ファミリーライフエデュケーターというより、主婦生活13年の私から…。

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 ノーバディズパーフェクト(完璧な親なんていない)

 「ファミリーライフエデュケーター」なんて人がいたら、「さぞや本人は理想的な家族生活を送っているのでしょうね」と、思われるかもしれません(私なら絶対そう毒づいてしまうでしょう)。確かに、今までの日本の家庭や子育てに関するアドバイスは「こうしましょう」「こうすべき」というニュアンスが多かったので、日本語に訳すと「家庭生活教育者」なんて名の人がいたら、完璧な、理想的な家庭をわかっている人と思われても当然ですよね。
 しかし、私の学んだカナダのファミリーライフエデュケーションのベースは「ノーバディズパーフェクト(完璧な親なんていない)」。すべての家族のありのままをまず肯定し、そこからスタートするのです。理想の家族なんて幻想。いろんな家族がいて当たり前。どの家族が良くてどの家族が悪いなんてナンセンス。
 だから、近しい人はよくご存知の、失敗だらけ手抜きだらけのいい加減な主婦の私でも、いえ、そんな私だからこそ、ファミリーライフエデュケーターとして適任というわけなのです。


 お勧めの本

 私のファミリーライフエデュケーションの拠り所ともいえるカナダの家庭・子育て支援について、ホームページ内の短い文章の中で説明しきることはとても難しいです。
 カナダの家庭・子育て支援についてもっと知りたいという方は、ひとなる書房刊・小出まみ著「地域から生まれる支えあいの子育て」のご一読をお勧めします。故・小出氏は、前・名寄短期大学教授。カナダの家庭・子育て支援を、共同研究者の皆さんとともに、日本に紹介した方です。
 私も、この本ではじめて、ファミリーライフエデュケーターという仕事について知りました。
 杉山千佳著「子育て支援でシャカイが変わる」日本評論社でも、私の紹介記事をご覧いただけます。


 勉強中に書いたエッセイ みんな『幸せな子ども時代を』36歳からのカナダ通信教育挑戦

(勉強中に、ある団体の会報に書かせていただいたものです)

忘れられない事件

 始まりは10年前です。
 覚えていますか? あの女子高生コンクリート殺人事件を。4人の少年が1人の少女を監禁、虐待、陵辱した後、死んでしまった彼女をコンクリート詰めにして海に捨てたあの事件です。私にはあのときのショックが忘れられません。「なんでこんなことが起きてしまったのだろう」と、何日もそのことばかりを考え続け、そして「二度とこんなことが起こらないために、いったい私に何ができるのだろう」と、柄にもなく悩まずにはいられませんでした。当時、マスコミはこぞって事件を分析・報道し、それによって私は、犯人の少年たちがそれぞれ事情は異なるけれど、共通して決して幸せとはいえない子ども時代を過ごしていたことを知りました。『すべての犯罪、すべての憎しみ、すべての戦争はその原因を探れば不幸に辿り着く』――イギリスの教育家・ニイルのこの言葉と重ね合わせ、私は直感しました。「そうか、『幸せな子ども時代』こそ、悲劇を繰り返さないために必要なのだ!」と。「だから私は『幸せな子ども時代』を創ることを目指せばいい」。学童保育、子育てサークル、子育て関連の読書、講演会、そして自分や仲間の子育てを通して、私はその方法を模索しました。その間にもいくつもの哀しい事件が起き、やるせない気分にさせられながら。

『幸せな子ども時代』って?

そもそも『幸せな子ども時代』って具体的にはどういうものなのでしょう?
両親が揃っていること? 裕福なこと? 自然に囲まれて暮らせること? モンティソーリやシュタイナーなどの教育法を受けること? みなさんはどう思いますか。私が出した結論は、なにはなくても、まるごと受け入れてくれる母親(またはそれに代わる人)と、温かく包んでくれる家庭(またはそれに代わるもの)さえあればいいのだ、というものでした。「じゃあ、私はどうやって母親や家庭を支援できるのだろう」。次に私はこの疑問を抱えることになりました。

カナダの子育て支援との出会い 

そして、その答えを教えてくれたのが、カナダの子育て支援だったのです。彼らは言います。「完璧な親などいない」「ケアしている人(おもに母親)ほどケアしてあげよう」。カナダでは、子どもが、どんなにひどい親でも自分の親を求めることを見据え、誰よりも親自身を子育ての主役として輝けるよう、指導ではなく支援をする態度を貫いています。これこそ、私が理想とする形でした。だから、そのカナダの子育て支援を具体的かつ体系的に学べる資格プログラムがあると知ったとき、私は反射的に「受けたい!」と思ってしまったのです。もちろん悩みました。すべて英語で勉強しなければいけないし、現地のスクーリングもあります。3人の子持ちの私にできるかどうか・・・・・・。それでも支援活動を通して資格がないことの壁を感じていたこと、36歳になって、このまま年を取っていくのかなあと焦るようなむなしいような気分に襲われたことが、私の挑戦を後押ししました。子育てと勉強の両立は、「なんでこんなこと始めちゃったのだろう」と弱音を吐きたくなるようなハードな毎日ですが、座右の銘「心に永遠に乾かない涙を」(福井達雨=障害児差別撤廃運動家)を胸に、初心に帰っては自分を奮い立たせています。


 資格について

 資格を得て、初めて気づいたことがあります。
 私は、10年間子育てや子ども問題について考えつづけていたにもかかわらず、系統だった学問の修了とほかから与えられる資格がないことで不安を感じ、また、主婦というありふれた肩書きに少し劣等感を感じ、努力して日本初の資格を取得しました。それは同時に、このような活動をする上で大きな武器になるだろうとも期待していました。
 しかし今、ファミリーライフエデュケーターと名乗り、行動を始めて感じることは、なぜ私は「主婦」という肩書きで行動を始めなかったのだろうかということです。
 肩書きのある人たちが、実態に則さないことばを語るとき、いつも反感を覚えていた私が、結局は肩書きのある人となってしまったことに、少し寂しさを感じます。毎日やってることは大して変わりないというのにね。
 たとえどんな肩書きであろうとも、あるいは肩書きなんてなくっても、身の回りで、今すぐできること、やりたいことをできる範囲で。そんな自然体が、もしかして一番新しいやり方だったのでは…。



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