ロジャー・ムーアが語るボンド映画のうらおもて




以下は、「ロジャー・ムーアが語るボンド映画のうらおもて」(スクリーン 78.2)より、ロジャー・ムーアの言葉を全て抜き出したものです。
当時は、第10作「私を愛したスパイ」を放映した段階で、11作以降、ロジャー・ムーアが続けるかどうかは、はっきりしていませんでした。


【今後の予定について】
「いまのところ、すべてが流動的なんだ」

「ボンド映画に出続けることは気にしちゃいない。」

「問題は、時間的保障が欲しいということさ」

「ぼくには、ボンド映画のクランク・インを待つ間、他の仕事を断わる余裕はないんだ。実際、今回の”私を愛したスパイ”に入るまでに何と16ヶ月も待たされた。さらにようやく開始されても、ボンド映画は1本で最低6ヶ月は身柄を拘束される。撮影は殆ど休みなしのハードスケジュール。今回も例によって、エジプト、イングランド、スコットランド、サルジニア、マルタ島、バハマ、北極圏、スイス、沖縄・・と信じられないほどの強行ロケが続いた。
いつまでも若くはないられないのにこれはキツイ」

「時には、血を見るほどの満身創痍の重労働といっていい。幸運にも骨折だけはまぬがれたが」

「初めてボンドを演じた時は、撮影が終わる頃には、あの世行きではないかと実感した。ブロコリーなんぞは、ぼくにかけた生命保険を手中にする確立が五分五分だったと抜かしやがる。
ぼく自身も不安になってロイド社の保険掛け金を書き直したほど。さらにひどいことには、ボンド映画の関係者全員がぼくに生命保険を掛けていたことを知った時、これにはまいった。いまだから笑い話だがね」

「ボンド・シリーズはフランケンシュタイン物やシャーロック・ホームズ物など他のどんなシリーズも比べようもない図抜けた存在さ」

「このシリーズは常に莫大な観客に支えられ、その観客が次の新作の収益を作り出した。ぼくのボンド役第一作(シリーズ8作)を観に来た観客は、ショーン・コネリーからの引継ぎぶりを見に来た。第二作の時は、ぼくが平凡さを維持しているかどうかを、そして今回はぼくがどのような変貌を遂げたかを好奇心も露わに見に来てるのさ」


【私生活について】
この度のハリウッド行きにはワイフのルイザが一緒。二人の間にはデボラー14歳、ジョフリー11歳、クリスチャン4歳の三児がいる。ロジャーとルイザは60年ローマで撮影した「サビーヌの掠奪」の共演者として知り合った。

「衝撃的な一目惚れだったよ」とは、しばしば彼の口をついて出る出逢いの形容。
当時彼には二人目の妻で女優兼歌手のドロシー・スカイアーズがいた。しかし、すでに心ルイザにあったロジャーは、彼女を強引にロンドンの自宅の家政婦として雇い入れてしまったのだ。その当時のことを思い出して彼は笑う。

「ある女性記者がぼくたちの結婚について質問した。しかし結婚年数と子供の年齢が物理的に釣り合わない。彼女は目を回したが、ぼくは可能性よりも絶対的な事実として彼女を納得させたんだ」


【ジェームズ・ボンド(007)について】
「僕にはボンドという役をストレートに演じ切る気にはなれない。」

「ボンドは身分的に高級陣営に属しながら、やたらふまじめな行動にでる。
華麗な海底要塞に住み、原子力潜水艦をつけ狙う悪党のキャラクターなどもリアリズムとはほど遠い。
ブルネットの美女が扮したロシアの女スパイ、悩殺的なカーブを持った悪漢の女秘書などもまた然り。要するにすべてジョークなのさ。観客は、それを観て笑う。原作のイアン・フレミングは笑いを誘うためにボンド・シリーズを書いたのではないだろう。しかし、ユーモアの魅力のないサディスティックなバイオレンス映画なんて考えたくもない代物さ」

「実際のところ、ボンド映画がぼくのキャリアにそう重要だったとは思えない。しかし、出演し続けることにも強いて抵抗はない。銃弾と爆弾の雨あられの中での仕事も結構楽しいからね。」


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