カナダのJohn McIntosh氏(1777〜1846年)によって偶発実生から発見され、McIntosh red と名づけられた世界的品種で、このリンゴが日本でも知られるようになったのは、1890(明治23)年に、カナダのギップ氏によって札幌農学校に寄贈されたのが始まりであると言われています。日本では、明治25年にと名付けられました。9月下旬の成熟です。
樹上の果実
りんご研究拠点圃場(盛岡市)


 アメリカやカナダでは、現在でも主要品種の一つに挙げられています。この品種は寒地に 適しており、青森県のものでも到底北海道産に及ばないと言われている程です。寒地で適期に収穫し、約1ヶ月貯蔵したものは、多汁で、酸の効いた、甘味が十分で、芳香の強いうまいりんごですが、そのように処理したものでなくても、9月下旬から10月初めに収穫した果実は、適当な甘味があり、特有のきりっとした酸っぱさと舌触りもある、美味しいりんごです。欧米ではいまでも好まれる、重要品種です。

 日本では、(8月中下旬)と紅玉スターキング(10月中旬)の間をつなぐものとして、一時 かなり普及しました。樹勢が強く、花芽もつきやすく、生産力も非常に高い品種ですが、黒星病に弱く、しかも収穫前の落果の多いことが欠点で、樹上で着色したものから 順次収穫(すぐりもぎ)したり、植物ホルモン剤(落果防止剤)の散布を行ったりするという手間もかかります。また、暖地では適期に採っても着色、品質、貯蔵力におとり、このため暖地では市場からも見限られてしまいました。しかも、未熟なうちから何とか食べられるものですから、日本では早もぎされて市場に出ることが多く、完熟したものを手にいれることは困難でした。その結果、酸っぱいだけのまずいりんごと消費者から烙印を押されてしまいました。また、この時期の優良品種未希ライフつがるなどの出現によって急激に衰退し、現在ではあまり市販されていません。

  カナダのウイジック氏のリンゴ園で、1963年に「McIntosh red」の枝変りとして発見されたリンゴは、側枝や節間の長さが普通の栽培品種に比べて極めて短く、枝が横に成長することがないカラムナータイプのりんごの原種となった品種ウイジックです。

 John McIntosh氏(1777〜1846年)の両親は、スコットランド北部のインパネスから米国ニューヨーク州ホモーク・ヴェリィへの移民ですが、彼が19歳のときの1796年、カナダのOntario州に移住します。
 1811年(日本では文化8年・徳川家斉の時代)のことです。John McIntosh氏が34歳の時、新しく入手した土地の森林を切り開いていましたら、そこに数本のリンゴ実生が生育しているのを見つけました。彼はそれらの樹を自分の圃場に移植しましたが、たった1本だけが活着しました。数年後、その樹に、緑の地色に赤く着色する、すばらしく美味しい果実が着きました。
 彼はこのリンゴに「McIntosh Red」という名前をつけて大事にしました。後年、この名前がこの品種の正式名称となります。
 McIntosh氏は、このリンゴを増殖したいと思ったのですが、ご存知のように栽培リンゴは複雑な雑種なので、同一品種を種子で増やすことはできません。時間は流れていきました。
 しかし幸いなことに、たまたま、ある訪問者から「接ぎ木」の技術を教わる機会に恵まれ、John McIntosh氏と子息のAllen氏は、たくさんのりんご苗木を作ることができるようになりました。1835年のことです。
 Allen氏および弟のAlexander氏は、1830年代後半に、父親から農場の経営を引き継ぎ、圃場から、この新しい品種の苗をたくさん育てる努力をしました。しかし、McIntosh Redは黒星病に弱く、実際に増殖が効率的に始められたのは20世紀に入り、殺菌剤を効率的に噴霧するスプレーが開発されてからです。
 このMcIntosh Redの評判は高く、たちまち市場に浸透し、この新品種とその交配種はカナダのりんご生産量の50%を超える超有名品種になりました〈文献1〉。
 残念なことに、McIntosh Redの原木は、1894(明治27)年の火災で損傷を受けてしまいます。McIntosh家の家族は保存のためにいろいろと手を尽くしましたが、樹は次第に衰弱し、1908(明治41)年にたった1個の最後の果実をつけ、1910(明治43)年に枯死してしまいました。
 これらの圃場跡には、立派な銘板(Ontario's Provincial Plaques)〈文献1〉が建てられ、史跡として保存されています

 写真の果実は北海道・旭川から購入しました。

 余談ですが、
 コンピューター技術者であるJef Raskin氏は、自分で構築したコンピューターシステムに、食料雑貨品店で売っているりんご「McIntosh」の名前を付けました。その際、正しいスペリングではなく、よく見かけるミススペリングの 「Apple Macintosh」 という名前を付けています。これは、オーディオメーカーの商標 「McIntosh」 との混乱を避けるために、わざと、そのように書いた可能性があると信じられています。
 しかし、コンピュ−ター名の「Macintosh」が有名になり、栽培者が、りんごの名前の「 McIntosh」 を、「Macintosh」 とミススペルで書き表すことが、今でも続いているそうです
〈文献2〉

〈文献1) http://www.ontarioplaques.com/Plaques_STU/Plaque_Stormont12.html
〈文献2) http://en.wikipedia.org/wiki/McIntosh  Borrowing the name