バス旅行は楽し


いきなり大荒れ

リスボン空港に着いて入国カードを書き始めると、皆するするとカウンターを抜けて行くじゃないですか。聞くと入国カードはいらないとのこと。そんなら置いておくなよ、おっちゃん。

着いたのが結構遅い時間だったので、街に出る空港バスは終わったらしい。
いやいやタクシーに乗ると2500$。とりあえず値切るが、相手は言葉がわからないフリをして交渉にならないよ。
後日、空港前の道路までちょっと歩き路線バスに乗れば150$で街中まで出られることを知りました。くやしい!

初めてのリスボンの街の印象は、他の欧州の街とは違ったちと汚なめの古ぼけた感じですな。
タイムマシンで30年ほど前に飛んできたみたい。

初めの宿は、日本から予約していった「ホテル・インターナシオナル」1泊8000$。
簡素だけどひととおりのものはそろっていて、天井は高くて、日本で言えばましな方のビジネスホテルというところ。
バスルームに「ビデ」があるのを確認して、南ヨーロッパに来たんだなとしみじみする。
でも街の中心ロッシオ広場に面していて、やたらとうるさい。騒がしいのが気になる人には勧められませんな。

夕食に、ガイドブックにバイシャで最も人気のある大衆食堂とあった「ジョアン・ド・グラン」というレストランに行きました。
バカリャウ・ア・ブラシュ(乾した鱈をもどしたのとタマネギとフライドポテトをいため、卵でとじた料理)を食べる。そこそこおいしい。持参した醤油をかけて食べるとなおおいしい。醤油やお箸持参で海外旅行する自分が、なんておじさんくさいのかとしみじみ思いますな。
でも油っぽいのと盛りが多すぎるので、途中であきてしまう。ビールとチップを合わせて1400$。

ホテルに帰って荷物の整理をしていると、チケットホルダーに入れておいたはずの帰りのチケットがないっ!
空港で落としてしまったのか、タクシーの運ちゃんに抜き取られたのか。
いきなりのトラブルに呆然となってしまいました。

2日めは大移動開始

飛行機嫌いの私は、これまた時差に弱いんですね。つくづく海外旅行に向いてない。。
夜中の3時に目を覚ましたら、もう眠れない。外は雷が鳴って、すごい大雨。
尋常ではない大雨がよく続くなと思って通りを見下ろすと、道はほとんど川みたいな状態になってました。
そうこうするうちに停電だっ。大雨で停電だなんて小学生のとき以来だよ。とほほほ。

朝がきてホテルの兄ちゃんに聞くと、地下鉄はこの大雨ですっかり浸水して動かないので、バスターミナルへ行くんだったら、ホテルの前の路線バスで行きなとのこと。
バスにのってRNバスターミナルへ向かう。ポルトガルは鉄道の他に、国内の主な街には長距離バス路線が整備されていて、しかも驚くほど時間が正確なんですね。ゲルマン人=きっちりしてる、ラテン人=いいかげん、というステレオタイプに毒されていた自分には、とても意外でした。


リスボン市内公共交通機関のチケット。かわいい。

リスボンからファティマへのチケット1100$をゲットして、2階建てのバスの最前列の席を確保する。ごきげん。
バスターミナルでは日本語を話すドイツ人の姉ちゃんと情報交換したり、バスではブラジルから来た神父だという人と話しこんだりする。ブラジル神父は、私がクリスチャンであると知ると、同じ父を持つ息子同士です、あなたと私は兄弟ですね、とやたら友好光線をふりまいてくれました。こんな普通じゃない出会いがあることが、旅の魅力です。

ポルトガルの高速道路はよくきれいに整備されてます。道ゆく車はヨーロッパ車ばかり。フォルクスワーゲンがほんとに多いし、タクシーはベンツ。ルノー、フィアットという車も目立ちます。

★ 奇跡の街 ファティマ

国民の多くがカトリックのポルトガルにとって、聖母マリアの奇跡が起きたファティマというところは、特別な聖地のようです。
奇跡というのは1917年に3人の子供に聖母マリアが現れてお告げをしたということらしいのですが、それまでは寒村だったファティマに大聖堂バジリカが建立され、今も巡礼者が後をたたない状態になっています。

ファティマのバスターミナルに降り立つとまわりには何もなくてどうしようと思うけど、少し歩けばバジリカが見えてきます。
ものすごい広さ、宗教的な静かでおごそかな雰囲気。
巡礼に来た数え切れないくらいの人たち。独特の長いろうそくを捧げる人たち。なんだか圧倒されてしまいそう。
ミサを後ろから見物。ボーイソプラノの声が響き渡る。

なんとなく高野山みたいな街を想像していたんだけど、もっと大規模で、もっと厳か。
でも、町中が巡礼にくる人のためのホテルとみやげ物やというところはどこか似ているな。みやげ物やで売っているのは、マリア像とか教会用品ぽいものばかりでした。

★ バスを乗り継ぎ・・・

漁村で観光地としても有名なナザレというところへ行きたかったけど、うまいバス便がないので、レイリアという街でバスを乗り継いでコインブラを目指すことにしました。レイリアまで650$。

レイリアは田舎な地方に突然出現したという感じのこじんまりとしたきれいな街。それにしても日曜日ということで、街にはまったくといっていいほど人通りがない。結構たくさん商店があるのに当然全部閉まっていて、ここまで静かなのは気持ち悪いくらい。
しがないカフェでサンドイッチをほおばりながら、ビールを飲む。

ちなみにどんな国を旅行しても、一番初めに憶えて口にする現地語は、「ビール」と「ワイン」ですな。(^o^)
ポルトガル語でビールは「セルベージャ」と言って、カフェで飲むと1杯100〜150$くらいでコーラより安かったりします。
一番よく見かけたのは Super Bock という銘柄で、なんとなく日本のビールに味が似ていて、ビールがぬるいイギリスと違ってどこで飲んでもちゃんと冷えたのが出てくるのが好ましいです。
カフェではカウンターによっかかって飲むのと、テーブルについて持ってきてもらうのでは、値段が違うということも知りました。
街のスーパーとかで見ると1本50$くらいで売ってるんだから安いはず。これだったら、日本に輸入してもきっと売れると思ったね。


欧州では珍しいビールの自動販売機

★ コインブラへ

レイリアからコインブラへ向かうバスは2階建てじゃない普通のバスだ。料金850$。
黒いショールに重ねスカート、かわいいエプロンという、他では見られない民族衣装を着た地元のおばさんが隣にすわる。
彼女は墓地の横を通りすぎるたびに、手で十字を切っている。そんな風習があるんだと感心。

運転手が不まじめなやつだ。自分のバックをごそごそしたり、ハンドルに肘をついたり、鼻毛を抜いたりで、まともにハンドルを握っている瞬間がまったくない。バスもふらふらと蛇行してるし、要するに眠いわけね。まわりの乗客もいぶかしがっているのに、運転手には何も言わない。なんでーー?
他でも感じたけど、ポルトガル人はどこか引っ込みじあんなところがあって、同じ南ヨーロッパのスペイン人やイタリア人とは全然違うですな。作家の木下杢太郎は「リスボンにアジア的猥雑さを見た。街でぶつかっても謝罪しないのは日本みたいだ」と書いてたけど、たしかにイギリス人みたいにエクスキューズミー、サンキューの乱発はしないですな。
でも、旅先で出会ったポルトガル人は、みな素朴な感じのいい人たちでした。


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