![]() |
Marches et Fanfares(2枚組) (フランスの行進曲とファンファーレ集) ブラン、リシャール、ブトゥリー指揮/ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団 CD 1 ラ・マルセイエーズ(ド・リール)/出陣の歌(メユール)/国王付近衛騎兵行進曲(リュリ)/ノエルの竜騎兵(不詳)/ア・サ・イラ(不詳)/パ・ド・マヌーヴル(デュヴェルノア)/パ・ド・マヌーヴル(ジュポエル)/ナポレオン1世の聖なる行進曲(ルジュール)/マレンゴの総督親衛隊行進曲(不詳)/羽根のついた帽子(不詳)/サン・シール士官学校(アラザール)/サンブル・エ・ミューズ連隊(ラウスキ)/カイド(トーマ)/ロレーヌ行進曲(ガンヌ)/マドゥロンの歌(ロベール)/第85連隊に敬礼(プティ)/コーカサス擲弾兵(メステール)/11月革命(ブトリー)/ギャルドの分列行進(ウェットジェ)/第2装甲師団行進曲(クローヴェ)/パルチザンの歌(マルリー)/(全22曲) |
| 輸入CD EMI 67527 2 (2枚組) STEREO/MONO |
CD 2 革命時代の信号ラッパ集(10曲)/ミシェル・ストロゴフ(ミロ)/バベットよ戦争にお行き(ベコー)/連隊の娘(ドニゼッティ)/元帥閣下(リシャール)/ライン河とドナウ河(ブラン)/パリ・ベルフォール(ファルゴー)/アロブロージュ族の行進(ドウゼ)/勝利の父(ガンヌ)/外人部隊行進曲(ケルー)/老練兵(パレス)/軽歩兵(パレス)/颯爽とした行進(パレス)/インドの行進曲(セルニック)/ダッタン人の退却(セルニック)/我が麗しのアルザス(セルニック)/シディ・ブライム(ポロ)/歓喜(チュリーヌ)/第129連隊のラタプワールたちの行進(リシャール)/(全28曲) |
| “管の国”フランスが誇る1848年創立のギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団(共和国親衛隊音楽隊)。
ギャルド研究家の木下直人氏の言を引用すれば、その名声は「オーケストラのサウンドにも匹敵する魅力ある音質」に尽きるだろう。世界最高峰の芸術的香り溢れる演奏の前では、行進曲やクラシックのアレンジ曲を忌避する前衛的な吹奏楽人の主張も急に虚しくなってしまう。 このディスクはギャルドが1950年代以降に録音したフランス行進曲の名演を抜粋したもの。同国の軍楽隊は独特のラッパ鼓隊を伴うが、この録音でも必要に応じて騎兵軍楽隊や歩兵連隊付ラッパ鼓隊が参加している。ファンファーレ隊が先導して、鼓隊が勇ましいリズムを刻む華麗なマーチだ。日本では「だれかが口笛ふいた」(作詞:阪田寛夫)の原曲「サンブル・エ・ムーズ連隊」が広く知られている。フランス史に輝く行進曲の名作を極上の演奏で聴く決定盤だ。 ユニバーサルのPR誌「Klassik」(2003年第10号)で、陸自中央音楽隊が「日本を代表するバンドの1つと考えられていて、彼ら(陸中音)は“パリ・ギャルドより上”とも言ってます」と紹介されている。“パリ・ギャルドより上”だって?伝聞の表現とはいえ、この見解は失当ではないか?旧陸軍軍楽隊がギャルドから謙虚に学んだ姿勢は、21世紀の陸中音に継承されなかったようだ。 |
![]() |
広場のコンサート〜パリ警視庁音楽隊名演集 デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊 軍隊行進曲(シューベルト)/スケーターズ・ワルツ(ワルトトイフェル)/喜歌劇「軽騎兵」序曲(スッペ)/幻想ポルカ(民謡)/ユモレスク(ドヴォルザーク)/「アルルの女」よりファランドール(ビゼー)/ペルシャの市場にて(ケテルビー)/凱旋門(フリード)/ミルト・ポルカ(プティ)/軽騎兵ワルツ(ガンヌ)/ラデツキー行進曲(J・シュトラウス1世)/サンブル・エ・ミューズ(ラウスキー)/過ぎ去りし夢(エルメル)/勝利の父(ガンヌ)/老兵(パレー)/ロレーヌ行進曲(ガンヌ)/ラ・マルイセイエーズ(ド・リール)/(全17曲) |
| 国内CD Philips PHCP-20262 STEREO/MONO |
邦人オリジナル曲は嬉々として演奏するのに、ポピュラーな小品は急性の消化不良を起こすバンドがある。「クラシックのアレンジ曲は断固反対」と広言する吹奏楽指導者もいる。さらに、「マーチなんか・・・」と宣う無粋な吹奏楽人が登場する。
だが、よく知られた名曲こそ、指揮者のセンスやバンドの表現力が厳しく問われるのではないか?なぜなら、聴衆の耳が肥えているからだ。 この点、名楽長ドンディーヌの指揮は絶妙だ。聴き慣れた喜歌劇「軽騎兵」序曲でさえ、新たな魅力を発見してしまう。ポピュラー小品で洒落たセンスを示す一方、行進曲「勝利の父」の堂々たる風格も素晴らしい。当盤は野外音楽堂の定番曲を集めたものだが、極上の演奏を無料で聴けるパリ市民は幸せだ。 |
![]() |
ステレオによるフランス・マーチ名曲集 デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊 パリ・ベルフォール(ファリグール)/ミシェル・ストロゴフ(ミロー)/ドゥオモーン(カプレ)/騎馬行列(ボルダ)/陸戦隊讃歌(カペー)/憲兵司令官(リシャール)/アフリカ兵(ポワイエ)/近衛兵(コンベル)/ル・フランバール(グルーデン)/第2装甲師団行進曲(クロヴェ)/(全10曲)廃盤 |
| 国内LP Erato VOS-3048E STEREO |
1959年のACCディスク大賞を受賞したERATOの名盤で、フランス行進曲を聴く上で必須の一枚であろう。1954年就任のデジレ・ドンディーヌ楽長は、パリ警視庁音楽隊の演奏水準を飛躍的に向上させ、同国を代表する優れた交響吹奏楽団に育成した。私見であるが、フランス・マーチの鑑賞については、ギャルドよりも当盤の演奏を愛聴している。(1958年録音) 時として、フランス独特のラッパ鼓隊の強烈な音質は食傷気味になるが、パリ警視庁音楽隊の場合は風格と情感に溢れた演奏で、全く聴き疲れしない。名楽長ドンディーヌの絶妙なタクトによるものだろう。ベルリオーズの「葬送と勝利の交響曲」(Caliope盤)とともに、ドンディーヌ楽長が残した不朽の名盤である。 |
![]() |
Revolution Francaise (フランス革命秘曲集) ロジェー・ブトゥリー指揮/ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団、他 ラ・マルセイエーズ(ド・リール)/出陣の歌(メユール)/ア・サ・イラ(不詳)/フランス勝利の歌(ルジュール)/勝利の行進(ゴセック)/ヴォルテール讃歌(ゴセック)/軍隊行進曲第1番(ベダール)/軍隊行進曲第2番(ベダール)/バラ・エ・ヴィアラ祭で人民が歌った歌(メユール)/軍隊行進曲第5番(カテル)/若者の祭の歌(ケルビーニ)/勇者の讃歌(カンビーニ)/帝国軍のラッパ手の行進(ベール)/軍楽隊のための交響曲(ゴセック)/過激共和派の歩調(太鼓連打)/ダイアナとリグーダン(太鼓連打)/フランス軍の退却(太鼓連打)/信号ラッパ集/近衛騎兵軍旗のファンファーレ/管楽器のための序曲(ドヴィエンヌ)/葬送行進曲(ゴセック)/パ・ド・マヌーヴル(デュヴェルノア)/パ・ド・マヌーヴル(ジュボエル)/(全23曲)廃盤(「ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の芸術Vol.13(東芝EMI:TOCE-55227)」として再発売) |
| 輸入CD EMI CDC 7 49473 2 STEREO |
1988年に録音されたギャルドのフランス革命200周年記念盤。当時の民衆蜂起の熱狂を伝える歴史的な楽曲で、革命歌「ア・サ・イラ」や「出陣の歌」はその典型だろう。シャンソン歌手のミレイユ・マチューが歌う国歌「ラ・マルセイエーズ」に圧倒される。ギャルドの瑞々しい演奏も眩いばかりだ。
この時期、パリ警視庁音楽隊やウォレス・コレクションの同種企画盤も発売された。 フランス革命に共鳴したゴセック(1734−1829)は多くの機会音楽・大衆歌を作曲したが、ナンシー蜂起の犠牲者追悼のための「葬送行進曲」(1790年)の深遠な曲調は素晴らしく、革命政治家H・ミラボー伯の葬儀でも演奏されたようだ。フランス革命が音楽史に与えた影響は別考を要するが、「ア・サ・イラ」は現在も英国陸軍の鼓笛隊が愛奏している(らしい)。 |
![]() |
Fanfares de la Garde Republicaine (フランス名行進曲集) 演奏:フランス共和政府親衛隊軍楽隊(Batterie-fanfare)、騎兵軍楽隊 近衛第1連隊行進曲(不詳)/マレンゴの総督親衛隊行進曲(不詳)/近衛兵(不詳)/野営の起床(グールドン)/名誉の戦場(不詳)/フランス軍の帰営(不詳)/太鼓連打「名誉のリゴドン」(グールドン)/傷痍軍人(不詳)/帝国行進曲(グールドン)/帝国軍ラッパ手の行進(ベール)/羽根の付いた帽子(不詳)/讃歌「安んぜよ帝国」(ダレラック)/シリアへの旅立ち(オルタンス)/選抜兵の行進(ガレ)/サンブル・エ・ムーズ連隊(ラウスキ)/ギャルドの分列行進(ウェットジェ)/勝利の父(ガンヌ)/騎兵軍楽集(11曲)/(全28曲) |
| 輸入CD Auvidis AV 6111 STEREO |
ギャルドは前掲の有名な「吹奏楽団」の他に、軍楽隊(Batterie-fanfare)や騎兵軍楽隊(Fanfare
de Cavalerie)、弦楽合奏団(Orchestre)をも擁する大所帯だ。ブトゥリー楽長の就任以来、「吹奏楽団」はコンサート活動に専念し、公式行事の儀仗演奏等は「軍楽隊」「騎兵軍楽隊」に移管されたようだ。当盤は「吹奏楽団」の陰に隠れがちな両バンドが演奏の主役だ。 「軍楽隊(ギャルド第1歩兵連隊付軍楽隊)」はガレ楽長の時代にLP「世界のマーチ」(Corelia盤)を出しているが、このディスクはディメ楽長が振ったフランスの歴史的行進曲集。ギャルド的華やかさに欠ける印象だが、ナポレオン時代の素朴な行進曲や鼓楽は「軍楽隊」の演奏が適任だ。デジタル初期らしく、ややデッドな録音が惜しまれる。 ディスクの後半は「騎兵軍楽隊」のファンファーレ集。好みが分かれる強烈な演奏だ。(1986年録音) |
![]() |
Fanfare du 501e Regiment de Chars de Combat アンドレ・スープレ指揮/フランス陸軍第501戦車連隊ファンファーレ隊 第501戦車連隊ファンファーレ(不詳)/ミシェル・ストロゴフ(ミロー)/ルクレール将軍に敬礼(カレ)/強靭な30人(スープレ)/叙勲者(ゴセッツ)/ルーヴィエール(スープレ)/トミーとサミー(プロドーム)/陽気な鼓手(デヴォー)/行進曲(不詳)/装甲騎兵隊(スープレ)/ヌフシャートレーの思い出(ガデンヌ)/最後の胸甲騎兵(スープレ)/宙返り飛行(デヴォー)/ロシュゴン(スープレ)/ブラッカウト(スープレ)/軍旗(不詳)/(全16曲)廃盤 |
| 輸入LP Corelia CC 74.793 STEREO |
フランスは現在も騎兵軍楽隊の伝統が息づいているが、ランブイエ駐屯の陸軍第501戦車連隊ファンファーレ隊もその一隊だ。
フランス式ラッパ鼓隊独特の強烈な演奏で、スープレ少佐の指揮も殊更にその傾向を強調している。「ミシェル・ストロゴフ」は究極の名演であろう。現在、スープレ退役少佐は国際軍楽協会フランス支部の代表を務めている。 映画「ぼくの伯父さん」(1958年)で、ジャック・タチ扮する主人公が「元帥閣下」を大音量で聴き、階下の住人がそれを止めさせる場面がある。さすがのフランス人も、ラッパ鼓隊の響きに辟易する時があるようだ。戦前、陸軍戸山学校軍楽隊の大沼哲楽長はフランス式ラッパ鼓隊の普及に努めていた。 |
| 世界のマーチの魅力 華麗なフランスのマーチ、明るく軽快なオーストリアのマーチ、ユリウス・フチークをはじめ優秀な軍楽隊長を輩出したチェコのマーチ、スラヴの郷愁漂うロシアのマーチ。世界のマーチは「お国柄」ゆたかな響きに満ちており、それは日本やお隣の中国も同様です。特に日本のマーチについては、近年になって戦前の知られざるマーチのCDが発売されており、貴重な音源が入手できるようになりました。(スペイン、スウェーデン、ノルウェーのマーチについては、本サイト更新時に追加予定) |
| 掲載CD・LPについて: CD・LPの中には、廃盤、入手困難なものが含まれています。また再発売等により、CD番号が変更になる可能性もあります。 各CD・LPのコメント、および輸入盤の曲目表記は、すべて個人的解釈によるものです。 |
![]() |
自由への讃歌「ラ・マルセイエーズ」〜ルジェ・ド・リールを称えて 演奏:ギャルト・レピュブリケーヌ吹奏楽団、トゥールーズ市管弦楽団、他 ラ・マルセイエーズ(ド・リール/ブトリー編))/ピアノ協奏曲第25番ハ長調より第1楽章(モーツァルト)/テルミドール9日の歌(ド・リール/ベルリオーズ編)/荘厳序曲「1812年」(チャイコフスキー)/二人の擲弾兵(シューマン)/「ウィーンの謝肉祭の道化」より第1楽章(シューマン)/「前奏曲集」第2巻より「花火」(ドビュッシー)/「白と黒」より第2曲「ラン−ソンプル(ゆるやかに暗く)」(ドビュッシー)/「スポーツと娯楽」より「競馬」(サティ)/オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ(レノン/マッカートニー)/ラ・マルセイエーズ(ド・リール/ベルリオーズ編)/(全11曲)廃盤 |
| 国内CD 東芝EMI TOCE-8694 STEREO |
フランスの工兵大尉ルジェ・ド・リール(1760-1836)が作曲した「ラ・マルセイエーズ」は世界で最も有名な国歌だろう。映画「大いなる幻影」(1937年)で、フランス軍捕虜がドイツ軍将校を前に誇り高く合唱する場面は感動的だ。フランス人ならずとも、愛国的な「ラ・マルセイエーズ」に涙ぐんでしまう。 名歌誕生の経緯については、吉田進氏の「ラ・マルセイエーズ物語」(中公新書)に譲るが、その勇壮な調べは大作曲家たちの創作に影響を与えたようだ。自由への讃歌として、或いはモスクワ遠征の侵略者として、諸作品の一節に「ラ・マルセイエーズ」が登場する。このディスクは、それらの楽曲を一堂に集めた好企画盤だ。シューマンの序曲「ヘルマンとドロテア」の未収録が惜しい。 |
![]() |
Military Fanfares, Marches & Choruses from the Time of Napoleon (ナポレオン時代のファンファーレ・軍楽集) デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊 名誉の戦場(不詳)/マレンゴの総督親衛隊行進曲「勝利は我がもの」(不詳)/跛足の行進曲「傷病兵」(不詳)/大遠征軍帰営の歌(メユール)/パ・アクセレレ(不詳)/讃歌「安んぜよ帝国」(ダレラック)/擲弾兵(不詳)/鷲章旗に敬礼(不詳)/ナポレオンとマリー・ルイーズ婚礼のための第3行進曲(パエール)/カンポ・フォルミオ帰営の歌(メユール)/第一執政官の行進曲(パイジェッロ)/ジロンドの亡霊(ゴセック)/サン・キュロットの鼓楽(不詳)/(全13曲)廃盤 |
| 輸入LP Nonesuch H-1075 STEREO |
このレコードを聴くと、両角良彦氏の「1812年の雪」(筑摩書房)が読みたくなる。巻頭の「歴史はナポレオンに食傷している」との指摘は、含蓄に富んだ名言であろう。この時代の軍楽は単調に解釈しがちだが、パリ警視庁音楽隊は第一帝政の光と影を達観したような見事な演奏だ。 勇壮な鼓楽が先導する「名誉の戦場」はフランス大遠征軍の威容を余すところなく描き出している。映画「ワーテルロー」(1970年)で、エルバ島へ流されるナポレオンが近衛の古参兵と惜別する場面で流れた「跛足の行進曲」は奇抜な曲調が印象的だ。手垢で汚れた古い軍楽に、新たな生命を宿したドンディーヌ楽長の指揮は賞賛に値する。 |
![]() |
フランス名行進曲集(2) アンリ・クリスチャン・フリッツァ大佐指揮/旧自由フランス第一師団軍楽隊 ロレーヌ行進曲(ガンヌ)/自由フランス軍の誓い(トゥールニエ)/ライフル大隊(フリッツァ)/リリー・マルレーヌ(シュルツェ)/ラ・ガレット(アラザル)/行進曲「外人部隊」(クエラ)/海兵隊讃歌(カペ)/勝利か死か(ポンテ)/エル・アラメイン=チュニス(フリッツァ)/ティペラリの歌(ジャッジ/ウィリアムス)/海兵第二大隊行進曲(フリッツァ)/トゥーロン(不詳)/(全12曲)廃盤 |
| 国内LP 日本コロムビア XMS-57-F STEREO |
第2次大戦中、祖国解放で勇名を馳せた旧自由フランス軍第一師団。 そのバンドが戦後に吹き込んだ異色盤で、指揮のフリッツァ大佐の退役記念も兼ねたようだ。レコード解説の指摘通り、まさしく「戦場の匂いのする逞しい演奏」で、パリの洒落た芳香は全く期待できない。戦時中、「ロレーヌ行進曲」は旧自由フランス放送のコールサインとして使用されたが、アルバムの冒頭から臨戦の緊張感が漂っている。 アフリカ戦線の激戦地「エル・アラメイン=チュニス」を突破した勇猛果敢な旧自由フランス軍も、敵国ドイツの「リリー・マルレーン」や英軍の懐メロ「ティペラリの歌」の旋律には癒されたようだ。だが、祖国解放のためには「勝利か死か」。このディスクは旧自由フランス軍の栄光を回想した楽曲が集められている。後年、第一師団軍楽隊は海兵軍楽隊として再編された。 |
![]() |
Marches celebres 演奏:フランス陸軍外人部隊軍楽隊、機動憲兵隊ファンファーレ隊、他 ロレーヌ行進曲(ガンヌ)/第85連隊に敬礼(プティ)/勝利か死か(ショメル)/豪胆(ムージョ)/サン・シリヤンヌ(ウーズロー)/ブロンドとともに(モンジェオ)/フランス外人部隊行進曲(ウィルヘルム)/シディ・ブライム(ポロ編)/レ・ザロブロジェ(ダフェー/ポロ)/サンブル・エ・ムーズ連隊(ラウスキ)/パリ・ベルフォール(ファリグール)/第2装甲師団行進曲(クロヴェ)/(全12曲)廃盤 |
| 輸入LP Carrer 67.652 MONO |
フランス各軍楽隊の古色蒼然たる音源を集めたオムニバス盤。各隊の演奏イメージは、ルーヴルの大理石像ではなく、円空の木像のように荒削りだ。ギャルド的な儀仗演奏とは程遠いが、フランス陸軍の日常的な軍楽の響きとは、案外このようなものではなかろうか。ラッパ鼓隊はラテン系の気合いが入って、妙にハッスルしている。前近代的な音質が却って心地よい。 けたたましいラッパが鳴り響く「ブロンドとともに」は、フランス人以外には創造し得ない奇抜な発想だ。フォーレやドビュッシーらを生んだ国のマーチとは思えない。傭兵マニア(?)であれば、白いケピ帽の「外人部隊行進曲」を耳にしたことがあるだろう。「フランスのために死ね」とは無縁の明るい曲想だ。 |
![]() |
Chants Patriotiques et Militaires (フランスの愛国歌・軍歌集) 合唱・演奏:フランス陸軍合唱隊、フランス共和政府親衛隊軍楽隊 ラ・マルセイエーズ/ブロンドとともに/出陣の歌/軍用ビスケット(サン・シール)/シディ・ブライム/猟兵の誓い/ジロンド党員の歌/勇敢なる若人/ナントのジャン・フランソワ/2人の憲兵隊員/祈り/乙女/サンブル・エ・ミューズ連隊/荒鷲の仲間/ALATの歌/ロレーヌ行進曲/マドゥロンの歌/陸戦隊讃歌/沼地の歌/第2装甲師団/パルチザンの歌/映画「史上最大の作戦」マーチ/(全22曲。なお、作曲者名は割愛した) |
| 輸入CD Auvidis A 6254 STEREO |
18世紀の革命歌から第2次大戦の抵抗の歌に至るまで、フランス史を彩る歴史的な愛国歌・軍歌を網羅した好企画盤。
高い歌唱力を誇るフランス陸軍合唱隊(男声)は1982年の創立、その翌年の革命記念日にエリゼ宮殿でデビューした。隣国ドイツの行進歌とは対照的な歌声が新鮮だ。ただ、ギャルド(軍楽隊)の精彩を欠く伴奏が難点。 フランス行進曲の名作として聴き慣れた「サンブル・エ・ムーズ連隊」「陸戦隊讃歌」の合唱版や、第1次大戦の名歌「カン・マドゥロン」が印象的だ。対独抵抗の「パルチザンの歌」と映画「史上最大の作戦」のマーチは、フランス解放に殉じた戦没者のための鎮魂歌のように聴こえる。(1998年録音) |
![]() |
Marches et Chants de la Legion Etrangere 〜フランス外人部隊の行進曲と隊歌集 アラン・クーディエ中佐指揮/フランス陸軍外人部隊軍楽隊 鼓楽「カイドに敬礼」と「ブーダン」(伝承)/行進曲「アネ・マリエ」(伝承)/行進曲「外人部隊は進む」(伝承)/外人部隊空挺第1連隊行進曲(アーン)/行進曲「偉大なアトラス」(ペルドゥルー)/行進曲「白いケピ帽」(ノート)/隊歌「小さな足跡」(伝承)/隊歌「月は輝く」(伝承)/行進曲「快活な外人部隊兵士」(アーン)/シディ・ベル・アベス行進曲(ケルー)/外人部隊第1連隊行進曲(伝承)/外人部隊工兵第6連隊行進曲(クーディエ)/隊歌「第1外人部隊」(伝承)/隊歌「優生学」(伝承)/隊歌「さらば、ベル・アベス」(伝承)/外人部隊歩兵第3連隊行進曲(デュラン)/隊歌「さらば、懐かしきヨーロッパ」(伝承)/隊歌「外人部隊騎兵第1連隊」(伝承)/外人部隊行進曲(ウィルヘルム)/(全19曲) |
| 輸入CD Corelia CC 92720 STEREO |
白いケピ帽と赤い肩飾り。このディスクは世界で最も特殊な部隊の士気を鼓舞する楽曲を集めている。その軍楽隊は一切の虚飾を排した硬骨な演奏だ。アカペラの隊歌も素晴らしい。因みに、曲名に登場する“シディ・ベル・アベス”とは、かつて外人部隊の本営が置かれた旧アルジェリア領内の地名である。 公式行進曲とも言うべき「外人部隊行進曲」は、革命記念日のパレード等で聴き慣れた名曲であろう。なお、行進曲「外人部隊は進む」の主旋律は、ナチス時代の「コンドル軍団分列行進曲」(タイヒマン作曲)のトリオと同一だが、どのような経緯で外人部隊に伝承されたのだろうか。(1992年頃録音) |
![]() |
ヴェルサイユ宮、大厩舎における野外音楽会 パイヤール指揮/パリ・ラリー・ルーヴァール狩猟ラッパ・アンサンブル、他 祝宴のガヴォット〜ジュピターのこだま(フィリドール)/近衛龍騎兵の行進曲(フィリドール)/ファンファーレ第4番〜第11番〜ジーグ・アレグロ(ダンピエール)/サヴォワ行進曲(リュリ)/5声のヴェルサイユのカノン〜トランペットのための行進曲(フィリドール)/国王つき連隊のための行進曲(リュリ)/ファンファーレ第19番〜ガヴォット、スピリトゥオーソ〜ファンファーレ第1番〜アレグロ(ダンピエール)/フランス行進曲T〜W(リュリ)/ファンファーレ第12番〜第2番(ダンピエール)/射撃兵隊行進曲(リュリ)/ラ・ボンタン〜マルス(フィリドール)/4つのティンパニーによる行進曲(フィリドール)/ファンファーレ第9番〜アフェトゥオーソ〜第3番(ダンピエール)/近衛兵の行進曲第1番〜第6番(リュリ/フィリドール)/王室のメヌエット(フィリドール)/オランダ行進曲〜オーボエのエール(フィリドール)/オランジェリーのメヌエット〜諸技術のジーグ(フィリドール)/(全17曲)廃盤 |
| 国内CD Warner WPCS 5865 STEREO |
17世紀から18世紀の間、ルイ王朝のフランスにおける国王の軍隊行進、及び狩猟のための野外音楽を集めた貴重盤。“太陽王”ことルイ14世に仕え、その御世とヴェルサイユ宮での諸行事を華やかに盛り上げたリュリ(1632-87)、“長老”フィリドール(1647?-1730)らの珍しい行進曲群が聴きものであろう。 典雅なファンファーレと原始的なリズムのドラムは、一種の抗しがたい魅力を備えた“始祖鳥的”響きである。(1967年録音) 意外にも、ルイ王朝宮廷合奏団の指揮を務めたリュリは生粋のフランス人ではなく、イタリアのフィレンツェ出身。 だが、その音楽はフランス人以上に“フランス的な”作風であった。実際、ルイ14世がアポロの扮装で登場する時は、リュリの華麗な音楽が鳴り響いていたのだ。リュリの組曲「トランペットの響き」を収めたジャン・ルイ・プティ室内管のレコードも出ているから、併せて聴けば“グラン・シェクル(大世紀)”フランス軍楽の音絵巻が楽しめるだろう。 |
![]() |
フランス名行進曲集 デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊(ガルディアン・ド・パリ吹奏楽団) 行進曲「勝利の父」(ガンヌ)/擲弾兵(ポーリュス)/行進曲「カイド」(トーマ&ミッチェル)/行進曲「ラ・マデロン」(ロベール)/落下傘部隊マーチ(リーマンス)/フランス憲兵隊(外人部隊?)のマーチ(クエルー)/ラ・マルセイエーズ(リール)/行進曲「サンブル・エ・ミューズ」(ブランケット)/出発の歌(メユール)/行進曲「オステルリッツ」(不詳)/外人部隊(ノエルの竜騎兵?)行進曲(不詳)/行進曲「ブロンドと共に」(不詳)/行進曲「ファンファン・ラ・チューリップ」(ドンディーヌ編)/行進曲「名誉の戦場」(不詳)/(全14曲)廃盤 |
| 国内LP Philips FL-5046 STEREO |
優れた指揮者と最高の演奏技量を誇るバンド。その両者が渾然一体となった瞬間に不朽の名盤が世に出るのだ。殊にフランスのような強烈な個性を主張する行進曲を、ギャルドを超えたと“自称”する陸自中央音楽隊の浅薄なデジタル録音で理解することは難しい。
月並みな表現だが、やはりマーチは本場の演奏を真摯に鑑賞する姿勢が不可欠である。ドンディーヌ楽長とパリ警視庁音楽隊の名演こそは、フランス行進曲の本質を衝く見事な表現と言えよう。 ただし、苦言を呈したいのは曲目解説の内容レベル。「ファンファン・ラ・チューリップ」は「美しい花園で遊ぶ兵士達を描いたもの」ではなく、これはジェラール・フィリップ主演の映画「花咲ける騎士道」(1952年)の原題、及びその主題歌に由来するもの。また、「ブロンドと共に」は「第一次大戦当時アメリカ軍将兵達によって愛唱された歌曲」ではなく、その原曲は17世紀フランスの古い歌に拠っている。このような正確性を欠く解説とは対照的に、この2曲は当盤に於ける白眉の演奏となっている。前掲盤と併せたCD復刻を望みたい。 |
| パリ警視庁音楽隊の“吹奏楽アナログ名盤”を聴く Musique des Gardiens de la Paix et Desire Dondeyne |
|
![]() |
ロマン派 / 吹奏楽のための音楽 デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊 (国内LP:日本コロムビア OS-2213 STEREO) 感謝の行進曲〜バイエルン国王ルードヴィッヒ2世に捧ぐ(ワーグナー) / 追悼の音楽〜「オイリアンテ」の主題によるウェーバーのための(ワーグナー) / 吹奏楽のための序曲ハ長調(メンデルスゾーン) / 吹奏楽のための葬送行進曲(メンデルスゾーン) /(全4曲。Erato原盤)廃盤 |
![]() |
アンソロジー / 吹奏楽のためのフランス音楽集成 (2枚組) 〜フランス革命からパリ解放まで デジレ・ドンディーヌ指揮/パリ警視庁音楽隊 (国内LP:日本コロムビア CSS-1057〜8 STEREO) Side1:フランス革命〜総督政治 出陣の歌(メユール) / 葬送行進曲(ゴセック) / 軍隊行進曲第1番ヘ長調(カテル) / 自由への讃歌(ゴセック編) / パ・ド・マヌーヴル(デュヴェルノア) / 「ファンファーレあるいは行進曲の第1組曲」より(ジュボエル) / マレンゴ総督衛兵の行進曲(不詳) / Side2:第一帝政〜王政復古〜七月王政 ナポレオン軍のバッテリー(不詳) / 六つの行進曲と種々のパ・ルドゥーブレ(ジュボエル) / ナポレオンとマリー・ルイーズの結婚行進曲第2番(パエル) / 吹奏楽曲第2番(ブラシュス) / 葬送行進曲(ライヒャ) / Side3:第二帝政〜ベル・エポック シリヤ人のために(ボーアルネ) / ボレロ(メイエル) / 第1アルジェリア歩兵隊行進曲(不詳) / アロブロージュ族(ドゥゼ) / アルザス・ロレーヌ(テイユー) / 勝利の父(ガンヌ) / ラ・マドゥロン(ロベール)/ Side4:世界大戦〜第三共和制〜解放 夢は過ぎる(クリエ/エルメル) / われら勇敢なるアルジェリア狙撃兵(メニシェッティ) / ロレーヌ行進曲(ガンヌ) / 第2装甲師団行進曲(クロヴェ) / アフリカ兵行進曲(ボワイエ) / 解放のための行進曲第2番(ミヨー) / 勝利の日(ルーセル) /(全26曲。Erato原盤)廃盤 |
| CD化されることもなく、レコード会社の倉庫にひっそりと眠るマーチ名盤の音源は数多い。管理人はCDを主とした鑑賞を訴えているが、演奏と録音史上の重要性から(かつCD復刻への期待を込め)、敢えて“永遠に記憶されるべきアナログ盤”をご紹介したい。なお、誤解のないように申し添えると、当サイトは「CD以外の話題は厳禁」と主張している訳ではない。
ただ、LP偏重と表裏一体の「CDへの徹底した無関心」は看過できない。 どうかCD(又はDVD・書籍etc)にも“分け隔てなく”マーチへの好奇心を注いでください。 パリ警視庁音楽隊のデジレ・ドンディーヌ楽長は多くの名録音を残しているが、ACCディスク大賞に輝くエラート盤を聴かずして、フランス行進曲を語ることはできないだろう。吹奏楽を愛する者なら、LP「ロマン派/吹奏楽のための音楽」も必携盤だ。今でこそ「大作曲家の知られざる吹奏楽曲集」は珍しくないが、ドンディーヌはその先鞭をつけたと言っていい。パリ警視庁音楽隊の筆舌に尽くし難い“大交響吹奏楽”。殊に木管群の伸びやかな音色は素晴らしい。吹奏楽に要求される高度な表現力と音楽性が凝縮されている。録音も優秀。 ワーグナーの「感謝の行進曲」(「誓忠行進曲」「表敬行進曲」等の邦題もあり)は、バイエルン国王ルートヴィヒ2世に献呈したもの。「このときの初演の指揮をとったのは第一歩兵連隊“王”部隊軍楽隊、フュルト生まれのヨーハン・ヴィルヘルム・ズィーベンケースだった」(R・ミュンスター著・小塩節訳「ルートヴィヒ二世と音楽」音楽之友社)。雄渾かつ壮麗なグランド・マーチだが、このドンディーヌ盤を超える演奏は見当たらないようだ。 「追悼の音楽」は、ウェーバーの死を悼んで作曲されたもの。ワーグナーの悲しみに溢れた名演。 2枚組LP「アンソロジー/ 吹奏楽のためのフランス音楽集成」は、音で綴る“フランス行進曲・吹奏楽史”。フランス革命以降の歴史的作品を網羅している。各曲の背景を理解するには、フランス史の知識が不可欠だが、理屈ぬきに音楽的な変遷・発展が楽しめる。資料的にも価値が高く、ドンディーヌとパリ警視庁音楽隊による畢生の大作と言えよう。 前掲盤と同じく、ネット上で殆ど話題にならないのは不思議だ。なお、革命前のリュリらが活躍した“華やかなりし”ルイ王朝時代の軍楽は、こちらのCDをお聴き願いたい。 聴きどころは、19世紀以降のフランス近代マーチの傑作群だろう。当盤の「ロレーヌ行進曲」「勝利の父」「夢は過ぎる(過ぎ去りし夢)」は、これらのマーチを聴く時に、先ず第一に参照しなければならない重要な録音だ。 フランス独特のラッパ鼓隊を外した結果、勇壮な(賑やか過ぎる?)響きの背後に隠れていた旋律美が際立つ演奏となった(私見だが、唯一無二の名演)。レイタス(オーボエの一種)の特異な音色が鳴り渡る「我ら勇敢なるアルジェリア狙撃兵」を一度聴いたら、その魅力の虜になってしまうだろう。 フランス(或いはドイツ・ロシア)のように強烈な民族性を主張するマーチは、主に「本場の演奏」「ネイティブの響き」で鑑賞すべきだ。邦人プロ・バンドの 「世界のマーチ名曲集」と称する音盤の類では、フランス・マーチの神髄を聴き取ることは難しい。もっとも、パリ・ギャルドの演奏は優秀だが、マーチというものは“庶民的”であっても良いと思う。ドンディーヌ時代のパリ警視庁音楽隊は、フランス・マーチの絶対的な手本を示していたのだ。 これらの名演・名盤は、今後もCD復刻されないまま、忘却の渕に沈んでしまうのだろうか? |
|