紅絞は、 カナダ原産と思われます。フランスからの初期の移民が、母国からの種子をもってきて、Vermont州とNew York州の間のChimny Point に、1730年頃に根付けされたと言われているリンゴです。したがって、原名もフランス語だと思われます。私どもはフランス語を読めませんので、長年フランスに住まわれた方に教わりましたら、「Fameuse」はフランス語の形容詞で、「とびっきりの」「素晴らしい」「優れた」などの意味で、「ファムーズ」と読めばいいのではということでした。
 それにしても、1730年とは随分昔の話で、アメリカもカナダもまだ独立していません。アメリカ独立戦争の始まる45年も前です。日本では八代将軍徳川吉宗の頃です。古い品種です。
 日本では、1871(明治4)年に開拓使(明治2〜15年の間、北海道開拓を任務として設置された官庁)がアメリカとフランスから導入しました。収穫期は10月中旬〜下旬です。紅絞にはいろいろな別名があります。各地で「あ印」「フハミス」「中畑赤」「水引」「晩紅絞」「雪光」「玉簪(たまかんざし)」などと呼ばれました。津軽ではタマカンといいますが、「玉簪(たまかんざし)」を簡略化した言葉で、当時の人々は、このりんごを見て、若い娘が髪を飾る「かんざしの珊瑚の玉」のように美しいと思ったのでしょう。
 
珊瑚の玉簪(たまかんざし)
かつては広く栽培されていたらしく、年配の方に「タマカン」というと、「ウン、切れば真っ白いりんごな!」とか、「柏の日本一の長寿りんごのことだべ」といいます。

 2002(平成14)年の10月中旬に、柏村桑野木田(現・つがる市柏桑野木田)の日本最古の西洋りんご果実を購入してすぐに食べたときは、硬くて酸味が強く、未熟であまり感心しませんでしたが、弘前りんご公園の樹上あるものを、2009(平成21)年11月12日にいただいて、自宅で写真撮影後に試食して驚きました。のように、果肉が白くて口当たりがよく、酸味が穏やかで、糖度が15.5度と高い、さわやかな味がする、美味いりんごでした。さすがに、11月中旬まで樹上においたために少し過熟気味でしたが、それでも感心しました。
 以前、2002(平成14)年の10月中旬に入手したつがる市柏のりんごも、購入してすぐには食べず、もう少し熟すのをまって食べればよかったのかなと後悔しています。
 完熟したものは、フランス語の原名通りの「fameuse(素晴らしい)」りんごです。ただ、大きくても200g程度なので、見劣りがして市場から姿を消したのでしょうか。保存性などに問題があり、現在の流通制度に乗らなかったのでしょうか。もったいない気がしました。
 紅絞明治時代における青森県のりんご7大品種の一つで、明治から昭和初期までの重要品種です。

 上の写真で、花の写真側の、少し青っぽい一個の果実と花は、青森県つがる市柏桑野木田(旧柏村)にある日本最古の西洋りんご樹のもの。他の果実と葉は、弘前市りんご公園からいただいたものです。