Hail, Sousa!
ウィリアム・レヴェリ博士指揮/ミシガン大学シンフォニー・バンド


キング・コットン/神秘な殿堂の貴族たち/ゴールデン・ジュビリー(50周年祝祭)/エル・カピタン/マンハッタン・ビーチ/北部の松/グリッドアイアン・クラブ/美中の美/ワシントン・ポスト/ジョージ・ワシントン200年祭行進曲/ウルヴァリーンの誇り/雷神/フリー・ランス/勇敢なる第7連隊/星条旗よ永遠なれ/(全15曲)
輸入CD
Vanguard

VMD 2125
STEREO
不世出の吹奏楽指導者、ウィリアム・レヴェリ博士(1902−1994)指揮によるスーザ・マーチ集。ミシガン大学シンフォニー・バンドの特色ある演奏は、米国海兵隊軍楽隊のような豪快さは欠けるが、門馬直美氏は「バンドに必要不可欠な柔らかい響きと、しっかりした音程」を指摘している。

レヴェリ博士の音楽監督就任については、E・F・ゴールドマンの薦めがあったとか。1935年以来、レヴェリ博士はこのバンドの演奏技術を著しく向上させ、アメリカ国務省派遣のソ連公演(1961年)も熱狂的な成功を収めたのだ(キエフ公演では聴衆が殺到、モスクワ公演では45分のアンコール)。

当盤は初めて買い求めたスーザ・マーチLPの復刻盤で、スーザに深く魅せられた思い出の愛聴盤だ。録音の古さ(1968年頃)は否めないが、天馬空を行く「勇敢なる第7連隊」「ウルヴァリンの誇り」や、一抹のペーソスを湛えた「北部の松」「ゴールデン・ジュビリー」は白眉の演奏だろう。
栄光のスーザ・マーチ
ヒースベルト・ニーラント指揮/オランダ王立海軍海兵軍楽隊


雷神/十字軍/闘技士/士官候補生/海を越える握手/ワシントン・ポスト/キング・コットン/シカゴの鐘/アワー・フリーテーションズ(我々の恋愛ごっこ)/マンハッタン・ビーチ/忠誠/星条旗よ永遠なれ/(全12曲)廃盤
国内LP
CBS/SONY

SOCL 284
STEREO
幾多の名演を通じて、マーチ愛好家を唸らせてきたオランダ王立海軍海兵軍楽隊。当盤もその一枚で、スーザ・マーチを聴き始めた頃に入手した思い出深いアルバムだ。見開きジャケットの贅沢な仕様で、貴重な「スーザ写真集(50枚)」を添付。CD復刻を強く希望したい名盤。

王立海軍海兵軍楽隊の颯爽とした演奏は、マーチ本来の生命力と躍動感を的確に表現している。米英の海兵隊軍楽隊とは異なる独自の魅力が横溢、これくらい徹底したマーチ演奏も素晴らしい。 活力に満ちた打楽器群がバンド全体の高揚感を誘っている。 特に 「十字軍戦士」「我々の恋愛ごっこ」は繰り返し聴いても飽きない快演だ。

1864年創設のオランダ王立海軍海兵軍楽隊は、第2次大戦後にニーラント少佐が再興して以来、ラインスコーテン、ラロらの名楽長が就任、欧州でもトップ・クラスの実力を誇る。幅広いレパートリーを得意としているが、定評あるマーチ演奏こそ、このバンドの真骨頂だろう。
A Grand Sousa Concert
ティモシー・フォーリー指揮/ノンパレイル・ウィンド・バンド


万歳を叫ぼう!/パナマ開拓者/エル・カピタン/由緒ある名誉砲兵中隊/古代ローマ剣闘士/タンゴ「スケートをする少女」/ワシントン記念フォシェイ・タワー/海軍紳士録/キング・コットン/大統領のポロネーズ/自由の鐘/しっかりした歩調で/星条旗よ永遠なれ/サーベルと拍車/ワルツ「海の女王」/ミカド・マーチ/ジョージ・ワシントン200年祭行進曲/マンハッタン・ビーチ/陽気な舞曲「喜んで」/美中の美/閣下の健康を祝し、乾杯!/ワシントン・ポスト/(全22曲)
輸入CD
EMI

CDC-7 54130 2
STEREO
録音当時(1990年)、米国海兵隊軍楽隊の副隊長T・フォーりー大佐が指揮したスーザ・マーチ集。軍楽隊の商業録音が厳しく規制されている中、当盤も「公務時間外に実施された録音」との断り書き付き。

メトロポリタン歌劇場管の首席トランペット奏者、マーク・グールドらが1990年に結成したノンパレイル・ウィンドは、1stアルバムでこの完成度!名手揃いの演奏は文字通り“Nonpareil(無比の)”レベルだが、どこかの覆面バンドだろうか?

マーチを始め、ポロネーズ、タンゴ等を含む選曲の妙、汲めども尽きぬ泉のようなメロディ・メーカー、スーザの面目躍如だろう。1886年、ホイットニー海軍長官夫人に捧げたワルツ「海の女王」は珠玉の名品だ。


スーザ・マーチの魅力〜 2004年は、ジョン・フィリップ・スーザ生誕150周年!

「星条旗よ永遠なれ」「美中の美」「エル・カピタン」等は曲名が解らなくても、誰もが知っているメロディと思われる。これら多数のマーチを作曲したのが、アメリカのジョン・フィリップ・スーザ(1854−1932)だ。スーザは海兵隊軍楽隊長を経た後、自ら「スーザ・バンド」を結成、「マーチ王」として世界的な名声を博したのだ。また、大きな巻貝のような楽器「スーザフォーン」の考案も特筆すべきだろう。スーザの溌剌としたマーチは、今日でも世界中の多くの人々に愛されている。
(輸入盤の曲目表記は音楽之友社「スーザ・マーチ大全」を参照した)
掲載CD・LPについて:
CD・LPの中には、廃盤、入手困難なものが含まれています。また再発売等により、CD番号が変更になる可能性もあります。
各CD・LPのコメント、および輸入盤の曲目表記は、すべて個人的解釈によるものです。
Sousa Marches in Hi-Fi
リチャード・フランコ・ゴールドマン指揮/ゴールドマン・バンド


星条旗よ永遠なれ/ライフル銃連隊/ワシントン・ポスト/雷神/許婚(いいなずけ)/海を越える握手/キング・コットン/自由の鐘/ハイスクール・カデッツ(士官候補生)/エル・カピタン/美中の美/無敵の荒鷲/コーコラン・カデッツ/フリー・ランス/(全14曲)廃盤
輸入LP
MCA

MCA-4
STEREO
名盤の誉れ高く、スーザ・マーチを聴く上で必須の一枚。極めつけの名演「星条旗よ永遠なれ」を聴かずして、「マーチってさぁ、行進のための実用音楽でしょ。構造が単純なんだよね」と訳知り顔に結論づけないで欲しい。正統派スーザ・マーチの“理想の極致”がここにある。5人の元スーザ・バンド楽団員もレコーディングに参加、まさしく永遠に記憶されるべき名盤だ。

「木陰の散歩道」の作曲者エドウィン・F・ゴールドマン(1878−1956)が創設したゴールドマン・バンドは、スーザ時代の伝統を継承する名門バンド(現ゴールドマン・メモリアル・バンド)。子息のR・F・ゴールドマン(1910−1980)は父の後を継ぎ、精力的なコンサート活動とともに、数々のマーチ名盤を残している。

ゴールドマン(父)は米国吹奏楽指導者協会(ABA)を結成、スーザが初代名誉会長を務めている。その公式サイトでは、スーザ、ゴールドマン、フィルモアらの錚々たるメンバーが“全員集合”した貴重な記念写真が閲覧可能だ。
The Spectacular Sound of Sousa
ポール・ラヴァール指揮/ザ・バンド・オブ・アメリカ(BOA)


雷神/キング・コットン/美中の美/ワシントン・ポスト/エル・カピタン/忠誠/アメリカ野砲隊/ハイスクール・カデッツ/海を越える握手/自由の鐘/ニューヨーク・ヒポドローム/星条旗よ永遠なれ/(全12曲)廃盤
輸入LP
MGM

E/SE 3976
STEREO
1950年代、ポール・ラヴァール指揮、ザ・バンド・オブ・アメリカ(BOA)の番組がラジオ放送され、そのダイナミックなマーチ演奏が人気を博していた。ラヴァールはNBC交響楽団員だったが、1948年にNBC放送で設立されたBOA (The Cities Service Band of America)のバンドマスターを務めた。

腕ききの演奏者を集めたBOAは48人編成、当時の合衆国を構成する州の総数と一致する。番組の冒頭は「48の州、48の星。あなたの街を48人の楽団員が行進します」と告げる司会者の名調子があり、1956年まで放送された。その後はスタジオ録音バンドとしての活動もあったと思われる。

この黄金コンビのスーザは勇壮なドラムが結ぶ長時間メドレーで、大軍楽隊の行進を連想させる。思わず、興に乗ってタクトを振りたくなる痛快盤だろう(チンタラしたマーチ演奏が散見される昨今、この躍動感は貴重だ)。なお、ラヴァール自身もマーチを作曲、BOAのテーマ「バンド・オブ・アメリカ」等の作品がある。
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Sesquicentennial (Our Band Heritage Vol.19)
ロナルド・デムキー指揮/アレンタウン・バンド


行進曲「金星の日面通過」/組曲「3つの引用」(3曲)/喜歌劇「いかさま師」のワルツ/行進曲「アメリカ陸軍救急隊」(R・ウェザーホールド編)/行進曲「ゲーム・プリザーブ」(メイヤーズ作曲)/カプリース「浮気女」/ギャロップ「稲妻の翼に乗って」/ショッティッシュ「銀色の水煙」/行進曲「十字軍戦士」/建国150周年祝祭博覧会マーチ/組曲「ある旅人の物語」(3曲。L・シッセル編)/行進曲「イギリス連邦」/(全16曲)
輸入CD
Allentown Band

AMP 24024
“All Roads to Sousa”−全ての道はスーザに通ず。米国の吹奏楽史をひも解けば、あらゆる事象がスーザと無関係ではあり得ない。全米最古の歴史を誇るアレンタウン・バンドも例外ではなく、このバンドの元指揮者、アルバータス・L・メイヤーズはスーザ・バンドのソロ・コルネット奏者だったのだ。

1918年、スーザはアレンタウン駐屯の陸軍救急隊のためにマーチを作曲。ところが、この作品は何らかの事情でバンド譜が存在せず、ようやく1967年になってメイヤーズの指揮、アレンタウン・バンドによって初演された。もちろん、当盤はスーザとアレンタウンを結ぶ秘曲「アメリカ陸軍救急隊」を収録。

このアルバムは、2004年のスーザ生誕150年を記念したもので、珍しい作品を含む多彩な選曲だ(この年はまた、日本でも130年ぶりの天体現象“金星の日面通過”を観測、これを記念してスーザの秘曲「金星の日面通過」を収録)。 聴きどころは、組曲「3つの引用」の第3曲「In darkest Africa」だろう。あの「アフリカン・シンフォニー」を凌駕する異色の作風だ。
星条旗よ永遠なれ〜スーザ行進曲集
モートン・グールド指揮/シンフォニック・バンド


行進曲「星条旗よ永遠なれ」/カピタン行進曲/行進曲「海を越える握手」/国防兵行進曲(ナショナル・フェンシブルズ)/行進曲「マンハッタン・ビーチ」/行進曲「闘技士」/オン・パレード/ワシントン・ポスト行進曲/行進曲「士官候補生」/行進曲「アメリカ野砲隊」/行進曲「コーコラン士官候補生」/行進曲「雷神」/忠誠行進曲/行進曲「サウンド・オフ」/(全14曲)廃盤
国内MC
RVC

RCX-174
STEREO
狂詩曲「ジェリコ」や「ウェスト・ポイント交響曲」の作曲者として知られるモートン・グールド(1913−1996)。ピアニスト、指揮者、編曲者としてもマルチな才能を発揮、1979年には読売日本交響楽団を客演指揮した。

デジタル録音時代に入っても、M・グールドはロンドン交響楽団を指揮、円熟のダイナミック・サウンドで聴き手を魅了したが、このスーザ・マーチ集は1950年代のステレオ初期に録音されたもの。当時のRCAが誇るリビング・ステレオの技術で瑞々しい音作りに成功している。

M・グールドは作曲家の視点から、スコアを丁寧に読み込んだのだろう。「サウンド・オフ」「コーコラン士官候補生」は極めつけの名演!腕ききの奏者を集めたシンフォニック・バンドの演奏も優秀。

「スーザのマーチ」は、(1)から(6)まであります。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) スーザ小伝 スーザ紀行
「スーザのマーチ」は、(1)から(6)まであります。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) スーザ小伝 スーザ紀行
星条旗よ永遠なれ スーザ・マーチ・ベスト20
進藤潤指揮/航空自衛隊航空中央音楽隊


キング・コットン/美中の美/アメリカ野砲隊/雷神/エル・カピタン/士官候補生/ワシントン・ポスト/忠誠/海を越える握手/自由の鐘/神秘の殿堂の貴族たち/オン・パレード/ピカドール/サーベルと拍車/古い名誉ある砲兵仲間/マザー・ハバード/ベン・ボールト/フォーシェイ・タワー/マンハッタン・ビーチ/星条旗よ永遠なれ/(全20曲)廃盤。再編集盤はこちら
国内CD
KING

KICG 3021
STEREO
米スーザ財団から「優秀軍楽隊賞」を受賞した空自航空中央音楽隊。有名曲とともに、珍しい「マザー・ハバード」「ベン・ボールト」等を収録。発売当時、「フォーシェイ・タワー」は世界初録音。(1988・1989年録音)

航空中央音楽隊のスーザは「チョット聴きには物足りないが、聴き直せばグッと良くなる」。やや控えめなトーンが、却ってスーザの旋律美を際立たせている。進藤隊長のタクトが冴えた「サーベルと拍車」が印象的。

解説の八田泰一氏がスーザに寄せた賛辞が素晴らしい。「(スーザの音楽は)作ろうと思って、ひねくり廻して、できたものではない。自然に彼から流れ出たままのものである」と。新奇を衒うことに夢中で、作曲テクニックのみ饒舌な吹奏楽作曲家は恥ずかしさを感じないだろうか?

Stars and Stripes Forever
フレデリック・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

(輸入CD:Mercury 416 147-2 STEREO) 1960s

自由の鐘/ナショナル・ゲーム/グリッドアイアン・クラブ/ヤンキー海軍の栄光/カンザスの山猫/海を越える握手/国旗に捧げし騎兵隊/ハイスクール・カデッツ/サーベルと拍車/銃弾と銃剣/ピカドール/サウンド・オフ/無敵の荒鷲/ライフル銃連隊/ミシガン人の誇り/星条旗よ永遠なれ/キング・コットン/ワシントン・ポスト/雷神/アメリカ野砲隊/エル・カピタン/(全22曲)廃盤
Fennell conducts Sousa
フレデリック・フェネル指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

(輸入CD:Mercury 434 300-2 STEREO) 1960-61

サウンド・オフ/神秘な殿堂の貴族たち/サーベルと拍車/ピカドール/我々の恋愛ごっこ/ハイスクール・カデッツ/無敵の荒鷲/銃弾と銃剣/自由の鐘/国旗に捧げし騎兵隊/勇者は前線へ/勇敢なる第7連隊/ライフル銃連隊/ウルヴァリーンの誇り/ゴールデン・ジュビリー(50周年祝祭)/グリッドアイアン・クラブ/ニュー・メキシコ/150年祭博覧会行進曲/黒馬騎兵中隊/カンザスの山猫/マンハッタン・ビーチ/由緒ある名誉砲兵中隊/ナショナル・ゲーム/ヤンキー海軍の栄光/(全24曲)
輸入CD
Mercury
(分売)
STEREO
2004年にフレデリック・フェネル(1914−2004)が逝去した時でさえ、一部の無粋な吹奏楽人は「フェネルは《吹奏楽と言えばマーチ》のイメージを払拭した先導者」と広言、ひたすら「品格ある吹奏楽」のための「行進曲バッシング」に余念がない。もはや、怒りを通り越して、ただ呆れ果ててしまう。(頑迷なマーチ排外主義を説いたところで、吹奏楽への芸術的評価が高まるはずもないのだが・・・)

この種の心ない発言とは裏腹に、生前のフェネルがマーチに格別な愛情を注いだ事実は、マーキュリー盤の一連の録音によっても明らかだ。 そもそも、フェネルの吹奏楽人生を決定づけた原点は、少年時代に聴いたスーザ・バンドのコンサートではないか?フェネルは「マーチこそ《吹奏楽の基本》」と考えたのだ。

これらのスーザ・マーチは、1960年代に吹き込まれたLP「サウンド・オフ!」等の再編集盤。フェネルのタクトも冴え、自らの理想の下に結成したイーストマン・ウィンドと息の合ったアンサンブルも見事。殊に「黒馬騎兵中隊」は注目曲だ。この作品こそ、フェネル少年がスーザ自身の指揮で感銘を受けたのだから。
スーザ・マーチ集
ドナルド・ハンスバーガー指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

国内CD:Philips PHCP-10063 STEREO) 1976

忠誠/シカゴの美女/十字軍戦士/外交官/美の極致/オン・パレード/星条旗よ永遠なれ/選ばれた花嫁/重役たち/闘技士/ガイド・ライト/国民防衛隊/西洋人/(全13曲)
Sousa Spectacular
ドナルド・ハンスバーガー指揮/イーストマン・ウィンド・アンサンブル

(輸入CD:KEM-Disc 1004 STEREO) 1982

忠誠/ハイスクール・カデッツ/ワシントン・ポスト/イギリス水兵/忠誠軍団/錨と星/星条旗よ永遠なれ/エル・カピタン/自由の鐘/在郷軍人会の戦友たち/コーコラン・カデッツ/キング・コットン/自由の精神に万歳/雷神/(全14曲)
(分売)
STEREO
F・フェネル、C・ローラーの後を継いで、1965年にイーストマン・ウィンドの指揮者に就任したD・ハンスバーガー(b.1932)。意欲的な吹奏楽作品を録音した一方、ここに聴くスーザ・マーチも優れたもの。米国海兵隊軍楽隊に在籍した経験が活かされたのだろう。

フィリップスの国内CDは懐かしいLPの復刻盤(1976年のアナログ録音)。ベースドラムとシンバルを巧みに響かせて、骨太なサウンドに仕上っている。やや遅めのテンポ設定により(B級バンドがやると失敗する)、スーザ・マーチの旋律美を描写している。「外交官」「西洋人」等、気品ある演奏が素晴らしい。

輸入CDはTiochレーベルの復刻盤だろう。「忠誠軍団」「錨と星」「在郷軍人会」等の珍しい作品を収録、入手した当時は音源確保に重宝した一枚。前掲盤と比較すると、ハンスバーガー教授の指揮も溌剌としているが、初期のデジタル録音らしく、ややドンシャリしたサウンドが難点。








Mancini salutes Sousaマンシーニ、スーザ名行進曲集
ヘンリー・マンシーニ指揮/マンシーニ・コンサート・バンド


忠誠(ドラム・マーチ付)/ワシントン・ポスト/キング・コットン(ドラム・マーチ付)/ナショナル・フェンシブルズ/雷神/エル・カピタン(ドラム・マーチ付)/アメリカ野砲隊マーチ(合唱付)/古代ローマ剣闘士/無敵の鷲/星条旗よ永遠なれ(ドラム・マーチ付)/(全10曲)
輸入CD
BMG

74321913802
STEREO
「ムーン・リバー」「ピンク・パンサーのテーマ」等、数々のヒットを放った映画音楽の大家、ヘンリー・マンシーニ(1924-1994)。その彼がスーザの行進曲に心を寄せていた事実は意外に知られていない。マンシーニは「私の経歴はスーザとともに始まったようなもの」とさえ語っているのだ(保柳健氏の著書「音楽と歴史の出会い〜吹奏楽外伝」の関連項を参照されたい)。

実際、マンシーニは複数のマーチLPをワーナー等から出しているが、このディスクは1972年録音のRCA復刻盤。 マンシーニは作曲家の視点から、スーザの総譜を丹念に検証したのだろう。その指揮はスーザへの深い愛情が溢れ、熱のこもったテンポとリズムが表現されている。バンドの濃厚な演奏、ダイナミックな録音も素晴らしい。 バンド・メンバー表に元グレン・ミラー楽団のクラリネット奏者、ウィルバー・シュワルツの名が見える。(1972年録音)

余談だが、マンシーニが作曲した映画「華麗なるヒコーキ野郎」(1975年)のマーチは、サントラ盤解説の野口久光氏も「君も思わず口笛でそのメロディを吹いてみたくなる」と絶賛する傑作。マンシーニが作曲と演奏の両面で示すマーチの卓越したセンスは、スーザへの敬意に加えて、第2次大戦中の米陸軍軍楽隊に在籍した経験も活かされたのだろう。(戦後、マンシーニはグレン・ミラー楽団のアレンジャーを務めた実績もある)

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軍楽隊の名演
特集「スーザの喜歌劇&歌曲を聴く!」
Listen to Sousa's most popular Operetta and Songs!
スーザ:喜歌劇「エル・カピタン」(全曲) 2枚組
イアン・ホブソン指揮/シンフォニア・ダ・カメラ、イリノイ大学合唱団、他

シャーリー・カラム(Sp)、ハロルド・グレイ・ミールス(Tn)、
ダグラス・ウェブスター(Br)、ルシル・ビーア(Ms)、他

(輸入CD:ZEPHYR
Z110-97-2 STEREO) 1997
Concert, Theater & Parlor Songs of John Philip Sousa
〜ジョン・フィリップ・スーザ歌曲集
ジョイス・ガイヤー(Sp)、マイケル・ウィルソン(Br)、デニス・バック(Pf)

(輸入CD:Premier PRCD1011 STEREO) 1991

夏の予定はもう決まっているの(スーザ詞)/永遠の愛(ウォーリハン詞)/喜歌劇「アメリカの娘」から「ワルツ・ソング」(リーブリング詞)/おお、きみは白百合(ロング詞)/喜歌劇「フリーランス」より「恋せし乙女たち」(スミス詞)/可愛い茶色のツグミがやってきた(ラーコム詞)/闘う民族(クラーク詞)/セヴィーリャのセレナーデ(クック詞)/ぼくのジェラルディーン(ロング詞)/可愛い働きもの(フォスター詞)/どんなかしら(タバー詞)/喜歌劇「いいなずけ」より「スカートを見てもお年は分かりゃしない」(スーザ詞)/永遠と一日(ビボ詞)/喜歌劇「エル・カピタン」より「愛しき人よ、私は待っている」(スーザ詞?)/ブルーリッジよ、私はすぐに戻るから(スーザ詞)/愛の輝く時(ノックス詞)/死神(コーンウォール詞)/星条旗よ永遠なれ(スーザ詞)/(全18曲) ポール・バイアリー氏の書き下ろし解説付。
スーザがマーチ以外の分野で優れた諸作品を残していたことは、意外に知られていない。今日、“吹奏楽しか書けない”売れっ子作曲家たちの現状には失望の念を禁じ得ないが、スーザの音楽を理解するには130数曲のマーチだけ(!)では、まだまだ不十分なのだ。 お得意の行進曲だけではなく、喜歌劇、組曲、ワルツ、歌曲等の幅広いジャンルで示した無限の創造力、無尽蔵の旋律には感嘆させられる。 その意味で、CD「喜歌劇“エル・カピタン”全曲」は、スーザのあらゆる音楽が高度に凝縮された“総合芸術”作品と言えよう。

「エル・カピタン」(1895年)は同名のマーチ(1896年)が最も知られているが、オリジナルの喜歌劇(全3幕)の全曲録音は極めて珍しい。スーザのオペレッタ作りの巧さは、オッフェンバック指揮のオーケストラでヴァイオリン奏者を務めた経験が好影響を与えたのだろう。ほぼ同時代人のサリヴァン、レハールらとは別の魅力を提示した独自の世界で、スーザ特有の旋律美が全編に散りばめられており、マーチで耳慣れた調べも随所で聴こえてくる。第3幕の
二重唱「愛しき人よ、私は待っている」は、スーザの“歌の花束”としか言いようがない。

物語の舞台はスペイン統治下の16世紀ペルー。“カピタン”とは、劇中に登場する総督ドン・メディグァを指す(白水社版「西和辞典」によれば、“Capitan”は「隊長・頭目・大尉・船長」等の語義がある)。 この滑稽的なカピタン殿をめぐる喜劇のあらすじは、当盤付属のブックレットに譲りたい(汗)。室内管弦楽団のシンフォニア・ダ・カメラの弦は艶やかで、スーザの100分に及ぶ音絵巻を表現するのに申し分のない響きだ(イリノイ大学バンドも賛助出演)。 独唱・合唱陣の実力も鑑賞に耐え得るレベルであり、スーザのオペレッタでの業績を心ゆくまで堪能できる見事な仕上がりとなっている。


次に
CD「スーザ歌曲集」を聴いてみよう。スーザは300を超える歌曲(喜歌劇の劇中歌を含む)を作ったが、それらはマーチの夥しい傑作群の陰に隠れてしまっている。 だが、歌曲ほどメロディそのものの美しさ、つまり作曲家本来の楽才が厳しく問われる分野もなく、現代邦人作曲家のオリジナル吹奏楽曲のように「複雑・難解・冗長」で凝り固める“ごまかし”は一切通用しないのだ。当盤を聴けば、偉大なマーチ王は同時に“歌曲王”との思いを新たにするだろう。

「可愛い茶色のツグミ」「愛の輝く時」の2曲は、スーザ・バンドの歌姫マージョリー・ムーディ嬢に捧げたもので、スーザ独得の抒情性が横溢した珠玉の作品だ。ソプラノのガイヤーはMET歌劇場の録音にも参加した実力派だけに、伸びやかな歌声は好感が持てる。 バリトンのウィルソンは声量が僅かに乏しく、やや力み過ぎの歌唱が気になるが、敢えてスーザ時代の伝統スタイルを再現したものかもしれない。マーチ王の既存イメージに新たな光を当てる貴重盤だ。