(5月某日)

 15日の中野区大会に出ることになった。団体戦の選手が足りないからで、膝が完治していないので試合はしたくないのだが仕方ない。まあ、怪我しないようにやります。

 それでもやるからには、勝敗にはこだわらないにしても試合前に技術のおさらいをしておくことにする。

 というわけで、東亜学園高校の柔道部と朝練。彼らとはいつも高木道場で稽古している。連休中なので二十人全員がやってきた。朝九時から稽古するのは、深夜型の自分には辛い。投げ込み20,乱取り4本をこなしたら気持ち悪くなった。寝技も3本やる。 なんか、体中の細胞に酸素が回らない感じだ。

 今回の課題は組み手である。どうせ相手は大きいのだろうから、引き手をなんとかしなきゃな。 それと足技。いろいろと考えてはいる。今考えている新技がうまく開発できれば、空道でも使えるのだが。

 ところで先日書いた、東海大柔道部に一般学生で志望しているH君の続報。なんと、練習に許可がおりたとか。さすが、私が会うたびに首の強化をしてあげただけある。うーむ。スネークピットでならったやつだけどね。とはいえこの話には落ちがある。許可されたのは、「女子部」なんだと。さっそく塚田真希選手に投げられたとか。彼のとぼけた人柄が忍ばれる話ではある。

 

 

(5月某日)

  極真の拳友・支部長宮崎さんから電話あり。指導方法をいろいろ考えていて、私のこのページから「大道塾ひよこ組」を知り、三輪組長のサイトを見て稽古メニューの内容に驚いたと。極真も最近では根性と荒技ではなく、親切で丁寧な指導のもと稽古を積んでいる、というのが以前私が宮崎クラスや東大のクラブに参加したときの感想。確かに三輪組長があれだけ稽古生に合わせてメニューを組んでいるのには感心する。参加者はお金を払っただけ十分に元がとれるよな。

 今日覗いてみたら、寝技で超初心者向き、「立っている相手が頭にタッチしようとするのから逃げる」というのをゲーム感覚でやらせていた。 アリ・猪木状態で背中で回る練習ですね。うむむー。では私も秘策を練りますぞ。一号、次回を楽しみにね。

 

(5月某日)

 以前に世界チャンプ藤松から「四股が良い」と聞いたので、自分でいろいろ考えながらやっている。藤松は400回はやるそうで、土曜の夜9時に三階の道場で 窓に向かってひとりでやっているのをみかけた。孤独というのでもなく、なかなか良い風情ではあった。

 立っている方の足の筋肉に力を入れるととても回数はこなせない。ということは、立っている足は膝を曲げないでまっすぐに伸ばし、その上に頭を垂直に乗せるということではないか。千代の富士の四股の写真を見ると、立っている足の膝がまっすぐに伸びている。だがそれだと上げた 方の足に力が入る。そこで、足は脱力して骨盤を傾けて引き上げてみると、なんとか上がるようになった。

 もともと股間と腰が異常に硬いのであまり足は上がらないが、この姿勢を繰り返していると、奇妙なことに気づいた。立っている方の足の裏は全体に体重がまんべんなく分散するようになっているのである。この姿勢のまま歩くと、股間が「がにまた」になって、上げた方の足がブランと後ろから前に振り子状に振れるようにな る。足の付け根の「そけい」部でひきずって歩く感じだ。以前は綱渡りのように同じ線の上をたどっていたが、二本の線路を平行につたっているようである。そのまま骨盤に集中しつつ足を送ると、片足ずつ垂直に立って、その上に頭がくるような体勢になる。これだといつでも片足でバランス良く立てるのだ。そのせいか、最近は柔道でツバメ返しがよく決まるようになった。相手が足を払いに来ると、ほとんど片足になってカウンターで払い返せるのである。

 それ以外の応用については、よく分からない。けれども今日走ってみたところ、フォームが変わっていることに気づいた。チャプリン歩きの姿勢で骨盤で走ると、ほとんど太ももは上がらず、つまり体の前方に膝蹴りのように蹴り上げることがないのだ。後ろに蹴るだけであり、次第に背中の下部から尻にのみ力が入っている状態になってきた。今までのランニングだと太もも全面が鍛えられるのだが、これだと背中下部からハムストリングスにきくようだ。面白いので、続けてみよう。

 

(5月某日)

  塾長から電話あり、「中韓の反日について知りたいので講義するように」とのこと。世界大会に向けて中韓との交渉があるらしい。

 私は国際関係はまったくの素人だが、雑誌論文なら職業柄結構目を通している。というわけで、それらを整理し、基礎資料ともどもまとめてみる。レジュメは15ページほどになった。台湾・中国は賠償 請求を放棄してくれておりそれが日本人の蒋介石・周恩来への敬意の元になっているのは知っていたが、対韓賠償の経緯が今年公表されたことは初めて知った。 日本は、途上国であり支援の必要な韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの計5億ドル、プラス民間1億ドルプラスアルファの経済協力資金を出すことにした。日本は韓国に「賠償」をせずに請求権問題を済ませたのである。韓国国民への補償は、韓国政府がこの無償資金3億ドルの中から行なった。政府間 補償を求めたのは韓国側だが、現在の政権は過去の親日的な政権そのものを否定しつつあるので、個人補償を再度求めるような動きもあるらしい。

 連休中とあって、予想通り来客はH師範一人。まあ、皆さん忙しい中、少しでも時間があれば稽古したいだろうし、暗い話をわざわざ聞きたいはずもない。しかし私も時間は本来土曜くらいしか割けないので(祭日に出て行ったので山の神は不機嫌である)、塾長・寮生・事務長を聴衆にお話させていただく。

 私としては、隣国とのつきあいにはルールと情の二面を考慮すべきだと考える。どんなに酷い茶番であれ、東京裁判を経て国際社会に戻ったのだから、「A級戦犯」に今後も戦争責任を担っていただくのは仕方ないのではないかと思う。リーダーには「敗戦責任」があるからで、それが嫌なら戦争に勝しかなかったのだ。ただそれは国際ルールにおいてであって、情の面ではとても戦後生まれの我々が批判できるものではない。この理屈は保守派的な信条を持つ人に喋ると受け付けてもらえないのだが、 面白いことに塾長以下には了解いただいた。さすが、勝負の世界に生きていると、「負けたものは何をされても仕方ない、勝しかないのだ」という理屈は納得されるらしい。

 

(5月某日)

  稽古しない日に、自宅で体幹系トレーニングを始めた。そうしたところ、なんだか大胸筋まで盛り上がってきたかに見える。下半身も安定してきた。どういうことだろうか。面白いので、稽古メニューに入れてみたい。

 

(5月某日)

  中野区柔道大会に高木道場から団体戦で出ることになり、参加するよう求められた。正月から左膝が悪く、怖くて白帯としか乱取りができていない。高校生・大学生とはやっと二回ほどやっただけ。とても組技で二試合以上やれる自信がないが、五人のメンバーを満たせないとのことなので、「勝てなくともお許し下さい」と言い添えてお引き受けした。

 ところが、チーム編成表を見てみると、なんと大将ではないか。先鋒が白帯の方、次鋒が浪人を終えて東海大に入ったH君、中堅が内股命の寺川君、副将が浪人生のF君という組み合わせ。しかし例年大将はどのチームの大きな選手ばかり。膝が心配ではある。

 というわけで、大きな選手との組み手の研究をテーマにして試合に臨むことにした。とはいっても、ビデオを買って見るくらいのものだが。相手の持ち手を切り、自分だけ持って振り回すしかないようだ。

 だが9ヶ月ぶりの試合。勝てそうもないこともあり、なかなか緊張する。試合前日の大道塾では、指導のみ行った。疲れたくないからな。

 試合会場に着いてみると、四チームのリーグ戦。うち二組は大学運動会ではないか。だがもう一チームは二人しか選手がいない。つまり、私は不戦勝だ。

 と、道場の師範から、「宣誓をして下さい」と求められる。この大会では、私は四年連続である。まあ、私の次の高齢が32歳、その次が26歳だから仕方ないな。要は、私の相手の二人は半分以下の年齢なのである。だが、宣誓をしたら開き直ってきた。これも日頃喋りが仕事のせいだろうか。まあ、生テレビよりは楽ちんではある。

 第一試合は、高千穂大学。私の番までにH君が引き分け、寺川は被秒殺。相手の副将がいないということで、なんと私が勝てば同点になる局面。しかし相手は90キロはありそうな選手。ステップを踏んでみて、体をほぐす。そこで組むと、あまり圧力は感じない。私の組み手を切ってもこないし、肩口を釣り手で持っても来ない。これは助かる。しかしそれでも押してくるので、押し返している内に私も息が切れてきた。タイミングをはかり、背負い。これで横転してくれて、まず「有効」を取る。だがそのまま寝技に行ったのは失敗。時間があれば取れたと思うが、柔道ではほとんど待ってくれない。半端にスタミナを失ってしまった。

 ふたたび押してくるので背負い、背負いと連発してみる。でももうさすがにからないな。そこで右支えつり込み足。これですてーんと転んでくれたので、「えいっ」とばかりに声でアピール。私としては、一本のつもりなのだが・・・・

 ところが審判は何もとってくれなかったみたい。また寝技に行ってしまう。いよいよ息が切れてきた。立ってタイムを見ると、あと30秒ある。相手はえらい勢いで押してくる。しかたなく、また背負い。しかし場外に出てしまったので、仰向けになると・・・あり ゃ、押さえ込まれたではないか。おー、重い。そのまま袈裟固め。重い。苦しい。

 大失敗である。気持ち悪くなった上に、負けてしまった。気持ち悪さが抜けないので、トイレに行く。

 第二試合は、昭和薬科大学。大将は、寝技がうまそう。稽古でマウントとかやっていたし、飛びつき逆十字で高千穂から一本勝ちしていた。だが私はそれどころではない。なんとか誤魔化して、引き分けたい。立っているだけで苦しい。

 というわけで、相手にのみ動くようにする。自分はぴょんぴょん飛んでいると、意外に疲れない。場外際で内股にくるのを空かしたり逆に返したりを何度も繰り返す。残り時間はあと二秒。やったあ、と思いきや・・・相手の内股で横転してしまったではないか。審判の「有効」の声。あっちゃー、また負けてしまった。なんとツメの甘いことよ。

 というわけで、予想していたことではあったが、なんともしまらない試合となってしまった。やはり試合前には、スタミナ稽古をしなくては駄目だ。次回はバーベル・スクワットなどやってみよう、と試合後に反省した。

 

(5月某日)

 久しぶりに妹が名古屋から上京。大学で昼食をともにした。学内のレストラン、庭が都心とは思えぬ美しさだ。

 で、「どう、練習してる?」と聞いてみた。妹は私より二つ下で主婦、中高に受験生を抱えているが、ランナーである。「300くらいかなー、あまり時間なくてねえ」と妹。「どれだけで?」と聞き返すと「月で」。

 月に300キロ走っているらしいのであった。 
 

 

(5月某日)

 北斗旗体力別の試合が仙台であった。今回は秋の全世界大会の選抜大会。私は前日に大阪で商業学会に基調講演を頼まれていたので、早朝に飛行機で仙台入りした。

 結果は、以下の通り。

◎軽量級  @高橋腕(新潟)A小川英樹(中部)
◎中量級  @寺本正之(関西)A佐藤繁樹(東北)
◎軽重量級 @笹沢一有(早稲田)A小野亮(吉祥寺)
◎重量級  @山崎進(総本部)A藤澤雄司(横浜北)
◎超重量級 @藤松泰通(総本部)A五十嵐祐司(三沢)
◎特別賞  ・小松洋之(秋田市)・大内剛(三沢)

 なんと言っても軽量級の天才、小川が三年ぶりに世界大会に向けて復活を目指し、決勝で負傷敗退したのが衝撃だった。満身創痍ではあるが、それでも余裕をもって勝てると踏んでの出場だろう。ところが左構えでの左足の足払いはきかないし、ボディバランスはさすが(私の理想は小川選手のように片手で逆立ちすることだ)だけれども、後ろ回し蹴りもスープレックスも使えなかった。パンチも結構もらっていた。実戦から遠ざかるというのは、なんと残酷なことか。

 全体の流れでいえば、「組み」の強さ、つまり柔道の強さが支配していたという観があった。藤松や山崎は以前から組みが強かったし投げもうまいが、それだけではない。軽量級の高橋は首相撲ではなく道衣を「煽って」膝蹴りしていた。膝蹴りで応戦すると支えつり込み足がくる。ムエタイ式だけでは通用しなくなっているのだ。きっと山田師範の指導だろう。優勝者は一律に組みがうまい。武大出身大内は、内股と左一本背負いがさえにさえて、山崎すら一度は投げてみせた。五十嵐の道場生ということで、一緒に練習しているのだろう。五十嵐も組み(小外刈り)に長足の進歩をみせた。

 それが顕著だったのが笹沢−小野戦。実は笹沢は私が高木道場から柔道で出た中野区大会の団体戦の大将を、二年前に務めているという奇縁にある。早実柔道部出身で、高木の若先生が師範であられた。高校時代の内股と大内は全国レベルだったと聞いている。組みに絶対的な自信があり、寝技も十字で二度一本勝ちをした。それで打撃にも余裕があり、本大会随一の技術を誇る小野から逆にパンチで有効をとってしまった。組みに自信があれば変則パンチも生きてくる。これは世界大会の秘密兵器だ。

 組みとムエタイが空道の鍵になる、というのが私の四年前からの見通しであり、それで柔道と飯村師範の指導を受けるようになった。私の見通しが実現していて、本当にうれしい。

 さて、いよいよ世界大会だ。なんとしてもチケットを売って、代々木を満杯にするぞ〜。