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この野生リンゴは、青森県内にも移入されてはいますが、一口に新疆野苹果 といっても、遺伝的に多様なようです。 黒石市バイオ技術センターで黒石1号の種子親として使用したものは、青森県りんご試験場(現・地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所)から枝を分けてもらったものですが、青森県りんご試験場では、青森県庁農林部の紹介で、当時の福島県果樹試験場(現・福島県農業総合センター果樹研究所)より導入したとのことです。福島県果樹試験場では、試験場の職員が天山山脈に行き、種子を持ち帰って養成したようです。 黒石1号の種子親とした樹の花は赤く、果肉は濃赤色です。しかし、新疆野苹果 の果肉がみな赤いわけではありません。花も赤いとはかぎりません。 板柳町ふるさとセンターでは、1987(昭和62)年秋に、やはり福島県果樹試験場から、根が着いた幼木(5年生位?)10本ほど貰い、2トントラックで運搬してきたそうですが、樹体が車の荷台からはみ出し、大変だったそうです。
展示されている圃場の前には右のような説明板がありましたので、
果実が大きいもの、小さいもの、表面に白い粉がたくさん付いているもの、表面がテカテカに光るもの、果実の形が扁円のもの、円錐のもの、成熟落果の著しいもの、成熟しても落果しないもの、芳香を出す果実、蜜のあるもの、無いものなど多様です。成熟期もいろいろです。 栽培リンゴには多様な形質がありますが、この新疆野苹果も極めて変化に富んだグループのようです。 ですから、右の説明板にあるように、「有紅果子」「黄果子」「緑果子」「白果子」等のような呼び名があるのでしょう。自然に生えている新疆野苹果が、すべて食用になるのかどうかはわかりませんが、板柳町ふるさとセンターにあるものは、渋味もなく、すべておいしく食べられました。 専門家の話によると、中国では、近年、遺伝子源の保護に力をいれ、自国の遺伝子源を国外に持ち出すことを極力抑制しているそうで、新疆野苹果を手にいれることは、今では不可能になったということです。果実は、板柳町ふるさとセンターと黒石市バイオ技術センターからいただきました。 今まで、栽培リンゴ(Malus domestica) は、様々な野生種の偶然の交配結果から生じたものと思われていました。しかし、最近のDNA分析の結果、この交配理論が誤っているのではないかと思われるようになりました。 新疆野苹果 Malus sieversii )は、前述のように、ヨーロッパとアジアの境界である中央アジアに自生する野生リンゴで、最近、果実を食用にする栽培リンゴ(Malus domestica) の殆どすべての品種の唯一の先祖ではないかと考えられるようになりました。 Malus sieversii は、1833年(日本では天保3年:11代将軍徳川家斉の時代)に、アルタイ山脈でこの植物を発見したドイツの博物学者Carl Friedrich von Ledebour によって、Pyrus sieversii として最初に記載されました(属名はその後変更されています)。 中国北西部とカザフスタンとの境界にあるTienShan山の北スロープのIli Valley に生えているある種のリンゴは、私たちが現在食べているリンゴの先祖です。それらから取られたDNAが分析されました。その結果、Malus sieversii と同じであり、現在の栽培リンゴMalus domestica のものとも共通であることがわかりました。 また、Malus sieversii は、栽培リンゴ同様に、5〜12mまで成長する落葉樹ですし、果実も栽培リンゴ並みに大きくなるものもあり、最大径7cmのサイズのものもあるとのことです。 |
| 〈文献1〉 | S.A.Marris, J.P.Robinson & B.E.Juniper Genetic clues tothe origin of the apple TRENDS in Genethic Vol.18No.8 August 2002 |
| 〈文献2〉 | http://en.wikipedia.org/wiki/Malus_sieversii |