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お盆直前にだけお店に姿を見せる 日本で、昔は愛でられていたリンゴ |
お盆の直前に、県内数箇所を調べましたら、下図のような「長円錐形のリンキ」と「円形または扁円形のリンキン」の2種類の小さな青りんごが店に出ていました。特に、リンキンはいろいろなところで見ることができ、リンキン、りんきん、林金、りんごなどという名前で売られていました。いずれも青森県産とあり、種子が白い未熟な果実です。秋までにはもう少し成長して大きくなり、赤くなるものと思われます。 販売名が品種名を正しく表しているかどうか不明ですが、古くから日本にあった古い系統のリンゴの仲間が、まだ細々と栽培されているのでしょうか。それともリンキやリンキン(りんきん)という古い言葉だけが生きているのでしょうか。なお、販売店ではこの両者をはっきり区別して販売していました。また、和林檎をいろいろと調べておられる滋賀県の方に、下の写真を見ていただきましたら、日本一長寿のワリンゴである長野県南佐久郡川上村の川上りんきの古木の果実は、左端の「販売名 リンキ(青森市)」とよく似ているとのことでした。
この種苗管理センター上北農場は、いろいろな農作物に関連した植物を遺伝子源として集め、計画的に保存しているところです。また、ジャガイモの原々種を管理・栽培しているところとしても有名で、200ヘクタール以上もの大農場を持つ機関です。所員のお話によると、この農場にはクマやウサギなども出るということです。 恐るおそる訪れた素人の私どもに、所員の方々は大変親切にして下さいました。そして広い農場をわざわざトラックで案内して、リンキという名前で系統保存している2種類のリンゴ属を見せて下さいました。それが次の写真です。
仏前に供えるために、リンキン、りんきん、林金などとして売られている円形ないし扁円形のりんごは、県りんご試験場と弘前市りんご公園に栽植されているワリンゴの未熟果実や上北農場のワリンゴ変種リンキ(北農試)の果実(観察時には未熟でした)と酷似していることは確かです。また、上北農場のワリンゴ変種リンキ(青り試)はヒメリンゴともよく似ています。 また、前述のように「販売名 リンキ(青森市)」は長野県南佐久郡川上村の川上りんき果実とよく似ているとのことですから、これもワリンゴの仲間なのでしょうか。 しかし、リンゴ属の分類は、素人の私どもには手に負えませんので、「ここにこんなものがありましたよ」と、事実をありのままお伝えするだけにしておきたいと思います。このことについて詳しいことを知っておられる方はご教示下さい。 明治以降に、特定の地域Aで使われている名称を参考にして、学者が学問的名称を仮にリンキとしたとしても、別の地域Bで類似のリンゴが生活用語としてリンキンという名前で呼ばれていれば、B地域の古くからの行事に登場するリンゴはリンキンと呼ばれるはずです。 日本で、昔から栽培されていたリンゴに、加賀りんご、高坂りんご、川上りんき、彦根りんご、りんきん、りんきなど、各地に固有品種や呼び名が残っています。また、観賞樹のウケザキカイドウ(ベニリンゴ) Malus pruniforia Borkhausen var. rinki Reld.の学名の変種名にも「rinki」とありますので〈文献3〉、この仲間はリンキとも呼ばれていたようです。これらのリンゴは、西洋りんごが移入されるまでは、地域ごとに生活に密着し、皆に愛でられていたものだったのでしょう かつて上北郡野辺地町で生活したことがある方が、「野辺地町にはさなしというピンポン玉程度のりんごが売られており、食べて楽しんだし、お盆にはお供え物にもした」と言っておられます。 植物学的には、さなしはズミMalus sieboldii Rehder の別名で、園芸関係者はミツバカイドウともいいます。ズミの果実は「さくらんぼの種子」程度の大きさで食用にはできませんので、「野辺地町でさなしという植物」はズミでないことは確かです。しかし、北海道と青森県の各一部で、ワリンゴ(和林檎)のことを「さなし」といったという記録があります〈文献4〉ので、「野辺地町でさなしとして市販されていた」のはワリンゴだったのではないかと思っています。ただし、野辺地町生まれで、いまもそこで生活している数人の知人に伺っていますが、今のところ「さなしなどというリンゴは聞いたことも見たこともない」という答えのみが返ってきています。 |
〈文献〉
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