Vガンダム
製作段階(1993年2月8日)のインタビュー
(ニュータイプ誌93年4月号より)
今回、新しいガンダムを始めるにあたって、少なくともF91までやってきたことはもう終わりにしようと覚悟を決めて準備に入りました。
しかし一個人が過去を捨てたといっても、実際のところはやはり前のガンダムでした。
実は、つい最近までスタジオ全体が試行錯誤の連続だったんです。それが2週間前になって、ガラッと変わりました。というのも製作が進むにつれて、今まではっきりとしなかった「Vガンダム」の世界、コンセプトがやっと見えてきたからなんです。ですから、少し前に受けたインタビューのときとはかなり考え方が違ってきてます。
とにかくまずテレビアニメの原点に戻って、楽しいロボットアニメものにしたい。
たとえば、主人公がなぜ13歳なのかといえば、それが最も見てもらいたい年齢層と重なるからです。同じ理由から、ストーリーもかなり主人公の”ウッソの目”を強調したつくりになっています。
また、ガンダム=宇宙のイメージを消すため、物語の出発点もあえて地球にしています。
これはガンダム自体の扱いについてもいえることで、ひと言でいってしまえば 、Vガンダムはよく壊れます。というのは、今の子供たちはゲームソフトの影響もあって、主人公が絶対的に強いと思っていない。むしろ、置かれた状況の中でどう戦うかを考える。
それを前提として考えたときに出てきたのが、損傷したパーツの取り替えがきく、ヴィクトリータイプのガンダムなんです。しかも最低でも3機出てくることになります。
今回、タイトルに「V(ヴィクトリー)ガンダム」なんて恥ずかしい名前をつけたのも、実はそこに関係しているんです。
”ガンダム”と名がつく以上、そこにはどうしても”ガンダムらしさ=リアリティー”を求めるファンの人たちがいるわけです。その人たちの嗜好の結実として(ガンダム世界の)歴史があり、年表がある。そういったことから、もっといってしまえば、そういったファンとは訣別したかった、”らしさ”を否定したかったんです。ですから時代設定に関しては、つくり手としてはまったく無視しています。
それよりも、今は新しいファンに対してアピールしていきたい。なぜならそこにこそ、テレビという媒体の中でのアニメの存在価値があると思うからなんです。
そういう意味で、今までの巨大ロボットものとは違う、よりマンガ的なものをめざしています。まだ2クール以降は決まってはいないのですが、以前のガンダムとはまるで違うイメージでグシャグシャにしていく予定です。
可能性は見えなくても3クール目ではやります。
F91までのバージョンは基本的には失敗作だというぐらいに覚悟を決めて、新しいテレビアニメにチャレンジしたい。SDからちょっと上のところまでのマーケットをVガンダムだけで広げてみせます。
Vガンダムをマンガチックにでき、完全に色合いの違うガンダムがつくれたならば、かなりずうずうしいですが、F91以後のガンダムが別にあって、ひょっとしたら来年2本立てができるかもしれません。
もちろんF91を継承した物語は当然あり、それをつくる機会を狙っているのです。
1クール目はすでに製作が先行していたので、少し昔のガンダムを引きずっている部分はありますが、そうはいっても、違う雰囲気は見えると思います。
「Vガンダム」は名前こそガンダムですが、ここ数年では見たことのなかった、ひどく原始的なロボットアニメに仕上がっています。そのうえでコマーシャリズムに乗るのに必要不可欠な部分も、すべてもち、そういった観点から見ても、楽しんでもらえる作品ではないかと思います。
とはいえ話は複雑でヘンなつくりなんですが・・
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