| マーチCDの「新譜」のご紹介 ここ数年、かつてのマーチLP名盤の復刻や、意欲的なバンドによるマーチ演奏の新たな発掘、そして意外な国の珍しいマーチ集の出現など、マーチCDの新譜は「百花繚乱」になりつつあるようです。また、インターネットを通じて、「日本国中どこでも」入手可能であることも、嬉しい限りです。 1)当サイトが公開となった、2003年6月以降のマーチ新譜CDを掲載しています。 2)各CDは、相当の期間を経た後、該当の各ページに移動いたします。 |
| 掲載CDについて: CDの中には、レコード会社側の諸般の事情により製造中止、またはCD番号が変更になる可能性もあります。 各CDのコメント、および輸入盤の曲目表記は、すべて個人的解釈によるものです。 |
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ブルー・インパルス〜斎藤高順(1924−2004)吹奏楽作品集 進藤潤指揮/航空自衛隊航空中央音楽隊 行進曲「ブルー・インパルス(青い衝撃)」 / 自然への回帰 / 行進曲「フライング・エキスプレス」 / 組曲「エメラルドの四季」 / 行進曲「シルバー・ウィングス(銀翼)」 / 交響詩「母なる海」 / 幻想風行進曲「マーチング・エスカルゴ」 / バンドのためのコンチェルティーノ / テューバ独奏と吹奏楽のための行進曲「テューバの恋人」 / 交響詩「オンリー・ワン・アース(かけがえのない地球)」 / 映画「東京物語」より「主題と夜想曲」 / 映画「彼岸花」より「主題曲」 / 映画「秋刀魚の味」より「主題曲とポルカ」 / 行進曲「輝く銀嶺」 /(全17曲) |
| 国内CD Universal UCCS-1098 STEREO |
現在の日本吹奏楽界は「もの言えば唇寒し」の空気が蔓延しているとしか思えない。「佼成」や「シエナ」の演奏、天野正道の作品、加養浩幸の指揮、コンクールの現状に異議を唱えることは難しい(これらは「神聖ニシテ侵スベカラズ」なのか)。 海外との激しい競争に直面している国内オーケストラに比べれば、厳しい批評の声を挙げることもなく(かつ海外の吹奏楽への関心も低く)、まず「自画自賛ありき」の日本吹奏楽界は非常に恵まれた環境だ。 このアルバムは、小津安二郎監督の映画音楽を手がけ、空自航空中央音楽隊長、警視庁音楽隊長を歴任した故・斎藤高順(1924−2004)の吹奏楽作品を集めた好企画盤ではあるが、演奏については音源確保のための「資料としての価値」以外は見出せない。代表曲「ブルー・インパルス」は自作自演の決定盤があるし、小津映画の音楽作品集は弦楽演奏によるクラウン盤を採るべきだろう。「テューバの恋人」等のユーモラスな作品も、自衛隊音楽隊特有の生真面目な演奏が裏目に出ている感が否めない。(1995年録音) 奇妙なことに、当盤は2006年11月発売の新譜だが、録音は約10年前の1995年9月。しかも、DENON盤から斎藤高順の主要作品を集めたCD「ブルー・インパルス」(1998年録音)が発売済みだし、一部の収録曲は当盤と重複している(「青い衝撃」「エメラルドの四季」等の4曲)。残念ながら、フルトヴェングラーが振った数種の“エロイカ”を聴き比べるような楽しみはない。 ここ数年、空自航空中央音楽隊の表現力の方向性には失望の念を禁じ得ないが、陸自中央音楽隊と同じく、爽快なマーチ演奏を期待する時代は過ぎ去ったのだろう。 |
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Old Russian Marches 〜帝政ロシアの名行進曲集 セルゲーエフ、ナザロフ、ミハイロフ他指揮/旧ソビエト国防省吹奏楽団 スラヴ娘の別れ(アガプキン)/プレオブラジェンスキー連隊行進曲(不詳)/近衛騎兵連隊行進曲(不詳)/軽騎連隊近衛兵行進曲(不詳)/アフトゥイル軽騎連隊行進曲(不詳)/白ロシア軽騎連隊行進曲(不詳)/グロドノ軽騎連隊近衛兵行進曲(不詳)/第16ラドガ歩兵連隊行進曲(不詳)/ニージニーノヴゴロド竜騎連隊行進曲(不詳)/第92ペチョーラ連隊行進曲(不詳)/第108サラトフ歩兵連隊行進曲(不詳)/1815年パリ行進曲(不詳)/ボグダン・ハメルニツキー行進曲(不詳)/トトレーベン行進曲(不詳)/古い縦隊行進曲(不詳)/国章“双頭の鷲”行進曲(不詳)/望郷行進曲(不詳)/英雄行進曲(不詳)/擲弾兵行進曲(不詳)/“海の王”クバン大隊行進曲(不詳)/凱旋行進曲(不詳)/勝鬨行進曲(ベッカー)/陸軍幼年学校行進曲(フォアマン)/速歩行進曲第2番(不詳)/(全24曲) |
| 輸入CD Vista Vera VVCD-00128 STEREO |
ソビエト政権下のロシアでは、帝政時代のツァーリ(皇帝)を称えることは御法度だったらしい。
ソ連時代に録音されたチャイコフスキーの「1812年」「スラヴ行進曲」「戴冠式行進曲」を聴けば、「帝政ロシア国歌」の部分が改竄(又は削除)されていることに気付くだろう(※)。 “不都合な真実”を直視しない体質は、どこかの国の教科書検定制度と似通っている。そのソ連時代に、帝政ロシアの名行進曲集が続々と録音されていたのは“意外”だ。 ロシア軍楽の歴史は古く、例えば「プレオブラジェンスキー連隊行進曲」が作曲された年代は、ピョートル大帝らが活躍した18世紀に遡る。帝政時代のマーチは“凛”とした曲調が雄々しく、特に「サラトフ歩兵連隊行進曲」は不滅の傑作と言えよう。 概して19世紀以降のロシアン・マーチは優れたものが多く、ツァーリを護る各近衛連隊の制定行進曲に至っては、ドイツ軍楽隊の公式レパートリーに採用されたほどだ(例の「大帰営譜」もロシアからの輸入)。 旧ソビエト国防省吹奏楽団は1927年の創設で、初代指揮者は「モスクワに敬礼」を作曲したセミョーン・チェルネツキー。 ソ連が国の威信をかけて組織した軍楽隊に相応しく、大編成の豪快なサウンドに圧倒される。この復刻盤はLP「華麗なるロシアン・ブラスV」のマーチ音源も6曲収録(信号ラッパは除く)、「アフトゥイル軽騎連隊行進曲」等の名演がCDで復活したことを歓迎したい。帝政時代の傑作マーチが堪能できる特選盤。(1969-78年録音。露・英文解説付) (※)ソ連“改竄版”のチャイコフスキーは以下の輸入CDで聴くことができる。 1)大序曲「1812年」:ゴロワーノフ指揮/モスクワ放送交響楽団(EMI盤) 2)スラヴ行進曲:スヴェトラーノフ指揮/ソビエト国立交響楽団(Yedang盤) 3)戴冠式行進曲:オフチンニコフ指揮/モスクワ放送交響楽団(Melodiya盤) |
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Grafulla's Favorites 〜「ワシントン・グレイス」、グラフーラ作品集 ポール・イーチアス指揮/ドッドワース・サクソルン・バンド ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」によるクイック・ステップ / 皇后のクイック・ステップ / ヴェルディの歌劇「ナブッコ」によるクイック・ステップ / 友情のクイック・ステップ / ジョージ・ハートのクイック・ステップ / ベン・ボルトのクイック・ステップ / 速歩行進曲「クライテリオン」 / グラフーラのお気に入り円舞曲 / 大行進曲「サルタン」 / 行進曲「ワシントン・グレイス」 / デラヴォーのクイック・ステップ / シェパード大尉のクイック・ステップ / ヴェルディの歌劇「仮面舞踏会」によるクイック・ステップ / ギャロップ「歓喜の嵐」/(全14曲) |
| 輸入CD New World 80556-2 STEREO |
南北戦争時、戦意高揚を煽るだけの“実用音楽”が溢れる中にあって、「ワシントン・グレイス」のみは息詰まるような気高い感動を聴き手に与えずにはおかない。その作品としての完成度は当時のアメリカ軍楽のレベルを超越していたし、現代のモダンな“創作マーチ”ですら足元にも及ばない。スーザの黄金時代以前に、このような名曲が誕生していたことに驚くばかりだ。 作曲者のクラウディオ・グラフーラ(1810−1880)はスペイン生まれ、28歳の時にアメリカへ移住した。 従って、ソル、タレガらに共通する“Spanish Heritage”をしっかりと身に付けていた人と言えよう。「ワシントン・グレイス」の曲調がパソドブレの情熱的な響きと程遠いのはそのためだ。グラフーラはニューヨーク義勇軍第7連隊バンドの楽長に就く傍ら、作曲活動にも精を出している。特にパレード、ダンス、野外コンサート等、多目的に重用された“クイック・ステップ”は、グラフーラが得意とするジャンルであった。 このディスクはグラフーラの知られざる作品を集めた好企画盤。今日、名曲「ワシントン・グレイス」はモダンな吹奏楽アレンジが一般的だが、ここでは約20名編成のサクソルン属主体の金管バンドによるオリジナル演奏が楽しめる。ドッドワース・サクソルン・バンドは少数精鋭の引き締まったアンサンブルで、打楽器もテンポとリズムの生命を巧みに吹き込んでいる。マーチに「豪快」「勇壮」のみを期待する向きには薦められないが、やがて花開く“マーチ王国・アメリカ”の萌芽が聴き取れる貴重盤であろう。(1999年頃録音) なお、代表作「Washington Greys」は「ワシントン騎兵隊」と訳出されることが多いが、厳密に言うとその邦題は正しくない。“Greys”を「葦毛の馬」、すなわち「騎兵隊」と飛躍的に解釈するのは誤りで、これはニューヨーク第8連隊の「灰色の軍服を着た兵士たち」を意味するもの。一般的に“灰色”は南北戦争時の南軍を象徴するタームだが、独立戦争時は軍服の標準色であったようだ。 その意味では、古きニューヨークの名誉連隊とも言うべき“Greys”は、総司令官ワシントンの親衛隊、或いは儀仗衛兵として考えるべきではないか。 |
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Music of the American Revolution: The Birth of Liberty 〜アメリカ独立戦争の音楽 演奏:アメリカ・ファイフ合奏団、“自由の木”ウィンド・プレイヤーズ、他 煉瓦職人の行進曲(伝承)/ボストンを覆う嘆き(ビリングス)/歩兵第3連隊「アンハースト卿」行進曲(伝承)/英国擲弾兵(伝承)/自由の歌(伝承)/スコット将軍の行進曲(伝承)/徒党の歌(伝承)/可愛いナンシー(伝承)/アメリカの英国牧師(伝承)/独立魂(ビリングス)/第35連隊行進曲(伝承)/自由の歌(不詳)/ホープ夫人の糸車(伝承)/「自由の歌」による戯歌(不詳)/第76連隊行進曲(伝承)/ワーレン悲歌(ウッド)/万物を砕く石(伝承)/国王陛下の正規軍(伝承)/ワシントンの行進曲(伝承)/平和への讃歌(ウッド)/(全20曲) |
| 輸入CD New World 80276-2 STEREO |
アメリカのマーチは“歴史的・伝統的に”後れている(劣っている)とする先入観が無いではない。建国の歴史が新しいのは自明の事実なのだから、殊更にマーチの分野で旧大陸諸国の“優位性”を強調することもないだろう。帝国主義時代の欧州が“国の威信をかけて”軍楽隊を整備した社会的背景に留意する必要はあるが、やがて到来する“マーチ王国・アメリカ”の躍進を思い起こせば、歴史や伝統の長短だけでマーチを序列化するのはマイナスである。 このディスクはアメリカ独立戦争時の行進曲や軍歌、愛国歌等を集めたもの。18世紀アメリカのマーチは数本の管楽器による室内楽的な編成で、フリートリヒ大王時代のプロイセン軍楽と錯覚してしまうような響きだ。チェンバロ伴奏の軍歌はハイドンのリートを思わせる曲調だが、これで本当に“独立魂”を鼓舞できたのだろうか。万人に薦められる音盤ではないが、独立戦争時の軍楽は南北戦争時のそれとは異なる楽想が窺えて興味深い。(1976年録音) |
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John Philip Sousa, Music for Wind Band Vol.6 〜ジョン・フィリップ・スーザ吹奏楽作品集・第6巻 キース・ブライオン指揮/英国砲兵連隊軍楽隊 ホワイトハウスの庭での復活祭の月曜日 / 行進曲「ゴールデン・スター」 / 行進曲「不屈の大隊」 / 喜歌劇「いいなずけ」第2幕のフィナーレによる六重奏(H・クラーク編) / 行進曲「イギリス連邦」 / 組曲「3つの引用」(3曲) / 行進曲「自由の鐘」 / 行進曲「グリッドアイアン・クラブ」 / ワルツ「海の女王」 / 描写曲「戦車競争」 / 行進曲「古代ローマ剣闘士」 / 行進曲「ニュー・メキシコ」 / 行進曲「ピカドール」 /(全15曲) |
| 輸入CD Naxos 8.559132 STEREO |
“マーチ王”の称賛に値する作曲家は、ジョン・フィリップ・スーザ以前にはいなかったし、その後もお目にかかれない。だが、スーザがマーチ以外の諸作品、殊に喜歌劇や組曲、ワルツ等のジャンルで優れた楽想を発揮していたことは、もう少し正当に評価されてもよいはずだ。その意味で、キース・ブライオンが英国砲兵連隊軍楽隊と組んだレコーディングは、スーザの幅広い楽曲に於ける“「いき」の構造”を明らかにする画期的シリーズだろう。 ポール・バイアリー氏が指摘するように、スーザは熱心な読書家であったが、国内外の演奏ツアーも精力的にこなしていた。読書の思索と旅の経験が契機となって、スーザの創作意欲を刺激した作品が少なくない。 スーザの音楽に奥深い旅情や郷愁が認められるのは、モーツァルトの「旅をしない人は、全く哀れな人間です。優れた才能の人間は、いつも同じ場所にいたら駄目になります」とする見方に共通するものがある。 当盤にも“よき読書人・旅人”スーザが窺える作品が含まれているが、聴きどころは描写曲「戦車競争」であろう。これは当時のベストセラー、ルー・ウォーレスの小説「ベン・ハー」の名場面を音符で描いたもの。古代ローマのスリリングな音絵巻だ。組曲「3つの引用」はスーザの膨大な蔵書の中から“引用”されたものと思われるが、その具体的な書名は判っていないらしい。アフリカの民族音楽のリズムを取り入れた第3楽章が特徴的だ。 イースターの玉子ころがしをユーモラスに描いた(?)「ホワイト・ハウスの庭での復活祭の月曜日」は、組曲「ある旅人の物語」の第3楽章「戴冠式行進曲」に替わる楽曲として、後に書き改めたもの。旧版の「戴冠式行進曲」の命名には様々な紆余曲折があったようだが、スーザはこれに懲りてしまったのだろうか?当時の海軍長官夫人に捧げたワルツ「海の女王」は、スーザが海兵隊軍楽隊を去る時の「お別れコンサート」でも演奏された名品。 行進曲「イギリス連邦」は、スーザ・バンドの世界ツアー期間中に作曲されたもの。南半球の人々に寄せるスーザの友情と旅愁を感じさせる傑作だ。このマーチの旧題「黄金の羊毛の国」は、組曲「ある旅人の物語」の第2楽章に転用されている。行進曲「ゴールデン・スター」は、スーザの数少ない“Marcia funebre 葬送行進曲”の中でも、既存の“マーチ王”のイメージを覆す異色作と言っていい。切々と鳴り響く消燈ラッパ(Taps)が聴く者の涙を誘う。 英国砲兵連隊軍楽隊の演奏は、個々のソリストの名技がブレンドされた音色ではあるが、かつてのヘイズ少佐の黄金時代を知る者にとっては、やや寂しさを覚えるサウンドだ。 また、ブライオンの指揮は音像の輪郭が曖昧だし、特にマーチのテンポ設定は爽快感に欠けている。 ただ、ウィンド・アンサンブル系の浅薄なマーチ演奏が氾濫する昨今、ブライオンのオーセンティックな解釈に寄せる期待も大きい。 今後、ナクソスは「136曲のマーチを含む、スーザの全吹奏楽作品を録音」する予定。(2002年録音) |
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Zum Ausmarsch...Stillgestanden!〜第4軍楽隊の“告別コンサート” ローラント・カーレ中佐指揮/ドイツ連邦軍陸軍第4軍楽隊 第1部:“解散式”擬似実況(号令付) 連隊の挨拶(シュタインベック)/バイエルン巡閲行進曲(伝承)/フォン・デア・タン行進曲(ハーガー)/バイエルン軍隊の祈り(アイプリンガー)/バイエルン讃歌(クンツ)/ドイツ国歌(ハイドン)/アルプレヒト大公行進曲(コムツァーク) 第2部:“解散式”のセレナーデ ポツダム近衛騎兵軍旗ファンファーレ(伝承)/ラリダー行進曲(ヘンペル)/バイエルン分列行進曲(シェルツァー)/タクシス行進曲(コルプ)/大選帝侯騎兵隊行進曲(モルトケ伯)/レーゲンスブルク行進曲(オルテラー)/スウェーデン騎兵隊行進曲(伝承)/J.A.G.行進曲(ヤーライス編)/グランディオーソ(ザイツ)/旧友(タイケ)/告別とドイツ帰営譜(シャーデ)/(全24曲) |
| 輸入CD Bauer BCD7347 STEREO |
2006年、レーゲンスブルク駐屯地(バイエルン州)の閉鎖に伴い、ドイツ連邦軍陸軍第4軍楽隊は50年に及ぶ同地での活動に終止符を打った。東西ドイツの統一以来、連邦軍の組織再編は進行中であるが、冷戦時代の終焉とともに、古都レーゲンスブルクに於ける防衛上の必要性も解消したのだろう。陸軍第6軍楽隊、第11装甲擲弾兵師団軍楽隊等に続き、西ドイツ時代のバンドが故地へ別れを告げることに一つの時代の流れを感じる。 1956年、創設当初の陸軍第4軍楽隊はYA軍楽隊と称していた。後にグムメルト中佐、オルテラー大尉らの名楽長を戴いたが、他の連邦軍バンドと比べると、やや地味な存在感であったことは否めない。だが、1997年にローラント・カーレ中佐が楽長に就任すると、ドイツ名行進歌集やバイエルンの伝統的行進曲集を相次いで録音、モダンなウィンド・アンサンブルと化した連邦軍バンドの中にあって、異彩を放つマーチ演奏を主張し始めたのだ。 このディスクは陸軍第4軍楽隊の創設50周年の記念盤だが、同時に当バンドの“お別れコンサート”も兼ねているようだ。 メインの“解散式”の擬似実況は「大帰営譜」の進行と似通っているが、一種の効果音とも言うべき「号令」が曲間に付されており、式典全体に凛々しさが漂う大きな力となっている。 また、添付の32頁解説書は貴重な図版を織り込みながら、このバンドの50年間の軌跡をしのぶことができるし、一つの連邦軍バンドの小史としても興味深い。 選曲はバイエルンのご当地マーチが多いが、演奏については好みが分かれるところだろう。歩武堂々の行進曲を想像すると、その期待は裏切られることになる。残響に乏しいデッドな音色は、録音環境の不備に因るものか。演奏表現は総じて淡白ではあるが、歌うべきは充分に歌っている。「バイエルン分列行進曲」では、久々に五臓六腑に染み渡るベースドラムの快音も楽しめる。レーゲンスブルクでのフィナーレを飾るに相応しいメモリアルCDだ。(2006年録音) |
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Mit klingendem Spiel 〜旧東ドイツ内務省中央音楽隊の名演・第2巻 ヘルムート・ゾムマー大佐指揮/旧東ドイツ内務省中央音楽隊 ドイツ名行進曲メドレー“音楽を奏でながら”(アーレンス編)/ブランデンブルク行進曲(ゾムマー)/トランペット警報(ゾムマー)/行進曲「私の仔馬」(クモホ)/アンティファ行進曲第3番(カウフマン)/モスクワの歌マーチ(ドゥナエフスキー)/ハンガリー娘の踊り(ベットマン)/行進曲「少年ラッパ手」(カウフマン)/ホラ・スタッカート(ディニーク)/楽天的な行進曲(ゴルトハンマー)/行進曲「皇帝万歳」(フチーク)/ドイツ人民警察行進曲(ベットマン)/行進曲「思い出」(ゾムマー)/2人の友だち(コヴァーチク)/行進曲「天上の輝きへ」(ベットマン)/グリレンバナー行進曲(コムツァーク3世)/スマリンカ・ポルカ(ヴァチェック)/行進曲「平和の護り」(コットヴィッツ)/ベルリンっ子は音楽を愛す(P・ヴォイチャッハ)/行進曲「若き人民警察官」(カウフマン)/(全20曲) |
| 輸入CD Barbarossa EdBa 014512 STEREO |
東ドイツ(旧ドイツ民主共和国)内務省中央音楽隊による名演集の復刻盤は好評を持って迎えられたが、早くもその続編がリリースされた。ドイツの伝統的行進曲を集めた“第1巻”と比べると、当盤は旧東独時代のマーチや軽音楽を多数収録、極上の演奏と相俟って見事な仕上がりとなっている。 特に、このバンドの初代隊長を務めたヴィリ・カウフマン中佐(在1948-70)の自作自演による「若き人民警察官」は貴重な音源だ。もちろん、フチークの「皇帝万歳」等のマーチ定番曲も心ゆくまで楽しめる。 東西冷戦時代の社会主義功罪論を別とすれば、旧ワルシャワ条約機構諸国の軍楽隊は“赤い血潮が燃える”勇壮な演奏が多かった。 ソビエト国防省吹奏楽団、チェコ・スロヴァキア陸軍中央軍楽隊、ポーランド人民陸軍軍楽隊等、然りである。モダンなウィンド・アンサンブルと化した西側バンドの無国籍的な演奏とは対照的に、東側諸国の軍楽隊は民族的な生命力・野性味が極めて強烈、かつ濃厚に表現されていたのだ。幻のヴェールに包まれていた旧東独軍楽隊・音楽隊も“ゲルマン気質”が横溢する雄渾な演奏であった。 当盤の冒頭を飾るに相応しく、名作マーチをメドレーで綴った“音楽を奏でながら”は、行進曲を聴く歓びが随所に溢れた小品だ。コムツァーク3世の「グリレンバナー行進曲」は、リンデマン作曲の有名なマーチを連想させるが、仰ぐは同じき「コオロギの軍旗」だろうか。 隠れた傑作を最高の演奏でお楽しみ頂きたい。今回はまた、第4代隊長ヘルムート・ゾムマー大佐(在1980-91)の自作自演を併録、マーチ演奏に示すタクトの巧さと、抜群の作曲センスを兼ね備えた名楽長と言えよう。「トランペット警報」は楽しいコンサート・ピース。 旧東ドイツ国家人民軍中央軍楽隊とともに、内務省中央音楽隊は燃焼度の高い演奏を展開している。 ほんの10数年前まで、このようなサウンドを奏でる音楽隊が実在していたことに驚きを隠せないが、1989年のベルリンの壁崩壊後、永遠に記憶されるべき名演が陽の目を見るようになった時代を歓迎すべきだろう。今回も特選盤としてお薦めしたい。 なお、“ベルリンっ子は音楽を愛す”を編んだパウル・ヴォイチャッハ(1908-81)は、あのカール・ヴォイチャッハの御子息である。(独文16頁解説書付) |
| Songs of the Soldier 〜アメリカ陸軍の歌 ジム・キーン少佐指揮/アメリカ陸軍合唱隊(男声) アメリカ国歌: 星条旗(キー/スミス) 空挺師団の歌: 第82空挺師団歌「オール・アメリカン・ソルジャー」 (コフ&ジョーンズ)/第101空挺師団歌「スクリーミング・イーグルズ」(ロボダ)/ 歩兵師団の歌: 第1歩兵師団歌「ビッグ・レッド・ワン」(ケレット)/第2歩兵師団歌「戦士の行進」(不詳)/第3歩兵師団歌「ドッグフェイス・ソルジャー」(ゴールド&ハート)/第3歩兵連隊歌「オールド・ガード・マーチ」(ディロン)/第4歩兵師団歌「機械化歩兵は進む」(ウェッブ)/第10山岳師団歌「クライム・トゥ・グローリー」(フレーザー)/第25歩兵師団歌「トロピック・ライトニング」(ウィルソン)/ 機甲・騎兵師団の歌: 第1機甲師団歌「アイアン・ソルジャー・マーチ」(ディアリー)/第1騎兵隊歌「ガーリー・オーウェン」(伝承)/第11機甲騎兵隊歌「アロンズ!」(伝承)/第26騎兵隊歌「ヒット・ザ・レザー」(ウィルソン)/黄色いリボン(ノートン)/ 野砲隊の歌: 野砲隊歌「マウンテン・バッテリー」(グリッフィン)/ 士官学校(ウェスト・ポイント)の歌: ザ・コール(ハーリング)/ベニー・ヘヴンズ(オブライエン他)/ 陸軍愛唱歌集: ヤンキー・ドゥードゥル(伝承)/アリランの歌(朝鮮民謡)/悲しきグリーン・ベレー(サドラー&ムーア)/工兵がやってくる(スワン他)/弾薬庫の歌(グルーバー)/オールド・ラング・ザイン(伝承)/リパブリック讃歌(伝承)/アメリカ陸軍の歌(グルーバー)/(全26曲) |
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| 輸入CD Altissimo! 75442255872 STEREO |
意外に「有りそうで無い」のが、アメリカ陸軍の軍歌集CD。このディスクは“本家本元の”アメリカ陸軍合唱隊(男声)による最新決定盤で、歩兵・空挺・機甲・騎兵等の主要な“師団オフィシャル・ソング”や、昔懐かしい「黄色いリボン」「悲しきグリーン・ベレー」等の愛唱歌も収録、合唱隊の伸びやかな表現、力強い声量は好感が持てる。
ロシアの赤軍合唱団と聴き比べると、やはり“ヤンキー魂”が溢れる歌声だ。伴奏はピアノ主体で、軍楽隊は登場しない。 “世界最強”を自認する軍隊の歌は、アメフトの応援歌を思わせる陽気な曲調が多く、我が国の悲愴な軍歌とは極めて対照的だ。曲目の「スクリーミング・イーグルズ」「ビッグ・レッド・ワン」等は米軍独得の“師団ニックネーム”に由来するものだが、殊に第82空挺師団の愛称「オール・アメリカン」は、映画「遠すぎた橋」でギャビン准将(ライアン・オニール)、クック少佐(ロバート・レッドフォード)が軍服に着けていた「AA(=All-American)」の師団標識でもお馴染みだ。 注目曲はグルーバーの「弾薬庫の歌」を挙げておきたい。スーザが「アメリカ野砲隊」のトリオに流用したメロディーとして知られているが、ここでは元歌がフル・コーラスで楽しめる。当盤で最も意表を突く「アリランの歌」は、朝鮮戦争時に米軍へ伝播したものだろうか。なお、陸軍軍楽隊(Pershing's Own)の隊長を務めたサミュエル・ロボダ大佐の作品が聴けるのも嬉しいところ。純粋なマーチCDとは言い難いが、コレクター待望の異色盤としてお薦めしたい。残響が豊かなホールでの録音も出色。(2003年録音) |
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Alte Kameraden Vol.4 “Soldatenklange” 〜フリートリヒ・アーラース名演集 フリートリヒ・アーラース指揮/ベルリン警衛連隊付軍楽隊 New! アレクサンドル行進曲(レオンハルト)/巨人衛兵パレード行進曲(ローラント)/ゲルマニア行進曲(カイル)/歌劇「ユグノー教徒」の主題による行進曲(マイアベーア)/歌劇「ジプシー娘」の主題による行進曲(バルフェ)/解放戦争の義勇猟兵行進曲(不詳)/第92連隊行進曲「栄光満つるオーストリア」(ノヴォトニー)/ルドヴィカ行進曲(デツゼル)/フニャディ行進曲(エアケル)/シュタインメッツ行進曲(ブラートフィッシュ)/国王行進曲(ガベッティ)/歌劇「プレストンの麦酒づくり」の主題による行進曲(アダン)/プロイセン行進曲(ゴールデ)/セダン行進曲(ランゲ)/ドイツ国防軍の栄誉(ブランケンブルク)/エーガーラント行進曲(コペツキ)/バーデン大公フリートリヒ歩兵連隊行進曲(ヘーフェレ)/ヨルク軍団行進曲(ベートーヴェン)/オーストリア分列行進曲(シュトラウス1世)/行進曲「軍人の譜」(ブーフホルツ)/ロシア帝国「フリートリヒ・ヴィルヘルム3世」擲弾兵連隊行進曲(不詳)/(全21曲) |
| 輸入CD Jubal CD 071001 MONO |
フリートリヒ・アーラース(1882−1945)は、ベルディーン、フザーデルらと並んで、戦前のドイツ国防軍が誇った優秀な楽長の一人。テレフンケンのSP復刻盤を通じ、圧倒的名演「航空兵ファンファーレ」に魅せられた愛好家も多いはずだ。「きめ細かなテンポ・ルパートが無類に上手で、強かるべき第1拍をやんわりやるのが特色だろう」(丹羽久雄氏)。軽々しい“ドイツ・マーチ”ではなく、これぞ正統派“独逸行進曲”と呼ぶのに相応しい音作りだ。 このディスクは、アーラースが手兵の警衛連隊付軍楽隊(ベルリン司令部直属)を振った名演集。戦前のモノラル録音だが、凄味のある演奏と相俟って、立体的な音質に仕上っている。また、収録曲も従来の国内盤を遥かに超えているから、心ゆくまで“アーラース調”が楽しめる。 “第三帝国的な”威勢の良さを期待する向きには薦められないが、警衛連隊付軍楽隊の虚飾を排した“往時の響き”は、近年の連邦軍バンドから聞き取ることはできない。 プログラムは伝統的な名曲を集めたオーソドックスな内容だが、既存のテレフンケン復刻盤とは別の魅力が窺える。なお、当盤のタイトル“Soldatenklange”は、ブーフホルツの「軍人の譜」に由来する。 アーラースの“軍人精神”が漲るタクトは、戦後のシャーデ大佐盤と同じマーチとは思えない見事なものだ。「セダン行進曲」も忘れ難い名演。原盤の保存状態も良好で、“アーラース調”の新たな発見ができる貴重盤。(歴史的録音。独文12頁解説書付) |
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Salute for Heroes 〜ダン中佐、1950年代の名演集(コンサート&ライヴ) ヴィヴィアン・ダン少佐指揮/英国海兵隊ポーツマス師団軍楽隊、他 New! 第1部: 英国海兵隊ポーツマス師団軍楽隊コンサート 樫の木の心(ボイス/ダン編)/ポンペイの鐘(ダン)/アミシスト号に敬礼(ブラウン)/夜明けの前奏曲(ダン編)/起床準備(グリーン/ダン編)/スプリングボック・マーチ(ダン)/ロイヤル・ヴァンガード(ダン)/連隊行進曲「洋上生活」(ラッセル/ダン編) 第2部: 英国海兵隊軍楽隊(School of Music)コンサート 観兵式(ストック)/小舟の英雄(ダン/デュソイト編)/劇的物語「ファウストの劫罰」より「ハンガリー行進曲」(ベルリオーズ/ゴッドフライ編)/クイック・マーチ「海の兵士たち」(ダン) 第3部: 1957年・ロイヤル・トーナメント・ハイライト(ライヴ) ファンファーレ(カーゾン)/英国海軍旗の下に(ダン)/トランペット・ヴォランタリー(クラーク/アルフォード編)/少年ラッパ手(デュソイト)/ファンファーレ鼓隊演奏(伝承)/ブラス・バトン(ランブレクト/ダン編)/コマンド・パトロール(ダン)/アヴェ・マリア(バッハ/グノー/デュソイト編)/日没(グリーン)/英雄に敬礼(ダン)/ルール・ブリタニア(アーン/ウッズ編)/英国国歌(伝承/ダン編)/連隊行進曲「洋上生活」(ラッセル/アルフォード編)/(全25曲) |
| 輸入CD Eastney Collection RMHSEC 015 MONO |
ダン中佐とロイヤル・マリーンズ・バンド待望の“新譜”は、LP以前の10吋盤(78回転)コレクションに、海兵隊合同バンドの屋外ライヴを併録した“1950年代名演集”。ダン中佐にとっては、古巣のポーツマス師団から、新生の軍楽学校へ転じた過渡期でもあった。スタジオ吹き込みは音の古さを否めないが、ポーツマス師団のフル・オーケストラ演奏や、コンサート・マーチへと発展する前の「小舟の英雄」、ステック(本名スタッサム)の「観兵式」は聴きもの。 注目曲は、ダン中佐の自作自演マーチ「ロイヤル・ヴァンガード」を挙げておきたい。1947年、国王ジョージ6世の南アフリカ訪問には、ダン中佐と軍楽隊も同行。この時、お召し艦の臨時代理となったのが、英国海軍の戦艦ヴァンガード。英王室の御稜威(みいつ)、新鋭艦の雄姿が渾然一体となった晴れがましさを、ダン中佐が誇らしく描いた珠玉のロイヤル・ネイビー・マーチだ。 南アフリカへの旅情を名歌で綴った「スプリングボック」も同時期の作品。 そして、当盤の最大の呼び物は、1957年にアールズ・コートで収録された“アリーナ・ライヴ”だろう。 ダン中佐のタクトの下、200名超の大編成バンドが奏でる音の迫力に圧倒される。臨場感と立体感があふれるサウンドは、これが半世紀も前であることを忘れてしまう優秀録音だ(特に「アヴェ・マリア」の天国的な美しさ)。ここには軍楽隊のあるべき姿が全て凝縮されている。 マーチ・ファン必携の超特選盤!(詳細な16頁解説書付。1949-61年のモノラル録音) |
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揚我軍威 〜中国人民解放軍軍楽団演奏(2枚組) New! 演奏:中国人民解放軍軍楽団 CD 1:礼儀 〜式典・儀礼曲、愛国歌集 中華人民共和国国歌 / 国際歌(インターナショナル) / 歓迎進行曲 / 歓送進行曲 / 団結友誼進行曲 / 運動員進行曲 / 新運動員進行曲「五環旗下」 / 歌唱祖国 / 団結就是力量 / 没有共産党就没有新中国 / 中国中国,鮮紅的太陽永不落 / 社会主義好 / 我們工人有力量 / 在希望的田野上 / 学習雷鋒 / 慶典進行曲 / 奪標進行曲 / 我們是共産主義接班人 /(全18曲) |
| 輸入CD Guangdong starwin YX 0001 STEREO (2枚組) |
CD 2:軍威 〜人民解放軍行進曲集 中国人民解放軍進行曲 / 軍威進行曲 / 三大紀律八項注意 / 遊撃隊之歌 / 志願軍戦歌 / 人民軍隊忠於党 / 騎兵進行曲 / 摩托化部隊進行曲 / 火箭部隊進行曲 / 人民海軍向前進 / 航空兵進行曲 / 騎兵団進行曲 / 将士的驕傲 / 戦車進行曲 / 女兵進行曲 / 炮兵進行曲 / 検閲進行曲 / 分列式進行曲 /(全18曲。作曲者名は割愛。原盤は簡体字表記) |
| 我が国では「台頭する中国」の現実を直視できず、ひたすら「大日本帝国の栄光」に憧れる政治家・有識者が多い。だが、国粋主義を煽りに煽って、中国の歴史や文化、個々の中国人さえも蔑む風潮はいかがなものだろうか。 そこで、東京国立博物館の「シルクロード文物展」(1979年)を見て以来、中国に関心を抱くようになった管理人が、「媚中!」の非難を覚悟しつつも、真の日中友好を願って(?)、当サイト初となる中国マーチの新譜をご紹介したい。 その曲調は「洗練」とは無縁だが、却って「マーチの原始的魅力」が溢れている。 「中国人民解放軍軍楽団是国家唯一的大型専業管楽芸術団体」。中国人民解放軍軍楽団の創設は1952年、朝鮮戦争の真っ最中だ。推測の域を出ないが、その編成は旧ソビエトの軍楽隊を範としたものと思われる。国慶節(建国記念日)等の国家的式典、国賓に対する儀礼演奏を始め、広大な中国大陸の各地で演奏活動を行なっている。 1988年、東京ドームの落成イベントに合わせて来日、「ソーラン節」等を披露した。靖国問題で日中関係が悪化した2005年、自衛隊音楽まつりの参加を「ドタキャン」した事件も記憶に新しい。英・仏両国、ロシアを始め、海外での演奏は20数ヶ国に及ぶ。 この2枚組CD「揚我軍威(我が軍威を揚げよ)」は、北京五輪の前年に制作された最新盤。 「五環旗下(オリンピックの旗の下に)」等の新曲・新録音を聴くことができる一方、名盤の誉れ高い(?)CD「中国軍楽」「軍楽経典」等の既存音源も含まれているようだ。Disc1は、式典・儀礼のための音楽と愛国歌集で、何れも合唱を伴わない吹奏楽演奏。北京五輪の開会式で、可憐な少女が(口パクで)歌う姿が全世界に放映されたため、一気に有名曲となってしまった「歌唱祖国」だが、1980年頃にTBSラジオ「世界のマーチ」で放送された「我が祖国」という邦題を懐かしく思い出すリスナーもあろう。 Disc2は、解放軍マーチのオン・パレード。中国が威信をかけて創設しただけに、解放軍軍楽団は非常に優秀なバンドだ。 そのマーチ演奏の巧さは、我が日本の陸自中央音楽隊を上回ると言ってよい。海自東京音楽隊が録音した「団結友誼」「運動員」も、本場の演奏には及ばない。1939年の古い軍歌を編曲した「中国人民解放軍進行曲」は、天安門広場の大閲兵等で耳慣れた公式マーチである。1992年、天皇陛下の訪中を歓迎する式典で流れた「検閲進行曲」は、日本の儀礼曲「巡閲の譜」に相当するものだろう。複数の音源に基づく再編集盤と思われるが、中国マーチの定番曲を網羅した珍盤・入門盤としてお薦めしたい。(2007年制作。16頁中国語解説書付) |