会社に入って役に立つ文章作成能力について

1.このページの目的

 ここでは、就職活動中の理系・文系の大学生や、新入社員の皆さんに会社での文書作成に、速く慣れるためのヒントを掲載しています。

 今回取り上げた文章は、報告書やレポートなどの論理的な文書で使う文章としました。このような文章を作成する機会は、会社でまとまった仕事を行う場合によく出てきます。大学卒業の知的価値を示すためには、力のある論理的なレポートを作成するのが一つの手段です。

 しかしながら、
「現在の大学卒業生が、直ぐにこのような力のある文章が書けるか」
と質問されると、
「残念ながら難しい」

 と答えが返ってきます。例えば、“かけがえのない「スキル人間」になる”の中では、レポートを先輩から何回も直されながら3年程度で1人前になると書いてあります。

http://www.kobunsha.com/book/HTML/kbk_00735_X.html

これは、企業の新入社員指導者達も同感でしょう。

 このページは、そのような期間を少しでも短縮する役に立てば良いと考えて作りました。また、就職活動中の皆さんには、会社での発想法に少しでも触れてもらえれば幸いです。

 

2.会社の文章の特徴

 会社で作る報告書と学校のレポートや論文の一番の違いは、

“読み手を意識しないといけない”

点です。学校のレポートは、出題者が求めたものを書くのですから、出題者は読んでくれます。しかし、会社では提出した文書が必ず読んでもらえるとは限りません。

 さらに、課題の設定の面で見ると、会社では自分で問題点を見つけて、解決までの道を拓く必要があります。この時も、自分の考えた問題点が読み手も同じように感じているか考える必要があります。

 但し、会社での文書作成の有利な点は、ある程度読み手の顔が見える点です。学校の考えている、抽象的な真理を相手にするよりはわかりやすいはずです。

 もう少し具体的に言うと、読み手を納得させる文章を、読み手の理解レベルで解るように作成する必要があります。正しいと言うことは、読み手の納得と言う相対的な現象になります。

 

3.論理的とは

 学校での『論理』と会社での『論理的』という言葉には、上にも書きましたが大きな違いがあります。
 「会社の論理は、人に納得してもらうために使う。」
と言う点が、
 「一般的な真理の追究を行う。」
学校の立場と異なっています。

 このため、文章を作る場合にも相手を想定する必要があります。相手が知っていることを土台として話を進めます。正しいと言うのは、相手の納得とを得ると言う、相対的な事項になります。

 人の納得を得るためには、納得しない原因を考えて見ましょう。大きく分けて以下の疑問点が、納得しない主要原因です。

・それは確かか?

・それで全てか?

このため、言うべきことを全て尽くし、しかも『原因』→『結果』がはっきり理解できる議論を行う必要があります。

 

4.「それで全て」に答える

 人に説明するためには、まず自分が
「関連することを全てもれなく列挙して検討した。」

ことを、読み手に知ってもらうことが大切です。一面だけの見方の議論を押し付けられても、読み手の不安をあおるだけです。そのためには、最初に全般的に考えたことを伝えて、安心感を得るのが効果的です。具体的には、

   全貌を示す図なり表を早い目に提示する”

のが効果的です。

 この原則は、

MECE(Mutually Exclusive collectively Exhaustive=重なりなくもれなく)

です。この時も読み手の視点を考える必要があります。余りにも広すぎる議論で、注目点が小さくなりすぎるのもいけません。ほどの良い広がりと、分解能での議論が必要です。

 MECEができているかのチェックのためにも、早い目に図や表を書いてみるのが有効です。最初から満足なものは描けませんが、修正していく間に議論がわかりやすくなります。

 

5.「それは確か?」に答える

 この部分は、狭い意味の論理的な展開になります。三段論法などで、『原因』→『結果』の関係を明確にしていきます。

  (大前提)  人間は死ぬものである         AB…一般論

    (小前提)  ソクラテスは人間である       CA…今回の事例は一般論に当てはまる

    (結論)    ゆえにソクラテスは死ぬ       CB…従って成立する

    図1 三段論法の基本

 注意しないといけないことは、このような因果関係の認識に関しても、読み手の立場で以下の様な苦情を生じます。

・乱雑な説明だ、話が飛びすぎる…荒すぎた議論、納得していない部分を常識扱い

・回りくどい、話が長すぎる  …細かすぎる議論、常識までくどくど述べた場合

このため、相手の考えを考慮して、ほどの良いレベルでの記述をする必要があります。

なお、これは自分自身でも使えます。勉強をする場合にも、お仕着せの教科書では、「くどすぎる」か「議論が飛びすぎる」場合が多いと思います。このため、自分で考えて造ったノートを使うことが、納得の早道です。

 また、このような三段論法での議論は抽象的になりがちです。そのため、具体的な実例で説明を補うと、力強い議論になります。なお、例外事項を認めて、それを明記して、それぞれに対する対策を書くことが、独りよがりでない姿勢を示し読み手を安心させます。

  論理的な思考法に関しては、昔作った資料も参考にしてください。

http://homepage3.nifty.com/manabizz/chap3.doc

 

6.話の進め方

 会社でのレポートの作成は、以下のページも参考にしてください。

http://homepage3.nifty.com/manabizz/report.htm

 ここでは、ある一つの課題の解決を売り込む提案例を考えてみました。大きく分けて以下の5段階で行います。

  (1)目的を明確にする       …実際は目的が不明確な場合が余りにも多い

  (2)着眼点を明確にし現状を把握する…現状は、複雑多様であるので、着眼点を明確にし、絞り込むことが大切

      ここで悪さ加減を明確にする

  (3)原因を追究する

    (3-1)必要な仮説を立てる   …こうしないと効率が悪い

    (3-2)仮説を裏付ける     …理論面と実例面の両面から行う

  (4)改善案を提示する

  (5)改善案の実行状況を紙の上でも良いからシミュレーションする…動かすと見える不具合がある

 

 また主張は以下の図のように、細分化や具体例の構造化をしておけば読みやすくなる。

 

                                                        議論の目的

                                                          |

  +―――――――――――――――+――――――――――――――+

  |               |              |

側面1             側面2            側面3

 |               |                                  |

具体的には          具体的には           具体的には

 

              まとめるとXXである。

 

             図2 主張の構造化

 

 なお、現実は複雑であり、実際に対応するためには各種の前提の下での議論となります。このような前提は必要ですが、これを明確に認識していることももっと重要です。

 

7.面白い文章と力強い文章

 論文のような『面白さ』の入り込みにくいような世界にも、『面白い論文』は存在します。これらは、以下の様な特徴を持っています。

  ・ユニークな視点があること

  ・議論に力があること

    >書いている内容以上のものが後ろに存在することを感じさせる文章

      >1枚の提出文書の後ろに多くの検討書が存在し、エキスだけを提出している場合

      >自然科学以外では自分の体験に裏付けられている場合

8.まとめ

 これだけで充分とは思いませんが、少しは助けになれば幸いです。

以上