マンガ・ベンチマーク.5 「少年チャンピオン」秋田書店 991104 No.48     地図へ  もどる

 
王者 亡者
『おやつ』 おおひなたごう 90 80  コマの中に描かれているのはキャラクターではなく図であるという認識。キャラクターに対する愛着を形成してそれをテコにある種なれ合う関係を読者と作るのが長持ちへの道ですが、おおひなたごうは素手に近い状態で描き続けなければならない。力がある作家だ。
『おまかせピース電器店』 能田達規 80 90  機械や化学からコンピュータのほうに産業のフロンティアが移っていくにつれ、科学に少年の素朴な夢が投影される例が少なくなった気がする。そのなかで夢の機械が生き残ってる貴重なマンガ。理系志向の地盤沈下を嘆く人たちは医師免許の段階制を推進するとともに、このマンガを指定図書にして小学校に撒くのはどうだろう。
『学校怪談』 高橋葉介 90 80  毎週くふうした小話を見せてくれる。小説とか映画から勉強してきたものなんだろうな。オチはヒューマニズム。楽な方法を採りたくないのか昔はブラックな余韻を残そうとしていたようにも見受けられたが、結局は性に合わなかったんでしょう。断じてヒューマニズムで良いです。
『悟空道』 山口貴由 80 60  大きいものを大きく見せる過剰に丸いタッチ。上品な性的メタファー。こういうバーチャルな世界は好きよ。ただ仏教のギミックが生きていない。大東亜共栄圏の夢の方が迫力ありましたね。
『浦安鉄筋家族』 浜岡賢次 40 90  たとえば伊集院光と伊集院静の違いは、少年の魂を多少でも持っているか持ってるフリをするゴミかの違い。村上たかしと、なにわ小吉は少年の心に恵まれている作家。浜岡賢次はその魂を持っていないが、少年のフリなどはせずただ疾走感のない不器用な線を連ねて少年への愛を表現する。永遠の少年と少年愛はこういう図式でも示される。
『鉄鍋のジャン!』 西条真二 70 60  黒い縁取りのつり上がった目、つねに意地悪そうにゆがんだ口元。読者にさえ努力しているところを見せたくない男。これが主人公。どこから思いついたんだろう。
『O-HA-YO』 川島よしお 60 60  ネグリジェの先生・シワシワばあちゃんなど、ちょっとした(どうでもいい)アイディアをうまく上品にまとめていて、脈絡のあるストーリーを作る気は全くない。この人はこれからどうすれば良いんだろう。えーと古屋兎丸のように一枚絵を描いてみて、マーケットを広げるというのはどうだ。歌舞伎好きという趣味を生かす手もある。とにかく下品なギミックでも一度使ってマニアの人に一度好かれると先が見えるはず。
『フジケン』 小沢としお 40 70  素の不良マンガ。不透明というのではなく、人物の内面の描写が深まらないという印象がある。でも不良がマジメにものを考えてる前提にすると世界に対する憎悪とか世界征服とか、人間一般に対する絶望とかの奇怪な観念を捏造しなければならないから、その欠点も美点になるかな。主人公のあっさりとしたところスキよ。ヒロインのマコトもかわいい。
『バキ』 板垣恵介 70 40  だれもが危惧する設定のエスカレーションへの道。このような才能こそは、暴走しないように編集や原作の力が必要なはず。板垣の作品が提供するカタルシスは強さのバージョンアップだけではない。馬場の外伝、いい話だったじゃん。私、泣いちゃったです。でも夢枕貘はダメなセンチメンタリズムのほうに板垣を連れていく。関係ないけど私の家に板垣に書いていただいた色紙がある。
『ドカベン・プロ野球編』 水島新司 70 10  『野球狂の詩』の連載も始まったし、誰かが水島新司の作品を今も望んでいるのは確かなんですが…。藤子Aも本宮ひろしも弘兼憲史も石森章太郎もさいとうたかおも作家生活上でなんらかの挫折や諦念をもった形跡が感じられますが、この人の明るさとそれを許すポジショニングは謎。
『京四郎』 樋田和彦 40 30  この世界でもそれなりに仲間内での倫理や友情があるんですが、仲間以外の人間に対してはさらっと極悪な所業をなしてしまいそうな主人公たち。
『ゲッチューまごころ便』 緋采俊樹 20 50  どうでもいい絵とちょっとイイ話。でもちょっと楽しい。このような作品のささいな成功は、作家性を大切にするチャンピオンの特性をよく表している。
『デカポリス』 岩塚卓 30 30  ギャグのセンスはいいんですが、マンガがあまりうまくない。ペン先変えてコマ割の自分なりのスタイルを捨てて絵を作り直してみるのはどうでしょう。むろんアウトプットは保証できないけど。例えばとり・みき『怪奇版画男』は、岩塚と基本的に同程度の才能のレベルでそこそこ成功してる。あっちは工夫をしてて、かつプロモーションがうまいことによる差。そこまで行けないわけじゃない。
『特攻天女』 みさき速 30 20  パラパラとめくってみてるだけなのだが、とんでもなく不愉快な事態が起こっているように見受けられる。精神衛生上良くないのでめくるのもヤメにしたい。
『オヤマ!菊之助』 瀬口たかひろ 10 30  内山亜紀の連載をやった伝統のある雑誌だからなあ。
『がんばれ酢めし疑獄!!』 施川ユウキ 30 10  たまに良いギャグがある。ムリして四コマ以外のものをたくさん書いたら、借りてきたギミック以外の手で作る必要が出てきておもしろい作品ができるかもしれません。カラ回りしてるタイトルに現れてるような姿勢は捨てた方がいい。
『どうぎんぐ』 斉藤邦和 10 20  ごめん、つまんないや。たぶん、まじめに描いてるんだけどね。
『NUDE-少女鮮明-』 うちだ藤丸 5 20  スケベ担当連載マンガ相対評価、マガジンのヤツよりもやや良い。サンデーのヤツを引き離してる。スピリッツのヤツより100倍よいが、絶対的はそんなに良くない。スケベマンガってダメなのかなあ。うすっぺらな観念の酔っぱらい女じゃない、普通の女の子の視点。ここでの普通の女の子は男の視点がつっくたものの範疇に収まってる。安彦麻里絵『フロム山形』に学ぶべきか。
『満天の星』 楠本哲 5 20  主人公のコブシが小さいから、殴ると相手が痛いってのは聞いたこと無かったエピソード。あとはオリジナルの要素が少ないんだよなー。
『2×2』 うういずみ 5 10  チャンピオンって少女マンガが多いんだよね。誌面の見かけ上の小汚さを軽減しようと思うと少女マンガ系の絵に頼ることになるのだろうか。
『麻雀鬼ウキョウ』 橋本俊二 5 5  以前チャンピオンでお香焚いてた少年は良かったんだけど。これは何にも良いところがない。マンガと麻雀をなめている。こんなんヤメちまって『用神坊』のいとう杏六、復活しないかなあ。
『SPRING MAN』 内海甲介 - -  読んでません。
『フルアヘッド!ココ』 米原秀幸 - -  読んでません。
『優駿の門』 やまさき巧味 - -  読んでません。