| (8月某日)
先月の大道塾主催のWARS大会については、塾関係でいくつも紹介が出たので、ここでは怠慢を決め込んで何も述べずにきた。やっと考えがまとまったので、少々思うところを書いてみたい。ただし言うまでもないことだが以下はあくまで大道塾の空道の一愛好家としての私の意見というか好みの考えである。
マスコミでも言われたことだが、大会の進行は確かに今何歩というところだった。リハーサルを重ねればすんだミスも散見された。リハーサルをやるということ自体がプロの考え方なのかもしれないが、次回からは是非改善していただきたい(というか、私も広報として責任あるところだ)。
大会のルール面では、北斗旗ルールの成熟もあり、なかなか整備されていたと思う。相手のグラントロフィー勢も十分に実力を出し切れたのではないか。とくに山崎選手は柔道ナショナルチームレベルの強豪、パトリック・フォートリーに組み技で互角、寝技で優勢、打撃でダウンを奪ったのだから大道塾での経験が存分に発揮できたところだ。
小川選手は絞め技が不発だったが、私の感想としては、彼の締めはとくにスーパーセーフ面を着けたときに生きるタイプのもので、素面では相手がそれなりの腕前のときにはかかりにくいのではないか。というのも面を付けると首との間に段差ができるからで、それが隙間になるので私の好きな肩固めはかかりにくい。これは腕で行う三角締めのようなものだが、いわゆる三角締めが決め技になりにくいのも同様の理由ではないか。いくら締めても隙間があるのだ。ところが道衣をひっぱってくる小川式の締めだと、ちょうど溝の部分に道衣が入り込むことになり絞まりやすい。空手衣の方が薄いので入りやすいということもある。けれども素面だと柔道そのものの寝技ということになるので、決まりにくいのではないか。それでも前回のグラントロフィーではタックルにきたところをギロチンの格好で締めることができた。今回はそれを相手が知っていたということだろう。それにしても、ヒールで膝を完全に壊されて打撃も封じられたのに、それでもヒールで逆転して涼しい顔をしている小川選手の奥の深さには脱帽するばかりだ。
藤松選手は、あまり稽古時間もとれていないと思うが、その中で着実に自分の課題をクリアーしているところが凄い。今回は打撃が課題で打撃選手と戦ったのに、右のロングフック一発でダウンを奪ったのだから大したもの。逆十字は相手が参ったしたと間違えてほどいてしまうチョンボを犯し、右親指を負傷したが、問題なくしのいだ。
飯村選手は名人同士の寄らば切れる銘刀の振り回しあいといったところか。相手が突然後退しつつ試合場から後ろ向きに転がり落ちたのにはびっくりしたが、あれは立ちながら失神していたのだからダウンだろう。判定勝ちかと思う。ただしあの相手、相当に手強かったのは事実。テンカオ・ヒジにも屈さなかった。
全体的に言って、「道衣あり打撃系総合」の試合として水準が高かったと思う。「道衣あり総合」は本来、柔術や柔道とも対抗戦ができる格闘技界の一大ジャンルであるはずだ。ところが大道塾はこれまで、主に裸体のキックや修闘と交流を行ってきた。これだと、道衣を着用していることの意義があまりない。今回はその点で注目されたが、「打撃系総合」の試合という色彩が強かった。私としては、最近関心のあるのが「投げ」である。つかみからのパンチ、頭突き、そこからの投げというのがもっともスリリングなジャンルで、打撃そのものならボクシングやキックを行えばよいわけだから、それとは別に大道塾の魅力がある。面をはずすとプロの他ジャンルとも交流戦ができるのだから、WARSは是非そうした一大潮流に育ってもらいたいものだと思う。
ただ、それにはマスコミへのアピールがやはり弱いと思う。「総合」や「顔面攻撃」を行う空手、というのが大道塾の一般的なイメージだろう。けれどもそれならば修闘やキックに行く方がストレート。社会体育を強調していることもあるが、その割りには現実に学校体育に組み込まれているわけでもなく、現状では反社会的な関係のない団体というのにすぎない。これもあまり世間にはアピールできてはいないのではないか。やはり「道衣あり打撃系総合」を強調し、それの進むべき広大な道を指し締めすべきではないかと感じる。その点では、投げや道衣を用いた寝技があまりなかったのは残念だった。 |