便宜供与など差別問題に対する
不当労働行為救済命令申立書


                           2002年2月8日 東京都地方労働委員会
会長 藤 田 耕 三 殿
                  申立人  全労協全国一般東京労働組合
代表者執行委員長  高  木  貞  治
被申立人 東急バス株式会社
代表取締役社長 上 條 克 之

  当事者の表示   別紙当事者目録記載の通り

   被申立人の申立人に対する後記行為は労働組合法第7条1号、2号、3号、に該当する不当労働行為であるので救済命令を発せられたく、本申立をする。 請求する救済の内容 1 被申立人は申立人の一時金要求にたいして、要求根拠が解らないなどのイヤガラセをすることなく、申立外東急バス労働組合と差別して一時金支給を遅延させてはならない。 2 被申立人は、申立人を申立外東急バス労働組合と差別することなく、申立人の求める営業所長らとの団体交渉に誠実に応じなければならない。 3 被申立人は、申立人に所属する東急(バス)分会員らの職場内情宣活動を認め、申立外東急バス労働組合と差別して警告書などを発してはならない。また、申立人に対する威圧行為を行ってはならない。 4 被申立人は、申立人を申立外東急バス労働組合と差別することなく、各営業所などに組合掲示板の場所を確保しなければならない。また、FAX・電話・営業所施設の使用を認め、併せて、各営業所内などにおいて、申立人と東急(バス)分会、東急(バス)分会員同士の面談などを認め、また、郵便物を取り次がねばならない。 5 被申立人は、申立人に所属する東急(バス)分会員らに対し、申立外東急バス労働組合と差別することなく、就業時間中の組合活動を認めなければならない。その内、各営業所に在籍する分会員1名に対して、申立外東急バス労働組合の支部長と同様の便宜供与を認めなければならない。 6 被申立人は、下記謝罪文を交付するとともに、同文をタテ2メートル、横1メートルの白板に墨書し、被申立人会社の本社および各営業所の正面玄関の見易い場所に本命令受領から1ヶ月間掲示しなければならない。

 当社が、貴組合の分会である全労協全国一般東京労働組合東急(バス)分会に行った次の行為が今般、東京都地方労働委員会において不当労働行為と認定されました。
それらは、
@申立外東急バス労働組合に比して、要求根拠がわからないなどイヤガラセを行い、一時金を遅延させたこと。
A営業所長らが団交に応じないこと。
B職場情宣を認めず警告書を発布することや威圧行為。
C組合掲示板などをはじめFAX・電話の使用・施設の使用、組合員の面談などを認めないこと及び、郵便物の取り次ぎなどを行わないこと。
D就業時間中の組合活動を認めないことおよび、営業所に在籍する分会員1名に対し、申立外東急バス労働組合における支部長と同様に便宜供与を認めないこと。
 よって、当社は上記不当労働行為を深く反省し、貴組合ならびに全労協全国一般東京労働組合東急(バス)分会に陳謝するとともに、今後かかる不当労働行為を一切行なわないことを誓約いたします。

年   月   日
全労協全国一般東京労働組合
代表者執行委員長 高木 貞治 殿
東急バス株式会社
代表取締役社長 上條 克之

不当労働行為を構成する具体的事実

第1 当事者
1 申立人
 申立人全労協全国一般東京労働組合は、総評・全国一般東京地方本部北部支部の歴史と伝統を継承発展させ、首都圏全域における一般産業および中小企業労働者の権利を守り、労働者の統一と団結の強化などを目的として、1990年11月7日に設立登記された労働組合であって、東京都新宿区市谷左内町11に事務所を有し、現在組合員数は約4000名である。
申立人東急(バス)分会(以下「分会」という)所属の組合員は、私鉄総連・東急バス労働組合に所属していたが、支部役員などの活動を行う中で、東急バス労働組合の方針ならびに運営に疑問を持ち、積極的に権利を確立し、労働条件を維持向上し職場環境を良くすることなどを目的に、2000年10月6日、私鉄総連・東急バス労働組合を脱退して申立人に加入した。現在公表している組合員は12名である。

2 被申立人
 被申立人は肩書き地に事務所を置き、その他都内・神奈川県に営業所を持ち、路線バス運行業務を主たる業とするものであり、職員数は運転手が約1300名、事務部門等の職員を入れると約1900名である。


第2 本件にいたる経過および不当労働行為事実

1 組合結成にいたる経過
 被申立人においては、近時、運輸業界の規制緩和も手伝って、労働時間の延長、東急トランセという下請会社への運行路線委託、手当てのカットなど、労働者へのしわ寄せ不利益変更が強化されている。また、そのことと機を同じくして、活動的な組合員に対する懲戒処分が乱発された。
 しかし、東急バス労働組合はそのことにほとんど無抵抗であり、分会に所属した組合員は、これでは雇用も権利も守られないとし、東急バス労働組合の脱退を決意し、労働組合の再生をめざしたものであり、2000年10月6日に渋谷区内において分会結成集会を開催して、申立人に加入し、分会の運動方針・役員などを決定した。

2 団交申し入れと団交拒否
申立人および分会は、2000年10月6日朝、東急バス労働組合本部に出向き、東急バス労働組合へ、労働組合脱退通知書を提出し、その後、被申立人本社に出向き、労働組合結成通知ならびに団体交渉申入書と組合規約・99年度役員名簿を被申立人に手渡し説明した。
 その後、2000年10月27日に被申立人との間で第1回団体交渉が開催されたが、冒頭、被申立人による一方的な団交出席者数4名という人数指定(なお被申立人における東急バス労働組合との労働協約における団体交渉人数は双方7名)によって紛糾し、この後、被申立人が、紛糾責任を申立人に強要し申立人が謝罪することを前提とした団交開催に固執し団交を拒否したため、御庁において、平成12年(不)122号事件(甲第1号証)として審査を受け、翌2001年8月27日に御庁・東京都地方労働委員会の場において、団体交渉を開催すること等で和解(甲第2号証)が成立している。

3 被申立人による2001年夏季一時金の遅延と冬季一時金の遅延。
申立人組合に所属する分会員らは、2000年10月6日に東急バス労働組合を脱退し、申立組合に加入しているが、2000年12月の冬季一時金については、2000年10月27日第一回団体交渉以降の団交拒否の中で、交渉がなされていないが、2000年12 月5日に東急バス労働組合に対する支給日と同日に支給されている。
その後、2001年夏季一時金について、被申立人事業所において、5月ごろから被申立人の職制などによって、申立人分会には一時金が出ないなどとの噂が立ち、被申立人人事部の吉田家興課長(当時、現在は次長)は、申立人分会の竹内政則分会長の東山田事業所まで出向き、「このままでは、全労協さんには、ボーナスがでない」などとのイヤガラセを行っているのである。また、被申立人は、申立組合員石山弘に対しても、2001年6月13日に行われた添乗査察の面接指導のなかでも同様の発言を繰り返している。その発言の具体的内容は、前掲吉田課長の発言であるが、「昇給はしない、みんな家のローンがはらえるのかな?」というもので、まったくふざけきっているのである。なお、あわせて付言するが、この面接指導も通常東急バス労働組合員になされる場合、指導を受ける側1名(複数の場合もある)と会社側2名3名出席であるが、石山組合員については、吉田課長を筆頭に6名が、石山組合員を取り囲み、10時20分ごろから12時40分ころまで、休憩もなしトイレ時間もなしという軟禁ともとられかねない威圧的面接指導であったのである。
そこで、申立人は、被申立人が団交を拒否している情況に鑑み、2001年5月23日、独自に2001年夏季一時金要求書を被申立人に送付したが、被申立人は要求根拠が解らないなどとして、一時金要求に対する回答を行っていない。
申立人は、このままでは、夏季一時金の支給が遅れ、申立人分会員らへの経済的打撃が大きいと考え妥結通知を行ったが、被申立人は支給を意図的に遅延させたため、申立人は、御庁労働委員会において「審査の実効確保の措置の勧告」を求めた申立を行い、御庁より被申立人に対する2001年夏季一時金の支払を督促する要望書(甲第3号証)が2001年7月4日に発布された。
しかし、被申立人はその要望書にもすみやかに従わず、実際に2001年夏季一時金が支払われたのは、2001年8月7日である。なお、被申立人大橋営業所の所長豊崎昌美(現新羽営業所所長)にいたっては、2001年6月28日の東急バス労働組合に対する夏季一時金の支給の日に、一時金明細を東急バス労働組合の組合員に手渡す際、「全労協には出ないらしいけれど、みなさんには日頃ご協力頂いていますのでボーナスの明細を渡します」などと露骨な組合差別発言を行っている。
また、被申立人は2001年冬季一時金についても、東急バス労働組合員に対する支給日が12月6日であるのに対し、申立人分会にたいしては、12月21 日と遅延させている。この冬季一時金については、11月30日に団体交渉が開催されたが、被申立人はそこでも要求内容が解らないなどとイヤガラセを行っている。また、申立人がこの場で妥結したら支給日は東急バス労働組合員に対する支給日と同日になるかと被申立人に確認したところ、12月6日の支給日には間に合わないとのことであった。
要するに、被申立人は、12月6日の支給日に間に合わないことを前提に団体交渉を設定しているのである。

5 被申立人営業所所長らの団体交渉拒否

被申立人の事業所は、バスの営業所として都内と神奈川県に点在している。
その中で、東急バス労働組合は各営業所に各支部を配置し、組合員の日常的な問題に対処しているのである。支部役員は支部長、副支部長、書記長、企画調査部長、教宣部長、文化部長、財務部長、事故防止委員会委員長、福祉厚生部長、車両担当委員会で構成されている。当然、東急バス労働組合の組合員の労働条件(有給休暇、運行、事故、など)で各営業所所長などと就業時間中も含め随時協議を行っている。しかるに、被申立人は、申立人の営業所所長団交について、営業所所長は団交の主体ではないなどとの主張に終始し、露骨に団体交渉を拒否しているのである。(甲第4号証)(甲第5号証)
また、申立人分会にイヤガラセの一貫としてなされている過剰な添乗査察の結果として「指導書」なるものが、大量に出されているが、申立人分会の組合員らはその一方的な「指導書」に捺印を保留し、「指導書」の公平性や透明性も含め、各営業所所長らに団体交渉を口頭で何回も申入れているが、これも無視されている。
その他にも、被申立人は、淡島営業所において、申立人分会員岩崎淳に対して、乗務交代時、発車時間まで1分ほどしか時間がなかったが、正規の点検作業をした結果、運行調整係の発車指示時間に4分遅れたとして、業務違反として1日の停職処分を行っている。大橋営業所においては、営業所長らが、慣行化されていた感冒やアレルーギーの際のマスク着用に対し突然中止を行い、それに抗議した申立人分会員森弘を1日勤務させず賃金カットを行っている。また、申立人分会員鈴木淳也にたいしては、有給休暇申請に対し一方的な時期変更権の行使を行い欠勤扱いにしている。申立人分会員の石山弘に対しても、体調不良のため、正規の手続きで休暇を申請しているにもかかわらず、2日の内1日を欠勤扱いにしている。さらに、被申立人は事故に託けて、申立人分会員井田敏彦に対し1日の停職処分を行い、また、申立人分会員鈴木淳也に対し13日の自宅待機処分の上15日の停職処分を行っている。このように、被申立人の対応は、申立人を嫌悪し、東急バス労働組合と比して差別的対応を行い、営業所において様々な問題が発生しているにもかかわらず団交を拒否している。

6 被申立人による申立人の情宣活動にたいする警告書の発布および威圧行為。
被申立人事業所にある多数組合の東急バス労働組合は、私鉄総連に加盟している。かつて、春闘時においてはストライキをおこなったこともある。ストライキの際は、各職場(営業所)に横断幕、組合旗を掲示し、職場集会を行っている。そのことは、被申立人もよく承知している事実である。また、かつて、支部役員なども歴任し活発な組合活動の経験がある分会員にとっても自明のことである。
しかしながら、被申立人は、申立人の情宣活動を東急バス労働組合と差別的に扱い、申立人にたいしては、警告書を出し厳正処分を仄めかし、施設内情宣活動を禁止している。(甲第6号証)(甲第7号証)

7 被申立人による組合掲示板の拒否ならびにFAX・電話の使用、郵便の取り次ぎなどを行わないという便宜供与の拒否について。
申立人は、2000年の10月27日の被申立人との第1回団体交渉においても、その要求書において、組合掲示板をふくめ、FAX・電話の使用などの便宜供与を明確に求めているが、被申立人は組合掲示板については、掲示板は組合員同士の連絡用などと述べ、当時申立人分会には、組合員が4名しかいなく各営業所に1名だけであったので、必要ない旨述べている。
その後、被申立人は、団体交渉拒否として、不当労働行為事件として争われている事にかこつけて、それまでは、取り次いでいた郵送物などの取り次ぎも一切禁止している。また、2001年8月27日の和解以降、団体交渉が開催されたが、被申立人は申立人との団体交渉にあたって、この間の議題が山積みになっているにもかかわらず、文書回答すら用意しないという態度に終始し、便宜供与について、何ら具体的態度を示さないし、申立組合からの営業所への連絡を一切禁止しているのである。(甲第4号証)
さらに、被申立人は、申立人分会の分会長に送付された申立人からの送付物を、梱包し直し、申立人の名前を勝手に使用し着払いにして、申立人分会長の自宅に送り付けるという行為を行っている。

8 被申立人が申立人に対して就業時間中の組合活動を認めないことや分会員1 名を支部委員長と同様に扱わないこと。
2000年10月6日の分会結成以降、申立人分会は徐々に、職場の信頼を勝ち取り、分会員を増加させて来ている(公表12名)。前掲5の「被申立人営業所所長らの団体交渉拒否」の項でも明らかにしているが、被申立人の各営業所にあわせて、東急バス労働組合の各支部が配置されているが、職場の労働者の日常的な労働条件などについて、被申立人事業所にあっては、被申立人と東急バス労働組合が支部長を中心に被申立人営業所所長らと随時協議を行っている。バスの運行に伴う様々な労働条件にまつわる問題はこのように多岐にわたっている。
したがって、そのことは、申立人分会にも当てはまるのであり、申立人分会も、何とか団交を実現するよう求めているが、被申立人が拒否していることは、先ほど述べた通りであるが、同時に、申立人に就業時間中の組合活動を認めないことや営業所の内1名を支部役員同様に、被申立人が扱わないことは、複数の労働組合が存在するなかにあって、著しく衡平に欠き、申立人組合を差別的に扱い弱体化させる効果がある。

第3、まとめ

被申立人は、申立人分会に対し、夏季一時金および冬季一時金の支給につい て、夏季においては、御庁・労働委員会の要望書が出されて以降も1ヵ月以上 遅延させて支払った。また、冬季一時金についても団交が開催されているが、 団交においても要求根拠が解らないなるイヤガラセを繰り返し、通常の一時金 交渉であれば、団交において具体的回答書を用意するのは当たり前であるが、 東急バス労働組合にのみそのような対応を行い、申立人については、それを行 っていない。
また、支給日についても、東急バス労働組合には行ったことがない「○ 月○日を目途として」(甲第8号証)(甲第9号証)という表現を使いあくまでも努力はするが遅れる場合も有り得るかのように対応し不誠実極まりない。
すなわち、被申立人は、申立人分会員に対し一時金を遅延させ経済的打撃を与え、その日時もはっきりしないという不利益扱いを行い、一方、生活費や住宅ローンなどの支払で一時金を当てにしている被申立人で働く労働者が申立人に加入するのを躊躇せしめる効果をねらい、申立人組合の弱体化をねらった支配介入は明らかである。
営業所団交については、被申立人がどのように弁解をしようが、申立外東急バス労働組合と被申立人各営業所所長などが団体交渉を日常的に行っているのはあきらかであり、申立人と団交を行わないことは、明確な団交拒否である。 申立人の情宣活動に対する被申立人の警告書の発布と威圧行為は、被申立人が、被申立人事業所内に存在する多数組合である東急バス労働組合の組合活動を申立人組合に比して優遇し、事業所内に複数労働組合が存在する場合、使用者が履行しなければならない中立義務に反し、申立人を弱体化せしめんとする支配介入行為であることは明らかである。
また、組合掲示板を確保しないことや、電話・FAX・施設の使用を認めないこと、申立人と分会員の面談を認めないこと、そして、申立人の就業時間中の組合活動を認めず、各営業所に在籍する分会員の内1名を東急バス労働組合支部委員長と同様に処遇しないことは、前掲同様、使用者の中立義務に違反するから、明確な支配介入行為ある。
よって、被申立人のいずれの行為もあきらかな不当労働行為であるから、頭書の通り救済命令を求める。