マイケル・ジャクソン ムーンウォーカー

 *マイケル・ジャクソンのページを作成し、マイケル・ジャクソン ムーンウォーカーについても画像を加えて再編集しました。できれば最新版のマイケル・ジャクソン ムーンウォーカーの方をお読みください。

以下、一応、以前のコンテンツも残してあります。



「ムーンウォーカー」について


「大観衆を前に、ステージ狭しと歌い、踊り、愛と平和のすばらしさを訴える男−彼の名はマイケル・ジャクソン。今世紀最大のスーパースターだ。マイケルの名は世界中の人々に知られ、誰もが彼の歌に、踊りに魅せられた。しかし、彼の本当の姿を知る者は誰もいなかった。彼の私生活は、まさにミステリアスな伝説に包まれていたのである・・。


「ムーンウォーカー」−それは、無限の宇宙を包み込む大いなる愛の使者。そして、それこそが、マイケルの真の姿だった。彼は、愛を踏みにじり、平和を乱すすべての悪と闘うため、銀河系に派遣されていた。そして、ミュージシャンという仮の姿で、活躍していたのである。
そんなある日、何人もの子供達が誘拐されるという事件が起きた。おそらく世界征服をたくらむ暗黒組織のしわざにちがいない。組織のボス「ミスター・ビック」はかねてから、マイケルを狙っていたのだ。


悪の組織とそのボスをたたきつぶすため、マイケルの闘いが始まった。宇宙空間では最高のコスモパワーを発揮できる「ムーンウォーカー」。しかし地球上で最大限のコスモパワーを発揮できるのは、流れ星が頭上を横切ったときだけだ。そして、子供たちの”純粋な愛の心”しか、マイケルに愛のエネルギーを補給できないのだ。


マイケルは秘められたパワーに望みを託し、子供達を救出するために、立ち向かうのだった・・。(メガドラ版マニュアルより)」

 


この感動的な(?)ストーリーを読んで、私はようやく映画の内容が理解できました。

映画「ムーンウォーカー」は、「マンインザミラー」の曲から始まり、彼の子供時代からのヒット曲を振り返った後に「スピードデーモン」「リーブミーアローン」「スムーズクリミナル」「カムトゥギャザー」のビデオクリップと続きます。つまり、「ムーンウォーカー」というのは歌の名前ではなく、ビデオクリップ集の総称みたいなものです。


上記のゲームの設定は、ビデオクリップ「スムーズクリミナル」のものです。

ゲーム「ムーンウォーカー」は当時人気の絶頂だったマイケルジャクソンを起用して、セガが世界市場をターゲットに作成したゲームです。
アーケードゲームをはじめ、メガドライブなどで発売されました。

このゲームは、主人公(マイケル)の動きの面白さで当時から話題となり、現在でもレトロゲーム特集などでは定番となっているソフトです。
しかしながら、取り上げられ方をみていると、「見てて笑える」、「バカゲ−4段」などというスタンスが多く、しかも大半は映画「ムーンウォーカー」すら見ていないで書かれたものです。執筆者の多くがマイケル・ジャクソンファンというよりはメガドラユーザーであり、マイケル・ジャクソンについてあまり詳しくないためだと思われます。

しかしながら、このソフトはあくまでもマイケルファンのために作られた、異様なまでにこだわった作品ですので、ゲームの部分だけをみるのではもったいないと思います。
ここでは、このゲームの目指したものを再確認するとともに、あくまでもマイケルファンの立場から再評価したいと思います。


ちなみに、ここまで書いておいて今更断わるまでもありませんが私はマイケル・ジャクソンファンであり、彼のサインが2箇所に書きこまれた「HISTORY」を家宝としております。この時は、たまたま人を介してサインがもらえることになったのですが、本当はセガのアーケード基盤「ムーンウォーカー」とメガドラ用ROMカートリッジ「ムーンウォーカー」にサインして欲しかったのです。しかし、仲介人に、恥ずかしくて頼めないと言われ、断念したという悔しい思い出があります。


なお、私が所有している「ムーンウォーカー」はアーケード版とメガドラ版の二つです。ゲームギア版(マーク3版?マスターシステム版?)は残念ながら持っていません。内容的にはメガドラ版の簡略版であることもあり、ここでは取り上げません。
以下では、メガドラ版をメインにとりあげますが、参考までに、まずはアーケード版について簡単に述べます。


「アーケード版ムーンウォーカー」
基本的には映画にそった面構成となっております。オリジナルの要素も強く、様々な敵ロボットなども登場します。マイケルは手からビームのようなものを出すのですが、一定時間ボタンを押しておくことでパワーをアップできます。バブルスに接触するとロボットになり、より強力な攻撃が可能です。


ゲームそのものとしては、斜め上の視点ということもあり、少々プレイしづらいです。また、マイケルの顔が良く見えないという点もマイナスです。ダンスマジックがアイテムとしてあり、子供を助けると手に入れられます。ダンスを行うと、全キャラクターが、その場で踊ります。ロボット、犬、兵隊など10数キャラがいっせいに踊る様は、なかなか圧巻です。2人プレイ可能なので、マイケルも二人で同時に踊れます。

ゲームそのものは、あまりどうと言う事もないのですが、各面の初めに出るアメコミ調の絵や、かっこいい敵ロボットなど、演出はいいです。特に、ゾンビを倒すと、縮小しながら地面に消えていく様子や、CLUBで、酒を飲んでいた客達がいっせいに振り返りざまマイケルを銃撃してくるシーン、バンド演奏者がいきなり襲ってくるシーン、お化け製造機(?)を使用して攻撃をしかけてくるミスタービックなど、面白いシーンが多数あります。


また、プレイヤーが操作をしないでほっとくとマイケルが勝手に踊り始めるのですが、その時向いている方向によってダンスが変わるというこりようです。

映画に基づいているとはいいながらもオリジナル要素が強いゲームですが、はっきりいって、逆にこのゲームに基づいて映画を作った方が、多分ずっとかっこいい映画が出来たことでしょう(知らない人のために言っておきますが、映画はどうみてもB級カルトです)。

オープニングには「DESIGN & CONCEPT by MICHEL JACKSON」の文字があります。
ゲームは今一歩ながら、本当にマイケルが作りたかった「ムーンウォーカー」はこっちではないか、と感じさせる点が救いになっています。



「メガドラ版ムーンウォーカー」
まず確認しなくてはいけないことは、このゲームのシチュエーションのほとんど全ては、マイケルの映画「ムーンウォーカー」を始めとする、彼のビデオクリップから再構成されているということです。

<ゲームの目的>
各面にいる捕まえられた子供達を助け出します。最後はボスとの戦いですが、これらは「スムーズクリミナル」からきております。
ボスの名前はちょっと安易ですが「ミスタービック」といいます。彼はクモを使って世界中の子供達を薬付けにしようとしています。

<アクション>
帽子投げ これは「ビリージーン」のライブで行われる演出です。


ダンスマジック これは、様々に使われます。後述。

様々な踊り 言うまでも無く、彼独特の動きを再現しております。

パンチ・キック パンチやキックで相手を倒せます。もっとも、実際に殴るわけではありません。手や足の先から、星がきらめくのです。この星のきらめきでダメージを与えるのです。これは、マイケルが、どの映像であろうと、決して、相手を殴ったりけったりしないことからきています。また、星のきらめきというシチュエーションは、映画「ムーンウォーカー」冒頭のシーン(マイケルのステップに合わせて星がきらめく)から来ています。



<1面>CLUB 30  曲:スムーズクリミナル
「スムーズクリミナル」の舞台となった1930年代風の酒場。マフィアを思わせる、黒スーツ姿の男達が敵です。あちこちのドアから現れ、襲ってきます。映画にも出てきた、ビリヤードをやっている黄色い服の黒人男性もおります。
その他に、マフィアの情婦らしき女達や、窓から飛び掛ってくる黒猫などがおります。

なお、映像では、ピアノの上を音を鳴らしながら歩くのはこの黒猫ですが、ゲームではマイケルを使ってピアノの上を歩きながら音を鳴らせることが可能です。


さて、マイケルが登場してコインをはじき、ジュークボックスに投げいれると同時に音楽が(そしてゲームも)スタートします。この瞬間、プレイヤーがマニュアルを読んだ時点から抱えていた疑問が一つ解けます。

つまり、なぜ映画「ムーンウォーカー」に基づいたゲームでありながら、CLUB30から舞台が始まるかです。

マニュアルに記載されているゲームの概要と、映画の内容を順番に比較すると

映画の順番    シーン    ゲームの順番
3        CLUB30       1面
2        street        2面
         墓地         3面
1        洞窟         4面
4        地下基地      5面

となっております。

つまり、映画の順番が変わっているのです(ゲームの3面はスリラーからとられているため、ここでは考えません)。

何の為にわざわざ変更したのかが気になるところでしょう。

それが、このシーンを見て理解できます。マイケルがコインを入れると同時に音楽が始まるというタイミングでゲームが始まるのは、マイケルの動きと、プレイヤーのゲームスタートを同時に行うことにより、一体感を持たせるとともに、マイケルの先導によりゲームが開始されるという、粋なはからいによるものです。アーケード版をやったことのある人なら、100円入れる操作をマイケルがやってくれているという実感がわきます。ファンへのサービスでしょう。

このような演出を何よりも重視したために、映画やアーケードとはあえて異なる展開にしたのだと思います。
このシーンひとつを見ただけで、製作者の意気込みがわかるというものです。


さて、このゲームのアクションは、一言でいえば映画でのビックボスのセリフ
「かっこつけやがって」に集約されると思います。
初めてプレイする人は、マイケルにいろいろとキザな動きをさせたり、踊らせたりすることの方が楽しいでしょう。
つま先立ちしてポーズをとって叫んだり、ドアを開けるだけなのにわざわざ一回転したり、敵から逃げるのにもムーンウォークをしたり…


一つの面は3つのステージから構成されています。どのステージにも子供たちが捕らえられております。
彼らを全員解放すると体力が全回復すると共に、バブルスがやってきてある地点まで導いてくれ、そこに行くと、敵の集団との闘いとなり、これを全員倒すとステージクリアです(以下ではこのシーンを便宜上ボスステージと呼びます)

1面では、マイケルの必殺技であるダンスマジックを使用すれば、簡単に敵を倒せます。これを使うと敵は整列していっせいに踊り始めます。例えゾンビであってもロボットであっても、犬であってもクモであっても同じです。問題は、何人の敵と一緒に、華麗に踊りながら敵を倒せるかといったことでしょう。


これは、映像でいうと
・ 「スリラー」で、ゾンビに囲まれたマイケルが、一緒になって踊り出すシーン。
・ 「ビートイット」で、二つのギャングが抗争を始めたときにマイケルが間に入り、両者を踊らすことで和解(?)させるシーン。
・ 「スムーズクリミナル」で、ギャング達と踊るシーン。
・ 「キャプテンEO」で、女王の軍隊に捕まり、絶体絶命になったマイケルが、兵隊達とともに踊りだし、女王の心も溶かすシーン。

さらには、「ムーンウォーカー」以降の諸作品
・ 「リメンバーザタイム」で、王(エディ・マーフィー)の軍隊(マジック・ジョンソンなど)に追いかけられて街に逃げ、また王宮に戻った段階で、兵隊や女官達と踊るシーン。
などでも使用されています。

また、ヒストリーツアーでは、進行してきた戦車をマイケルが立ちはだかって止め、降りてきた兵隊に銃をつきつけられるシーンがあります。しばらく睨み合ったあと、「ヒールザワールド」の曲が流れ出すと同時に兵士は武器をすて、泣き崩れ、マイケルに抱きしめられます(もっとも、ここではダンスはありませんので、ダンスマジックとは言えませんが)。


話を戻しますが、1面で使用される「スムーズクリミナル」のダンスは、マイケルが膝を曲げることなく身体の角度だけ45度ほど倒していくという大変面白いもので、ゲームでは敵達は角度に耐えられなくなって(?)消えてしまいます。

私が初めてこの踊りを見たのは映画版「ムーンウォーカー」でしたが、そのときは驚きながらも、ビデオ作品だからいくらでもトリックが使えるからなー、と考えていました。
ところが、彼はライブでもこれをやっていたのです。どうも足のところにトリックがあるらしいのですが、目の前で見たときは驚きました。


余談ですが、ヒストリーコンサート日本公演初日では、「スムーズクリミナル」のダンスで、いつまでも角度を下げつづけ、人間ではない!と思わせたのも束の間、失敗して手を床についてしまいました。「ムーンウォーカー」ユーザーとしては信じられない、ある意味貴重な(?)光景でした。




<2面> ストリート 曲:ビートイット
・ 「ビートイット」で若者達が抗争する街です。「スムーズクリミナル」の街とも言えます。ようするに夜の街です(^^)。

ぶらぶらしている若者達(ビートイット)、野良犬たち(スムーズクリミナル)及び機関銃を所持し、防御マスクをかぶった宇宙人のようないでたちの武装兵たち(スムーズクリミナル)、といったところが敵になります。車を覗きこむのは、「THE WAY YOU MAKE ME FEEL」からでしょう。
また、子供を捜して車の中を覗いたり、ドアを開けたりすると、爆弾が炸裂することもあります。

さて、2面に来てからまもなく水道管があります。この上で踊ると水が出て敵をやっつけてくれます。これは、「THE WAY YOU MAKE ME FEEL」からとられています。しかし、ここまでプレイしてみて、何かしら、先ほどから感じていた居心地の悪さをはっきりと感ぜずにはいられません。一体、何がこの感じの原因なのでしょう。

街の中をひととおり歩いているうちに、なんだかわかりました。「女性」の問題です。
この街には女性が一人もいないのです。
1面では、まだマフィアの情婦らしき女性キャラが登場していました。しかし、思い起せば、そこでの女性の役割とは、マイケルに抱きつき、振り払われる、というだけでした。

そして、2面では女性キャラはいません。しかも、水道管があるのに、です。

そもそもフィルム「THE WAY  YOU MAKE ME FEEL」は、冒頭の「お前は女を知らないんだ」という声から始まります。この言葉は、一見すると何と言う事もない言葉ですが、マイケルの全ての映像に見られるように2重の意味を持っています。つまり、マイケル・ジャクソンは女性への関心がないのではないか、という、かなり早くからあった噂そのものなのです。

おそらく、これに答える形で作られたのが「THE WAY  YOU MAKE ME FEEL」なのでしょう。冒頭の疑問に答えるかのように、マイケルは必死になって通り掛かりの女性を歌と踊りで口説きにかかります。そして、セクシャルな歌詞と踊りを展開するこの曲によって、彼なりの回答を示していたはずです。女性がしつこく追いかけるマイケルに心を奪われた瞬間、先ほどの水道管から水が噴出す映像に続いていたのでした。

つまり、水道管は、女性に関心がないマイケル、という噂に対してマイケルが行った反論の象徴的イメージを形成していたのです。誰でも、そこにフロイト的象徴表現さえ感じるところでしょう(私はそこまで深読みはしないでおきますが)。

ところが、ここでは水道管が水を噴出しているにも関わらず、女性は一人もいません。このことに気づいた瞬間、プレイヤーは、はっきりとした構図を認識せざるをえません。

女性=マイケルを追いかけ、まとわりつくが、振り払われる存在。(1面より)
子供=マイケルに愛の力を与えることができる唯一の存在。(映画及びゲームの設定)

「ミステリアスな伝説に包まれた私生活(マニュアルより)」の真実が、あまりにも露骨に表現されています。

なぜ、マイケルは子供が好きなのでしょう。
後に、様々な疑惑が出たあとで、「HISTORY」に収められた曲では、彼はこのように歌っています。
「世間は僕が変わってるという。すごく些細なことに喜びをを見出すから・・それを背負って生きていかなければならない。子供時代を知らなかったために。」(CHILDHOOD)

何かのインタビューでも言っていたような気もしますが、彼が幼年期からレッスンに明け暮れ、ごく普通の子供時代を送ることができなかったことが、彼の人格形成に大きな問題を残したということでしょう。


さて、こんなことを考えながらゲームを進めていると、ボスステージにたどり着きます。
2ステージでのボスは、武装した兵隊達ですが、なんと彼らにはダンスマジックが通用しません。しかし、ここで驚く人は多くはないでしょう。

スムーズクリミナルのラストで彼ら武装兵が登場したときも、マイケルの決め技であるダンスマジックは使用されなかったからです。おそらく、彼らの顔は宇宙服のようなもので包まれているために、音楽を聴くことができないのでしょう。そのために、マイケルのダンスも通じないのだと思われます。


3ステージ目では、マンホールの下に地下水道があり、ここにも子供達が捕らえられています。マンホールといえば、マイケルにおける街にとっては必須の素材であるのは繰り返すまでもないでしょう。ビートイットでも、スリラーでも、若者なりゾンビなりがふたを開けながら登場しますし、スムーズクリミナルではマイケルが隠れるのに使用されます。

3ステージでのボスは犬達です。これはスムーズクリミナルで犬達に追われるシーンから来ています。ここで、ここまで快適にこのゲームをプレイしてきた人は、初めて苦しむことになります。それは、犬達が一匹の白犬に操られていて、それを倒さない限り不死身だからではありません。

問題なのは、そのような、犬を支配する白犬というシチュエーションがマイケルの作品群に思い至らないからです。このことに気づいて動揺してしまい、マイケルの諸作品を思い出していると、敵にやられることになります。その意味で、このゲームの最初の難関といえるでしょう。





3面 墓場  曲:ANOTHER PART OF ME
舞台が墓場であり、敵がゾンビであるといった演出は「スリラー」からとられています。踊りも、同様です。しかしながら、曲は「キャプテンEO」のテーマです。違和感を覚えますが、ゲームを進めていくうちに、曲「スリラー」はマイケル自身の作詞・作曲ではないことを思い出し、そのへんの関係で使用の権利が得られなかったのだろうということに気づきます。ゲーム製作側に起因する、そのようなギャップから起きる動揺を静めるためか、1ステージはかなり易しいステージとなっております。


ただし、ゾンビの生命力(?)を表現するためか、敵は一発やられると、今度は飛び跳ねながら襲ってきます。そのため、1匹に対し2度の攻撃が必要です。


さて、2ステージ目には、左下の墓を動かして子供を救出すると、流れ星がふります。これをとると、いきなり画面がマイケルの顔のアップとなり、ロボットに変身していく様子が映され,ゲーム画面に戻ったときは巨大ロボットに変身しております。このロボットはレーザー光線と追尾ミサイルを持ち、空を飛ぶことも出来ます。

このへんの演出は「スムーズクリミナル」そのものなのですが、残念ながら、最大の武器である絶叫(超音波?)は再現されていません。マイケル最大のパワーを持つ絶叫は、「スムーズクリミナル」及び「ブラックオアホワイト」でも威力をみせつけてくれるため、出きれば再現してほしかったところです。

なお、ロボットに変身したからといって、子供の救出はできないため、ゲームの進行には影響ありません。なぜ、映画ラストの演出がゲームのちょうど中盤で行われたかということですが、おそらく、3面までプレイする頃には、単調さに飽き始めるユーザーが多いと想定されるためいれたのだと思われます(^^)。

このように、音楽と映像と演出が全くバラバラなのが3面の特徴ですが、ゾンビダンスと面白さと「キャプテンEO」の音楽のかっこよさと、ロボットの面白みが加わり、慣れれば面白い面だと思います。

さて、この面にもユーザーを硬直させるトラップとして、墓の上にいる「赤い鳥」がいます。これは、ホラーの光景にはつきものですが、マイケル作品群では思い至らないため、多くのユーザーは困惑させられ、油断しているうちにゾンビにやられることになります。

ステージ2のボスは、ゾンビのあとに左右から現れる、上半身だけ飛んでくるゾンビです。ここでは、ダンスマジックは使わずに、画面外からジャンプしてきたところを攻撃して画面外に追い払う、というやり方で攻撃すれば、比較的楽に突破できます。

ステージ3のボスは、できれば、最初に着地したところを連打し、そのまま立ち直る猶予を与えずに倒すようにしましょう。

ステージ2も3も、一匹ずつ確実に倒すようにすれば、それほど難しくないと思います。




4面 洞窟 曲:ビリージーン
舞台は、「スムーズクリミナル」からとられています。敵であるクモも同様です。クモの絵の前や、水の中の岩の上で回転をすると、壁が壊れますし、変な跡の前ではジャンプすると壊れます。穴がいっぱいあって面倒ですが、敵の出現パターンはきまってますので、それぞれに応じて、ノーダメージで脱出するようにパターンを作ってしまえば、それほど苦労はないでしょう。クモ以外は、今まででてきたのと同じような敵です。武装兵とか、ゾンビがメインとなります。

さて、ここまできてみると、「スムーズクリミナル」のかなりの映像が、ゲーム化されていることに気づきます.

では逆に、ゲーム「ムーンウォーカー」は、マイケル諸映像の要素を、必要十分に取り込んでいるのでしょうか。

映画の展開を振り返ってみると
1. 敵に襲われる。
2. 洞窟の中で秘密基地を見つけたときの回想シーン。
3. 走って逃げる
4. 車に変身して逃げる
5. CLUB30でギャング達と踊る。
6. 子供がさらわれる
7. 敵基地に入る
8. 流星。
9. ロボットに変身。
10. 宇宙船に変身して敵を倒す。
11. 子供達を救う。

これらの要素のほとんどがゲーム化されています。10は、まだありませんが、ここまでくれば最後は表現されることは予想できます。アーケード版でも、ゲームをクリアするとマイケルが宇宙船に変身して飛び立っていく映像でした。

ただし、よく見ると3と4が入っていません。車に変身は一部再現されていますが、逃げるわけではありません。
つまり、映画と比較すると、たったひとつ「逃げる」という要素だけが欠けているのです。

この面は単調なので、マイケル・ジャクソンにおいて、「逃げる」というアクションはどのような事象であるか考えてみましょう。


「逃げる」ということ


マイケル・ジャクソンのフィルムで「逃げる」という行為はどのように行われたでしょうか。。
1.「スリラー」
@恋人の女性が、月の光で狼に変身したマイケルを見て逃げるシーン
Aゾンビが襲ってきて、マイケルと恋人の二人で逃げるシーン
Bマイケルがゾンビと踊り出したため、恋人が山小屋で逃げるシーン

基本的に「逃げるシーン」と「踊るシーン」の組み合わせで構成されています。

2.「リメンバーザタイム」
@王妃にちょっかいを出したマイケルが王宮から逃げるシーン
A街なかを、兵から追いかけながら逃げるシーン
B王宮で踊った後、包囲され、黄金の砂となって消えるシーン

3.「ムーンウォーカー」
@ ファンの人形から追いかけられてセットの中を逃げ回るシーン。
A オートバイに乗って道路を高速で逃げるシーン(曲:スピードデーモン)
B ゴシップ記者(犬)からの追っかけシーン(曲:リーブミーアローン)
C ギャングに追いかけられて走って逃げるシーン
D 追い詰められて、車に変身し、高速で逃げるシーン

マイケル・ジャクソンの長編フィルムで、「逃げる」シーンは圧倒的な部分を占めるのです。


<変身すること>
逃げるシーンを分析していくと、重要なことがわかります。
それは、「包囲されて逃げ道がなくなると、マイケルは変身する」という法則です。
1.「スリラー」において、ゾンビ達に包囲されたさい、自分もゾンビに変身。
2.「リメンバーザタイム」において、王宮の兵達に包囲されたさい、黄金の砂に変身。
3.「スピードデーモン」でファンの追っかけに包囲されたさい、ウサギの人形に変身。
4.「スムーズクリミナル」で行き止まりの道に追い詰められたさい、車に変身。
5.「スムーズクリミナル」で兵に包囲されたさい、ロボットに変身。

この法則を逆にあてはめると、マイケルが意味もなく変身しているように見えるシーンも、精神的にきつい状況であるという心理がわかります。

6.「ブラックオアホワイト」のスタジオで、黒ヒョウとなって、誰の目にもふれずに出て行くシーン。この後、彼はひとりで街を破壊しつづけ、踊りつづけます。
7.「バッド」の地下室で、旧友たちから責められて、黒ずくめのワルに変身するシーン。

このように見てくると、「逃げること」→「追い詰められて変身すること」というのが、マイケルの基本パターンであることがわかります。
つまり、「逃げること」というのは、マイケル・ジャクソンにとって重要なファクターであり、これなくしては「変身」という事象も成り立たないわけです(唯一の例外が、スリラー冒頭での狼男への変身ですが、これは、満月によるためであることは明らかでしょう。ムーンウォーカーの力の発現です(^^))。


特に、このゲームのもとになった映画「ムーンウォーカー」の大部分の要素は逃げるシーンであり、ゲームに反映されていないのは致命的な問題であることがわかると思います。


マイケル・ジャクソンにとっての、逃げること、変身すること

ここで、視点を変えて、なぜマイケルは逃げつづけるのか、また、変身しつづけるのかを考えて見ます。
最初から最後まで逃げている映像としては、「LEAVE ME ALONE(ほっといてくれ、一人にしてくれ)」があります。ここでは、彼は犬達、つまりゴシップ記者達や、ファンからひたすら逃げつづけます。「ほっといてくれ」と叫びながら。

周知のように彼ほどファンの心をつかむことに熱心な人もいない反面、彼ほどゴシップネタを書きたてられている人もいないわけで、そのバランスがくずれた時に怒りが爆発しているようです。そもそも、この曲の題名自体ゴシップ記者たちに対して彼が思わず投げつけた言葉からとられています。

ところが、この歌自体の歌詞だけをみると、別れた恋人への怒りをうたった歌詞にしか読めません。つまり、メッセージとしては、ゴシップ記者やファンへの怒りをあらわにしているのですが、表面的な歌詞はあくまでもラブソングに収まるものなのです。

実は、メッセージと歌詞との乖離はこの曲だけではありません。ほとんどのビデオ・クリップにみられる現象です。

ここで興味深いのは、彼の歌詞には、誰かを非難している曲が異常に多いのです。それは、一読すると、自分をだましたり、中傷したりする恋人のことを歌っているように見えます。あくまでも、たいていはラブソングとして成り立っているのです。

もちろん、純粋なラブソングもあります。しかし、その数は「オフザウォール」の頃には多数を占めていたのに、作品ごとに数が少なくなり、誰かを非難する歌は増えていきます。

例えば、「オフザウォール」(1979年)は全10曲ですが、恋を歌う明るい歌は8曲をしめ、恋を歌う暗い歌が2曲です。しかし、全ての歌がラブソングであることは確かです。
ラブソングかどうかという角度で分類し、歌詞を一言でまとめて代表的なのを紹介すると、
明るい歌)「朝まで二人で踊りつづけよう」(ROCK WITH YOU)
暗い歌)「彼女は行ってしまった」(SHE'S OUT OF MY LIFE)

「スリラー」(1982年)は全9曲ですが、恋を歌う明るい歌は5曲、暗い歌は1曲、その他が3曲です。
明るい歌)「彼女は僕のもの」(GIRL IS MINE)
暗い歌)「あの子の父親は僕じゃない」(BILLIE JEAN)
その他)「とにかく相手をぶっとばせ」(BEAT IT)

「BAD」(1987年)は全11曲ですが、恋を歌う明るい歌は5曲、暗い歌も2曲、その他は4曲です。
明るい歌)「愛してるよ、リベリアの少女よ」(LEBERIAN GIRL)
暗い歌)「汚い女だ」(DIRTY DIANA)
その他)「自分自身を変えよう」(MAN in THE MIRROR)

「DANGEROUS」(1991年)は全14曲ですが、恋の歌は7曲です。歌詞は常に暗いというわけではありませんが、曲調はどれも暗い感じがします。
「彼女は危険な女だ」(DANGEROUS)
「世界を癒そう」(HEAL THE WORLE)

「ヒストリー」(1995年)は新曲は全15曲ですが、恋をテーマにした歌自体、別れの曲が1曲あるだけです。そして、その他ほとんど全てが、誰かを非難している、苦痛に満ちた歌です。
「不公平に疲れた、情けをもって欲しい、もう耐えられない」(SCREAM)
「くじらが泣いている、世界はどうなってしまうんだ」(EARTH SONG)
「全くむかつく奴だ。お前は僕だけを狙っている」(2BAD)
「僕を捕まえるのに手段を選ばないらしい。死体でも構わないんだ。多分、CIAの任務をこなしてきたんだろう。」(D.S.)

このアルバム最後の1曲がチャーリー・チャップリンの「SMILE」です。
この歌は、
「怖くても哀しくても、ほほえめば、きっと明日になれば人生まだまだ生きる価値があると思えるさ」という歌詞であり、彼の苦悩がしのばれます。


ところで、「LEAVE ME ALONE」のような例と照らし合わせて考えると、こういう考えもできるのではないでしょうか。つまり、「彼の歌に出てくる「恋人」とはファンのことである」と。こう考えれば、初期には愛を歌った曲が多かったのに、後には怒りを交えて非難する曲が多くなった理由も想像できます。


「LEAVE ME ALONE」の歌詞はまさにそのようにしか解釈できません。

「昔は、僕は君に全てを与えた。でも、今は違う。君は僕を裏切り、傷つけた。君が僕を今更求めてもおそい。ぼくはもう、ほっといて欲しいんだ。」という大意のこの歌は、歌詞だけ見れば何てことない歌ですが、映像と合わせてみると、かつてはファンを求めていたマイケルと、あまりのゴシップや中傷に怒りを覚えている彼との変化が見て取れます。

この映像のラストは、舞台のレジャーランドそのものを構成している巨大なマイケルが立ちあがってレジャーランドそのものを破壊するところで終わります。エンターテーナーとして、みんなを楽しませるために、ある程度ゴシップネタは意図的に振りまいてきたが、限度を超えるともう何も提供しないぞ、ということでしょう。

のちの「HISTORY」の「アースソング」では、もっと明確にメッセージを示します。
「どうして僕のことなんか追いかけつづけるんだ。世界は飢えているのに」


ほっといてくれ、というセリフは、「BAD」の映像の中でも叫ばれます。ここでは、かつての旧友達と別れ、名門高校に入った彼が、久しぶりに郷里に帰るシーンが描かれます。しかし、そこでは、かつての友人達は、マイケルに対し、嫉妬まじりの壁をみせます。そして、通行人を襲いきれないマイケルに対し、「おまえはもうワルじゃない。名門校のおぼっちゃんにすぎない。」といって、彼を非難します。
マイケルは絶叫します。

「おまえ達なんか、ワルでもなんでもない。ただの、何でもない奴らにすぎない。本当のワルはどっちだか見せてやる」といって、全身黒ずくめの衣装に変身します。


この後、「BAD」のダンスシーンになるのですが、それが終わった後、マイケルは泣くように叫び続けます。
「間違っているのはお前達だ。間違っているのはお前達だ。(・・十回以上続く)」

ここで彼は誰に何を言いたかったのでしょうか。噂によれば、「スリラー」で成功した後、「白人におもねる黒人」の代表としてマイケルは黒人団体から強い批判を受けたといいます。また、ダンサーに黒人を起用するように強く求められたともいいます。

その指弾のなかで、「BAD」は作られました。ここで起きた変化のひとつは、前作のポール・マッカートニーとのデュエットがスティービー・ワンダーとのものになったことや、ワルの奨励「BAD」、法律違反「スピードデーモン」、犯罪を描いた「スムーズクリミナル」など、全体的なブラックの要素です。

もっとも、同じアルバムの中にも「ラベリアンガール」のようなラブソングもありますし、「マンインザミラー」のように、今までの悪かった自分を反省しよう、という歌もはいってバランスをとっているところが、あくまでもエンターテイナーである彼の特質が現れていて面白いのですが(彼の曲は、どんなに攻撃的な内容であろうとも、映像は常に面白いものです)。

そして、「DANGEROUS」では、ほぼ全作品の映像が、黒人スターとの共演という形でなされました。マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、ナオミ・キャンベル、エディ・マーフィーといったそうそうたるメンバーでした。「HISTORY」ではジャネット・ジャクソン(及び、新バビル2世(^^))とも共演しております。

ここで、ひったくりしながらワルぶっている旧友に、「お前達なんかワルでもなんでもない。何でもないやつらだ」と叫びつづけていたマイケルの真意がなんとなくわかる気がします。努力しているわけでもなく、ただ成功者を妬むだけで、「白人におもねっている」などという非難をする人達に対しての怒りが感じられます。


「DANGEROUS」のなかの「ブラック オア ホワイト」で、インディアンやインドの踊り子、アフリカの原住民など世界の人々とおどります。様々な国の人々のモーフィングを映しながら、「自分は有色人種といわれて生きつづけるのはいやだ。黒とか白とかいうのは、どうでもいいことなんだ」と歌います。そして、最後に黒ヒョウに変身し、スタジオを出て街へでます。

ここから延々五分以上、ナチスや「KKK」のマークが描かれた街を踊りながら絶叫し続け、破壊しつづけます(初期バージョンのフィルム)。
その後、また、黒ヒョウとなって去っていきます。これは、彼が白人にあこがれて整形しているという非難(指摘?)に対しての、彼ならではの返答でしょう。


さて、「リメンバーザタイム」や「ブラックオアホワイト」の映像を見ていると、マイケル・ジャクソンが自分のイメージをどのように位置付けたいかがわかります。

前者では、古代エジプトで舞台が始まります。女王は退屈しきって死にそうになっています。そこに、魔術師としてのマイケルが現れ、女王の心をつかみます。嫉妬した王の兵に追われますが、最後は黄金の砂になり、風にのって消えていきます。

後者では現代の中流白人家庭で始まります。退屈した、というよりはくだびれた夫婦が映し出されます。子供は刺激を欲しますが、父親は安穏としていようとします。しかし、マイケル好きの子供の音楽の力で、父親は突如アフリカに飛ばされ、ライオンの狩猟を行おうとしている原住民達の所に行き、彼らと踊るマイケルを見ることになります。その後世界中にマイケルの踊る舞台は移りますが、最後は黒ヒョウとなり、去っていきます。

「スリラー」でも、狼男やゾンビに変身して恋人を襲いながらも、いつの間にかもとのマイケルに戻っているというシチュエーションを3回も繰り返します。

このような映像のイメージから、マイケルは、自分が、生活にくたびれたり、退屈しきっている人々に対して強烈な刺激を与えようとしていること、しかしながら人々から追いかけられれば、捕まることなく、変身してでも消えていく、つまりあくまでも捉えどころのない、神秘的な役割を果たしたいということだと思います。

このようなイメージを目指していることと、彼自身の変身願望が合わさって、逃げるシーンや変身するシーンが多くなるのでしょう。


「ムーンウォーカー」というのは、どういうゲームであるべきだったか。

このゲームは、前述しましたように、全ての要素がマイケルの諸作品から構成されています。そのこだわりは、感動すら覚えるほどです。
しかしながら、ここまでプレイした範囲では、たったひとつ、「逃げること」が取り入れられていないために、マイケルの世界の再構成に、残念ながら成功しきれていないようです。

敵に近づいていってキックとパンチで倒しつづけるという平凡なアクションゲームになってしまっています。
しかも、それほど難しいわけではないのですが、同じようなステージ(後になるほど長くなる)を3回繰り返して1面突破であり、全5面であるため、計15ステージであり、プレイしていて飽きてしまいます。マイケルの動きと踊りは確かに面白いのですが、それは1面もあれば十分楽しめます。

こう考えてきますと、そもそもこのゲームは本当にマイケルがデザインしたんだろうか、という気にもなってきます。アーケード版もゲームとしては今一歩でしたが、デザインや演出においてはとても優れていました。

しかし、メガドラ版は、ほとんどのシーンが映画やビデオからとられ、こだわりは感じるのですが、はっとするようなシーンもありません。
そう言えば、アーケード版ではオープニングデモの時から表示されていた、「DESIGN & CONCEPT by MICHEL JACKSON」の文字が、メガドラ版では一切表示されていませんでした。

では、このゲームは、本来どうあるべきだったのでしょうか。
ひとつ注意しなくてはいけないのは、マイケルの異様な弱さです。「スムーズクリミナル」のラスト近くで、敵兵に囲まれたマイケルが、なすすべもなく殴り倒されたシーンを思い浮かべればわかるでしょう。

つまり、マイケルは敵兵と普通に戦っては、一対一でも勝ち目はないのです(もっとも、昨年たしか世界空手連盟かなんかの名誉会長になったらしいので、今は違うかもしれない(^^))。

となると、ゲーム化するのであれば、マイケルは基本的に攻撃技をもつべきではないでしょう。そして、彼の真髄を発揮するための第一歩は、「逃げる」シーンです。しかし、いつかは包囲されるでしょう。その時こそ、子供の純粋な愛の力によるダンスマジックを使用して、みんなでいっしょに踊るべきなのです。もし、その時に流れ星があれば、「変身」することするできるかもしれません。とにかく、敵味方の関係が全く変質するのです。

このように考えると、彼にふさわしいゲーム化は、敵殲滅型アクションではなく、「パックマン」だということに異論はないでしょう。彼は、ムーンウォークなどしながら、ひたすら敵から逃げつづけます。でも、捕らわれた子供達(パックマンにおけるチェリーの代わり)を解放した時には、ダンスマジックで敵味方一緒に踊るのです。

これこそ、彼の様々な映像で繰り返し表現されていた面白さであり、マイケル・ジャクソンの正しい表現だと思います。


というような、つまらないことを考えているうちに、長かった4面もクリアできました。

 


5面 敵基地 曲:バッド
・ 舞台、敵、演出ともに「スムーズクリミナル」からとられています。

さて、瞬間移動装置や強力なレーザー光線などがおいてある、かなり面倒な面です。敵は武装兵一色です。はっきりいって、ここまで来ると、ゲームを続けること自体かったるくなってきます。しかし、これが最終面であることから、あと少しやればクリアだ、という一念でプレイする感じでしょう。

誰でも、操作しながら、結局このゲームはただの平凡なアクションゲームでしかないことに、あきらめを感じてきているでしょう。4面をプレイしていたときに考えていたように、包囲され、絶体絶命の瞬間に変化することがマイケルの醍醐味であるのに、ただ敵に近づいていき、殴る、けるを繰り返すだけなのですから。これならパックマンでもやっていた方がマイケルを感じられたのではないか、と思いながらプレイすることになります。

特に、2ステージのボスステージはかなり難しいです。私は、右上の高いところに飛び乗り、レーザー光線をあたらないようにしながらジャンプしてきた敵をひたすら振り払うようにして闘いました。途中武装兵が下からレーザーを撃ってきそうなときには、少々左右にずれてよけるようにします。

こんな風に、かったるいのを我慢してステージ3までいくと、ここはあまり難しくはありません。ここをプレイしている人が考えることはただひとつ、もう2度とこんな面倒なプレイはしたくない、何が何でも今回でクリアして、このつまらないゲームは終わりにしよう、ということだけのはずです。ここでやられると(コンテニューがあれば別ですが)、もう一度1面の1ステージから、計15ステージプレイしなおさなくてはいけないからです。

ところが、ボスステージになると、前のボスステージで苦労させられた強敵である緑の武装兵が大量におそいかかってきます。せっかくここまで来たのに、これではやられてしまう、何てことだ・・。その瞬間、なんと、ボスステージでは一度も出なかった流れ星が落ちてきます!!

そして、マイケルはロボットに変身を遂げます。まさに奇跡です!これにより、一気に形勢は逆転し、一方的に敵を破壊する展開となります。

この時、誰もが、はっと気づきます。このゲームが本当に表現しようとしていたのは、この瞬間だったのだ・・と。絶体絶命の窮地においこまれ、もはやあきらめるしかなくなった瞬間に、奇跡により変身をおこない、全ての状況が変化する。これこそ、マイケル・ジャクソンそのものではないか・・と。

そう考えると、これまでの長く単調な展開も、全てはこの一瞬を導くためにあえて存在していたような気がします。


その後、空高く上昇するとそのまま舞台は宇宙になり、今度はいきなり3Dシューティングにゲームがかわります。映画の展開から言って、宇宙船が登場するだろうとは思いましたが、まさかゲーム自体がシューティングになるとは予想できませんでした。

 

しかも、このシューティングもあまり出来がいいものではありません。何でここまできて、無理にシューティングゲームに変わったんだろう、と思った瞬間、全てが理解でき、あっと声をあげるはずです。


このゲームは、もうすぐ終わる、後がないという状況の中で、変化したかったんだということを。アクションゲームからシューティングゲームへという変化は、このゲーム自身が、最後の瞬間変化するマイケルジャクソンになることを目指していることなんだ・・と。


そして、プレイヤーは、「ビックボス」を倒し、子供とマイケルが踊るエンディングを眺めながら、このゲームが本当の意味で「ムーンウォーカー」と呼ばれるに値するゲームであることを、確信し、感動するでしょう。


その時、よく注意してみると、画面上には「DESGIN & CONCEPT BY MICHEL JACKSON」の文字が、微笑むように映し出されているはずです。

 



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