■ マーチ入門盤〜“行進曲へのいざない”

このページでは、主にスクール・バンド現役部員の皆さんがマーチに興味を持って頂きたいお薦めの入門CDをご紹介致します。

親しみやすいマーチのメロディーを聴くと、何となく心が晴れやかになります。もちろん、マーチは決して「構造が単純な実用音楽」ではありません。アメリカ海兵隊バンド、ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団は、吹奏楽の大曲・難曲を見事に演奏しますが、これは完璧なマーチ演奏に見られる「基本」が身に付いていることの表れでしょう。

とにかく、理屈ぬきに楽しめるマーチ。演奏者と聴き手が一体となるマーチ。そして、吹奏楽の「基本レパートリー」はマーチ。コンクールの自由曲や、定期演奏会のレパートリー等、皆さまのバンド活動を通じて、積極的にマーチを採り上げてくださることを願ってやみません。
掲載のCDについて

1)掲載CDの選定基準(下記要件)は、あくまでも管理人の個人的な主観によるものです。
  ・CDショップ、ネットショップ、通信販売等を通じて、入手可能な国内外のCD。
  ・各国のマーチは、当該国バンドによる演奏とした(例:ドイツ行進曲は、ドイツ軍楽隊の演奏)。
2)掲載CDのコメント、及び輸入盤の曲目表記は管理人の個人的な解釈によるものです。
3)輸入盤CDの多くは、MBレコード(東京)を通じて入手が可能です(通信販売も対応)。
4)「他のご参考CD」のタイトル名をクリックすると、当サイト内の掲載ページにジャンプします。
5)未成年者の方が、ネットショップ・通信販売を利用される場合は、購入方法・お支払い方法につき、事前に保護者の方のご確認をお願い致します。
マーチ王・スーザのマーチ (スーザの生涯はこちら
Sousa's Greatest Hits (スーザ名行進曲集)
アルバート・ショーパー中佐指揮/アメリカ海兵隊軍楽隊


星条旗よ永遠なれ/許婚(いいなずけ)/忠誠/キング・コットン/サウンド・オフ/ワシントン・ポスト/古代ローマ剣闘士/ナショナル・フェンシブルス/イギリス水兵/雷神/サーベルと拍車/ロイヤル・ウェールズ・フュージリア連隊/エル・カピタン/グリッドアイアン・クラブ/マンハッタン・ビーチ/銃後の男(砲撃手)/無敵の荒鷲/勇敢なる第7連隊/(全18曲)
輸入CD
Altissimo!

75442255672
「エル・カピタン」「雷神」「ワシントン・ポスト」、そしてマーチの最高傑作「星条旗よ永遠なれ」・・・。誰もが知っている名作マーチの数々を作曲したのが、「マーチ王」と称されるジョン・フィリップ・スーザ(1854-1932)です。
スーザは米国海兵隊軍楽隊の隊長を務めた後、自ら「スーザ・バンド」を設立、鑑賞に耐え得るマーチの傑作を輩出しました。また、「スーザフォン」の考案も特筆すべきでしょう。

多くのスーザ・マーチCDが存在しますが、先ずは米国海兵隊軍楽隊による本場の演奏を聴いてみましょう。海兵隊軍楽隊は米国を代表するバンドで、かつてスーザも隊長を務めたことは前述の通りです。1955年から1972年の間、同バンドの隊長だったショーパー中佐の見事なタクトはもちろん、海兵隊バンドの豪快な演奏も魅力的です。
大作曲家のマーチ(吹奏楽)
ハルモニームジーク〜大作曲家の吹奏楽
沼尻竜典指揮/大阪市音楽団


「ヨルク軍団行進曲」を含む帰営の音楽3曲(ベートーヴェン)/軍楽のための行進曲ニ長調(ベートーヴェン)/オルレアン公の婚礼のための3つの行進曲(ロッシーニ)/皇帝アブドゥル・メジドのための行進曲(ロッシーニ)/イタリアの戴冠式(ロッシーニ)/ハルモニームジークのための序曲ハ長調(メンデルスゾーン)/葬送行進曲イ短調(メンデルスゾーン)/リッカルド・ノルドロークの思い出のための葬送行進曲(グリーグ)/アポロ行進曲(ケラー)/行進曲変ホ長調(ブルックナー)/ウェーバー「オイリアンテ」の動機による葬送音楽(ワーグナー)/(全15曲)
国内CD
EXTON

OVCL-00113
このCDは、クラシックの大作曲家による珍しい行進曲・吹奏楽作品を集約した好企画アルバムです。「あの楽聖ベートーヴェンやブルックナー、そしてワーグナーが、マーチ・吹奏楽を作曲した!」と驚くことでしょう。

ベートーヴェンの音楽における行進曲の意義は再考されなければならない重要な課題」というベートーヴェン研究家・平野昭氏の考察通り、有名な交響曲「英雄」「第九(合唱)」「戦争交響曲(ウェリントンの勝利)」等の作品では、行進曲が重要な地位を占めています。
また、ナポレオン戦争時代のベートーヴェンは、軍楽隊のために
「ヨルク軍団行進曲」等、複数の愛国的なマーチも作曲しています。

このCDでは、歌劇「ウィリアム・テル」序曲で有名な
ロッシーニ、重厚な交響曲を作曲したブルックナー、組曲「ペール・ギュント」でおなじみのグリーグらの貴重なマーチ作品も聴くことができます。
沼尻竜典氏のタクト、オリジナル・スコアを尊重した大阪市音楽団の演奏ともに秀逸で、「ブラスバンドの原点」ともいうべき歴史的マーチ集です。


■ 他のご参考CD

1)「ベートーヴェン:ウェリントンの勝利&行進曲集」ベルリン・フィル管楽Ens.
2)「ワーグナー名演集」オランダ王立海軍軍楽隊
(特選!)
3)「R・シュトラウス吹奏楽曲集」バイエルン放送響管楽Ens.他
Fennell conducts Sousa (フェネル・スーザ・マーチ集)
フレデリック・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル


サウンド・オフ/神秘な殿堂の貴族たち/サーベルと拍車/ピカドール/我々の恋愛ごっこ/ハイスクール・カデッツ/無敵の荒鷲/銃弾と銃剣/自由の鐘/国旗に捧げし騎兵隊/勇者は前線へ/勇敢なる第7連隊/ライフル銃連隊/ウルヴァリーンの誇り/ゴールデン・ジュビリー(50周年祝祭)/グリッドアイアン・クラブ/ニュー・メキシコ/150年祭博覧会行進曲/黒馬騎兵中隊/カンザスの山猫/マンハッタン・ビーチ/由緒ある名誉砲兵中隊/ナショナル・ゲーム/ヤンキー海軍の栄光/(全24曲)
輸入CD
Mercury

434 300-2
吹奏楽ファンにはおなじみ、フレデリック・フェネルとイーストマンによるスーザ・マーチ集です。このCDは、一般に知られていない作品が占めるものの、フェネルの名タクトと相俟って、隠れた傑作の魅力を楽しむことができます。特に、トリオに「蛍の光」が登場する「由緒ある名誉砲兵中隊」は、定期演奏会のアンコール曲としてお薦めです。

近年、日本ではスーザ伝、マーチ作品解説の出版や、陸上自衛隊第1音楽隊によるCD「スーザ・マーチ原典大全集」(全10巻)が発売される等、アメリカ本国以上に「スーザ熱」が高まっています。


■ 他のご参考CD
1)「スーザ・マーチ原典大全集」(全10巻)陸上自衛隊第1音楽隊
(必聴!)
2)「スーザ・スペシャル」英国近衛スコッツ連隊軍楽隊
(特選!)
3)「Sousa Original シリーズ(全4枚)」米国海兵隊軍楽隊



アルフォードのマーチ(イギリスのマーチ)
The Music of Kenneth Alford (アルフォード名行進曲集)
J・R・メイスン大尉指揮/英国海兵隊軍楽隊(Portsmouth)


ボギー大佐/屈強の小陸軍/王室の海兵隊員/後甲板にて/シン・レッド・ライン/砲声/セント・ジョージ軍旗/雲の騎士/海軍士官候補生/ホリールード/ナイルの護り/ダニーディン/消えた軍隊/オールド・パナマ/イーグル爆撃隊/幻想曲「ライトニング・スイッチ」/陸と海を越えて/騎馬哨兵/幻想曲「ミュージカル・スイッチ」/風変わりな少佐(怒れる少佐)/(全20曲)
輸入CD
Chandos

CHAN 6584
ケネス・J・アルフォード(本名フレッド・J・リケッツ:1881-1945)は、英国が誇るマーチ王です。映画で使用された「ボギー大佐」「砲声」等が最も有名ですが、悲壮感あふれる「ナイルの護り」「消えた軍隊」も優れています。
アルフォードは生涯に18曲のマーチを残しましたが、このCDはその全てを収録、
「風変わりな少佐」等、変化に富んだマーチを楽しむことができます。ポーツマス英国海兵隊軍楽隊の演奏も優秀。

イギリスはまた、エルガーが作曲した
行進曲「威風堂々」第1番のようなグランド・マーチが多数存在します。また、有名な近衛兵軍楽隊(5隊も!)、空軍中央軍楽隊等の優秀なバンドが多いことでも知られています。
なかでも、1950年代前後に活躍したサー・ヴィヴィアン・ダン中佐とロイヤル・マリーンズ・バンド(英国海兵隊軍楽隊)は、レコードを通じて「英国マーチ・吹奏楽の神髄」ともいうべき多くの名演を生み出しました。


他のご参考CD
1)「Kings of the March」英国海兵隊軍楽隊(ダン中佐指揮)
(必聴!)
2)「Music at Sunset」英国海兵隊軍楽隊(ダン中佐指揮)
3)「アルフォード名行進曲全集」陸上自衛隊第1音楽隊

ドイツ・オーストリアのマーチ
不滅のドイツ行進曲名曲集(3枚組)
ハンス・フリース少佐指揮/第11装甲擲弾兵師団軍楽隊

CD 1
行進曲「旧友」(タイケ)/カール王行進曲(ウンラート)/行進曲「懐かしきデッサウ」(不詳)/ホーエンフリードベルク行進曲(フリードリヒ大王)/行進曲「双頭の鷲の旗の下に」(J・F・ヴァーグナー)/ラデツキー行進曲(J・シュトラウス1世)/行進曲「はためく軍旗の下に」(リンデマン)/アレクサンダー行進曲(レオンハルト)/加速度行進曲(J・シュトラウス1世)/バイエルン分列行進曲(シェルツァー)/シュタインメッツ行進曲(ブラートフィッシュ)/ケルントルーペン行進曲(シュミーデッケ)/行進曲「連隊の挨拶」(シュタインベック)/分列行進曲(ファウスト)/閲兵行進曲(レックリング)/バイエルン・プレゼンティール行進曲(不詳)/ペピータ行進曲(パイフケ)/第108連隊狙撃兵分列行進曲(リッペ)/行進曲「ハイデックスブルク万歳!」(ヘルツァー)/ペテルブルク行進曲(不詳)/甲騎兵行進曲「大選帝侯」(ジーモン)/アルプレヒト大公行進曲(コムツァーク)/パリ入場行進曲(ヴァルヒ)/行進曲「プロイセンの栄光」(ピーフケ)/フリートリヒ近衛兵行進曲(ラデック)/(全26曲)
国内CD
Polygram

POCG-3557/9
(3枚組)
CD 2
フローレンス行進曲(フチーク)/行進曲「ウィーンはウィーン」(シュランメル)/トルガウアー行進曲(ショルツ)/ケーニッヒグレッツ行進曲(ピーフケ)/近衛第1大隊行進曲(不詳)/十字軍騎士ファンファーレ(ヘンリオン)/ドイツ騎士団長連隊行進曲(ユレーク)/行進曲「ヨーロッパ万歳」(ブロン)/行進曲「ヴァイトマンス・ハイル」(レックリング)/エーガーラント行進曲(コペツキー)/行進曲「大空の勇士」(ドスタル)/フリートリヒ3世の巡閲行進曲(フリートリヒ3世)/行進曲「爆弾と榴弾を持って」(ビルゼ)/行進曲「パンクグラーフェン」(シュレンク)/行進歌「ヘラーとバッツェン」(伝承)/行進歌「ローレ」(伝承)/行進歌「エーリカ」(ニール)/行進歌「軍楽隊が街を進む」(ブロイアー)/行進歌「旧友」(タイケ)/行進歌「はしばみの実はこげ茶色」(伝承)/行進歌「我がシレジア」(伝承)/行進歌「ヴェスターヴァルト・リート」(伝承)/行進歌「楽しき兵隊」(ニール)/行進歌「ム・シ・デン」(伝承)/(全24曲)
CD 3
歴史的ドイツ大行進曲集(エミール・カイザー選択編集の24曲メドレー)/大帰営譜(13曲)/喜歌劇「「陽気な若者」序曲(スッペ)/ワルツ「エッチェの秘密」(カレナ)/歌劇「アイーダ」凱旋行進曲(ヴェルディ)/ハンガリー狂詩曲(ラインデル)/軍艦行進曲(瀬戸口藤吉)/(全42曲)
ドイツは「近代行進曲発祥の国」と称されています。プロセイン国王が軍隊行進曲をセレクションして制定したり、根っからのマーチ好きな国民性も相俟って、マーチの演奏や作曲が非常に盛んです。芸術の香り高く、重厚で力強い作風は、数多くの大作曲家を輩出したドイツならではでしょう。

このCDはH・フリース少佐と第11装甲擲弾兵(てきだんへい)師団軍楽隊によるドイツ名行進曲集で、おなじみの
「旧友」「ハイデックスブルク万歳」はもちろん、「プロイセンの栄光」「ペピータ行進曲」「大空の勇士」等を豪快な演奏で楽しむことができます。
また、このCDは隣国オーストリアの名行進曲も収録、有名な
「双頭の鷲の旗の下に」を筆頭に、「ラデツキー行進曲」「アルプレヒト大公行進曲」「ウィーンはウィーン」等、明るく軽快な曲調です。
Die schonsten Julius Fucik Marsche (フチーク名行進曲集)
ジギスムント・ザイドル中佐指揮/オーストリア連邦軍ケルンテン軍楽隊


剣士の入場/ドナウ川/勝利の剣/皇帝万歳/ファンファーレの響き/連隊の子供/堅実に、忠実に/エルベの谷に挨拶/ドラッハゼル行進曲/大胆に、忠実に/ヘルツェゴヴィーナ行進曲/サライェヴォ行進曲/陽気な村の鍛冶屋/提督の旗の下に/ホルシュタイン行進曲/ハンガリー行進曲「アッティラ」/ライトメリッツ射撃兵団/勇敢に前へ/フローレンス行進曲/(全19曲)
輸入CD
KOCH
323 764
ハプスブルク帝国時代のオーストリアでは、チェコやハンガリーの優れた軍楽隊長が活躍していました。チェコのユリウス・フチーク(1872-1916)もその一人で、有名な「フローレンス行進曲」「連隊の子供」「剣士の入場」等は、欧州大陸を中心に今日でも愛奏されています。

フチークのマーチは明るく躍動感あふれる一方、ボヘミア的な哀愁漂う曲調が魅力的です。このCDはフチークの代表的なマーチを集約したアルバムで、オーストリアの軍楽隊が好演しています。


他のご参考CD
1)「ドイツ行進曲傑作集」ドイツ連邦軍司令部軍楽隊
(必聴!)
2)「ドイツ軍隊行進曲集」(全5巻)ドイツ連邦軍司令部軍楽隊
3)「オーストリア名行進曲集」ドイッチュマイスター・カペレ他
4)「フチーク管弦楽曲集」チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(ノイマン指揮)



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オスマンの響き/
トルコの軍楽
(キングレコード)
「マーチ雑記帳」(番外編)・・・

マーチの歴史(私見)


 壮大なテーマ「マーチの歴史」を語るには、西洋音楽史、西洋(政治・文化・社会)史との関連性も必用ですが、恥ずかしながら、私はこれらの分野の正確な知識がないのです。

 おそらく、古代ローマの時代にも軍団の士気を高めるために、ラッパ(トゥーバ)と打楽器等による音楽はあったようです。中世の野戦音楽、宮廷での祝祭的な管楽合奏、17世紀頃のオーボエ・バンド等の音楽は、室内楽的な「管楽アンサンブル」のような編成で、今日のマーチとは異なる響きと思います。

 やがて、
オスマン・トルコ軍楽隊が奏でる勇壮な調べ(特にシンバル等の打楽器群)が西洋音楽に強烈な影響を与えました。18世紀以降、トルコ軍楽の影響は急速に普及、モーツァルトベートーヴェンもトルコ風のマーチを作曲しました。
 19世紀以降、A・サックスやヴィープレヒトによる楽器や編成の改良も進み、西洋諸国は「国の威信をかけて」軍楽隊を整備、ピーフケの行進曲「プロイセンの栄光」等、優れたマーチが盛んに作曲されるようになりました。

 確かに、ガブリエリの諸作品、大作曲家の管楽セレナード等を除けば、初期のマーチは軍隊と密接な関連を有していたかもしれません。ただし、これは昨今の“EU”の時代とは異なる、欧州の歴史的な背景を考慮する必要がありそうです。
 また、いわゆる“帝国主義の時代”に作曲された行進曲「双頭の鷲の旗の下に」「ラデツキー行進曲」等の名曲は、今日でも世界中のバンド、オーケストラに愛奏されていますが、これはマーチというジャンル以前に、音楽作品として優れているからでしょう。 

 やがて、
スーザ、アルフォード、タイケらが登場すると、芸術の香り高いマーチが盛んに作曲されるようになりました。特に、スーザ・マーチは「吹奏楽を軍隊の音楽から、民衆の音楽へと拡大・発展させた(高橋誠一郎氏)」功績は大きいでしょう。
 意外にも、スーザ・マーチは軍隊のための作品が極めて少なく、アルフォードの行進曲「ボギー大佐」はゴルフの用語(!)に由来し、タイケの行進曲「旧友」は心優しい同僚に捧げたものです。また、今日の学校や会社等でも、マーチのリズムは校歌や応援歌、社歌として歓迎されているようですね。

◆参考文献:
音楽之友社編「最新吹奏楽講座〜吹奏楽の編成と歴史」


本記事は工事中です(上記は暫定版)。暫く、お待ちください。


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