展」(上野松坂屋)としか書いていない入場券を頂いた。一体何者であろうかと調べてみると、数年まえから「文藝春秋」表紙画を担当している日本画家であることを知り、自分の不明を恥じた。早速出かけ繊細な感覚に溢れた日本画を楽しんだ。
 その後、クリスマスカードを選ぶ時期になり、多くの選択肢の中から氏の「路・よく晴れた海辺」を選び、海外の友人に日本人の感性を送ることにした。
 たった一枚の入場券に興味を持ったことにより、素晴らしい日本画と出会い、海外に送るカードも見つけることができた。

 それにしても、情報量を極端に少なくして人に興味をもたせる主催者の知恵は心憎い。そこで、一首。
 「興味さえ 引けばどこでも 穴が開き 未知の世界の 広がりに出る」

2004年12月6日(月)
はやりの環(韓)流

 巷で話題のコメ兵(ブランド・ショップ)の新聞チラシが目に止まり、今春開店した有楽町店に立ち寄った。時計・宝石・バッグなどのブランド品が、新品、未使用品、中古品に区分され陳列されている。それにつけても、コメ兵とはインパクトのある名前である。
 コメ兵は、1947年名古屋で中古衣販売店として創業。最近では、オンライン・ショッピングを充実させ、出店も名古屋を基点に、東京へと進出が著しい。
 古来より、日本人の潔癖感は新品をむねとしてきた。しかし、昨今のブックオフやコメ兵の隆盛ぶりを見ると、品物を無駄にせずに欲しい人に有効に活用してもらうという時代になっている。そこで、一首。
 「小兵ながら 都にのぼり 大奮闘 早くも出世 百石取りに」

2004年12月2日(木)
亀が守る演習林

 東京大学千葉演習林が、紅葉シーズンに、5日間のみ一般公開されるのを知り、南房総を訪れた。
 演習林(君津市・天津小湊町)は、
110年まえに創設。1950年代までは、木炭の研究が盛んであったが、今では、森林経営の研究が中心という。

 小春日和にも恵まれ、演習林ゲートから川に沿った2キロの林道を、ゆっくりと散策し、渓谷と紅葉を楽しむ。 JRイベント参加のお客様のせいか行き交う人も多い。
 亀山湖(ダム湖)の複雑に入り組んだ水路を小船で遊覧。蛇行ぶりのすさまじさは、小櫃川上流を堰き止めたためだという。 湖面からみた演習林の紅葉は格別であった。そこで一首。
 「東大も 粋な計らい ちょっとだけ 入門演習 誰にも許す」

2004年11月29日(月)
生みの親より育ての親

  ボストン美術館所蔵ローダー・コレクション「美しき日本の絵はがき展」を大手町の逓信総合博物館で見た。
 エスティ ローダー(米国の化粧品会社)のローダー会長が、欧米で、  25年かけて集めた20世紀初頭の日本の絵はがきは、2万点におよび、全点が、2002年、ボストン美術館に寄贈された。
 そのうち、厳選された350点が、この度、日本に里帰り。その絵はがきは、浮世絵風ありアールヌーボー調あり、芸術性の高いものばかりである。

 ボストン美術館と言えば、かって訪れた際、屏風や仏像など、あまりにも多くの日本の国宝級美術品収集に不快感さえ抱いたことを思い出した。しかし、この絵はがき展を見て、ローダー氏の収集の選択眼と熱意に驚嘆。そこで一首。
 「愚息かと 養子に出して 臍を噛む 国際社会で どの子も天才」

2004年11月25日(木)
三文の得

  昨年から捜していた薄型液晶テレビ台を大手デパートのカタログで見つけた。色彩とデザインが豊富で、部屋の空間とテレビサイズに合わせ易い。価格も手頃なインドネシア製。ガラス扉までお客様の組み立て方式である。
 マニュアルに首っ丈で台を組み立てながら、ニュージャージーで駐在員生活を始めて間もない頃、隣人(アメリカ人)の助けをかりて、洗濯機や自転車の組み立てに悪戦苦闘した経験を思い出した。
 米国では、開拓時代から、大工仕事は男のたしなみであり、家具の組み立てを厭わない。
 夜、作り上げた台座でテレビを見る。物心両面でひとしお満足。そこで、一首。

 「薄型の 液晶テレビ 伸び早く 慌てて出まわる 未完の台座」

2004年11月21日(日)
子の掘りし穴

  粱石日のベストセラー小説の映画化「血と骨」を見る。監督は崔洋一。  
 金俊平(ビートたけし)は、20年代日本の植民地だった済州島から新天地(大阪)に渡る。戦後かまぼこ工場で成功し、のち高利貸業に転じ大金を得、欲しかった子供にも6・7人恵まれる。
 徹底した自己中心主義で凶暴。カネと骨(血縁)に異常な執着心を燃やす。ついには、家族にも見放され、全財産を上納して帰国した母国(北朝鮮)にも裏切られる。
 全編激しい場面の連続であったが、一番印象に残ったのは、無理やり同行させられた息子が裏の荒野で穴を掘っている。臨終が迫った俊平の方は、新天地を目前にして希望に満ちた自分を夢に見ている。そこで、一首。
 「体内の 骨は反乱 続けしが 血に諭されて 終は母国で」

2004年11月16日(火)
散歩と散髪

 散歩の途中、時々立ち寄る街角の本屋が廃業し、代りに、お洒落なシースルーの美容サロンが開店した。そう思って町を見れば、廃業した店舗のあとに美容サロンが開店している。なぜか、店頭には、花と折りたたみ自転車を飾っていることが多い。
 男女とも美しくなりたいというお客様の願望と、手に職をつけて将来に夢を抱く美容師の増加とがあいまって、美容サロンは、90年半ばから二桁の伸びを毎年更新しているという。
 一方、町 の書店の漸減には、時代の流れとはいえ、一抹の寂しさを感じる。そこで、一首。

 「本・花屋 散歩の途中の オアシスを 埋め尽くすのか 美への砂風」

2004年11月12日(金)
11月の朝顔

 例年、朝顔の鉢を買い、盛夏の間毎朝,花を愛でることを楽しみにしている。今年は、盛夏に咲かず、捨ててしまおうと思った朝顔が、彼岸を過ぎてから咲き始め、11月まで咲き続けるという異変が起きた。
 文字とおり、記録やぶりの今年の猛暑にじっと耐えて、秋になってやっと実を結ぶ動植物の自然順応力と種保存への執着力には、驚異を感じる。
 自然界は、人間の造った劣悪な環境にもいち早く
順応しようとしている。人間社会では、自然界(神)に選ばれた人々が存在し、その子孫が生き延びていくのであろうか。そこで、一首。
 「千代女なら 何と詠むらむ 朝顔の 人知に勝る 身の処し方を」

2004年11月7日(日)
東京砂漠

 アカデミー賞脚本部門受賞作品
「ロスト・イン・トランスレーション」(監督:ソフィア・コッポラ)を見た。
 アメリカから来日した中年俳優(ビル・マーレイ)と若い女性(スカーレット・ヨハンソン)が異国の地・東京で言い知れぬ不安、孤独感、眠れぬ夜を共有し、思い出を生み出すドラマ。見慣れた新宿の風景もまるで異国のようであった。
 この映画を見て、言葉や習慣にも慣れない赴任地・ニューヨークで、自分のアイデンティティーに不確かさを感じた30年前のもどかしい体験を思い出した。そこで一首。
 「それ迄の 自分が通らぬ 異国の地 繭から出されて 己に目覚め」

2004年11月3日(水)
800年前の月

 秋雨のなか、世田谷・上野毛の五島美術館で、京都冷泉家「国宝明月記」特別展を見た。今回一挙に公開された藤原定家の日記は、全巻で58巻。すべて国宝である。
 台風の襲来、友人の訪問など。定家自身の肉筆により、800年前の貴族の日常生活がまざまざと感じられた。
 藤原俊成、定家を祖とする冷泉家が、「和歌の家」として宮中につかえ、営々たる時代の流れを経て、今日まで家系をつなげてきたことに脱帽した。そこで、一首。

 「先達の 藤原定家は 分かりなむ 三十一文字に 細る上野毛(髪の毛)」

2004年10月30日(土)
徴兵制の重み

 今春、台湾旅行の際、友人は、食事をとるのを忘れて台湾総統選について熱弁をふるった。私は、彼らが、政治に強い関心をいだく理由は、徴兵制度に起因していると思った。徴兵制度の重みは,家族のだれかが兵士として戦場にゆく可能性にある。もし、日本に徴兵制度が導入されたとしたら、日本国民の政治意識は一挙に高まるであろう。米国大統領選挙は、秒読みの段階。つい最近、ケリー氏は「ブッシュ政権が続けば、徴兵制度復活」と批判した。米国は、現在、徴兵制度ではなく、志願制度を採用しているが、国の緊急事態には、いつでも徴兵制度を復活できる。二人の違いは、二期目で終わりのブッシュ氏の政策決定は過激になりがちだが、再選の可能性があるケリー氏は、慎重である点にあろうか。そこで、一首。
「中国に 負い目ある身も アメリカの 不覚の二発で 棚ぼた平和」

台湾・衛兵交代儀式
2004年10月27日(水)
八つの選択肢

 台風一過、一路函館へ。度重なる台風の塩害のため、紅葉の色づきは悪いという。函館博物館五稜郭分館で箱館・五稜郭をめぐる新政府軍と旧幕府脱走軍の攻防の歴史や遺品を目の当たりにして、志士の思想について思いを巡らせた。その思想を、単純に仕分けると八つの選択肢になる。先ず、幕府方と朝廷方に二分する。それぞれが、討幕派と佐幕派に分かれ、さらに攘夷派と開国派に分かれる。雄藩の志士や立身出世を目指す若者の思想は多様であり、後世の歴史家が勤皇攘夷から討幕開国へと総括するほど単純でなかった。現代日本に目を転ずると、安全保障や通商問題などの対外関係において、国を守り、未来を切開くための選択肢は、様々であり、歴史から学ぶ点も多い。そこで、一首。
「勤皇か 佐幕開国 入乱れ 夜明けに悩む 八岐大蛇(やまたのおろち)」

函館・五稜郭
2004年10月23日(土 )
日本の聖地

 中国西安市で、早世した遣唐使(井真成)の墓誌が発見されたという報道を読んだ。第二の阿部仲麻呂になれた官人という。逆に、日本は、20世紀初頭より、中国から優秀な留学生を大量に受け入れた。その代表的な存在は、魯迅(作家)と周恩来元首相である。彼らは神田界隈で学び、徘徊し、帰国後著作などを残した。藤井宏昭氏(元駐英大使)によれば「中国の若いエリート層には、神保町は聖地である。」という。現代を見ると、日中関係は、政治は冷たく、経済は熱い状況にある。日中関係の溝をうめるには、文化交流が不可欠である。とりわけ、実際に、異国に行き、見、聞き、体感する人的交流がいかに大切であるかを歴史が物語っている。
そこで、一首。
「その後来ぬ 中国屈指の 文化人 日本のイメージ 神保町どまり」

2004年10月17日(日)
ケルトの霊性

 今夏、アイルランド旅行に出かける前に、司馬遼太郎氏の「愛蘭土紀行」を読んだ。「小泉八雲は、日本(松江)で、八百万(やおろず)の妖精の世界を見、節子夫人から日本の怪談をきくにおよんで、至純なケルトの霊性をとりもどした。」と述べている。私は、アイルランドの風土に係わっている霊性の源を、旅を通じて探りたいと思った。今年は、小泉八雲が亡くなってから百年。最近訪れた新宿歴史博物館の特別展では、ケルトの霊性を推し量る材料はなかった。アイルランド旅行中に体験したことは、一日に四季があるということである。晴天が一挙に荒天となり、傘もさせない。まさに、お化けや鬼や魔性が出る気配がした。そこで、一首。
「気まぐれな 天候ゆえに 酒だのみ 悩みも深し セントパトリック」

アイルランド・タラの丘
2004年10月9日(土)
100歳を元気に生きる時代

 葛飾北斎は、70代に至り、錦絵の傑作「富嶽三十六景」を世に出した。長野・小布施の「北斎館」で見た天井絵(肉筆絵)の大作は、80歳半ばの作品である。私は、高齢 の北斎が創作活動へ注いだエネルギーに驚嘆し、その源泉に興味を持った。最近、ベストセラー「あなたが変わる口ぐせの魔術」の著者である佐藤富雄氏の話を聞いた。氏によれば、60歳から80歳までが人生の黄金時代。この時期、大脳を刺激すれば、100歳を元気に生きるのは可能である。それには、一日2時間、一年で90日歩くこと、次に、朝食を抜いてカロリーを減らす。第三には、ココロと身体を快にする言葉を発声せよという。大脳を刺激することは、若さの秘訣であることは、よく知られている。北斎の年齢を超えた創造力は、自然の摂理に徹した生き方によるものではないかと気が付いた。そこで、一首。
「老いし人は 名工なるや 周りの木 削ぎ落としつつ 自己を彫りだす」

2004年10月5日(火)
イラン産キャビヤ

 台風通過後の晴れた日、渋谷・松濤町の戸栗美術館で陶芸展を見た。その後、友人と原宿のレストランでキャビヤ中心の料理を楽しむ。キャビヤは、ロシア産が有名だが、イラン産は、高品質のため6−7倍高価という。最高級のベルーガ・キャビヤはカスピ海産で、大粒、色は薄く、芳醇でまろやかであった。今年は台風の当たり年。最近の報道では、熊が人里に現れる事件が多発している。理由のひとつは、台風が続発し、山では木の実が手に入らないからだという。人間社会においても、日本の食料自給率は40%で先進諸国に比べて、極めて低い。異常気象により、天変地異が発生すると、日本人の暮らしは、俄かに暗転するであろう。
そこで、一首。
「生命を 育む星が 他にあるや 熊に詫びつつ キャビヤ堪能」、

2004年9月30日(木)
スピードを下げる勇気

 ねじめ正一氏(詩人・作家)の野球を切り口にした講演を聞く。長嶋茂雄元巨人軍監督の熱狂的なフアンとして有名なねじめ氏は、意外にも、落合博満中日監督を推す。落合監督は、実は、野球の中心にいるのに、本質しか語らないので世の中では受けがわるい。キャンプの練習では、一軍と二軍を分けない。二軍選手は、自分の能力は自分で見つけよという考え方である。今年のペナント・レースについて、巨人軍を豪華なフランス料理とすれば、中日は冷蔵庫にあるものを生かす家庭料理である。先ず、車を降りて自転車に乗り換え、そして歩くへとスピードを下げる勇気を持てという。戦争や疫病の試練に立ち向かう旅行業にもそのまま当てはまる。 そこで、一首。
「日本覆う 唐草模様は 畳み込み 小風呂敷にて 再生出発」

2004年9月18日(土)
松本電鉄上高地線

 雑踏する新宿を出て、一路、松本へ。松本電鉄上高地線は、14kmの道程を、30分かけて新島島まで走る。道中、栗畑や林檎畑が点在しコスモスが見え隠れする。泊まりは、赤い屋根が際立つ上高地帝国ホテル。翌朝、肌寒い朝靄の中を林道に沿って、大正池まで歩く。湧き水でマガモが水浴びする音がかすかに聞こえる。帰途、電車のなかで、上高地線の駅名に、新島島(しんしましま)、波田(はた)、渚など、山間鉄道に不似合いな駅名が多いことに気付き、駅の案内所でその由来を聞く。係りの女性は、外に問い合わせ、駅名は地名からきていると回答し、私見では、「海」への憧れ からではないかと付け加えた。
そこで、一首。
「梓川 流れる水も 行く秋も 束の間にして 巡りて悠久」

上高地・梓川
2004年9月9日(木)
安治川(あじがわ)部屋

 朝日山部屋において、安治川部屋(元横綱旭富士)をはじめ立浪一門の関取衆13人の合同稽古を見学する。大関魁皇、小結旭天鵬(モンゴル)、前頭黒海(グルジア)、白鵬(モンゴル)、高見盛、旭鷲山(モンゴル)などが汗だくで稽古を重ねる。稽古とはいえ、壁にぶつかり脳震盪を起こす力士が出るなど、本場所さながらの迫力を感じる。特に、外国出身力士は、稽古に積極的な印象を持つ。見学後、安治川部屋に移り、親方、部屋の関取(前頭安美錦、十両安壮富士)、友人とちゃんこ鍋を囲む。
そこで、一首。
「古来より バランス重視の日本人 野球で輸出 国技で輸入」

2004年9月3日(金)
手入れの思想

 養老孟司氏(「馬鹿の壁」の著者)の環境論を聞く。自然(田舎)をわれわれ個人に立ち戻れば、それは身体にたとえられる。本当の意味での田舎は、都市でもない田舎でもない、中間的な場所、田んぼ・里山がそれにあたる。都市と大きく異なる点は、先ず、自然の存在を認め、自然を手入れしていくことである。
最近、イタリア映画「ぼくは、怖くない」を見て、自然回帰の大切さを痛感した。
そこで、一首。
「少年の 愛と勇気を 育みし 小麦畑に 刈り入れ迫る」

信州・穂高
2004年8月30日(月)
アテネ五輪終幕

 深夜、アテネ五輪閉会式を見る。真剣勝負の終わりを告げる閉会式の雰囲気は、くつろぎと未来への希望を感じさせた。日本は、史上最多のメダルを獲得。金メダル数は、東京五輪(1964)と並ぶ16個。メダリストの活躍ぶりもさることながら、成功に至るまでの家族、指導者、地域の人々の支援の様子が浮き彫りとなり、日本中の人々に勇気と自信をあたえた。
そこで、一首。
「九割は 押されていても 土壇場で 一本のある 己の柔道」

2004年8月26日(木)
地球の温暖化

「ナショナル・ジオグラフィック」最新号を読む。「地球の温暖化」について、72ページの特集号は、人類への警鐘として、読み応えがある。干ばつや水害など、地球温暖化の実態を「地質の変化」「生態の変化」「未来予測」の切り口から視覚的に迫っている。温室効果ガスの濃度が現在のペースで増加した場合、南極の氷が溶け、海面が上昇し、海に沈む土地など、その影響は明らかである。環境の破壊i は人類の活動が地球の持つ環境容量を超えたことから始まった.。我々の子どもや孫の幸せは、我々の生活をいかにして環境容量以内に収めるかにかかっていることを再認識した。

2004年8月14日(土)
オリンピック

 いよいよ、オリンピック・アテネ大会が開幕。明け方、開会式の実況を見る。参加国と地域は、史上最多の202に及ぶという。戦闘続くイラクも参加。ロゲIOC会長が、平和と兄弟愛と寛容の大切さについて触れたのは、時代の現れか。行進する各国選手団や、華やかなショウを見て、6年前の冬季オリンピック長野大会の開会式を思い出した。今、会場にいる人々は、私自身も感じたあの独特の雰囲気と一体感を心に焼き付けているのであろう。
そこで、一首.
「映像の CG処理は 慣れし目に オリンピックの 何たる新鮮」

2004年8月10日(火)
玉川上水

 蝉時雨のなか、昭和記念公園から、残堀(ざんぼり)川に沿って歩き、玉川上水に出る。水路ぞいの緑の散策路を西武線玉川上水駅まで歩く。徳川時代、江戸の水不足を補うため、幕府は、多摩川から水を引くことを計画。多摩川の羽村から、新宿・四ツ谷までの43キロの水路を作る大工事は、1653年に着工し、翌年に完成したという。道すがら、竹林、栗林、植木農園など、武蔵野の面影を楽しむ。そこで、一首。
「清らなる 幼少送らば 地下街を 暗躍しても 終(つい)は真水に」

昭和記念公園
2004年8月7日(土)
ジャポニズム

上野は、蝉時雨。 「万国博覧会の美術」を、東京国立博物館で見る。特別展は、2005年の愛知万博を記念したもので、規模は大きく、1867年以来、日本が参加した万国博覧会の軌跡をたどっている。19世紀後半、殖産興業に邁進していた国策を受けて、陶磁や漆工など、本物の工芸品は、時代の激しいエネルギーと関係者の熱意を感じさせる。その当時、日本では大衆文化であった浮世絵や工芸品が、ジャポニズムを起こし、印象派やアール・デコに大きな影響を与えたことは興味深い。21世紀に、世界の人々の心をとらえる新しいジャポニズムは何であろうか。自問しながら、上野の山を下りた。

2004年8月5日(木)
寛容の精神

 平尾誠二氏(神戸製鋼ラグビーブ部GM)の話を聞く。ヒトのやる気に火をつけるには、先ず、強みを伸ばし、弱点を気付かせることが大切である。自分で気付かないと、行動に結びつかない。次に、達成可能の目標に向って、やる気を持続させることも成功の秘訣である。リーダーは、人材の育成にあたって、個々の問題にとらわれず、大きなバランスを