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| 樹上のミニふじ 2010年10月14日撮影 |
三戸町の農産物直売所で、袋に詰められて姫りんご子ふじの名で売られていた小さいりんごがありました。はじめ、アルプス乙女かと思いましたが、近くの棚に、アルプス乙女がありましたので、別物かもしれないと思い、購入して持ち帰りました。袋を開けて見ましたら、今まで見たことも無いりんごでした。右の写真で、ふじやアルプス乙女と比較して下さい。
試食したところ、果肉は少し硬く、歯ざわりもよく、名前の様にふじ並みにうまく、酸味の心地よいりんごです。しかし、ふじの味ではありません。苦味もなく、皮もあまり硬くなく、とても食べやすいと思いました。
三戸郡南部町のりんごに詳しい知人に電話で伺いましたら、りんごの販売名はミニふじで、これを育成された方は他界され、今はご両親が生産なさっているとのことでした。後日、そのお宅に案内していただき、いろいろとお話を伺うことができました。
栽培者は三戸町の水野益栄(ますえい)氏としげ夫人で、ご子息の長男・水野益治(ますじ)氏により、新しく作られた品種であることがわかりましが、残念ながら、益治氏は、2005(平成17)年3月に、51歳の若さで病死なさったとのことでした。
病気が見つかり、入院後、あまり間をおかずに亡くなられたので、交配の記録などは、残された人が利用できる形では残っていないとのことで、交配親は不明です。
水野益治氏は、名久井農業高校を卒業後、黒石市の県りんご試験場(現・産業技術センターりんご研究所)で、1年間、研修を受けてから農業につき、リンゴやサクランボの栽培に精力を傾けた卓越した篤農家です。若者同士で研究グループをつくり、活発な活動をしていました。特徴あるリンゴの育種にも熱心で、特に小形で美味い実をつけるリンゴの育種に力を注ぎ、自宅の圃場には、今でも、品種名がついていないリンゴが30〜40種類ほどが、そのまま栽培され続けているそうです。良くないものを伐採しようかとも思うそうですが、切る決心がつかないとのことででした。
水野家では、これらの小形りんごの中の一つで、上の写真にあるような品種を、「ミニふじ」の商品名で、2001(平成13)年から、東京の高級果物店に、農協を通して、毎年、相当量を納めているそうです。
三戸の農産物直売所に姫りんご子ふじとして出荷していたのは、上述の研究
グループのメンバーの一人だったということで、枝でも分けてもらったのではというお話です。
ミニふじは、今では、右図のように矮性台木にふじを中間台木として栽培されています。
しかし、水野益治氏は、当初、このリンゴを、下の写真のように、圃場に植栽されているふじの樹の上の部分に高接して栽培していたそうです。ミニふじの名前も「ふじの樹に高接した小さいりんご」という意味でミニふじと呼んだのでしょうか。育種した益冶氏がこの世におられませんので確かめる術はありません。
果実は長円錐形、70〜80g のクラブりんごで、王冠がはっきりしています。糖度17〜18%程度で、酸味が適度で、肉質の硬めな、保存のきく、うまいりんごです。10月末頃には美しい赤色になり、収穫できますが、11月に入ると落下が見られるようになります。果実が葉にかくれると、その部分が着色しないので、果実の周りの葉を適当に摘み取る必要があります。また遅く収穫すると蜜が入りますが、遅すぎると果実表面が黒くなり、美観が損なわれます。
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| 産経新聞(2009年10月14日 |
インターネットで検索すると、ミニふじは、ふじと千秋の交配種だと書かれている場合がありますが、前述のように、育成者である益治氏が死んでしまい、交配記録もないので、いまのところ、「交配親は不明」としておいた方がよいと思います。
栽培者の水野益栄氏は、私と同じ昭和初期の生まれです。50歳を過ぎてから短歌を始め、新聞にも投稿しておられ、掲載された作品を読ませていただきました。
水野益栄氏のご好意で、亡くなったご子息益冶氏が育成したいろいろなりんごを見せていただきましたが、その中から、ミニふじ以外に、7 種類のりんご果実を分けてもらいました。水野益治氏の育成りんごA〜I として紹介します。ただし、A
は、すでに述べたミニふじです。A 以外のB 〜I には品種名が付いていませんが、いずれも、食べられますし、個性もあります。もし、これらのりんごがそろって店頭に並んだら楽しくなります。
重さ100g 前後のクラブりんご。糖度は13%程度、肉質はジョナゴールドに似ていますが味は少し違います。渋みは無く、さわやかな味の、真っ赤なりんごです。美味しいです。
食用にも、飾り物にもなり、長期保存が容易な、きれいなりんごで、作りやすく、10月10日頃収穫しますが、果実が落ちやすいそうです。花粉樹にも向いているとのことでした。お正月に、鏡餅の上に飾りたいという人がたくさんいました。部屋に放置しておくと、ろう質物がでて果実表面がテカテカ光ってきます。
重さ50g程度のかわいいりんご。糖度11〜12%程度。皮に少し渋みがありますが、味も肉質も結構です。
甘味の強いりんごで、糖度は20%を超えます。酸味も強く、味が極めて濃厚です。熟して食べごろになるのが、2月過ぎになるそうです。20〜25g程度ですが、食べると水気の多いお菓子です。加工用にもよいかもしれません。
40〜50gの黄色いりんご。糖度13%程度です。皮ごと食べても美味しいりんごです。上品な味がします。
80〜90gの、姿・形が王林によく似たミニりんご。糖度15%で、酸味・肉質・香りもよい、うまいりんご。味は王林と違います。このまますぐに食卓に出しても十分楽しめます。
重さ100g程度の長円錐形の果実で、果肉に赤味を帯びることもあり、やや硬く、糖度10%程度です。特別にうまいとはいえませんが、渋みもなく、生で十分食べられます。また、酸が効いていますので、加工用にもなるかなとも思います。
十分注意して、記録をとりながら写真をとったつもりですが、花の写真が別の品種のものと入れ違っているかもしれません。葉については間違いありません。
重さ120g前後、大きいもので140g程度です。糖度11%程度ですが酸が強くないので結構食べられます。肉質は良好でです。
重さ90g程度のミニりんご。肉質良好で、甘さも十分の美味しいりんご。上に述べたどの品種より美味しい。糖度15%程度。
栽培者の水野益栄氏には、ご多忙中のところを、2009年初冬と2010年春・秋の3回にわたり、圃場をご案内をいただき、観察・写真撮影の機会を与えて下さいました。 また、試食・写真撮影用の果実を分けて下さいました。心より感謝いたします。 |