キュング・リコーダー訪問記

アンドレアス・キュングさんが持っているのが、購入したコントラバスです
リコーダーアンサンブルを始め、テノール・バス・グレートバスと買い揃えてきて、やっぱり欲しくなったのは、あの背丈より高いコントラバス・リコーダーでした。
何度かお借りして吹いているうちに、猛然と自分のものが欲しくなってしまいました。
でも楽器屋さんで値段表を見せてもらうと70万円とか目のまわるような値段です。自分には縁の遠いものだとあきらめていました。
偶然、今までいろんなリコーダーでお世話になっているスイスのキュング・リコーダーのマネージャー、アンドレアス・キュングさんとメールをやりとりしているうちに、スイスで直接買うと、なんと半額以下で手に入るということを知りました。
冷静になって考えなくても、旅費を使ってもまだお釣りがくる計算です。
夏休みは安いチケットをとって、スイスにコントラバス・リコーダーを買いに行くことに決定!
アンドレアスさんは、お世話になっているリコーダーの世界で超有名な吉沢実先生の昔からのお知りあいだそうで、吉沢先生からアンドレアスさんの話をいろいろ伺っているうちに、もうアタマはキュングのでかいリコーダーのことでいっぱいになってしまうほど盛り上がってきました。
いよいよ9月末に遅い夏休みをいただいた私は、スペイン経由でスイスに入るという妙なルートで出発!
バルセロナでガウディの建築をゆっくりと堪能した後に、いよいよ愛しいコントラバスの待つスイスに入りました。
キュング社は、チューリヒから40分ほど電車に乗ったシャフハウゼンという街にあります。スイスでは一番ドイツよりの、ライン川のほとりにある中世の雰囲気の漂ういかした街です。(シャフハウゼンについてはこちらをご覧ください)
キュング社は駅から歩いて3・4分のところにある、地下1階、地上3階建てのちゃんとした独立した建物でした。
約束した時間に訪れると、1階玄関脇にある事務所にアンドレアスさんがいて出迎えてくれました。
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| これがキュング社だ |
2階の展示スペース |
お土産に、吉沢先生が講師をされたNHK趣味悠々「アンサンブルで楽しむリコーダー」のテキストを渡したら、中の写真を見て、「ミノルも結構トシをとったもんだ、リコーダー製作者として登場している山岡さんのこともよく知っている、彼の奥さんはとてもすてきな人で、いいビオラ・ダ・ガンバの奏者だった」とか言って、とても喜んでいました。
「私のリコーダーの先生の浅井愛さんの先生が、山岡先生なんですよ」と言うと、「そりゃリコーダーの世界は狭い」といろんな話題で盛り上がりました。
ブビンガ材のコントラバスの購入を予定していたのですが、いろいろ吹き比べて、珍しいパドック材のものを選びました。パドック材はキュングの製品リストには書かれていないパリサンダーみたいな色の木。それを言うと、アンドレアスさんは「もともとは薄茶色の木材だけど、加工しているうちにパリサンダーみたいに変わる。カメレオンみたいなやつだ」と冗談を言ってました。
前から415Hzピッチのアルトリコーダーが欲しくて、「なぜキュングは415のアルトを作らないのか」と迫ったら、売り物にするほど作っていないけど、フランスのリバートという古いリコーダーをオリジナルにして、自分自身で作ってみたのが1本だけ残っているので、特別におまけして売ってあげるということになり、ありがたく購入。
これにはキュング社の刻印ではなく、アンドレアスさん個人の刻印が入っていて、なんだか値打ちもののような気がします。
それから工場をすみずみまで案内してもらいました。
工場にいる人は10数人と小規模ですが、原材料の加工、穴あけ、ブロックの加工、キーの加工取付け、塗装、と役割は分業しているみたいです。アンドレアスさんの甥っ子という若者も作業していて、なかなか家族的な雰囲気です。
原材料の木は別棟にも保管しているそうだけど、長期間の乾燥が必要だそうで、考えられないほどの量がストックされていました。
穴あけは完全機械化されていて、機械が穴あけをしていくのは見ていて楽しいものです。
最後のブロック部分の調整はとても精巧な作業のようで、職人さんがヤスリでていねいに調整しながら、ブロックをはめたりはずしたりしています。試験吹きをしているのを聞いたアンドレアスさんは、歌口がうまく削れていないので雑音が混ざっている、とか自分にはとてもわからないことを指摘しています。すごい「職人」の世界です。
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| 刻印を打つ作業をしている甥っ子 |
こんな機械で穴が開けられていく |
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| ずらりと並んだ製作中のリコーダー |
材料のストック、これだけではなくすごい量 |
一般のキュングの製品は、他のメーカーのように昔の有名な楽器をモデルにしているのではなく、キュング独自のスタイルだということです。
キュングのリコーダーはウィンドウェイがアーチ型ではなくてストレート型のものが多い理由を尋ねたら、普及型のものはストレート型にしている、加工調整が楽だから、という非常にストレートなお答え。(笑)
キュング社の年間生産は15000本で、これ以上こなすといいものができないということです。
加工中のコントラバスが20〜30本ほど並んでいて、こんなにたくさんのコントラバスが集合しているのは見たことがないと言うと、これで2年分くらいと言ってました。
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| ならんでいるのはリコーダーの「型」 |
アンドレアスさんの作業スペース |
アンドレアスさんからは、ご自分が出演されているCDをお土産にいただいたり、結構お値段を割り引いてもらったり、とても親切にしてもらいました。
念願のリコーダーを手に入れられたし、本当にスイスまで行ってよかったです。
キュング・リコーダーのホームページ http://www.kueng-blockfloeten.ch/
これを読んでくださった方がいきなりキュングリコーダーを訪ねられても、歓迎してもらっていい値段で購入できるかどうかまでは保証できません。いろいろウラ話もあるので、興味のある方は先頭ページから私にコメントを送ってください。
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