リンゴはバラ科の木本植物です。バラ科の植物には、私たちが食用にする実をつくるもの、果樹がたくさん知られています。
 有名なものとしてはリンゴ、ウメ、モモ、サクランボなどがあります。
 これらのおいしい実は花が変化してできることは知られていますが、花のどの部分がどのように変化したものでしょうか。
 花は、葉が特殊化した萼片(
がくへん)、花弁(かべん)、おしべ、めしべが、花梗(かこう)の先端部の膨らみである花托(かたく)上に、一定の規則で付いているものです。
 右図はバラの若い茎の横断面です。正常な若い茎はこのように、外側に表皮、次に皮層、中央部に髄(ずい)があります。皮層には葉緑体がたくさん見られます。茎が変化した花梗や花托にも、皮層と髄が見られます。



モモの花

 萼片花弁おしべめしべから成り立っています。萼片花弁おしべとも、葉が特殊化したものです。めしべも特殊化した葉が1〜数枚集まってできたものですが、その特殊な葉の変形物を心皮と呼びます。めしべは、花粉を附着させる柱頭、その下は細長い花柱、下部は膨らんで子房になり、その中に胚珠という種子になる部分を包み込んでいます。

 モモの場合は、萼片花弁は各5枚、おしべはたくさんあります。めしべは1本で、1枚の心皮からできています。めしべの根元の膨らみ、つまり子房の中に、将来種子になる、胚珠が1個だけ含まれています。

 図では説明のために、胚珠が見えるように描いていますが、被子植物の場合、胚珠が露出することはありません。
 モモの果実の食用部分は、このめしべの根元である子房の外側が発達したものです。また、果実の中にある殻の硬い部分子房の内側が特殊化したもので、この殻の硬い部分の中に胚珠が発達してできた本当の種子が保護されています。
 モモの果実の割れ目は、心皮の縫合部分の名残りで、ウメ、サクラ、サクランボ、スモモなどの果実も基本的には同じ構造です。
 上図右端の果実は天津(てんしん)という、昔の有名な品種です。童話「桃太郎」の挿絵に、これと似た形のモモ果実が描かれていることが多いようです。半分に割ると、果肉が殻(中に本当の種子がある)からきれいに剥がれるので、説明のためにこの品種を使いました。三戸町で購入しました。



リンゴの花

 リンゴはイチゴ同様に花托が発達して食用部分になりますが、各花には子房が一つで、花托に包み込まれたような形になっています。そして萼片付着部より下方の花托が、子房を包み込んだまま発達して果実になります。花は品種つがるのものです。

 花弁が丸く大きく、花弁や萼の数も5枚で、おしべがたくさん(20本)ありますから、外観はモモやウメの花に似ていますが、子房が上図のように5枚の心皮から作られているという違いがあります。
そして心皮は細く伸びて、花柱となります。リンゴの花柱は、途中までは1本で、表面に軟らかい毛がたくさん生えていますが、やがて無毛の5本に分かれてその先端部が変形して花粉を受け取る働きをする柱頭になります。

 左図で、リンゴの花とサクラの花断面を比較しました。サクラの子房(めしべの下端ふくらみ)は露出していますが、リンゴの子房は花托に取り囲まれています。リンゴの子房の中に将来種子に発達する胚珠がはっきり見えます。リンゴ品種はアルプス乙女、サクラはフジザクラです。



 下の写真は、リンゴの花托が発達して果実になる様子です。
 上列中央部の写真のように、花は4〜5本群れて咲きます。中心部の花が先に咲きますので中心花、それ以外の少し遅れて咲く花を側花といって区別します。中心花は成長が早く、しかも充実しています。中心花も側花も成長して果実になりますが、このまま成長させると小さい果実がたくさんできてしまい、日本では売り物になりませんので適当に間引きます。これを摘果といいます。摘果するときには側花が捨てられ、中心花が残されることが多いようです。
 しかし、外国ではヨーロッパ輸出用に栽培するときには、中心花を取り除いて側花を二つ残すそうです。そうすると小形の果実ができるということです。花は陸奥、その他はふじです。

 <文献>  果樹園芸大百科2 リンゴ 46ページ 横田 清 農山漁村文化協会